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2025年6月26日木曜日

徳島尚(Tokushima Hisashi)&ウディン・バハルディン(Udin Baharudin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

柳明佑のWBA王座に挑戦。「柳明佑 vs. ウディン」「柳明佑 vs. 徳島」「ウディン vs. 井岡弘樹、徳島」戦を紹介します。


徳島尚(日本)

身長165cm:オーソドックス(右構え)

徳島尚(Tokushima Hisashi)&ウディン・バハルディン(Udin Baharudin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウディン・バハルディン(インドネシア)

身長  cm:オーソドックス(右構え)

徳島尚(Tokushima Hisashi)&ウディン・バハルディン(Udin Baharudin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

柳明佑 7R TKO ウディン・バハルディン

(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1988年)

ウディン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

柳:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでウディンがダウン

7R:ウディンが連打でスタンディングダウン、連打でダウン

(感想:柳がタイトル防衛。柳(韓国)は安定王者。ウディンは後の二冠王ムアンチャイ・キティカセムに判定負けしたことがある。韓国・ソウルでの一戦。互いにジャブ連打。右ストレートが力強いウディン。右ストレートからの左フックも悪くない。2R、タイミングのいい左フックでウディンがダウン。パワーはあるが、パンチを打った後のディフェンスが甘いウディン。その後もパワーを込めて攻めるが(3Rなど)、柳はブロックしながら隙を突くショート連打、ボディ打ち、ワンツー。7R、ウディンが連打(「ソナギ(夕立)パンチ」)されてスタンディングダウン。さらに連打でダウン。立ったが、レフェリーは試合を止めた。ウディンはパワーはあったが当てさせてもらえず。柳は元々タフなうえにディフェンスが巧かった。)


柳明佑 7R TKO 徳島尚

(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1990年)

徳島:左ジャブ、右ストレート、左右フック

柳:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:ボディ連打で徳島がダウン

5R:左フック、右ボディ、左フックで3度、徳島がダウン

6R:フック連打、左フックで2度、徳島がダウン

(感想:柳がタイトル防衛。徳島は「グリーンツダ」所属(井岡弘樹と同じ。顔も似ており、パンチの打ち方も似ている)。これまで16勝(8KO)3敗1分。柳は32戦全勝(12KO)。韓国・仁川での一戦。徳島がフットワークを使いながらジャブ連打、右ストレート。柳はウディン戦と同じように相手の右をかわして連打。4R、ボディ連打で徳島がダウン。ここでゴングが鳴ったらしい。徳島のセコンド、ヘルマン・トーレスが徳島をコーナーに連れて帰ろうとする。レフェリーのルディ・バトルはゴングに気付かなかったらしく、トーレスにリングから出るよう注意。その後、ピンチの徳島はフックを振っていくが当たらない。5Rに三度のダウン(「スリーノックダウン」ルールでは?)。6Rに二度のダウン。ボディが完全に効いてしまった徳島。7R、連打でレフェリーストップ。徳島はウディンと似たようなボクサータイプ。柳は同じように戦って勝利した。)


井岡弘樹 10R 判定 ウディン・バハルディン

(J・フライ級戦、1990年)

ウディン:左ジャブと右ストレート

井岡:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:WBC世界ストロー級王座戦でナパ・キャットワンチャイにKOされた井岡の再起戦。ウディンは柳明佑に負けた再起戦。大阪での一戦(井岡のセコンドにヘルマン・トーレス)。井岡が足を使って距離を取りながらジャブ。時折コンビネーション(左フックからの右ストレート、など)。ウディンは得意の右ストレートは強そうだが、手数が少ない。振りが大きい、というより大ざっばなウディンの攻撃が井岡に通用しないまま10R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。あまり攻めなかったウディン。相手に勝たせてあげた、という感じの試合ぶり。何がしたかったのだろう?)


徳島尚 12R 判定 ウディン・バハルディン

(東洋太平洋フライ級タイトル戦、1992年)

徳島:左ジャブ、右ストレート、左フック

ウディン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:徳島がタイトル獲得。王者ウディンは22歳でこれまで42勝(6KO)5敗(TVテロップより。「BoxRec」の記録と全然違う)。徳島は東洋5位。大阪での一戦(1R、12Rのダイジェストで観戦)。フットワークとジャブを使う徳島。ウディンはジャブ、ワンツー。特に右ストレートを強く当てようとする。徳島は左でボディ打ち。判定はPTS。ダウンシーンがあったかどうかは不明。パワーはウディンの方があったような気がするが、徳島がリズムボクシングで勝利したと思われる。共に世界王者になれなかったが、ウディンは器用さ、徳島はパワーに欠けていた。柳明佑に勝った井岡はそういった点で彼らより優れていた、ということか。)


①「WBA World Light Flyweight Title 

Myung Woo Yuh vs. Udin Baharudin」

②「WBA World Light Flyweight Title 

Myung Woo Yuh vs. Tokushima Hisashi」

③「Light Flyweight 

Ioka Hiroki vs. Udin Baharudin」

④「OPBF Flyweight Title 

Udin Baharudin vs. Tokushima Hisashi」


柳明佑(Myung Woo Yuh)のページ

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井岡弘樹(Ioka Hiroki)①のページ

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井岡弘樹(Ioka Hiroki)②のページ

2024年4月5日金曜日

新垣諭(Shingaki Satoshi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界バンタム級王者。新興団体IBFの王座獲得。金龍鉉戦、エルマー・マガラーノ戦、「ピューマ渡久地 vs. ドディ・ボーイ・ペニャロサ」を紹介します。

新垣諭(Shingaki Satoshi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

新垣諭(日本)

身長 cm:サウスポー

新垣諭 10R 引分 金龍鉉

(J・フライ級戦、1983年)

新垣:右ジャブ、左ストレート、左右フック

金:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:「日本人初のIBF王者」新垣。沖縄出身。アマチュアで活躍。高額の契約金で「奈良池田ジム」に所属。スラリとしたテクニシャンで、世界獲得が目標。金龍鉉(韓国)は具志堅用高のWBA世界J・フライ級王座に挑戦したことがある(15R判定負け)。奈良県橿原での一戦。アウトボクサーの新垣。フットワークで距離を取ってジャブ連打、左ストレート、右フック。右を当てようと攻める金だが、打った後のバランスが悪い。接近戦では互いにボディ攻撃。一発のパワーがある金は7Rにフック攻撃、9Rには右ストレートを決める。判定は引き分け(ダウンシーンは無し)。映像では新垣のアウトボクシングがポイントを取っているように見えたが、金のパワー、攻める姿勢も評価された。キレイなボクシングをする新垣。しかし、「パワー」の点で課題があるような感じがした試合ぶりだった。その後、金は次の試合に勝利して引退。)


新垣諭 8R TKO エルマー・マガラーノ

(IBF世界バンタム級王座決定戦、1984年)

新垣:右ジャブ、左ストレート、左右フック

マガラーノ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

6R:左ストレートでマガラーノがダウン

(感想:新垣がタイトルを獲得。当時、新興団体だったIBFに奈良池田ジムが参加。新垣はWBA世界J・フライ級王座を狙っていたが、渡嘉敷勝男とルペ・マデラが王座をめぐって何度も対戦。挑戦を待たされ続けるのにウンザリの新垣はIBF王座に照準。ドディ・ボーイ・ペニャロサとIBF世界J・フライ級王座決定戦を行ったが、減量苦のためTKO負け。階級を上げてバンタムで王座決定戦。相手はペニャロサと同じフィリピンのマガラーノ。マガラーノはどんな選手なのだろう? ペニャロサに判定負けしたことがあり、このところ連敗中。世界戦に出られるような実績が見当たらない。奈良県橿原での一戦。いつものようにフットワーク&ジャブの新垣。マガラーノは腕っぷしに自信があるのか、右のパンチを強く打ち込もうとし、接近して左右フック。攻めるマガラーノに新垣は速いパンチでカウンター、ボディ打ち。4R、新垣がラッシュ。6R、左ストレートでマガラーノがダウン。8R、連打でレフェリーストップ。テクニシャンの新垣が積極的な連打で快勝。ボディ攻撃にも迫力があった。その後の新垣。初防衛に成功。しかし、次の相手が悪すぎた。オーストラリアのジェフ・フェネック。KO負けで王座を手放す。その後もIBFのインタータイトル戦などに出場。しかし、身体の不調によりブランクがあり、通算戦績12勝(9KO)3敗1分。試合数は少な目だった。フェネックは豪腕で三階級制覇達成。マガラーノは新垣戦後、全敗だった。)


ピューマ渡久地 10R 判定 ドディ・ボーイ・ペニャロサ

(フライ級戦、1993年)

新垣諭(Shingaki Satoshi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

渡久地:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ペニャロサ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:興味深い対戦。渡久地は沖縄出身のハードパンチャーで、元日本フライ級王者。ユーリ・アルバチャコフとの対戦をめぐって所属ジムとトラブル。ブランク後、復帰戦でヘスス・ロハスにTKO負け(初黒星)。ペニャロサ戦はその再起戦となる。ペニャロサは元IBF世界J・フライ級、フライ級の二階級制覇王者。ピークは過ぎているが、サウスポーのテクニックがある。後楽園ホールでの一戦。ファイターの渡久地。ジャブを使って前進。ペニャロサはガードを上げてジャブ、ストレートで応戦。接近戦ではフックでの打ち合い。攻める渡久地だが、ディフェンスされ空振りも多い。9R、互いに右フックがヒット。10R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ロープ際にペニャロサを追い込んで連打するなど、渡久地が手数で勝利。ペニャロサは伸びるジャブ、ストレートは良かったが、受け身の姿勢で押され気味だった。その後の二人。ペニャロサは次の試合がノーコンテストに終わり、それで引退。渡久地は日本王座を奪回したが、ユーリにKOされてWBC世界フライ級王座獲得ならず。世界は獲れなかったが、積極的に実力者と対戦した姿勢を高く評価したい。)  


①「Junior Flyweight 

Shingaki Satoshi vs. Yong Hyun Kim」

②「vacant IBF World Bantamweight Title 

Shingaki Satoshi vs. Elmer Magallano」

③「Flyweight 

Dodie Boy Penalosa vs. Puma Toguchi」


ドディ・ボーイ・ペニャロサ(Dodie Boy Penalosa)のページ

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ジェフ・フェネック(Jeff Fenech)のページ 

2024年3月29日金曜日

セレス小林(Celes Kobayashi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界スーパーフライ級王者。テクニック&カウンター。レオ・ガメス戦、ヘスス・ロハス戦、アレクサンデル・ムニョス戦を紹介します。

セレス小林(Celes Kobayashi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

セレス小林(日本)

身長168cm:サウスポー

セレス小林 10R KO レオ・ガメス

(WBA世界スーパーフライ級タイトル戦、2001年)

小林:右ジャブ、左ストレート、右フック

ガメス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

10R:ワンツーでガメスがダウン

(感想:小林がタイトル獲得。挑戦者の小林は茨城県出身。本名は小林昭司(しょうじ)。「セレス」は現役時代に勤務していた結婚式場の名。「国際ジム」所属でトレーナーはあのクラッシャー三浦(元日本バンタム級王者)。デビュー戦は判定負け。東日本新人王戦(スーパーフライ級)、A級トーナメント戦(スーパーフライ級)、日本フライ級王座挑戦で判定負け。スズキ・カバトとの三戦目で日本フライ級王座獲得。連続防衛。マルコム・ツニャカオのWBC世界フライ級王座に挑戦したが引き分けで王座獲得ならず。これまで22勝(13KO)4敗3分でWBA9位。この試合はツニャカオ戦の再起戦。王者ガメス(ベネズエラ、33勝(25KO)7敗1分)は日本でもおなじみの四階級制覇王者。小柄ながらかなりのハードパンチャーで特に右のパンチが強い。しかしながら年齢は37歳。横浜アリーナでの一戦。試合は意外にも小林のペース。ジャブ、左ストレート、右フック。左ストレートでカウンターし、右フックからの左ストレートといったコンビネーションもヒットさせる。ガメスはジャブを使いながら前進し、右ストレートを狙う。全般的にガメスの右強打がヒットするシーンもあるが、小林が左ストレート、右フック、ディフェンスで優勢。10R、ワンツーでガメスが前のめりにダウン。立ったがフラついて、レフェリーストップ。小林がカウンターとディフェンスで勝利。ガメスは強そうなパンチを打っており、決して弱くはなかった。小林のディフェンス・テクニックにしてやられた印象。その後もガメスは世界戦。五階級制覇を狙ってジョニー・ブレダルのWBA世界バンタム級王座に挑戦したが、判定負け。世界王者としてリングに上がったのは小林戦が最後となった。)


セレス小林 12R 判定 ヘスス・ロハス

(WBA世界スーパーフライ級タイトル戦、2001年)

