2020年7月31日金曜日

トニー・バルタザー(Tony Baltazar)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

左フックが得意の強打者、バルタザー。ペドロ・ラザ戦、ダニー・バルガス戦、ヘクター・カマチョ戦を紹介します。

トニー・バルタザー(Tony Baltazar)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

トニー・バルタザー(アメリカ)
身長175cm:オーソドックス(右構え)

トニー・バルタザー 4R TKO ペドロ・ラザ
(J・ウェルター級戦、1990年)
バルタザー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ラザ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:連打でラザがダウン
(感想:メキシコ系アメリカ人のバルタザー。弟も世界ランカーだった「ボクシング兄弟」。左フックが特に強く、デビュー当初からKOの山を築く。ロジャー・メイウェザーに勝利しているが、テクニックのあるハワード・デービス・ジュニア、バディ・マクガートには敗北している。ラザはキューバ出身の選手で、フロリダ州ライト級王座を獲得しているが、コーネリアス・ボザ・エドワーズ(ウガンダ)にはTKO負け。攻めるバルタザー。ジャブは少な目でフックを叩きつけるパターン。3R、連打でラザがダウン。3R終了後、ラザが棄権。パワーに差があった試合。ラザは次の試合にも敗れて引退。)

トニー・バルタザー 5R KO ダニー・バルガス
(J・ウェルター級戦、1990年)
バルタザー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
バルガス:右ジャブ、左ストレート、右フック
(ダウンシーン)
5R:左アッパーでバルガスがダウン
(感想:サウスポーのバルガスは失礼ながら、いわゆる「かませ犬」。メルドリック・テーラーらに敗れるなど、ここのところ連敗中。しかしながら、右にスイッチしたりする器用なところも。バルタザーが強打で前進。5Rにダウンを奪って終了。手数が少な目だったバルタザー。サウスポーが苦手なのかもしれない。バルタザーの次の相手はサウスポーのWBO王者カマチョ。)

ヘクター・カマチョ 12R 判定 トニー・バルタザー
(WBO世界J・ウェルター級タイトル戦、1990年)
バルタザー:左右フック
カマチョ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:カマチョがタイトル防衛。80年代に強打で注目を浴びたバルタザーがネバダ州で初の世界挑戦。ヘンな仮面を着けて入場のカマチョ。踊りながら「マチョタイム!」を連呼。そしてサウスポースタイルでジャブ・ストレート・連打。バルタザーはジャブ無しでフック攻撃。そのためさすがに疲れたか、クリンチを連発。9Rには得意の左フックでローブロー。カマチョは連打で逆襲(10R)。判定でカマチョ。器用なカマチョが無器用なバルタザーを封じた。その後、バルタザーはカルロス・ゴンザレスの持つ同タイトルに再度挑戦して1RでKO負け。パワーがありながら相手の引き立て役になってしまったバルタザー。ジャブを効果的に使えれば一度ぐらいは世界王者になっていたかも。)

①「Super Lightweight
Tony Baltazar vs. Pedro Laza」
②「Super Lightweight
Tony Baltazar vs. Danny Vargas」
③「WBO World Super Lightweight Title
Hector Camacho vs. Tony Baltazar」

ヘクター・カマチョ(Héctor "Macho" Camacho)のページ
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カルロス・ゴンザレス(Carlos "Bolillo" Gonzalez)のページ

モーリス・ブロッカー(Maurice Blocker)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

長身のWBC・IBF世界ウェルター級王者。マーロン・スターリング戦、グレンウッド・ブラウン戦、ルイス・ガルシア戦を紹介します。

モーリス・ブロッカー(Maurice Blocker)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

モーリス・ブロッカー(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)

モーリス・ブロッカー 12R 判定 マーロン・スターリング
(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1990年)
ブロッカー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
スターリング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ブロッカーがタイトル獲得。ワシントンDC出身のブロッカー。俳優のサミュエル・L・ジャクソンっぽい顔立ち。学校時代の同級生サイモン・ブラウンの影響でボクシングを始める。アマチュアで優秀な戦績。プロデビュー以来、全勝でロイド・ハニガンの世界ウェルター級タイトルに挑戦したが3-0の判定負け。これが二度目の世界チャレンジ。その長身からニックネームは「Thin Man(痩せた男)」。シャープなジャブを使うが、パワーはもう一つという評価も。王者スターリングはベテラン。ドナルド・カリーに阻まれて世界王者になれない日々が続いたが、マーク・ブリーランドを番狂わせで破ってWBA世界ウェルター級王座獲得。その王座は失ってしまったが、ロイド・ハニガンからWBC王座を獲得。これが二度目の防衛戦。サイモン・ブラウンを下したこともあるスターリング。ブロッカーとしては勝てなかったハニガンに間接的に雪辱できるか、友人の仇を取ることができるか、といったところ。ネバダ州リノで行われた一戦。マイケル・スピンクスが会場で観戦する中、試合開始。ブロッカーがジャブ、連打。ディフェンシブな試合をすることもよくあるスターリングがこの試合ではパワーを込めたパンチで前進。2R、左アッパーでスターリングのマウスピースが飛ぶ。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。ブロッカーがジャブ、左のボディ打ちで勝利。スターリングはこれで引退。)

モーリス・ブロッカー 12R 判定 グレンウッド・ブラウン
(IBF世界ウェルター級王座決定戦、1991年)
ブロッカー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ブラウン:左ジャブと左右フック
(感想:ブロッカーがIBFタイトル獲得。サイモン・ブラウンとの「親友対決」に敗れてWBCタイトルを失ったブロッカー。ブラウンが返上したIBFタイトルを王座決定戦で争う。相手は活きのいいファイター、ブラウン。アトランチックシティで行われた一戦。ジャブで距離を取るブロッカー。大きなフックで攻めるブラウンは懐の深いブロッカーに空転することが多い。判定は2-1。ダウンシーンは無し。ブロッカーがトーマス・ハーンズばりにジャブ、ストレートを飛ばしたシーンが最大の見せ場だった。)
                   
モーリス・ブロッカー 12R 判定 ルイス・ガルシア
(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1992年)
ブロッカー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ガルシア:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:左フック、左フック、連打で3度、ガルシアがダウン
(感想:ブロッカーがタイトル防衛。ガルシアはベネズエラの選手。デビュー以来、全勝でメルドリック・テーラーのWBA世界ウェルター級タイトルに挑戦したが2-1の判定負け。これが二度目の世界挑戦。アトランチックシティで行われた一戦。ハーンズ・スタイルでジャブを使うブロッカー。ガルシアは連打で前進し、右ストレートでブロッカーをグラつかせる(3Rなど)。5Rのダウン。その後はどちらも一発で倒すような選手ではないため採点が難しそうなラウンドも。判定は2-1。勝ったと思ったガルシアは判定のアナウンスにがっくりした感じ。よく攻めたが空振りも多かった。ブロッカーは「パンチがあまりないトーマス・ハーンズ」といったところ。世界戦での勝利は全て判定で2-1か2-0。もっとパワーがあればハーンズみたいになれたはず。その後、ブロッカーとガルシアは共に「プエルトリコの新星」フェリックス・トリニダードにKOされた。)

①「WBC World Welterweight Title
Marlon Starling vs. Maurice Blocker」
②「IBF World Welterweight Title
Maurice Blocker vs. Glenwood Brown」
③「IBF World Welterweight Title
Maurice Blocker vs. Luis Garcia」

マーロン・スターリング("Magic Man" Marlon Starling)のページ
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サイモン・ブラウン(Simon Brown)のページ
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グレンウッド・ブラウン(Glenwood Brown)のページ
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フェリックス・トリニダード(Félix Trinidad)のページ

セーン・ソー・プルンチット(Saen Sor Ploenchit)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

タイ国フライ級の強豪、セーン。デビッド・グリマン戦、金容江戦、レオ・ガメス戦を紹介します。

セーン・ソー・プルンチット(Saen Sor Ploenchit)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

セーン・ソー・プルンチット(タイ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)

セーン・ソー・プルンチット 12R 判定 デビッド・グリマン
(WBA世界フライ級タイトル戦、1994年)
セーン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
グリマン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:セーンがタイトル獲得。幼い頃から苦労してきたセーン。家が貧しかったためムエタイの選手に。国際式(プロボクシング)に転向した二戦目で世界ランカーを破ったことから運が開き始める。これまで全勝。練習熱心で大学にも通うマジメな青年。王者グリマンはベネズエラの選手で、帝拳ジムと契約したことで日本でも有名。カオサイ・ギャラクシーのWBA世界J・バンタム級王座にタイで挑戦したときは惨敗だったが、同国人のアキレス・グスマンを破ってWBA世界フライ級王座獲得。セーン戦は三度目の防衛戦となる(初防衛戦では井岡弘樹にTKO勝ち)。タイで行われた試合(セーンの世界戦は井岡弘樹戦を除いて全てタイで行われた)。ジャブ、ストレート、ロングフックといった長いパンチを使うセーン。グリマンはジャブ、連打で攻めるがディフェンスされてしまう。判定で3-0(ダウンシーンは無し)。見栄えのいいセーンの大きなパンチが評価されたか。テクニックに定評のあるグリマンにセーンがテクニックで勝利。グリマンは良い選手だが、セーンのディフェンス作戦にしてやられた感じ。タイではない別の場所での再戦がなかったのが少し残念。)

セーン・ソー・プルンチット 12R 判定 金容江
(WBA世界フライ級タイトル戦、1994年)
セーン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
金:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでセーンがダウン
(感想:セーンがタイトル防衛。金はかつてこのタイトルを持っていた選手で、WBC王者時代にはレパード玉熊の挑戦を斥けたこともある。1R、右ストレートでセーンがダウンするハプニング。その後はセーンが伸びるジャブ、ストレートをリズミカルに打ち、ディフェンス。金は例のガチャガチャした連打で攻めるが、パンチの正確さに欠ける。判定は3-0。金はこれが2年ぶりの再起戦だったそうな。それがいきなり世界挑戦。「世界ランキング」とは一体何なのか? という気もするが、プロボクシングはスポーツであり、商売でもあるからそういうこともある。)

セーン・ソー・プルンチット 12R 判定 レオ・ガメス
(WBA世界フライ級タイトル戦、1996年)
セーン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ガメス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:セーンがタイトル防衛。ガメスは二階級王者。その強打は日本でもおなじみ(後、四階級制覇)。セーンとは階級が違うと言いたくなるほど小柄なガメス。しかし1Rから強打をヒットさせる。激しい打ち合いが続いて12R終了。判定は2-1。ダウンシーンは無し。接近戦ではガメスも良かったが、離れた距離ではセーンの長いパンチが有効だった。その後もセーンは王座を防衛し続けたが、ホセ・ボニージャに敗れ、初黒星。王座陥落後も連勝を続けたが、なぜか世界挑戦は無し。最後は日本で二連敗(相手は辰吉丈一郎、木村章司)してキャリアを終えた。世界王者時代が素晴らしかったセーン。伸びのあるジャブ、正確な左ロングフック、ディフェンス、打ち合う度胸など、世界王者にふさわしいレベルのものを持っていた。)

①「WBA World Flyweight Title
David Griman vs. Saen Sor Ploenchit」
②「WBA World Flyweight Title
Saen Sor Ploenchit vs. Yong Kang Kim」
③「WBA World Flyweight Title
Saen Sor Ploenchit vs. Leo Gamez」

金容江(キム・ヨンガン、Yong-Kang Kim)のページ
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レオ・ガメス(Leo Gámez)のページ
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井岡弘樹(Ioka Hiroki)②のページ

ブヤニ・ブング(Vuyani Bungu)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF王座を13度防衛、ブング。ケネディ・マッキニー戦、フェリックス・カマチョ戦、ヘスス・サルード戦を紹介します。

ブヤニ・ブング(Vuyani Bungu)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ブヤニ・ブング(南アフリカ共和国)
身長166cm:オーソドックス(右構え)

ブヤニ・ブング 12R 判定 ケネディ・マッキニー
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、1994年)
ブング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
マッキニー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ブングがタイトル獲得。南アフリカのブング。ニックネームは「The Beast(獣)」「Carousel Kid(回転木馬)」(「回転木馬」がよくわからない。「回転の速い連打」のことか?)。地元を中心に試合をしてきた選手で、南アフリカのJ・フェザー級王座獲得。イタリアで後に世界王者になるフレディ・ノーウッドに判定負けの過去。マッキニーは安定王者。ブングと同じ南アフリカのウェルカム・ニシタにKO勝ちして王座獲得、五度の防衛。直前の防衛戦ではニシタを判定で返り討ちにしている。南アフリカで行われた一戦。上半身を忙しく動かしてジャブ・フックのブング。マッキニーはジャブ・ストレートで応戦。ブングが上手くディフェンスし、時折フックを当てる。判定は3-0でブング。ダウンシーンは無し。マッキニーが負けたというより、ブングがよく頑張ったという印象。)

ブヤニ・ブング 12R 判定 フェリックス・カマチョ
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、1994年)
ブング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
カマチョ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:ブングがタイトル初防衛。南アフリカで行われた一戦。髪型・打ち方が兄ヘクター・カマチョそっくりのサウスポー、フェリックス・カマチョ。フロリダ州王座、WBF王座(いずれもJ・フェザー級)を獲得しているプエルトリカン。ジャブを使うが、パンチが軽い。ブングがマッキニー戦と同じように接近してフック攻撃。判定は3-0でブング。ダウンシーンは無し。兄貴にソックリだったカマチョだが、パンチ力に欠けていた。その後、メジャー団体の王座を獲ることなくキャリアを終えた。)

ブヤニ・ブング 12R 判定 ヘスス・サルード
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、1996年)
ブング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
サルード:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:ブングがタイトル防衛。南アフリカで行われた七度目の防衛戦。挑戦者サルードはスピードはないがパワーを込めた打ち方をする元WBA王者。ブングがいつものようにジャブで接近してフック。9R、右でサルードがグラつく。判定は3-0。ダウンシーンは無し(この記事を書くにあたってブングの試合を合計36ラウンズ観たがダウンシーンは一つも無し)。その後、ブングはマッキニーとの再戦に勝利。実力者ダニー・ロメロにも勝利して防衛。結局、13度も防衛した。二階級制覇を目指したが、WBO世界フェザー級王者ナジーム・ハメドにTKO負け。IBOフェザー級王座を獲得したが、これは「世界王座」とは認めがたい。良く言えば「安定した実力を持っていた」ブング。悪く言えば「誰とやっても同じ」。前に出ていくエネルギッシュな選手だったが、もう少しパワーがあればもっとよかった。)

①「IBF World Super Bantamweight Title
Kennedy McKinney vs. Vuyani Bungu」
②「IBF World Super Bantamweight Title
Vuyani Bungu vs. Felix Camacho」
③「IBF World Super Bantamweight Title
Vuyani Bungu vs. Jesus Salud」

