2025年7月11日金曜日

ブロンコ・マッカート(Bronco McKart)&トーマス・テート(Thomas Tate)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ミドル級の実力者。「マッカート vs. アーロン・デイヴィス、ジェイソン・パピリオン」「テート vs. マリオ・アレオラ」を紹介します。


ブロンコ・マッカート(アメリカ)

身長183cm:サウスポー


ブロンコ・マッカート 12R 判定 アーロン・デイヴィス

(WBCインター・ジュニアミドル級タイトル戦、1995年)

ブロンコ・マッカート(Bronco McKart)&トーマス・テート(Thomas Tate)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

マッカート:右ジャブ、左ストレート、フック

デイヴィス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:マッカートがタイトル防衛。ミシガン州モンロー出身のマッカート。デビュー以来、好調(24勝(17KO)1敗)。WBCインター王座を獲得し、防衛中。ニックネームは「スーパーマン」。マネージャーはあのジャッキー・カレン(女性。ジェームズ・トニーのマネージでも有名)。40勝(25KO)3敗のデイヴィスは元WBA世界ウェルター級王者。コチラもニックネームは「スーパーマン」。どちらが本物の「スーパーマン」なのか? コネチカット州マシャンタケットでの一戦。サウスポーのマッカートがジャブ連打。キラキラ光る赤いトランクスのデイヴィスはジャブを使いながら接近し、フックを叩き込む。ボクサータイプで勝負かと思われたマッカートが接近戦に応じる。力強い左右フック連打、右ボディ打ち。タフなデイヴィスはパワーはあるが、動きが固め。手数でマッカートが優勢か。8R、デイヴィスの強烈な左アッパー。最後まで接近戦が続いて12R終了。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。コンビネーションで攻めたマッカートが手数で勝利。マッカートは接近戦にも自信があるようでよく打ち合ったが、距離を取った方がもっと良い勝ち方になったのではないかという気がする。デイヴィスは残念。一発一発にパワーを込めるため流れるような攻撃ができない。世界王座を失ったときもそうだった。)


ブロンコ・マッカート 12R 判定 ジェイソン・パピリオン

(北米J・ミドル級タイトル戦、2000年)

マッカート:右ジャブ、左ストレート、フック

パピリオン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

1R:右フックでパピリオンがダウン

12R:右フックでパピリオンがダウン

(感想:マッカートがタイトル獲得。アーロン・デイヴィスに勝利後、決定戦に勝利してWBO世界J・ミドル級王者になったマッカート。しかし、初防衛戦でロナルド・ライトに判定負けして王座陥落。IBA王座(J・ミドル級)を獲得し、次は北米王座を狙う。王者パピリオン(アメリカ)はこれが初防衛戦。ノンタイトル戦でマッカートに負けた次の試合で北米王座を獲得。初防衛と雪辱を懸けてマッカートと再戦。デトロイトでの一戦(リングサイドでトーマス・ヒットマン・ハーンズが観戦)。互いにジャブ。1R、左を使いながら右を当てようとするパピリオンだが、攻めが単発。マッカートはディフェンスしながら流れるようなコンビネーション。右フックでパピリオンがダウン。その後、マッカートは接近して左右フック連打、ボディ打ち。距離を取りたいパピリオンはジャブを使いながら意表を突くようなタイミングで右ストレート。しかし、マッカートはブロック、コンビネーション、左カウンター。12R、右フックでパピリオンがダウン(レフェリーはよくパンチが見えなかったらしく「スリップ」扱い)。12R終了。判定は3-0。連打でマッカートが勝利。アーロン・デイヴィス戦と似たような内容だった。その後の二人。パピリオンは世界王座、全米王座に挑戦するチャンスを得たが、勝てず。その後も多くの試合に出場したが、勝ったり負けたりでキャリア終了。マッカートはまたしてもロナルド・ライトに敗北(パピリオンもライトにIBF王座戦で敗北)。結局、WBO王座陥落後はマイナー王座、地域王座を獲得するにとどまった。一発で倒すようなパワーに欠けていたのが原因と思われる。)


トーマス・テート(アメリカ)

身長178cm:オースドックス(右構え)

ブロンコ・マッカート(Bronco McKart)&トーマス・テート(Thomas Tate)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

トーマス・テート 2R KO マリオ・アレオラ

(ミドル級戦、1992年)

テート:左ジャブ、右ストレート、フック

アレオラ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(ダウンシーン)

2R:ワンツーでアレオラがダウン

(感想:デトロイト出身のテート(兄貴はオリンピック金メダリストで、プロではIBF世界ミドル級王者になったフランク・テート)。プロデビュー以来、連戦連勝だったが、IBFのインター王座戦に敗北し、初黒星。WBC24位として再び上昇を狙う状況。アレオラは負けが多いメキシカン。メキシコシティでの一戦。ジャブを連打するテート。アレオラはワンツー。右のパンチは悪くはないが、左はあまり巧くない印象。2R、左右フック連打でラッシュするアレオラ。それをディフェンスしたテート。ワンツーでアレオラからダウンを奪う。アレオラは10カウント内に立てず、KO。テートがキレイなワンツーで勝利。左フックも打ち方が良かった(兄フランクと同様、正統派)。テートはこの次の試合でWBC世界ミドル級王者ジュリアン・ジャクソンに挑戦したが、判定負け。ロイ・ジョーンズ・ジュニア、スベン・オットケの世界王座にも挑戦したが、勝てず。マイナー団体の世界王座、地域王座の獲得にとどまった。)


