2020年8月28日金曜日

ジョニー・バンフス(Johnny Bumphus)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界J・ウェルター級王者。ランディ・シールズ戦、ロレンゾ・ガルシア戦、マーロン・スターリング戦ほかを紹介します。「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジョニー・バンフス(Johnny Bumphus)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジョニー・バンフス(アメリカ)
身長183cm:サウスポー

ジョニー・バンフス 2R KO ホセ・アンヘル・メディナ
(J・ウェルター級戦、1981年)
バンフス:右ジャブ、左ストレート、左右フック
メディナ:右ジャブ、左右フック
(ダウンシーン)
2R:右ボディでメディナがダウン
(感想:ワシントン州タコマ出身の黒人バンフス。スラリとした体型の長身サウスポー。アマチュアで優秀な選手だったが、アメリカがモスクワ・オリンピック不参加(出場ならず)。ボブ・アラムの「トップランク」と組んでプロ入り。これまで三連勝。メディナはテキサスのサウスポー(記録に乏しい)。テキサス州サン・アントニオでの一戦(バンフスのセコンドにルー・デュバ)。いきなり右フックをかますメディナ。なかなか思い切りのいい打ち方でパワーもある。バンフスは実に冷静。ディフェンス(ブロックなど)し、鋭い右ジャブ、ボディ打ち。2R、フック連打で激しく攻めるメディナだが、ロープ際での右ボディでダウン。立てず、KO。バンフスがパンチのキレで勝利。相手の勢いのいい攻めをディフェンス。プロ四戦目とは思えないほど戦い慣れている試合ぶりだった。その後、メディナはフリオ・セサール・チャベスに6RでKOされている。)

ジョニー・バンフス 8R TKO ランディ・シールズ
(ウェルター級戦、1983年)
バンフス:右ジャブ、左ストレート、左右フック
シールズ:左ジャブ、左右フック
(感想:メディナ戦後も勝ち続けるバンフス。判定で全米J・ウェルター級王者に。そして経験者と対戦。シールズはカリフォルニアのタフな白人。デビュー以来、連戦連勝だった頃もあったが、ウィルフレド・ベニテス、シュガー・レイ・レナード、ピピノ・クエバス(WBA世界ウェルター級タイトル戦)、トーマス・ハーンズ(WBA世界ウェルター級タイトル戦)、ミルトン・マクローリーといったトップクラスには敗北している。ラスベガスで行われた試合(テレビ解説席にシュガー・レイ・レナード)。キレのあるジャブ、ストレートを打つバンフス。スピードがないシールズを1Rから攻める。8R、シールズが目を痛めてTKO(ダウンシーンは無し)。バンフスの速い左ストレートが印象的だった試合。シールズは打たれるシーンが多かった。これが事実上のラストファイトに。1990年に一試合だけカムバックして判定勝ちだった。)

ジョニー・バンフス 15R 判定 ロレンゾ・ガルシア
(WBA世界J・ウェルター級王座決定戦、1984年)
バンフス:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ガルシア:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
4R:右フックでバンフスがダウン
(感想:バンフスがタイトル獲得。全勝のままバンフスがアトランチックシティで初の世界挑戦。相手のガルシアはアルゼンチンの選手で、アルゼンチンのライト級王座を獲得するなどこれまで53勝1敗7分。立派だが、KO勝ちはたったの「7」。身長差のある両者。バンフスはいつものジャブ・ストレート・フック連打。しかしガルシアは足を使って手数が少ない。4Rのダウンはタイミングのいい右のショートフックによるもの。終盤になって前に出るガルシアだが、時すでに遅し。15R終了。判定は3-0。攻めるときは思い切りのよいパンチを打っていたガルシア。いいパンチを持っているのに勝負に出たのは終盤から。この当時の世界戦は15R制。スタミナ配分を考えなければいけなかったのだろうが、スロースターターすぎた。バンフスは勝ったが、ダウンを奪い返すことはできなかった。バンフスの初防衛戦の相手は「狂犬」ジーン・ハッチャー。)

ジョニー・バンフス 6R 負傷判定 マーロン・スターリング
(全米ウェルター級タイトル戦、1986年)
バンフス:右ジャブ、左ストレート、左右フック
スターリング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:バンフスがタイトル獲得。ハッチャーに敗れて初防衛に失敗したバンフス。その後、連勝し、この挑戦。スターリングは後に世界王座を獲得するが、ドナルド・カリーに出世を阻止されて不遇の状況。ロード・アイランド州プロビデンスでの一戦。。ガードを高く上げてブロックしながら強打を振るうスターリング。バンフスはジャブ・ストレート・ボディ打ちで応戦。互いにディフェンスするため、もみ合いが多い展開。4R終了後、エキサイトして打ち合う。バッティングにより6R終了で負傷判定。バンフス勝利(ダウンシーンは無し)。パワーとパンチのキレはスターリング。しかしバンフスの「見栄えのいい長いパンチ」と「打ち合いでちょこっと当てる小技」がポイントになったのだと思われる。難敵スターリングに勝ったバンフスの次の試合はロイド・ハニガンの持つWBC・IBF世界ウェルター級タイトルへの挑戦。王者の勢いに屈し、何と2RでKO負け。そのまま引退。プロ入りの際、大いに将来が期待されたが、あまり活躍できず。テクニックはあった。もう少しパワーがあれば、といったところ。)   

①「Junior Welterweight 
Johnny Bumphus vs. Jose Angel Medina」
②「Welterweight 
Johnny Bumphus vs. Randy Shields」
③「WBA World Junior Welterweight Title
Johnny Bumphus vs. Lorenzo Garcia」
④「USBA Welterweight Title
Marlon Starling vs. Johnny Bumphus」

ジーン・ハッチャー(Gene Hatcher)のページ
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マーロン・スターリング("Magic Man" Marlon Starling)のページ
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ロイド・ハニガン(Lloyd Honeyghan)のページ

マーロン・スターリング("Magic Man" Marlon Starling)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBAとWBCでウェルター級王座を獲得した「マジックマン」。サイモン・ブラウン戦、マーク・ブリーランド戦(初戦)、ロイド・ハニガン戦を紹介します。

マーロン・スターリング("Magic Man" Marlon Starling)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

マーロン・スターリング(アメリカ)
身長173cm:オーソドックス(右構え)

マーロン・スターリング 12R 判定 サイモン・ブラウン
(全米ウェルター級タイトル戦、1985年)
スターリング:左ジャブ、右ストレート、左フック
ブラウン:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:スターリングがタイトル防衛。コネチカット州出身のスターリング。チーム競技とは肌が合わなかったようで、ボクシングを選ぶ。アマチュアで優秀な成績(タイトルも獲得)。プロではフロイド・メイウェザーに勝利したり、全米ウェルター級王座を獲得したり、と連戦連勝。ところが最大のライバルが出世を妨害。ドナルド・カリー。全米ウェルター級王座をカリーに奪われ、世界王者になったカリーに挑戦して敗北。フロイド・メイウェザーとの再戦で全米ウェルター級王座を奪回し、ブラウンと防衛戦を行うことに。ブラウンはこれまで21戦全勝(15KO)。後にIBFとWBCの世界ウェルター級タイトル、WBC世界J・ミドル級タイトルを獲得する男。アトランチックシティで行われた、後に世界王者になる者同士の対戦(当時は共に世界ランカー)。両者ともパワーのある右ストレート、左フックを使い、ボディ打ちも巧い。ブラウンはフットワークとジャブで距離を取りながら強打。スターリングはブロックしながらパンチを巧く当てる。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。ブラウンが足を使って下がりながら試合をしたため攻勢点をスターリングが取ったのだと思われる。パワーがあったブラウン。もったいない敗北を喫してしまった。)

マーロン・スターリング 11R KO マーク・ブリーランド
(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1987年)
スターリング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ブリーランド:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
11R:左フックでブリーランドがダウン
(感想:スターリングがタイトル獲得。スラリとした長身のチャンピオン、ブリーランドはこれまで全勝でオリンピックの金メダリスト。よく伸びるジャブが武器で、この試合、有利の予想。スターリングはチャレンジャーということで積極的にジャブ、連打で攻める。押され気味のブリーランドは何度も押し倒される(背か高いためか、バランスがあまり良くない印象)。11R、強烈な左フックでブリーランドがダウン、立てず。ボクシングとケンカは別物だが、「倒す」という気持ちでスターリングが勝った印象。ブリーランドは勝つときは凄いが、負けるときは弱々しい。スーパースターになれなかったのはその不安定さが原因か?)

マーロン・スターリング 9R TKO ロイド・ハニガン
(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1989年)
スターリング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ハニガン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
9R:連打でハニガンがダウン
(感想:スターリングがWBCタイトル獲得。WBA王座を失ったスターリング。WBC王者のハニガンに挑戦。ハニガンはドナルド・カリーを大番狂わせで破り、世界のボクシングファンを驚かせた男。スターリングはカリーに勝てなかった男(二回とも判定負け)。スターリングとしては王座に返り咲き、ハニガンを倒すことによって間接的にカリーに雪辱したいところ。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。1Rから攻めるスターリング。両者一歩も引かない打ち合い。時々サウスポーにスイッチするハニガンは左右フックでボディ攻撃。しかし次第にパンチの正確さでスターリングが優勢に。9R、連打でハニガンがダウン。さらに連打でレフェリーストップ。スターリングはディフェンシブなテクニシャンというイメージがあるが、実際はディフェンスが固いハードパンチャー。その後はマイケル・ナンのIBF世界ミドル級王座に挑戦して判定負けしたり、WBC王座をモーリス・ブロッカーに奪われたりしてしまったが、二つのベルトを獲れて満足なキャリアだったのではないだろうか?)

①「USBA Welterweight Title
Marlon Starling vs. Simon Brown」
②「WBA World Welterweight Title
Mark Breland vs. Marlon Starling」
③「WBC World Welterweight Title
Lloyd Honeyghan vs. Marlon Starling」

ドナルド・カリー(Donald Curry)のページ
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サイモン・ブラウン(Simon Brown)のページ
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マーク・ブリーランド(Mark Breland)のページ
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ロイド・ハニガン(Lloyd Honeyghan)のページ
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モーリス・ブロッカー(Maurice Blocker)のページ

アルフレド・エスカレラ(Alfredo Escalera)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

日本で奪ったタイトルを10連続防衛、エスカレラ。柴田国明戦、バズソー山辺戦(再戦)、カルロス・ベセリル戦を紹介します。

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アルフレド・エスカレラ(プエルトリコ)
身長173cm:オーソドックス(右構え)

アルフレド・エスカレラ 2R KO 柴田国明
(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1975年)
エスカレラ:左ジャブ、右ストレート、左フック
柴田:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:連打で柴田がダウン
(感想:エスカレラがタイトル獲得。プエルトリコのエスカレラ。ニックネームは「El Salsero」(「サルセロ」というのは「サルサのダンサー」を意味するらしい)。プロ入り後、三戦目で敗北。連勝したり、敗北を喫したりといったキャリアだったが、日本で柴田に挑戦するチャンスを得た。柴田は日本屈指のハードパンチャー。フェザー級とJ・ライト級で世界二階級制覇。エスカレラ戦は四度目の防衛戦となる。スラリとした体型のエスカレラがジャブを飛ばす。柴田は得意の右ストレートと左フックを狙うが、懐が深いうえにディフェンスができるエスカレラに攻めにくそう。2R、右ストレートが効いた柴田。連打でダウン、KO。一気に終わってしまった。柴田が負けたのは残念だが、スリムな身体ながらエスカレラはかなりのパンチ力を持っていた。柴田はこれが最後の世界戦となった。)

アルフレド・エスカレラ 15R 判定 バズソー山辺
(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1976年)
エスカレラ:左ジャブ、右ストレート、左フック
山辺:右ジャブ、左ストレート、右フック
(感想:エスカレラがタイトル防衛。日本で行われた五度目の防衛戦。これはダイレクトリマッチ(再戦。初戦はTKOでエスカレラ防衛)。山辺は日本ライト級王座を獲得したことがあるサウスポー。ジャブ・ストレートを使い、ボディを攻める山辺。エスカレラはフットワークとリズミカルなジャブに加えて、パワーのありそうな右ストレート。激しい打ち合い(4、10Rなど)。判定は3-0。ダウンシーンは無し。山辺はタフで手数も多かったが、ディフェンスされてしまった。エスカレラはディフェンシブだったが、右ストレートに迫力があった。)

アルフレド・エスカレラ 8R KO カルロス・ベセリル
(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1977年)
エスカレラ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ベセリル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
8R:連打でベセリルがダウン
(感想:エスカレラがタイトル防衛。アメリカで行われた九度目の防衛戦。ベセリルはアメリカの選手で、これまで王座を獲得したことはないが、このところ連勝中。1Rからガンガン打ち合う壮絶な打撃戦。エスカレラが右ストレート・左右フック。ベセリルは左ボディフック。「ガツン」と打たれても倒れるどころか打ち返すタフなベセリル。さすがに疲れたか、エスカレラはフットワークとジャブを使う。8R、強烈な連打でベセリルがついにダウン。立てなかった。両者とも凄く、本物のファイトだった。凄まじい強さを見せたエスカレラ。後、10度目の防衛に成功。そしてアレクシス・アルゲリョがエスカレラに挑戦。二度に渡ってエスカレラを破ったアルゲリョは中量級の中心選手となっていく。エスカレラはアルゲリョ戦後にブランクを作ったがカムバック。世界王座に返り咲くことはなかったが、WBC米大陸J・ウェルター級王座を獲得したり、後にWBA世界J・ウェルター級王者になるジーン・ハッチャーを破ったりするなどの活躍を見せた。しかし驚くべきことに、キャリア終盤(1983年頃)は視力をほとんど失った状態でリングに上がっていたという(視力検査は無かったのだろうか?)。引退後は自身の農場で暮らしているとのこと。)

①「WBC World Super Featherweight Title
Shibata Kuniaki vs. Alfredo Escalera」
②「WBC World Super Featherweight Title
Alfredo Escalera vs. Buzzsaw Yamabe」
③「WBC World Super Featherweight Title
Alfredo Escalera vs. Carlos Becerril」

アレクシス・アルゲリョ(Alexis Argüello)のページ

カオコー・ギャラクシー(Khaokor Galaxy)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

タイの有名な双子ボクサー。ウィルフレド・バスケス戦、蔡憲國戦、文成吉戦(再戦)ほかを紹介します。「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

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カオコー・ギャラクシー(タイ)
身長163cm:サウスポー

カオコー・ギャラクシー 4R KO コンスタンシオ・ダングラ
(バンタム級戦、1987年)
カオコー:右ジャブ、左ストレート、左フック
ダングラ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
4R:左フック、右フック、左ストレートで3度、ダングラがダウン
(感想:WBA世界J・バンタム級王者カオサイ・ギャラクシーの双子の兄カオコー。双子だが、カオサイとはちょっと顔立ちが違う(カオサイに言わせるとカオコーは「プレイボーイ」なのだそうだ)。子供の頃からリングへ。ムエタイではそこそこの戦績だったらしく、弟カオサイの活躍ぶりを見て国際式(プロボクシング)に転向。これまで全勝(尾崎恵一を判定で下した星も含まれる)。ダングラはフィリピン人。フィリピン王座(J・バンタム級)を獲得しているが、直前の試合では文成吉にKO負けしている。タイ・バンコクでの一戦。サウスポーのカオコー(トランクスにはおなじみ「mita」のスポンサー名)。右ジャブを使ってディフェンスしながらジリジリと相手にプレッシャーを掛けて左パンチ(左ストレート、左ボディフック)。ダングラは足で距離を取りながら左ジャブ、右ストレート、左フック。右ストレートに良さがあるが、受け身の姿勢で攻撃が単発。4R、右フックからの左フックでダングラがダウン。立ち上がり抵抗するダングラだが、カオコーはディフェンス。合わせるような右フックでダングラがダウン。今度も立ったが、突き刺すような左ストレートで三度目のダウン、試合終了。カオコーがディフェンス&左パンチで勝利。相手の動きをよく見ながら攻める慎重な戦いぶりだった印象。ダングラは受け身で単発。それでは勝てない。その後のダングラ。フィリピン王座戦に勝利する活躍。しかし、畑中清詞にKOされるなど国際的には「中堅どころ」でキャリアを終えた。)

