2020年2月19日水曜日

ラリー・ホームズ("The Easton Assassin" Larry Holmes)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC世界ヘビー級王者・特集②「イーストンの暗殺者」ラリー・ホームズ。ケン・ノートン戦、モハメド・アリ戦、ゲリー・クーニー戦を紹介します。

ラリー・ホームズ("The Easton Assassin" Larry Holmes)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ラリー・ホームズ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

ラリー・ホームズ 15R 判定 ケン・ノートン
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1978年)
ホームズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
ノートン:左ジャブと左フック
(感想:ホームズがタイトル獲得。ジョージア州出身のホームズ。その後、ペンシルベニア州イーストンに引っ越し。子沢山の貧乏一家だったため、学校を辞め、働くことを選択。18歳でボクシングを始める。アマチュアでも優秀な選手であったが、ミュンヘンオリンピック(1972年)には出場ならず。プロ入り後はこれまで全勝。そして世界挑戦。直前の試合では強豪アーニー・シェイバースに判定勝ちしている(その試合はシェイバースにとってモハメド・アリの世界王座に挑戦して敗れた再起戦だった)。王者ノートンは「アリのアゴを割った男」として有名だが、「ワケあり」の世界王者。アリを世界戦で大苦戦させたが、判定負け。ジミー・ヤングとの世界ヘビー級王座挑戦者決定戦で勝利。ところがアリが新鋭レオン・スピンクスに敗北。スピンクスがノートン戦ではなく、アリとの再戦を強行したため、WBCはスピンクスの王座を剥奪し、挑戦者決定戦で勝利したノートンに王座を与えた。そういう経緯からノートンは「ペーパーチャンピオン(「王者に勝ってもいないのに王者になった奴」の意)」などと呼ばれる屈辱。どちらにとっても「勝たなければならない」試合。どんな内容になるか?  ラスベガス「シーザースパレス」で行われた一戦。リングサイドには名王者ジョー・ルイスの姿も。アリのようなフットワークとジャブでポイントを取るホームズ。ノートンはフック攻撃。終盤はホームズが足を止めて打ち合い、ノートンのハードパンチもヒットするが、手数ではホームズの方が上の印象。判定は2-1。割れた判定だったのには根拠がある。パワーのノートン、手数のホームズ。ヘビー級の試合は軽量級のように手数で判定するわけにはいかない。「重いパンチ」を評価するのが「ヘビー級」。ジャッジの一人はノートンの強打が勝ったように見えたのだろう。ホームズがジャブ、ストレートといった真っ直ぐのパンチで勝利。ノートンはアリに負けたときのようにフックをディフェンスされ、ポイント上で劣勢になってしまった。ダウンシーンは無かったが、両者とも足を止めて打ち合うなど、「世界ヘビー級王座戦」にふさわしい戦い。最終15Rでもパンチのキレが落ちなかったホームズは凄かった。)

ラリー・ホームズ 11R TKO モハメド・アリ
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1980年)
ホームズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
アリ:左ジャブと右ストレート
(感想:ホームズがタイトル防衛。王座を防衛し続けるホームズ。何と38歳のアリの挑戦を受けることに。アリは大金を稼いだが、周囲の人間によって食い物にされたりすることもあって、常にカネに困っている。結局、いくら人気者といってもアリが大金を稼げるのはボクシングしかない、ということでカムバック。ラスベガス「シーザースパレス」で行われた一戦。アリはガードを高く上げてはいるが手が出ず、7Rには例の「ジャブ&フットワーク」を見せるが長続きしない。ホームズはジャブ、ストレートを打ち込むが、やや手加減しているように見える。アリはサンドバッグのように打たれるだけの状態が続き、10R終了でギブアップ。アリの「唯一のKO負け」だが「倒されてテンカウントを聞くKO」ではないのがちょっとした救い。ダウンシーンは無し。「興行」としては意味があったかも知れないが「勝負」としては無意味だったような気もする試合。そもそも、アリはレオン・スピンクスからタイトルを取り戻した試合でも相手を倒すパワーが無かったのだから、全盛期でも苦戦したであろうホームズに勝つ可能性はほぼゼロだった。ゴング前の「相手を挑発する表情」がアリの「唯一の見せ場」であった試合。ただ、試合後の記者会見は面白かった。ホームズ「アリを尊敬している」、アリ「だったら、何故オレに勝たせない?」。会見場は大爆笑に包まれた。) 

ラリー・ホームズ 13R TKO ゲリー・クーニー
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1982年)
ホームズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
クーニー:左ジャブと左フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでクーニーがダウン
13R:右ストレートでクーニーがダウン
(感想:ホームズがタイトル防衛。全勝で王座を守り続けるホームズだが、イマイチ人気が出ない。本人のキャラクターだけではなく、良きライバルがいないのが原因。クーニーとの一戦は当時、非常に話題になった。「ホワイトホープ」クーニー。黒人ばかりが世界王者になる世界ヘビー級で、珍しく現れた白人選手。これまで全勝。あのケン・ノートンを1Rで粉砕している。これもラスベガス「シーザースパレス」で行われた一戦。互いにジャブを打ち合うが、ホームズのは速く、クーニーは重い。序盤はクーニーのパワーを警戒しているのか、ホームズはジャブとフットワークを使う。しかし、後半は足を止めて打ち合うなど、ホームズがスピードとパワーで優勢。13R、ロープ際でクーニーがダウンしたところでセコンドがリングに入りTKO。ホームズが圧勝。クーニーはリズム感が無い男。攻撃がとぎれとぎれで動きが乏しく、何となくあまりヤル気が無いように見えた。もっとテンポよく攻めればサプライズもあったかも知れない。その後のホームズはおなじみ。WBC王座を防衛し続けたが、新鋭マービス・フレージャーとの試合を強行したため、WBCが王座を剥奪。しかし、新興団体IBFから王者に認定されていたため、引き続き「世界王者」としてヘビー級のトップとして君臨。そしてマイケル・スピンクス戦での敗戦。再戦でも敗北。若いマイク・タイソンには惨敗。これで完全に終わったと思われたが、カムバック。何と当時のトップ、レイ・マーサーに勝利。イベンダー・ホリフィールドの世界王座に挑戦、敗北。さらにオリバー・マッコールのWBC王座にも挑戦(判定負け)。それでもリングに上がるホームズ。ジェームス・スミス、マイク・ウィーバーといったかつて戦った相手と再戦して勝利。ラストファイトはバタービーン戦。個性的な太っちょバタービーンを判定で下してキャリアを終えた。引退後は現役時代からのビジネスで悠々自適だとか。)

①「WBC World Heavyweight Title
Ken Norton vs. Larry Holmes」
②「WBC World Heavyweight Title
Larry Holmes vs. Muhammad Ali」
③「WBC World Heavyweight Title
Larry Holmes vs. Gerry Cooney」

ケン・ノートン(Ken Norton)のページ
--------------
モハメド・アリ(Muhammad Ali)のページ
--------------
ゲーリー・クーニー(Gerry Cooney)のページ

0 件のコメント:

コメントを投稿