①「WBC International Super Welterweight Title 

Bronco McKart vs. Aaron Davis」

②「NABF Super Welterweight Title 

Jason Papillion vs. Bronco McKart」

③「Middleweight

Thomas Tate vs. Mario Arreola」


ロナルド・ライト(Ronald "Winky" Wright)のページ

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アーロン・デイヴィス(Aaron "Superman" Davis)のページ

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ジュリアン・ジャクソン(Julian "The Hawk" Jackson)のページ

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ロイ・ジョーンズ・ジュニア(Roy Jones, Jr.)のページ

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フランク・テート(Frank Tate)のページ

2025年7月6日日曜日

ジョー・リプシー(Joe Lipsey)&クリス・ピアット(Chris Pyatt)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ミドル級のホープ。「リプシー vs. マーク・ヤング、デリク・ジェームス」「クリス・ピアット  vs. タピーシャ」を紹介します。


ジョー・リプシー(アメリカ)

身長175cm:サウスポー

ジョー・リプシー(Joe Lipsey)&クリス・ピアット(Chris Pyatt)

ジョー・リプシー 1R KO マーク・ヤング

(ミドル級戦、1990年)

リプシー:右ジャブ、左ストレート、フック   

ヤング:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

1R:左ストレート連打でヤングがダウン

(感想:ミドル級の黒人ホープ、リプシーは23歳。ミシシッピ州の選手で、ニックネームは「スレッジハンマー」。ヤングはよくわからない選手(ミシガン州の選手だが、勝ち星が無い)。ミシガン州ディアボーンでの一戦。サウスポースタイルからジャブ、伸びのある左ストレートのリプシー。ヤングはフットワーク&ワンツー。左フックからの右ストレートといったコンビネーションも出すが、ディフェンスができていない印象。そんなヤングにリプシーがロープ際で左ストレート連打。うつぶせに倒れたヤングは立てず、KO。リプシーが二線級の相手に楽勝。左ストレートに伸びとパワーがあった。ヤングはどうやら「かませ犬」(この表現は個人的に好きではないが)だったようだ。アメリカのミドル級はレベルが高いが、強い選手とそうでない選手の格差が大きい。)


ジョー・リプシー 9R TKO デリク・ジェームス

(ミドル級戦、1994年)

リプシー:右ジャブ、左ストレート、フック   

ジェームス:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

1R:右フックでリプシーがダウン

4R:左フックでリプシーがダウン

5R:左ストレートでジェームスがダウン

8R:左フックでジェームスがダウン

9R:右フックでジェームスがダウン

(感想:ミドル級のホープ対決。これまで23戦全勝(18KO)で世界ランカーのリプシー。ジェームスはテキサス州の黒人で、10戦全勝(5KO)。ただ、共に全勝だが、共にまだ王座戦を経験していない。ラスベガス「MGM Grand」での一戦。リプシーがジャブを連打して左ストレート。背が高くスリムなジェームスはガードを上げて足のスタンスを広く取る。長いリーチでジャブ、右ストレート、ロングフック。接近して連打するリプシーだが、右フックでダウン。その後もジェームスの長いパンチとディフェンスに攻めづらい様子のリプシー。4Rには左フックで不運なダウン(これは押されたようなものでダウンではなかった)。5R、左ストレートでジェームスがダウン。これで流れが変わり、リプシーが攻め、ジェームスが足で距離を取ろうとするパターンに。8R、ロープ際での左フックでジェームスがダウン。9R、右フックでジェームスがダウン。立ったが、連打されてのけぞったところでレフェリーストップ。最後はリプシーがショートパンチで勝利。長いパンチを使うジェームスにはディフェンスに隙があった。その後の二人。ジェームスは北米王座戦などに出場したが、勝てず。中堅どころに終わった。リプシーはバーナード・ホプキンスのIBF世界ミドル級王座に挑戦して惨敗。共に王座とは無縁のキャリアとなった。)


クリス・ピアット(イギリス)

身長174cm:オーソドックス(右構え)

ジョー・リプシー(Joe Lipsey)&クリス・ピアット(Chris Pyatt)

クリス・ピアット 1R KO ジェームス・タピーシャ

(英連邦J・ミドル級タイトル戦、1992年)

ピアット:右ジャブ、左ストレート、フック   

タピーシャ:左ジャブ、右ストレート

(ダウンシーン)