ケネディ・マッキニー(Kennedy McKinney)のページ

2020年7月29日水曜日

ダーリン・バン・ホーン(Darrin Van Horn)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBFで二階級制覇、バン・ホーン。ロバート・ハインズ戦、リンデル・ホームズ戦、ジョン・ジャービス戦を紹介します。

ダーリン・バン・ホーン(Darrin Van Horn)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ダーリン・バン・ホーン(アメリカ)
身長180cm:オーソドックス(右構え)

ダーリン・バン・ホーン 12R 判定 ロバート・ハインズ
(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、1989年)
バン・ホーン:左ジャブ、右ストレート、左フック
ハインズ:右ジャブと左ストレート
(感想:バン・ホーンがタイトル獲得。オハイオ州出身のバン・ホーン。子供の頃からボクシングに親しみ、アマチュアで4年のキャリア(タイトルも獲得)。父がマネージャー兼トレーナーとなり、16歳になる直前でプロデビュー。その後も大学に通いながら忙しくリングに上がる日々。二線級の相手との試合が多かったが、徐々に実力者と対戦するようになり、これまで全勝。サウスポーのチャンピオン、ハインズは番狂わせでマシュー・ヒルトン(カナダの人気者で「次期スーパースター候補」だった。ハインズに敗れるまで全勝だったが・・・。)を判定で下して王座を獲得した男。これが初防衛戦。アトランチックシティで行われた試合。速いジャブを打つハインズ。ストレートを狙うバン・ホーン(白人のミドル級選手にしては身のこなしが速い)。3R終了後には両選手エキサイトして手を出す。前半はバン・ホーンがハインズのジャブをかわしてストレートを決める、中盤以降はハインズも攻めていく、といった展開。判定は3-0。ダウンシーンは無し。両者の実力に大きな差はなかったような気がした。ハインズは勝てる試合を落とした印象。)

ダーリン・バン・ホーン 11R KO リンデル・ホームズ
(IBF世界S・ミドル級タイトル戦、1991年)
バン・ホーン:左ジャブ、右ストレート、左フック
ホームズ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:連打でホームズがダウン(レフェリーはダウン扱いせず)
11R:左ボディフックでホームズがダウン
(感想:バン・ホーンが二階級制覇。IBF世界J・ミドル級タイトルの初防衛戦でイタリアのジャンフランコ・ロッシに判定負けして王座を失ったバン・ホーン。王座を懸けた再戦でも敗れてしまった。競争が激しいミドル級で勝負するバン・ホーンとしては何とか巻き返したいところ。王者ホームズはベテラン。なかなか世界王者になれなかったが、フランク・テートを決定戦で下してこの王座を獲得。安定したテクニックで防衛にも成功。これが四度目の防衛戦となる。アメリカ人同士だがイタリアで行われた試合(なぜ、イタリア?)。ジャブ、ストレートのバン・ホーンにホームズはフック攻撃。しかし振りの大きいパンチでスタミナが切れたのか、ホームズはクリンチ連発。4R、左フックからの右ストレートがキレイに決まってホームズがヒザを着く。11R、左フックで攻めるバン・ホーン。左ボディでホームズをダウンさせ、KO勝ち。若さと勢いでバン・ホーンが押し切った。ホームズは良い選手だが年齢には勝てなかった。)

ダーリン・バン・ホーン 3R KO ジョン・ジャービス
(IBF世界S・ミドル級タイトル戦、1991年)
バン・ホーン:左ジャブ、右ストレート、左フック
ジャービス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:右ストレートでジャービスがダウン
(感想:バン・ホーンがタイトル初防衛。挑戦者のジャービス。バスター・ドレイトン(後、IBF世界J・ミドル級タイトルを獲得)には敗れたが、IBFのインター王座(J・ミドル級)を獲得し、スラニ・マリンガ(後、ナイジェル・ベンに勝ってWBC世界S・ミドル級王座獲得)に勝って防衛に成功している黒人選手。パワーを込めた連打で攻めるバン・ホーン。ジャービスはジャブをよく出し、右ストレートを決める。3R、右ストレートのカウンター一撃でジャービスがKO負け。ジャービスがパンチをヒットさせるシーンもあったが、身体全体のパワーではバン・ホーンが上だった。二連続KO勝利のバン・ホーン。しかし、次の防衛戦の相手が悪すぎた。ブロンクスの荒くれ者アイラン・バークレー。凶悪なパンチをマトモにアゴに食らってバン・ホーンはKO負け、王座陥落。その後、数試合やってバン・ホーンは引退。引退後は警官になったという。)

①「IBF World Super Welterweight Title
Robert Hines vs. Darrin Van Horn」
②「IBF World Super Middleweight Title
Lindell Holmes vs. Darrin Van Horn」
③「IBF World Super Middleweight Title
Darrin Van Horn vs. John Jarvis」

リンデル・ホームズ(Lindell Holmes)のページ
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アイラン・バークレー(Iran "The Blade" Barkley)のページ

ミゲル・アンヘル・ゴンザレス(Miguel Angel Gonzalez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

「東京三太」の名でもおなじみの世界ライト級王者、ゴンザレス。ウィルフレド・ロチャ戦(初戦)、レバンダー・ジョンソン戦、フリオ・セサール・チャベス戦を紹介します。

ミゲル・アンヘル・ゴンザレス(Miguel Angel Gonzalez)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ミゲル・アンヘル・ゴンザレス(メキシコ)
身長174cm:オーソドックス(右構え)

ミゲル・アンヘル・ゴンザレス 10R TKO ウィルフレド・ロチャ
(WBC世界ライト級王座決定戦、1992年)
ゴンザレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ロチャ:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
2R:左フックでゴンザレスがダウン
4R:右フックでロチャがダウン
5R:右アッパーでロチャがダウン
(感想:ゴンザレスがタイトル獲得。メキシコシティの中流家庭出身のゴンザレス。15歳でアマチュアボクサーに。ソウルオリンピック(1988年)にフェザー級で出場したが1回戦負け。18歳でプロデビュー。以来、全勝。協栄ジムのプロモートで日本のリングに上がっていたことも(「東京三太」というリングネーム。センス的には最悪。誰が名付けたのだろう? しかしながら、「サンタ」というのは「聖なる名」であるため本人は気に入っていたらしい)。パーネル・ウィテカーが王座返上。空位となったWBC世界ライト級王座の決定戦に出場することに。ロチャはコロンビアの選手。KO勝ちが多い強打者で、WBC米大陸ライト級王座を獲得している。ただし、これまでの試合は全て地元で行ってきており、これが初の海外試合。メキシコシティでの一戦。ジャブ・連打を丁寧に当てるゴンザレス。左のボディ打ちも上手い。ロチャは振りは大きいがキレがある危険なパンチを打つ。2R、左フックでなぎ倒されるゴンザレス。激しい打ち合い。4R、5Rにダウンを奪い返し、9R終了でロチャが棄権。ゴンザレスは勝ったが、鼻と口から出血するなど、かなり危なかった。)

ミゲル・アンヘル・ゴンザレス 8R TKO レバンダー・ジョンソン
(WBC世界ライト級タイトル戦、1994年)
ゴンザレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ジョンソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ゴンザレスがタイトル防衛。メキシコで行われた六度目の防衛戦。挑戦者のジョンソンはよく伸びるジャブ・ストレートを打つかなりの実力者(マーク・ブリーランド並みのパンチ)。1Rからジョンソンの強打が炸裂。独特の打ち方の連打で対抗するゴンザレス(上半身の力で打つような、やや手打ち気味の打ち方)。我慢比べのような打ち合い。最後はロープ際での連打でレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。ゴンザレスは打たれながらもよく耐え抜いた。ジョンソンはなかなかの選手。後にIBF世界ライト級王座を獲得。しかし初防衛戦のダメージで亡くなってしまった。ゴンザレスは実力者ジョンソンに勝ったことでかなりの自信をつけたようで、「これからはオレの時代」「(フリオ・セサール)チャベスはもう終わり。ヤツ(チャベス)とやったらKOしてやる」「デラ・ホーヤも敵ではない」と豪語。すごい。そんなこと言っていいのかな?)

ミゲル・アンヘル・ゴンザレス 12R 引分 フリオ・セサール・チャベス
(WBC世界J・ウェルター級王座決定戦、1998年)
ゴンザレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
チャベス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:WBC世界ライト級王座を10度防衛したゴンザレス。二階級制覇を目指して次のステージへ。しかし、オスカー・デラ・ホーヤに判定負け(97年)。これが二回目の同タイトルへの挑戦となる。チャベスは説明不要の選手。三階級制覇を達成した「偉大なメキシコの王者」ではあるが、ピークは過ぎた印象。メキシコシティでの一戦。連打のゴンザレス。一発一発が重く、タフなチャベス。ゴンザレスはフットワークとジャブで距離を取り、KO狙いではなくポイントを取るような打ち方。一進一退で結果は引分。ダウンシーンは無し。チャベスはジャブは良かったが脚力が落ちていた感じで、相手を追い込む馬力に欠けていた。大物スター選手に勝てなかったゴンザレス。元々、一発で倒すようなパワーの持ち主ではないから仕方がない、といったところ。その後もコンスタンチン・チュー(WBC世界J・ウェルター級王座)、コーリー・スピンクス(WBC、WBA、IBF世界ウェルター級王座)、ルイス・コラーゾ(WBA世界ウェルター級王座)に敗れ、二階級制覇ならず。細かい連打で倒すタイプだったゴンザレス。上の階級では厳しく、「チャベスをKOしてやる」という豪語もむなしいものとなってしまった。)

①「WBC World Lightweight Title
Miguel Ángel González vs. Wilfrido Rocha」
②「WBC World Lightweight Title
Miguel Ángel González vs. Leavander Johnson」
③「WBC World Super Lightweight Title
Miguel Ángel González vs. Julio Cesar Chavez」

レバンダー・ジョンソン(Leavander Johnson)のページ
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フリオ・セサール・チャベス(Julio César Chávez)のページ
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コンスタンチン・チュー(Konstantin "Kostya" Tszyu)のページ

イスラエル・バスケス(Israel Vázquez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

驚異の右ストレート、バスケス。ホセ・ルイス・バルブエナ戦、ジョニー・ゴンザレス戦、ラファエル・マルケス戦(再戦)を紹介します。

イスラエル・バスケス(Israel Vázquez)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

イスラエル・バスケス(メキシコ)
身長164cm:オーソドックス(右構え)

イスラエル・バスケス 12R TKO ホセ・ルイス・バルブエナ
(IBF世界S・バンタム級王座決定戦、2004年)
バスケス:左ジャブ、右ストレート、左フック
バルブエナ:右ジャブと左ストレート
(ダウンシーン)
4R:右ストレートでバルブエナがダウン
12R:右ストレートでバルブエナがダウン
(感想:バスケスがタイトル獲得。ボクシング史上に残る「激闘王」バスケス。メキシコシティ出身。その強打とテクニックから「Magnifico(マグニフィコ:魔術師)」と呼ばれる。17歳でプロデビュー。13戦目で後に世界王者になるオスカー・ラリオスを1RでKO。IBAや北米のS・バンタム級王座を獲得し、ラリオスとWBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦で再戦。しかし、敗北。そして、この二度目の世界挑戦(またしても「決定戦」)。サウスポーのバルブエナはベネズエラの選手。マルコ・アントニオ・バレラのWBO王座に挑戦したときは判定負けに終わったが、その後、IBFの地域王座を獲得し、世界王座の挑戦者決定戦にも勝利して、この二度目の世界挑戦。ロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」で行われた試合。左ストレートを狙うバルブエナ。バスケスは得意の右で前進。4R、12Rにバルブエナからダウンを奪い、最後は連打でレフェリーストップ。バルブエナは良い左ストレートを持っていたが、打ち抜くような打ち方をしなかった(ポイントを取るためのサウスポースタイル)。それではタフな強打者バスケスを止められない。バルブエナは次の試合もTKOで敗れ、それが最後の試合となった。)

イスラエル・バスケス 10R TKO ジョニー・ゴンザレス
(WBC世界S・バンタム級タイトル戦、2006年)
バスケス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ゴンザレス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
4R:左フックでバスケスがダウン
6R:左フックでバスケスがダウン
7R:右ストレートでゴンザレスがダウン
10R:連打でゴンザレスがダウン
(感想:バスケスがタイトル防衛。IBF王座を防衛し続けたバスケス。WBC王者オスカー・ラリオスと統一戦を行い、TKO勝ち。IBF王座返上。そしてこのゴンザレスとの防衛戦。ゴンザレスはWBO世界バンタム級チャンピオンで、長い右ストレートと左フックを得意とする強打者(後、西岡利晃、長谷川穂積と対戦)。ラスベガス「MGM Grand」での注目の好カード。共にジャブで試合を組み立てる似たタイプ同士。4R、6R、7Rのダウン応酬。ポイントではゴンザレスがリードしていたが、10Rにゴンザレスがダウン。セコンドが棄権を申し入れて終了。「逆転KO」ではあるが、バスケスはゴンザレスのパンチを上手くかわしていた。ゴンザレスの長いパンチにてこずったがパンチ自体はよく見えていたのだと思われる。決め手となる強いパンチを持つ選手の試合は最後までわからないものだ。)

イスラエル・バスケス 6R TKO ラファエル・マルケス
(WBC世界S・バンタム級タイトル戦、2007年)
バスケス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
マルケス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
6R:左フックでマルケスがダウン
(感想:バスケスがタイトル奪回。マルケスは兄のファン・マヌエル・マルケスと共に有名な選手。初戦はマルケスの勝ちでWBC世界S・バンタム級タイトル獲得。右ストレートに破壊的なパワーを持つ者同士の再戦。激しい打撃戦。両者流血。6R、強烈な左フックでマルケスがダウン。連打でレフェリーストップ。器用さではマルケスだったが、攻める姿勢でバスケスが上回った。プロボクシングは「どっちが強いか」を競い合うものだが、こういうレベルの高い試合は「どちらも強い」ということでいいと思う。パンチのある者同士が妥協することなく打ち合った。ボクシングファンが期待するのはまさにこういう試合。「敗者がいない戦い」だった。三度目の対戦は2-1の判定でバスケス。四度目の対戦は3RでのKOでマルケス。その試合でバスケスは元々悪かった目を痛め、それがラストファイトに。右目が義眼になってしまったバスケス。ファンは激しい試合を期待し、興奮するが、そこまで戦う必要は個人的には無いと思う。しかし、「リングで死ねるなら本望」というボクサーも少なくない。そういった人間が参加するのがプロボクシングの世界だ。)

①「IBF World Super Bantamweight Title
Israel Vázquez vs. Jose Luis Valbuena」
②「WBC World Super Bantamweight Title
Israel Vázquez vs. Jhonny Gonzalez」
③「WBC World Super Bantamweight Title
Rafael Marquez vs. Israel Vázquez」

ジョニー・ゴンザレス(Jhonny Gonzalez)のページ
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ラファエル・マルケス(Rafael Márquez)のページ
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オスカー・ラリオス(Oscar Larios)のページ