カオコー・ギャラクシー 12R 判定 ウィルフレド・バスケス
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1988年)
カオコー:右ジャブ、左ストレート、左フック
バスケス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
5R:左フックでカオコーがダウン
(感想:カオコーがタイトル獲得。全勝のままカオコーが初の世界挑戦。バスケスはプエルトリコの強打者。朴讃栄をKOしてWBA世界バンタム級王座獲得。初防衛戦を元王者の六車卓也と行い、何とか引き分けで防衛。カオコー戦は二度目の防衛戦となる。バンコクで行われた試合。右ストレート、左フック狙いで前に出るバスケス。カオコーはバスケスの強打を警戒して、ジャブを使い、左ストレートでカウンターを取る。3R、バスケスに左フックを決めたのをきっかけに左でボディ打ちを多用するカオコー。5R、左フックでカオコーがダウン。その後は、カオコーがバスケスの強打をかわして丁寧にパンチを当て、判定は2-1。映像ではバスケスはビッグパンチの狙いすぎで空転が多く、カオコーのペースで試合が進んでいるように見えた。これで史上初の「双子で同時世界王者」となったギャラクシー兄弟。しかも相手は後に三階級制覇するバスケス(3つのタイトルを全てKO勝ちで獲得)。このまま弟と共に世界を支配する存在になるかと思われたが・・・。)

カオコー・ギャラクシー 3R KO 蔡憲國
(バンタム級戦、1989年)
カオコー:右ジャブ、左ストレート、左右フック
蔡:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:左アッパーで蔡がダウン
(感想:韓国・ソウルで行った初防衛戦で文成吉に負傷判定負けしてWBA世界バンタム級王座を奪われたカオコー(初黒星)。王座奪回を目指して復帰中。蔡は勝ったり負けたりの韓国人。タイ・サムットプラーカーンでの一戦。左ストレート、左ボディフックで蔡をジリジリと追い詰めるカオコー。3R、ロープ際でのアッパーでKO。バスケス戦ではボクサータイプだったカオコーがパワフルな勝ち方。パワーがあることを改めて証明。)

カオコー・ギャラクシー 12R 判定 文成吉
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1989年)
カオコー:右ジャブ、左ストレート、左右フック
文:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
11R:連打で文がダウン。連打で文がスタンディングダウン。
(感想:カオコーがタイトル奪回。バンコクで行われた再戦(レフェリーは内田正一)。攻める文にカオコーはパンチをかわしながらバスケス戦のように丁寧にジャブ、左ストレートでカウンター、左フックのボディ打ち。5Rには連打のまとめ打ち。「石の拳」文は攻めてもかわされてしまう。11Rのダウン。判定でカオコー。打ち合いながら、器用にハードパンチャーの文を封じた。しかし、カオコーはタイトルを取り戻したが、初防衛戦でルイシト・エスピノサに謎の失神KO負け。バスケスは三階級制覇、文は二階級制覇したほどの選手。そんな相手に勝っているカオコーは「優秀な選手」であったことは間違いないが、結局、一度も世界王座を防衛できなかった。)

①「Bantamweight 
Khaokor Galaxy vs. Constancio Dangla」
②「WBA World Bantamweight Title
Wilfredo Vazquez vs. Khaokor Galaxy」
③「Bantamweight 
Khaokor Galaxy vs. Duk-Hwan Bae」
④「WBA World Bantamweight Title
Sung Kil Moon vs. Khaokor Galaxy」

ウィルフレド・バスケス(Wilfredo Vazquez) のページ
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文成吉(Moon Sung Kil)のページ
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ルイシト・エスピノサ(Luisito Espinosa)のページ

2020年8月26日水曜日

尾崎富士雄(Ozaki Fujio)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウェルター級で二度、世界に挑んだ尾崎。串木野純也戦、マーロン・スターリング戦、朴政吾戦を紹介します。

尾崎富士雄(Ozaki Fujio)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

尾崎富士雄(日本)
身長 cm:オーソドックス(右構え)

尾崎富士雄 10R 判定 串木野純也
(日本ウェルター級タイトル戦、1985年)
尾崎:左ジャブ、右ストレート、左フック
串木野:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:尾崎がタイトル獲得。青森県八戸市出身の尾崎。ニックネームは「和製デュラン」。高校時代はアマチュアで活躍。「帝拳ジム」に所属し、プロへ。1980年度東日本J・ウェルター級新人王を獲得したが、全日本新人王戦ではあの赤井英和にKO負け。その後、日本ライト級王座を獲得し、防衛にも成功したが、減量苦により敗北を喫したりするなど、安定的に勝ち続けることはできず。階級をウェルター級に上げ、この挑戦。王者の串木野はこれまでこのタイトルを13連続防衛しており、カーロス・エリオットをKOした星も含まれる。ロベルト・デュランばりにヒゲを生やした尾崎。ジャブで先手を取り、左フックを使う。串木野はジャブ・ストレートを使うが、スピードは尾崎の方が上。7R、尾崎の右がヒット。判定は3-0で尾崎。ダウンシーンは無し。尾崎がパンチのスピードと回転の速さで上回った。)

マーロン・スターリング 12R 判定 尾崎富士雄
(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1988年)
尾崎:左ジャブ、右ストレート、左右フック
スターリング:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:スターリングがタイトル防衛。日本ウェルター級王座を失った尾崎だが、奪回。そしてこのアトランティックシティ「トランププラザホテル」で行った世界初挑戦。王者スターリングは「苦労人」。早くから「世界王者候補」と呼ばれていたが、ドナルド・カリーに阻まれて王者になれなかった。ピークを過ぎたかに思われたが全勝のマーク・ブリーランドに番狂わせのKO勝ちでWBA世界ウェルター級王座獲得。これが初防衛戦となる。左フックにパワーがあるスターリング。尾崎の連打をブロックしながら、時折パンチをヒットさせる。尾崎は手数は多かったがディフェンスされ、判定は3-0。パワー、パンチの正確さ、ディフェンスで王者が上だった。)

尾崎富士雄 5R TKO 朴政吾
(東洋太平洋ウェルター級タイトル戦、1989年)
尾崎:左ジャブ、右ストレート、左右フック
朴:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:左フックで朴がダウン、連打で朴がスタンディングダウン
(感想:尾崎がタイトル防衛。スターリングに敗れた尾崎。再起戦で東洋太平洋ウェルター級王座を獲得。朴と二度目の防衛戦。韓国ウェルター級王者の朴は後に吉野弘幸、佐藤仁徳をKOし、アイク・クォーティのWBA世界ウェルター級タイトルに挑戦する選手。右ストレートにキレがある朴が力を込めて攻める。しかしながら攻めるときのディフェンスが甘い印象。5R、右ストレートからの強烈な左フックで朴がダウン。連打でスタンディングダウンの後、セコンドからタオル投入。朴は勢いは良かったが、尾崎の方が攻防のバランスが良かった。後、尾崎はマーク・ブリーランドのWBA世界ウェルター級タイトルに挑戦するが出血で完敗。尾崎は世界王者にはなれなかったがスターリング、ブリーランドという本場アメリカでも有名な選手と試合したことで名を残すことができた。)
               
①「Japanese Welterweight Title
Kushikino Junya vs. Ozaki Fujio」
②「WBA World Welterweight Title
Marlon Starling vs. Ozaki Fujio」
③「OPBF Welterweight Title
Ozaki Fujio vs. Jung Oh Park」

マーロン・スターリング("Magic Man" Marlon Starling)のページ
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マーク・ブリーランド(Mark Breland)のページ
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アイク・クォーティ(Ike Quartey)のページ

ダグ・デウィット(Doug DeWitt)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

タフな白人ファイター、WBO世界ミドル級王者デウィット。ミルトン・マクローリー戦、トーマス・ハーンズ戦、マシュー・ヒルトン戦を紹介します。

ダグ・デウィット(Doug DeWitt)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ダグ・デウィット(アメリカ)
身長175cm:オーソドックス(右構え)

ミルトン・マクローリー 10R 判定 ダグ・デウィット
(J・ミドル級戦、1986年)
デウィット:左ジャブと左右フック
マクローリー:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:オハイオ州出身でニューヨーク育ちのデウィット。ニックネームが「Cobra」。あのドナルド・カリーと同じだが、デウィットとカリーはファイティングスタイルが異なり、デウィットには「Cobra」のイメージはない(ヘビを飼うのが趣味だから、というのが由来らしい)。練習嫌いで不摂生、という評判(ちょいと残念な人。タフだが不器用なのはそれが原因か?)。マクローリーは元世界ウェルター級王者。スラリとした身体から繰り出す速いジャブ、ストレートが得意な「天才型」ボクサーであるが、この選手も集中力に欠けたところがある残念な人。ラスベガスで行われた試合。会場ではトーマス・ハーンズが観戦。フックを使うデウィット。しかしマクローリーは速いジャブとディフェンスで打たせない。判定は3-0。ダウンシーンは無し。デウィットはジャブは良かったが、ポイントになったのはマクローリーの速い連打だった。)

トーマス・ハーンズ 12R 判定 ダグ・デウィット
(北米ミドル級タイトル戦、1986年)
デウィット:左ジャブと左右フック
ハーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:ハーンズがタイトル防衛。おなじみ「ヒットマン」ハーンズ。WBC世界J・ミドル級王座を返上し、ジェームス・シュラーから奪った北米ミドル級王座の防衛戦を地元デトロイトで行うことに。ジャブを使いながら接近してフック攻撃するデウィット。ハーンズはジャブと左フック。3Rの終了間際に左右フックで連打するシーンを見せたハーンズだが、左パンチにはキレがあるものの右が少なく、バランスを崩してよろけたりしてデウィットの攻めを持て余す。判定は3-0でハーンズ。ダウンシーンは無し。「倒し屋」も倒せないときはもどかしい試合になる。ハーンズはハグラー戦で右拳を壊してしまい、それ以降、右パンチが不十分な状態でリングに上がることが多くなった(バークレーに倒されたのも、それが原因と思われる)。デウィットは負けたがジャブと左ボディ打ちが良かった。)

ダグ・デウィット 12R TKO マシュー・ヒルトン
(WBO世界ミドル級タイトル戦、1990年)
デウィット:左ジャブと左右フック
ヒルトン:左ジャブと左右フック
(感想:デウィットがタイトル防衛。スンブ・カランベイのWBA世界ミドル級タイトルに挑戦したデウィットだがKO負け。丁度その時、新興団体WBOが設立。ミドル級初代王者決定戦に出場。ロビー・シムスを破り、WBOタイトル獲得。アトランチックシティでヒルトンと初防衛戦。ヒルトンはカナダのパワーファイターで、元IBF世界J・ミドル級王者。この試合に勝って二階級制覇を達成し、表舞台に返り咲きたいところ。白人ファイター同士の対戦。得意の左フックを狙うヒルトン。しかし、振り回すタイプのヒルトンはスタミナが切れたのかクリンチが多くなる。デウィットはジャブを使いながら連打。11R終了でヒルトンが棄権。ダウンシーンは無し。ヒルトンはかつては連戦連勝で「スーパースター候補」と言われたが、この試合では精彩を欠いた。デウィットはジャブを使いながら連打するなど、以前よりボクシングが上手くなっていた。そんなデウィットの次の防衛戦の相手はイギリスの「ダーク・デストロイヤー」ナイジェル・ベン。打たれまくってKO負け、王座陥落。ブランク後、数試合やったが目立った活躍は無し。こういう「タフな白人選手」は引退後のダメージが気になる(タフだが不器用でよく打たれるため)。今、どうしているのだろうか?)

①「Super Welterweight
Doug DeWitt vs. Milton McCrory」
②「NABF Middleweight Title
Thomas Hearns vs. Doug DeWitt」
③「WBO World Middleweight Title
Doug DeWitt vs. Matthew Hilton」

ミルトン・マクローリー(Milton McCrory)のページ
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トーマス・ハーンズ(Thomas "The Hit Man" Hearns)
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マシュー・ヒルトン(Matthew Hilton)のページ
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ナイジェル・ベン("The Dark Destroyer" Nigel Benn)のページ

マシュー・ヒルトン(Matthew Hilton)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界J・ミドル級王者。カナダのパワーファイター。バスター・ドレイトン戦、ジャック・キャラハン戦、ロバート・ハインズ戦を紹介します。

マシュー・ヒルトン(Matthew Hilton)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

マシュー・ヒルトン(カナダ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)

マシュー・ヒルトン 15R 判定 バスター・ドレイトン
(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、1987年)
ヒルトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ドレイトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:右フックでドレイトンがダウン
(感想:ヒルトンがタイトル獲得。カナダ・オンタリオ州出身のヒルトン。兄もボクサーで、「ヒルトン兄弟」の三男(父もボクサーだった)。6歳の時にボクシングを始め、アマチュアでは全勝だったという。プロ入りしてからは、全盛を過ぎたビト・アンツォフェルモ、ウィルフレド・ベニテスらを下して経験を積み、これまで26戦全勝(21KO)。ジャブとパワフルなフックを振るうスタイル。34歳の王者ドレイトンはボクサータイプでジャブを基本に試合を進めるタイプであるが、大きな振りのフックには威力がある。モントリオールでの一戦。1R、右フックでドレイトンがダウン(「ダウンを奪った」というより「ぶっ倒した」という感じの倒し方)。その後はパワーのヒルトン、テクニックのドレイトン、といった展開。判定は3-0。ドレイトンは良いジャブ、ストレート、フックを打てるにもかかわらず、倒しに行くような攻めをしなかったため負けてしまった。ヒルトンはジャブは少な目で、大振りのフック攻め。疲れそうな戦い方だが、左右フックのボディ打ちは迫力があった。)

マシュー・ヒルトン 2R TKO ジャック・キャラハン
(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、1987年)
ヒルトン:左ジャブと左右フック
キャラハン:左ジャブと右ストレート
(ダウンシーン)
2R:左フック、右フックで2度、キャラハンがダウン
(感想:ヒルトンがタイトル初防衛。アトランチックシティでの試合。挑戦者キャラハンは無敗の選手。インディアナ州のJ・ミドル級タイトルを獲得している。ジャブを使うキャラハンにヒルトンはフック攻撃。2R、キャラハンが二度のダウン。立ったが、セコンドがリングインして試合終了。ヒルトンが強打で勝利。この試合は当時ミスマッチと言われたが、相手の一番得意なパンチを食って早く終わってしまうのはよくあること。後、キャラハンはトロイ・ウォータース(オーストラリアの「ウォータース兄弟」の一人。後、テリー・ノリスやサイモン・ブラウンの世界王座に挑戦、敗北)にオーストラリアでKO負け。一定のレベル以上の選手には勝てなかったようだ。)