1R:右ストレート、右フック、右フックで三度、タピーシャがダウン

(感想:ピアットがタイトル防衛。ロンドン出身の黒人ピアット。後にWBO世界ミドル級王者になるが、タピーシャ戦は王者になる前の試合。欧州J・ミドル級王座を決定戦で獲得したピアットだが、ジャンフランコ・ロッシに王座を奪われた。初の世界挑戦も失敗(ジョン・デビッド・ジャクソンとのWBO世界J・ミドル級王座戦)。その再起戦で英連邦王座獲得。タピーシャ戦は二度目の防衛戦となる。タピーシャはよくわからない選手。ザンビア出身だが、「BOXREC」には三試合の記録しかない。英国ウォルヴァーハンプトンでの一戦。両手を忙しく動かしてジャブを打つタピーシャ。右ストレートには伸びとキレがある。ピアットは個性的な髪型(後ろを伸ばしてくくっている)。見た目のインパクトで勝負するタイプではなく、当てる巧さがあり、右カウンターをヒットさせ、左ボディ打ちも器用。右ストレートでタピーシャがダウン。さらに二度ダウンを追加してKO(スリーノックダウンルールらしい)。なかなかの強さを見せたピアット。パワーとパンチの正確さで圧勝。その後、スンブ・カランベイとの決定戦に勝利してWBO王座獲得(1993年)。)


①「Middleweight

Joe Lipsey vs. Mark Young」

②「Middleweight

Joe Lipsey vs. Derrick James」

③「Commonwealth Boxing Council Super Welterweight Title 

Chris Pyatt vs. James Tapisha」


スンブ・カランベイ(Sumbu Kalambay)

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バーナード・ホプキンス(Bernard "The Executioner" Hopkins)

2025年7月2日水曜日

特集:IBF世界クルーザー級王者「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界クルーザー級王座を獲得したアーサー・ウィリアムス、イマム・メイフィールド、ワシリー・ジロフを紹介します。


アーサー・ウィリアムス(アメリカ)

身長188cm:オーソドックス(右構え)


イマム・メイフィールド(アメリカ)

身長191cm:オーソドックス(右構え)


ワシリー・ジロフ(カザフスタン)

身長188cm:サウスポー


アーサー・ウィリアムス 12R 判定 スティーブ・リトル

(全米クルーザー級タイトル戦、1997年)

特集:IBF世界クルーザー級王者「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウィリアムス:左ジャブ、右ストレート、左フック

リトル:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ウィリアムスがタイトル防衛。王者ウィリアムスはフロリダ州ペンサコーラ出身の黒人で、これまで26勝(20KO)4敗1分。IBFでは4位、WBOでは12位にランク。オーリン・ノリスのWBA世界クルーザー級タイトルに挑戦してKOされた過去がある。挑戦者リトルはペンシルベニア州フィラデルフィア出身の黒人で、25勝(6KO)15敗2分。有力選手には敵わない状態が続いたが、マイケル・ナンを番狂わせで破ってWBA世界S・ミドル級タイトル獲得。ただし、器用なタイプではないため、初防衛に失敗している。ペンシルベニア州ブッシュキルでの一戦。ボクサータイプのウィリアムスがジャブ、ワンツー。リトルはガードを上げ、ややマイク・タイソンっぽい動きで前進し、右ストレート、左フックを打っていく。接近戦。フックで打ち合うが、互いに振りが大きいためクリーンヒットは少ない。ジャブで先手を取るウィリアムス。ジャブが少ないためパンチが当たらないリトル。4R、6R終了時、互いにゴング後に手を出す。11R、リトルがローブローで減点。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。フックで打ち合うシーンもあったが、結局はウィリアムスがジャブ、ワンツーで勝利。左フックはリトルの方が巧くて強かったが当たらず。ジャブを使っていれば違う結果になっていたかも。後、ウィリアムスはイマム・メイフィールドにTKO勝ちしてIBF世界クルーザー級王座を獲得。リトルは一敗一分で引退。)


ホルヘ・カストロ 9R TKO イマム・メイフィールド

(クルーザー級戦、2001年)

特集:IBF世界クルーザー級王者「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

カストロ:左ジャブと左右フック

メイフィールド:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:「IBF世界クルーザー級挑戦者決定戦」として行われた試合。メイフィールドはニュージャージー州フリーホールド出身の黒人で、これまで21勝(17KO)3敗4分。ユーライア・グラントを判定で下してIBF世界クルーザー級王座を獲得したが、アーサー・ウィリアムスに王座を奪われた。カストロはアルゼンチンの選手で118勝(82KO)7敗3分。元WBA世界ミドル級王者で、WBC世界クルーザー級王座に挑戦したが敗北。日本のファンには「竹原慎二にWBA王座を奪われた男」と言った方がわかりやすいかもしれない。アルゼンチン・ブエノスアイレスでの一戦。ミドル級時代と比べて随分ずんぐりした体型になったカストロ。髪を金髪に染めて後頭部には何やら文字が書かれている。身長差があり、背が高いメイフィールドは距離を取ってジャブ。小さいカストロは接近して左右フックを当てようとする。良い右ストレートを持っているメイフィールドだが、カストロの攻めに押され気味。8R、ボディを攻めるカストロ。8R終了後、メイフィールドが棄権。理由は不明(ダウンも無ければ、大きくダメージを受けるシーンも無かったように見えた)。勝利したカストロ。ディフェンスのテクニックはあったが、クルーザー級としてはそれほどパワーは感じられなかった。一方、体格で勝っているにもかかわらず受け身の姿勢で負けたメイフィールド。クルーザー級に人気が無いのはそういうところなのかもしれない。カストロはIBF世界クルーザー級王座への挑戦権を獲得したが、王者ワシリー・ジロフに3-0の判定で敗れ、二階級制覇ならず。メイフィールドはヘビー級に転向したが通用せず。)