小林:右ジャブ、左ストレート、右フック

ロハス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:小林がタイトル初防衛。日本でもおなじみのテクニシャンを相手に小林が初防衛に挑む。挑戦者ロハスはかつてこの王座を持っていたベネズエラ人。これまで35勝(19KO)8敗3分1無効試合。フィデル・バッサからWBA世界フライ級王座を獲得したが(1989年)、初防衛戦で李烈雨に判定負け。新王者、レパード玉熊に挑戦したが、引き分けで王座奪回ならず。王座が次々に移動。セーン・ソー・プルンチットに挑戦したが、判定負け。飯田覚士に挑戦してWBA世界スーパーフライ級王座獲得、二階級制覇(1998年)。戸高秀樹に敗れ、王座陥落。王座は戸高からガメスへ。ガメスから小林へ。ロハスはなかなかのテクニシャンではあるが年齢は37歳(小林は28歳)。パワー不足のため世界王座戦を落とすこともあったが、この試合ではどうか? 横浜アリーナでの一戦。左の使い方が巧いロハス。距離を取って左ジャブ、左フック、そして右ストレート。ただし、動きとパンチにあまりキレが無い。攻める小林はジャブからの左ストレート、右フック。接近戦では互いにボディ攻撃、ディフェンス。ロハスの左フック、右ストレートが時折ヒット。10R、ジャブでロハスのマウスピースが落下。11R終了後にロハスが攻撃(反則)。12R終了。ロハスは両手を上げて自身の勝利を確信している様子。判定は僅差の2-1(ダウンシーンは無し)。パンチを当てる巧さはロハスの方が上だったように映像では見えたが、ちょこっと当てるディフェンシブなロハスの戦法は正直なところ「セコいボクシング」という感じがした。小林もパワーに欠けているように見えた。ディフェンスができる者同士の試合は互いの個性を潰し合うことが多い。ロハスはこの試合が事実上のラストファイト。二年後にカムバックしたが、エリック・モレル(前WBA世界フライ級王者)に敗れてリングを去った。)


アレクサンデル・ムニョス 10R KO セレス小林

(WBA世界スーパーフライ級タイトル戦、2002年)

小林:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ムニョス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フックで小林がダウン

6R:右ストレートで小林がダウン

7R:左フックで小林がダウン

8R:連打、右ストレートで2度、小林がダウン

(感想:ムニョスがタイトル獲得。またしてもベネズエラの選手との対戦になった小林の二度目の防衛戦。WBA1位の挑戦者ムニョスはこれまで21戦全勝(全KO)のハードパンチャー。ただし、これまでの試合は全て地元で、これが初の王座戦。数字だけの選手なのか、本物の強豪なのか? 日本武道館での一戦(レフェリーはスタンリー・クリストドーロー)。スリムな体型のムニョス。長いジャブ、右ストレート。そして振りの大きい左フック、しゃくり上げるような右フック。小林はブロックしながらジャブ、フック。動きやパンチの打ち方がややぎこちないムニョス(バンタムのジュニア・ジョーンズに似ている)。腕っぷしに自信があるのか、大きなパンチで前進。2R、左フックで小林がダウン。しかし、4Rに小林が右フックをヒットさせたようにムニョスの攻撃は隙も大きい。そして6R。右ストレートで小林がダウン。7R、8Rのダウンで試合終了。終わってみれば挑戦者がパワーで勝利。ムニョスの攻めは粗かったが、力で押し切った。強打に飲み込まれてこれがラストファイトになった小林。現在はジムを経営し、テレビのボクシング解説を務めることも。ムニョスはその後、王座を防衛し続けたり、奪われた王座を奪回したり。WBA世界バンタム級王座決定戦で亀田興毅と対戦するなど日本でもおなじみの選手となった。)


①「WBA World Super Flyweight Title 

Leo Gamez vs. Celes Kobayashi」

②「WBA World Super Flyweight Title 

Celes Kobayashi vs. Jesus Rojas」

③「WBA World Super Flyweight Title 

Celes Kobayashi vs. Alexander Munoz」


レオ・ガメス(Leo Gámez)のページ

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ヘスス・キキ・ロハス(Jesus Kiki Rojas)のページ

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レパード玉熊(Leopard Tamakuma)のページ 

2024年3月22日金曜日

触沢公男(Furesawa Kimio) 「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

触沢公男(日本)

身長162cm:オーソドックス(右構え)

触沢公男(Furesawa Kimio) 「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フライ級実力者。二度の世界挑戦。「vs. ジョー・ルイス・クルス」「vs. グディ・エスパダス」。「ラファエル・オルテガ vs. フリッパー上原」を紹介します。

触沢公男 7R TKO ジョー・ルイス・クルス

(フライ級戦、1977年)

触沢:左ジャブ、右ストレート、左右フック

クルス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

5R:左フックでクルスがダウン

6R:連打でクルスがスタンディングダウン

(感想:世界フライ級8位の触沢。岩手県出身。これまで23勝(7KO)6敗5分のファイタータイプ。王座を獲得したことはないが、直前の試合では元WBC世界フライ級王者小熊正二をKOしている。世界9位のクルス(メキシコ)は25勝(18KO)2敗4分。ルペ・ピントールにTKO負けしたことがある。日本で行われた世界ランカー対決。共にジャブ。クルスは慎重に距離を取りながらメキシカンらしい左ボディフック、しゃくり上げるような右フックを打つ。触沢はフットワークを使いながら攻める姿勢。良いパンチを持っているにもかかわらず自分から攻めていかないクルス。そんな受け身の相手に触沢は接近して右ストレート、左右フック。5R、右ストレートが効いたクルス。ラッシュをかけられ、左フックでダウン。6Rには連打でスタンディングカウントを聞く。6R終了後、クルスが棄権。触沢が積極的な連打で力強い勝利。ただ、クルスが消極的だったのは残念。その後もクルスは多くの試合。しかし、メキシコ王座戦(フライ級)でKO負けするなど王座とは縁が無かった。)


グディ・エスパダス 7R TKO 触沢公男

(WBA世界フライ級タイトル戦、1978年)

触沢:左ジャブ、右ストレート、左右フック

エスパダス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:右ストレートで触沢がダウン

(感想:エスパダスがタイトル防衛。クルス戦の次の試合でミゲル・カントのWBC世界フライ級タイトルに挑戦した触沢。しかし、15R 判定負け。その再起戦で「世界4位」として再び世界挑戦。王者エスパダスはメキシカン。アルフォンソ・ロペス(パナマ)から奪った王座の四度目の防衛戦。東京「品川スポーツランド」での一戦。小柄ながら自信タップリの戦いぶりのエスパダス。ジャブを使いながらジリジリ前進し、フックを思い切り振っていく。2R、左フックで触沢がダウン寸前に。力強い右ストレートを打つ触沢だが、エスパダスはディフェンスも巧い。4R、いきなりの右ストレートで触沢がダウン。その後も強打でエスパダス優勢。7R、キズによりレフェリーストップ。エスパダスのパワーは凄かった(しかし、次の防衛戦でベツリオ・ゴンサレスに判定負け、王座陥落。その後、二度の世界挑戦はいずれも敗北。息子ジュニアもボクサーに。WBC世界フェザー級王者になった)。触沢は世界戦に二連敗し、これで引退。強い選手だったが、世界王者はそれを上回るテクニックとパワーを持っていた。)

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ラファエル・オルテガ 15R 判定 フリッパー上原

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1977年)

触沢公男(Furesawa Kimio) 「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

上原:左ジャブ、右ストレート、左フック

オルテガ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

1R:左フックで上原がダウン

(感想:オルテガがタイトル防衛。沖縄出身の上原は後にWBA世界J・ライト級王者になる上原康恒の弟。日本フェザー級王座を獲得し、デビッド・コティのWBC世界フェザー級タイトルに挑戦したが敗北。これが二度目の世界挑戦。王者オルテガはパナマ出身でこれが初防衛戦。沖縄で行われた試合。スピードがあるオルテガ。自由奔放な動きから速いジャブ、ストレートを飛ばし、左フックを振るう。上原はジャブ、ストレート、思い切りのいい左フック。打ち合いの中、左フックで上原がダウン。その後、オルテガが回転の速い連打、左ボディ打ち、アッパー気味の左フックで試合をリード。上原がオルテガをロープ際に追い込んで連打する力強いシーンもあったが(5R、6Rほか)、オルテガがスピードで優勢。15R終了。判定は3-0。これで引退の上原。パワーはあったが、王者は速かった。オルテガは次の防衛戦で王座陥落。攻撃重視のスタイルのためか、オルテガにはパンチを食う欠点があった。それが敗北の原因かもしれない。)


①「World Flyweight 

Furesawa Kimio vs. Jose Luis Cruz」

②「WBA World Flyweight Title 

Guty Espadas vs. Furesawa Kimio」

③「WBA World Featherweight Title 

Rafael Ortega vs. Flipper Uehara」


グティ・エスパダス・ジュニア(Guty Espadas Jr.)のページ

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ミゲル・カント("Maestro" Miguel Canto)のページ 

2024年3月15日金曜日

ガッツ石松(Guts Ishimatsu)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC世界ライト級王者。「幻の右」で世界王座防衛。ロドルフォ・ゴンサレス戦(再戦)、アルバロ・ロハス戦、新井容日戦を紹介します。

ガッツ石松(Guts Ishimatsu)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ガッツ石松(日本)

身長171cm:オーソドックス(右構え)


ガッツ石松 12R TKO ロドルフォ・ゴンサレス

(WBC世界ライト級タイトル戦、1974年)

ガッツ:左ジャブ、右ストレート、左フック

ゴンサレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

12R:右ストレートでゴンサレスがダウン

(感想:ガッツがタイトル防衛。ゴンサレスから王座を奪ったガッツ(これまで27勝(15KO)11敗6分)。二度目の防衛戦は立場を入れ替えての再戦。世界3位の前王者ゴンサレスはメキシコ出身で58勝(48KO)6敗。ガッツとの初戦後、再起戦に勝利してこの挑戦。大阪府立体育館での一戦。ゴンサレスが左のガードを下げた構えから正確にジャブを飛ばす。ガッツは相手を警戒してるのか、足を使いながら距離を取ってジャブ。攻めるゴンサレス、応戦するガッツ、という展開。互いにボディ打ち。4R、ガッツの右ストレートがヒット。8R、ゴンサレスの右ストレートがヒット。ジャブで先手を取るゴンサレスがストレート、ボディ攻撃で優勢。12R、ガッツの右ストレートがカウンターでヒット。追い打ちの右ストレートでゴンサレスがダウン。立ったがフラついてレフェリーストップ。押され気味だったガッツが得意の右で勝利。これが最後の試合となったゴンサレスはフックが力強く、ワンツーも良かったが、一発で仕留められてしまった。映像では劣勢に見えたが、ガッツはゴンサレスの動きを序盤から見切っていたのかもしれない。)


ガッツ石松 14R KO アルバロ・ロハス

(WBC世界ライト級タイトル戦、1975年)

ガッツ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ロハス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

14R:右フックでロハスがダウン

(感想:ガッツがタイトル防衛。ガッツの五度目の防衛戦。世界8位の挑戦者ロハスはコスタリカの選手でこれまで42勝(20KO)6敗。アントニオ・アマヤ(小林弘、後、柴田国明と世界戦)戦、コスタリカ王座戦(ライト級)に敗北するなど勝ったり負けたりだったが、WBCの地域王座(ライト級)を獲得、防衛。そして、この挑戦。日大講堂での一戦(ガッツのセコンドにエディ・タウンゼント。TV解説席には白井義男、小林弘)。ジャブを連打しながら右ストレート、フックで前進するロハス(輪島功一みたいな打ち方)。ガッツはジャブ。攻めようとするロハスに対し、ガッツは慎重な姿勢。ジャブで先手を取るロハス。ガッツは良いボディ打ちを見せるが受け身の姿勢で焦れったい戦いぶり。10R、右フックでガッツが優勢になるシーンもあったが、その後は受け身の姿勢。14R、それまでのラウンドと同様、攻めるロハス。ガッツが右フック。ダウンしたロハスはそのまま立てなかった。なぜガッツは消極的だったのだろう? 後半に勝負する作戦だったか? 何とかKOで防衛できたガッツ(減量苦だった、とのウワサ)。もっと積極的になって欲しかったところではあるが、パンチ自体は迫力があった(特に右ストレート、左フックのボディ打ち)。そんなガッツの次の防衛戦の相手はエステバン・デ・ヘスス。善戦のロハスは後、ロベルト・デュランのWBA王座に挑戦して何と1RでKO負け。その後は勝ったり負けたりで、タイトル戦出場は無かった。)


新井容日 10R 判定 ガッツ石松

(ウェルター級戦、1978年)