ロバート・ハインズ 12R 判定 マシュー・ヒルトン
(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、1988年)
ヒルトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ハインズ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:連打でハインズがダウン
3R:右フックでハインズがダウン
(感想:ハインズがタイトル獲得。ヒルトンの二度目の防衛戦はボクシングの本場ラスベガス。挑戦者はサウスポーのハインズ。TKOで喫した敗北が一つだけあるが、全米J・ミドル級タイトルを獲得するなど、ここのところ連勝中。フットワークを使い、接近してフック、アッパーを打つ器用なハインズ。ヒルトンは荒っぽいフックを振り回して叩きつける。2R、3Rにダウンを奪い、攻めるヒルトン。激しい打ち合い(8Rなど)。しかし、ジャブ、ストレートでハインズが序盤の劣勢を挽回していく。判定は3-0。ヒルトンはこれが初黒星。タイトルを獲ったときよりもジャブが少な目。「スーパースター候補」と言われていたが、振り回すボクシングスタイルではこれが限界か。後、ハインズは初防衛戦でダーリン・バン・ホーンに判定負け、王座陥落。ヒルトンはダグ・デウィットのWBO世界ミドル級タイトルに挑戦して敗北し、王座に返り咲くことはなかった。)

①「IBF World Light Middleweight Title
Buster Drayton vs. Matthew Hilton」
②「IBF World Light Middleweight Title
Matthew Hilton vs. Jack Callahan」
③「IBF World Light Middleweight Title
Matthew Hilton vs. Robert Hines」

バスター・ドレイトン(Buster Drayton)のページ
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ダグ・デウィット(Doug DeWitt)のページ

フレディ・ペンドルトン(Freddie Pendleton)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

多くの敗北を乗り越えて世界王者に。ジミー・ポール戦、パーネル・ウィテカー戦、トレイシー・スパン戦(再戦)ほかを紹介します。

フレディ・ペンドルトン(Freddie Pendleton)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

フレディ・ペンドルトン(アメリカ)
身長173cm:オーソドックス(右構え)

ジミー・ポール 10R 判定 フレディ・ペンドルトン
(J・ウェルター級戦、1985年)
ペンドルトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ポール:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
6R:右フックでペンドルトンがダウン
10R:左フックでペンドルトンがダウン
(感想:フィラデルフィア出身のペンドルトン。ニックネームは「Fearless(恐れ無し)」。デビュー戦は判定負け。その後も思うように勝つことができず、勝ったり負けたり。ただ、後に世界王者になるフランキー・ランドールとも試合をするなど、負けながらも実力をつけていく。ペンシルベニア州のJ・ウェルター級王座を獲得。そして、このポールとの試合。当時ポールはIBF世界ライト級王者。ノンタイトル戦で対決。試合地はアトランチックシティ。ジャブ、ストレートを使う似たタイプ同士。リズミカルに連打するペンドルトン。しかしパワーとディフェンスではポールが上か。6R、右フックでペンドルトンがダウン。最終10R、打って出るペンドルトンだが、左フックでダウン。10R終了。判定は3-0。ペンドルトンはよく頑張ったが、ポールのジャブ、ストレートは一級品で、当時、非常に高く評価されていた。この敗北は仕方がない。しかしながら、ポール。その後、IBF王座を二度防衛したが、格下と思われたグレグ・ホーゲンにまさかの判定負け。全盛を過ぎてWBO世界J・ウェルター級王座に挑戦したが、カルロス・ゴンザレスにTKO負け。意外に活躍できなかった。)

フレディ・ペンドルトン 1R TKO サミー・フエンテス
(J・ウェルター級戦、1988年)
ペンドルトン:右ストレート、左右フック
フエンテス:左ジャブ
(感想:ポール戦後のペンドルトン。実力者ロジャー・メイウェザーをKO、フランキー・ランドールとドロー(全米ライト級王座戦)、リビングストン・ブランブルとドロー、エルビス・ペレスをTKOして全米ライト級王座獲得、といった活躍ぶり。フエンテスはプエルトリカン。ハリー・アローヨ(元IBF世界ライト級王者)をKO、フランキー・ランドール、ロジャー・メイウェザーにTKO負けのキャリア。このところ三連続TKO勝ち。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはジョー・コルテス)。ペンドルトンが先制攻撃。普通1R開始時に「両者がグローブを合わせるあいさつ」をするものだが、ペンドルトンはそれ無しにいきなり右ストレート。これが効いたフエンテス。ジャブを出すが、ロープ際で右ストレート&左右フックの嵐にさらされてレフェリーストップ。何と15秒で終了(ダウンシーンは無し)。「あいさつ無し」の攻撃が許されるのかどうかはともかく、「油断するな」という教訓を感じる結果となった。後、フエンテスは苦難。フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級王座に挑戦してTKO負け。デビッド・カマウ、チャールズ・マレー、コンスタンチン・チューといった実力者にも敗北。しかし、決定戦でWBO世界J・ウェルター級王者に。初防衛に成功した。)

パーネル・ウィテカー 12R 判定 フレディ・ペンドルトン
(WBC・IBF世界ライト級タイトル戦、1990年)
ペンドルトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ウィテカー:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:ウィテカーがタイトル防衛。フエンテス戦後、ブランブルにTKO勝ち、ジョン・モンテスにKO負けのペンドルトン。試合間隔が長めになってきたところに初の世界挑戦のチャンス到来。王者は「スウィートピー」と呼ばれるウィテカー。ピー(豆)っぽい顔で華麗な動きを見せる男。グレグ・ホーゲンを破ってIBF王座獲得。ホセ・ルイス・ラミレス(後にフリオ・セサール・チャベスと対戦)を再戦で破ってWBC王座獲得。「統一王者」としてペンドルトンと防衛戦。アトランチックシティで行われた注目のテクニック対決。ジャブの打ち合い。サウスポーのウィテカーがストレートを狙う。ペンドルトンはパワーを込めた右ストレートと左フック。時折、ペンドルトンの右ストレートがヒットするが、ウィテカーが左でストレート、ボディ打ち。最終ラウンド、ペンドルトンは攻めに行くが、逆に連打をもらう。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ウィテカーはテクニシャンのイメージが強いが、本来はパワーのある選手。左ストレートとボディ打ちにスピードとパワーがあった。その後もウィテカーは勝ち続け、大きな試合の数々。ペンドルトンに勝ったのも納得、の強さ&巧さを見せた。)

フレディ・ペンドルトン 12R 判定 トレイシー・スパン
(IBF世界ライト級王座決定戦、1993年)
ペンドルトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
スパン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:ペンドルトンがタイトル獲得。ウィテカー戦後、全米王座戦に勝利するなど連勝のペンドルトン。スパンとIBF王座決定戦を行ったが、2Rで負傷引き分け。そして再戦。これまで32勝(22KO)17敗4分。スパンはニュージャージ州の黒人サウスポー。やや細身の選手で、IBFのインター王座(ライト級)を獲得するなどデビューから連戦連勝であったが、「クセ者」ホルヘ・パエス(元IBF世界フェザー級王者)に敗北。にもかかわらず、IBF王座決定戦に出場するチャンス到来。アトランチックシティでの一戦。派手なガウンとトランクスで入場のペンドルトン。1R、スパンの左フックでグラつく。スパンのパンチはそれほどキレ・スピードは無いが、スパンの攻めを持て余す。クリンチが多い状況の中、最終ラウンド。ペンドルトンの連打でスパンはダウンしそうなほどのダメージ。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。最終ラウンド終了時に両者とも手を上げて「自分が勝った」とアピールしていたほど接近した内容だったが、ペンドルトンのジャブが評価されたらしい。試合内容はともかく、ペンドルトンがようやく世界王者に(諦めずによく頑張った)。その後の二人。スパンは次の試合で実力者レイ・オリベイラにTKO負けで引退。ペンドルトンは初防衛戦でホルヘ・パエスに判定勝ち。しかし、二度目の防衛戦で新鋭ラファエル・ルエラスに不運な判定負けで王座陥落(王座を盗まれたような感じの負け方。ツイてないキャリア)。王座を失った後は世界王座に返り咲くことはなかったが、世界挑戦したり、全米王座を獲得したり。パワーがあればもっと活躍できたのではないかという気もするが、これが彼のボクシング人生。引退後の2011年、フロリダ州のボクシング殿堂入りが認められた。)

①「Junior Welterweight
Jimmy Paul vs. Freddie Pendleton」
②「Junior Welterweight 
Freddie Pendleton vs. Sammy Fuentes」
③「WBC・IBF World Lightweight Title
Pernell Whitaker vs. Freddie Pendleton」
④「IBF World Lightweight Title
Freddie Pendleton vs. Tracy Spann」

ジミー・ポール(Jimmy Paul)のページ
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パーネル・ウィテカー(Pernell "Sweet Pea" Whitaker)のページ
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ラファエル・ルエラス(Rafael Ruelas)のページ
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トレーシー・スパン(Tracy Spann)のページ
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サミー・フエンテス(Sammy Fuentes)のページ

2020年8月21日金曜日

ルペ・アキノ(Lupe Aquino)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

メキシコ出身、WBC世界J・ミドル級王者、アキノ。デビー・ムーア戦、デュアン・トーマス戦、ミルトン・マクローリー戦を紹介します。

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ルペ・アキノ(メキシコ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

ルペ・アキノ 5R TKO デビー・ムーア
(J・ミドル級戦、1987年)
アキノ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ムーア:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:左フックが武器のアキノ。アマチュアでは全勝。プロでも連勝だったが、マーロン・スターリングに敗北。その後、連勝中。ムーアは日本のファンには懐かしい名前。日本で三原正をKOしてWBA世界J・ミドル級タイトルをアメリカに持ち去った男。そしてロベルト・デュランに敗れ、王座陥落(「もう終わった」と思われていたデュランが三階級制覇)。ブランク後、バスター・ドレイトンのIBF世界J・ミドル級タイトルに挑戦したがTKO負け。ブランクがちで勢いがあるとは言えない状況。シーザースパレスの屋外リングで行われた試合(「ハグラー vs. レナード」の前座カード)。ジャブと力強いフックで攻めるアキノに1Rから打たれるムーア。ムーアのパンチにはかつてのようなキレが無い。4R、ムーアが攻める場面もあったが、アキノはブロック。左右フックをボディ・顔面に叩きつけるアキノ。5R、ムーアの右目の腫れが悪化してストップ。ダウンシーンは無し。ムーアのようなスピードとキレで勝ってきた選手はその長所が年齢と共に次第に衰えていく。ムーアは全盛を過ぎていたが元王者。アキノはこの勝利で自分のパワーに自信を深めたのでは?)

ルペ・アキノ 12R 判定 デュアン・トーマス
(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1987年)
アキノ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
トーマス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:左フックでトーマスがダウン
12R:左フックでトーマスがダウン
(感想:アキノがタイトル獲得。フランスでアキノが世界初挑戦。王者トーマスはアメリカ「クロンクジム」の選手。トーマス・ハーンズというよりミルトン・マクローリーのようなタイプ。あの「野獣」ジョン・ムガビを決定戦で下して世界王座獲得。これが初防衛戦となる。トーマスがガードを上げてジャブ、ストレート。しかし、2Rと12Rにダウン。それ以外は一進一退の展開で、判定は3-0。トーマスの攻めも力強かったが、アキノのディフェンスとフック(特に左フック)が評価されたと思われる。2Rのダウンシーンがこの試合のベストパンチだった印象。)

ルペ・アキノ 10R 判定 ミルトン・マクローリー
(J・ミドル級戦、1988年)
アキノ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
マクローリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:連打でマクローリーがダウン
5R:連打でマクローリーがダウン
8R:マクローリーがスタンディングダウン
(感想:ジャンフランコ・ロッシ(イタリア)に敗北し、WBC世界J・ミドル級タイトルの初防衛に失敗したアキノ。再起戦でドナルド・カリーにも敗北。「サバイバル戦」のような形で元世界ウェルター級王者マクローリー(クロンクジム所属)とアトランチックシティで対決。いきなり左右フックで攻撃するアキノ。距離を取りたいマクローリーはフットワークと連打で応戦するが三度ダウン。判定は何と2-0(10回戦で三度ダウンがあったにもかかわらず「2-0」とは)。マクローリーの速い連打が良かったラウンドもあったが(6Rほか)、アキノがパワーで押した。デュアン・トーマス、マクローリーのキレイなクロンクスタイルに負けなかったアキノはなかなかのファイター。しかし、ここまで。その後、二度の世界挑戦のチャンスを得たが、いずれも敗北。ただ、北米J・ミドル級王座、メキシコ・ミドル級王座を獲得したり、バーナード・ホプキンスと対戦したりするなど、実力派として活躍した。)

①「Super Welterweight
Lupe Aquino vs. Davey Moore」
②「WBC World Super Welterweight Title
Duane Thomas vs. Lupe Aquino」
③「Super Welterweight
Lupe Aquino vs. Milton McCrory」

デビー・ムーア(Davey Moore)のページ
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デュアン・トーマス(Duane Thomas)のページ
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ジャンフランコ・ロッシ(Gianfranco Rosi)のページ
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ミルトン・マクローリー(Milton McCrory)のページ

ダニエル・サラゴサ(Daniel Zaragoza)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

二階級制覇したメキシコのサウスポー、サラゴサ。畑中清詞戦、辰吉丈一郎戦(初戦)、原田剛志戦を紹介します。

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ダニエル・サラゴサ(メキシコ)
身長170cm:サウスポー

ダニエル・サラゴサ 12R 判定 畑中清詞
(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1991年)
サラゴサ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
畑中:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:サラゴサがタイトル奪回。メキシコシティ出身のサラゴサ。独特の風貌とプロレスラーばりの流血戦で日本のファンにもおなじみ。メキシコ代表としてモスクワオリンピック(1980年)にバンタム級で出場(メダルは獲得ならず)。弁護士を目指していたほど頭が良かったが、プロボクサーに(サルバドル・サンチェスは医師を目指したほどの頭脳の持ち主。「頭がいい人」はスポーツでも頭の良さを発揮するようだ)。WBC世界バンタム級王座決定戦に出場し、反則勝ちで王座獲得。それは初防衛戦でミゲル・ロラに奪われたが、あのカルロス・サラテを王座決定戦で下し、WBC世界J・フェザー級王座獲得、二階級制覇。しかしながら、当時のJ・フェザー級は激戦区。タイトルをポール・バンキに奪われる。王座はバンキからペドロ・デシマ、畑中へ。名古屋で行われた一戦。1Rから攻める畑中。応戦するサラゴサ。畑中は前に出るが、サラゴサが左ストレートでカウンターを取り、大きなフックとディフェンス。最後まで打ち合いが続き、判定は2-1。畑中の攻めがよかったラウンドもあったが(7,8Rなど)、サラゴサが「当てる巧さ」で上回った印象。初防衛に失敗した畑中は目を故障し、これで引退。)

ダニエル・サラゴサ 11R TKO 辰吉丈一郎
(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1996年)
サラゴサ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
辰吉:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:サラゴサがタイトル防衛。畑中からタイトルを奪回したサラゴサだが、シェリー・ジャコブ(フランス)に敗れ、王座陥落。王座はジャコブからトレイシー・ハリス・パターソン、エクトール・サンチェスへ。サンチェスとの再戦に勝利し、サラゴサが三度目の同王座獲得。38歳のサラゴサ。日本で人気者、辰吉の挑戦を受けることに。辰吉は薬師寺保栄とのWBC世界バンタム級王座統一戦に敗れるなど、かつてのような勢いは無い状況。1R、いきなり左ストレートを打たれて後退する辰吉。サラゴサがジャブ・ストレート、振りの大きい重そうなフック。ディフェンスも上手いサラゴサ。パンチを当てさせてもらえない辰吉は挑発するような動きをするが意味なし。時折、辰吉のストレート・フックがヒットするが、タフなサラゴサは倒れるどころか打ち返す。両まぶたの出血が激しくなった辰吉。11Rでストップ。ダウンシーンは無し。サラゴサは左ストレートのカウンター、(振りが大きいにもかかわらず)正確なフックが見事だった。辰吉は強いが、サラゴサはもっと強い。「上には上がある」のがプロボクシング界の凄いところであり、怖いところ。)

