ミゲル・カント(メキシコ)
身長152cm:オーソドックス(右構え)
①ミゲル・カント 15R 判定 ベツリオ・ゴンザレス
(WBC世界フライ級タイトル戦、1975年)
カント:左ジャブ、右ストレート、左フック
ゴンザレス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:カントがタイトル防衛。「El Maestro(指揮者)」と呼ばれたメキシカン、カント。優秀な選手であるが、他のメキシカンとは違い、KOを狙うタイプではない。デビュー戦に敗北。その後も敗北と引き分けを経験するが、「勝つコツ」をつかんだか、連勝。メキシコ・フライ級王座獲得。ベツリオ・ゴンザレス(ベネズエラ)と空位のWBC世界フライ級王座を争ったが2-0で判定負け。二度目の世界挑戦で小熊正二を破り、WBC世界フライ級王座獲得。初防衛戦はかつて敗れたゴンザレスとの再戦。メキシコのモンテレイで行われた一戦。小柄なカントがフットワークを使い、多彩な左でボディ・顔面を打ち分ける。パンチはシャープで手数も多く、特に左ボディフックが良い印象。ゴンザレスは力んで振りが大きく、攻めるがディフェンスされてしまう。判定は2-1。テンポよく左を使ったカントの勝利。ダウンシーンは無し。ゴンザレスは手数が少なかったように見えた。一発で倒すようなハードパンチャーでないのであれば、チャンピオンより多く打たないと勝てない。)
(WBC世界フライ級タイトル戦、1977年)
カント:左ジャブ、右ストレート、左フック
触沢:左ジャブと左右フック
(感想:カントがタイトル防衛。世界3位の触沢の挑戦。これまで51勝(13KO)3敗4分のカント。フットワークと多彩な左で打ち合わないボクシングを展開し、時折、大きな右フックを振るう。触沢は前に出るが左ジャブを打たれ、ディフェンスされてしまう。7Rに触沢は左フックをヒットさせて手数が増えたが、全体的にはカントの左が試合を支配。判定は3-0でカント。ダウンシーンは無し。カントの倒しに行かないポイント狙いの戦い方はエキサイティングなものではなかったが、止まらないフットワークと左のテクニックは見事。パンチ力もそれなりにありそうな感じだった。)
(WBC世界フライ級タイトル戦、1979年)
カント:左ジャブ、右ストレート、左フック
アベラル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:カントがタイトル防衛。14度目の防衛戦。挑戦者は同じメキシコで、後にこのベルトを巻く強打者アベラル。振りが大きいパンチで圧力をかけ、ボディを狙うアベラル。カントはジャブを使いながらも、時には足を止めて打ち合う。判定は3-0。ダウンシーンは無し。カントが防衛。(今回ブログを書くために)計45R観戦してダウンシーンはゼロ。カントは良く言えば「安定している」、悪く言えば「誰とやっても同じ」という印象。しかしながら、アベラルのようなハードパンチャーと打ち合っても負けなかったり、ジャブ・フックで相手を後退させるなど、KOを狙っていないだけで、カントはかなりパンチがある選手なのではないか? 実際、フットワークや打ち方などカルロス・サラテに似ている部分もある。ただポイントを取るだけの選手ではない、という印象が残った。15度目の防衛戦は敵地で朴賛希と。判定負けで王座陥落。再戦は引き分けで王座返り咲きならず。その後もガブリエル・ベルナル(後、小林光二を2RでKOしてWBC世界フライ級王者に)に勝利するなど、全盛を過ぎてもマエストロぶりを発揮した。)
Miguel Canto vs. Betulio Gonzalez」
②「WBC World Flyweight Title
Miguel Canto vs. Furesawa Kimio」
③「WBC World Flyweight Title
Miguel Canto vs. Antonio Avelar」
触沢戦で、アナウンサーが『カントが踊る!カントが踊りますっ!』と絶叫していたのが印象深いです。
返信削除コメントありがとうございます。昔の世界戦は「15ラウンド制」。長丁場を乗り切るためにはリズミカルな動きが必要でした。パンチ力がありながらもテクニックとディフェンスで勝ち続けたカントは優れた選手でしたね。
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