テリー・マーシュ(Terry Marsh)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界J・ウェルター級王者。世界王者のまま引退。デビッド・テイラー戦、ジョー・マンリー戦、亀田昭雄戦を紹介します。

テリー・マーシュ(Terry Marsh)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

テリー・マーシュ(イギリス)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

テリー・マーシュ 2R TKO デビッド・テイラー
(J・ウェルター級戦、1987年)
マーシュ:左ジャブ、右ストレート、左フック
テイラー:右ジャブと左右フック
(感想:英国のマーシュ。イギリス海軍の出身で、その後は消防士に。チェスが得意という面もある頭脳派。アマチュアでタイトル獲得。プロボクサーとして英国、欧州のJ・ウェルター級タイトル獲得。これまで無敗。ジャブを使う正統派であるが、「パワー不足」という評価も。テイラーは勝ったり負けたりのアメリカ人(マーシュ戦後は、ホセ・ルイス・ラミレス、チャールズ・マレーらを相手に負けることがさらに多くなっていった)。野球のピッチングのような大きな振りの右フックが特徴的。そんな力強いテイラーをマーシュはどうさばくのか、と期待していたが、2Rにテイラーのキズでストップ。ダウンシーンは無し。消化不良な勝ち方だったマーシュ。次の試合は世界挑戦。)

テリー・マーシュ 9R TKO ジョー・マンリー
(IBF世界J・ウェルター級タイトル戦、1987年)
マーシュ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
マンリー:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
9R:連打でマンリーがダウン
(感想:マーシュがタイトル獲得。ゲーリー・ヒントンをKOで破って王座を獲得したアメリカのマンリー。これが初防衛戦。マーシュが速いジャブと左フックでアグレッシブに攻める。マンリーは振りの大きいフックを使う。そのためかスタミナ切れでクリンチを連発。マーシュが押し気味になり、9R、力強い連打でダウンを奪う。最後は連打でレフェリーストップ。マーシュはダウンを奪った連打と左ボディブローが印象的だった。)

テリー・マーシュ 7R TKO 亀田昭雄
(IBF世界J・ウェルター級タイトル戦、1987年)
マーシュ:左ジャブ、右ストレート、左フック
亀田:右ジャブと左フック
(ダウンシーン)
6R:右フックで亀田がダウン
(感想:マーシュがタイトル初防衛。挑戦者は明石家さんま似のサウスポー、亀田。アーロン・プライアーのWBA王座に挑戦したときはダウンを奪ったが、KO負けで王座獲得ならず。プライアーほどの圧力がないマーシュなら亀田にも勝つチャンスがあるのでは、といったところ。英国で行われた一戦。会場ではヘクター・カマチョが観戦。左フックとストレートで攻めるマーシュ。亀田は手がなかなか出ない。6R、右フックで亀田がダウン。6R終了で亀田が棄権。マーシュの斜め下からの左フックが個性的だった一戦。マーシュはこの試合で引退。「てんかんの発作」が原因。統一戦などの大きな試合には無関心だったというマーシュ。世界王者としては地味な存在であるが、無敗で引退したこと、日本の選手と戦ったことで印象に残る選手である。)

①「Super Lightweight
Terry Marsh vs. David Taylor」
②「IBF World Super Lightweight Title
Joe Manley vs. Terry Marsh」
③「IBF World Super Lightweight Title
Terry Marsh vs. Kameda Akio」

アーロン・プライアー(Aaron Pryor)のページ

2020年7月24日金曜日

アルツロ・フライアス(Arturo Frias)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

アル・パチーノ似の世界ライト級王者、フライアス。クロード・ノエル戦、エルネスト・エスパーニャ戦(再戦)、ルーベン・ムニョスJr戦を紹介します。

アルツロ・フライアス(アメリカ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

アルツロ・フライアス(Arturo Frias)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

アルツロ・フライアス 8R KO クロード・ノエル
(WBA世界ライト級タイトル戦、1981年)
フライアス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ノエル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
8R:右ストレートでノエルがダウン
(感想:フライアスがタイトル獲得。カリフォルニア出身のフライアス(日本では「フリアス」とも呼ばれるが「フライアス」と読むのが正しいらしい)。18歳でプロデビュー。デビュー以来、全勝だったがベネズエラのカラカスでエルネスト・エスパニャ(元WBA世界ライト級王者。弟クリサントは後、WBA世界ウェルター級王者に)に2-0で敗れ、初黒星。その後、二連勝してこの王座戦のチャンスを得た。王者ノエルはトリニダード・トバゴの黒人選手。エスパニャと空位のWBA世界ライト級王座を争ってKO負けしたが、その後、再び同王座の決定戦に出場し、王座獲得。これが初防衛戦となる。ラスベガスで行われた一戦。リングサイドでWBC王者アルゲリョが観戦。速いジャブとパワフルなフックのノエル。フライアスは被弾しながらも前進。8R、右ストレートでノエルがダウン。立てず、KO。フライアスがワンパンチKO勝ち。やや真っ直ぐな攻め方が気になったが、実力者から勢いで王座奪取。ノエルは良い選手だが、ピークを過ぎていたか。後にアルゲリョ、日本で浜田剛史にKOされている。)

アルツロ・フライアス 9R 負傷判定 エルネスト・エスパーニャ
(WBA世界ライト級タイトル戦、1982年)
フライアス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
エスパーニャ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:フライアスがタイトル初防衛。ロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」で行われた因縁の再戦。王座奪回を目指す長身のエスパーニャが長いジャブ・ストレートを使う。フライアスが前進し、エスパーニャはジャブ・フックで応戦。1Rから打ち合いに。9R、フライアスのキズ・出血がバッティングによるものと判断され、負傷判定(エスパーニャの言い分によるとこのキズはパンチによるものらしい)。王者防衛。エスパーニャは良いストレートを打っていたが、フライアスの勢いの方がポイント上、優勢に見えた。ダウンシーンは無し。)

ルーベン・ムニョスJr 5R TKO アルツロ・フライアス
(全米ライト級王座決定戦、1982年)
フライアス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ムニョス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:左フックでフライアスがダウン
5R:右フックでフライアスがダウン
(感想:レイ・マンシーニに1RでKOされて世界タイトルを失ったフライアス。その再起戦をアトランチックシティで行う。ムニョスはアメリカの選手で、パンチのある新鋭。フライアスがいつものように前進してフック攻撃。ムニョスはなかなかバランスが良い。ストレート・フックを器用に使い、左右にスイッチ。4R、左フックでフライアスがダウン。5Rのダウンはタイミングのいい右フックによるもの。打たれるフライアスをレフェリーが救った。フライアスが負けた、というより、ムニョスが良い選手だった、というのが正確なところ。そのムニョスも次戦でロジャー・メイウェザーに負けて全米タイトルを奪われてしまう。フライアスとムニョスは共に、その後、大きな活躍をすることはなく、フライアスのラストファイトはボビー・チャコン(元世界王者)にTKO負け。デビュー以来、良い戦績だったがマンシーニにKOされて、大きくキャリアが変わってしまった。)

①「WBA World Lightweight Title
Claude Noel vs. Arturo Frias」
②「WBA World Lightweight Title
Arturo Frias vs. Ernesto España」
③「USBA Lightweight Title
Arturo Frias vs. Ruben Munoz Jr」

レイ・マンシーニ(Ray "Boom Boom" Mancini)のページ

スコッティ・オルソン(Scotty Olson)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

カナダ・フライ級の剛腕、オルソン。エリセオ・ゴメス戦、ペドロ・ホセ・フェリシアーノ戦、マイケル・カルバハル戦を紹介します。

スコッティ・オルソン(カナダ)
身長153cm:オーソドックス(右構え)

スコッティ・オルソン(Scotty Olson)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

スコッティ・オルソン 1R KO エリセオ・ゴメス
(フライ級戦、1991年)
オルソン:左ジャブと左右フック
ゴメス:左ジャブと右ストレート
(ダウンシーン)
1R:左フックでゴメスがダウン
(感想:カナダのオルソン。背は低いが、なかなかのパワーの持ち主。ニックネームは「ブルドッグ」。見た目とパワーを表現したものと思われる。アマチュアで活躍。しかし、ソウル五輪(1988年)ではプロでもライバル関係になるマイケル・カルバハルに敗北。プロ転向。パワーでKOの山を築く。このゴメス戦はそんな状況で行われた一戦。ゴメスは12勝(5KO)1敗のメキシカン。一発一発にパワーを込めるオルソン。ジャブで距離を取ろうとするゴメスに一撃。左フックでオルソンがワンパンチKO勝ち。身体全体のパワーに違いがあった。) 

スコッティ・オルソン 9R TKO ペドロ・ホセ・フェリシアーノ
(全米フライ級タイトル戦、1992年)
オルソン:左ジャブと左右フック
フェリシアーノ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:右フックでフェリシアーノがダウン
5R:右フックでフェリシアーノがダウン
9R:右フックでフェリシアーノがダウン
(感想:オルソンがタイトル獲得。王者フェリシアーノはデーブ・マコーリーのIBF世界フライ級タイトルに挑戦したこともある選手だが、逃げまくって勝負にならなかった。オルソンの強打を警戒してフットワーク。中盤から少し手数を増やすフェリシアーノ(オルソンは序盤が強いから疲れるのを待って中盤から勝負しよう、という作戦だったらしい)。9Rにダウン。立ったがストップ。三度ダウンを奪ってオルソンが圧勝。この頃のオルソンは強かった。) 

マイケル・カルバハル 10R KO スコッティ・オルソン
(IBA J・フライ級王座決定戦、1997年)
オルソン:左ジャブと左右フック
カルバハル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
10R:左ボディフックでオルソンがダウン
(感想:カルバハルがタイトル獲得。ホセ・ルイス・セペダ(ウンベルト・ゴンザレス、リカルド・ロペスらと戦い、世界挑戦したこともある強豪)に敗れて初黒星を喫するとともに全米フライ級王座を失ったオルソン。その後、IBOのフライ級王座を獲得、防衛。そして、ようやくオルソンが望んだカルバハル戦が実現。カルバハルは「小さな石のコブシ」と呼ばれる強打者で、ウンベルト・ゴンザレスとの三連戦が特に有名。ただ、直前の試合でマウリシオ・パストラナに敗れてIBF世界J・フライ級王座を失っており、これが再起戦となる。共に苦労を経験し、実現が少し遅かったような気もする一戦。懸けられる王座もマイナー団体IBAのタイトル(ボクシングの本場アメリカではタイトルよりも「誰と誰が戦うのか」の方が重要。それ以外の地域では未だにタイトルにこだわりがある。アメリカで試合がしたかったらベルトよりも「名のある相手と試合して、知名度を上げていくこと」が大事)。どんな試合になるか? 共にパワーを込めて一発一発強く打つタイプ。オルソンは接近してフック攻撃。カルバハルはジャブを使う。10R、左ボディフックがカウンターとなってオルソンがダウン。立てず、KO。一発一発強く打つため、打ち終わった後、攻撃がとぎれてしまうのが両者の欠点。もう少し流れるような攻撃ができればオルソンにも勝つチャンスがあったかも。その後も試合間隔が長くなりながらもIBO王座の防衛戦を行ったオルソン。引退後は心臓発作で危険な状態に陥ったが、回復したもよう。)

①「Flyweight
Scotty Olson vs. Eliseo Gomez」
②「USBA Flyweight Title
Pedro Jose Feliciano vs. Scotty Olson」
③「IBA Light Flyweight Title
Michael Carbajal vs. Scotty Olson」

マイケル・カルバハル(Michael Carbajal)のページ

ジョーイ・ガマチェ(Joey Gamache)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

トム・ハンクス似の人気者、ガマチェ。ジェリー・ニゴベニ戦、リック・ソース戦、全七星戦を紹介します。

ジョーイ・ガマチェ(Joey Gamache)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジョーイ・ガマチェ(アメリカ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)

ジョーイ・ガマチェ 10R KO ジェリー・ニゴベニ
(WBA世界J・ライト級王座決定戦、1991年)
ガマチェ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ニゴベニ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
9R:左フックでニゴベニがダウン
10R:左フックでニゴベニがダウン
(感想:ガマチェがタイトル獲得。メイン州出身のガマチェ。少年時代は野球をやっていたが、13歳でボクシングを始める。アマチュアのリングに上がったが、大きなタイトルは獲得していないらしい。プロ入り後はこれまで全勝。フランスで武者修行したり、IBFのインター王座(J・ライト級)を獲得したりといったキャリア。ニゴベニは南アフリカの黒人選手。ジャッキー・ガンガルーザ(後、ジョンジョン・モリナと空位のIBF世界J・ライト級王座を争ってKO負け)に敗れた以外は全て勝利。アフリカのローカル王座を獲得している。派手なトランクスで入場のガマチェ(ヘクター・カマチョのマネ?)。アグレッシブに攻めるニゴベニにガマチェがジャブ、左フックで応戦。両者とも一歩も引かない熱戦。9R、左フックでニゴベニがダウン。10Rにも左フックでダウン。立ったがストップされた。ディフェンスとパンチの正確さの差でガマチェが勝利。ニゴベニにパワーがあったため激しい試合となった。)

ジョーイ・ガマチェ 3R TKO リック・ソース
(ライト級戦、1992年)
ガマチェ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ソース:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:左フックでソースがダウン
(感想:ソースはカナダの選手。デビュー以来、連戦連勝だったが、ハリー・アローヨ(元IBF世界ライト級王者)にTKO負けを喫してからは負けがち。ジャブ、ストレートといった長いパンチを使うソース。ガマチェは速いジャブと回転の速い連打。3R、左フックがクリーンヒットしてソースがダウン。立ったがストップ。連勝を伸ばしたガマチェ。パンチにキレがあった。)

ジョーイ・ガマチェ 9R TKO 全七星
(WBA世界ライト級王座決定戦、1992年)
ガマチェ:左ジャブ、右ストレート、左フック
全:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:ガマチェが二階級制覇。ガマチェがWBA世界J・ライト級王座の防衛戦を行うこともなく、パーネル・ウィテカーが返上したタイトルの決定戦に出場。韓国の全は地元でダリル・タイソンに勝ったこともある選手であるが、国内での試合が多く、アメリカで行った試合ではTKO負けしている(唯一の敗戦)。右ストレートは良いが、フックは振りが大きく正確さに欠ける全。ガマチェはいつものようにジャブ、連打。3R、ゴング後に挑発して全が一発くらう。8R終了後、まぶたのキズ・出血で全が棄権。ダウンシーンは無し。身体全体のパワーは全の方があったような印象もあったが、闇雲に振り回すパンチは世界レベルでは通用しない(するときもあるけど)。新王者ガマチェ。初防衛戦でトニー・タイガー・ロペスにKO負け、王座陥落。王座奪回を狙ってオルズベック・ナザロフに挑戦したが、KO負け。その後も精力的にリングに上がったが、アルツロ・ガッティにKOされて深刻なダメージ(2000年2月)。それがラストファイトとなり、引退後はトレーナーとして若い選手を指導している。)