ガッツ:左ジャブ、右ストレート、左フック

新井:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

(感想:ガッツのラストファイト。センサク・ムアンスリンにKOされた再起戦でもある。新井(韓国または大阪出身)はデビューから連敗。勝ったり負けたり。日本王座(J・ウェルター級)、東洋太平洋王座(J・ミドル級)への挑戦は失敗に終わっている。後楽園ホールでの一戦。ヒゲを生やしているガッツ。ジャブを使いながら接近してボディ打ち(体重が増えたせいか、後ろ姿やパンチの打ち方がラリー・ホームズに似ている)。新井はガードを上げ、思い切った右ストレート、左右フック。2R、ガッツが連打を浴びる。その後、ガッツの動きは悪くはないが、新井が時折連打を仕掛ける。10R終了。判定は2-0。ダウンシーンは無し。やはり体が重かったか、ガッツは勢いに欠けていた。これで引退。その後の二人。新井は勝てなかったが当時の実力者である亀田昭雄、串木野光夫(串木野純也)、千里馬啓徳、白仁鉄(後、WBA世界スーパーミドル級王座獲得)、三原正(元WBA世界J・ミドル級王者)、赤井英和らと対戦。短期間だったが、堀畑道弘を破って日本J・ミドル級王座に就いた。ガッツは芸能界で活躍。ボクサーとしては大きな試合で負けることも多かったが、バランスの良い選手。大砲のような強い右パンチ、左ボディ打ちが印象的だった。)


①「WBC World Lightweight Title 

Guts Ishimatsu vs. Rodolfo Gonzalez」

②「WBC World Lightweight Title 

Guts Ishimatsu vs. Alvaro Rojas」

③「Welterweight 

Guts Ishimatsu vs. Arai Yohi」


ガッツ石松(Guts Ishimatsu)①のページ

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イスマエル・ラグナ(Ismael Laguna)のページ

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ケン・ブキャナン(Ken Buchanan)のページ

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ロベルト・デュラン(Roberto Durán)のページ

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エステバン・デ・ヘスス(Esteban De Jesus)のページ 

2024年3月8日金曜日

日本人選手の世界王座戦②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界の強豪と対戦。「ラファエル・リモン vs. 野地照義」「朴鐘八 vs. カシアス内藤」「シリモンコン・シンワンチャー vs. 長嶋建吾」を紹介します。

ラファエル・リモン 2R KO 野地照義

(J・ライト級戦、1976年)

日本人選手の世界王座戦②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

リモン:右ジャブ、左ストレート、左右フック

野地:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:右フック、右ボディで2度、野地がダウン

(感想:ハードパンチャーの「バズーカ」リモン(メキシコ)。直前の試合では元世界バンタム級王者ライオネル・ローズをKOしている。野地は勝ったり負けたりの中堅選手。キャリア中盤以降は主戦場を米国に。このところ二連敗中。ロサンゼルスで行われた試合。レフェリーは若きリチャード・スティール。サウスポーのリモン。足で距離を取りながらジャブを打つ慎重な試合ぶり。野地は前進し、ジャブ、そしてパワーを込めた右ストレート、左フック。力強い攻めをする野地だが、リモンはディフェンス。2R、連打からの右フックで野地がダウン。立ったが、最後は右ボディでKO。リモンが一気に勝負をつけた。パワーに定評のあるリモンだが、当てさせないテクニックもしっかり持っていた。後、リモンはWBC世界J・ライト級王者に。野地は負けが込むようになっていったが、アメリカで頑張った。)


朴鐘八 2R KO カシアス内藤

(東洋太平洋ミドル級王座決定戦、1979年)

日本人選手の世界王座戦②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

内藤:右ジャブ、左ストレート、右フック

朴:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フックで内藤がダウン

(感想:朴がタイトル獲得。朴は韓国重量級の代表的な選手。内藤はアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれたハーフ。日本ミドル級王座、東洋ミドル級王座を獲得しているが輪島功一、柳済斗らに敗れ、世界挑戦の経験は無い。韓国で行われた試合。アフロヘアーの内藤。サウスポースタイルからジャブ、左ストレート、右フック。朴はジャブ、右ストレート、左右フックを強く当てようとする。相手の様子を見ているのか、内藤は手数が少な目。2R、右フックからの左フックで内藤がダウン、KO。最後は痛烈なKO決着。朴が攻める姿勢で快勝。内藤は受け身だった。後、朴はIBF世界スーパーミドル級王座、次いでWBA世界スーパーミドル級王座を獲得。東洋一の存在であり続けた。内藤は再起戦にKO負けして引退。引退後はジムを開設し、トレーナーに。息子もボクサーになった。)


シリモンコン・シンワンチャー 2R KO 長嶋建吾

(WBC世界スーパーフェザー級王座決定戦、2002年)

日本人選手の世界王座戦②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

シリモンコン:左ジャブ、右ストレート、左フック

長嶋:右ジャブと左ストレート

(ダウンシーン)

2R:右フック、左フック、連打で3度、長嶋がダウン

(感想:シリモンコンが二階級制覇。タイのシリモンコンはWBC1位。辰吉丈一郎に王座を追われたことで日本では有名な元WBC世界バンタム級王者。これまで37勝(21KO)1敗。長嶋は21勝(12KO)1敗1分のサウスポー。アマチュアで活躍し、プロへ。三谷大和から東洋太平洋スーパーフェザー級王座奪取。平仲信敏、渡辺雄二らを相手に三度防衛。日本スーパーフェザー級王座も獲得。その次の試合でこの初の世界戦。両国国技館での一戦。長嶋が足とジャブで距離を取る。シリモンコンはガードを上げてジリジリと距離を詰め、ジャブ、右ストレート。2R、強烈な右フックで長嶋がダウン。左フックで二度目。この時、ダウン後のパンチでシリモンコンは減点。しかし、連打で長嶋が三度目のダウン。立ったがストップされた。ほとんど何もできなかった長嶋。受け身の姿勢で、ただ強打にさらされただけだった。シリモンコンは実にパワフル。短い試合だったが、ジャブが正確で右ストレート、左フックにはパワーがあった。辰吉に負けた時ではなく、この試合での出来が本来の彼の強さなのだと思われる。しかし、もっと凄いのはその後のキャリア。階級を上げながら戦い続け、何とL・ヘビー級で試合をしている(2018~。今でも現役?)。長嶋もその後、日本ライト級王座、東洋太平洋ライト級王座獲得の活躍。しかし、世界戦はシリモンコン戦のみに終わった。)


①「Super Featherweight 

Rafael Limon vs. Noji Teruyoshi」

②「vacant OPBF Middleweight Title 

Chong Pal Park vs. Cassius Naito」

③「vacant WBC World Super Featherweight Title 

Sirimongkol Singwangcha vs. Nagashima Kengo」


ラファエル・リモン(Rafael "Bazooka" Limón)のページ

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朴鍾八(Chong Pal Park)のページ

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シリモンコン・シンワンチャー(Sirimongkol Singwancha)のページ 

2024年3月6日水曜日

日本人選手の世界王座戦①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界の強豪と対戦。「フレディ・リトル vs. 南久雄」「オスカー・アルバラード vs. 龍反町」「上原康恒 vs. レオネル・エルナンデス」を紹介します。

フレディ・リトル 2R KO 南久雄

(世界J・ミドル級タイトル戦、1969年)

日本人選手の世界王座戦①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

リトル:左ジャブ、右ストレート、左右フック

南:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:ワンツーで南がダウン

(感想:リトルがタイトル初防衛。アメリカからやってきた王者リトル(ミシシッピ州出身の黒人パンチャー)。これまで44勝(29KO)4敗1無判定。三度目の世界挑戦で王座獲得(スタンリー・ヘイワードとの決定戦で判定勝ち)。南戦は初防衛戦となる。3位の南は大阪出身。22勝(3KO)11敗5分。負けが多いが、日本ウェルター級王座獲得。元世界王者の金基洙に勝利して東洋ミドル級王座獲得。金に再戦で王座を奪回されたが、東洋ウェルター級王座獲得。その次の試合で初の世界挑戦。大阪での一戦。南が星条旗、リトルが日の丸を持ってリング入場。そして国旗交換。試合開始。左のガードを下げてジャブ、ストレートを飛ばすリトル。南はフットワークとジャブ。接近戦では互いにフック連打。リトルのジャブがよく当たる。2R、速いジャブからのワンツー(左ジャブからの右ストレート)で南がダウン。倒れたまま10カウント、完全KO。良いジャブを打っていた南だが、それ以外のパンチ、パワーではリトルが上だった。いかにも「アメリカの黒人ボクサー」といった感じの強さを見せたリトル。三度目の防衛戦でイタリアのカルメロ・ボッシに敗れて王座陥落。そして輪島功一がボッシに勝利して国民的英雄に。南はその後、輪島らを相手に全敗だった。) 


オスカー・アルバラード 7R TKO 龍反町

(世界J・ミドル級タイトル戦、1974年)

日本人選手の世界王座戦①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

アルバラード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

龍:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左ジャブで龍がダウン

5R:ワンツーで龍がダウン

7R:ワンツーで龍がダウン

(感想:アルバラードがタイトル初防衛。輪島功一をKOして王座を奪ったアルバラード(テキサス出身)の初防衛戦。挑戦者の龍は東洋ウェルター級王者。輪島が王者だった頃にこの王座に挑戦して判定負け。これが二度目の世界挑戦。日大講堂での一戦。ソンブレロをかぶって入場のアルバラード。龍にソンブレロをプレゼント。調子が良さそうな龍。速いジャブ、右ストレート。「ショットガン」アルバラードはパワーを込めてジャブ、右ストレート。ただし、フックの打ち方は粗い。2R、タイミングのいい左ジャブで龍がダウン。3R、龍の右ストレートがヒット。4R以降はアルバラードがジャブ、ストレートで優勢。5R、強烈なワンツーで龍がダウン。かなりのダメージ。7Rにもワンツーで龍がダウン。立ったが、連打を浴びてレフェリーストップ。最後はアルバラードが得意パンチで豪快な勝利。左目が腫れていた龍。ジャブのパワーで勝負がついた。しかし、アルバラードは次の試合で輪島に敗れ、王座陥落。輪島戦後はブランク。カムバックしたが、ボビー・チェズ(後、二階級制覇)に敗北するなど勝ったり負けたり。最後の相手はアユブ・カルレ(元WBA世界J・ミドル級王者)でTKO負けだった。龍はカルロス・パロミノのWBC世界ウェルター級王座に挑戦したがKO負け。世界は獲得できなかった。)


上原康恒 15R 判定 レオネル・エルナンデス

(WBA世界J・ライト級タイトル戦、1980年)

日本人選手の世界王座戦①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

上原:左ジャブ、右ストレート、左右フック

エルナンデス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:上原がタイトル初防衛。サムエル・セラノをアメリカ、デトロイトでKOして王座を奪った上原の初防衛戦。挑戦者エルナンデスはアレクシス・アルゲリョ、アルフレド・エスカレラ、サムエル・セラノの世界王座に挑戦したが、全て敗北しているベネズエラの選手。上原はこれまで26勝(21KO)4敗。エルナンデスは52勝(30KO)6敗1分。東京・蔵前国技館での一戦(リングサイドで海老原博幸、西城正三、具志堅用高が観戦)。似た戦い方をする両者。力強いジャブ、ストレート。前に出る上原、フットワークを使いながら応戦するエルナンデス、という展開。共に良いパンチを打つが、互いにディフェンス。左フックを時折ヒットさせるなど、エルナンデスは手数は出しているが受け身の姿勢。15R終了。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。上原の攻める姿勢が評価されたか。エルナンデスは普通に良い選手だった。ただ、ボクシングはテクニックだけで勝負がつくものではない。エルナンデスには「相手を倒そうとする意志」が欠けていた。それでは勝てない。ましてや挑戦者ならばなおのこと。これまで何度も世界挑戦して勝てなかったのがわかるような試合ぶりだった。上原は次の試合でセラノに敗れて王座陥落、引退。エルナンデスは王座を奪回したセラノに挑戦して判定負けだった。)


①「World Super Welterweight Title 

Freddie Little vs. Minami Hisao」

②「World Super Welterweight Title 

Oscar Albarado vs. Ryu Sorimachi」

③「WBA World Super Featherweight Title 

Uehara Yasutsune vs. Leonel Hernandez」


輪島功一(Wajima Kouichi)③のページ

(オスカー・アルバラード戦(初戦・再戦)、柳済斗戦(初戦)) 

2024年3月1日金曜日

藤猛(Fuji Takeshi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界J・ウェルター級王者。ハンマーパンチで世界王座強奪。サンドロ・ロポポロ戦、ニコリノ・ローチェ戦、パク・ソクキュ戦を紹介します。

藤猛(Fuji Takeshi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

藤猛(アメリカ)

身長168cm:オーソドックス(右構え)


藤猛 2R TKO サンドロ・ロポポロ

(世界J・ウェルター級タイトル戦、1967年)

藤:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ロポポロ:左ジャブと右ストレート

(ダウンシーン)

