トロイ・ドーシー(アメリカ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)
①トロイ・ドーシー 8R TKO ベルナルド・ピニャンゴ
(フェザー級戦、1990年)
ドーシー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ピニャンゴ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでピニャンゴがダウン
8R:右ストレートで2度、ピニャンゴがダウン
(感想:テキサス州マンスフィールド出身の白人ドーシー。その強打からニックネームは「The Destroyer(壊し屋)」。元WBA王者スティーブ・クルスと同門(クルスがマクギガンに勝った時、その勝利を喜ぶ姿が映像で残っている)。10歳で空手とテコンドーを習う。キックボクサーとして世界王者に。プロボクシングに転向するが、再びキックの試合に出場したり、ボクシングでは負けたり引き分けたり、と不安定な状態。その後はコツをつかんだか連勝し、ホルヘ・パエスのIBF世界フェザー級タイトルに挑戦。攻めまくったが、パンチの正確さで敗北。このピニャンゴ戦はパエスに負けた再起戦。ピニャンゴ(ベネズエラ・カラカス出身)は二階級制覇王者。テクニックで勝負するタイプ。ラスベガス「Hilton Hotel」での一戦。典型的なファイタータイプのドーシーが攻めて、ボクサータイプのピニャンゴが距離を取ろうとする展開。2R、右ストレートでピニャンゴがダウン。パンチにキレがないピニャンゴ。8Rのダウンはいずれも痛烈なもの。立ったがレフェリーストップ。ドーシーがパワーで勝利。ピニャンゴはこれで引退となったが、ベストウェイトはバンタム級。この敗北は彼の真の実力を表すものではない。)
(IBF・WBO世界フェザー級タイトル戦、1990年)
ドーシー:左右フック
パエス:左右フック
(感想:パエスがタイトル防衛。個性派の王者パエス(メキシコ)。ショーマンシップにあふれる男で、あのマービン・ハグラーが「パエスの試合が観たい」と試合のチケットを手に入れようとしたことがあるほど。ドーシーとの初戦後、ルイ・エスピノサを破ってWBO王座も獲得。「統一王者」として初防衛戦。ラスベガス「Hilton Hotel」での注目の再戦。前回と同じように超接近戦で攻めるドーシー。パエスをロープ際に押し込んでフック攻撃。パエスは回転の速い連打で応戦しながら腕をぐるぐる回してパンチを打ったり、おどけた動きをしたり。最終ラウンド終了時には「自分が勝った」という感じで両手を上げて勝利をアピールするドーシー。判定は引分(ダウンシーンは無し)。キズと出血に苦しみながらもドーシーはよく前に出たが、パンチの正確さとディフェンスでまたしてもパエスが上回った。ただ、パエスはこれが世界王者としてリングに上がった最後の試合に。階級を上げたが、実力者にパワーで通用せず。オスカー・デラ・ホーヤには2RでKOされてしまった。)
(IBF世界フェザー級王座決定戦、1991年)
ドーシー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ランヘル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでランヘルがダウン
(感想:ドーシーがタイトル獲得。パエスが返上した王座の決定戦に出場することになったドーシー。相手のランヘルは戦績は悪くはないが、ハーリー・スニード、ヘスス・サルード、スティーブ・クルス、ルイ・エスピノサといった実力者に敗北している。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。1R、いきなり突進するドーシー。距離を取ろうとするランヘル。強打で後退したランヘルに右ストレート一撃、KO。ランヘルがジャブで距離を取ろうとしたため、ドーシーにとって丁度いい距離となり、強打を生かすことができた(「ボクシングマガジン1991年8月号」によるとランヘルはアゴを骨折して病院へ直行したらしい)。ワンパンチKOで大喜びのドーシー。一方、ランヘルはこの後、ブランク。カムバックしたが一年に一度のリング活動で、サッパリだった。)
④トロイ・ドーシー 4R TKO ファン・バレンズエラ
(J・ライト級戦、1992年)
ドーシー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
バレンズエラ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:連打でバレンズエラがダウン
(感想:ランヘルに衝撃的なKO勝利で世界王者になったドーシー。初防衛戦の相手はマヌエル・メディナ。早々にダウンを奪って圧勝する雰囲気の中、細かいジャブなどでポイントを挽回されて判定負け、王座陥落(メディナは以降、しぶとくフェザー級で何度も世界王座獲得)。再起戦の相手はケビン・ケリーで判定負け。バレンズエラと再び再起戦。これまで12勝(10KO)5敗4分(戦績はマズいが実力者と対戦してきた)。バレンズエラはメキシカンだが、よくわからない選手。TVテロップには「28勝(21KO)7敗」とあるが。テキサス州フォートワースでの一戦(会場ではドーシーの妻と幼い娘(カワイイ)が観戦)。共に素早い動き。フットワーク&ジャブのバレンズエラ。ドーシーはいつも変わらない。距離を詰めてストレート、フック。激しく攻めるが、ディフェンスもそれなりにしっかり。バレンズエラはストレート、フックで応戦。打ち合いが続く。2R終了後も打ち合い、レフェリーにバレンズエラの右フックがヒット。その後もストレート、フック、ボディ打ちで打撃戦。ディフェンス・突進力でドーシー優勢。4R、連打でバレンズエラがうつぶせにダウン。その姿を見てレフェリーは直ちに試合を止めた。ドーシーが快勝。いつものパターンが通用する相手には強い。バレンズエラもよく頑張ったが、ディフェンスで負けた印象。その後のドーシー。厳しいキャリア。ジェシー・ジェームズ・レイハ、カルビン・グローブ、オスカー・デラ・ホーヤ、エド・ホプソンに連敗。ジンミ・ブレダルを破ってIBOジュニアライト級王座獲得。しかし、最後はヘスス・チャベス、ガブリエル・ルエラスに連敗で引退。パワーだけなら誰にも負けていなかったが、ようやく獲得した世界王座を一度も防衛できなかったうえにメジャー団体の世界王座に返り咲きならず。ボクシングとキックボクシングは別物。パンチだけで相手をコントロールし、自分に有利な距離を作らなければならない。それができないラフさがあった。ただ、実力者を選んで試合し続けたのは立派だ。)
Troy Dorsey vs. Bernardo Pinango」
②「IBF・WBO World Featherweight Title
Jorge Paez vs. Troy Dorsey」
③「IBF World Featherweight Title
Troy Dorsey vs. Alfred Rangel」
④「Junior Lightweight
Troy Dorsey vs. Juan Valenzuela」
ベルナルド・ピニャンゴ(Bernardo Pinango)のページ
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ホルヘ・パエス(Jorge "El Maromero" Páez)のページ
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マヌエル・メディナ(Manuel Medina)のページ
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