ダニエル・サラゴサ 7R TKO 原田剛志
(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1996年)
サラゴサ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
原田:右ジャブ、左ストレート、右フック
(感想:サラゴサがタイトル防衛。辰吉戦の次も日本で防衛戦。原田は東洋太平洋フェザー級王座を獲得したことがある選手。「ボクシング一族」で、所属ジムの会長は実父。叔父は東洋太平洋J・ライト級王者だった吹打龍。サウスポー同士の対戦。左ストレートを狙う原田。2Rに出血した原田はキズを気にしながら戦う。サラゴサが得意のゴツゴツしたフックをヒットさせる。7R、打たれ続ける原田を見て、レフェリーのリチャード・スティールが試合ストップ。ダウンシーンは無し。サラゴサはタフである上にディフェンスがうまい。左ストレートでカウンターを取り、振りの大きいフックも実に正確。しかもサウスポー。相手からすれば本当にやりにくい選手。次の試合ではウェイン・マッカラーに勝利して防衛。辰吉との再戦にも勝利。ラストファイトはエリック・モラレスとの防衛戦。KOで王座陥落。WBC世界J・フェザー級タイトルをまるで「自分のもの」と思っているかのように何度も挑戦して獲得したのは面白い現象だった(クルーザー級のカルロス・デ・レオンが「WBC世界クルーザー級タイトル戦」、デニス・アンドリュースが「WBC世界L・ヘビー級タイトル戦」の常連だったのに似ている)。引退後はトレーナーに転身。ラファエル・マルケスの指導を担当した。)

①「WBC World Super Bantamweight Title
Hatanaka Kiyoshi vs. Daniel Zaragoza」
②「WBC World Super Bantamweight Title
Daniel Zaragoza vs. Tatsuyoshi Joichiro」
③「WBC World Super Bantamweight Title
Daniel Zaragoza vs. Harada Tsuyoshi」

辰吉丈一郎(Tatsuyoshi Joichiro)のページ
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ポール・バンキ(Paul Banke)のページ
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トレイシー・ハリス・パターソン(Tracy Harris Patterson)のページ

デーブ・マコーリー(Dave McAuley)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界フライ級王者。キレイなジャブ、ワンツー。デューク・マッケンジー戦、ロドルフォ・ブランコ戦(初戦・再戦)ほかを紹介します。

デーブ・マコーリー(Dave McAuley)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

デーブ・マコーリー(イギリス)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

デーブ・マコーリー 12R 判定 デューク・マッケンジー
(IBF世界フライ級タイトル戦、1989年)
マコーリー:左ジャブ、右ストレート、フック
マッケンジー:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:マコーリーがタイトル獲得。北アイルランド出身のマコーリー。アマチュアで活躍したが、オリンピック出場ならず。その時に代表に選ばれた選手がプロで活躍しているのに刺激され、プロ入り。デビュー戦と四戦目では引き分けに終わったが、経験を積み、英国フライ級王座獲得。その次の試合でフィデル・バッサのWBA世界フライ級タイトルに挑戦したがTKO負け、初黒星。王座を懸けた再戦でも敗北(判定負け)。その再起戦でマッケンジーのIBFタイトルに挑戦するチャンスを得たマコーリー。今度こそは王座を獲りたいところ。王者マッケンジーも英国の選手。スリムな体型の黒人。日本でもおなじみのローランド・ボホールから王座を奪い、これが二度目の防衛戦となる。ロンドンでの一戦。共にスラリとしたボクサータイプ。バリー・マクギガンのような「いかにも英国のボクサー」という感じのマコーリーはジャブと左のボディ打ち。マッケンジーは丁寧な試合をするが、パワーに欠ける印象。7R、左右フックの連打でマッケンジーを追い込むマコーリー。中盤からマッケンジーはクリンチが多くなる。最終ラウンド終了時、「自分が勝った」という感じで両手を上げる二人。判定は3-0。マコーリーが攻めの姿勢で勝利(ダウンシーンは無し)。後に三階級制覇を達成するマッケンジー。この試合ではボディを打たれたせいか、イマイチなデキだった。)

デーブ・マコーリー 12R 判定 ドディ・ボーイ・ペニャロサ
(IBF世界フライ級タイトル戦、1989年)
マコーリー:左ジャブ、右ストレート、フック
ペニャロサ:右ジャブ、左ストレート、フック
(感想:マコーリーがタイトル初防衛。マコーリーの初防衛戦の相手はなかなかの実力者。サウスポーの挑戦者ペニャロサはかつてこのタイトルを持っていたフィリピン人(二階級制覇王者。IBF世界J・フライ級王者だったこともある)。IBF王座を番狂わせで失った後、連勝中。ロンドンでの一戦。パワーのある左ストレートを使うペニャロサ。マコーリーは相手のパワーを警戒して慎重にジャブ、ストレート、ディフェンス。まるで「ヘタに動いたら負け」といった緊張感が漂う心理戦のような試合。判定は2-1。手数でマコーリーが評価されたと思われる(ダウンシーンは無し)。これが最後の世界戦となったペニャロサ。相手を見てしまって手数が少なくなる欠点がある(パンチがある選手によくある傾向)。もっと自分から攻めるべきだった。)

デーブ・マコーリー 12R 判定 ロドルフォ・ブランコ
(IBF世界フライ級タイトル戦、1990年)
マコーリー:左ジャブ、右ストレート、フック
ブランコ:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
2R:右フックで2度、マコーリーがダウン
3R:右フックでマコーリーがダウン
9R:左フックでブランコがダウン
11R:右ストレートでマコーリーがダウン
(感想:マコーリーがタイトル防衛。ルイス・カーティスに判定勝ちして二度目の防衛に成功したマコーリー。三度目の相手ブランコはコロンビアの選手。柳明佑のWBA世界J・フライ級王座に挑戦したこともあるパワーファイター。柳に敗北後は全てKO勝ちでこの二度目の世界挑戦。北アイルランド・ベルファストで行われた試合。フットワークを使いながら強打するブランコ。2R、「殴り倒す」といった感じの強烈なパンチでマコーリーがダウン。3Rにもダウン。仕留めようとするブランコが振りの大きいフックで攻める。マコーリーは強打されながらもジャブ、ストレートで挽回しようとする。9R、左フックでブランコがダウン。11R、右ストレートでマコーリーがダウン。最終ラウンド終了時、両手を上げて自身の勝利をアピールするマコーリー。判定は3-0。勝利して笑顔のマコーリー。何とか強敵をしりぞけたが、映像で観た感じでは負けたように見えた。マコーリーのキレイなボクシングはジャッジにも好印象のようだ。後、両者は再戦。)

デーブ・マコーリー 12R 判定 ペドロ・ホセ・フェリシアーノ
(IBF世界フライ級タイトル戦、1991年)
マコーリー:左ジャブ、右ストレート、フック
フェリシアーノ:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
3R:左フックでフェリシアーノがダウン
6R:右フックでマコーリーがダウン
7R:左フックでフェリシアーノがダウン
(感想:マコーリーがタイトル防衛。四度目の防衛戦。フェリシアーノはプエルトリコの選手。非常に小さい選手で、身長は152cm。ホセ・デ・ヘスス、ヘスス・ロハス、マイケル・カルバハルといった実力者に負けてきたが、ルイス・カーティスから全米フライ級王座奪取。しかし、その次の試合(ノンタイトル戦)に敗北。その再起戦でマコーリーに挑戦。ベルファストでの一戦。足を使って距離を取るフェリシアーノ。ジャブ、そして接近してフック。相手の意表を突く作戦。そんなフェリシアーノをジャブで追うマコーリー。いかにも英国のボクサーらしいジャブ、ワンツー、左フック。3R、ワンツーからの左フックでフェリシアーノがダウン。しかし6R、連打からの右フックでマコーリーが痛烈なダウン。それで自信を持ったか、フェリシアーノが前進。応戦するマコーリー。7Rにマコーリーが左フックでダウンを奪ったが、これは手首の部分が当たったものでダウンではない。その後、攻める姿勢のフェリシアーノ、ワンツー、左フック、ディフェンスのマコーリー。12Rに猛攻を見せるフェリシアーノ。12R終了。判定は3-0。マコーリーが端正なボクシングで勝利。フェリシアーノは残念。パワーでは負けていなかったが、パンチの正確さに欠けていた。12Rに見せた攻撃を初回からやっていれば勝っていたかも。その後のフェリシアーノ。再起戦で全米王座をスコッティ・オルソンに奪われ、それが最後の試合となった。)

ロドルフォ・ブランコ 12R 判定 デーブ・マコーリー
(IBF世界フライ級タイトル戦、1992年)
マコーリー:左ジャブ、右ストレート、フック
ブランコ:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:ブランコがタイトル獲得。五度目の防衛戦で南アフリカのタフ男ジェイコブ・マトララをKOしたマコーリー。六度目の防衛戦で再びブランコと勝負。IBF1位の挑戦者ブランコはマコーリーとの初戦後、再起戦に勝利。91年は結局、その試合のみ。そして92年に再戦。試合間隔が長くなっているが、その影響が試合に出るかどうか?  スペインで行われた因縁の試合。共にディフェンス、ジャブ、接近戦で左ボディ打ち。マコーリーが距離を取りながらワンツー、左のテクニック。ブランコは前進して右パンチにパワーを込める。コンビネーションが素晴らしいマコーリー。左フックからの右ストレート、ワンツーからの左フック。パワーで押すブランコは6Rに右をヒットさせ、7Rには激しい打撃戦。9R、ローブローでブランコが減点。12R、マコーリーの右がヒット。12R終了、共に自身の勝利をアピール。判定は僅差の3-0。ブランコのパワー、攻める姿勢が評価されたか。マコーリーは右ストレート、左フックに正確さがあったが、わずかに及ばず。判定のアナウンスに納得いかない表情だったが、それも理解できる接戦だった。これが最後の試合となったマコーリー。引退後はテレビでボクシング解説をやったりしているそうだ。一方、ようやく世界王者になれたブランコだが、初防衛戦でピチット・シスバンプラチャンに敗北。その後、世界挑戦のチャンスがあったが、勝てず。階級を上げたのもあり、世界王座陥落後は負けることが多くなっていった。)

①「IBF World Flyweight Title 
Duke McKenzie vs. Dave McAuley」
②「IBF World Flyweight Title 
Dave McAuley vs. Dodie Boy Penalosa」
③「IBF World Flyweight Title 
Dave McAuley vs. Rodolfo Blanco」
④「IBF World Flyweight Title 
Dave McAuley vs. Pedro Jose Feliciano」
⑤「IBF World Flyweight Title 
Dave McAuley vs. Rodolfo Blanco」

デューク・マッケンジー(Duke McKenzie)のページ
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ドディ・ボーイ・ペニャロサ(Dodie Boy Penalosa)のページ
-------------
ピチット・シスバンプラチャン(Pichit Sitbangprachan)のページ

バリー・マイケル(Barry Michael)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界J・ライト級王者。IBF王座戦のレスター・エリス戦、崔鎮植戦、ナジブ・ダホ戦(再戦)ほかを紹介します。「世界の強豪ボクサーボクシング・ブログ」

バリー・マイケル(Barry Michael)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

バリー・マイケル(オーストラリア)
身長 cm:オーソドックス(右構え)

バリー・マイケル 15R 判定 レスター・エリス
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1985年)
マイケル:左ジャブと左右フック
エリス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:マイケルがタイトル獲得。イギリス生まれで幼い頃にオーストラリアに移住したマイケル。アマチュアをそこそこ経験した後、18歳でプロ入り。オーストラリア・ライト級王座などを獲得しているが、クロード・ノエル(元WBA世界ライト級王者。後、日本で浜田剛史にKO負け)には2-0で判定負けしている。王者エリスは柳煥吉から2-1の判定勝ちで王座を獲得したオーストラリアの白人。ジャブを中心に試合を進める正統派。メルボルンでのオーストラリア同士の対戦。1Rから左右フックで打ち合う。ジャブで距離を取って、連打するエリス。マイケルは接近して左右フックで攻撃。しかしながら、どちらかというと無器用なところがある二人。クリンチが多く、もみ合う内容。どちらが勝っているとは言い難い展開のまま15R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。エリスの方からクリンチに行くことが多かったが、マイケルのしつこい攻めに根負けしたのだと思われる。クリンチが多いため15Rが長く感じた。レフェリーも両者を引き離すのに忙しそうだった。その後、エリスは階級を上げながら多くの試合。地域王座、IBO王座(ライト級、J・ミドル級)を獲得。IBF王座陥落後の方が本番、といった活躍ぶりだった。)

バリー・マイケル 4R TKO 崔鎮植
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1985年)
マイケル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
崔:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
4R:右ストレートで崔がダウン
(感想:マイケルがタイトル初防衛。挑戦者の崔(韓国)。ここのところ連勝中ではあるが、東洋太平洋J・ライト級タイトル戦でフィリピンのロッド・セクエナンにTKO負けするなど、まだ王座を獲得したことがない(セクエナンはレスター・エリスが王者だった頃にIBF世界J・ライト級タイトルに挑戦して敗北)。オーストラリア・ダーウィンでの一戦。1Rから両者とも左右フックで打ち合うタフな殴り合い。3Rには猛烈な連打で崔が王者を追い込む。4Rも崔は攻めるが、左フックからの右ストレートを食ってダウン。ロープ際で連打されてレフェリーストップ。マイケルが打たれ強さと(ケンカでも負けない)気の強さで勝利。どちらが勝ってもおかしくないほどの壮絶な打撃戦だった。崔はその後、数試合。最後は元世界王者ローランド・ナバレッテにTKO負けだった。)

バリー・マイケル 4R TKO マーク・フェルナンデス
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1986年)
マイケル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
フェルナンデス:右ジャブ、左ストレート、右フック
(ダウンシーン)
4R:左ボディでフェルナンデスがダウン
(感想:マイケルがタイトル防衛。31歳のマイケルが二度目の防衛戦。挑戦者フェルナンデス(22歳)はコロラド州デンバー出身。ニックネームは「King Cobra」。1982年のデビューから連勝後、判定で初黒星。ロッド・セクエナンに判定勝ち。これが初の王座戦。メルボルンでの一戦。ボクサータイプのフェルナンデス。典型的なサウスポーで、距離を取って右ジャブ、左ストレートからの右フック。マイケルは無骨な前進。右ストレート、フックを当てようとする。互いにストレートを狙う展開。フェルナンデスは攻めるときは攻めるが、守るときは防戦一方(攻防分離型)。そのためマイケルの攻めを持て余す。4R、左ボディでフェルナンデスがあっけなくダウン。立ったが、左右フック、ボディ連打を浴びてレフェリーストップ。マイケルが積極さで勝利。大したボディ打ちには見えなかったが、フェルナンデスは悶絶。きっとキツい場所に入ったのだろう。その後、フェルナンデスは多くの試合。中堅どころには勝てたが、マウリシオ・アセベス、ディンガン・トベラ、ジェシー・ジェームス・レイハ、スティーブ・ジョンストン、ミッキー・ウォードといった実力者には敗北。2000年までリングに上がり続けた。)