2R:右フック、左フックで2度、ロポポロがダウン

(感想:藤がタイトル獲得。藤はホノルル出身の日系三世。ハワイ州のハイスクール卒業後、軍人に。日本でも勤務。アマチュアで活躍。故・力道山が創設した「リキ・ボクシングジム」のスカウトで同ジムに所属。トレーナーはハワイでジムを経営していたエディ・タウンゼント。プロデビュー。器用ではないが、異常に強いパンチを思い切りぶちかましていくタイプ(いわゆる「ケンカボクシング」。「軍隊時代に身に付けた」という(本人談))。日本王座、東洋太平洋王座(いずれもJ・ウェルター級)を獲得し、それぞれ初防衛に成功後に返上。そして、初の世界挑戦。王者ロポポロはイタリア人。イタリア王座を獲得後、欧州王座にも挑戦したが、勝てず。カルロス・エルナンデスを破って世界王者に。これが二度目の防衛戦となる。東京・蔵前国技館での一戦。王者ロポポロは優雅な戦い方。左のガードをやや下げた構えからジャブを出し、右ストレートには伸びがある。攻める藤。ロポポロはフットワーク&ジャブで攻撃をかわすが、2Rに強烈な右フックでダウン。立ったが、左フックで二度目。最後はロープ際でロポポロが滅多打ちにされたところでレフェリーストップ(ロポポロのセコンドが棄権を申し入れてのストップだった)。藤が何とも豪快な世界奪取。日本人の世界タイトル戦は軽量級が中心。こんな勝ち方をされると今までの日本ボクシングがかすんで見えてしまう。そんな勝ち方だった(後の浜田剛史、平仲明信の世界J・ウェルター級王座奪取劇もインパクトのある内容だった)。惨敗だったロポポロ。その後、欧州王座に数度挑戦したが、勝てず。世界戦は藤戦が最後となった。)


ニコリノ・ローチェ 10R TKO 藤猛

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1968年)

藤:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ローチェ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ローチェがタイトル獲得。ウイリー・クアルトーア(西ドイツ)にKO勝ちして世界王座の初防衛に成功した藤。しかし、所属ジムとの間に金銭トラブル。引退届を出すなどの混乱からWBC王座剥奪。ノンタイトル戦に三連勝して、これまで31勝(26KO)2敗。「WBA王者」として1位ローチェの挑戦を受けることに。ローチェはアルゼンチンの選手で91勝(15KO)2敗13分(KO勝ちがたったの「15」というのが気になる)。ノンタイトル戦で当時世界王者だったサンドロ・ロポポロに勝利。藤戦が初の世界挑戦。東京・蔵前国技館での一戦。藤が右ストレート、大きな振りの左フック。ローチェはリズミカルに左ジャブを連打し、キレのある左フックを意表を突くタイミングで打ち込む。動きやパンチにキレがない藤は空振りが多く、ローチェがジャブで先手を取る展開。7Rに右ストレートを決めた藤。しかし、ローチェがパンチの正確さとディフェンスで優勢。9R終了後、藤が棄権して試合終了(ダウンシーンは無し)。藤はハードパンチャーではあるが、パンチを振り回す勢いで勝つスタイル。動きにキレがないうえに、ローチェの正確なパンチ(ただし、サミングをした疑いアリ)。勝ち目は無かった。当時、ジムと金銭面での対立が絶えなかったという話だが、たとえそうであったとしても試合には集中すべきだ。その後、ローチェは元王者カルロス・エルナンデス、後の王者アントニオ・セルバンテスを破って防衛成功。)


藤猛 3R KO パク・ソクキュ

(ウェルター級戦、1970年)

藤:左右フック

パク:左右フック

(ダウンシーン)

3R:フック連打でパクがダウン

(感想:世界王座陥落の藤が再起三戦目。パクは記録に乏しい選手(「BOXREC」には「門田新一にKO負け」の記録がある)。ハイライト映像で観た試合。接近戦。左右フックでの打ち合い。大振りのパンチを豪快に空振りしてバランスを崩す藤。3R、フック連打でパクがダウン。立ったがカウントアウト。豪快さは相変わらず。しかし、強引な試合ぶり。その後、藤はメキシカンに勝利。そして、予定されていた試合を拒否して結果的に引退。その後はキックボクシングに転向して試合を行ったり、ボクシングスクールでコーチしたり。ボクサーとしては不器用なタイプで、またジムとの問題もあったが、「ロポポロ戦」という最高傑作が残したり、個性的な発言がウケたり(「オカヤマのおバアちゃん」)で記憶に残る男である。)


リキ・ボクシングジム:プロレスラーの力道山が「日本のボクシングは軽量級ばかりでつまらん」というコンセプトから「ヘビー級ボクサー育成」のために創設したジム。「リキ・スポーツパレス」(通称「リキパレス」)と呼ばれる総合スポーツレジャービルを建設した力道山(1961年、完成)。そこにはプロレスの試合会場、サウナ、ボウリング場、キャバレー、レストランなど。「リキ・ボクシングジム」はその一つ。1963年、力道山が急死。リキパレスは力道山の借金で経営されていたことから経営悪化。藤が世界王者になった頃はジムとしての実態が薄れ、最終的にリキジムは自然消滅。リキパレスも借金返済のため力道山の遺族によって売却されてしまった。


①「World Super Lightweight Title 

Sandro Lopopolo vs. Fuji Takeshi」

②「WBA World Super Lightweight Title 

Fuji Takeshi vs. Nicolino Locche」

③「Welterweight 

Fuji Takeshi vs. Suk Kyu Park」


アントニオ・セルバンテス(Antonio Cervantes)のページ

2024年2月23日金曜日

西城正三(Saijo Shozo)③&門田新一「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界フェザー級王者西城のアントニオ・ゴメス戦(ラストファイト)。日本ライト級強豪、門田新一のジミー・ロバートソン戦、山龍義一戦を紹介します。

西城正三(日本)

身長171cm:オーソドックス(右構え)

西城正三(Saijo Shozo)③「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

アントニオ・ゴメス 5R KO 西城正三

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1971年)

西城:左ジャブ、右ストレート、左フック

ゴメス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:左ストレートで西城がダウン

3R:右フックで西城がダウン

5R:右フック、右ストレート、左フックで3度、西城がダウン

(感想:ゴメスがタイトル獲得。小林弘との世界王者同士のノンタイトル戦に敗れた西城。その再起戦でフランキー・クロフォードと五度目の防衛戦を行い、3-0で勝利。ノンタイトル戦に勝利して、この六度目の防衛戦。挑戦者ゴメスはベネズエラの選手(西城が初防衛戦で下したペドロ・ゴメスの弟)。あのエステバン・デ・ヘススやアントニオ・セルバンテスを判定で破ったことがある。北米フェザー級王座を獲得するなどこのところ連勝中。東京体育館での一戦。1R、共にジャブ。西城はスピード、ゴメスは重さを感じるジャブ。左ストレートで西城がダウン。その後、速い右ストレート、パワーの乗った左フックを打つ西城だが、ゴメスはディフェンスしながらジャブを正確に当てる。3R、左フックが効いた西城。右フックでダウン。激しい打ち合い。西城の右ストレート、連打が迫力。しかし5R、凄まじい右フックで西城がダウン。これが完全に効いたか、右ストレート、左フックでスリーノックダウン、KO。ゴメスが強いジャブを正確に当てる作戦で快勝。西城はタイトルを獲ったときと比べるとスピードが落ちていた印象。ただ、パンチにパワーはあった。西城はこれで引退。番狂わせで世界を獲得したことから「シンデレラ・ボーイ」などと呼ばれたが、しっかりとした実力(特にパワフルな右ストレート、左フック)を持っていた強豪だった。ゴメスはその後、エルネスト・マルセルに敗れて王座陥落。マルセルはアレクシス・アルゲリョを破って王者のまま引退。レベルの高い時代だった。)

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門田新一(Kadota Shinichi)

西城正三(Saijo Shozo)③「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

門田新一(日本)

身長  cm:サウスポー

門田新一 4R KO ジミー・ロバートソン

(ライト級戦、1973年)

門田:右ジャブ、左ストレート、右フック

ロバートソン:左ジャブと右ストレート

(ダウンシーン)

4R:右フックで2度、ロバートソンがダウン

(感想:「世界ライト級タイトル前哨戦」として行われた一戦。愛媛県出身の門田(三迫ジム)は元東洋ライト級王者。鈴木石松(ガッツ石松)に敗れて王座陥落。日本ライト級1位で、これまで32勝(19KO)7敗。ロバートソンはヒゲの白人選手。全米ライト級7位で25勝(12KO)8敗2分。TV映像には「カリフォルニアのライト級王者」とあるが、「BOXREC」の記録にはそのタイトルの獲得歴は無し(「北米ライト級王座獲得」の記録はある)。ロベルト・デュランのWBA王座に挑戦したこともある(KO負け)。日大講堂での一戦。ゴング前、門田と同じ三迫ジムの輪島功一がリング上であいさつ、選手激励。1R、サウスポーの門田が右ジャブ、左ストレート、右フック。特に右フックが強い印象。ロバートソンは右ストレートを狙うが、右フックを食って後退。ジャブが少ないロバートソン。右ストレートをミスしたり、モタモタした攻めを見せたり。どうやらサウスポーが苦手な様子。3R、左ストレートを決めた門田がラッシュ。4R、強烈な右フックでロバートソンがダウン。さらに右フックで二度目。立ったが、カウントアウト。ロバートソンは「まだやれる」といった態度でレフェリーの処置に不満そうだったが強打を浴びており、カウントアウトでよかったと思う。共にスピードはそれほどでもなかったが、門田の右フックが印象に残った試合。ロバートソンは次の試合にも敗北して引退。ピークを過ぎていたものと思われる。)


門田恭明 10R TKO 山龍義一

(ライト級戦、1975年)

門田:右ジャブ、左ストレート、左右フック

山龍:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

6R:右フックで門田がダウン

7R:ボディ連打で山龍がスタンディングダウン。左フックで門田がダウン。

10R:右ストレートで門田がダウン。右フックで2度、山龍がダウン。

(感想:リングネームを「門田恭明」に変えてアントニオ・セルバンテスのWBA世界J・ウェルター級王座に挑戦した門田。何度もダウンして惨敗。これが再起戦。世界J・ウェルター級9位。これまで35勝(22KO)8敗。日本ライト級2位の山龍は10勝(6KO)4敗の中堅どころ。経験で大きな差がある。ダッキングしながら攻める山龍。振りの大きな左右フック。右ストレートには伸びがある。門田はフットワークでジャブ、ストレート、右フック。思い切った打ち方をする山龍だが、門田はディフェンスして左右フックでボディ攻め。6R、一気にラッシュする山龍。連打からの右フックで門田がダウン。7R、ボディが効いてきた山龍がスタンディングカウントを聞く。攻める門田だが左フックでダウン。その後、ボディを打たれながらも大きなパンチで山龍が打ち返す展開。最終10R、右ストレートで門田がダウン。前に出る山龍だが、強烈な右フックを食ってダウン。さらに攻めるが右フックでダウン。よく立ったが、強打を連続して浴びてレフェリーストップ。巧さでは門田の方が上だったが、山龍の思い切った攻めでなかなかの激戦となった。後、山龍は日本ライト級王座獲得。門田は二度目の世界挑戦は叶わず。世界王座には手が届かなかった二人だが、「パワーだけなら世界王者」といった強さを持っていた。)


①「WBA World Featherweight Title 

Saijo Shozo vs. Antonio Gomez」

②「Lightweight 

Kadota Shinichi vs. Jimmy Robertson」

③「Lightweight 

Kadota vs. Yamaryu」

 

2024年2月21日水曜日

西城正三(Saijo Shozo)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界フェザー級王者。世界王座防衛戦&日本人対決。ホセ・ルイス・ピメンテル戦(三戦目)、ゴドフレイ・スチーブンス戦、小林弘戦を紹介します。

西城正三(Saijo Shozo)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

西城正三(日本)

身長171cm:オーソドックス(右構え)


西城正三 2R KO ホセ・ルイス・ピメンテル

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1969年)

西城:左ジャブ、右ストレート、左フック

ピメンテル:左ジャブ

(ダウンシーン)

2R:左フックでピメンテルがダウン

(感想:西城がタイトル防衛。ペドロ・ゴメスに勝利して初防衛に成功した西城。その後、ノンタイトル戦で二連勝し、21勝(5KO)5敗2分。そしてこの二度目の防衛戦。WBA5位の挑戦者ピメンテルはメキシカンでこれまで25勝(23KO)2敗2分。まだ王座を獲ったことがなく、これが初めてのタイトル戦。西城とピメンテルが戦うのはこれが三度目。過去、一勝一敗。いずれも判定での決着。世界王座を懸けた三戦目はどんな内容となるか? 札幌での一戦。1R、共にジャブ。西城の右ストレートがクリーンヒットし、連打。2R、左フックでピメンテルがダウン。立てず、KO。実にあっけない結果。西城が必殺の右ストレート、左フックで快勝。ピメンテルは頑丈そうな体をしていたが1Rの右ストレートが完全に効いたようで、ジャブぐらいしか出せないままKOされてしまった。その後、ピメンテルは四連勝でキャリア終了。王座とは無縁だった。)