①「WBA World Super Featherweight Title
Joey Gamache vs. Jerry Ngobeni」
②「Lightweight
Joey Gamache vs. Rick Souce」
③「WBA World Lightweight Title
Joey Gamache vs. Chil-Sung Jun」

トニー・ロペス(Tony "The Tiger" Lopez)のページ
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オルズベック・ナザロフ(Orzubek Nazarov)のページ

ムブレロ・ボティーレ(Mbulelo Botile)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

南アフリカのスター、ボティーレ。ハロルド・メストレ戦、レイナルド・ウルタド戦、ボン・アルロス戦を紹介します。ボクシング・ブログ

ムブレロ・ボティーレ(Mbulelo Botile)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ムブレロ・ボティーレ(南アフリカ共和国)
身長165cm:オーソドックス(右構え)

ムブレロ・ボティーレ 2R KO ハロルド・メストレ
(IBF世界バンタム級タイトル戦、1995年)
ボティーレ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
メストレ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでメストレがダウン
(感想:ボティーレがタイトル獲得。南アフリカのボティーレ。地元を中心に試合をし、これまで全勝。デリク・ホワイトボーイ(名前は「ホワイトボーイ」であるが、黒人選手)を破って南アフリカ・バンタム級王座獲得。世界初挑戦。チャンピオンのメストレはコロンビアの選手。決定戦で王座を獲得し、これが初防衛戦。ヨハネスブルグでの一戦。ロングの左フックを使うメストレ。ボティーレは左フック狙い。2R、ボティーレの右ストレートがヒットして、メストレが少し間を置いてダウン。立とうとしたが、また倒れた。「タイソンvsバービック」のようなKO。パンチのスピードはそれほど感じなかったボティーレ。しかし、ここぞというときは速く、当てるのも巧かった。)

ムブレロ・ボティーレ 2R KO レイナルド・ウルタド
(IBF世界バンタム級タイトル戦、1995年)
ボティーレ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ウルタド:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:連打でウルタドがダウン
(感想:ボティーレがタイトル防衛。南アフリカでの二度目の防衛戦。ウルタドはコロンビアの選手。特に目立った活躍は無いが、戦績は良く、このところ連勝中。ボティーレが伸びるパンチを丁寧に当てて連打。ウルタドは打ち下ろすような右ストレートが迫力。しかし、2R、連打でウルタドがダウン、試合終了。ボティーレの冷静さが印象的だった試合。ウルタドは不思議な選手。ボティーレ戦後、連敗。そして連勝、また連敗。モチベーションにムラがある選手だったのかもしれない。) 

ムブレロ・ボティーレ 9R TKO ボン・アルロス
(IBF世界バンタム級タイトル戦、1996年)
ボティーレ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
アルロス:右ジャブと左右フック
(感想:ボティーレがタイトル防衛。南アフリカでの四度目の防衛戦。サウスポーのアルロスはフィリピン人で、パンチを振り回すタイプ。フィリピンのバンタム級王者になってはいるが、はっきり言って世界王者になるような選手ではない(ただし、彼の粗い打ち方には要注意)。そんなアルロスに丁寧にパンチを当てていくボティーレ。8R終了でアルロスが棄権。ダウンシーンは無し。相手の背が高かろうがサウスポーだろうが関係なく冷静に正確にジャブ・フックを当てるボティーレは優秀な選手。後、六度目の防衛戦に敗れたが、連勝。ポール・イングルを破ってIBF世界フェザー級王座獲得、二階級制覇。そして三連敗して引退。フェザー級ではそれほど活躍できなかったが、バンタム級時代が彼のベスト。南アフリカはウェルカム・ニシタ、ブヤニ・ブング、レーロホノロ・レドワバなど魅力的な軽量級の宝庫である。)

①「IBF World Bantamweight Title
Harold Mestre vs. Mbulelo Botile」
②「IBF World Bantamweight Title
Mbulelo Botile vs. Reynaldo Hurtado」
③「IBF World Bantamweight Title
Mbulelo Botile vs. Marlon Arlos」

ウェルカム・ニシタ(Welcome Ncita)のページ
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ブヤニ・ブング(Vuyani Bungu)のページ
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レーロホノロ・レドワバ(Lehlohonolo Ledwaba)のページ

2020年7月22日水曜日

ヘンリー・アキンワンデ(Henry Akinwande)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

長身のWBO世界ヘビー級王者、アキンワンデ。ジェレミー・ウィリアムス戦、アレクサンダー・ゾルキン戦、スコット・ウェルチ戦を紹介します。

ヘンリー・アキンワンデ(Henry Akinwande)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ヘンリー・アキンワンデ(イギリス)
身長201cm:オーソドックス(右構え)

ヘンリー・アキンワンデ 3R KO ジェレミー・ウィリアムス
(WBO世界ヘビー級王座決定戦、1996年)
アキンワンデ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ウィリアムス:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
3R:ワンツーでウィリアムスがダウン
(感想:アキンワンデがタイトル獲得。ロンドン生まれのアキンワンデ。両親がナイジェリア人ということで子供の頃はナイジェリアで生活。イギリスでアマチュア選手に。オリンピック(1988年)にも出場したが、メダルは獲得ならず。プロデビュー後はこれまで無敗。欧州ヘビー級王座を獲得したり、(全盛を過ぎてはいたが)元世界王者トニー・タッカーを破ったり。ウィリアムスは期待の若手。やや全体的に軽いが、マイク・タイソンばりのコンビネーションパンチを打つ強打者(タイソンのトレーナーだったケビン・ルーニーの指導を当時、受けていた)。アメリカで行われた一戦。身長差がある対決。アキンワンデはウィリアムスを見下ろすほどの長身。いきなり突進するウィリアムス。アキンワンデはジャブとクリンチでウィリアムスの勢いを殺ぐ。3R、ジャブからの右ストレートでウィリアムスがダウン。絵に描いたようなキレイなワンツーでKO。大きな体格差があったりするのがヘビー級。ウィリアムスは少し気の毒だった。)

ヘンリー・アキンワンデ 10R TKO アレクサンダー・ゾルキン
(WBO世界ヘビー級タイトル戦、1996年)
アキンワンデ:左ジャブと右ストレート
ゾルキン:右ジャブと左ストレート
(ダウンシーン)
4R:右ストレートでゾルキンがダウン
(感想:アキンワンデがタイトル初防衛。サウスポーのゾルキンはロシア人。デビュー以来、連勝だったが元WBA王者トニー・タッブス(東京ドームでマイク・タイソンと対決)に初黒星。その後はカール・ウィリアムスを破ったり、北米王座を獲得してバート・クーパー、トニー・タッブス(再戦)を相手に防衛に成功したり。ラスベガスで行われた一戦。ゾルキンは左ストレート。アキンワンデは右ストレート。共にストレート狙いの戦法。1Rに右ストレートでグラつくゾルキン。4Rにダウン。スピードがあまりないゾルキンは右ストレートを食い、攻めてもクリンチされてしまう。10R、ゾルキンの右まぶたのキズが悪化してTKO。アキンワンデの右ストレートがこの試合でも効果的だった。)

ヘンリー・アキンワンデ 12R 判定 スコット・ウェルチ
(WBO世界ヘビー級タイトル戦、1997年)
アキンワンデ:左ジャブ、右ストレート、左フック
ウェルチ:左ジャブと左右フック
(感想:アキンワンデがタイトル防衛。イギリスの白人ファイター、ウェルチ。これまで英国王座、欧州王座、WBOインター王座を獲得している。「英国人」同士ではあるがルーツが違う二人の対戦。試合地はアメリカ。フックで攻撃を仕掛けるウェルチ。しかしウェルチは荒っぽい試合ぶりで、ヘッドバット、ラビットパンチ、ヘッドロックを使ってレフェリーに警告される(プロレス?)。離れた距離ではジャブ、ストレートが強いアキンワンデも接近戦になるとクリンチ連発。ウェルチは打ち方も悪く、「攻撃する」というより「アキンワンデに抱きつきに行く」という感じで前に出てはクリンチ。最終ラウンド終了時には両者ニラみ合い。判定は3-0。ダウンシーンは無し。クリンチ連発で選手よりもレフェリーの方が疲れたのではないか、といった内容。世界タイトルが増えるとレベル低めの世界戦が増える、ということが証明されたような気がする。アキンワンデはこの後WBO王座を返上して、レノックス・ルイスのWBC世界ヘビー級タイトルに挑戦(反則負け)。その後もWBCやIBFのインター王座を獲得する活躍を見せたが、世界王座返り咲きならず。「パワー」という点で物足りない部分もあったことから、ややマイナーな存在でキャリアを終えた。)

①「WBO World Heavyweight Title
Henry Akinwande vs. Jeremy Williams」
②「WBO World Heavyweight Title
Henry Akinwande vs. Alexander Zolkin」
③「WBO World Heavyweight Title
Henry Akinwande vs. Scott Welch」

ジェレミー・ウィリアムス(Jeremy Williams)のページ

ジョニー・タピア(Johnny Tapia)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

三階級制覇のタピア。ヘンリー・マルチネス戦、ダニー・ロメロ戦、ナナ・コナドゥ戦を紹介します。

ジョニー・タピア(Johnny Tapia)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジョニー・タピア(アメリカ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)

ジョニー・タピア 11R KO ヘンリー・マルチネス
(WBO世界J・バンタム級王座決定戦、1994年)
タピア:左ジャブ、右ストレート、左フック
マルチネス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
11R:連打でマルチネスがダウン
(感想:タピアがタイトル獲得。ニューメキシコ州アルバカーキ出身のタピア。「Baby-faced Assassin(童顔の暗殺者)」と呼ばれる好戦的なファイター。両親はメキシコ系アメリカ人。8歳の時、母親が殺害される悲劇。9歳でボクシングを始め、アマチュアで優秀な成績。プロ転向。デビュー戦は引き分け。以来、連勝。全米J・バンタム級王座を獲得、防衛。しかし、薬物の問題でブランク。北米王座を獲得し、この世界初挑戦。マルチネスはエルサルバドル出身。タイトルを獲得したことはないが、日本でも勝利するなど、このところ連勝中。アルバカーキで行われた試合。1Rから打ち合い。タピアがパワーを込めた右ストレートと左フック。マルチネスは振りの大きいパンチを器用に打つ。一歩も引かない両者。タピアは試合中、観客にアピールしながら戦う(アメリカ人選手っぽいパフォーマンス)。11R、連打でマルチネスがダウン。立ったがキズもあり、レフェリーストップ。勝利に大喜びのタピア。マルチネスを肩車して、健闘を称える。実力者同士による王座決定戦にふさわしい熱戦だった。)

ジョニー・タピア 12R 判定 ダニー・ロメロ
(WBO・IBF世界J・バンタム級王座統一戦、1997年)
タピア:左ジャブ、右ストレート、左フック
ロメロ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:タピアがタイトル統一。WBO王座を10度も防衛したタピア。「ダイナマイト」と呼ばれる強打者ロメロと統一戦を行うことに。IBF王者ロメロはIBF世界フライ級王者だったこともある二階級制覇王者。共に好戦的であり、熱戦が期待される。ラスベガス「Thomas & Mack Center」で行われた好カード。1Rからパワーを込めて打ち合う両者。しかしロメロは力んだ打ち方をするため、ジャブは良いがフックが当たらない。タピアが回転の速い連打でポイントを取る。ロメロの「ダイナマイト」が不発のまま12R終了。判定は3-0。ダウンシーンは無し。会場はそれなりに盛り上がっていたが、試合内容よりもタピアの人気によるものだったと思われる。)

ジョニー・タピア 12R 判定 ナナ・コナドゥ
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1998年)
タピア:左ジャブ、右ストレート、左フック
コナドゥ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
11R:左フックでタピアがダウン
(感想:タピアが二階級制覇。次のステージに向かうタピア。ガーナのコナドゥに挑戦。コナドゥは二階級制覇王者(短かったが、WBC世界J・バンタム級王者だったこともある)。「パンチはあるが、打たれ弱い」という評価がある男。アトランチックシティで行われた好カード。ジャブの打ち合い。タピアが左フックでボディを叩く。コナドゥはジャブは良いが大きなフックは空転。フットワークとジャブ・フックを使うタピアだが、11Rにダウン。しかし、これは足がもつれて倒れたのをカウントされてしまった不運なもの。12R、速射砲のような連打を見せるタピア。判定は2-0。コナドゥの攻めがイマイチだったため、試合自体はそれほど盛り上がらなかった印象(残念)。タピアは後にIBF世界フェザー級王座も獲得して三階級制覇。しかし若くして亡くなってしまった(2012年。45歳。死因は心不全)。見た目は明るい人物だったが、かなりつらい人生だったようだ。)

①「WBO World Super Flyweight Title
Johnny Tapia vs. Henry Martinez」
②「WBO・IBF World Super Flyweight Title
Johnny Tapia vs. Danny Romero」
③「WBA World Bantamweight Title
Nana Yaw Konadu vs. Johnny Tapia」

ダニー・ロメロ("Kid Dynamite" Danny Romero)のページ
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ナナ・コナドゥ(Nana Yaw Konadu)のページ
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ポーリー・アヤラ(Paulie Ayala)のページ

高橋ナオト(Takahashi Naoto)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

逆転KOの人気者、高橋ナオト。今里光男戦(初戦)、マーク堀越戦、ノリー・ジョッキージム戦(初戦)を紹介します。

高橋ナオト(Takahashi Naoto)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

高橋ナオト(日本)
身長168cm:オーソドックス(右構え)

高橋直人 5R KO 今里光男
(日本バンタム級タイトル戦、1987年)
高橋:左ジャブ、右ストレート、左右フック
今里:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
5R:右ストレート、左フックで2度、今里がダウン
(感想:高橋がタイトル獲得。東京都調布市出身の高橋。後に「高橋ナオト」のリングネームを使うが、本名は高橋直人。「アベボクシングジム」に所属し、「高校生プロボクサー」として17歳でプロデビュー。1985年度全日本バンタム級新人王獲得。1986年度KSD杯争奪A級ボクサー賞金トーナメント・バンタム級優勝。そしてこの初の日本王座戦。デビュー以来10連勝(6KO)の勢いで王座奪取なるか、といったところ。王者の今里は「トーア・ファイティング」所属(セコンドにファイティング原田)。一度は王座を失ったが、奪回。「攻撃のセンスはあるが、打たれ強くない」という評価も。ジャブで先手を取る高橋。3Rには右フックの連打で今里をダウン寸前に追い込む。5R、二度のダウン。今里は立ったがストップされた。高橋が打ち合いでも引かない気の強さとパワーを証明。今里は後手に回りすぎた。)

