アレクシス・アルゲリョ(ニカラグア)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①アレクシス・アルゲリョ 13R KO ルーベン・オリバレス
(WBA世界フェザー級タイトル戦、1974年)
アルゲリョ:左ジャブ、右ストレート、左フック
オリバレス:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
13R:左フック、右アッパーで2度、オリバレスがダウン
(感想:アルゲリョがタイトル獲得。ニカラグア初の世界王者アルゲリョ。ニカラグアのマナグア出身。身長は178cmもある。左ジャブで距離を作って必殺の右ストレートを叩き込むのがKOパターン。貧しい家庭の出で、義兄から勧められたのがボクシングを始めたキッカケ。プロでは強さを発揮。エルネスト・マルセルの持つWBA世界フェザー級タイトルへの挑戦は判定負けに終わったが(ややキャリア不足と思われる試合ぶりだった)、同王座への二度目のチャンスを得た。オリバレスはおなじみ。「怪物」と呼ばれるメキシカンで、世界バンタム、フェザーの二階級制覇王者。身長差がある対決。共に強打者だがオリバレスはアルゲリョの強打を警戒しているのか、足を使って距離を取る。アルゲリョは正確な左ジャブで相手を追い込む。13R、アルゲリョが二度のダウンを奪って痛烈なKO勝ち。パワフルだったアルゲリョ。一方のオリバレス。強烈な左右フックで倒しまくってきた男がアウトボクサーのような動きをしてどうしようというのか? 近づけないほどアルゲリョのパンチが強かったのだろう。)
(WBA世界フェザー級タイトル戦、1975年)
アルゲリョ:左ジャブ、右ストレート、左フック
小林:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
5R:連打、左ボディフックで2度、小林がダウン
(感想:アルゲリョが世界タイトル防衛。東京の蔵前国技館で行われた試合。挑戦者の小林はこれまで全勝で、KO勝ちが多い。強打者同士の一戦。しかし「パンチの伸び」が違う。アルゲリョがロングレンジの正確なジャブ、ストレート、そして固いディフェンス。小林の「ケンカボクシング」は通用せず。5R、二度のダウンで終了。最後のボディへのKOパンチは今でも語られる「伝説の一撃」。惨敗の小林だが、後、WBC世界J・フェザー級タイトル獲得。勝てなかったが、小林はアルゲリョ、ウィルフレド・ゴメス、エウセビオ・ペドロサといった歴史に残る選手と日本で対戦し、そのおかげで日本のファンは超一流選手を間近で観ることができた。)
(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1978年)
アルゲリョ:左ジャブ、右ストレート、左フック
エスカレラ:左ジャブと右フック
(ダウンシーン)
2R:左フックでエスカレラがダウン
(感想:アルゲリョが二階級制覇。減量苦でフェザー級タイトルを返上したアルゲリョ。ニカラグアで革命が勃発し、亡命。資産も失い、一からやり直し、といった状況に。王者エスカレラはプエルトリコの選手。柴田国明を豪快にKOしてこの王座を奪った強打者で、これまで10度の防衛に成功している。プエルトリコでの一戦。共に強打者であるが、ディフェンスのテクニックに差が。2Rにダウンを喫するなど、ダメージを重ねていくエスカレラ。13R、レフェリーストップ。TV映像では13Rにレフェリーが唐突に試合を止めたように見えたが、ストップ時点ではエスカレラは傷だらけで危険な状態だったらしい。その後のアルゲリョの活躍はおなじみ。エスカレラとの再戦、ラファエル・リモン、ボビー・チャコン、ローランド・ナバレッテといった後にこの王座を獲得する選手との防衛戦に勝利。階級を上げてWBC世界ライト級王座獲得、三階級制覇。しかし、四階級制覇を狙ってアーロン・プライアーと二度に渡って行ったWBA世界J・ウェルター級王座への挑戦は二度ともTKO負け。引退後はニカラグアに戻って政治活動。しかし、またしても財産を失ってしまう。カムバックするが、心臓の異常により再び引退。マナグアの副市長に当選するが、さらなる不幸が。銃で自死。他殺の噂もあるが真相は不明。戦い続けた男だが、個人的には政治家にはなって欲しくなかった。)
Ruben Olivares vs. Alexis Argüello」
②「WBA World Featherweight Title
Alexis Argüello vs. Royal Kobayashi」
③「WBC World Super Featherweight Title
Alfredo Escalera vs. Alexis Argüello」
ルーベン・オリバレス(Rubén Olivares)のページ
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アルフレド・エスカレラ(Alfredo Escalera)のページ
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アーロン・プライアー(Aaron Pryor)のページ
ロイヤル小林戦の最後の左ボディは臓器まで壊すようなフォローの効いたパンチでしたね。
返信削除日本と世界のルベルの違いを痛感しました。
コメントありがとうございます。ボクサーで不思議なのは「パンチ力」。腕が太いからといってパンチが強いとは限らない。細腕でも「ガツン」と当てるのが巧い選手はKO勝ちしたりします。アルゲリョはまさにそんな選手でしたね。拳が頑丈だったり、骨太だったり。そのパワーの秘訣・源は人によって違うと思いますが、結局はボクサー向きの体を持って生まれてきたから、ということなんでしょうね。
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