西城正三 15R 判定 ゴドフレイ・スチーブンス

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1970年)

西城:左ジャブ、右ストレート、左右フック

スチーブンス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

15R:右ストレートでスチーブンスがダウン

(感想:西城がタイトル防衛。ピメンテル戦後、ホノルルでノンタイトル戦を行って判定勝ちした西城。三度目の防衛戦。WBA1位の挑戦者スチーブンスはチリのベテラン選手。これまで69勝(19KO)4敗3分。チリ王座(フェザー級)を獲得後、南米王座(フェザー級)を獲得して連続防衛。まさに「南米代表」といったポジション。日本武道館での一戦。互いにジャブ。西城はいつものように伸びる右ストレート、キレのある左フック。スチーブンスはややアップライトな構えからパワーを込めた右ストレート、左フック。西城が連打、左ボディ打ち、左フックからの右ストレートといったコンビネーションで優勢。スチーブンスはジャブが正確で良い打ち方をするが、力んでバランスを崩したりする。5R、西城の左フックがヒット。8Rには右ストレート。15R、スリップ気味ながら右ストレートでスチーブンスがダウン。15R終了。判定は3-0。西城がパンチの正確さ、特に右ストレートで勝利。スチーブンスはパワーは感じられたが、力んでスムーズに連打できない欠点があった(それが勝ち星に対してKO数が少ない原因か?)。後、スチーブンスはルーベン・オリバレス、エデル・ジョフレらに連敗。アレクシス・アルゲリョにKOされてラストファイトとなった。)


小林弘 10R 判定 西城正三

(J・ライト級戦、1970年)

西城:左ジャブ、右ストレート、左右フック

小林:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:フランキー・クロフォード相手に四度目の防衛に成功した西城(2-0の僅差)。そして、この小林との「現役日本人世界王者同士のノンタイトル戦」(これは当時、史上初の出来事らしい)。世界J・ライト級王者の小林は初の日本人同士による世界戦で沼田義明から王座を奪った男。これまで59勝(10KO)8敗4分。「10KO」というのが気になるところだが、良いパンチの持ち主。日大講堂での一戦(TV実況席には長島茂雄、大場政夫、海老原博幸)。試合開始。互いにジャブ、そしてディフェンス。小林が接近して左右フック、右ストレート。西城はジャブを時折ヒットさせるが、得意の右ストレートをディフェンスされてしまう。7R、西城の右ストレートがヒット。10R終了。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。小林の正確なフック連打が評価されたか。右ストレートでこれまで勝ってきた西城だが、この試合ではそれを封じられた。プロボクシングは「上には上がある」世界。その後の二人。小林は次の試合でリカルド・アルレドンド相手に世界王座防衛。西城はクロフォードと世界王座を懸けて再戦。)


①「WBA World Featherweight Title 

Saijo Shozo vs. Jose Luis Pimentel」

②「WBA World Featherweight Title 

Saijo Shozo vs. Godfrey Stevens」

③「Super Featherweight

Kobayashi Hiroshi vs. Saijo Shozo」

 

2024年2月16日金曜日

西城正三(Saijo Shozo)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界フェザー級王者。ロサンゼルスで世界獲得。ラウル・ロハス戦(再戦)、フラッシュ・ベサンデ戦、ペドロ・ゴメス戦を紹介します。

西城正三(Saijo Shozo)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

西城正三(日本)

身長171cm:オーソドックス(右構え)


西城正三 15R 判定 ラウル・ロハス

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1968年)

西城:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ロハス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

6R:左フックでロハスがダウン

(感想:西城がタイトル獲得。埼玉県出身の西城。海外で世界王座奪取に成功した初めての日本人選手。また、顔がカッコいいということもあり「シンデレラボーイ」と呼ばれた。日本王座戦の経験が無いままロサンゼルスに武者修行。世界ランカー、ホセ・ルイス・ピメンテル(メキシコ)に僅差の判定負け。再戦に判定勝ち。その次の試合でWBA世界フェザー級王者ラウル・ロハス(アメリカ)とノンタイトル戦。これに判定勝ちして、ついに世界挑戦。WBA2位で、これまで16勝(3KO)5敗2分。王者ロハスは36勝(26KO)2敗。どんな内容となるか? ロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」での一戦。1R、共にジャブ。スリムな西城は距離を取って右ストレート、左フック。ロハスはジャブ連打からの右ストレート。1Rから右ストレート、左フックを食ってグラつくロハス。接近してボディを攻撃するロハスだが、西城も左ボディ打ちが巧い。3R、西城が右ストレートをヒットさせ、迫力の連打。5R、西城の左フック。6R、左フックでロハスがダウン。その後、距離を取る西城、上手く攻められないロハス、といった展開。13R、西城が力強いラッシュ。15R終了。判定は3-0。どちらが王者かわからないほど西城のペースで進んだ試合。西城はこれまでKO勝ちが三つしかないが、パンチにはキレとパワーがあった。その後、ロハスは階級をJ・ライト級に上げて、沼田義明の持つWBC王座に挑戦したがKO負け。その再起戦でマンド・ラモスにも負けて引退。)


西城正三 8R KO フラッシュ・ベサンデ

(フェザー級戦、1968年)

西城:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ベサンデ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:左フックでベサンデがダウン

2R:左フックで西城がダウン

3R:左ストレートで西城がダウン

4R:左フックで西城がダウン

7R:右フックで西城がダウン

8R:右ストレートでベサンデがダウン、連打でスタンディングダウン

(感想:世界王者になった西城が凱旋帰国、ノンタイトル戦。サウスポーのベサンデはフィリピンのフェザー級王者。これまで30勝2敗3分。後楽園ホールでの一戦。1R、ベサンデは距離を取ってジャブを使いながら左を当てようと狙う構え。西城は定評のある右ストレート、左フック。パンチにはキレがある。左フックでベサンデがダウン。警戒して受け身の姿勢になるベサンデ。西城が連打。2R、左フックで西城がダウン。油断した形でのダウン。挽回すべく西城は連打でベサンデをコーナーに追い込むが、3Rにもダウン。ベサンデの一発狙いのサウスポースタイルに上手く対応できないのか4R、7Rにもダウン。8R、右ストレートでベサンデがダウン。さらに連打でスタンディングダウン。最後は西城得意の右ストレートが「ガツン」という感じで決まってレフェリーストップ。何度もダウンを食って危なかった西城。連打ではなく、一発を食ってのダウンだったためダメージが少なかったのが逆転できた理由か? ただし、動きのキレ、バランスの良さは西城の方が上だった印象。その後、ベサンデはリカルド・アルレドンド、柴田国明らに連敗して引退。ローカルなポジションにとどまった。)


西城正三 15R 判定 ペドロ・ゴメス

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1969年)

西城:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ゴメス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:西城がタイトル初防衛。帰国第一戦でエラい目にあった西城。コンディションが気になるところ。WBA1位の挑戦者ゴメスはベネズエラの選手。これまで22勝(12KO)1敗2分。後の世界王者小林弘にTKO勝ち、ベネズエラ王座(フェザー級)獲得、といった実績。ただし、これまでの試合は全て地元で、これが初の海外試合となる。日本武道館での一戦。ガードを上げてフットワーク&ジャブのゴメス。両方のマブタに白いテープを張った西城は速いジャブを連打し、1Rから伸びのある右ストレートをヒットさせる。3R、ゴメスの左フックをキッカケに激しい打ち合い。左フックが強そうなゴメスだが、西城は左フックからの右ストレートなど手数が多い。4R、打ち合いの中、西城の右目の白いテープがポロリと落下。時折激しい連打を見せる西城に対し、ゴメスは相手に合わせた動きで自分からはあまり攻めない。10R終了後、西城ははがれかけた左目の白いテープを自らはがす。終盤、攻めるゴメス、応戦する西城。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。西城が得意の右ストレート、左フックで勝利。最終ラウンド終了時、ゴメス陣営は勝ったと思い込んでいるかのような様子だったが、自分から攻めない消極的なゴメスは挑戦者としてはもう一つだった。その後、ゴメスは連敗。ベネズエラ王座戦にも敗れて引退。)


①「WBA World Featherweight Title 

Raul Rojas vs. Saijo Shozo」

②「Featherweight

Saijo Shozo vs. Flash Besande」

③「WBA World Featherweight Title 

Saijo Shozo vs. Pedro Gomez」

 

2024年2月9日金曜日

花形進(Hanagata Susumu)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界フライ級王者。五度目の挑戦で世界獲得。大場政夫戦(再戦)、エルビト・サラバリア戦(再戦)、オラシオ・アカバロ vs. 田辺清を紹介します。

花形進(Hanagata Susumu)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

花形進(日本)

身長161cm:オーソドックス(右構え)


大場政夫 15R 判定 花形進

(WBA世界フライ級タイトル戦、1972年)

花形:左ジャブ、右ストレート、左右フック

大場:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:大場がタイトル防衛。花形は過去、WBC世界フライ級王座に二度挑戦していずれも敗北(15R判定負け)。WBA4位。これが三度目の世界挑戦。これまで34勝(4KO)10敗8分。「4KO」というのが気になるところ。大場はこれが三度目の防衛戦で31勝(13KO)2敗1分。これは再戦。初戦は花形が10R判定勝ち。日大講堂での一戦(TV解説は田辺清、ゲストにファイティング原田、海老原博幸)。ゴング前、笑顔を見せる大場。試合開始。共に速いジャブ。花形は思い切った左フックと右ストレート。大場はジャブ連打、右ストレート。互いにディフェンス。花形はパワフルではあるが、いきなりの左フックは空振りが多い。大場の右ストレートもあまり当たらない。9R、13R、花形の強烈な右ストレートがクリーンヒット。15R終了。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。大場が序盤から左目を腫らしながらもジャブ連打で僅差の勝利。なかなか力強かった花形。「4KO」というのが信じられないほど右ストレート、左フックにパワーがあった。ただ、惜しいのは単発だったこと。右ストレートからの左フックなどコンビネーションが打てる選手だったら、もっとKO数も多かったであろうし、大場にも勝てたに違いない。)


エルビト・サラバリア 15R 判定 花形進

(WBA世界フライ級タイトル戦、1975年)

花形:左ジャブ、右ストレート、左右フック

サラバリア:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:サラバリアがタイトル獲得。WBA世界フライ級王者、大場に悲劇が。新王者を決める決定戦が行われ、タイのチャチャイ・チオノイが新WBA王者に。チャチャイに挑戦した花形だが、判定負け。再度チャチャイに挑戦。計量に失敗したチャチャイが体重超過により王座剥奪。「花形が勝った場合は王者として認める」という条件で「決定戦」に変更。これにKO勝ちした花形。ようやく世界王者に。サラバリアと初防衛戦。サラバリア(フィリピン)は元WBC世界フライ級王者。これは再戦。初戦はWBC王者サラバリアに花形が挑戦する形で行われ、サラバリアが15R判定で防衛。再戦は立場を入れ替えて王者の花形にサラバリアが挑戦。富山県での一戦。花形がジャブを連打しながら、力強いワンツー、いつものように大きな左フック。サラバリアは端正なボクシング。スラリとした体格からジャブ、左フック。接近戦では共にフック連打。花形はパワフルではあるが、クリーンヒットが少ない。サラバリアはジャブ、ディフェンス。15R終了。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。「敗北」といっても打ちのめされて負ける場合と相手の巧さにうまく攻められずに負ける場合があるが、花形はいつも妙な負け方をする。この試合でもパワーがあり、パンチのキレもあった。圧倒されたわけでもない。大場戦と同じように持ってる力をうまく発揮できずに負けた。当てるテクニックに欠けていたために長く防衛できなかったのが残念。その後の二人。花形は再起戦でサラバリアに挑戦してまたしても2-1で敗北。その再起戦でミゲル・カントのWBC王座に挑戦したが、3-0で敗北。世界戦三連敗でキャリア終了。サラバリアはアルフォンソ・ロペスにKOされて王座陥落。それが最後の世界戦となった。)


田辺清 6R TKO オラシオ・アカバロ

(フライ級戦、1967年)

花形進(Hanagata Susumu)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

田辺:左ジャブ、右ストレート、左右フック

アカバロ:ジャブ、ストレート、フック

(ダウンシーン)

3R:連打でアカバロがスタンディングダウン

4R:右ストレートでアカバロがダウン

(感想:田辺は1960年のローマオリンピック、フライ級で銅メダルを獲得した男(モハメド・アリ(当時、カシアス・クレイ)はライトヘビー級で金メダルを獲得)。ファイティング原田のように小気味良いコンビネーションを使うタイプ。アカバロはアルゼンチンの選手で当時、世界フライ級王者。後楽園ホールでの一戦。ジャブで攻める田辺。アカバロは動きはそれほど速くはないが、一発ずつ強く正確に当てていこうとする。左ボディ打ちが巧い田辺。アカバロは頻繁にサウスポーにスイッチ。3R、連打でアカバロがスタンディングカウントを取られる。4R、バッティングでアカバロがドクターチェックを受ける。そして右ストレートでアカバロがダウン。6Rにもバッティング。ドクターチェック後、レフェリーは田辺の手を上げた。世界王者を下した田辺。しかし、網膜剥離で引退。これが最後の試合に(「幻の世界王者」となった)。田辺が世界王者になれたかどうかはわからないが、それだけのボクシングをしていたのは確か。アカバロはその後、海老原博幸を相手に防衛に成功。それがラストファイトとなった。)