高橋ナオト 9R TKO マーク堀越
(日本J・フェザー級タイトル戦、1989年)
高橋:左ジャブ、右ストレート、左右フック
マーク:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:右ストレート、左フックで2度、マークがダウン
8R:左フックで高橋がダウン
9R:右フック、連打で2度、マークがダウン
(感想:高橋がタイトル獲得。小林智昭に判定負けして日本バンタム級王座を失った高橋。その再起戦で空位となった日本バンタム級王座を島袋忠と争い、KO負け。全勝だったが、この二連敗。階級を上げることに。マークはアメリカの軍人。パンチがあり、決定戦で獲得した王座をこれまで六度防衛。フットワークとジャブを使う高橋。マークはジャブを打ちながらジリジリと距離を詰めてフック攻撃。4Rのダウンで足に来たマーク。しかし、8Rには左フックで高橋がよろけるようにダウン。9R、マークが二度のダウン。立ったが足がフラついておりストップされた。日本タイトル戦史上に残る激戦。試合自体は全般的に高橋が手数と正確さで優勢だった。)

高橋ナオト 3R KO ノリー・ジョッキージム
(J・フェザー級戦、1989年)
高橋:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ノリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレートで高橋がダウン
3R:左フックで2度、ノリーがダウン
(感想:マーク戦の次の試合の相手はタイのノリー。タイのJ・フェザー級を獲得したことがある選手だが、直前の試合では元IBF世界J・フェザー級王者の李承勲にKO負けしている。いつものようにジャブを使う高橋。スラリとした体型のノリーは伸びるジャブ・ストレート。2R、右ストレートでグラついた高橋。さらに右ストレートでダウンし、出血も激しい。3R、左フックでグラついたノリーにラッシュしてダウンを奪う。ノリーは二度目のダウンから立てなかった。高橋が逆転勝ち。ボクサーの凄いところは打たれてダメージがあるにもかかわらず自分のパンチで相手がグラつくと体の底からパワーが沸いてきたかのような反撃をするところ。ノリーは意外に良い選手で、再戦で高橋に勝ち、ルイス・メンドサのWBA世界J・フェザー級タイトルに挑戦(敗北)。その後、高橋は韓国の朴鍾弼にKO負け。一度も世界挑戦することなく引退(彼に勝った小林智昭とノリーは世界挑戦。チャンスを奪われてしまった形)。引退後はジムを経営したり、著書を出版したり。「逆転の貴公子」とも呼ばれたが、「逆転する」ということは「先に打たれる、ダウンする」ということ。ボクサーとしてはあまり誉められた表現ではないが、世界王者並みの知名度と人気があった。)

①「Japanese Bantamweight Title
Imazato Mitsuo vs. Takahashi Naoto」
②「Japanese Super Bantamweight Title
Mark Horikoshi vs. Takahashi Naoto」
③「Super Bantamweight
Takahashi Naoto vs. Noree Jockygym」

浜田剛史(Hamada Tsuyoshi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

沖縄の剛腕、浜田。クロード・ノエル戦、友成光戦、レネ・アルレドンド戦(初戦)を紹介します。

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浜田剛史(日本)
身長170cm:サウスポー

浜田剛史 4R KO クロード・ノエル
(ライト級戦、1984年)
浜田:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ノエル:左ジャブ、右ストレート、右フック
(ダウンシーン)
4R:左ストレート、左フックで2度、ノエルがダウン
(感想:沖縄県出身の浜田。本名は浜田剛。子供の頃からボクシング好き。アマチュアで活躍。「帝拳ジム」に入門し、プロデビュー。三戦目で初黒星。連続KO勝ちだったが、コブシの骨折でブランク。復帰後も強打を振るい、このノエル戦。ノエルはトリニダード・トバコの黒人選手で、元WBA世界ライト級チャンピオン。フットワークとジャブのノエル。浜田は左ストレートを狙う。4R、踏み込みの速い左ストレートでノエルがダウン。さらにダウンを追加。立ったが、背を向けたままカウントアウト。浜田が豪快なKO勝利。最初のダウンを奪った左ストレートの凄まじさ。後に世界を沸かすマニー・パッキャオのような迫力があった。)

浜田剛史 7R KO 友成光
(日本ライト級タイトル戦、1984年)
浜田:右ジャブ、左ストレート、左右フック
友成:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:左ボディフックで友成がダウン
7R:左フック、左ストレートで2度、友成がダウン
(感想:浜田がタイトル獲得。ノエル戦の次の試合は友成の持つ日本ライト級王座への挑戦。浜田にとってはプロでの初のタイトル戦となる。友成はベテラン。サムエル・セラノ(プエルトリコ)のWBA世界J・ライト級王座への挑戦はTKO負けに終わったが、日本J・ライト級王座、日本ライト級王座を獲得。日本ライト級王座は浜田と同じジムの尾崎富士雄(後、WBA世界ウェルター級王座に二度挑戦)から奪っており、浜田としては様々な理由で勝たねばならない試合。攻める浜田。友成は右でカウンターを狙う。5R、7Rに友成がダウンして終了。パワー・勢いの差で決着。打たれる友成が気の毒に思えたほど、浜田の強打は凄まじかった。)

浜田剛史 1R KO レネ・アルレドンド
(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1986年)
浜田:右ジャブ、左ストレート、左右フック
アルレドンド:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:連打でアルレドンドがダウン
(感想:浜田がタイトル獲得。東洋太平洋ライト級王座を獲得した浜田。王座を返上し、初の世界王座戦。王者のアルレドンドはメキシカン。長いパンチを得意とする選手で、ロニー・スミスにTKO勝ちし、王座獲得。これが初防衛戦となる。両国国技館で行われた試合。いきなりラッシュをかける浜田。接近して連打(アルレドンドは長いリーチを器用に使うタイプであるため、距離が開くとアルレドンドが有利になると考えたのであろう)。浜田の勢いを止められないアルレドンド。1R終了間際、右フックが効いたアルレドンドに浜田が一気に連打。豪快なKO劇。ボクシングが恐ろしいのは「容赦無しにパンチが打ち込まれる」ところ。死んだのではないかと思われたほど酷いダウンを食ったアルレドンド。ダメージが心配されたが、再起して浜田からタイトルを奪回。しかし、初防衛戦でロジャー・メイウェザーにKO負け。もし浜田がアルレドンドとの再戦に勝利してメイウェザーと戦っていたらどんな結果になっていただろう? マニー・パッキャオと浜田は攻め方がよく似ている。浜田は拳が完璧だったら、パッキャオ級の活躍をしていたに違いない。)

①「Lightweight
Hamada Tsuyoshi vs. Claude Noel」
②「Japanese Lightweight Title
Tomonari Hikaru vs. Hamada Tsuyoshi」
③「WBC World Super Lightweight Title
Rene Arredondo vs. Hamada Tsuyoshi」

レネ・アルレドンド(Rene Arredondo)のページ

2020年7月17日金曜日

吉野弘幸(Yoshino Hiroyuki)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウェルター級のハードパンチャー、吉野。坂本孝雄戦、三浦忠文戦、佐藤仁徳戦を紹介します。

吉野弘幸(Yoshino Hiroyuki)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

吉野弘幸(日本)
身長177cm:オーソドックス(右構え)

吉野弘幸 4R KO 坂本孝雄
(日本ウェルター級タイトル戦、1988年)
吉野:左ジャブと左右フック
坂本:左ジャブと左フック
(ダウンシーン)
3R:左フックで坂本がダウン
4R:左フックで2度、坂本がダウン
(感想:吉野がタイトル獲得。東京都葛飾区出身の吉野。オーソドックススタイルであるが、元々は左ききだという。中学校を卒業後、運送会社やラーメン店に勤務(ラーメン店での出前の仕事で腕力がついたらしい)。ミドル級でプロデビュー。何と1RでKO負け。連敗し、ウェルター級へ転向。その後も引き分けや敗北、勝っても判定だったり。そしてこのタイトル初挑戦。王者の坂本は決定戦で王座を獲得した選手。決定戦、二度の防衛戦は全てKO勝ち。東京ドームで行われた「マイク・タイソン vs. トニー・タッブス」の前座カード。ハードパンチャー同士の対戦。ジャブの打ち合い。得意のフックで仕掛けていく吉野。3R、坂本の左フックで吉野がグラつく。しかし終了間際に左フックで坂本がダウン。4R、三度目のダウンで試合終了。豪快なKO。坂本はやや消極的だった。その後、坂本は数年のブランク。復帰したが、王座戦をすることはなかった。)

吉野弘幸 2R KO 三浦忠文
(日本ウェルター級タイトル戦、1988年)
吉野:左ジャブと左フック
三浦:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
2R:左アッパーで2度、三浦がダウン
(感想:吉野がタイトル防衛。日本王座の初防衛戦を上山仁と行った吉野。初戦では引き分けた上山をKOして防衛。二度目の防衛戦は1RでKO勝ち。すっかり強打に目覚めた吉野が三浦と三度目の防衛戦。三浦は日本5位。ヒゲを生やし、強そうな見た目。低い姿勢からフック攻撃の三浦。2R、ボディ攻撃からの左アッパーで三浦がダウン。二回目のダウンも強烈なもの。セコンドからタオルが投げ込まれた。吉野が快勝。定評のあるパワーに加え、この試合では王者らしい冷静さも見せた。)

吉野弘幸 4R TKO 佐藤仁徳
(日本ウェルター級タイトル戦、1992年)
吉野:左ジャブ、左ストレート、左フック
佐藤:右ジャブ、左ストレート、右フック
(ダウンシーン)
4R:連打で佐藤がスタンディングダウン
(感想:吉野がタイトル防衛。11度目の防衛戦。しかし、直前の試合では日本J・ミドル級王者の上山仁と「日本王者対決(ノンタイトル戦)」を行い、KO負け。挑戦者の佐藤はこれまで11戦全勝(11KO)の強打者。吉野としてはKO負けの再起戦で戦うには厳しい相手。いつものように左フックを中心に連打する吉野。サウスポーの佐藤はハードパンチャーだが動きが固い。4R、左フックでグラついた佐藤が連打されてダウン。さらに連打でレフェリーストップ。佐藤はこれまで全KO勝ちだったが、映像ではそんなにパワーがあるようには見えなかった。リズミカルにジャブを多く使えばもっと良い試合ができたのではないか。後、吉野はファン・マルチン・コッジ(アルゼンチン)の持つWBA世界J・ウェルター級タイトルに挑戦したがKO負けし、結局、世界王者にはなれなかった。しかし軽量級が中心の日本ボクシングでウェルター級を盛り上げた吉野は当時、存在感があった。未だに日本から世界ウェルター級チャンピオンが出ていない。「吉野より強くないと世界ウェルター級王座獲得は無理」という「吉野」という基準が個人的にはあるが、そういう選手が日本から誕生する日が来るだろうか?)

①「Japanese Welterweight Title
Sakamoto Takao vs. Yoshino Hiroyuki」
②「Japanese Welterweight Title
Yoshino Hiroyuki vs. Miura Tadafumi」
③「Japanese Welterweight Title
Yoshino Hiroyuki vs. Sato Jintoku」

ファン・マルチン・コッジ(Juan Martin Coggi)のページ

チャールズ・ブルーワー(Charles Brewer)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

長いリーチのIBF世界S・ミドル級王者。フランク・ローデス戦、ゲーリー・バラード戦、ヘロール・グラハム戦を紹介します。

チャールズ・ブルーワー(Charles Brewer)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

チャールズ・ブルーワー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

チャールズ・ブルーワー 12R 判定 フランク・ローデス
(全米S・ミドル級タイトル戦、1996年)
ブルーワー:左ジャブ、右ストレート、左フック
ローデス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:ブルーワーがタイトル獲得。フィラデルフィア出身のブルーワー。ニックネームは「The Hatchet(斧)」。アマチュアを少し経験してプロへ。連敗したこともあったが、この王座戦のチャンスを得た。王者のローデスはこれが初防衛戦。フィラデルフィアでの試合。リーチが198cmもあるブルーワー。遠い距離からでもボディ打ちができるほどの長さ。しかし試合は接近戦。1Rから打ち合い。ジャブ・ストレート・左ボディフックを正確に当てて、ブルーワーが3-0の判定勝ち。ダウンシーンは無し。ブルーワーはなぜか接近戦。せっかくの長いリーチが生かされないシーンも。もう少し距離を取って戦えばよかったのでは?)

チャールズ・ブルーワー 5R TKO ゲーリー・バラード
(IBF世界S・ミドル級王座決定戦、1997年)
ブルーワー:左ジャブ、右ストレート、左フック
バラード:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでバラードがダウン
5R:左フック、連打で2度、バラードがダウン
(感想:ブルーワーがタイトル獲得。ロイ・ジョーンズ・ジュニアがIBF世界S・ミドル級王座を返上。空位になった王座の決定戦に世界1位のブルーワー、2位のバラードが出場。バラードは南アフリカの白人選手(後にWBC世界S・ミドル級王座を獲得するスラニ・マリンガに判定負けしたことも)。ローカル王座を獲得するなど、ここのところ連勝中。しかしながら大きな実力差が。動きが固いバラードは1Rにダウン。3Rには左フックでブルーワーをグラつかせたが、5Rにダウン。立ったが出血もあり、ストップされた。スピード、パンチのキレ・パワー・伸びでブルーワーの勝利。S・ミドル級に限ったことではないが、世界王者になるような器ではない選手が世界戦に出てくると、「良い選手がいないのかな?」と思ってしまう。ましてや軽量級や不人気なクラスがそういう状態だとそのタイトルの存在意義が無いような気がしてくる。)

チャールズ・ブルーワー 10R TKO ヘロール・グラハム
(IBF世界S・ミドル級タイトル戦、1998年)
ブルーワー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
グラハム:右ジャブと左ストレート
(ダウンシーン)
3R:左フック、左ストレートで2度、ブルーワーがダウン
(感想:ブルーワーがタイトル防衛。アトランチックシティで行われた二度目の防衛戦。グラハムはマイク・マッカラム、ジュリアン・ジャクソンと世界ミドル級タイトル戦をやったことがある英国のベテラン選手。世界レベルのスピードの持ち主ではあるが、パワー不足のため、未だに世界を獲得できていない。足を使いながら左ストレートを狙うグラハムをジャブ・ストレートで追うブルーワー。3Rの最初のダウンは腕を引っかけたようなパンチで大したことはなさそう。しかし、二度目のダウンはキレイな左ストレートによるもの。ブルーワーは挽回しようと攻めるが、左ストレートをカウンターされる。ちょこまか動くグラハムを捉えられないブルーワーはサウスポーが苦手の様子。10R、ロープ際にグラハムを追い込んでラッシュ。レフェリーストップ。手こずっているのかと思ったら一気に連打して終わってしまった(その気になればいつでもKOできたってこと?)。グラハムはこれで引退。一度も世界王者になれなかった。その後のブルーワー。スベン・オットケ(ドイツ)に判定負けし王座陥落(王者になったオットケは防衛を続け、結局、負けることなく王者のまま全勝で引退)。再戦でも判定負け。その後もチャンスには恵まれたが世界王座復帰ならず。リーチ198cmのハイスペックの割には王者としてそれほど活躍できなかった印象。もっと活躍できたはずの選手である。)

