初代世界クルーザー級王者。メート・パルロフ戦(再戦)、カルロス・デ・レオン戦(初戦・再戦)を紹介します。
マービン・カメル(アメリカ)
身長188cm:サウスポー
①マービン・カメル 15R 判定 メート・パルロフ
(WBC世界クルーザー級王座決定戦、1980年)
カメル:右ジャブ、左ストレート、フック
パルロフ:右ジャブ、左ストレート、フック
(感想:カメルがタイトル獲得。モンタナ州ローナン出身のカメルはネイティブ・アメリカンの血を引く男。1973年、デビュー。トレーナーにエディ・ファッチが付いて連戦連勝だったが、後のWBC世界L・ヘビー級王者マシュー・サァド・ムハマド(当時は改名前の「マシュー・フランクリン」)に2-1の判定で初黒星。ムハマドとの再戦は2-0で勝利。一度判定で下しているダニー・ブリューワーにTKO負け。そこから連勝。ローカル王座(ライトヘビー級)、北米王座(クルーザー級)獲得。パルロフ(元WBC世界ライトヘビー級王者)と初代WBC世界クルーザー級王座を争ってドロー。再び王座を懸けてパルロフと再戦。パルロフはクロアチア・スプリト出身。1972年のミュンヘン・オリンピックではL・ヘビー級で金メダル。74年の世界選手権でも優勝。プロではデビューから連勝。マシュー・フランクリン(後のマシュー・サァド・ムハマド)に判定負け、初黒星(カメルと共通点)。欧州王座(L・ヘビー級)獲得。フランクリンとドロー。ミゲル・アンヘル・クエーリョを破ってWBC世界L・ヘビー級王座獲得。ジョン・コンテを相手に初防衛。マービン・ジョンソン相手に二度目の防衛戦を行ったが、TKOで王座陥落。クルーザー級で二階級制覇を狙う状況。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。共にサウスポーで、似た戦い方。パワーも同じくらいか。テクニックで勝負。ダッキングしながらテンポの良い動きのカメル。右ジャブ、接近してボディ連打。左フックからの右ジャブといったテクニックも披露。パルロフは左ストレートを当てるテクニックで勝ってきた男であるが、この試合ではディフェンスされて当たらず。7R、右ジャブを食ってパルロフのマウスピースが落下。9R、カメルの左ストレート、左フックがヒット。13R、カメルが大きめの左フック連発。パルロフはキズのドクターチェック。14R、右フックをキッカケにカメルが畳み掛けるフックで優勢。15R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。カメルが正確なパンチで勝利。パルロフはテクニックでこれまで勝ってきたが、今回はテクニックで敗北。かなり打たれたのもあってか、これが最後の試合に。)
②カルロス・デ・レオン 15R 判定 マービン・カメル
(WBC世界クルーザー級タイトル戦、1980年)
カメル:右ジャブ、左ストレート、フック
デ・レオン:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:デ・レオンがタイトル獲得。これまで36勝(16KO)2敗2分の王者カメル(28歳)が初防衛に挑む。挑戦者デ・レオン(21歳)はプエルトリカンで、27勝(21KO)1敗1分。デビューから好調。実力者エディ・デービスに勝利。WBC王座挑戦者決定戦に勝利して、この初の世界挑戦。ルイジアナ州ニューオーリンズ「スーパードーム」での一戦(「ロベルト・デュラン vs. シュガー・レイ・レナード」の再戦が行われた興行。レフェリーはカルロス・パディーリャ。TV解説席にラリー・ホームズ&この興行の主催者ドン・キング)。ネイティブ・アメリカンの羽根飾りをかぶって入場のカメル。ゴング。互いにきびきびした速い動きで速いパンチ。攻めるデ・レオン。右ストレート、左フック、接近して連打。1R開始から実に精力的。カメルは右ジャブ、左ストレートなどで応戦。互いにディフェンス。右ストレート、左フックを当てるデ・レオン。カメルのワンツー、右フック、左ボディ打ちも悪くない。終盤、カメルはフットワーク&カウンター。デ・レオンはあくまで前進。15R終了。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。大きな実力差は感じられなかった試合。デ・レオンが最初から最後まで攻めて勝利。この時代の世界戦は15R。重量級でこれだけ攻め続けるのは大変なスタミナ。カメルはパンチにキレがあって良かったが、攻められて受け身になるシーンも。その後、二人は再戦。)
③カルロス・デ・レオン 8R TKO マービン・カメル
(WBC世界クルーザー級タイトル戦、1982年)
カメル:右ジャブ、左ストレート、フック
デ・レオン:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:デ・レオンがタイトル初防衛。デ・レオン戦後、ネバダ州王座、全米王座(クルーザー級)を獲得したカメル。「WBC1位」として王座奪回を目指す。王者デ・レオンはカメルとの初戦後、ブランク。81年はノンタイトル戦を一試合のみ。コンディションはどうか? アトランチックシティ「Playboy Hotel & Casino」での一戦。前回の続きのように開始から攻めるデ・レオン。カメルは右ジャブ、フックなどで対抗。共にディフェンスしながら長いパンチ、インサイドからのフックなどを使い、当てる巧さがある。3R、左フックでカメルが足に来るピンチ。その後、カメルが手数。接近してフック攻撃。デ・レオンは前回ほど攻めず(やや身体が太くなったような気がする。初戦のようなキレに欠けるように見える)。接近戦でのフック、ボディ攻撃で一進一退。7R終わりでカメルが棄権。右眉あたりのキズによるものと思われる。実力的には互角に見えた試合。若さでデ・レオン勝利。パワーに差があったか(ダウンシーンは無し)。その後の二人。デ・レオンはこのWBC世界クルーザー級王座に執着。王座を奪われては奪回。イベンダー・ホリフィールドとの決戦に敗れたが、その後も「クルーザー級の主役」として活躍。カメルは全米王座を防衛後、ロディ・マクドナルドとの決定戦にTKO勝ちして初代IBF世界クルーザー級王座獲得。しかし、リー・ロイ・マーフィに初防衛戦でTKO負け(二つの団体で初代王者になっていずれも初防衛に失敗というのは実に珍しい記録)。結果的にそれが事実上のラストファイトに。ブランク後、カムバック。バージル・ヒルに1Rで敗れるなど散々な復帰となり、キャリア終了。引退後「ボクシングには感謝している」とコメント。2006年、WBCから「名誉王者」に認定。2014年12月には伝記『Warrior in the Ring』が出版され、好評を得た。)
①「vacant WBC World Cruiserweight Title
Marvin Camel vs. Mate Parlov」
②「WBC World Cruiserweight Title
Marvin Camel vs. Carlos De Leon」
③「WBC World Cruiserweight Title
Carlos De Leon vs. Marvin Camel」
カルロス・デ・レオン(Carlos De León)のページ
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