①「WBA World Flyweight Title 

Oba Masao vs. Hanagata Susumu」

②「WBA World Flyweight Title 

Hanagata Susumu vs. Erbito Salavarria」

③「Flyweight 

Horacio Accavallo vs. Tanabe Kiyoshi」


大場政夫(Oba Masao)のページ 

2024年2月7日水曜日

大場政夫(Oba Masao)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界フライ級王者。シャープなジャブ連打。ベルクレック・チャルバンチャイ戦、ベツリオ・ゴンサレス戦、チャチャイ・チオノイ戦を紹介します。

大場政夫(Oba Masao)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

大場政夫(日本)

身長168cm:オーソドックス(右構え)


大場政夫 13R KO ベルクレック・チャルバンチャイ

(WBA世界フライ級タイトル戦、1970年)

大場:左ジャブ、右ストレート、左フック

ベルクレック:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

13R:右フック、右ストレート、連打で3度、ベルクレックがダウン

(感想:大場がタイトル獲得。東京都墨田区出身の大場。貧しい家庭の出。ボクシングで成功することを夢見て帝拳ジムに入門。デビュー七戦目で初黒星(4回戦、判定)。初の10回戦試合で花形進に判定負け(プロ二敗目)。以来、負け無し。WBA世界フライ級王者バーナベ・ビラカンポをノンタイトル戦で破る殊勲。そして、この初の世界挑戦。王者ベルクレックはタイの選手。ビラカンポから王座を奪い、これが初防衛戦。日大講堂での一戦。ゴング前、笑顔を見せる大場。スラリとした体型から速いジャブを連打し、右ストレート、左フック。左を多用し、ボディ打ちも巧い。ベルクレックは大場の左に押される形。ジャブは出ているが、手数が少ない。大場が左フックからの右ストレートといったコンビネーションで優勢。ベルクレックは時折右ストレートをヒットさせるが、ジャブ、ストレートを食って顔が赤くなっていく。8R、右ストレートを食ってベルクレックが大きくグラつく。13R、アッパー気味の右フックでベルクレックがついにダウン。足に来ており、さらに二度のダウンでKO。大場がジャブでタフな王者を追い込んだ試合。パンチにはキレと正確さがあった。その後、ベルクレックは金沢和良、チャチャイ・チオノイ、歌川善介、洪秀煥らに敗北。大場戦が最後の世界戦となった。)


大場政夫 15R 判定 ベツリオ・ゴンサレス

(WBA世界フライ級タイトル戦、1971年)

大場:左ジャブ、右ストレート、左フック

ゴンサレス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:大場がタイトル初防衛。ベルクレック戦後にノンタイトル戦でTKO勝ちした大場が初防衛戦。挑戦者ゴンサレスはベネズエラの選手。デビューから無敗でベネズエラ王座を獲得したが、二度の敗北。ビラカンポとの挑戦者決定戦に勝利するなどこのところ連勝で初の世界挑戦。これが初の海外試合となる。日大講堂での一戦。1R開始から大場がジャブ連打、右ストレート、左フック。ゴンサレスは上体を動かしながら正確なジャブを飛ばす。右が巧いゴンサレス。大場の左にかぶせるように右ストレートを打つ。大場は手数で勝負するが、右を食う。次第に相手のクセがわかってきた両者。ディフェンスしながらジャブを打ち合う展開。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。大場がジャブで先手を取り、手数で勝利。しかし、なかなか右パンチが上手かったゴンサレス。もっとパンチがあって、KOを狙って攻めるタイプだったら大場は危なかったかもしれない。その後、ゴンサレスは多くの世界戦。WBC、WBA世界フライ級王座を獲得。あのミゲル・カントにも勝利。世界フライ級王座戦の常連となり、日本のリングにも何度も上がった。)


大場政夫 12R TKO チャチャイ・チオノイ

(WBA世界フライ級タイトル戦、1973年)

大場:左ジャブ、右ストレート、左フック

チャチャイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右フックで大場がダウン

12R:連打で2度、チャチャイがダウン

(感想:大場がタイトル防衛。三度目の防衛戦で花形進を2-0で下して雪辱した大場。オルランド・アモレス(パナマ)をKOして四度目の防衛成功。ノンタイトル戦でKO勝ちを収めて、この五度目の防衛戦(大場は世界王者ながらよくノンタイトル戦を行った)。挑戦者は元WBC王者でWBA2位のチャチャイ(タイ)。エルビト・サラバリアにWBC王座を奪われた後はベルクレック・チャルバンチャイに勝利するなど負け無し。日大講堂での一戦。1R、先制攻撃のチャチャイ。大振りの右フックで大場をダウンさせる。足を痛めた大場は動きにキレがない。チャチャイは右フックだけではなく、左フック、ワンツーもパワフル。次第にパンチのキレを取り戻す大場。ジャブ、ストレート、左ボディ打ち。チャチャイのパンチに慣れてきた大場にチャチャイは空転。8R、連打、ワンツーで大場が優勢。12R、右ストレートが効いたチャチャイ。連打でダウン。さらに連打で二度目のダウン。よく立ったが、連打でレフェリーストップ。大場がタフネス、相手に対する適応力で逆転勝利。「1Rの怖さ」の見本のような試合(リングに上がって初めて解る相手の強さ・特徴。後に大場の後輩である葛西裕一は世界戦でウィルフレド・バスケスの先制攻撃により1RでKO負けしてしまったが、1Rはとにかく危険。アレクシス・アルゲリョのような名ボクサーでも序盤にダウンしてしまったこともある。相手の特徴を掴むまではディフェンス重視で戦うのが望ましい)。これで五度目の防衛に成功した大場だが、しばらくして自動車事故で急逝(サルバドル・サンチェスやヒルベルト・ローマンも激しい試合の後で事故死している。試合のダメージと事故には関係があるのだろうか?)。一方、タイ人らしく一発ずつパワーを込めて力強かったチャチャイ。大場の死後に行われた王座決定戦でこの王座(WBA世界フライ級タイトル)を獲得。花形進らを相手に防衛にも成功した。)


①「WBA World Flyweight Title 

Berkrerk Chartvanchai vs. Oba Masao」

②「WBA World Flyweight Title 

Oba Masao vs. Betulio Gonzalez」

③「WBA World Flyweight Title 

Oba Masao vs. Chartchai Chionoi」


花形進(Hanagata Susumu)のページ 

2023年12月27日水曜日

畑山隆則(Hatakeyama Takanori)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界J・ライト級、ライト級王者。強烈な左フックで二階級制覇。コウジ有沢戦、崔龍洙戦(再戦)、ジュリアン・ロルシー戦を紹介します。

畑山隆則(Hatakeyama Takanori)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

畑山隆則(日本)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


畑山隆則 9R TKO コウジ有沢

(日本J・ライト級タイトル戦、1998年)

畑山:左ジャブ、右ストレート、左右フック

有沢:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

9R:右フックで有沢がダウン

(感想:畑山がタイトル獲得。青森県青森市出身の畑山。ヨネクラジムに入門したが、環境に馴染めず京浜川崎ジムに移籍。少年のような顔立ちだが、プロデビュー後はそのパンチ力と好戦的な姿勢で連戦連勝。決定戦で東洋太平洋J・ライト級王座獲得。三度防衛後、崔龍洙のWBA世界J・ライト級王座に挑戦して引き分け。再起戦で日本王座に挑戦。王者の有沢は「双子ボクサー」として人気がある選手。これまで全勝。日本王座を五度防衛している。両国国技館での一戦。ジャブ、ワンツーで攻める有沢。畑山は上体を動かしながらジャブ。激しい接近戦。互いにボディ攻撃。左フック、右ストレートがパワフルな畑山。有沢は右フック、アッパーが印象的。9R、左ボディが効いた有沢。右フックでダウン。立ったが、ロープ際で連打を浴びてレフェリーストップ。最初から最後まで打ち合いが続いた凄まじい試合。どちらも強かったが、パンチのキレは畑山。得意の左フックが効果的だった。その後、有沢は日本王座を奪回したが、世界挑戦は無し。国内の実力者にとどまった。)


畑山隆則 12R 判定 崔龍洙

(WBA世界J・ライト級タイトル戦、1998年)

畑山:左ジャブ、右ストレート、左右フック

崔:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:畑山がタイトル獲得。WBA2位で、これまで21勝(17KO)1分の畑山が二度目の世界挑戦。以前引き分けた崔龍洙の持つWBA王座に挑戦。王者の崔は24勝(14KO)2敗1分。これが八度目の防衛戦。直前の防衛戦ではヒルベルト・セラノ(ベネズエラ。後、WBA世界ライト級王者に。畑山とも対戦)を9RでKOしている。両国国技館での再戦。畑山のセコンドには片岡鶴太郎。身長が同じでリーチも同じぐらいの両者。戦い方も似ている。ガードを上げて速いジャブ、右ストレート、左フック。接近戦ではフック、ボディ打ち。崔がジャブ、ストレート、畑山は距離を取ってジャブ、右フック。終盤は畑山がやや優勢。11R、度重なるローブローで崔が減点。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。どちらが勝ってもおかしくない内容ではあったが、畑山が右目を腫らしながらもディフェンス、フック、気迫で競り勝った。その後、崔はシリモンコン・シンワンチャー(タイ)のWBC世界スーパーフェザー級王座に挑戦したが判定負け、王座返り咲きならず。「K-1」にもチャレンジした。)


ジュリアン・ロルシー 12R 判定 畑山隆則

(WBA世界ライト級タイトル戦、2001年)

畑山:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ロルシー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ロルシーがタイトル獲得。ラクバ・シンに敗れてWBA世界J・ライト級王座を失った畑山。その再起戦でヒルベルト・セラノを下してWBA世界ライト級王座獲得。坂本博之との歴史に残る激戦、リック吉村と引き分け。これが三度目の防衛戦。挑戦者ロルシーはフランスの選手でWBA1位。元WBA王者で、王座奪回を目指す状況。さいたまスーパーアリーナでの一戦。ジャブを連打して右ストレートのロルシー。接近戦ではゴツい感じの左右フックを打つ。畑山はガードを上げてブロックしながらジャブ。接近してボディ攻撃。攻める畑山だが、ロルシーはブロックして重そうなパンチで打ち返す。下がりながらロルシーがパンチを当て、12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ディフェンスの差でロルシーが勝利。これがラストファイトとなった畑山。王者としては思ったほど活躍できなかった印象が残るが、坂本との激戦など日本人好みのファイターだった。)

①「Japanese Super Featherweight Title 

Koji Arisawa vs. Hatakeyama Takanori」

②「WBA World Super Featherweight Title 

Yong Soo Choi vs. Hatakeyama Takanori」

③「WBA World Lightweight Title 

Hatakeyama Takanori vs. Julien Lorcy」 

坂本博之(Sakamoto Hiroyuki)②のページ
(セサール・バサン戦、ヒルベルト・セラノ戦、畑山隆則戦)

2023年12月22日金曜日

具志堅用高(Gushiken Yoko)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界J・フライ級王者。13度防衛。ファン・ホセ・グスマン戦、リゴベルト・マルカノ戦(再戦)、ペドロ・フローレス戦(再戦)を紹介します。

具志堅用高(Gushiken Yoko)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

具志堅用高(日本)

身長162cm:サウスポー

具志堅用高 7R KO ファン・ホセ・グスマン

(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1976年)

具志堅:右ジャブ、左ストレート、左右フック

グスマン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:連打で2度、グスマンがダウン

4R:左ストレートでグスマンがダウン

7R:連打でグスマンがダウン

(感想:具志堅がタイトル獲得。「沖縄のカンムリワシ」こと具志堅。これまで8連勝。プロとしてのキャリアは浅い。王者グスマンはドミニカ共和国のハードパンチャー。見た目がジョージ・フォアマンに似ており、KO勝ちも多いことから「リトル・フォアマン」と呼ばれている。ハイメ・リオスから2-1の判定で王座奪取。これが初防衛戦となる。山梨県甲府市での一戦。具志堅がフットワークを使いながらジャブ、左ストレート、右フック。グスマンは相手の様子を見ているのか手数が少な目。2R、グスマンの右ストレートがヒット。しかし逆に具志堅の左ストレートがヒットし、連打でグスマンがダウン。さらに連打で二度目のダウン。3R、左フックで具志堅がピンチ。それでも前進して連打(タフ)。4R、左ストレートでグスマンがダウン。7R、連打でグスマンがダウンしてKO。具志堅がリズミカルな連打、アグレッシブな攻めで番狂わせの勝利。グスマンはパワフルだったがよく打たれた。ディフェンスのテクニックに差があった印象。なお、この試合が行われたのは「1976年10月10日」。その前日「1976年10月9日」にはロイヤル小林がリゴベルト・リアスコをKOしてWBC世界J・フェザー級王座獲得。日本のボクシングファンには嬉しい二日間となった。敗れたグスマンはその後、イラリオ・サパタに敗北するなど負けが込むようになっていった。)