ワシリー・ジロフ 2R TKO ゲシス・メサナ

(クルーザー級8回戦、1997年)

特集:IBF世界クルーザー級王者「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジロフ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

メサナ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左ボディフック、右フックで2度、メサナがダウン

(感想:ジロフはカザフスタン・バルカシュ出身のサウスポー。1996年のアトランタ・オリンピックに出場し、ライトヘビー級金メダル。プロではアメリカを主戦場にこれまで6連勝(6KO)。メサナはエチオピアの選手で5勝(4KO)6敗1分。アトランチックシティ「Trump Taj Mahal」での一戦。左右のスタイルの違いはあるが、共にジャブ。ジロフは手数で勝負する器用なタイプ。左右フックでのボディ打ちも巧い。2R、メサナが二度のダウン。立ったが、連打を浴びて後退したところでレフェリーストップ。ジロフが正確なパンチで勝利。メサナは弱い選手という感じはしなかったが、打たれ弱さがあった。その後も敗北が多く、「かませ犬」的なポジションのキャリアだった。)


ワシリー・ジロフ 7R TKO アーネスト・マティーン

(クルーザー級戦、2003年)

特集:IBF世界クルーザー級王者「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジロフ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

マティーン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

3R:左ボディフックで3度、マティーンがダウン

(感想:これまで31勝(27KO)1敗のジロフ。アーサー・ウィリアムスに勝ってIBF世界クルーザー級王座を獲得したがジェームズ・トニーに敗れ、王座陥落。これが再起戦となる。マティーンは27勝(9KO)10敗3分で、クルーザー級のマイナー王座を獲得したこともある中堅どころ。カリフォルニア州テメクラでの一戦(リングサイドでジェームズ・トニーが観戦)。共にジャブを使うが、パンチを当てる巧さはジロフ。3R、左ボディでマティーンが三度ダウン。このまま終わるかと思われたが、5Rにマティーンがワンツーからの左フックなどで反撃。7R、ジロフの右フックでマティーンのマウスピースが落下。左目を負傷したマティーンの状態を見て、レフェリーは試合を止めた。キズで勝利したジロフ。きびきびした打ち方をしており、集中力でマティーンを上回った。後、ジロフはヘビー級に転向したがマイケル・モーラーらに敗れ、二階級制覇ならず。クルーザー級が彼にとって調度いいクラスだったようだ。マティーンは次の試合(決定戦)でユーライア・グラントをTKOで下して「IBU」なる団体の「世界クルーザー級王座」を獲得し、事実上のキャリア終了。)


①「USBA Cruiserweight Title 

Arthur Williams vs. Steve Little」

②「Cruiserweight 

Imamu Mayfield vs. Jorge Castro」

③「Cruiserweight 

Vassiliy Jirov vs. Gesses Mesgana」

④「Cruiserweight 

Vassiliy Jirov vs. Ernest Mateen」

 

2025年6月28日土曜日

ランス・ウィテカー(Lance Whitaker)&マイケル・グラント(Michael Grant)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ヘビー級有望株。「ウィテカー vs. デビッド・ディクソン、ロバート・デイビス」「グラント vs. デイビス」ほかを紹介します。


ランス・ウィテカー(アメリカ)

身長203cm:オーソドックス(右構え)

ランス・ウィテカー(Lance Whitaker)&マイケル・グラント(Michael Grant)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

マイケル・グラント(アメリカ)

身長201cm:オーソドックス(右構え)

ランス・ウィテカー(Lance Whitaker)&マイケル・グラント(Michael Grant)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ロバート・デイビス 5R TKO トム・グレスビー

(ヘビー級戦、1999年12月)

デイビス:左ジャブ、右ストレート、フック   

グレスビー:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

5R:連打でグレスビーがダウン

(感想:有望なヘビー級同士の対決。デイビス(オハイオ州)はこれまで17戦全勝(10KO)の黒人。グレスビー(カナダ)はガッチリした体型の白人で24勝(19KO)1敗1分。アマチュアで活躍。ソウルとバルセロナで二度のオリンピック経験(スーパーヘビー級。メダルは獲得ならず)。プロではカナダ王座を獲得している。テキサス州コーパス・クリスティでの一戦。ジャブを連打するデイビス。接近して左右フック。グレスビーはジャブを正確に当てようとするタイプで、左フックからの右ストレートといったコンビネーションを使う器用さがある。しかしながら、パンチのキレ、ジャブの伸びでデイビスが少しずつ上回る。正確なジャブに追い込まれていくグレスビー。5Rにホールドで減点。ラウンド終了間際、ロープ際で連打を浴びてダウン。立ったが、戦意喪失気味でレフェリーストップ。伸びのあるジャブでデイビスが勝利。ゴツい身体のグレスビーは動きの機敏さに欠け、顔がキズと腫れで酷い有様になってしまった。その後、グレスビーは三試合やって引退。最後の試合の相手はルー・サバリースで、3RでのTKO負けだった。)