バリー・マイケル 12R 判定 ナジブ・ダホ
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1986年)
マイケル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ダホ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:マイケルがタイトル防衛。三度目の防衛戦はダホとの再戦(初戦はダホが判定勝ち)。これまで30勝(8KO)18敗1分のダホ(モロッコ出身)。パッとしないレコードだが、英国J・ライト級タイトルを獲得したり、パット・カウデル(サルバドル・サンチェス、アズマー・ネルソンのWBC世界フェザー級王座に挑戦。いずれも敗北)に勝利したりといった実績(負けながら強くなっていった選手だと思われる)。英国マンチェスターでの一戦。1Rから攻めるダホ。よく伸びるジャブ、思い切った右ストレートを打つ。接近してボディを叩くマイケル。ボディが効いたのか、ダホは後退したり、クリンチしたり。前に出続けるマイケル。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ダホは良い選手だったが、スタミナ切れになったのが残念。一方、攻めの姿勢でまたしても防衛に成功したマイケルだが、次の防衛戦でロッキー・ロックリッジに敗北、引退。マイケルはキレイな打ち方をする器用な選手ではなかったため、世界王者としては地味な存在だと思われるが、「15Rに渡って攻め続けるスタミナ」と「打ち合いで一歩も引かない気の強さ」を持つ、なかなかの「ケンカ屋」だった。引退後はボクシング中継の解説をしたり、新聞のスポーツ欄を担当したりしているとか。)

①「IBF World Super Featherweight Title 
Lester Ellis vs. Barry Michael」
②「IBF World Super Featherweight Title 
Barry Michael vs. Jin-Shik Choi」
③「IBF World Super Featherweight Title 
Barry Michael vs. Mark Fernandez」
④「IBF World Super Featherweight Title 
Barry Michael vs. Najib Daho」

レスター・エリス(Lester Ellis)のページ
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ロッキー・ロックリッジ(Rocky Lockridge)のページ

2020年8月19日水曜日

洪秀煥(Soo-Hwan Hong)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

海外で二階級制覇、洪秀煥。タノムチット・スコタイ戦、アーノルド・テイラー戦、エクトール・カラスキリャ戦を紹介します。

洪秀煥(Soo-Hwan Hong)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

洪秀煥(韓国)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

洪秀煥 8R TKO タノムチット・スコタイ
(J・フェザー級戦、1973年)
洪:左ジャブと左右フック
タノムチット:左ジャブと左右フック
(感想:韓国・ソウル出身の洪秀煥(ホン・スファン)。デビュー戦は引き分け。経験を積み、韓国王座、東洋太平洋王座(いずれもバンタム級)獲得、防衛、牛若丸原田(ファイティング原田の弟)らに勝利するなどの実績。タノムチットは後にアルフォンソ・サモラのWBA世界バンタム級タイトルに挑戦する選手。バンコクで行われた一戦。古い映像のダイジェスト。フックで打ち合う展開。洪が左フック、ボディフック、右フックでダウン、スタンディングダウンを奪う。8Rにレフェリーストップ、TKO勝ち。ノーガードになったりするなど余裕をもってKO勝ちした洪。ケンカ強さも感じられる戦いぶりだった。)

洪秀煥 15R 判定 アーノルド・テイラー
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1974年)
洪:左ジャブ、右ストレート、左フック
テイラー:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
1R:左フックでテイラーがダウン
5R:左フックでテイラーがダウン
14R:右ストレートでテイラーがダウン
15R:左フックでテイラーがダウン
(感想:洪がタイトル獲得。勝ち続ける洪。南アフリカで初の世界挑戦。王者テイラーは面白い選手。プロ二戦目で南アフリカのバンタム級王座獲得。その後も南アフリカのフェザー級、ライト級王座を獲得するなど、彼本来の階級がどこなのかよくわからないキャリア。連勝し、WBA世界バンタム級王座獲得。地元で洪と初防衛戦。共に思い切った左フックを振るうタイプで、似た戦い方。フットワークを使うテイラーを洪が追う。1Rのダウン。テイラーのパンチをブロックしながら得意の左フックで攻める洪。計4度のダウンで洪の判定勝ち(3-0)。洪は肩を使う反則を再三レフェリーに注意されたが、攻める姿勢で押し切った。テイラーは足を使いすぎて後手に回った。その後、テイラーは世界戦をすることもなくキャリアを終えた。)

洪秀煥 3R KO エクトール・カラスキリャ
(WBA世界J・フェザー級王座決定戦、1977年)
洪:左ジャブ、右ストレート、左右フック
カラスキリャ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:左フック、連打、右ストレート、左フックで4度、洪がダウン
3R:左フックでカラスキリャがダウン
(感想:洪が二階級制覇。世界バンタム級王座の初防衛に成功した洪だが、二度目の相手は強かった。メキシコの「KOキング」アルフォンソ・サモラ。サモラにKOされて王座を失った洪は再戦でもKO負け。階級を上げてパナマで二階級制覇に挑む。パナマのカラスキリャはスラリとした体型の17歳で鋭いジャブが武器。洪が連打で攻め、ボディも攻撃。そして2Rのダウン。勢いで何度も倒される洪。3R、左フックが効いてグラついたカラスキリャに猛攻する洪。左フック連発で倒し切った。「歴史的な逆転劇」と言われる有名な試合ではあるが、カラスキリャには打たれ弱さを感じた。17歳で世界戦。体がまだできていなかったのでは? 洪に2つ目のベルトをもたらした「左フック」。なかなかの迫力で、打ち方も良かった。その後、洪はこの二つ目のベルトも二度目の防衛戦で失う。引退後はタクシードライバーになったらしいが、2012年、韓国ボクシング委員会会長に就任。すっかり低迷してしまった韓国のボクシング。今はどうしているのだろう?)

①「Super Bantamweight
Soo-Hwan Hong vs. Thanomchit Sukhothai」
②「WBA World Bantamweight Title
Arnold Taylor vs. Soo-Hwan Hong」
③「WBA World Super Bantamweight Title
Hector Carrasquilla vs. Soo-Hwan Hong」

アルフォンソ・サモラ(Alfonso Zamora)のページ
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エウセビオ・ペドロサ(Eusebio Pedroza)のページ

ビクトル・カジェハス(Victor Callejas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

左を使う名人、強打のJ・フェザー級、カジェハス。ロリス・ステッカ戦(初戦)、李承勲戦、ロリス・ステッカ戦(再戦)を紹介します。

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ビクトル・カジェハス(プエルトリコ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)

ビクトル・カジェハス 8R KO ロリス・ステッカ
(WBA世界J・フェザー級タイトル戦、1984年)
カジェハス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ステッカ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
8R:左フックでステッカがダウン
(感想:カジェハスがタイトル獲得。カジェハスはセンスが良く、同じプエルトリコのウィルフレド・ゴメスと比較され、「ゴメス二世」と評価されることもある実力者。アマチュアからプロへ。デビュー戦で判定負けしてしまったが、再戦で雪辱し、以後、連勝中。王者ステッカはイタリアの人気者(弟マウリシオもボクサーで後に世界王者になった)。これまで無敗。レオ・クルスを破って王者に。プエルトリコで行われた一戦。速いジャブを連打するカジェハス。フックにキレがあり、ボディ打ちも上手い。ステッカもバランスが良く、ジャブから入るスタイル。一歩も譲らず打ち合う。8R、ロープ際、コーナーで連打されたステッカが左フックでダウン、KO。カジェハスがスピードと左の巧みさで上回った。)

ビクトル・カジェハス 15R 判定 李承勲
(WBA世界J・フェザー級タイトル戦、1985年)
カジェハス:左ジャブと左フック
李:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:左フックで李がダウン
(感想:カジェハスがタイトル初防衛。サンファンでの試合。李はベテラン選手。韓国フライ級王者になった後、ラファエル・オロノと空位のWBC世界J・バンタム級王座を争ったが2-1で敗北。その後、連勝したがルペ・ピントールにKOされ、WBC世界バンタム級王座獲得ならず。さらに連勝し、この三度目の世界挑戦。上半身を忙しく動かしてディフェンスする李。そしてジャブと大振りのフック。2Rにダウン。しかしカジェハスにはいつものような力強さが見られず、足を使ってジャブと時折左フック。タフな李の前進を持て余す。14Rにはフットワークを使いすぎてカジェハスが滑る(ちょっとカッコ悪い)。判定は3-0でカジェハス。パンチの正確さが評価されたのだと思われる。15Rが長く感じた試合。フットワークと左ジャブがほとんどだったカジェハスは右を痛めていたのかも。またしても世界を獲れなかった李だが、後にIBF世界J・フェザー級タイトルを獲得。諦めずによく頑張った。)

ビクトル・カジェハス 7R TKO ロリス・ステッカ
(WBA世界J・フェザー級タイトル戦、1985年)
カジェハス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ステッカ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
6R:左ジャブ、左フックで2度、ステッカがダウン
(感想:カジェハスがタイトル防衛。二度目の防衛戦はイタリアでのステッカとの再戦。互いにジャブ・ストレート・フックでハイペースな打ち合い。早くも1Rに左フックでグラつくステッカ。6Rに二度のダウン。6R終了でステッカが棄権。二度目のダウンを奪った左フックはかなり強烈なもの。これだけ自在に左を使えるカジェハスの「左」はもはや名人芸。左にスピード・キレ・パワーがあり、右も強かった。その後、カジェハスは階級を上げ、ジェフ・フェネックと空位のWBC世界フェザー級タイトルを懸けて対戦。これにTKO負けしたのが最後の世界戦に。定評のある左のテクニックも「剛の者」フェネックには通用せず。上には上があるのがボクシング界の常。)
                                                     
①「WBA World Super Bantamweight Title
Loris Stecca vs. Victor Callejas」
②「WBA World Super Bantamweight Title
Victor Callejas vs. Seung-Hoon Lee」
③「WBA World Super Bantamweight Title
Victor Callejas vs. Loris Stecca」

ジェフ・フェネック(Jeff Fenech)のページ

イスラエル・コントレラス(Israel Contreras)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

強打のバンタム級、コントレラス。ウィルフレド・バスケス戦、ルイシト・エスピノサ戦、エディ・クック戦を紹介します。

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イスラエル・コントレラス(ベネズエラ)
身長 cm:オーソドックス(右構え)

イスラエル・コントレラス 1R KO ウィルフレド・バスケス
(J・フェザー級戦、1990年)
コントレラス:左ジャブと右ストレート
バスケス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:右フックでバスケスがダウン
(感想:ベネズエラのコントレラス。デビュー以来、無敗でカオサイ・ギャラクシーのWBA世界J・バンタム級王座に挑戦したが5RでKO負け。再起して連勝。新興団体WBOの初代バンタム級王者に。あのバスケス(プエルトリコ)とノンタイトル戦で勝負。当時バスケスはWBA世界バンタム級タイトルを失ったばかり。強打者同士。どんな試合になるか? マイアミで行われた一戦。コントレラスが速いジャブとストレート。1R終了間際、右フックでバスケスがダウン。完全KO。すごいパンチだった。こんなひどい敗北があったにもかかわらず、バスケスは後に三階級制覇を達成。)

イスラエル・コントレラス 5R KO ルイシト・エスピノサ
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1991年)
コントレラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
エスピノサ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:連打、左フックで2度、コントレラスがダウン
5R:連打、左フックで2度、エスピノサがダウン
(感想:コントレラスがタイトル獲得。エスピノサに挑戦するためにWBO王座を返上したコントレラス。王者エスピノサはフィリピンの強打者。キレと伸びのあるジャブ、右ストレートを武器とする選手で、これが三度目の防衛戦。フィリピンのケソン市で行われた試合。ジャブとフットワークのエスピノサを強打で追うコントレラス。しかし、2Rに二度のダウン。それでも前進するコントレラス。5Rに逆転のダウンを奪う。うずくまったエスピノサは立てなかった。共にハードパンチャーではあるが、打たれ弱さがある。そのためスリリングな試合になった。減量苦のエスピノサは階級を上げ、後、WBC世界フェザー級王座獲得、二階級制覇。)

エディ・クック 5R KO イスラエル・コントレラス
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1992年)
コントレラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
クック:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:連打でコントレラスがダウン
(感想:クックがタイトル獲得。ラスベガスで行われたコントレラスの初防衛戦。挑戦者クックはサウスポー。デビュー以来、連戦連勝で全米バンタム級王座を獲得したが、フィリピンのダドイ・アンデュハルに初黒星(アンデュハルは後、ビクトル・ラバナレスのWBC世界バンタム級王座に挑戦して判定負け)。再起してこのチャンスを得た。あまり打たれ強くないクックはジャブとフットワークで距離を取る。コントレラスは強打で迫る。5R、クックの左ストレートでグラついたコントレラス。連打されダウン。一気にKOされてしまった。初防衛に失敗したコントレラス。カオサイには5RでKO負け(カオサイもサウスポー)。エスピノサには5RでKO勝ち。そしてクック戦での5RKO負け。「5R」に縁があるボクサー(なぜだろう?)。その後、1995年のジョニー・バスケス戦では勝利したが強いダメージを受け、それが最後の試合に。引退後はメル・ギブソンの『アポカリプト』(2006年)に出演したらしい。)

①「Super Bantamweight
Israel Contreras vs. Wilfredo Vazquez」
②「WBA World Bantamweight Title
Luisito Espinosa vs. Israel Contreras」
③「WBA World Bantamweight Title
Israel Contreras vs. Eddie Cook」

カオサイ・ギャラクシー(Khaosai Galaxy)のページ
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ウィルフレド・バスケス(Wilfredo Vazquez)のページ
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ルイシト・エスピノサ(Luisito Espinosa)のページ 

パトリツィオ・オリバ(Patrizio Oliva)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界J・ウェルター級王者、イタリアのオリバ。ウバルド・サッコ戦、ブライアン・ブルーネット戦、ファン・マルチン・コッジ戦を紹介します。

パトリツィオ・オリバ(Patrizio Oliva)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

パトリツィオ・オリバ(イタリア)
身長177cm:オーソドックス(右構え)

パトリツィオ・オリバ 15R 判定 ウバルド・サッコ
(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1986年)
オリバ:左ジャブ、右ストレート、左フック
サッコ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:オリバがタイトル獲得。イタリアのナポリ出身のオリバ。1980年のモスクワオリンピック(アメリカがボイコットした大会)ではライトウェルター級で金メダル。プロ入り後は地元を中心にリングに上がり、これまで全勝。イタリア王座、欧州王座(いずれもJ・ウェルター級)を獲得している。王者サッコはアルゼンチンの選手。イタリアで行ったジーン・ハッチャーとの再戦に勝利して王者に。これが初防衛戦。モナコで行われた一戦。フットワークとジャブのオリバ。右ストレートと左フックを使いながらジャブでポイントを取る戦術。サッコは左フックからの右ストレートといった連打やボディ打ちが迫力。同じような展開が15R続いて、判定は2-1。ダウンシーンは無し。全体的にオリバのジャブが試合を支配していた印象。このオリバの試合運びが「イタリアのボクシング」なのだと思われる。「強さ」はあまり感じなかったが。空転することが多かったサッコはこれが最後の試合となった。)

パトリツィオ・オリバ 3R TKO ブライアン・ブルーネット
(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1986年)
オリバ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ブルーネット:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:オリバがタイトル防衛。ナポリで行われた初防衛戦。ブルーネットはアメリカの選手。これまで全勝で、ミネソタ州J・ミドル級王座を獲得しているが、ローカルなイメージの選手。ストレート・フックで勢いよく攻めるオリバ。3R、打たれっぱなしになったブルーネット。セコンドがリングインして終了。ダウンシーンは無し。初防衛戦は手堅く勝利できる相手を選ぶのがボクシング界の常識(?)。しかしながら、ミスマッチすぎた。)

