WBA世界J・ウェルター級王者。世界王座防衛戦のカルロス・エルナンデス戦、ジョアン・エンリケ戦ほかを紹介します。
ニコリノ・ローチェ(アルゼンチン)
身長168cm:オーソドックス(右構え)
①ニコリノ・ローチェ 15R 判定 カルロス・エルナンデス
(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1969年)
ローチェ:左ジャブ、右ストレート、フック
エルナンデス:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
2R:右フックでローチェがダウン
(感想:ローチェがタイトル初防衛。アルゼンチン・トゥヌヤン出身のローチェ。ニックネームは「El Intocable」(「触れることができない」「接近できない」の意。ディフェンスの巧さなどで相手を寄せ付けない試合ぶりを例えているのだろう)。アマチュアでは何と122戦5敗。1958年、プロ転向。以後、判定負けやドローはあったが、好調。アルゼンチン王座、南米王座(いずれもライト級)を獲得。1965年、イスマエル・ラグナ(パナマ)とドロー。1966年、サンドロ・ロポポロに3-0の勝利。デビューからほとんどの試合をアルゼンチンで行ってきたが、東京蔵前国技館で藤猛に勝利してWBA王者に(藤はWBA・WBC王者だったが、ローチェ戦の前にWBC王座は剥奪されてしまっていた)。挑戦者エルナンデスはベネズエラ・カラカス出身。身長178cmの長身。「ベネズエラ初の世界王者」で、かつてこの王座を保持していたことがある。エディ・パーキンスを破って世界J・ウェルター級王座獲得。三度目の防衛戦でロポポロに王座を奪われた(1966年)。それから時が経ったが王座奪回なるか、といったところ。アルゼンチン・ブエノスアイレスでの一戦。なかなか面白いボクシングをするローチェ。あまり動かず、ディフェンスしながら左のテクニック(左ジャブ、意表を突くタイミングで踏み込んで左フック、ワンツー)。しかし、攻めるときは連打(左フックからの右ストレートなど。ただし、KOを狙うような攻めではない)。緩急自在の動きを見せる。エルナンデスはスラリとした身体から伸びのある左ジャブ、右ストレート、接近戦では長い腕を器用に使ってフック連打(近年の選手に例えるならマーク・ブリーランドのようなボクシング)。接近戦ではクリンチになるシーンが多く、クリンチ中のパンチにレフェリーは両者に警告。2R、右フックが効いたローチェ。追加の右フックでダウン。その後もローチェはディフェンスしながら隙を突くパンチ。エルナンデスはフックを当てるシーンもあるが、パンチの振りが大きいためか、やや打たれる。15R終了。判定は3-0。ローチェが当てる巧さで勝利。モハメド・アリのように派手に動いて勝つ選手もいれば、ローチェのように必要最小限的な動きで勝つ選手もいる。地味な勝ち方だったが、パワーやタフネスを感じるシーンもあった。エルナンデスも良い選手。しかし、長いパンチは隙も大きい。やや相手に接近しすぎたような気がする。アウトボクシングで手数を出せば勝っていたかも。その後、エルナンデスはベネズエラで試合。ラストファイトは1971年、ロンドン。世界ライト級王者ケン・ブキャナンとのノンタイトル戦でTKO負けだった。)
②ニコリノ・ローチェ 15R 判定 ジョアン・エンリケ
(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1969年)
ローチェ:左ジャブ、右ストレート、フック
エンリケ:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:ローチェがタイトル防衛。ノンタイトル戦もやりながらローチェが二度目の防衛戦。挑戦者エンリケはブラジル・ジュアゼイロ出身。デビューから無敗。ブラジル王座(J・ウェルター級)を獲得している。ただ、これまでの試合は全てブラジルで、海外試合はこれが初めて。ブエノスアイレスでの一戦(ハイライト映像で観戦)。動きがゆっくりな二人。エンリケがゆるやかなダッキング、そして伸びのある左ジャブ。ローチェは例によって緩急自在。頭を少し動かして相手の攻撃をかわして左フック。攻めるときはワンツーからの左フック、左右フック連打などをまとめる。終盤になって手数を出して攻めるエンリケ。ワンツーからの左フックを出すが、勢いは続かず。15R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ローチェがエルナンデス戦の時のような試合ぶりで勝利。エンリケはスロースターターだったうえに特別な強さは感じられず。南米の選手は試合数が多く、好戦績だったりするが、だからといって強いとは限らない。その後、エンリケは南米王座を奪取して世界J・ウェルター級王座に三度挑戦したが、全て敗北。ラストファイトは1979年で、判定勝ち。1982年3月11日、36歳で死去。死因は肺出血だった。)
③ニコリノ・ローチェ 10R 判定 ヘラルド・フェラト
(J・ウェルター級戦、1972年)
ローチェ:左ジャブ、右ストレート、フック
フェラト:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:エンリケ戦後もノンタイトル戦をこなしながらアントニオ・セルバンテスらを相手に五度目の防衛に成功したローチェ。アルフォンソ・フレーザーに敗れ、王座陥落。フェラトと再起戦。フェラトはメキシコ・メヒカリ出身で、経験ある選手。デビューから連勝だったが、KOで初黒星。カルロス・エルナンデスに判定勝ち、フランキー・クロフォードに判定負け、カルロス・オルチスにTKO負け。そこから三連勝でローチェ戦。ブエノスアイレスでの一戦(10Rのみの映像で観戦)。ワンツーからの左フックに強さがあるフェラト(フックの打ち方が良く、バズーカ・リモンに似た雰囲気)。ローチェはディフェンスしながら右ストレート、フック。当てる巧さは健在で、クリンチ中に「ポカリ」と相手を叩くシーンはどこかユーモラス。ローチェがフェラトの攻めをかわして10R終了。共に健闘を讃え、判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ローチェがテクニックで勝利。フェラトはゴツいパンチを打っていたが、巧くかわされた。その後の二人。フェラトはロベルト・デュラン、エステバン・デ・ヘススにKO負け、メキシコ王座(ライト級)獲得。トップクラスにはなれなかったが、名のある選手と対戦したキャリアだった。ローチェは連勝後、かつて下したアントニオ・セルバンテスのWBA世界J・ウェルター級王座に挑戦したが、TKO負けで王座返り咲きならず。この試合後、ブランク。カムバックしてノンタイトル戦で連勝して引退。通算戦績117勝(14KO)4敗14分。KO勝ちがたったの「14」。KOを狙わないことでむしろ個性的な試合ぶりとなった。)
①「WBA World Junior Welterweight Title
Nicolino Locche vs. Carlos Hernandez」
②「WBA World Junior Welterweight Title
Nicolino Locche vs. Joao Henrique」
③「Junior Welterweight
Nicolino Locche vs. Gerardo Ferrat」
藤猛(Fuji Takeshi)のページ
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アントニオ・セルバンテス(Antonio Cervantes)のページ







