2024年2月7日水曜日

大場政夫(Oba Masao)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界フライ級王者。シャープなジャブ連打。ベルクレック・チャルバンチャイ戦、ベツリオ・ゴンサレス戦、チャチャイ・チオノイ戦を紹介します。

大場政夫(Oba Masao)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

大場政夫(日本)

身長168cm:オースドックス(右構え)

大場政夫 13R KO ベルクレック・チャルバンチャイ

(WBA世界フライ級タイトル戦、1970年)

大場:左ジャブ、右ストレート、左フック

ベルクレック:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

13R:右フック、右ストレート、連打で3度、ベルクレックがダウン

(感想:大場がタイトル獲得。東京都墨田区出身の大場。貧しい家庭の出。ボクシングで成功することを夢見て帝拳ジムに入門。デビュー七戦目で初黒星(4回戦、判定)。初の10回戦試合で花形進に判定負け(プロ二敗目)。以来、負け無し。WBA世界フライ級王者バーナベ・ビラカンポをノンタイトル戦で破る殊勲。そして、この初の世界挑戦。王者ベルクレックはタイの選手。ビラカンポから王座を奪い、これが初防衛戦。日大講堂での一戦。ゴング前、笑顔を見せる大場。スラリとした体型から速いジャブを連打し、右ストレート、左フック。左を多用し、ボディ打ちも巧い。ベルクレックは大場の左に押される形。ジャブは出ているが、手数が少ない。大場が左フックからの右ストレートといったコンビネーションで優勢。ベルクレックは時折右ストレートをヒットさせるが、ジャブ、ストレートを食って顔が赤くなっていく。8R、右ストレートを食ってベルクレックが大きくグラつく。13R、アッパー気味の右フックでベルクレックがついにダウン。足に来ており、さらに二度のダウンでKO。大場がジャブでタフな王者を追い込んだ試合。パンチにはキレと正確さがあった。その後、ベルクレックは金沢和良、チャチャイ・チオノイ、歌川善介、洪秀煥らに敗北。大場戦が最後の世界戦となった。)


大場政夫 15R 判定 ベツリオ・ゴンサレス

(WBA世界フライ級タイトル戦、1971年)

大場:左ジャブ、右ストレート、左フック

ゴンサレス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:大場がタイトル初防衛。ベルクレック戦後にノンタイトル戦でTKO勝ちした大場が初防衛戦。挑戦者ゴンサレスはベネズエラの選手。デビューから無敗でベネズエラ王座を獲得したが、二度の敗北。ビラカンポとの挑戦者決定戦に勝利するなどこのところ連勝で初の世界挑戦。これが初の海外試合となる。日大講堂での一戦。1R開始から大場がジャブ連打、右ストレート、左フック。ゴンサレスは上体を動かしながら正確なジャブを飛ばす。右が巧いゴンサレス。大場の左にかぶせるように右ストレートを打つ。大場は手数で勝負するが、右を食う。次第に相手のクセがわかってきた両者。ディフェンスしながらジャブを打ち合う展開。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。大場がジャブで先手を取り、手数で勝利。しかし、なかなか右パンチが上手かったゴンサレス。もっとパンチがあって、KOを狙って攻めるタイプだったら大場は危なかったかもしれない。その後、ゴンサレスは多くの世界戦。WBC、WBA世界フライ級王座を獲得。あのミゲル・カントにも勝利。世界フライ級王座戦の常連となり、日本のリングにも何度も上がった。)


大場政夫 12R TKO チャチャイ・チオノイ

(WBA世界フライ級タイトル戦、1973年)

大場:左ジャブ、右ストレート、左フック

チャチャイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右フックで大場がダウン

12R:連打で2度、チャチャイがダウン

(感想:大場がタイトル防衛。三度目の防衛戦で花形進を2-0で下して雪辱した大場。オルランド・アモレス(パナマ)をKOして四度目の防衛成功。ノンタイトル戦でKO勝ちを収めて、この五度目の防衛戦(大場は世界王者ながらよくノンタイトル戦を行った)。挑戦者は元WBC王者でWBA2位のチャチャイ(タイ)。エルビト・サラバリアにWBC王座を奪われた後はベルクレック・チャルバンチャイに勝利するなど負け無し。日大講堂での一戦。1R、先制攻撃のチャチャイ。大振りの右フックで大場をダウンさせる。足を痛めた大場は動きにキレがない。チャチャイは右フックだけではなく、左フック、ワンツーもパワフル。次第にパンチのキレを取り戻す大場。ジャブ、ストレート、左ボディ打ち。チャチャイのパンチに慣れてきた大場にチャチャイは空転。8R、連打、ワンツーで大場が優勢。12R、右ストレートが効いたチャチャイ。連打でダウン。さらに連打で二度目のダウン。よく立ったが、連打でレフェリーストップ。大場がタフネス、相手に対する適応力で逆転勝利。「1Rの怖さ」の見本のような試合(リングに上がって初めて解る相手の強さ・特徴。後に大場の後輩である葛西裕一は世界戦でウィルフレド・バスケスの先制攻撃により1RでKO負けしてしまったが、1Rはとにかく危険。アレクシス・アルゲリョのような名ボクサーでも序盤にダウンしてしまったこともある。相手の特徴を掴むまではディフェンス重視で戦うのが望ましい)。これで五度目の防衛に成功した大場だが、しばらくして自動車事故で急逝(サルバドル・サンチェスやヒルベルト・ローマンも激しい試合の後で事故死している。試合のダメージと事故には関係があるのだろうか?)。一方、タイ人らしく一発ずつパワーを込めて力強かったチャチャイ。大場の死後に行われた王座決定戦でこの王座(WBA世界フライ級タイトル)を獲得。花形進らを相手に防衛にも成功した。)


①「WBA World Flyweight Title 

Berkrerk Chartvanchai vs. Oba Masao」

②「WBA World Flyweight Title 

Oba Masao vs. Betulio Gonzalez」

③「WBA World Flyweight Title 

Oba Masao vs. Chartchai Chionoi」


花形進(Hanagata Susumu)のページ 

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