具志堅用高 7R KO リゴベルト・マルカノ

(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1979年)

具志堅:右ジャブ、左ストレート、右フック

マルカノ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

7R:左ストレートでマルカノがダウン

(感想:具志堅がタイトル防衛。これまで16戦全勝(11KO)の具志堅。これが7度目の防衛戦。ベネズエラの挑戦者マルカノとは2度目の防衛戦で戦っており、そのときは具志堅が2-1の判定勝ち。神奈川県川崎市での一戦。左右のスタイルの違いはあるが、共に似た戦い方。フットワークでリズムを取り、キレのあるジャブ、ストレート。具志堅は右フック、マルカノは左フックを強く振るう。互いに相手を警戒しながら連打。6R終わり頃、具志堅の強打が連続ヒット。7R、右フックからの左ストレートでマルカノがダウン。立てず、KO。パワーとキレがある強打者同士の一戦は具志堅に軍配。どちらが勝ってもおかしくない好試合だった。その後、マルカノはグスタボ・バリャスに敗北。世界王者にはなれず。バリャスは初代WBA世界J・バンタム級王者になり、日本でも試合した。)


ペドロ・フローレス 12R TKO 具志堅用高

(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1979年)

具志堅:右ジャブ、左ストレート、左右フック

フローレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

8R:連打で具志堅がダウン

12R:連打で具志堅がダウン

(感想:フローレスがタイトル獲得。具志堅はこれまで23戦全勝(15KO)。これが14度目の防衛戦。メキシコの挑戦者フローレスとは前回の13度目の防衛戦で戦っており、そのときは具志堅が3-0の判定勝ち。そして、いわゆる「ダイレクト・リマッチ」。沖縄県具志川市での一戦。具志堅がいつものようにジャブ、ストレート、右フックを使ったコンビネーション、そしてボディ攻撃。フローレスは右ストレート、左フックを当てようとする。リズミカルに手数を出す具志堅だが、パンチのキレとパワーが若干欠けているように見える。そのためか、フローレスの攻めを止めることができない。8R、連打で具志堅がダウン。その後も打たれる具志堅。12R、連打で具志堅がダウン。立ったが、さらに連打を浴びてセコンドからタオル投入。フローレスが勢いでタイトル獲得。「具志堅」と言えば「パンチのキレ、打たれ強さ」。それが落ちていた。この試合がラストファイトに。個人的には世界フライ級王座に挑戦して欲しかったところではあるが、13度防衛は立派な記録。これでよかったのだと思う。ちなみにフローレスは初防衛戦で金煥珍に敗れ、王座陥落。具志堅の後輩にあたる渡嘉敷勝男が金を攻略し、日本にWBA世界J・フライ級王座を取り戻した。)

①「WBA World Light Flyweight Title 

Juan Guzman vs. Gushiken Yoko」

②「WBA World Light Flyweight Title 

Gushiken Yoko vs. Rigoberto Marcano」

③「WBA World Light Flyweight Title 

Gushiken Yoko vs. Pedro Flores」

渡嘉敷勝男(Tokashiki Katsuo)のページ 

2023年12月20日水曜日

ロイヤル小林(Royal Kobayashi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC世界J・フェザー級王者。世界的強豪と激突したハードパンチャー。リゴベルト・リアスコ戦、天熊丸木戦、松島幸一戦を紹介します。

ロイヤル小林(Royal Kobayashi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ロイヤル小林(日本)

身長166cm:オーソドックス(右構え)


ロイヤル小林 8R TKO リゴベルト・リアスコ

(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1976年)

小林:左ジャブ、右ストレート、左右フック

リアスコ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

7R:左フックでリアスコがダウン

8R:右ストレートでリアスコがダウン

(感想:小林がタイトル獲得。熊本県下益城(しもましき)郡出身の小林。アマチュアではミュンヘン・オリンピックでベスト8。国際ジムからプロデビュー。KO勝ちが多く、全勝でアレクシス・アルゲリョのWBA世界フェザー級王座に挑戦。これに惨敗。階級を下げて二度目の世界挑戦。王者リアスコはスラリとした体型のパナマ人。WBC世界J・フェザー級王座の初代王者。これが三度目の防衛戦となる。蔵前国技館での一戦。共にジャブ。足とジャブで距離を取りたいリアスコ。小林は右ストレート、左フック、ボディ打ちで攻める姿勢。クリンチが多いリアスコ。もみ合いの展開。7R、打ち抜くような左フックでリアスコがダウン。8R、右ストレートでリアスコが二度目のダウン。立ったが、最後は右ストレートが「ガツン」と入ってレフェリーストップ。小林が強打で勝利。クリンチが多かったリアスコ。それだけ小林のパンチが強かったのだろう。リアスコはこれが事実上のラストファイト。ブランク後、カムバックしたが王座獲得ならず。)


その後

1976年、小林は韓国・ソウルで廉東均に15R判定負けで王座陥落。王座奪回を目指して新王者ウィルフレド・ゴメスに挑戦したが、相手が悪かった。3Rで無惨なKO負け(ゴメスの二度目の防衛戦。後、17連続KO防衛達成)。ゴメス戦の次の試合で東洋太平洋フェザー級王座獲得。東洋王者としてエウセビオ・ペドロサの持つWBA世界フェザー級王座に挑戦したがTKO負け。結果的にこれが最後の世界戦となった。)


ロイヤル小林 6R KO 天熊丸木

(東洋太平洋フェザー級タイトル戦、1980年)

小林:左ジャブ、右ストレート、左右フック

丸木:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:左フックで丸木がダウン

6R:連打で丸木がスタンディングダウン

(感想:小林がタイトル防衛。王者の小林はこれまで31勝(25KO)6敗。これが四度目の防衛戦。東洋4位の丸木は31勝(15KO)10敗6分で、アフロな頭とヒゲの「具志堅スタイル」。サムエル・セラノのWBA世界J・ライト級王座に挑戦して判定負けしたことがある。名古屋での一戦。共にジャブ。前に出る小林、足を使って距離を取りながら応戦する丸木。接近戦。小林がボディ攻撃。丸木は左フック連打。左フックが強い丸木だが、小林がジャブで先手を取る。4R、強烈な左フックで丸木がダウン。攻める小林。打ち合いに応じる丸木だが6Rにスタンディングダウン。レフェリーに背を向けたままカウントアウト。小林が攻める姿勢、パワーで勝利。丸木は左フックは悪くなかったが、右がイマイチで攻めるリズムが良くない感じだった。)


ロイヤル小林 8R TKO 松島幸一

(東洋太平洋フェザー級タイトル戦、1981年)

小林:左ジャブ、右ストレート、左右フック

松島:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

8R:連打で松島がダウン

(感想:小林がタイトル防衛。これまで33勝(26KO)6敗で世界3位の小林が六度目の防衛戦。東洋1位の松島は15勝(10KO)4敗2分。スパイダー根本と日本フェザー級王座を争ったときはKO負けに終わっている。後楽園ホールでの一戦。共に左ジャブ、右ストレート、接近戦で左右フック。小林は右ストレート、左フックが強い。2R、松島の左フック、右ストレートがヒット。しかし次第に小林が優勢に。8R、連打で松島がダウン。立ったがレフェリーストップ。ディフェンスに差があった。その後、小林は八度目の防衛戦に敗れて引退。世界王者としては長く活躍できなかったが、アレクシス・アルゲリョ、ウィルフレド・ゴメス、エウセビオ・ペドロサといった世界の名ボクサーと試合をしたことで名を残すこととなった。)

①「WBC World Super Bantamweight Title

Rigoberto Riasco vs. Royal Kobayashi」

②「OPBF Featherweight Title 

Royal Kobayashi vs. Maruki Takao」

③「OPBF Featherweight Title 

Royal Kobayashi vs. Matsushima Koichi」

アレクシス・アルゲリョ(Alexis Argüello)のページ

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ウィルフレド・ゴメス(Wilfredo Gomez)のページ

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エウセビオ・ペドロサ(Eusebio Pedroza)のページ 

2023年12月6日水曜日

六車卓也(Muguruma Takuya)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界バンタム級王者。「エンドレスファイター」の世界戦。朴讃栄戦、ウィルフレド・バスケス戦、ファン・ホセ・エストラーダ戦を紹介します。

六車卓也(Muguruma Takuya)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

六車卓也(日本)

身長166cm:オーソドックス(右構え)


朴讃栄 11R TKO 六車卓也

(WBA世界バンタム級タイトル戦、1987年)

六車:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

朴:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:朴がタイトル獲得。これが初防衛戦となる王者の六車はこれまで25勝(19KO)1敗1分。WBA1位の朴は24勝(7KO)3敗2分。カオサイ・ギャラクシーと対戦したときは負けたが判定まで頑張ったタフ男。大阪・守口市での一戦。ゴング前、郷ひろみが六車を花束で激励。いつものようにジャブ、右ストレートで攻める六車。朴は右ストレート、左ボディフックで応戦。互いにパワーを込めて打ち合う接近戦。3R、朴のバッティングで六車がダウン。その後も激しい打ち合い。6R、六車の右ストレートで朴のマウスピースが落下。しかし、タフな朴。9R、左フックを食って六車がピンチ。11R、連打でレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。この試合で問題となった3Rのバッティング。あれが無かったら六車は勝っていただろうか? なかなかタフだった朴。六車の打ちつ打たれつの戦い方だと朴の方が最初から有利だったような気がする。しかしながら朴も初防衛に失敗。ウィルフレド・バスケスにKOされてしまった。)


ウィルフレド・バスケス 12R 引分 六車卓也

(WBA世界バンタム級タイトル戦、1988年)

六車:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

バスケス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:バスケスがタイトル防衛。朴をKOして王者になったバスケスはプエルトリコのハードパンチャー(後に三階級制覇)。これまで31勝(29KO)3敗1分1ノーコンテスト。六車がWBA4位として挑戦。大阪での一戦。ベルトを巻いて入場のバスケス。比較的ゆっくりしたリズムでジャブを使うが、右ストレートと左フックにはパワーとスピード。六車がディフェンスしながら接近戦を仕掛ける。ストレート、左フック、ボディ攻撃。バスケスはフックで応戦。一発のパワーはバスケス。六車のガードの隙を突いて強打。4R、焦ったのかバスケスがラウンド終了のコング後にパンチ。その後、足で距離を取るバスケス。六車は右目が腫れていく。最終ラウンド終了時、共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定はドロー(ダウンシーンは無し)。バスケスが正確な強打とディフェンスで王座を死守。よく攻めた六車だが、強打を浴びて顔が腫れていた。それが女性ジャッジには気に食わなかったらしい。)


ファン・ホセ・エストラーダ 11R TKO 六車卓也

(WBA世界J・フェザー級タイトル戦、1988年)

六車:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

エストラーダ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:右フックで六車がダウン

11R:右フックで六車がダウン

(感想:エストラーダがタイトル防衛。六車が二階級制覇に挑戦。王者「ダイナマイト」エストラーダ(メキシコ)はこれまで32勝(26KO)7敗。ベルナルド・ピニャンゴを破って王座に就き、これが初防衛戦。大阪・守口市での一戦(六車が世界王座を獲り、初防衛に失敗した会場。今回はどうか?)。なかなかの強さを見せるエストラーダ。足を使って慎重に距離を取りながら離れたポジションから長いジャブ、右ストレート。左が器用で、左フックを連続して打つ。左フックからの右ストレートといったコンビネーションはリズミカルかつパワフル。六車はいつものように右ストレート、左フックで攻めようとするが、エストラーダはフットワークとディフェンスで当てさせない。4R、右フックで六車がダウン。6R、六車がラッシュをかける。しかし、六車は顔が腫れていき、11Rに右フックでダウン。そして連打でレフェリーストップ。コーナーからストップと同時にタオルが投げ入れられた。エストラーダは離れても接近しても強かった(その後も王座を防衛)。六車は打ち合うタイプだったため、自分よりタフだったり、パワーがある選手には敵わなかった。六車はこれで引退。手数が多いファイターだった六車。勝っても負けてもリングサイドを沸かせたエキサイティングな選手だった。)

①「WBA World Bantamweight Title 

Muguruma Takuya vs. Chan Young Park」

②「WBA World Bantamweight Title 

Wilfredo Vazquez vs. Muguruma Takuya」

③「WBA World Super Bantamweight Title 

Juan Jose Estrada vs. Muguruma Takuya」

渡辺二郎(Watanabe Jiro)のページ

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辰吉丈一郎(Tatsuyoshi Joichiro)のページ

