IBF世界J・フェザー級王者。南アフリカ出身のスピードスター。ファブリス・ベニシュ戦、ハーリー・スニード戦ほかを紹介します。
ウェルカム・ニシタ(南アフリカ)
身長166cm:オーソドックス(右構え)
①ウェルカム・ニシタ 12R 判定 ファブリス・ベニシュ
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、1990年)
ニシタ:左ジャブ、右ストレート、左フック
ベニシュ:左ジャブと左右フック
(感想:ニシタがタイトル獲得。南アフリカのニシタ。「ウェルカム」という変わった名前。本名なのか、それとも「どんな相手でもウェルカム」というニックネーム的なリングネームなのか(よくわからない)。「南アフリカ」と言えばゴールド。ニシタは金のアクセサリーが大好きなのだそうだ(今でも所持していたら大変なカネ持ちだが)。ニックネームは「The Hawk(鷹)」(スピードで勝負する男で「鷹」というイメージではないような気がする)。兄もボクサーだった「ボクシング兄弟」で、アマチュアでは優秀な成績。プロ入りし、南アフリカ・フライ級王座獲得、防衛。これまで全勝。WBA世界J・バンタム級王者カオサイ・ギャラクシーに挑戦する話もあったが流れてしまい、J・フェザー級で初の世界挑戦。王者ベニシュはフランスの選手。ホセ・サナブリアからタイトルを奪い、これが三度目の防衛戦。(どういう事情かは知らないが)イスラエルのテルアビブで行われた試合。ニシタが速いジャブ、ストレート。ベニシュは左フックを振るうが、ジャブを使わないためか空振りが多く、パンチの正確さに欠ける。そのパターンのまま12R終了。両者とも自身の勝利をアピール。判定は3-0。ニシタが相手を圧倒したワケではないが、ジャブを打っている分、見栄えが良かった、といったところか。元々はフライ級だったニシタがJ・フェザーで世界王座獲得。ベニシュはその後、欧州フェザー級王座を獲得、防衛したが、数度の世界挑戦に失敗。ジャブを使わない試合ぶりが原因と思われる。)
②ウェルカム・ニシタ 12R 判定 シュガー・ベビー・ロハス
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、1991年)
ニシタ:左ジャブ、右ストレート、左フック
ロハス:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
11R:右ストレートでニシタがダウン
(感想:ニシタがタイトル防衛。ラモン・クルス、ヘラルド・ロペスを下して二度の防衛に成功したニシタ。三度目の防衛戦の相手は強打者。コロンビアの挑戦者ロハスは元WBC世界J・バンタム級王者で、IBF1位。パワーはあるが狙いすぎる欠点アリ。イタリア・サン=ヴァンサンでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー)。リズミカルなフットワーク&ジャブのニシタ。速いワンツー。ロハスは手数(特にジャブ)が少ない。いきなりのフック攻撃は空を切るシーンが多い。実によく足を使うニシタ。時折右カウンターを当て、相手の攻撃はクリンチで阻止。5R、クリンチを解こうとするロハスだが、両者もつれ合って転倒。6R終了直前、ロハスの強烈な左フックからの右ストレートがヒット(タイミング的に微妙なパンチ。ラウンド終了と同時ぐらいだった)。11R、右ストレートが効いたニシタ。追撃の右ストレートでダウン。その後も、荒っぽくフックを振るうロハス、足で逃げるニシタ、といったパターンで12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。特にロハス陣営は勝利を強く確信。判定は2-1。ニシタのジャブ、右カウンターが評価されたか。ロハスはパワーで勝っていたが、ジャブが少なかった。そのためパワフルなフックを空振り。もったいない負け方だった。後、両者は王座を懸けて再戦。)
③ウェルカム・ニシタ 12R 判定 ハーリー・スニード
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、1991年)
ニシタ:左ジャブ、右ストレート、左フック
スニード:左ジャブとフック
(ダウンシーン)
3R:右アッパーでスニードがダウン