ランス・ウィテカー 1R 反則 デビッド・ディクソン

(ヘビー級戦、2000年)

ウィテカー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ディクソン:左右フック

(ダウンシーン)

1R:右ボディで3度、ディクソンがダウン

(感想:ウィテカーはカリフォルニア州グラナダヒルズ出身。これまで20勝(17KO)1敗。デビュー以来、連戦連勝だったが、ルー・サバリースに2-1の判定負け。巻き返しを図りたいところ。ディクソンはミズーリ州セントルイス出身。トニー・タッカーに1RでKOされているが、21勝(19KO)3敗2分でKO率は高い。ラスベガスでの一戦。ディクソンが先制攻撃。パワフルな左右フックを叩きつけるように打っていく。ウィテカーはジャブを使いながら応戦。レフェリー(リチャード・スティール)からローブローを注意されるディクソン。ウィテカーが右ボディでディクソンを三度ダウンさせる。またしてもディクソンがローブロー。1Rで反則負け。良いフックを打っていたディクソンだがローブロー連発。映像では角度的によく見えなかったが、ダウンを奪ったウィテカーの右ボディも低かったような感じ。ローブローにローブローで返した、ということだったのかもしれない。ディクソンはこれがラストファイトに。)


ランス・ウィテカー 2R KO ロバート・デイビス

(ヘビー級戦、2000年)

ウィテカー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デイビス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:連打、右フック、右フックで3度、デイビスがダウン

(感想:22連勝(14KO)のデイビス。北米王座を獲得したり、古豪グレグ・ペイジにTKO勝ちしたり。コネチカット州アンカスビルで戦績が良い者同士の「ライバル戦」。共にジャブ、右ストレート。ウィテカーは遠心力を生かすような振りの大きいフック。デイビスはパワーを込めたフック。互いにボディ攻撃。2R、ウィテカーが大きく振った右フックがヒットしてデイビスが大ピンチ。連打、右フック、右フックで三度倒れて、KO。体格で勝るウィテカーが右フック&ディフェンスで圧勝。デイビスは悪い選手ではないが、ヘビー級は大きな体格差の試合も行われる危険なクラス。よく攻めたが、ブロックされてしまった。快勝のウィテカー。後、WBC米大陸ヘビー級王座を獲得したが、世界王座には届かなかった。)


マイケル・グラント 3R TKO ロバート・デイビス

(ヘビー級戦、2002年)

グラント:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デイビス:左ジャブと左右フック

(ダウンシーン)

3R:右ストレートでデイビスがダウン

(感想:グラントはイリノイ州シカゴの黒人。コーリー・サンダース、ホルヘ・ルイス・ゴンザレスなどを相手に連戦連勝だったが、レノックス・ルイスの世界王座に挑戦してKO負け。コネチカット州マシャンタケットでの一戦。身長差がある二人。デイビスも小さくはないが(191cm)、グラントがアップライトな姿勢のため、差を感じる。開始から接近戦。大きい割には器用なグラント。ジャブを連打して、ワンツー、左右フック。デイビスは重そうなジャブ、フックで応戦。器用さでグラント、パワーでデイビス、といったところか。接近戦は共にあまり得意ではない様子でクリンチ、もみ合い。3R、ラッシュするグラント。回転の速い連打からの右ストレートでデイビスをダウンさせる。デイビスは立ったが、右を打たれたところでストップ。デイビスはストップに不満のようだったが足に来ていたため、ストップは妥当なところ。グラントが速いパンチで勝利。後、グラントはフランソワ・ボタに勝利して空位のWBF王座獲得。ただ、メジャー団体の世界王座は獲得できず。トップに立つにはややパワー不足だったか。デイビスはウィテカーに初黒星後はマイケル・モーラーに負けるなど勝ったり負けたり。ウィテカー戦で勢いが落ちてしまったようだ。)、


①「Heavyweight 

Robert Davis vs. Tom Glesby」

②「Heavyweight 

Lance Whitaker vs. David Dixon」

③「Heavyweight 

Lance Whitaker vs. Robert Davis」

④「Heavyweight 

Michael Grant vs. Robert Davis」

 

2025年6月26日木曜日

徳島尚(Tokushima Hisashi)&ウディン・バハルディン(Udin Baharudin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

柳明佑のWBA王座に挑戦。「柳明佑 vs. ウディン」「柳明佑 vs. 徳島」「ウディン vs. 井岡弘樹、徳島」戦を紹介します。


徳島尚(日本)

身長165cm:オーソドックス(右構え)

徳島尚(Tokushima Hisashi)&ウディン・バハルディン(Udin Baharudin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウディン・バハルディン(インドネシア)

身長  cm:オーソドックス(右構え)

徳島尚(Tokushima Hisashi)&ウディン・バハルディン(Udin Baharudin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

柳明佑 7R TKO ウディン・バハルディン

(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1988年)