USBA
全米ボクシング協会。WBAの傘下で発足。IBFの母体。

NABF
北米ボクシング連盟。WBC 傘下の北米地区の地域王座認定団体。

①「USBA Super Middleweight Title
Frank Rhodes vs. Charles Brewer」
②「IBF World Super Middleweight Title
Charles Brewer vs. Gary Ballard」
③「IBF World Super Middleweight Title
Charles Brewer vs. Herol Graham」

ヘロール・グラハム(Herol Graham)のページ

ママドゥ・チャム(Mamadou Thiam)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フランスのハードパンチャー、チャム。バレンティノ・マンカ戦、フェリックス・トリニダード戦、マイケル・ラスク戦を紹介します。

ママドゥ・チャム(Mamadou Thiam)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ママドゥ・チャム(フランス)
身長175cm:オーソドックス(右構え)

ママドゥ・チャム 6R KO バレンティノ・マンカ
(EBU S・ウェルター級タイトル戦、1999年)
チャム:左ジャブ、右ストレート、左右フック
マンカ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:連打でマンカがスタンディングダウン
6R:右ストレートでマンカがダウン
(感想:チャムがタイトル防衛。セネガル生まれのチャム。フランス国籍でリングに上がる。デビュー以来、連戦連勝(負けはキャリア初期の一つのみ)。フランス王座、欧州王座(いずれもS・ウェルター級)を獲得。マンカはイタリアの選手。勝ったり負けたりだが、イタリア王座(S・ウェルター、ミドル)を獲得してきた。パリで行われた試合。アイラン・バークレーっぽい構えと打ち方のチャム。伸びるジャブとストレートを打つ。マンカはジャブ、ストレート、ワンツーを使うがパンチが少し軽い印象。5R、6Rにダウンを奪ってチャムの勝利。 チャムは右ストレートと連打が力強かった。次の試合はフェリックス・トリニダードの持つWBA世界S・ウェルター級タイトルへの挑戦。)
(注)EBU王座は欧州の地域タイトル。

フェリックス・トリニダード 3R TKO ママドゥ・チャム
(WBA世界S・ウェルター級タイトル戦、2000年)
チャム:左ジャブ、右ストレート、左右フック
トリニダード:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:トリニダードがタイトル防衛。チャムの世界初挑戦。王者トリニダードは説明不要の選手。プエルトリコ出身。しなやかでパワフルなパンチで世界ウェルター級王者になり、ヘクター・カマチョ、パーネル・ウィテカー、オスカー・デラ・ホーヤを撃破。階級を上げてWBA世界S・ウェルター級王座獲得、二階級制覇。未だ全勝。チャム戦は初防衛戦。マイアミで行われた試合。ジャブが速いトリニダード。1Rに左アッパーでチャムをグラつかせる。チャムの右目があっという間に腫れ上がり、3Rにチャムが自ら棄権。ダウンシーンは無し。「フランスのバークレー」があっさり負けてしまった。動きとパンチにキレがあったトリニダード。実力者を撃退。「世界は広い」ということか。)

ママドゥ・チャム 9R TKO マイケル・ラスク
(WBAインターコンティネンタル S・ウェルター級タイトル、EBU S・ウェルター級タイトル戦、2001年)
チャム:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ラスク:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:チャムがタイトル獲得。EBU王者のチャムがパリでWBAのインター王座を狙う。ラスクはデンマークの選手。世界王座戦では敗れてしまったが、それ以外は全勝。WBAのインター王座を決定戦で獲得し、防衛を続けてきた。1Rから打ち合い。手数が多いラスク。しかしチャムはディフェンスし、伸びのあるストレートとパワフルなフック。ラスクは打たれてもひるまないほどタフだったが、9R、ボディが効いてしまい、相手に背を向けてレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。ラスクは良い選手だったが、上手くディフェンスされてしまった。後、チャムはWBA世界S・ウェルター級暫定王座に挑んだが敗北。結局、世界王者になれなかった。層の厚い階級では実力者でもそういう結果になるのはよくあることだが、世界王座を獲れなかったのはやはり残念。)

①「EBU European Super Welterweight Title
Mamadou Thiam vs. Valentino Manca」
②「WBA World Super Welterweight Title
Felix Trinidad vs. Mamadou Thiam」
③「WBA Inter-Continental Super Welterweight Title
EBU European Super Welterweight Title
Mamadou Thiam vs. Michael Rask」

フェリックス・トリニダード(Félix Trinidad)のページ

トロイ・ドーシー(Troy Dorsey)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フェザー級のアゴ砕きパンチ、ドーシー。ベルナルド・ピニャンゴ戦、ホルヘ・パエス戦(再戦)、アルフレド・ランヘル戦を紹介します。

トロイ・ドーシー(Troy Dorsey)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

トロイ・ドーシー(アメリカ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)

トロイ・ドーシー 8R TKO ベルナルド・ピニャンゴ
(フェザー級戦、1990年)
ドーシー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ピニャンゴ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでピニャンゴがダウン
8R:右ストレートで2度、ピニャンゴがダウン
(感想:テキサス州マンスフィールド出身の白人ドーシー。その強打からニックネームは「The Destroyer(壊し屋)」。元WBA王者スティーブ・クルスと同門(クルスがマクギガンに勝った時、その勝利を喜ぶ姿が映像で残っている)。10歳で空手とテコンドーを習う。キックボクサーとして世界王者に。プロボクシングに転向するが、再びキックの試合に出場したり、ボクシングでは負けたり引き分けたり、と不安定な状態。その後はコツをつかんだか連勝し、ホルヘ・パエスのIBF世界フェザー級タイトルに挑戦。攻めまくったが、パンチの正確さで敗北。このピニャンゴ戦はパエスに負けた再起戦。ピニャンゴ(ベネズエラ・カラカス出身)は二階級制覇王者。テクニックで勝負するタイプ。ラスベガス「Hilton Hotel」での一戦。典型的なファイタータイプのドーシーが攻めて、ボクサータイプのピニャンゴが距離を取ろうとする展開。2R、右ストレートでピニャンゴがダウン。パンチにキレがないピニャンゴ。8Rのダウンはいずれも痛烈なもの。立ったがレフェリーストップ。ドーシーがパワーで勝利。ピニャンゴはこれで引退となったが、ベストウェイトはバンタム級。この敗北は彼の真の実力を表すものではない。)

ホルヘ・パエス 12R 引分 トロイ・ドーシー
(IBF・WBO世界フェザー級タイトル戦、1990年)
ドーシー:左右フック
パエス:左右フック
(感想:パエスがタイトル防衛。個性派の王者パエス(メキシコ)。ショーマンシップにあふれる男で、あのマービン・ハグラーが「パエスの試合が観たい」と試合のチケットを手に入れようとしたことがあるほど。ドーシーとの初戦後、ルイ・エスピノサを破ってWBO王座も獲得。「統一王者」として初防衛戦。ラスベガス「Hilton Hotel」での注目の再戦。前回と同じように超接近戦で攻めるドーシー。パエスをロープ際に押し込んでフック攻撃。パエスは回転の速い連打で応戦しながら腕をぐるぐる回してパンチを打ったり、おどけた動きをしたり。最終ラウンド終了時には「自分が勝った」という感じで両手を上げて勝利をアピールするドーシー。判定は引分(ダウンシーンは無し)。キズと出血に苦しみながらもドーシーはよく前に出たが、パンチの正確さとディフェンスでまたしてもパエスが上回った。ただ、パエスはこれが世界王者としてリングに上がった最後の試合に。階級を上げたが、実力者にパワーで通用せず。オスカー・デラ・ホーヤには2RでKOされてしまった。)

トロイ・ドーシー 1R KO アルフレド・ランヘル
(IBF世界フェザー級王座決定戦、1991年)
ドーシー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ランヘル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでランヘルがダウン
(感想:ドーシーがタイトル獲得。パエスが返上した王座の決定戦に出場することになったドーシー。相手のランヘルは戦績は悪くはないが、ハーリー・スニード、ヘスス・サルード、スティーブ・クルス、ルイ・エスピノサといった実力者に敗北している。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。1R、いきなり突進するドーシー。距離を取ろうとするランヘル。強打で後退したランヘルに右ストレート一撃、KO。ランヘルがジャブで距離を取ろうとしたため、ドーシーにとって丁度いい距離となり、強打を生かすことができた(「ボクシングマガジン1991年8月号」によるとランヘルはアゴを骨折して病院へ直行したらしい)。ワンパンチKOで大喜びのドーシー。一方、ランヘルはこの後、ブランク。カムバックしたが一年に一度のリング活動で、サッパリだった。)

トロイ・ドーシー 4R TKO ファン・バレンズエラ
(J・ライト級戦、1992年)
ドーシー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
バレンズエラ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:連打でバレンズエラがダウン
(感想:ランヘルに衝撃的なKO勝利で世界王者になったドーシー。初防衛戦の相手はマヌエル・メディナ。早々にダウンを奪って圧勝する雰囲気の中、細かいジャブなどでポイントを挽回されて判定負け、王座陥落(メディナは以降、しぶとくフェザー級で何度も世界王座獲得)。再起戦の相手はケビン・ケリーで判定負け。バレンズエラと再び再起戦。これまで12勝(10KO)5敗4分(戦績はマズいが実力者と対戦してきた)。バレンズエラはメキシカンだが、よくわからない選手。TVテロップには「28勝(21KO)7敗」とあるが。テキサス州フォートワースでの一戦(会場ではドーシーの妻と幼い娘(カワイイ)が観戦)。共に素早い動き。フットワーク&ジャブのバレンズエラ。ドーシーはいつも変わらない。距離を詰めてストレート、フック。激しく攻めるが、ディフェンスもそれなりにしっかり。バレンズエラはストレート、フックで応戦。打ち合いが続く。2R終了後も打ち合い、レフェリーにバレンズエラの右フックがヒット。その後もストレート、フック、ボディ打ちで打撃戦。ディフェンス・突進力でドーシー優勢。4R、連打でバレンズエラがうつぶせにダウン。その姿を見てレフェリーは直ちに試合を止めた。ドーシーが快勝。いつものパターンが通用する相手には強い。バレンズエラもよく頑張ったが、ディフェンスで負けた印象。その後のドーシー。厳しいキャリア。ジェシー・ジェームズ・レイハ、カルビン・グローブ、オスカー・デラ・ホーヤ、エド・ホプソンに連敗。ジンミ・ブレダルを破ってIBOジュニアライト級王座獲得。しかし、最後はヘスス・チャベス、ガブリエル・ルエラスに連敗で引退。パワーだけなら誰にも負けていなかったが、ようやく獲得した世界王座を一度も防衛できなかったうえにメジャー団体の世界王座に返り咲きならず。ボクシングとキックボクシングは別物。パンチだけで相手をコントロールし、自分に有利な距離を作らなければならない。それができないラフさがあった。ただ、実力者を選んで試合し続けたのは立派だ。)

①「Featherweight
Troy Dorsey vs. Bernardo Pinango」
②「IBF・WBO World Featherweight Title
Jorge Paez vs. Troy Dorsey」
③「IBF World Featherweight Title
Troy Dorsey vs. Alfred Rangel」
④「Junior Lightweight 
Troy Dorsey vs. Juan Valenzuela」

ベルナルド・ピニャンゴ(Bernardo Pinango)のページ
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ホルヘ・パエス(Jorge "El Maromero" Páez)のページ
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マヌエル・メディナ(Manuel Medina)のページ

2020年7月15日水曜日

アムナット・ルエンロン(Amnat Ruenroeng)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

井岡一翔を破った男、アムナット。井岡一翔戦、マックウィリアムズ・アローヨ戦、ゾウ・シミン(鄒市明)戦を紹介します。

アムナット・ルエンロン(Amnat Ruenroeng)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

アムナット・ルエンロン(タイ)
身長164cm:オーソドックス(右構え)

アムナット・ルエンロン 12R 判定 井岡一翔
(IBF世界フライ級タイトル戦、2014年)
アムナット:左ジャブ、右ストレート、左フック
井岡:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:アムナットがタイトル防衛。「ワケあり」な出生だったアムナット。捨て子で、長い間「タイ人」と国から認められなかった。ムエタイで活躍したが犯罪で刑務所へ。アマボクシングを始め、早期釈放。北京オリンピック(2008年)にはライトフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。32歳でプロデビュー。王座決定戦でIBF世界フライ級タイトルを獲得し、これまで全勝。これが初防衛戦となる。三階級制覇を狙う井岡もまた全勝。アマチュア時代にアムナットに敗れたことがあり、プロで雪辱したいところ。大阪で行われた一戦。井岡が速いジャブとキレのある左フック。アムナットはよく伸びるジャブ・ストレート。しかし、中盤以降は失速し、長いパンチとクリンチでスタミナ不足をカバー。判定は2-1。ダウンシーンは無し。井岡は積極的に前に出たが、決定的なパンチは少なかった。ゴマかすような試合運びでなんとか勝ったアムナット。序盤はキレのあるジャブを打ち、「マーク・ブリーランドみたいな素晴らしい選手だ」と思ったら、勢いがあったのは前半だけ。少し残念。)

アムナット・ルエンロン 12R 判定 マックウィリアムズ・アローヨ
(IBF世界フライ級タイトル戦、2014年)
アムナット:左ジャブ、右ストレート、左右フック
アローヨ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
6R:左フックでアムナットがダウン
(感想:アムナットがタイトル防衛。二度目の防衛戦。相手のアローヨはプエルトリカン。WBC、WBOの地域王座を獲得するなど、ここのところ連勝中。ジャブを使い、打つときはまとめて連打するアムナット。攻めが雑なアローヨは前に出るが、相手のディフェンスとクリンチによりあまりヒットしない。10Rには相撲の押し倒しのような感じで倒れる両者。最終ラウンド終了間際にもつれあってヒザをつく。ダウンはあったが、2-1の判定でアムナット。アローヨの前に出る姿勢を評価したジャッジがいたということか。この二人は再戦する話もあったようだが実現しなかった(たぶん同じような内容になっていただろうからそれでよかったのでは?)。アローヨは後、ローマン・ゴンザレス、井岡一翔には敗れたが、WBC世界フライ級暫定王座を獲得した。)

