2020年1月9日木曜日

トーマス・ハーンズ(Thomas "The Hit Man" Hearns)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

デトロイトの暗殺者、トーマス・ヒットマン・ハーンズ。ホセ・ピピノ・クエバス戦、ロベルト・デュラン戦、ファン・ドミンゴ・ロルダン戦を紹介します。

トーマス・ハーンズ(Thomas "The Hit Man" Hearns)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

トーマス・ハーンズ(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

トーマス・ハーンズ 2RKO ホセ・ピピノ・クエバス
(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1980年)
ハーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
クエバス:左ジャブ、左フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでクエバスがダウン
(感想:ハーンズがタイトル獲得。テネシー州出身のハーンズ。幼い頃から父親はいなかった。5歳の時にミシガン州デトロイトに移住。物静かな少年だったが、13歳で「クロンクジム」に入門。アマチュアでは155勝8敗だったが、RSC(KO)勝ちはわずか「12」。背は高いが、パワー無し。プロ入り後は一転してパワーアップし、「倒し屋」に。後の世界王者ブルース・カリー、元世界王者のセンサク・ムアンスリン、エディ・ガソらをKOし、「The Hitman」「Motor City Cobra」などと呼ばれるように。そしてこの世界初挑戦。王者クエバスはメキシカン。「アゴ割りパンチ」と呼ばれる強打で王座を11度防衛(日本で辻本章次をKOした星も)。デトロイトの「ジョールイスアリーナ」で行われた一戦。鋭い左ジャブ、右ストレートで前に出るハーンズ。相手の強打を警戒するクエバスはフットワークを使いながら左ジャブで応戦。クエバスは得意の左フックが空を切り、ハーンズのジャブ、ストレートのえじきに。2R、右ストレートが「ガツン」といった感じで入ってクエバスが前のめりにダウン。立ったが、セコンドがリングインして試合終了。ハーンズが圧勝で世界王者に。ハーンズはリーチが長すぎるため、ややぎこちないところもある選手だが、この試合ではパンチにキレがあった。クエバスは強い選手だが、惨敗。しかしながら、この日のハーンズのパンチのキレ・パワーからすると誰が相手であっても結果は同じだったような気がする(シュガー・レイ・レナードを除いて)。)

トーマス・ハーンズ 2RKO ロベルト・デュラン
(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1984年)
ハーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
デュラン:左ジャブ、左右フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレート、左フックでデュランがダウン
2R:右ストレートでデュランがダウン
(感想:ハーンズがタイトル防衛。レナードとの世界ウェルター級王座統一戦に敗れたハーンズ。本来ならレナードに報復したいところではあるが、レナードは網膜剥離で引退。階級を上げてウィルフレド・ベニテスを15R判定で下し、二階級制覇。右拳を痛めがちなハーンズは初防衛戦でルイジ・ミンキロをKOできず。やや強打が湿りがち。そしてこのデュランとの二度目の防衛戦。デュランは最も有名なパナマ人。これまで世界ライト、ウェルター、J・ミドル級王座を獲得しているが、直前の試合ではマービン・ハグラーの世界ミドル級王座に挑戦して判定負けしている。本来ならWBA王者デュランとのタイトル統一戦になるはずだったが、タイトル剥奪でハーンズのWBC王座のみが懸けられることに。ラスベガス「シーザースパレス」で行われた一戦。1R、ハーンズが鋭く、パワーもある速射砲のような左ジャブ、右ストレート。デュランはジャブで何とか応戦しようとするが、見えないほど速いパンチで二度ダウン。そして衝撃の2R。強烈な右ストレートでデュランが前のめりにダウン。顔面からキャンバスに叩きつけられたデュランは立てず。おそらくこの時期がハーンズが一番強かった時。あのタフなデュランが顔面から倒れる姿はかなりの衝撃。「ボクシングの怖さ」を物語るシーンだった。)

トーマス・ハーンズ 4RKO ファン・ドミンゴ・ロルダン
(WBC世界ミドル級王座決定戦、1987年)
ハーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
ロルダン:左右フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレートで2度、ロルダンがダウン
2R:左フックでロルダンがダウン
4R:右ストレートでロルダンがダウン
(感想:ハーンズが四階級制覇。マービン・ハグラーに挑戦して豪快にぶっ倒されてしまったハーンズ。階級を上げてデニス・アンドリュースからWBC世界L・ヘビー級王座を奪取、返上。そしてこのロルダン戦。WBC世界ミドル級王座はハグラーが持っていたもので、カムバックしたレナードがハグラーにまさかの判定勝ちで新王者に。ところが王座返上。空位になった王座の決定戦に出場することになったハーンズ。何となく「レナードのおさがり」みたいな感じもする王座であるが、ミドル級を制覇したいハーンズとしては是非とも勝ちたいところ。ロルダンはアルゼンチンの強打者。ガッチリした身体から繰り出すフックにパワーがあるタフ男。ハグラーに挑戦したときはKO負けだったが、ダウンを奪っている。ラスベガスで行われた一戦。ロルダンが左右フックで突進し、ハーンズがフットワークを使って左ジャブ、右ストレートで応戦。しかし、攻撃の正確さでハーンズ。1R、2Rにダウンを奪い、4R、右ストレートでロルダンを前のめりにダウンさせ、KO。四度ダウンを奪い4RでKO、四階級制覇。しかしながら、数字の上ではハーンズの圧勝だが、左フックでピンチになり、クリンチでその場をしのがねばならなくなる危険なシーンもあった。長いリーチでなんとか殴り倒して生き残ることができた、という印象。この後のハーンズはおなじみ。アイラン・バークレーに倒されて、王座陥落。新興団体WBOの世界S・ミドル級王座を獲得して五階級制覇。レナードと再戦、バージル・ヒルを破ってWBA世界L・ヘビー級王座獲得、など。「栄光の80年代」を代表する選手、ハーンズ。ハグラー、レナードに敗れたため、「二番手、三番手」みたいな印象もあるが、最も強かったJ・ミドル級時代ならレナードには勝っていただろう。)

①「WBA World Welterweight Title
Pipino Cuevas vs. Thomas Hearns」
②「WBC World Super Welterweight Title
Thomas Hearns vs. Roberto Duran」
③「WBC World Middleweight Title
Thomas Hearns vs. Juan Domingo Roldan」

ホセ・ピピノ・クエバス(José "Pipino" Cuevas)のページ
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ロベルト・デュラン(Roberto Durán)のページ
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ファン・ドミンゴ・ロルダン(Juan Domingo Roldan)のページ

2 件のコメント:

  1. ハーンズのウェルター級時代は凄まじかった。
    強豪クエバスに何もさせなく楽々と2RKO勝利。
    ゴング前、クエバスがハーンズを怖がっていたように感じた。
    規格外のサイズ、パンチ力、若さ。
    ウェルター級時代のハーンズに勝てるのは歴史上でもレナードしかいないのではと今でも思う位凄かった。

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    1. コメントありがとうございます。リーチの長い選手は打ち方がぎこちなかったりすることがよくありますが、ウェルター、J・ミドル級時代のハーンズは信じられないほどパンチにスピードとキレがありました。レナードとの初戦でも序盤は勝ってましたね。右拳を痛めることが多くなり、ハグラー戦で折ってしまってからは本来の「ヒットマン」らしい勝ち方ができなくなったのが残念でした。

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