ファン・マルチン・コッジ 3R KO パトリツィオ・オリバ
(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1987年)
オリバ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
コッジ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
3R:連打、右フックで2度、オリバがダウン
(感想:コッジがタイトル獲得。オリバの三度目の防衛戦の相手は強敵。アルゼンチンの強打者コッジ。その強さは後の活躍でおなじみ。イタリアで行われた試合(コッジはイタリア移民。コッジにとっては敵地での試合ではなく、いわば「凱旋帰国」のようなもの)。独特の打ち方だがパンチがあるコッジ。伸びる左ストレートに威力があり、接近して攻めるときはフックを猛烈に振るう。オリバもジャブ・ストレートで攻めるがパワーが違う。3R、左フックからの連打でリング外にダウンするオリバ。さらにフックでダウンして立てなかった。アルゼンチンのサッコから奪ったタイトルが再びアルゼンチンへ。コッジはその後、日本の選手とも世界戦を行った。オリバはその後もリングに上がり続け、欧州ウェルター級王座を獲得するなどの活躍を見せたが、バディ・マクガートのWBC世界ウェルター級王座に挑戦して判定負け、世界王座返り咲きならず。それが最後の試合に。プロよりもアマチュア向きのスタイルだった印象。)

①「WBA World Super Lightweight Title
Ubaldo Sacco vs. Patrizio Oliva」
②「WBA World Super Lightweight Title
Patrizio Oliva vs. Brian Brunette」
③「WBA World Super Lightweight Title
Patrizio Oliva vs. Juan Martin Coggi」

ファン・マルチン・コッジ(Juan Martin Coggi)のページ

2020年8月14日金曜日

ティム・オースティン(Tim Austin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

速射砲のような連打を打つバンタム級、オースティン。ムブレロ・ボティーレ戦、スティーブ・ドトセ戦、ラファエル・マルケス戦を紹介します。

ティム・オースティン(Tim Austin)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ティム・オースティン(アメリカ)
身長166cm:サウスポー

ティム・オースティン 8R TKO ムブレロ・ボティーレ
(IBF世界バンタム級タイトル戦、1997年)
オースティン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ボティーレ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
7R:右フックでボティーレがダウン
8R:連打でボティーレがダウン
(感想:オースティンがタイトル獲得。オハイオ州シンシナティ出身のオースティン。ニックネームは「Cincinnati Kid」。1992年のバルセロナオリンピックではフライ級で銅メダルを獲得するなど、アマチュア時代から優秀。プロ入り後はこれまで無敗。王者ボティーレは南アフリカの選手。バランスの良い実力者で、これまで21戦全勝。五度の防衛に成功している。アメリカでの一戦。右と左の構えの違いはあるが、共にジャブから攻めていくタイプ。一進一退の内容。7Rのダウンは手首を引っかけたようなパンチによるものでダウンではないが、レフェリーの角度からはダウンに見えたのだと思われる。しかし8Rの右フックは効いた。フラついて連打されたボティーレがしゃがみ込んでダウン、KO。実力者相手に見事な試合ぶりだったオースティン。ストレートとフックが良かった。後、ボティーレはポール・イングルを破り、IBF世界フェザー級王座獲得、二階級制覇達成。)

ティム・オースティン 6R KO スティーブ・ドトセ
(IBF世界バンタム級タイトル戦、2001年)
オースティン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ドトセ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
6R:左ストレートでドトセがダウン
(感想:オースティンがタイトル防衛。地元シンシナティで行った七度目の防衛戦。ドトセはガーナのアクラ出身(アズマー・ネルソンと同じ)。ガーナ王座、アフリカ王座(いずれもバンタム級)を獲得している。ゆっくりした動きから速いジャブとパワーのある連打を打つドトセ。しかしながらオースティンはより速くジャブを打ち、回転の速い連打にはパワーもある。6R、強烈な左ストレートでドトセがダウンしてKO。王者になったときよりもパワーアップしたオースティン。左右フックのボディ打ちも迫力があった。)

ラファエル・マルケス 8R TKO ティム・オースティン
(IBF世界バンタム級タイトル戦、2003年)
オースティン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
マルケス:左ジャブと右ストレート
(ダウンシーン)
8R:右ストレートでオースティンがダウン
(感想:マルケスがタイトル獲得。10度目の防衛戦の相手は強敵。ファン・マヌエル・マルケスの弟ラファエル。ストレートが強いハードパンチャー。ラスベガス「シーザース・パレス」で行われた興味深い一戦。共にジャブを使い、ストレートを狙う一進一退の攻防。8R、左フックを打たれて後退するマルケス。しかし、逆に右ストレートを強打されたオースティンがロープ外に出るダウン。立ったが連打でストップ。マルケスがストレートで勝利。ただ、オースティンはドトセ戦と比べてパンチのキレが落ちていたような気がする。一番強かった頃は負け無しだったオースティン。この敗北で実力に対する評価が下がることはないと思う。その後、オースティンは目立った活躍も無く引退(マルケスは軽量級を大いに盛り上げた)。引退後、事件を起こして逮捕されるなど残念な話も。今はジムで若手を指導しているらしい。)

①「IBF World Bantamweight Title
Mbulelo Botile vs. Tim Austin」
②「IBF World Bantamweight Title
Tim Austin vs. Steve Dotse」
③「IBF World Bantamweight Title
Tim Austin vs. Rafael Marquez」

ムブレロ・ボティーレ(Mbulelo Botile)のページ
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ラファエル・マルケス(Rafael Márquez)のページ

マニング・ギャロウェイ(Manning Galloway)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBO世界ウェルター級タイトルを獲得した「知られざるチャンピオン」。ゲルト・ボー・ヤコブセン戦(初戦)、パット・バレット戦、ゲルト・ボー・ヤコブセン戦(第三戦)を紹介します。

マニング・ギャロウェイ(Manning Galloway)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

マニング・ギャロウェイ(アメリカ)
身長175cm:サウスポー

マニング・ギャロウェイ 9R TKO ゲルト・ボー・ヤコブセン
(WBO世界ウェルター級タイトル戦、1991年)
ギャロウェイ:右ジャブ、左ストレート、右フック
ヤコブセン:左ジャブと右ストレート
(ダウンシーン)
3R:連打でギャロウェイがダウン
8R:連打でヤコブセンがダウン
(感想:日本で「マニング・ギャロウェイ」をどれだけのファンが知っているだろうか? 知らない人がほとんどであり、興味を持っている人はもっと少ないであろう(私も以前はモノクロの写真でしか見たことがなかった。そのためギャロウェイには昭和時代のプロレス本に載っていた「まだ見ぬ世界のレスラー」みたいな企画に出てきそうなイメージがあった)。フットワークとジャブ・ストレートを使うサウスポーで、マイケル・ナンに似ている。オハイオ州コロンバス出身(マイク・タイソンをKOしたジェームス・ダグラスと同じ)。連勝したり、連敗したり、といった安定しないキャリア。全米ウェルター級王座獲得、防衛。新興団体WBOの初代ウェルター級王者決定戦に出場。判定で新王者に。初防衛にも成功。これが二度目の防衛戦となる。ヤコブセンはデンマークの選手。欧州ライト級王座を獲得、防衛をしてきたが、グレグ・ホーゲンのIBF世界ライト級王座への挑戦は失敗に終わっている。地元デンマークでの二度目の世界挑戦。時折、腕をブルブル動かしてジャブを打つギャロウェイ。ハンドスピードはあるがパンチは軽い感じ。ヤコブセンはジャブを打つが逃げられる。3Rのギャロウェイのダウンはパンチをよけ損なったことによる軽い感じのもの。8R、ヤコブセンがダウン。立ち上がり、左まぶたのキズをドクターチェック。8R終了でヤコブセンが棄権。ギャロウェイがタイトル防衛。8Rにヤコブセンをダウンさせた右フックからの左ストレートはなかなか良かった。)

マニング・ギャロウェイ 12R 判定 パット・バレット
(WBO世界ウェルター級タイトル戦、1992年)
ギャロウェイ:右ジャブ、左ストレート、右フック
バレット:左ジャブと左右フック
(感想:ギャロウェイがタイトル防衛。英国のバレットと六度目の防衛戦。バレットは欧州J・ウェルター級王座を獲得、防衛してきた黒人選手。デビュー三戦目で敗北したが、それ以来、無敗を守っている。マンチェスターで行われた一戦(やはり「マイナー」なギャロウェイ。結局、初防衛戦以外の世界戦は全てアメリカ国外で行われた)。会場ではフランク・ブルーノが観戦。ガードを高く上げ、フットワークとジャブで距離を取るギャロウェイ。まるで逃げ回っているような戦い方だが、時折ストレートを決める。バレットはフックで攻めるが逃げられる。判定は3-0でギャロウェイ。ダウンシーンは無し。その後、バレットは特に大きな活躍をすることなくキャリアを終えた。)

ゲルト・ボー・ヤコブセン 12R 判定 マニング・ギャロウェイ
(WBO世界ウェルター級タイトル戦、1993年)
ギャロウェイ:右ジャブ、左ストレート、右フック
ヤコブセン:左ジャブと右ストレート
(感想:デンマークで行われたヤコブセンとの三度目の対戦。二戦目は負傷による無効試合。いつものようにガードを高く上げ、フットワークとジャブのギャロウェイ。ヤコブセンのストレートが時折ヒット。最終ラウンド、フットワークを使いながらグローブの掌でヤコブセンを挑発するなど、絶好調なギャロウェイ。ギャロウェイのジャブが良かったような感じもしたが、判定は3-0でヤコブセン。「新王者誕生!」という感じがしない王座交代劇だった。ギャロウェイには「強豪」というイメージは無いが、スピーディーでそれなりに個性的。スタミナ切れでクリンチをダラダラやる重量級の選手よりは良い(と思う)。その後、ギャロウェイはWBO世界ウェルター級暫定王座を獲得したが、次の試合に敗北。長いブランク後、カムバック。しかし、目立った活躍は無し。WBO王者時代が彼のベストだと思われる。)

①「WBO World Welterweight Title
Manning Galloway vs. Gert Bo Jacobsen」
②「WBO World Welterweight Title
Manning Galloway vs. Pat Barrett」
③「WBO World Welterweight Title
Manning Galloway vs. Gert Bo Jacobsen」

ジェームズ・ワーリング(James Warring)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界クルーザー級王者。元キックボクサー。ジョニー・ネルソン戦、アルフレッド・コール戦ほかを紹介します。「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジェームズ・ワーリング(James Warring)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジェームズ・ワーリング(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

ジェームズ・ワーリング 1R KO ジェームズ・プリチャード
(IBF世界クルーザー級王座決定戦、1991年)
ワーリング:左ジャブ、右ストレート
プリチャード:無し
(ダウンシーン)
1R:ワンツーでプリチャードがダウン
(感想:ワーリングがタイトル獲得。フロリダ州マイアミ出身の黒人ワーリング。学生時代はフットボールをやっていたようだが、キックボクサーに。身長191cmのスラリとした身体(フットボールでは不利な体型かも)で活躍。そしてプロボクサーに転向。デビュー初期に一つ負けてしまったが、その後は連勝。ネート・ミラーを破って北米クルーザー級タイトル獲得。その次の試合はこの初の世界挑戦。プリチャードはケンタッキー州ルイビル出身の黒人(モハメド・アリと同郷)。アマチュアの大会で優勝経験(スーパーヘビー級)。プロでは連勝だったが、元WBA世界ヘビー級王者マイク・ウィーバーにTKO負けで初黒星。同じく元WBA王者マイケル・ドークスにもTKO負け(WBC米大陸ヘビー級王座決定戦)。ジョニー・デュプロイ、ピエール・コーツァー、ゲーリー・メイソンにもTKO負け。ヘビー級はキツい、ということでクルーザー級へ。IBFインターコンティネンタル王座(クルーザー級)を獲得。その次の試合は待望の世界戦。ヘビー級では苦労してきたが、クルーザー級では良い試合ができるのではないか? イタリア・サレーミでの一戦(アメリカ黒人同士の試合がなぜイタリアで行われることになったのかは不明)。スラリとしたワーリング(32歳)。軽いジャブを連打。それをブロックするプリチャード(30歳)だが、ワンツーをマトモに食ってダウン。立てず、KO。何と36秒で終了。タイミングのいいパンチだったが、実にあっけない終わり方。余裕の勝利にワーリングは笑顔でキックボクシングの蹴りのパフォーマンス。敗北のプリチャードは一発もパンチを出せず。そんなことがかつて世界戦であっただろうか? その後のプリチャード。多くの試合を行ったが、敗北多し。ただし、相手はオーリン・ノリス、ティム・ウィザスプーン、ハービー・ハイド、マイケル・モーラー、ウラジミール・クリチコといった当時のトップクラスだった。)

ジェームズ・ワーリング 5R KO ドンネル・ウィングフィールド
(IBF世界クルーザー級タイトル戦、1991年)
ワーリング:左ジャブ、右ストレート、左フック
ウィングフィールド:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
5R:右アッパーでウィングフィールドがダウン
(感想:ワーリングがタイトル初防衛。衝撃のKOで王者になったワーリングが初防衛戦。挑戦者ウィングフィールドはオハイオ州クリーブランド出身の黒人。デビュー以来、連戦連勝だったこともあったが、ここのところ負けと引き分けがちょいと目立つ。バージニア州ロアノークでの一戦。ボクサータイプのワーリングがジャブ、ストレート。しかしあまりパンチにキレがない。ウィングフィールドは大きくフックを振っていくタイプ。5R、右アッパーを食ったウィングフィールドが一瞬、間を置いてダウン、KO。ワーリングが見事な二連続KO勝利(結果的にタイトルを獲得した試合とこの試合でのKOが特に印象的)。ただ、微妙にパンチのキレが無いところと右の打ち方に少し問題があるような気がする。ウィングフィールドはその後、ジェームス・スミス、アンドリュー・ゴロタ、ウラジミール・クリチコらに敗北。一定のレベル以上の相手には勝てなかった。)

ジェームズ・ワーリング 12R 判定 ジョニー・ネルソン
(IBF世界クルーザー級タイトル戦、1992年)
ワーリング:左ジャブと右ストレート
ネルソン:左ジャブと右ストレート
(感想:ワーリングがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者ネルソンは英国の黒人選手。ニックネームは「The Entertainer」(正直なところ意味がよくわからないニックネーム。そんなに魅力的な試合をするイメージはない)。英国クルーザー級タイトルを獲得したことがあるが、カルロス・デ・レオンの持つWBC世界クルーザー級タイトルに挑戦したときはブーイングが会場で起こったほど見所がない試合をやった「前科」がある。これが二度目の世界挑戦。バージニア州ビールトンでの一戦。ガードを下げてジャブを打つネルソン。上半身が柔らかく、パンチをかわして時々右ストレート。ジャブの打ち合いとクリンチの展開。8R、右ストレートでグラつくネルソン。サウスポーにスイッチしたりするネルソンだが、もう一つ。12R終了。判定は大差の3-0(ダウンシーンは無し)。クルーザー級はヘビー級の次に重たいクラス。軽量級の試合のようなジャブの打ち合いで、マニアックなファンしか喜ばないような内容だった。しかし、ネルソンは後にWBO世界クルーザー級タイトルを獲得して13度も防衛(英国の具志堅用高?)。そんなネルソンを下したワーリングは「強豪」なのかもしれない。)