ウディン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

柳:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでウディンがダウン

7R:ウディンが連打でスタンディングダウン、連打でダウン

(感想:柳がタイトル防衛。柳(韓国)は安定王者。ウディンは後の二冠王ムアンチャイ・キティカセムに判定負けしたことがある。韓国・ソウルでの一戦。互いにジャブ連打。右ストレートが力強いウディン。右ストレートからの左フックも悪くない。2R、タイミングのいい左フックでウディンがダウン。パワーはあるが、パンチを打った後のディフェンスが甘いウディン。その後もパワーを込めて攻めるが(3Rなど)、柳はブロックしながら隙を突くショート連打、ボディ打ち、ワンツー。7R、ウディンが連打(「ソナギ(夕立)パンチ」)されてスタンディングダウン。さらに連打でダウン。立ったが、レフェリーは試合を止めた。ウディンはパワーはあったが当てさせてもらえず。柳は元々タフなうえにディフェンスが巧かった。)


柳明佑 7R TKO 徳島尚

(WBA世界J・フライ級タイトル戦、1990年)

徳島:左ジャブ、右ストレート、左右フック

柳:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:ボディ連打で徳島がダウン

5R:左フック、右ボディ、左フックで3度、徳島がダウン

6R:フック連打、左フックで2度、徳島がダウン

(感想:柳がタイトル防衛。徳島は「グリーンツダ」所属(井岡弘樹と同じ。顔も似ており、パンチの打ち方も似ている)。これまで16勝(8KO)3敗1分。柳は32戦全勝(12KO)。韓国・仁川での一戦。徳島がフットワークを使いながらジャブ連打、右ストレート。柳はウディン戦と同じように相手の右をかわして連打。4R、ボディ連打で徳島がダウン。ここでゴングが鳴ったらしい。徳島のセコンド、ヘルマン・トーレスが徳島をコーナーに連れて帰ろうとする。レフェリーのルディ・バトルはゴングに気付かなかったらしく、トーレスにリングから出るよう注意。その後、ピンチの徳島はフックを振っていくが当たらない。5Rに三度のダウン(「スリーノックダウン」ルールでは?)。6Rに二度のダウン。ボディが完全に効いてしまった徳島。7R、連打でレフェリーストップ。徳島はウディンと似たようなボクサータイプ。柳は同じように戦って勝利した。)


井岡弘樹 10R 判定 ウディン・バハルディン

(J・フライ級戦、1990年)

ウディン:左ジャブと右ストレート

井岡:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:WBC世界ストロー級王座戦でナパ・キャットワンチャイにKOされた井岡の再起戦。ウディンは柳明佑に負けた再起戦。大阪での一戦(井岡のセコンドにヘルマン・トーレス)。井岡が足を使って距離を取りながらジャブ。時折コンビネーション(左フックからの右ストレート、など)。ウディンは得意の右ストレートは強そうだが、手数が少ない。振りが大きい、というより大ざっばなウディンの攻撃が井岡に通用しないまま10R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。あまり攻めなかったウディン。相手に勝たせてあげた、という感じの試合ぶり。何がしたかったのだろう?)


徳島尚 12R 判定 ウディン・バハルディン

(東洋太平洋フライ級タイトル戦、1992年)

徳島:左ジャブ、右ストレート、左フック

ウディン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:徳島がタイトル獲得。王者ウディンは22歳でこれまで42勝(6KO)5敗(TVテロップより。「BoxRec」の記録と全然違う)。徳島は東洋5位。大阪での一戦(1R、12Rのダイジェストで観戦)。フットワークとジャブを使う徳島。ウディンはジャブ、ワンツー。特に右ストレートを強く当てようとする。徳島は左でボディ打ち。判定はPTS。ダウンシーンがあったかどうかは不明。パワーはウディンの方があったような気がするが、徳島がリズムボクシングで勝利したと思われる。共に世界王者になれなかったが、ウディンは器用さ、徳島はパワーに欠けていた。柳明佑に勝った井岡はそういった点で彼らより優れていた、ということか。)


①「WBA World Light Flyweight Title 

Myung Woo Yuh vs. Udin Baharudin」

②「WBA World Light Flyweight Title 

Myung Woo Yuh vs. Tokushima Hisashi」

③「Light Flyweight 

Ioka Hiroki vs. Udin Baharudin」

④「OPBF Flyweight Title 

Udin Baharudin vs. Tokushima Hisashi」


柳明佑(Myung Woo Yuh)のページ

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井岡弘樹(Ioka Hiroki)①のページ

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井岡弘樹(Ioka Hiroki)②のページ

2025年6月20日金曜日

ロッキー・ケリー(Rocky Kelly)&フランキー・モロ(Franky Moro)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウェルター級。「ケリー vs. モロ(再戦)」、「ケリー vs. カークランド・レイン」、「モロ vs. クリス・ユーバンク」を紹介します。


ロッキー・ケリー(イギリス)

身長170cm:オーソドックス(右構え)

ロッキー・ケリー(Rocky Kelly)&フランキー・モロ(Franky Moro)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フランキー・モロ(ガーナ)

身長184cm:オーソドックス(右構え)

ロッキー・ケリー(Rocky Kelly)&フランキー・モロ(Franky Moro)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ロッキー・ケリー 8R 判定 フランキー・モロ

(ウェルター級8回戦、1987年)