アムナット・ルエンロン 12R 判定 ゾウ・シミン
(IBF世界フライ級タイトル戦、2015年)
アムナット:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ゾウ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:右フックでアムナットがダウン
(感想:アムナットがタイトル防衛。三度目の防衛戦は注目の好カード。挑戦者のゾウは中国の選手で、北京オリンピックとロンドンオリンピックで金メダルを獲った男(いずれもライトフライ級)。ボブ・アラムの「トップランク社」と契約し、プロ転向。WBOのインター王座(フライ級)を獲得、防衛し、これまで全勝。ただし、これがプロ七戦目。経験の少なさが気になるところ。マカオで行われた一戦。いつものようにジャブを使って距離を取るアムナット。伸びのあるジャブと正確なパンチで判定は3-0。試合自体はもう一つ。アムナットが倒しに行くタイプの選手ではないのはわかっていたが、ジャブを出す程度で、3Rにゾウを投げ飛ばすなどパンチの交換以外の部分が目立った。選手のことを悪く評価したくはないが、ゾウ・シミンには興味を持っていただけに少し期待外れ。ゾウはジャブは悪くはなかったが、ガチャガチャ攻めてバランスが悪く、手数も少なく、顔を突き出して相手を挑発。プロボクシングなのだから強いパンチを多く当てることにもっと集中すべきだ(後、WBO世界フライ級タイトルを獲得したが、期待されたほど活躍できず)。その後、アムナットはジョンリル・カシメロに敗北し、六度目の防衛に失敗。何と、その後、再びアマチュアに戻ってリオ・オリンピックに出場(またしてもメダル獲得ならず)。ムエタイに復帰。プロボクシングにも復帰。IBF王座陥落後は目立った活躍は無いが、リングに上がり続けている。戦うのが好きなのだろう。)

①「IBF World Flyweight Title
Amnat Ruenroeng vs. Ioka Kazuto」
②「IBF World Flyweight Title
Amnat Ruenroeng vs. McWilliams Arroyo」
③「IBF World Flyweight Title
Amnat Ruenroeng vs. Shiming Zou」

オスカー・ラリオス(Oscar Larios)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

二階級制覇のハードパンチャー、ラリオス。イスラエル・バスケス戦(初戦)、福島学戦、ウィリー・ホーリン戦(再戦)を紹介します。

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オスカー・ラリオス(メキシコ)
身長169cm:オーソドックス(右構え)

イスラエル・バスケス 1R KO オスカー・ラリオス
(S・バンタム級戦、1997年)
ラリオス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
バスケス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:左ジャブ、右ストレートで2度、ラリオスがダウン
(感想:オスカー・デラ・ホーヤのプロモートで17歳でプロデビューしたラリオス。これまで19戦全勝(16KO)。バスケスも活きのいい若手(後に世界王者に)。メキシコシティで行われたメキシコ人同士の一戦。両者、4回戦の試合のように1Rから打ち合う。ラリオスが二度ダウンして、なんと1RでKO負け。フィニッシュの右ストレートはかなり強烈なもの。倒れたときに頭も打っており、ダメージが深そうなKOだった。強打者でアグレッシブな選手同士の試合ではこういう結果は珍しくはないが、後の両者の活躍ぶりを知っているだけに改めてこの試合を見ると、なかなかの衝撃があった。両者は後に世界王座を賭けて再び戦う。)

オスカー・ラリオス 8R TKO 福島学
(WBC世界S・バンタム級暫定王座戦、2002年)
ラリオス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
福島:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:連打で福島がダウン
(感想:ラリオスがタイトル防衛。バスケス戦後、WBCの地域王座、メキシコ王座(いずれもS・バンタム級)を獲得したラリオス。しかし、ウィリー・ホーリンのWBC世界スーパーバンタム級王座への挑戦は判定負け。その後、連勝。WBC世界S・バンタム級暫定王座決定戦でバスケスに雪辱。初防衛戦を日本で行うことに。挑戦者の福島は元・日本スーパーバンタム級王者。瀬川設男に判定負けして王座を失ったが、このチャンスを得た。1R、右ストレートが効いた福島にラリオスが連打してダウンを奪う。その後も右ストレート・左フックをパワフルかつリズミカルに飛ばすラリオス。8R、ガンガン強打される福島を見てレフェリーは試合を止めた。コブシのパワー・頑丈さでラリオスの圧勝。階級が違うと思ったほどパワーに差があった。後、福島は決定戦で東洋太平洋スーパーバンタム級王座を獲得したが、世界王座には手が届かなかった。)

オスカー・ラリオス 1R TKO ウィリー・ホーリン
(WBC世界S・バンタム級統一戦、2002年)
ラリオス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ホーリン:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
1R:右フックでホーリンがダウン
(感想:ラリオスがタイトル統一。因縁の再戦。1R、右フックでホーリンがダウン。連打でストップ。暫定王者ラリオスが正規王者ホーリンに再戦で雪辱。無敗のホーリンだったが、何もできなかった。ラリオスの頑丈なコブシは驚異的。ボクサーになるために生まれてきたような男。その後も仲里繁、ウェイン・マッカラーらを相手に防衛を重ねたが、またしてもイスラエル・バスケスが。バスケスに王座を奪われ、その次の試合ではマニー・パッキャオに判定負け。その後、決定戦でホルヘ・リナレスとWBC世界フェザー級暫定王座を争ったが敗北。再び決定戦に出場し、WBC世界フェザー級暫定王座獲得、正規王者に昇格。三度目の防衛戦で粟生隆寛に敗北。それが最後の試合となった。引退後はトレーナーに転身。娘もプロボクサーになった。)

①「Super Bantamweight
Oscar Larios vs. Israel Vazquez」
②「interim WBC World Super Bantamweight Title
Oscar Larios vs. Fukushima Manabu」
③「WBC World Super Bantamweight Title
Willie Jorrin vs. Oscar Larios」

イスラエル・バスケス(Israel Vázquez)のページ

ファン・マヌエル・マルケス(Juan Manuel Márquez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

四階級制覇のハードパンチャー、マルケス。マヌエル・メディナ戦、ファン・ディアス戦(初戦)、マニー・パッキャオ戦(四戦目)を紹介します。

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ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

ファン・マヌエル・マルケス 7R TKO マヌエル・メディナ
(IBF世界フェザー級王座決定戦、2003年)
マルケス:左ジャブ、右ストレート、左フック
メディナ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:連打でメディナがダウン
7R:連打でメディナがダウン
(感想:マルケスがタイトル獲得。メキシコシティに生まれたマルケス(弟ラファエルも。後、世界王者に)。ギャングがのさばる治安の悪い地区で育ったが、悪の道に染まることはなかった。8歳でボクシングで始める。アマチュアを経てプロへ。1993年、19歳でのデビュー戦は反則負け。その後は連勝。NABOフェザー級王座を獲得し、防衛を続けたがWBO王者ナジーム・ハメドは彼の挑戦を受けず。WBA世界フェザー級王者フレディ・ノーウッドに挑戦したが、判定負けで王座獲得ならず。そしてこの2003年の二度目の世界挑戦。「Dinamita(ディナミータ:スペイン語。「ダイナマイト」の意)」と呼ばれるパンチで世界獲得なるか、といったところ。メディナは大ベテラン。パンチは無いが、フェザー級でしぶとく生き残ってきた選手で、IBF王座はかつて保持していたもの。王座奪回なるか、という試合。ラスベガスでの一戦。カルロス・サラテやリカルド・ロペスのようにガードを高く上げてジャブ・ストレートを打つマルケス。メディナはフットワークを使ってジャブを連打。2R、メディナが前に出たところを連打でカウンターしてマルケスがダウンを奪う。7Rのダウンの後ドクターチェックでTKO。目の腫れが原因と思われる。しぶといメディナをテクニックとパワーで制圧したマルケス。ようやく世界王座に就くことができた。)

ファン・マヌエル・マルケス 9R KO ファン・ディアス
(WBA・WBO世界ライト級王座決定戦、2009年)
マルケス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ディアス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
9R:連打、右アッパーで2度、ディアスがダウン
(感想:マルケスが三階級制覇。WBA王座も獲得して世界フェザー級王座を統一したマルケスだが、王座剥奪。しかし、WBC世界スーパーフェザー級王者マルコ・アントニオ・バレラに判定勝ちし二冠王に。マニー・パッキャオに敗れ、その王座を失う。そしてこの「ワケあり」な試合。IBF・WBO世界ライト級王者のネート・キャンベルが王座を剥奪されて王座が空位に。ラッキーなことにマルケスはWBAとWBOの二つの王座を懸けた決定戦をディアスと行うことに。ディアスは「Baby Bull(ベビー・ブル:「ベビーフェイスのファイター」の意)」と呼ばれる元WBA・IBF・WBO世界ライト級王者。キャンベルに三つの王座を奪われてしまったが、マルケスに勝って王座を奪回したいところ。ヒューストンで行われた試合。かなりの激戦。1Rからアグレッシブに攻めるディアスにマルケスが応戦。一歩も引かない打撃戦に。勢いで押し気味だったディアスだが疲れと負傷・出血で動きが鈍る。9R、強烈なダウンで終了。マルケスはジャブを丁寧に使う端正なファイティングスタイルだが、打ち合いにも応じる度胸とパワーがあることを改めて証明。)

ファン・マヌエル・マルケス 6R KO マニー・パッキャオ
(ウェルター級戦、2012年)
マルケス:左ジャブ、右ストレート、左フック
パッキャオ:右ジャブ、左ストレート、右フック
(ダウンシーン)
3R:右フックでパッキャオがダウン
5R:左ストレートでマルケスがダウン
6R:右ストレートでパッキャオがダウン
(感想:マルケスが勝利。WBO世界スーパーライト級暫定王座を決定戦で獲得したマルケス。その後、正規王座に認定され、四階級制覇達成。そしてパッキャオとのラスベガス「MGM Grand」で行われた四度目の対戦。これまで引き分け、判定負け、判定負けで一度もパッキャオに勝っていないマルケス。何としても勝ちたいところ。サウスポーのパッキャオが得意の左ストレートで前に出るが、マルケスは器用にかわす。3R、やや振りの大きい右フックでパッキャオがダウン。5R、パッキャオのタイミングのいい左ストレートでマルケスがダウン。6R、パッキャオが前に出たところ、右ストレートがカウンターとなってダウン。前のめりに倒れたパッキャオは立てなかった。ヒゲを生やしたパッキャオはロベルト・デュランみたいな感じで、前のめりに倒れたシーンは「トーマス・ハーンズ vs. ロベルト・デュラン」を思い出させるものがあった。この試合、マルケスにはドーピング疑惑がある。しかしながらドーピングでパワーアップすることはできるかもしれないが、ディフェンスのテクニックまでアップするワケではない。マルケスはパッキャオの主武器である左ストレートをよくかわしていた。あのパッキャオもマルケスにとっては相性が良い選手だった、といったところ。この次の試合でマルケスはWBO世界ウェルター級王者ティモシー・ブラッドリーに敗れ、世界ウェルター級王座は獲得ならず。最終的な記録は世界四階級制覇。元々フェザー級だった選手がスーパーライト級を獲得し、ウェルターにも挑戦したのは大したもの。引退後は政党に入会したり、TVのボクシング番組でコメンテーターをしているとか。)

①「IBF World Featherweight Title
Juan Manuel Márquez vs. Manuel Medina」
②「WBA・WBO World Lightweight Title
Juan Manuel Márquez vs. Juan Diaz」
③「Welterweight
Juan Manuel Márquez vs. Manny Pacquiao」

マヌエル・メディナ(Manuel Medina)のページ

アーロン・デイヴィス(Aaron "Superman" Davis)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界ウェルター級王者。スーパーマン、デイヴィス。ルイス・サンタナ戦、マーク・ブリーランド戦、ホルヘ・マイソネット戦を紹介します。

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アーロン・デイヴィス(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

アーロン・デイヴィス 12R 判定 ルイス・サンタナ
(WBCアメリカ大陸ウェルター級王座決定戦、1989年)
デイヴィス:左ジャブ、右ストレート、左フック
サンタナ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:デイヴィスがタイトル獲得。ニューヨーク・ブロンクス出身のデイヴィス。父と兄もボクシングをやっていたという。ニックネームは「Superman」。誰とでも戦う気の強さと腕っぷしからそう呼ばれるようになったらしい。アマチュアで優秀な成績(タイトルも獲得)。プロ入り後は、これまで全勝。元々、左利きらしく、左のパンチが得意。サンタナは後にテリー・ノリスから反則勝ちでWBC世界J・ミドル級王座を獲得して有名になる男。パワーのあるジャブ、左フックを打つデイヴィス。サンタナはパンチにキレはないが、なかなかしぶとい。判定は3-0。ダウンシーンは無し。派手な赤いトランクスが結構カッコいいデイヴィス。左フックの連打に迫力があった。)

アーロン・デイヴィス 9R KO マーク・ブリーランド
(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1990年)
デイヴィス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ブリーランド:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:連打でブリーランドがダウン
9R:右フックでブリーランドがダウン
(感想:デイヴィスがタイトル獲得。全勝のまま、デイヴィスが世界初挑戦。王者ブリーランドは日本でも防衛戦をやったことで日本のファンにもその強さはおなじみ。一度はマーロン・スターリングに敗れて王座を失ったが、決定戦で王座奪回(ブリーランドは二度WBA世界ウェルター級王者になったが、いずれも決定戦で王座獲得)。スラリと背が高いブリーランドが鋭いジャブを飛ばす。懐に飛び込もうとするデイヴィス。1Rからデイヴィス得意のジャブ、左フックがヒットしてブリーランドがグラつく。3R、連打でブリーランドがダウン。しかしデイヴィスは目の腫れと出血がひどくなっていく。8R、ブリーランドが強烈な連打。9R終了寸前、右フックがカウンターとなってブリーランドがダウン、KO。デイヴィスが衝撃のKO勝利。ただ、勝ったがかなりの負傷。ブリーランドは序盤から足元がおぼつかない感じだった。1Rにジャブが効いて、最後までそれが影響したのだろう。結局、ブリーランドはこれが最後の世界戦となった。)

アーロン・デイヴィス 6R KO ホルヘ・マイソネット
(ウェルター級戦、1990年)
デイヴィス:左ジャブ、右ストレート、左フック
マイソネット:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:連打でデイヴィスがダウン
6R:連打、左アッパーで2度、マイソネットがダウン
(感想:WBA王者デイヴィスのノンタイトル戦。マイソネットはプエルトリカン。サイモン・ブラウンのIBF世界ウェルター級タイトルに挑戦してKO負けした後は負けが込んでいる。似たタイプの二人。マイソネットが積極的に連打。3R、連打でデイヴィスからダウンを奪う。しかしパワーで押し返すデイヴィス。6R、連打でスタンディングダウンを奪い、最後は左アッパーで逆転勝ち。世界王者にしては不安定な試合ぶりだったデイヴィス。動き、ジャブのキレがもう一つだったような印象。この後、デイヴィスはブリーランドから奪ったタイトルの初防衛戦をメルドリック・テーラーと行ったが、判定で王座陥落。後、フリオ・セサール・バスケスのWBA世界J・ミドル級王座に挑戦したが敗北。その後もリングに上がり続けたが世界王座返り咲きならず。「Superman」というほど活躍できなかったが、ブリーランドをKOしたシーンはファンは記憶し続けるだろう。)

①「WBC Continental Americas Welterweight Title
Aaron Davis vs. Luis Santana」
②「WBA World Welterweight Title
Mark Breland vs. Aaron Davis」
③「Welterweight
Aaron Davis vs. Jorge Maysonet」