アルフレッド・コール 12R 判定 ジェームズ・ワーリング
(IBF世界クルーザー級タイトル戦、1992年)
ワーリング:左ジャブと右ストレート
コール:左ジャブと右ストレート
(感想:コールがタイトル獲得。ワーリングの三度目の防衛戦。挑戦者コールは身長193cmもある男。ワーリングと同様、スラリとした身体つきで、パワーがそこそこなところも似ている。全米クルーザー級タイトルを獲得、防衛してワーリングのIBF王座に挑戦するチャンスを得た。ニュージャージー州スタンホープでのワーリング(War:戦争)とアルコール(酒)の対決。共にボクサータイプ。ジャブの打ち合い。接近してはクリンチ。長い腕がからみ合う「タコのケンカ」っぽい感じの試合に。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。コールはジャブにスピードがあり、正確だった。それが評価されたと思われる。重厚感があまり感じられないL・ヘビー級っぽい試合だったが、最終ラウンド終了時には観客が総立ちでスタンディング・オベーション(そんなにいい試合だったかな?)。その後、コールは王座を防衛し続け、ヘビー級に転向したが、ヘビーでは通用せず。ワーリングもまたヘビー級の選手(アレックス・ガルシア、アレックス・スチュワートら)と戦ったが、世界王座戦はコール戦が最後に。引退後はレフェリーになった。)

①「vacnat IBF World Cruiserweight Title
James Warring vs. James Pritchard」
②「IBF World Cruiserweight Title
James Warring vs. Donnell Wingfield」
③「IBF World Cruiserweight Title
James Warring vs. Johnny Nelson」
④「IBF World Cruiserweight Title
James Warring vs. Alfred Cole」

ジョニー・ネルソン(Johnny Nelson)のページ
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アルフレッド・コール(Alfred "Ice" Cole)のページ

フランク・テート(Frank Tate)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF王座&オリンピック金メダル。トニー・シブソン戦、アンドリュー・メイナード戦、バージル・ヒル戦(初戦)ほかを紹介します。

フランク・テート(Frank Tate)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

フランク・テート(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)

フランク・テート 10R KO トニー・シブソン
(IBF世界ミドル級タイトル戦、1988年)
テート:左ジャブ、右ストレート、フック
シブソン:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
10R:右ストレートでシブソンがダウン
(感想:ミシガン州デトロイト出身のテート。子供の頃は不良だったらしいが、あの「クロンクジム」でボクシングに打ち込む。1984年のロサンゼルスオリンピックではライトミドル級で金メダルを獲得。プロ入りの際に「クロンク」とは別れたが、IBFタイトルをマイケル・オラジデとの決定戦で手に入れ、シブソンと初防衛戦。挑戦者シブソンは英国の白人選手でマービン・ハグラーの世界ミドル級タイトルに挑戦したこともあるタフ男。英国スタフォードで行われた試合。ジャブとフックを使うファイタータイプのシブソン。テートがジャブで距離を取り、右ストレートでシブソンを痛めつける。シブソンはジャブを打たれて得意の接近戦ができないうえに出血。10R、ダウンでKO。最後の右ストレートはかなり強烈なものだった。テートはこれで22戦全勝(13KO)。次の防衛戦の相手はマイケル・ナン。)    

フランク・テート 7R KO グレグ・エベレット
(L・ヘビー級戦、1990年)
テート:左ジャブ、右ストレート、フック
エベレット:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでエベレットがダウン
7R:右ストレート、連打、左フックで3度、エベレットがダウン
(感想:マイケル・ナンに敗れ、IBF王座を失ったテート。さらにリンデル・ホームズと空位のIBF世界S・ミドル級タイトルを争って2-0の判定負け。再起戦に勝利して、25勝(14KO)2敗に。エベレットはニュージャージー州の黒人。13勝(12KO)1敗。デビューから連勝だったが、WBC米大陸王座戦(L・ヘビー級)で判定負け、初黒星。テート戦は再起三戦目となる。ニュージャージー州スタンホープでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。1R、互いにジャブ。前進するエベレットが打ち下ろすような右ストレート、左ボディ攻撃。しかし、打ち終わった後に隙ができる欠点。テートは攻めてくる相手をジャブ、ワンツー、左フックで迎え撃つパターン。ラウンド終了直前、右ストレートでエベレットがダウン。その後も攻めるエベレットだが、テートはディフェンスしながらワンツーなどを当てる。7R、右ストレートでエベレットがダウン。ダメージ深いが、続行。連打、左フックで二度のダウンを追加してスリーノックダウン、KO。テートがディフェンスと攻撃の正確さで勝利。隙のある相手には負けない。エベレットは頑張る選手であったが、特に右ストレートを打った後のガードができていなかった。そのパンチで勝ってきたのだろうが、そのため、欠点に気付かなかったのかもしれない。この後、エベレットはブランク。カムバック後、連勝したが、ジェームズ・トニーにマイナー王座戦でKO負け。それが最後の試合となった。)

フランク・テート 11R TKO アンドリュー・メイナード
(北米L・ヘビー級タイトル戦、1992年)
テート:左ジャブ、右ストレート、フック
メイナード:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
11R:右フックでメイナードがダウン
(感想:テートがタイトル獲得。エベレット戦後、連勝のテートがタイトル戦。再び世界を目指すのであればこの試合には勝たねばならない。王者メイナードは1988年ソウルオリンピックのL・ヘビー級金メダリスト。元IBF世界L・ヘビー級王者ボビー・チェズにKO負けした以外はキレイに勝ってきた。ニューヨークで行われたオリンピック金メダリスト同士のライバル対決(会場では俳優のジーン・ハックマンが観戦)。年齢は同じ27歳。接近してボディを狙うメイナード。テートはジャブで応戦。クリンチ状態で互いにボディをドカドカ打ち合う。試合は全体的にテートのストレート、フックが有効で、右アッパーでカウンターを取る名人芸も見せる。11R、右フックでメイナードがダウン。立ったが、再開後に自らヒザをついてリタイア。メイナードは接近戦を仕掛けていたが、あまり巧くなかった。得意のジャブ・ストレートで勝負すべきだったのでは? メイナードは結局、プロでは大成せず。)

バージル・ヒル 12R 判定 フランク・テート
(WBA世界L・ヘビー級王座決定戦、1992年)
テート:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ヒル:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:ヒルがタイトル奪回。テートにチャンス到来。これもオリンピックに縁がある対決。ヒルは1984年のロサンゼルスオリンピック・ミドル級銀メダリスト(マイケル・ナンに勝ってオリンピック代表に選ばれた)。プロでは全勝でWBA世界L・ヘビー級王座を獲得し防衛を続けたが、トーマス・ハーンズに敗北。ハーンズがアイラン・バークレーに敗れ、バークレーが王座返上。そして、この王座決定戦。ノースダコタ州ビスマルク(ヒルの主戦場)での一戦。ジャブの打ち合い。押し出すような打ち方で細かいジャブを連打するヒル。テートは長いジャブ。パンチはあまり無いがジャブを数多く出すヒルがポイントを取っていく。しかし11R、テート得意の右アッパーのカウンターでヒルがダウン寸前に。観客が盛り上がる中、最終ラウンド終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。見せ場を作ったテートだが、ヒルが細かいパンチを重ねて勝利。重量級の試合にしては「迫力」という点で少し残念な内容だったような気もするが、11Rは迫力があって良かった。再戦がこの王座を懸けて行われ、ヒルが3-0で勝利。テートが獲得できたのは結局、IBF世界ミドル級タイトルのみ。実力はあったがカウンター狙いの受け身の試合スタイルだったため、それを巧く生かすことができなかった印象。)

①「IBF World Middleweight Title
Frank Tate vs. Tony Sibson」
②「Light Heavyweight 
Frank Tate vs. Greg Everett」
③「NABF Light Heavyweight Title
Andrew Maynard vs. Frank Tate」
④「vacant WBA World Light Heavyweight Title
Frank Tate vs. Virgil Hill」

トニー・シブソン(Tony Sibson)のページ
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マイケル・ナン(Michael Nunn)のページ
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アンドリュー・メイナード(Andrew Maynard)のページ
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バージル・ヒル(Virgil "Quicksilver" Hill)のページ

2020年8月12日水曜日

マイケル・ワトソン(Michael Watson)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

英国のミドル級、ワトソン。ナイジェル・ベン戦、マイク・マッカラム戦、クリス・ユーバンク戦(再戦)を紹介します。

マイケル・ワトソン(Michael Watson)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

マイケル・ワトソン(イギリス)
身長180cm:オーソドックス(右構え)

マイケル・ワトソン 6R KO ナイジェル・ベン
(英連邦ミドル級タイトル戦、1989年)
ワトソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ベン:左ジャブと左右フック
(ダウンシーン)
6R:左ジャブでベンがダウン
(感想:ロンドン生まれのワトソン。両親はジャマイカ人。誘われてジムで練習しているうちにボクシングに夢中になっていったとか。アマチュアで活躍し、プロ入り。これまで21勝(17KO)1敗1分でWBC3位。「ダーク・デストロイヤー」と呼ばれる強打者ベンはワトソンと同じ英国の黒人選手で22戦全勝(22KO)、WBC4位。世界を狙う者同士のライバル対決。1RでのKOを狙うかのようにフックで攻撃するベン。ワトソンはブロックして応戦。次第にワトソンのジャブ、ストレートが当たるようになる。6R、右ストレートを打たれて目を押さえるベン。レフェリーのチェック。再開後、ジャブでベンがダウンして終了。ワトソンがディフェンス&正確なパンチで勝利。ベンは一生懸命パワーを込めて攻め続けたが、ブロックされて逆に倒されてしまった。ワトソンの我慢強さとベンの打たれ弱さが印象的だった一戦。)

マイク・マッカラム 11R KO マイケル・ワトソン
(WBA世界ミドル級タイトル戦、1990年)
ワトソン:左ジャブ、右ストレート、左フック
マッカラム:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
11R:右ストレートでワトソンがダウン
(感想:マッカラムがタイトル防衛。「ボディスナッチャー(「ボディ打ちが巧みな選手」の意)」マッカラムはジャマイカ出身のテクニシャン。WBA世界J・ミドル級王者だったこともある二階級制覇王者で、ドナルド・カリー、ミルトン・マクローリー、ジュリアン・ジャクソンといった実力者をKOしている。ロンドンで行われた試合。ワトソンがジャブ、ストレート。マッカラムは左のパンチ、特に得意の左ボディフックを器用に使う。一進一退の展開。しかし左の正確さでマッカラムがやや優勢。11R、ロープ際で連打されたワトソン。最後は右ストレートでダウン、KO。ワトソンは良い選手だが、マッカラムが左の多彩さとディフェンスで上だった。世界は広い、とワトソンは感じたのでは?)

クリス・ユーバンク 12R TKO マイケル・ワトソン
(WBO世界S・ミドル級王座決定戦、1991年)
ワトソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ユーバンク:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
11R:右ストレートでユーバンクがダウン。右アッパーでワトソンがダウン。
(感想:ユーバンクが二階級制覇。ユーバンクもまたナイジェル・ベン、ワトソンと同じ英国の黒人選手。ユーバンクはベンをTKOで破ってWBO世界ミドル級王座を奪ったことがある。「ベンを倒した者」同士の一戦。三人のライバルの実力ナンバーワンを決める一戦でもある。これは再戦。初戦はユーバンクのWBO世界ミドル級王座を懸けて行われ、ユーバンクが2-1で勝利している。ユニオンジャックに先導され、周囲をニラみながら入場するユーバンク。トップロープをジャンプしてリングイン。ユーバンクがフットワークと速い連打を使うため、ワトソンもそれに合わせてハイペースで手数を出す。ワトソン得意の右ストレートがヒットしても倒れないタフなユーバンク。両者一歩も引かない打撃戦。11R、さすがに疲れが出てきたか、ラッシュをかけられるワトソン。しかし先にダウンしたのはユーバンク。再開後すぐに倒し返すダウン応酬。12R開始早々、ワトソンが連打を浴びてレフェリーストップ。最初から最後まで壮絶な打ち合いだった。ワトソンはダメージ深く、この試合で引退。会場で観戦のナイジェル・ベンはWBO世界ミドル級タイトル、WBC世界S・ミドル級タイトルを獲得。ユーバンクはWBOの世界ミドル級、S・ミドル級タイトルを獲得。ワトソンは世界王者になれなかった。レベルの高い時代には実力者でも王者になれないことがよくあった。ワトソンもまたベン、ユーバンクと同じように忘れられない印象を残したミドル級である。)

①「Commonwealth (British Empire) Middleweight Title
Nigel Benn vs. Michael Watson」
②「WBA World Middleweight Title
Mike McCallum vs. Michael Watson」
③「WBO World Super Middleweight Title
Chris Eubank vs. Michael Watson」

ナイジェル・ベン("The Dark Destroyer" Nigel Benn)のページ
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マイク・マッカラム(Mike McCallum)のページ
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クリス・ユーバンク(Chris Eubank)のページ

ウィリアム・リー(William "Caveman" Lee)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

パワフルなミドル級、「洞窟の男」リー。マルコス・ヘラルド戦、ジョン・ロシセロ戦、マービン・ハグラー戦を紹介します。

ウィリアム・リー(William "Caveman" Lee)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ウィリアム・リー(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

ウィリアム・リー 1R KO マルコス・ヘラルド
(ミドル級戦、1980年)
リー:左右フック
ヘラルド:左右フック
(ダウンシーン)
1R:連打でヘラルドがダウン
(感想:ハードパンチャーのリー。フィラデルフィア出身。ワイルドな風貌からニックネームは「洞窟の男」(「原始人」の意。現代人なのに)。「クロンクジム」所属。ヘラルドはハグラーとフルラウンドやったこともある選手。シカゴで行われた試合。フックでラッシュをかけるリー。左フックを食らってグラつくが、逆に左フックでヘラルドをグラつかせる。連打でKO。あっという間の出来事。荒っぽいパワーを見せつけたリー。すごいパンチ力。ヘラルドは構え方が個性的でよかった。)

ウィリアム・リー 5R KO ジョン・ロシセロ
(ミドル級戦、1981年)
リー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ロシセロ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:連打、左フックで2度、ロシセロがダウン
(感想:デトロイトで行われた試合。リーのセコンドにエマヌエル・スチュワード(トーマス・ハーンズを育てた人)。ロシセロは中堅どころ(ヘラルドに敗北)。ヘラルド戦とは違ってジャブから入っていくリー。ロシセロが思い切ったストレート・フックを打つため、迫力のある打ち合いに。パワーで強引に押すのではなくジャブで慎重に戦うリー。5Rに二度ダウンを奪ってKO。最後のダウンの左フックがかなり強烈なものだったリー。パワーだけではなく、バランスの良い打ち方ができることを証明。)

マービン・ハグラー 1R KO ウィリアム・リー
(世界ミドル級タイトル戦、1982年)
リー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ハグラー:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:連打でリーがダウン
(感想:ハグラーがタイトル防衛。アトランチックシティで行われたハグラーの四度目の防衛戦。ハグラーは説明不要の有名選手。ただ、この頃は国際的にマイナーな相手との防衛戦が続き、トーマス・ハーンズ、ジョン・ムガビといった注目選手とビッグファイトを行うのはまだまだ先のこと。リーは世界初挑戦。このところ連勝中。勢いで王座奪取なるか、といったところ。パワーファイター同士の試合。サウスポーのチャンピオン、ハグラーの強烈なジャブでグラついたリー。連打でダウン。そしてハグラーがロープ際にリーを追い込み凶暴な右フックを連発。レフェリーストップ。1Rで終わってしまった。この試合のせいで「弱い選手」というイメージがあるリー。ヘラルド戦でもグラついたりするなど、打たれ弱さがあったのが残念。しかし個人的には「エキサイティングなハードパンチャー」としてリーを評価したい。その後のリーは悲しい人生。強盗で逮捕、服役。どうやら現役時代のダメージが背景にあったらしい。今はどうしているのだろう?)

