ガッツ石松（Guts Ishimatsu）「世界の強豪ボクサー：ボクシング・ブログ」

「幻の右」ガッツ石松。イスマエル・ラグナ戦、ロベルト・デュラン戦、エステバン・デ・ヘスス戦を紹介します。

ガッツ石松（日本）
身長171cm：オーソドックス（右構え）

①イスマエル・ラグナ 13R TKO ガッツ石松
（世界ライト級タイトル戦、1970年）
ラグナ：左ジャブと右ストレート
ガッツ：左ジャブ、右ストレート、左フック

（感想：ラグナがタイトル防衛。個性的なボクサー、ガッツ。三度笠をかぶってリングインし、客席に笠を投げるパフォーマンスでおなじみ（投げた三度笠がブーメランのように戻ってきて自分に当たったことがあるという。ホントかな？）。本名は「ガッツ」でもなければ「石松」でもなく、鈴木有二（すずきゆうじ）。栃木県出身。家庭の事情により、中学を卒業後、働きに出る。様々な職に就きながらボクシングの練習。プロでは勝ったり負けたりだったが「1968年度全日本ライト級新人王」を獲得。実力者のジャガー柿沢を下して、このラグナとの世界戦のチャンスを得た。王者ラグナはパナマのテクニシャン。カルロス・オルチスから王座奪取。その王座は奪回されてしまったが、マンド・ラモスを破って王座返り咲き。ガッツ戦はその初防衛戦。パナマシティで行われた一戦。ジャブとフットワークのラグナ。ガッツは左フックでボディを狙う。ラグナがリズミカルにジャブ・ストレートをポンポン飛ばし、手数とスピードが全く止まらない。結局、13Rにレフェリーが試合を止めた。ダウンシーンは無し。負けたがガッツもよく前に出てボディを打っていた。ラグナの戦い方はKOを狙うようなものではなく、手数で圧倒するスタイル。テクニックで勝負するタイプのためインパクトは弱い（ような気がする）が、彼にとっては判定でもこの試合のような勝ち方でもどちらでもOKなのだろう。）

②ロベルト・デュラン 10R KO ガッツ石松
（WBA世界ライト級タイトル戦、1973年）
デュラン：左ジャブ、右ストレート、左右フック
ガッツ：左ジャブ、右ストレート、左フック
（ダウンシーン）
9R：連打、右フックで２度、ガッツがダウン
10R：左フック、左フック、右フックで３度、ガッツがダウン

（感想：デュランがタイトル防衛。ラグナに負けたガッツ。その後も敗北を喫する。しかし、東洋ライト級王座を獲得、防衛。二度目の世界挑戦。王者はまたしてもパナマ。「石の拳」デュラン。スラム街で生まれ育ったデュランはハードパンチャーであるというだけでなく、気性の荒さもある。試合地も再びパナマシティ。手数が多いデュラン。初回から積極的に攻め、ガッツはジャブ・ストレートで応戦。ガッツのパンチが当たってもタフなデュランは構わず前進、攻撃。全般的に受け身の姿勢だったガッツ。9R、10Rにダウンを繰り返してKO負け。ガッツの右ストレート、左フックがヒットするシーンもあったが単発に終わり、勢いに乗って攻めるデュランを止めることはできなかった。）

③エステバン・デ・ヘスス 15R 判定 ガッツ石松
（WBC世界ライト級タイトル戦、1976年）
デ・ヘスス：左ジャブ、右ストレート、左右フック
ガッツ：左ジャブと右ストレート

（感想：デ・ヘススがタイトル獲得。ロドルフォ・ゴンサレス（メキシコ）をKOして世界王者になったガッツ。実力者ケン・ブキャナンらを破って五度の防衛に成功。六度目の相手は難敵デ・ヘスス（プエルトリコ）。ロベルト・デュランのライバルであり、デュランとは一勝一敗。ガッツ戦に勝利してWBA王者デュランと決着をつけたいところ。プエルトリコで行われた一戦。スピードとキレのあるジャブ、ストレートを飛ばすデ・ヘスス。ガッツはジャブは出しているが手数が少なく、サウスポーに構えたりするが何の効果もない。判定は３－０。結局、ただ打たれただけでベルトを相手にプレゼントしてしまったガッツ。何がしたかったのだろう？　パンチが打てない理由でもあったのだろうか？　デ・ヘススは1978年にWBA王者デュランとWBCとWBAの王座統一戦を行い12RでKO負け。そのあと事件を起こして最後はエイズで死去（37歳）。ガッツは次の試合で二階級制覇を目指してセンサク・ムアンスリンに挑戦したがKO負け。引退後はタレントに転身して成功。『ブラック・レイン』（1989年）では、あのマイケル・ダグラスと共演。ただ、現在のボクシング界には不満があるらしく、たびたび苦言を呈している。）

①「WBA・WBC World Lightweight Title
Ismael Laguna vs. Guts Ishimatsu」
②「WBA World Lightweight Title
Roberto Durán vs. Guts Ishimatsu」
③「WBC World Lightweight Title
Guts Ishimatsu vs. Esteban De Jesus」

ロベルト・デュラン（Roberto Durán）のページ

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エステバン・デ・ヘスス（Esteban De Jesus）のページ