マーク・ブリーランド(Mark Breland)のページ
--------------
メルドリック・テーラー(Meldrick Taylor)のページ
--------------
フリオ・セサール・バスケス(Julio Cesar Vasquez)のページ

2020年7月14日火曜日

クリス・ジョン(Chris John)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

インドネシア史上最高のボクサー、クリス・ジョン。オスカー・レオン戦、佐藤修戦、デリック・ゲイナー戦を紹介します。

クリス・ジョン(Chris John)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

クリス・ジョン(インドネシア)
身長169cm:オーソドックス(右構え)

クリス・ジョン 12R 判定 オスカー・レオン
(WBA世界フェザー級暫定王座決定戦、2003年)
ジョン:左ジャブ、右ストレート、左フック
レオン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
11R:左フックでレオンがダウン
(感想:ジョンがタイトル獲得。「The Dragon」「The Indonesian Thin Man」と呼ばれたジョン。インドネシアが生んだ三番目の王者だそうだ(エリー・ピカル、ニコ・トーマスに次ぐ)。アマチュアボクサーだった父の勧めでボクサーに(「散打」という格闘技の経験もあるとか)。プロではこれまで無敗。インドネシア王座、アジア王座を獲得してきた(いずれもフェザー級)。レオンはコロンビアの選手。直前の試合ではWBA世界フェザー級王座を懸けた試合でデリック・ゲイナーに2-1で敗れている。インドネシアで行われた暫定王座戦。サウスポーのレオンがジャブ・ストレート・連打を使い、器用にディフェンス。ジョンは10Rに右ストレートをヒットさせたり、11Rにダウンを奪ったりしたが、全般的には手数が少なかった印象。判定は2-1でジョン。映像ではレオンが勝ったように見えたが、リングサイドのジャッジにはジョンが優勢に見えたのだろう。なお、この試合の時点では正規王者はゲイナー。後にゲイナーは王座を奪われ、「格上げ」という形でジョンが正規王者に。ここから長いジョンの時代が始まった。)

クリス・ジョン 12R 判定 佐藤修
(WBA世界フェザー級タイトル戦、2004年)
ジョン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
佐藤:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ジョンが初防衛。佐藤は元WBA世界スーパーバンタム級王者。二冠王なるか、といったところ。有明コロシアムで行われた試合。手数は多いが一発のパワーに欠ける佐藤。ジョンはKOを狙うような攻めをせず、速いジャブ・ストレートでポイントを狙う。判定で3-0。ダウンシーンは無し。ジョンはジャブが正確だった。)

クリス・ジョン 12R 判定 デリック・ゲイナー
(WBA世界フェザー級タイトル戦、2005年)
ジョン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ゲイナー:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:左ストレートでジョンがダウン
(感想:ジョンがタイトル防衛。三度目の防衛戦の相手は元王者のゲイナー。暫定王者から格上げされて正規王者になったジョンとしてはゲイナーにキッチリ勝ちたいところ。ジャカルタで行われた試合。1R、サウスポーのゲイナーがいきなりダウンを奪う。その後、ゲイナーが突然転ぶハプニング。しかし、その後はジョンは力強いジャブ・ストレートを飛ばし、フックでボディ攻撃するなど積極的に手数を出す。ゲイナーはキレのあるフックを打つが、ロープを背負う場面が多い。判定は3-0でジョン。手数の多さが評価されたか。ゲイナーは勝てるだけのパンチを持っていたが、リスクを避けてポイントを狙う典型的なサウスポースタイル。強い相手にその戦法はいただけない。クリス・ジョンは結局このタイトルを10年に渡り、18度防衛。引退後は商売を始め、TVにも出演しているそうだ。)

①「interim WBA World Featherweight Title
Chris John vs. Oscar Leon」
②「WBA World Featherweight Title
Chris John vs. Sato Osamu」
③「WBA World Featherweight Title
Chris John vs. Derrick Gainer」

デリック・ゲイナー(Derrick Gainer)のページ

オリバー・マッコール(Oliver McCall)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ヘビー級のパワーファイター、マッコール。トニー・タッカー戦、レノックス・ルイス戦(初戦)、ラリー・ホームズ戦を紹介します。

オリバー・マッコール(Oliver McCall)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

オリバー・マッコール(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)

トニー・タッカー 12R 判定 オリバー・マッコール
(北米ヘビー級タイトル戦、1992年)
マッコール:左ジャブと左右フック
タッカー:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:タッカーがタイトル防衛。シカゴ出身のマッコール。その後、引っ越し。バスケットボールをやっていたが、シカゴに戻ってボクサーに。アマチュアではシカゴの大会で優勝したことも。1985年にプロ入り。ニックネームは「The Atomic Bull」(「原子の牛」? 意味がよくわからない)。タッカーは元IBF世界ヘビー級王者(マイク・タイソンとの試合でおなじみ。しかし、その後にブランクを作り、カムバック後はあまり動きが良くない)。ジャブの打ち合い。ジャブは良いが、それ以外は荒っぽいマッコール。パンチの正確さに欠け、攻めてもディフェンス・クリンチされてしまう。タッカーはスタミナ切れなのかクリンチ連発。最終ラウンド終了時には「自分が勝った」というアピールをするマッコール。判定は2-1でタッカー。ジャブが評価されたか。負けのコールに「信じられない」といった表情のマッコール。映像で見た感じでは「ダメなヘビー級の試合」のパターン。スタミナ切れでクリンチ、もみ合い。ダウンシーンも無し。観客は無表情。そんな両者。後にレノックス・ルイスに挑戦。)

オリバー・マッコール 2R TKO レノックス・ルイス
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1994年)
マッコール:左ジャブと左右フック
ルイス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:右フックでルイスがダウン
(感想:マッコールがタイトル獲得。分裂してしまった世界ヘビー級王座だが、トップだと言われているのはWBC王者のルイス(当時、WBA・IBF世界ヘビー級王者はマイケル・モーラー)。オリンピック金メダルからプロでは全勝で世界王者に。しかしながら、ルイスは(マッコールも)ぎこちない、あまり器用ではないタイプ。互いに一発を狙う。2R、右フックがカウンターとなってルイスがダウン。立ったが、足がフラついておりストップされた。ルイスがまさかの初黒星。出会い頭の事故のようなパンチ。ルイスには「無器用な動きの固さ」があるため、いつかは負けるとは思っていたが、倒すのはホリフィールドやボウだと予想していた。マッコールだったのが意外。)

オリバー・マッコール 12R 判定 ラリー・ホームズ
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1995年)
マッコール:左ジャブと左右フック
ホームズ:左ジャブと右ストレート
(感想:マッコールがタイトル防衛。マッコールの初防衛戦。相手はあのラリー・ホームズ(70年代後半にWBC王者になった選手)。ホームズがかつて自分の持っていたベルトに挑戦。ジャブ、ストレートのホームズ。マッコールはジャブと連打。ホームズは意外に力強い右ストレートを打つが、ロープを背にして相手に攻めさせる例の「省エネ作戦」で、休みながらカウンターを取る。しかもクセになっているのか、ロープを掴む反則を連発。グローブのテープが何度も剥がれる(年齢(46歳)の割りにはパワーのあるパンチを打っていただけに残念)。判定は3-0でマッコール。ダウンシーンは無し。マッコールはこの後、王座を失い、麻薬がらみのトラブルを起こしてしまう。実力はあったが、プライベートに問題があったのが残念。)

①「NABF Heavyweight Title
Tony Tucker vs. Oliver McCall」
②「WBC World Heavyweight Title
Lennox Lewis vs. Oliver McCall」
③「WBC World Heavyweight Title
Oliver McCall vs. Larry Holmes」

トニー・タッカー(Tony "TNT" Tucker)のページ
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レノックス・ルイス(Lennox Lewisのページ)
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ラリー・ホームズ("The Easton Assassin" Larry Holmes)のページ

ジョン・ジョン・モリナ(John John Molina)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

プエルトリコのファイター、モリナ。ファン・ラポルテ戦、トニー・ロペス戦(再戦)、ジャッキー・ガンガルーザ戦を紹介します。

ジョン・ジョン・モリナ(John John Molina)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジョン・ジョン・モリナ(プエルトリコ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

ジョン・ジョン・モリナ 12R 判定 ファン・ラポルテ
(WBO世界J・ライト級王座決定戦、1989年)
モリナ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ラポルテ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:モリナがタイトル獲得。プエルトリコのモリナ。10人兄弟で生活苦の一家出身。兄がアマチュア選手だったこともあり、リングへ。アマで好成績(タイトルも獲得)。「メインイベンツ社」と契約し、プロデビュー。一つ敗北を喫してしまったが、IBF世界J・ライト級王者トニー・ロペスに挑戦。惜しくも敗北。このラポルテとの決定戦はその再起戦にあたる。ラポルテもプエルトリカンで、元WBC世界フェザー級王者。非常にタフな男であり、サルバドル・サンチェス、エウセビオ・ペドロサ、ウィルフレド・ゴメス、フリオ・セサール・チャベスに負けているが、KOはされていない。フットワークで距離を取り、リズミカルにジャブ、ストレート(ワンツー)を飛ばすモリナ。ラポルテは手数が少ない。結局、最後まで同じようなパターンが続き、判定は大差の3-0。ダウンシーンは無し。モリナのキレイな打ち方のストレートが印象に残った試合。ラポルテはタフでパンチがあるのに手を出さなかった。この選手はこういう負け方をよくする。一体何がしたかった?)

ジョン・ジョン・モリナ 10R TKO トニー・ロペス
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1989年)
モリナ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ロペス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:モリナがタイトル獲得。ラポルテとの決定戦で獲得したWBO王座を返上。「The Tiger」と呼ばれる好戦的なファイターのロペスと再戦。前回はロペスの判定勝ち。今回はどうか? ロペスの地元サクラメントの「アルコ・アリーナ」で行われた試合。モリナが得意のジャブ、ストレート、左フックでアグレッシブに攻め続ける。ロペスは何故か受け身の姿勢。3Rから目が腫れだしたロペスにジャブを飛ばすモリナ。10R、ジャブの連打がヒットしたところでレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。地元のヒーローのストップ負けに不満の観客。リングには物(紙コップ?)が投げ入れられ、モリナ、ロペス両陣営とも逃げるようにリングから去っていった。試合自体はモリナのジャブが印象的だった。固いコブシなのだろう。)

ジョン・ジョン・モリナ 4R KO ジャッキー・ガンガルーザ
(IBF世界J・ライト級王座決定戦、1992年)
モリナ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ガンガルーザ:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
4R:左フック、右ストレート、右ストレートで3度、ガンガルーザがダウン
(感想:モリナがタイトル奪回。モリナはロペスとの三度目の対戦に敗れ、王座転落(判定負け)。ロペスに勝ったブライアン・ミッチェル(南アフリカ)がIBF王座を返上。そのタイトルの決定戦に出場することとなった。相手のガンガルーザは南アフリカの黒人選手。南アフリカのフェザー級王座などをこれまで獲得しており、勝ち数も多い。南アフリカ・サンシティで行われた一戦。試合前に前王者のミッチェルが両選手を激励。1Rからプレッシャーをかけていくモリナ。ガンガルーザも速いジャブを飛ばすがモリナを止められない。4R、三度ダウンでKO。気合いが入ったモリナの連打が迫力だった試合。後、モリナはこのタイトルを防衛し続け、オスカー・デラ・ホーヤのWBO世界ライト級王座に挑戦。敗北を喫し、その後、世界王座に返り咲くことはなかったが、実力派としてリングに上がり続けた。)

①「WBO World Super Featherweight Title
John John Molina vs. Juan Laporte」
②「IBF World Super Featherweight Title
Tony Lopez vs. John John Molina」
③「IBF World Super Featherweight Title
John John Molina vs. Jackie Gunguluza」

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坂本博之(Sakamoto Hiroyuki)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ライト級のハードパンチャー、坂本。セサール・バサン戦、ヒルベルト・セラノ戦、畑山隆則戦を紹介します。

坂本博之(Sakamoto Hiroyuki)②ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

坂本博之(日本)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

セサール・バサン 12R 判定 坂本博之
(WBC世界ライト級タイトル戦、1998年)
坂本:左ジャブと左右フック
バサン:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:バサンがタイトル防衛。スティーブ・ジョンストンに敗北を喫し、世界を獲得できなかった坂本。その後、三連勝で二度目の世界挑戦。バサンはジョンストンを破って王者になったメキシカン。伸びるジャブと多彩な左を使い、アッパーも入れていく端正なスタイル。長いリーチを器用に使うバサンに坂本は空転。終盤はクリンチが多くなり、試合終了。判定は3-0でバサン。ダウンシーンは無し。ディフェンスもしっかりできていたバサン。坂本の振り回すパンチは通用しなかった。)

ヒルベルト・セラノ 5R TKO 坂本博之
(WBA世界ライト級タイトル戦、2000年)
坂本:左ジャブと左右フック
セラノ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
1R:右フック、左フックで2度、セラノがダウン
(感想:セラノがタイトル防衛。バサン戦後、五連勝の坂本。三度目の世界挑戦。王者セラノはベネズエラ人。KOで獲得した王座の初防衛戦。1R、いきなりダウンを奪う坂本。しかし、2Rには早くも目が腫れてしまう。セラノが長いリーチで距離を取り、左を器用に使う。坂本のキズが悪化して5RでTKO。最初に奪ったダウンはタイミングのいいパンチだったが、またしても相手の器用さにしてやられてしまった。)

畑山隆則 10R KO 坂本博之
(WBA世界ライト級タイトル戦、2000年)
坂本:左ジャブと左右フック
畑山:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
10R:右ストレートで坂本がダウン
(感想:畑山がタイトル防衛。坂本がセラノに敗れた再起戦で四度目の世界挑戦。相手はセラノを降してWBA王者になった畑山(二階級制覇王者)。1Rから打撃戦。接近してフック攻撃する坂本に畑山が応戦。フックに加えてストレートも使う畑山。10R、左フックからの右ストレートで坂本がダウン、KO。パンチの正確さで畑山が上回った。その後、坂本は腰を痛めたこともあって世界戦は無し。結局、世界王者にはなれなかったが世界に四回も挑戦(普通の選手ならこんなにチャンスはもらえない)。パワーはあったが、世界王者になるには少し足りなかった。坂本を「和製(ロベルト)デュラン」と呼ぶ人もいるが、デュランというよりフリオ・セサール・チャベスっぽい選手。チャベスのようにしっかりとジャブを当て、ボディで追い込むスタイルでいけば世界タイトルを獲っていたはず。引退後はジムを経営。著書も。)

①「WBC World Lightweight Title
Cesar Bazan vs. Sakamoto Hiroyuki」
②「WBA World Lightweight Title
Gilberto Serrano vs. Sakamoto Hiroyuki」
③「WBA World Lightweight Title
Hatakeyama Takanori vs. Sakamoto Hiroyuki」

坂本博之(Sakamoto Hiroyuki)①