ケリー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

モロ:左ジャブ、右ストレート、左フック   

(感想:ケリーは英国リバプール出身。本名は「ハミルトン・ケリー」。英国のローカル王座(ウェルター級)を獲得できたが、英国ウェルター級王座戦で敗北。モロはガーナ出身で、英国でプロデビュー。カークランド・レインらを相手に連敗したりするなど「トップ選手」ではない。ケリーとは再戦。初戦はケリーのTKO勝ち(内容は不明)。英国フラムでの一戦。階級が違うのでは? と思えるほど体格差を感じる二人(ケリーがウェルターなら、モロはS・ミドルぐらいか)。見た目が強そうなアフロヘアーのモロはフットワークとジャブ。ケリーはガードを固めて接近して左右フック攻撃。攻めるケリー、応戦するモロ。大きいモロの方が押され気味のまま8R終了。判定はPTS(レフェリーが一人で採点)。ダウンシーンは無し。モロがだらしなく見えた一戦。ボクシングとケンカは別物であるが、闘志がない選手は勝てない。小手先のテクニックだけで勝とうとする選手が勝てる試合を落としてしまうのはよくあること。)


カークランド・レイン 5R TKO ロッキー・ケリー

(英国ウェルター級タイトル戦、1987年)

ケリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

レイン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:右フックでケリーがダウン

5R:ワンツーでケリーがダウン

(感想:レインがタイトル防衛。フラムでケリーが個性派選手レイン(英国の黒人)に挑戦。ブロックしながらジャブで前進するケリー。レインはフットワークで距離を取りながらジャブ、右ストレート。ジャブの打ち合い。右ストレートでカウンターを狙うレイン。2R、左フックで足に来たケリー。右フックで前のめりにダウン。レインが左右フックで仕留めようとする。 ケリーは左フック、右ストレートで反撃。5R、ワンツー(左ジャブからの右ストレート)でケリーがダウン。立ったが、左目の下のキズもあってレフェリーストップ。レインは妙な動きをする選手ではあるが意外に当てるのが巧く、ディフェンスもできる。ケリーはよく攻めたが、ちょっとボクシングが真っ直ぐすぎた。その後、ケリーはゲイリー・ジェイコブスにも敗北して、世界挑戦はできなかった。) 


クリス・ユーバンク 8R 判定 フランキー・モロ

(ミドル級8回戦、1989年)

モロ:左ジャブと右ストレート

ユーバンク:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

6R:右ストレートでモロがダウン

(感想:ユーバンクは英国の黒人で、後に二階級制覇する男。ロンドンのベスナル・グリーンでの一戦。共にジャブ。足を使って距離を取るモロ。ユーバンクは攻める姿勢で右ストレート、左フック。たまに右ストレートを出すモロだが、接近戦ではクリンチ。6R、右ストレートでモロがダウン。その後も最後まで同じような展開が続き、8R終了。最終ラウンド終了と同時にレフェリーはユーバンクの手を上げた(PTSによる判定)。この試合でも攻めなかったモロ。どうもこの選手はそういう選手らしい。自分のスタイルで試合して最後まで倒されなかったら、それは彼にとって「勝利」なのだろう。そういう選手がいてもいい、かもしれない。) 


①「Welterweight 

Rocky Kelly vs. Franky Moro」

②「British Welterweight Title 

Kirkland Laing vs. Rocky Kelly」

③「Middleweight 

Chris Eubank vs. Franky Moro」


カークランド・レイン(Kirkland Laing)のページ

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クリス・ユーバンク(Chris Eubank)のページ 

2025年6月18日水曜日

マービン・カメル(Marvin Camel)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

初代世界クルーザー級王者。メート・パルロフ戦(再戦)、カルロス・デ・レオン戦(初戦・再戦)を紹介します。

マービン・カメル(Marvin Camel)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

マービン・カメル(アメリカ)

身長188cm:サウスポー


マービン・カメル 15R 判定 メート・パルロフ

(WBC世界クルーザー級王座決定戦、1980年)

カメル:右ジャブ、左ストレート、フック

パルロフ:右ジャブ、左ストレート、フック

(感想:カメルがタイトル獲得。モンタナ州ローナン出身のカメルはネイティブ・アメリカンの血を引く男。1973年、デビュー。トレーナーにエディ・ファッチが付いて連戦連勝だったが、後のWBC世界L・ヘビー級王者マシュー・サァド・ムハマド(当時は改名前の「マシュー・フランクリン」)に2-1の判定で初黒星。ムハマドとの再戦は2-0で勝利。一度判定で下しているダニー・ブリューワーにTKO負け。そこから連勝。ローカル王座(ライトヘビー級)、北米王座(クルーザー級)獲得。パルロフ(元WBC世界ライトヘビー級王者)と初代WBC世界クルーザー級王座を争ってドロー。再び王座を懸けてパルロフと再戦。パルロフはクロアチア・スプリト出身。1972年のミュンヘン・オリンピックではL・ヘビー級で金メダル。74年の世界選手権でも優勝。プロではデビューから連勝。マシュー・フランクリン(後のマシュー・サァド・ムハマド)に判定負け、初黒星(カメルと共通点)。欧州王座(L・ヘビー級)獲得。フランクリンとドロー。ミゲル・アンヘル・クエーリョを破ってWBC世界L・ヘビー級王座獲得。ジョン・コンテを相手に初防衛。マービン・ジョンソン相手に二度目の防衛戦を行ったが、TKOで王座陥落。クルーザー級で二階級制覇を狙う状況。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。共にサウスポーで、似た戦い方。パワーも同じくらいか。テクニックで勝負。ダッキングしながらテンポの良い動きのカメル。右ジャブ、接近してボディ連打。左フックからの右ジャブといったテクニックも披露。パルロフは左ストレートを当てるテクニックで勝ってきた男であるが、この試合ではディフェンスされて当たらず。7R、右ジャブを食ってパルロフのマウスピースが落下。9R、カメルの左ストレート、左フックがヒット。13R、カメルが大きめの左フック連発。パルロフはキズのドクターチェック。14R、右フックをキッカケにカメルが畳み掛けるフックで優勢。15R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。カメルが正確なパンチで勝利。パルロフはテクニックでこれまで勝ってきたが、今回はテクニックで敗北。かなり打たれたのもあってか、これが最後の試合に。)