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ウィルフレド・バスケス(Wilfredo Vazquez)のページ 

2023年12月1日金曜日

六車卓也(Muguruma Takuya)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界バンタム級王者。右ストレートが武器の「エンドレスファイター」。岩本弘行戦、オサム一雄戦、アサエル・モラン戦を紹介します。

六車卓也(Muguruma Takuya)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

六車卓也(日本)

身長166cm:オーソドックス(右構え)


六車卓也 5R TKO 岩本弘行

(日本J・フェザー級タイトル戦、1983年)

六車:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

岩本:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:六車がタイトル獲得。「大阪帝拳」所属の六車。元々はラグビーをやっていたが、大学でボクシングを始める。アマチュアではわずか3戦(2勝1敗)。プロ入り後、14連勝(9KO)。日本1位として王座挑戦。これまで25勝(4KO)7敗3分の岩本は安定王者(トランクスには「エンドレス」の文字。どうやらコチラの方が先輩「エンドレス」らしい)。共にリズミカルなジャブ、そして右ストレート。左フックが巧い岩本。六車は右ストレートを狙う。次第に岩本の右目が腫れ、負傷。4R、岩本がキズのドクターチェックを受ける(二回)。4R終了で岩本が棄権。キズによるものと思われる。ダウンシーンは無し。なかなか力強かった六車。左フックにもパワーがあった。岩本はテクニックで勝ってきた選手。六車を止めることはできなかった。これで岩本は引退。)


六車卓也 5R TKO オサム一雄

(日本J・フェザー級タイトル戦、1986年)

六車:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

オサム:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

5R:左フックでオサムがダウン

(感想:六車がタイトル防衛。日本王座を防衛し続ける六車だが、崔然甲(韓国)と空位の東洋太平洋J・フェザー級王座を争って判定負け、初黒星。その後も日本王座防衛。これまで20勝(14KO)1敗1分。オサム戦は七度目の防衛戦となる。17勝(11KO)4敗2分で日本1位のオサムは時々スイッチするが基本はサウスポーの選手。オサムがジャブ、左ストレート。六車は打たれながらも接近して右ストレート、左フック。接近戦ではフックの打ち合い。オサムのボディ打ちが印象的。4R、右ストレート、左フックを決めて六車が優勢に。5R、左フックでオサムがダウン。立ったが、レフェリーストップ。序盤はオサムが左ストレートをヒットさせていたが、六車がタフな接近戦で流れを変えた。六車はパンチの打ち方(特に左フック)も良かった。その後、オサムは負けが込むようになっていき、六車戦が唯一の王座戦となった。)


六車卓也 5R KO アサエル・モラン

(WBA世界バンタム級王座決定戦、1987年)

六車:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

モラン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

5R:連打、左フックで2度、モランがダウン

(感想:六車がタイトル獲得。WBA王者ベルナルド・ピニャンゴに挑戦する予定だった六車。ピニャンゴが王座を返上したため、パナマのモランと王座決定戦。モランはパナマ王座、WBAの地域王座(いずれもバンタム級)を獲得してきた実績があり、このところ連勝中。ただし、これまでの試合は全て地元。初の海外試合でどんな動きを見せるか? 大阪・守口市での一戦。キラキラしたブルーのトランクスの六車。いつものように連打で前進。モランはジャブ、思い切って打つ右ストレートが力強い。攻める六車。距離を取りたいモランは下がりながらジャブ、フックで応戦。接近戦。4R終了間際の右ストレートでモランがゴング後にダウン。5R、連打を浴びてヒザをつくモラン。左フックで再びダウン。立てず、KO。六車が時折被弾しながらも、いつもの連打戦法で世界獲得。モランは良いパンチを打っていたが、受け身の姿勢。気持ちで負けていたように見えた。その後、モランはパナマ王座戦(J・フェザー級)で活躍したが負けが多く、六車戦が唯一の世界戦となった。)

①「Japanese Super Bantamweight Title 

Iwamoto Hiroyuki vs. Muguruma Takuya」

②「Japanese Super Bantamweight Title 

Muguruma Takuya vs. Osamu Kazuo」

③「vacant WBA World Bantamweight Title 

Muguruma Takuya vs. Azael Moran」

渡辺二郎(Watanabe Jiro)のページ

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辰吉丈一郎(Tatsuyoshi Joichiro)のページ 

2023年10月6日金曜日

今里光男(Imazato Mitsuo)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

日本バンタム級王者。ファイティング原田の弟子。日本王座戦の磯上修一戦(初戦)、島袋忠司戦、高橋直人戦(再戦)を紹介します。

今里光男(Imazato Mitsuo)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

今里光男(日本)

身長 cm:オーソドックス(右構え)


今里光男 4R KO 磯上修一

(日本バンタム級タイトル戦、1983年)

今里:左ジャブ、右ストレート、左右フック 

磯上:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

(ダウンシーン)

4R:右ストレートで磯上がダウン

(感想:今里がタイトル獲得。日本2位の今里は好戦的なファイター。これまで13勝(5KO)6敗(KO負けがあるのが気になるところ)。「トーア・ファイティング」ジム所属で、セコンドには世界のファイティング原田。磯上は世界挑戦の経験もあるベテランで30勝(16KO)4敗4分。左が巧い今里。左ジャブ、左フックで1Rからラッシュ。磯上はショートパンチで応戦。接近戦。勢いに乗る今里がリズミカルな攻撃で優勢。4R、打ち下ろすような右ストレートで磯上がダウン。立ったがカウントアウト。今里が攻撃力で豪快な勝利。ただ、真っ直ぐ攻めてパンチをもらうシーンも。再戦も今里が勝利。)


今里光男 2R KO 島袋忠司

(日本バンタム級タイトル戦、1986年)

今里:左ジャブ、右ストレート、左右フック 

島袋:左ジャブと右ストレート   

(ダウンシーン)

2R:右フックで島袋がダウン

(感想:今里がタイトル防衛。磯上戦後、東洋太平洋バンタム級王座の獲得に失敗した今里。日本王座の五度目の防衛戦でKO負け、王座陥落。判定で王座奪回。そのタイトルの二度目の防衛戦。相手は実力者。日本1位の島袋。これまで10勝(7KO)1分で無敗。フットワークを使いながらジャブを多く出す島袋。今里もジャブ。共に良い右ストレートを打つ。2R、右フックからの左フックをキッカケに今里がラッシュ。右フックで島袋がダウン。立ったが足に来ており、カウントアウトされた。今里の倒し方は実に豪快。ラッシュをかけるときの攻め方がルーベン・オリバレスに似ていた。島袋はジャブを多用し、長いストレートを打つなど良い選手。後にこのタイトルを獲得。)


高橋直人 3R KO 今里光男

(日本バンタム級タイトル戦、1987年)

今里:左ジャブ、右ストレート、左右フック 

高橋:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

(ダウンシーン)

2R:右フックで今里がダウン

3R:左フックで今里がダウン

(感想:高橋がタイトル防衛。攻撃力が魅力の今里だが、打たれ弱さがあるため安定しない。島袋戦の次の試合でマーク堀越にKO負け。新鋭の高橋にもKOされて王座陥落。ダイレクト・リマッチで王座奪回なるか、といったところ。共に軽快な動きでジャブ、ストレート、左フック。2R、接近戦で高橋の右が連続ヒット。そして右フックで今里がダウン。3R、左フックで今里がダウン、KO。かなり痛烈なダウンで今里は試合終了後もしばらく立てないほどだった。動きはどちらも良かったが、高橋が思い切りのいい攻撃でパワフルに勝利。結局、今里も高橋も世界には手が届かなかったが、攻撃センスは世界レベル。国内マッチのファンは彼らのことを世界王者並に記憶し続けるだろう。)

①「Japanese Bantamweight Title 

Isogami Shuichi vs. Imazato Mitsuo」

②「Japanese Bantamweight Title 

Imazato Mitsuo vs. Shimabukuro Tadashi」

③「Japanese Bantamweight Title 

Takahashi Naoto vs. Imazato Mitsuo」

高橋ナオト(Takahashi Naoto)のページ 

2023年9月29日金曜日

輪島功一(Wajima Kouichi)④「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」 

WBA世界J・ミドル級タイトル戦。「柳済斗 vs. 三迫将弘」「柳済斗 vs. 輪島功一(再戦)」「エディ・ガソ vs. 輪島功一(ラストファイト)」を紹介します。

柳済斗(韓国)

身長175cm:オーソドックス(右構え)


柳済斗 6R KO 三迫将弘

(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1975年)

柳:左ジャブ、右ストレート、左右フック

三迫:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

6R:右フック、右アッパー、右フックで3度、三迫がダウン

(感想:柳がタイトル防衛。輪島をKOして王者になった柳の初防衛戦。挑戦者の三迫は「三迫ジム」会長の三迫仁志の甥。これが初の王座戦。「経験」という点で疑問のあるチャレンジャーのような気もするが、このところ連勝中。日本での一戦。1R、柳がジャブで相手にプレッシャーをかける。三迫は足を使って距離を取りながら右ストレートを狙う。柳の右フック、三迫の右ストレートがヒット。しかしながら、三迫はジャブの打ち方が良くない。そのため柳の前進を止めることができず、得意の右ストレートが当たらない。4R、三迫が「カエル跳び」。5R、柳はヘディング、相手の首をホールドして打撃といった反則を入れながら左右フックでボディ攻撃。6R、右ストレートのカウンターが効いた三迫。右フック、右アッパーで二度のダウン。その後、逆に三迫の右ストレートがカウンターでヒット。しかし、ピンチをクリンチでしのいだ柳が右フックで三度目のダウンを奪って、KO勝ち。三迫はいい右ストレートを打ち、柳のパンチをよくかわしていた。ジャブがもっと強かったら勝てたかもしれない。しかし、その後は王座戦をすることなくキャリアを終えた。)

輪島功一(Wajima Kouichi)④「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

輪島功一(日本)

身長171cm:オーソドックス(右構え)


輪島功一 15R KO 柳済斗

(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1976年)

輪島:左ジャブ、右ストレート、左右フック

柳:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

15R:右ストレートで柳がダウン

(感想:輪島がタイトル奪回。再戦。これまで41勝(25KO)1敗1分の柳。輪島は30勝(24KO)4敗1分で世界9位。王座奪回なるか、といったところ。スピードが無い輪島。初戦では接近戦をクリンチで阻止されて中間距離からのストレート、フックを浴びてしまったが、今回はブロックしながらジャブを使い、フック連打。柳は下がったりしながら距離を取ってジャブ、右ストレート。輪島のジャブに押され気味の柳。9R、輪島のパンチが連続ヒット。柳は時折強打するが、空振りも多い。15R、右ストレートで柳が右ヒザをつくダウン。ロープにもたれたままカウントアウト。TV画面には「輪島、奇跡のタイトル奪還!」。本来なら輪島は勝てなかったはず。しかし、ジャブを打たれて柳は力が抜けていくような感じになった。初戦とは違う戦い方で勝利した輪島。これが彼の言うところの「駆け引き」なのだろう。)


エディ・ガソ 11R TKO 輪島功一

(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1977年)

輪島:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ガソ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

11R:左フックで輪島がダウン

(感想:ガソがタイトル防衛。ホセ・デュランに敗れて王座を失った輪島(世界6位)。四度目の王座獲得を目指してニカラグアのエディ・ガソ(これまで35勝(19KO)4敗2分)に挑戦。リングサイドでは相撲の輪島が観戦。ジャブを使うガソ。しかしながら、あまりバランスのいい選手ではなく、ストレート、フックの打ち方も良くない。輪島は低い姿勢で前進するが、動きのスピードがない。互いに不器用。ぎこちない接近戦。ガソの大振りのパンチがヒット。10R終了時、ガソの右フックで輪島がダウン(「ゴング後のパンチ」という扱い?)。11R、右フックからの左フックで輪島がダウン。立ったが、セコンドからタオル投入で試合終了。終始ヨレヨレだった輪島。観戦していて戦いの内容よりもダメージの方が気になった。しかし、その後タレント活動などをしているところを見ると大丈夫そう。何ともタフな選手だった。)

①「WBA World Super Welterweight Title 

Je Doo Yuh vs. Misako Masahiro」

②「WBA World Super Welterweight Title 

Je Doo Yuh vs. Wajima Kouichi」

③「WBA World Super Welterweight Title 

Eddie Gazo vs. Wajima Kouichi」

輪島功一(Wajima Kouichi)①

(カルメロ・ボッシ戦、ドメニコ・チベリア戦、マット・ドノバン戦)

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輪島功一(Wajima Kouichi)②

(ミゲル・デ・オリベイラ戦(初戦)、シルバノ・ベルチニ戦、ミゲル・デ・オリベイラ戦(再戦))

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輪島功一(Wajima Kouichi)③

(オスカー・アルバラード戦(初戦・再戦)、柳済斗戦(初戦))