①「Middleweight
Caveman Lee vs. Marcos Geraldo」
②「Middleweight
Caveman Lee vs. John LoCicero」
③「World Middleweight Title
Marvin Hagler vs. Caveman Lee」

マービン・ハグラー(Marvelous Marvin Hagler)のページ

ヌコシナチ・ジョイ(Nkosinathi Joyi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

南アフリカのミニマム級、ジョイ。高山勝成戦(初戦・再戦)、マリオ・ロドリゲス戦を紹介します。

ヌコシナチ・ジョイ(Nkosinathi Joyi)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ヌコシナチ・ジョイ(南アフリカ共和国)
身長168cm:サウスポー

ヌコシナチ・ジョイ 3R 無効試合 高山勝成
(IBF世界ミニマム級タイトル戦、2011年)
ジョイ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
高山:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ジョイがタイトル防衛。南アフリカ・東ケープ州ムダントセーン出身の黒人ジョイ。ミニマムにしては背が高く、ニックネームは「Baby Bear(小熊)」。これまで全勝。南アフリカのミニマム級王座、IBOミニマム級王座を獲得、防衛。挑戦者決定戦に勝利してIBF世界ミニマム級王座に挑戦、王座獲得。高山戦は初防衛戦となる。高山はWBC世界ミニマム級王座、WBA世界ミニマム級暫定王座を獲得した男。IBF王座に挑戦するため、日本ボクシングコミッションに引退届を提出(当時、日本ではIBFは認められていなかった)。まさに「背水の陣」といったところ。南アフリカ・ブラックパンでの一戦。ジャブ・ストレートを基本とし、接近戦ではフックを器用に打つジョイ。動き回る高山にジャブ。3R、打ち合いでのバッティングで高山が出血。続行不能で終了(ダウンシーンは無し)。消化不良な結果だが、ジョイの左ストレートを当てる巧さが印象に残った。)

ヌコシナチ・ジョイ 12R 判定 高山勝成
(IBF世界ミニマム級タイトル戦、2012年)
ジョイ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
高山:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:連打で高山がダウン
(感想:ジョイがタイトル防衛。南アフリカ・イーストロンドンで再戦。いきなり突進する高山。フットワークを使いながら接近して連打する作戦。しかしながらジョイは離れてはジャブ・ストレート、接近してはフック、と自在に高山の動きに対応。5Rにダウンを奪って12R終了。判定は3-0。パンチの正確さが評価されたと思われる。高山のボディ打ちも悪くはなかったが、ジョイは距離を取ってストレートを当てるのが巧かった。そんな相手にフットワークで距離を取る戦法はどうか?    その後も高山はリングへ。IBF、次いでWBOのミニマム級王座獲得。)

マリオ・ロドリゲス 7R KO ヌコシナチ・ジョイ
(IBF世界ミニマム級タイトル戦、2012年)
ジョイ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ロドリゲス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
7R:右フックでジョイがダウン
(感想:ロドリゲスがタイトル獲得。三度目の防衛戦。挑戦者ロドリゲスはメキシカン(メキシコのシナロア州グアサベ出身)。。ドニー・ニエテスのWBO世界ミニマム級王座への挑戦は判定負けに終わったが、北米ミニマム級王座、WBCの地域王座(ライトフライ級)を獲得し、この二度目の世界挑戦。グアサベでの一戦。いつものようにジャブ・ストレート・連打で手数が多いジョイ。ロドリゲスはガードを固めて前進。頭をくっつけての打ち合い。7R、右フックでジョイがダウン、試合終了。ポイントでは手数が多いジョイが勝っていたようだが、ロドリゲスはダメージを負うようなパンチを食ってはいなかった。ジョイは良い選手だが一発で倒すようなパワーは無い。パンチの無い選手は手数をいっぱい出しても逆転されてしまう悲しさがある。後、ロドリゲスは初防衛戦で高山勝成に敗北し、王座を明け渡した。)

ヘッキー・ブドラー 12R 判定 ヌコシナチ・ジョイ
(IBOミニマム級タイトル戦、2013年)
ジョイ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ブドラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ブドラーがタイトル防衛。IBF王座を失って初黒星のジョイ。これまで24勝(16KO)1敗。IBO王座奪回を目指す。21勝(6KO)1敗の王者ブドラーも南アフリカ(ヨハネスブルグ出身)だが、ジョイと違って白人。決定戦でIBOライトフライ級王座獲得。王座陥落後、決定戦でIBOミニマム級王座獲得。「IBO専門」といった感じのキャリアで、ジョイと三度目の防衛戦。南アフリカ・ケンプトンパークでの一戦(レフェリーは大物スタンリー・クリストドーロー)。左右の構えは違うが、互いにジャブ、ストレート。接近戦ではディフェンスしながら連打。ブドラーは右ストレート、ジョイはボディ攻め。動きのスピード、パンチのキレは共にそこそこ。距離を取りながら連打をまとめるブドラー、前進してフック連打のジョイ。12R終了。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。共に手数を出したが、ガードし合って大きな見せ場が無かった試合。テクニックはあったが、「迫力」という点ではどうか? 個人的には攻勢点でジョイが勝ったように見えたが、ブドラーの細かいパンチも時折ヒットしていた。その後の二人。ブドラーはWBA世界ミニマム級暫定王座決定戦に勝利。後、正規王者に昇格。WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者にもなった。ジョイは全盛を過ぎ、勝ったり負けたり。ただ、WBCインター王座(ライトフライ級)獲得、IBO王座奪回といった活躍も。メジャー団体の世界王者だった時期が短かったためマイナーな存在ではあるが、テクニックはしっかりしたものがあった。)

①「IBF World Minimumweight Title
Nkosinathi Joyi vs. Takayama Katsunari」
②「IBF World Minimumweight Title
Nkosinathi Joyi vs. Takayama Katsunari」
③「IBF World Minimumweight Title
Nkosinathi Joyi vs. Mario Rodriguez」
④「IBO Minimumweight Title
Hekkie Budler vs. Nkosinathi Joyi」

レネ・アルレドンド(Rene Arredondo)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

浜田剛史との二戦でおなじみのアルレドンド。リカルド・ロメリ戦、エフレン・オリボ戦、浜田剛史戦(再戦)を紹介します。

レネ・アルレドンド(Rene Arredondo)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

レネ・アルレドンド(メキシコ)
身長180cm:オーソドックス(右構え)

レネ・アルレドンド 2R KO リカルド・ロメリ
(J・ウェルター級戦、1984年)
アルレドンド:左ジャブ、右ストレート、左フック
ロメリ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:左アッパーでロメリがダウン
(感想:「兄弟ボクサー」のアルレドンド(兄リカルドはWBC世界J・ライト級王座を沼田義明から奪い、柴田国明に奪われた、日本でも馴染みの選手)。長身選手でデビュー以来、連勝を重ね、カリフォルニア州J・ウェルター級王座を獲得している。ロメリは負けの方が多い選手。ロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」で行われた試合。アルレドンドがゆっくりしたリズムで突き出すようにジャブ。さらにメキシカン特有のアッパー気味の左ロングフック。2R、いきなりの左アッパーでロメリからダウンを奪う。負傷したロメリはドクターストップ。アルレドンドはスピードはそれほど感じなかったが、長いリーチで意表を突くのが上手かった。)

レネ・アルレドンド 2R KO エフレン・オリボ
(J・ウェルター級戦、1984年)
アルレドンド:左ジャブ、右ストレート、左フック
オリボ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
4R:右ストレートでオリボがダウン
5R:右ストレートでオリボがダウン
(感想:オリボはテキサス州J・ウェルター級王座を獲得している選手。アルレドンドが長いジャブ、ストレート。オリボは接近できない。4R、右ストレートのカウンターでオリボがダウン。5R、右ストレートでオリボがヒザをつく。リズムに乗るアルレドンドが連打してレフェリーストップ。アルレドンドはスロースターター気味だが、勢いに乗ると長いパンチをビシビシ打ち込む。アルレドンドのような懐の広い選手と試合すると、自分のパンチは当たらないが逆に打たれる。打たれる方は心理的に追い込まれていくに違いない。この試合でのアルレドンドは右ストレートにキレがあった。)

レネ・アルレドンド 6R TKO 浜田剛史
(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1987年)
アルレドンド:左ジャブ、右ストレート、左フック
浜田:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:1986年にロニー・スミスを打ち下ろすような右ストレート一撃でKOしてWBC世界J・ウェルター級タイトルを獲得したアルレドンド。しかし初防衛戦で浜田に強烈なKO負け。王座奪回を目指すアルレドンドが再び日本へ。1Rから気合いが入った感じの両者。突進する浜田にアルレドンドは左フックで応戦。アルレドンドは長いジャブ・ストレートで距離を取り、フックで痛めつけ、懐に入れさせない作戦。浜田は前進するが打たれるばかり。3Rに出血した浜田。さらに連打を浴びて6Rにレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。前回と同じ手は食わなかったアルレドンド。浜田をよく研究したのだろう。しかしタイトルを取り戻したものの初防衛戦でロジャー・メイウェザーにKO負け。「アルレドンドは打たれ弱い」と言われるが、浜田もメイウェザーもパンチのある選手。KOされたからといって「弱い」とは言い切れない。アルレドンドの長いストレートとこすり上げるような左フックは世界王者にふさわしいレベルのもの。それだけに一度も防衛できず、王者として活躍できなかったのは残念。メイウェザー戦後は負けることが多くなっていったアルレドンド。ラストファイト(1997年)の相手はなんとカルロス・パロミノ(70年代に世界ウェルター級王者だった男)。しかも、1RでKO負け。浜田戦で全てのパワーを使い果たしてしまったのかもしれない。)

①「Super Lightweight
Rene Arredondo vs. Ricardo Lomeli」
②「Super Lightweight
Rene Arredondo vs. Efren Olivo」
③「WBC World Super Lightweight Title
Hamada Tsuyoshi vs. Rene Arredondo」

浜田剛史(Hamada Tsuyoshi)のページ
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ロジャー・メイウェザー(Roger Mayweather)のページ

2020年8月7日金曜日

金容江(キム・ヨンガン、Yong-Kang Kim)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBCとWBAの世界フライ級タイトルを獲得した、金容江。ソット・チタラダ戦(初戦)、レパード玉熊戦、ジョナサン・ペニャロサ戦を紹介します。

金容江(キム・ヨンガン、Yong-Kang Kim)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

金容江(韓国)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

金容江 12R 判定 ソット・チタラダ
(WBC世界フライ級タイトル戦、1988年)
金:左ジャブ、右ストレート、左フック
ソット:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:金がタイトル獲得。これまで全勝の金。韓国王座、東洋太平洋王座(いずれもJ・フライ級)を獲得している。階級を上げて、フライ級で世界初挑戦。王者ソットはタイの選手。ガブリエル・ベルナルを判定で下して以来、WBC世界フライ級王座を六度防衛。前回の防衛戦では日本で神代英明にTKO勝ちしている。韓国で行われた一戦。力を込めてジャブを打つソット。フットワークとジャブで打ち合わない金。4R、右ストレートでソットがダウン寸前。判定は3-0。時折、右をヒットさせて金が勝利。ダウンシーンは無し。逃げ回る金にうっかり油断してストレートを打たれてしまったソット。力み過ぎで空振りが多かった印象。ジャブをもっと多めに出していれば勝てたのでは?)

金容江 12R 判定 レパード玉熊
(WBC世界フライ級タイトル戦、1989年)
金:左ジャブ、右ストレート、左右フック
玉熊:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:金がタイトル防衛。挑戦者の玉熊。日本フライ級王座を獲得、防衛してきた。しかし、「パンチはあまり無い」という評価。日本で行われた一戦。金がフットワークとストレート。サウスポーの玉熊は細かいパンチで連打。判定は3-0。ダウンシーンは無し。強いて言えば金のストレートの方が若干パワーが上だった印象。12Rにマウスピースを落とした玉熊。レフェリーのリチャード・スティールが試合を止めてマウスピースを玉熊のセコンドに渡す。洗うこともなく、そのままマウスピースを玉熊の口に入れるセコンド。だったらレフェリーが入れてあげればよかったのでは? 後、玉熊はWBA世界フライ級タイトル獲得。)
           
金容江 6R KO ジョナサン・ペニャロサ
(WBA世界フライ級タイトル戦、1992年)
金:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ペニャロサ:右ジャブ、左ストレート、右フック
(ダウンシーン)
6R:右フック、右ストレートで2度、ペニャロサがダウン
(感想:金がタイトル防衛。タイで行われたソットとの再戦に敗れ、王座を失った金。タイに乗り込んでカオサイ・ギャラクシーのWBA世界J・バンタム級王座に挑戦してKO負け。終わったかに思われたが、エルビス・アルバレス(玉熊から王座を奪った男)に勝ってWBAタイトルを獲得。レオ・ガメスに勝利して、初防衛。二度目の相手は「ボクシング一家」のペニャロサ(兄ドディ・ボーイはIBFで世界二階級制覇。弟ジェリーも後に世界二階級制覇)。これまで無敗。シャープなパンチの持ち主で、WBCのインター王座(フライ級)を獲得、防衛してきた。韓国で行われた一戦。サウスポーのペニャロサが前進し、金が応戦。金はクリンチが多く、押され気味。5Rの終盤から連打を使う金。6R、バッティングで後退したペニャロサに連打してダウンを奪う。最後はキレイな右ストレートでKO。クリンチで相手の勢いを殺いでから、連打で攻めた金。なかなか老獪な試合運び。しかしKOのきっかけがバッティング、てのがスッキリしない。フィニッシュの右ストレートは実に見事だったが。6Rには金が滑って転ぶハプニングも。金は次の防衛戦でアキレス・グスマンに敗れ、王座陥落。二年のブランク後、いきなりWBA世界フライ級王者セーン・ソープロエンチットに挑戦。ダウンを奪ったのはさすがだったが、判定負け。それが最後の世界戦に。ガチャガチャした打ち方のうえ、パンチがあまり無かった金は韓国では人気が無かったという。個人的にはソットを初戦でダウン寸前に追い込んだシーンが印象に残っている。)

ペニャロサ一家
(フィリピンの有名なボクシング一家。ペニャロサ三兄弟の長男ドディ・ボーイ・ペニャロサはIBFで二階級制覇(J・フライ、フライ級)。ジョナサンは次男。三男のジェリー・ペニャロサも二階級制覇(J・バンタム、バンタム級)。父親のカール・ペニャロサもボクサー。)

ツニャカオ兄弟
(フィリピン。マルコム・ツニャカオはWBC世界フライ級タイトルを獲得。山中慎介のWBC世界バンタム級タイトルに挑戦したこともある。ノエル・ツニャカオはマルコムの兄。井岡弘樹のWBA世界J・フライ級タイトルに挑戦した選手。)

①「WBC World Flyweight Title
Sot Chitalada vs. Yong Kang Kim」
②「WBC World Flyweight Title
Kim Yong-kang vs. Leopard Tamakuma」
③「WBA World Flyweight Title
Kim Yong-kang vs. Jonathan Penalosa」

ソット・チタラダ(Sot Chitalada)のページ
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レパード玉熊(Leopard Tamakuma)のページ
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セーン・ソー・プルンチット(Saen Sor Ploenchit)のページ