カルロス・デ・レオン 15R 判定 マービン・カメル

(WBC世界クルーザー級タイトル戦、1980年)

カメル:右ジャブ、左ストレート、フック

デ・レオン:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:デ・レオンがタイトル獲得。これまで36勝(16KO)2敗2分の王者カメル(28歳)が初防衛に挑む。挑戦者デ・レオン(21歳)はプエルトリカンで、27勝(21KO)1敗1分。デビューから好調。実力者エディ・デービスに勝利。WBC王座挑戦者決定戦に勝利して、この初の世界挑戦。ルイジアナ州ニューオーリンズ「スーパードーム」での一戦(「ロベルト・デュラン vs. シュガー・レイ・レナード」の再戦が行われた興行。レフェリーはカルロス・パディーリャ。TV解説席にラリー・ホームズ&この興行の主催者ドン・キング)。ネイティブ・アメリカンの羽根飾りをかぶって入場のカメル。ゴング。互いにきびきびした速い動きで速いパンチ。攻めるデ・レオン。右ストレート、左フック、接近して連打。1R開始から実に精力的。カメルは右ジャブ、左ストレートなどで応戦。互いにディフェンス。右ストレート、左フックを当てるデ・レオン。カメルのワンツー、右フック、左ボディ打ちも悪くない。終盤、カメルはフットワーク&カウンター。デ・レオンはあくまで前進。15R終了。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。大きな実力差は感じられなかった試合。デ・レオンが最初から最後まで攻めて勝利。この時代の世界戦は15R。重量級でこれだけ攻め続けるのは大変なスタミナ。カメルはパンチにキレがあって良かったが、攻められて受け身になるシーンも。その後、二人は再戦。)


カルロス・デ・レオン 8R TKO マービン・カメル

(WBC世界クルーザー級タイトル戦、1982年)

カメル:右ジャブ、左ストレート、フック

デ・レオン:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:デ・レオンがタイトル初防衛。デ・レオン戦後、ネバダ州王座、全米王座(クルーザー級)を獲得したカメル。「WBC1位」として王座奪回を目指す。王者デ・レオンはカメルとの初戦後、ブランク。81年はノンタイトル戦を一試合のみ。コンディションはどうか? アトランチックシティ「Playboy Hotel & Casino」での一戦。前回の続きのように開始から攻めるデ・レオン。カメルは右ジャブ、フックなどで対抗。共にディフェンスしながら長いパンチ、インサイドからのフックなどを使い、当てる巧さがある。3R、左フックでカメルが足に来るピンチ。その後、カメルが手数。接近してフック攻撃。デ・レオンは前回ほど攻めず(やや身体が太くなったような気がする。初戦のようなキレに欠けるように見える)。接近戦でのフック、ボディ攻撃で一進一退。7R終わりでカメルが棄権。右眉あたりのキズによるものと思われる。実力的には互角に見えた試合。若さでデ・レオン勝利。パワーに差があったか(ダウンシーンは無し)。その後の二人。デ・レオンはこのWBC世界クルーザー級王座に執着。王座を奪われては奪回。イベンダー・ホリフィールドとの決戦に敗れたが、その後も「クルーザー級の主役」として活躍。カメルは全米王座を防衛後、ロディ・マクドナルドとの決定戦にTKO勝ちして初代IBF世界クルーザー級王座獲得。しかし、リー・ロイ・マーフィに初防衛戦でTKO負け(二つの団体で初代王者になっていずれも初防衛に失敗というのは実に珍しい記録)。結果的にそれが事実上のラストファイトに。ブランク後、カムバック。バージル・ヒルに1Rで敗れるなど散々な復帰となり、キャリア終了。引退後「ボクシングには感謝している」とコメント。2006年、WBCから「名誉王者」に認定。2014年12月には伝記『Warrior in the Ring』が出版され、好評を得た。)


①「vacant WBC World Cruiserweight Title

Marvin Camel vs. Mate Parlov」

②「WBC World Cruiserweight Title

Marvin Camel vs. Carlos De Leon」

③「WBC World Cruiserweight Title

Carlos De Leon vs. Marvin Camel」


カルロス・デ・レオン(Carlos De León)のページ