モハメド・アリ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)
①カシアス・クレイ 7R TKO ソニー・リストン
(世界ヘビー級タイトル戦、1964年)
クレイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
リストン:左ジャブ、左右フック
(感想:クレイがタイトル獲得。説明不要の名ボクサー、アリ。ケンタッキー州ルイビル出身。1960年のローマオリンピックではライトヘビー級で出場し、金メダル。プロ入り後はスピードのある動きで全勝。王者リストンは「ビッグ・ベア(大熊)」と呼ばれる強打者。フロイド・パターソンを二連続で1RでKO。予想はリストンが圧倒的に優位。マイアミで行われた一戦。TV解説席にジョー・ルイス。動きが速いクレイ。「左フック連打からの右ストレート」をヒットさせるなど、不利の予想を覆す見事な動き。リストンは腕力だけではなく、パワーの乗った伸びのあるジャブを使いながら左右フック連打で前に出る。ジャブ、右ストレートで迎え撃つクレイ。クレイの目にワセリンが入って見えづらくなるハプニング。その後、回復し、クレイはジャブを正確にヒットさせる。徐々に手数が少なくなったリストンは7R開始のゴングに応じられず(右肩を脱臼したらしい)。番狂わせでクレイ勝利(ダウンシーンは無し)。リストンがパンチをやたら振り回して負けた、というイメージで語られることもある試合だが、リストンはバランスが良く、ジャブもしっかり使っていた。「クレイがあまりにも速かった」というのが正確なところ。この試合の後、クレイは名前を「モハメド・アリ」に変える。)
(世界ヘビー級タイトル戦、1974年)
アリ:左ジャブ、右ストレート
フォアマン:左右フック
(ダウンシーン)
8R:右ストレートでフォアマンがダウン
(感想:アリがタイトル奪回。リストンを破って以来、全勝を続けたアリだが、同時にトラブルも。ブラックムスリムやベトナム戦争に関する問題で当局から「アメリカの敵」扱いされ、最終的には兵役拒否で王座剥奪。その後、新王者を決めるトーナメント戦が行われたりしながら、ジョー・フレージャーが統一世界ヘビー級王者に。三年のブランク後、アリはフレージャーに挑戦したが、太ってしまった身体ではフレージャーの必殺の左フックをかわすことができず、ダウンを喫した末、判定負け、初黒星。その後もアリはケン・ノートンにアゴを割られるなど苦戦が続き、そしてこのフォアマンへの挑戦。王者フォアマンはフレージャーをジャマイカで粉砕した強打者。ノートンも粉砕。アリとの試合は三度目の防衛戦となる。試合地はアフリカ・ザイール。予想は圧倒的にフォアマン有利。左右フック連打で前に出るフォアマン。アリはジャブと右ストレートで迎え撃つ。フォアマンがまるでディフェンスを気にしないかのような大振りの左右フックを闇雲に連打。そして、スタミナをいたずらにロス。8R、バランスを崩したフォアマンにアリが一気に連打。右ストレートでフォアマンがダウン、KO。衝撃の番狂わせ。しかし、アリが勝てたのには理由があった。フォアマンはタイトル獲得がジャマイカ、初防衛戦が日本、二度目の防衛戦がベネズエラ、と何故か海外ばかり。そして今回のアフリカ。疲れ切っていたのだと思われる。ディフェンスのテクニックにも大きな差があった。)
(WBA世界ヘビー級タイトル戦、1978年)
アリ:左ジャブ、右ストレート
スピンクス:左ジャブ、左右フック
(感想:アリが三度目の世界タイトル獲得。王者スピンクス。これまで無敗。モントリオールオリンピック(1976年)、ライトヘビー級金メダリストでもある。ラスベガスでアリを破って世界王者に。ニューオリンズ「スーパードーム」で再戦。試合前、あのジョー・フレージャーがアメリカ国歌斉唱。会場ではABCテレビのインタビューを受けるシルベスター・スタローン、ラリー・ホームズ。スピンクス側のコーナーに弟マイケル・スピンクス。アリがフットワークを使って左ジャブ、右ストレート。スピンクスはジャブ、そして接近してフック連打。オリンピック金メダルとは思えないような無骨な攻めを見せるスピンクス。しかしながら、アリには相手を倒すパワーが無く、ジャブとクリンチ。前に出てもかわされてクリンチされてしまうスピンクス。判定は3-0。アリが雪辱、王座奪回。「アリが勝った」というより「スピンクスにポイントをつけられない」といった感じの内容だった。スピンクスは初戦では活きのいい攻めを見せたが、今回は不器用な動き。オリンピックで金メダル、プロではアリに勝って世界ヘビー級タイトルを獲得。ボクサーとして目指すものを全て手に入れて満足し切っていたのかも知れない。その後のアリはおなじみ。よせばいいのにカムバックしてラリー・ホームズ、トレバー・バービックに敗北。引退後、現役時代の後遺症。2016年、74歳で死去。TKOで負けたことはあったが、10カウントを聞いてKOされたことは無かったアリ。タフな男だったが、やはり生身の人間。「ボクシングは危険すぎる」と生前語っていたが、それでもリングに上がり続けたのは「ボクシング=自分自身」だったからではないだろうか?)
Sonny Liston vs. Cassius Clay」
②「World Heavyweight Title
George Foreman vs. Muhammad Ali」
③「WBA World Heavyweight Title
Leon Spinks vs. Muhammad Ali」
ソニー・リストン(Sonny Liston)のページ
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ジョージ・フォアマン(George Foreman)のページ
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レオン・スピンクス(Leon Spinks)のページ
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