(感想:ニシタがタイトル防衛。四度目の防衛戦。アメリカの挑戦者スニードはスピードが売りの黒人選手。全米バンタム級王座を獲得するなど戦績は良いが、直前の試合ではルイシト・エスピノサの持つWBA世界バンタム級王座に挑戦してTKO負けしている。テキサス州サンアントニオでの一戦。ニシタがいつもの速いジャブ、ストレート。スニードも速いジャブ。スピードがある者同士のジャブの打ち合いに。スニードはスピードはあるがパワーに欠ける。ニシタはスピードのイメージが強いがパワーもある。ジャブ以外のパンチの差で判定は3-0。勝ったがニシタはスニードのジャブと右フックで目が腫れていた。これが最後の試合となったスニード。もっと積極的に自分から攻撃を仕掛けていれば結果は違っていたかも知れない。)
④ウェルカム・ニシタ 12R 判定 ヘスス・サルード
(IBF世界J・フェザー級タイトル戦、1992年)
ニシタ:左ジャブ、右ストレート、左フック
サルード:左ジャブと左右フック
(感想:ニシタがタイトル防衛。シュガー・ベビー・ロハスと再戦してまたしても2-1で勝利したニシタ(五度目の防衛成功)。そして六度目の防衛戦。サルードは元WBA王者で「ハワイアン・パンチ」と呼ばれる強打者。ただ、パンチはあるが、一発を狙うような戦いぶりをするため、手数で相手に負けることもよくある。イタリアでの一戦。ニシタがいつもの速いジャブ、ストレート。サルードは固そうなパンチを振るう。ニシタは6R終了時には左目がふさがるほど腫れていたが、最後までよく打ち合う。判定は3-0。手数が評価されたか。ダウンシーンは無し。サルードは相手の動きに合わせるようにパンチを打っていた(ニシタが足を使って手を出さないときはサルードも打たない、という感じだった。チャレンジャーなのだから自分から攻めていかないと勝てない)。その後もサルードは強打を振るい続けたが、数度の世界挑戦のチャンスに失敗。パワーに頼りすぎなのが原因だろう。)
⑤ヘクター・リザラガ 11R TKO ウェルカム・ニシタ
(IBF世界フェザー級王座決定戦、1997年)
ニシタ:左ジャブ、右ストレート、フック
リザラガ:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:リザラガがタイトル獲得。サルード相手に防衛に成功したニシタだが、その次の防衛戦でケネディ・マッキニーに衝撃の逆転KO負けで王座陥落、初黒星。再戦も敗北。それから連勝し、この二階級制覇挑戦。リザラガ(IBF1位。ニシタは2位)はメキシカン。かつてはポール・バンキに敗れるなど勝ったり負けたりだったが、実力を付けていく。WBC米大陸王座、IBFインターコンティネンタル王座(いずれもフェザー級)を獲得。このところ連勝中。フロリダ州ポンパノビーチでの一戦。ブロックを固めて前進するリザラガ。右ストレート、ショートフック。少し細かいボクシング。ニシタは階級を上げても同じ。フットワーク&ジャブ。リザラガが精力的な連打。右ストレートからの左フック、左ボディからの左フックなどでニシタを追い込む。3R、右フックを決めたニシタだが、リザラガは打ち返す。どうやらニシタのパンチは効かないらしい。接近戦。互いにフックを使うが、リザラガが優勢。右目が腫れていくニシタ。10Rに打たれる。このラウンド終了後、ニシタが棄権。リザラガがタフネスとコンビネーションで勝利。ニシタも良いパンチを打っていたが、総合的にパワー負けした。その後の二人。感動的な世界王座奪取だったリザラガだが、初防衛戦でマヌエル・メディナに判定負け。ニシタは再起戦でスティーブ・ロビンソンと引き分け、引退。パワーには欠けていたが、J・フェザー級時代は素晴らしいスピードだったニシタ。個人的に気に入っている選手である。)
①「IBF Super Bantamweight Title
Fabrice Benichou vs. Welcome Ncita」
②「IBF Super Bantamweight Title
Welcome Ncita vs. Sugar Baby Rojas」
③「IBF Super Bantamweight Title
Welcome Ncita vs. Hurley Snead」
④「IBF Super Bantamweight Title
Welcome Ncita vs. Jesus Salud」
⑤「vacant IBF World Featherweight Title
Welcome Ncita vs. Hector Lizarraga」
ケネディ・マッキニー(Kennedy McKinney)のページ
ルイシト・エスピノサ(Luisito Espinosa)のページ
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