サルバドル・サンチェス(メキシコ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)
①サルバドル・サンチェス 13R TKO ダニー・ロペス
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1980年)
サンチェス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ロペス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:サンチェスがタイトル獲得。「伝説の王者」サンチェス。医者になる夢を持っていたが、ボクシングの魅力に取り憑かれる。アマチュアではわずか4戦。16歳でプロに。これまで戦績は良好(負けと引き分けが一つずつ)。フェリックス・トリニダードの父にも勝利。王者ロペスは「リトルレッド」と呼ばれる選手で、先住民族の血を引く男。安定王者で、これまで八度防衛している。しかし、動き・パンチのキレでサンチェスが上回る。リズミカルな動きで、手数も多く、正確に当てていくサンチェス。攻めても逆に打たれるばかりのロペスは観ていて気の毒に思えたほど。ロペスはキズのチェックを受けるなどダメージがひどくなり、13R、サンチェスがラッシュしたところでレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。実力者ロペスが実力で敗北。サンチェスは変わった打ち方。しかし、効果的。彼にとってパンチとは「当たらなければ意味が無い」というものなのだろう。確実に当てる巧さがサンチェスの強さと個性であった。)
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1981年)
サンチェス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ゴメス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
1R:連打でゴメスがダウン
8R:連打でゴメスがダウン
(感想:サンチェスがタイトル防衛。ロペスとの再戦にも勝利するなど、防衛を続けるサンチェス。しかし、次の相手はこれまでの選手とは違う。プエルトリコの「KOキング」ゴメス。WBC世界J・フェザー級王者で、これまでの防衛戦は全てKO勝ち(結果的に17連続KO防衛)。「バズーカ」と形容されるパンチで、日本でも防衛に成功している(vs. ロイヤル小林)。ラスベガスで行われた伝説の試合。初回、サンチェスが速い連打。ゴメスは重そうなパンチを打つ。連打でゴメスがダウン。あのゴメスが足に来て、打たれっぱなしになる波瀾の幕開け。その後は、ゴメスが前に出て、サンチェスがカウンターを取る、というパターンの打ち合い。サンチェスも強打を喰うが、冷静な表情を保つ。顔の腫れが目立ってきたゴメスが8Rにロープ際で連打されてダウン。立ったがレフェリーは試合を止めた。サンチェスが圧勝したようなイメージで語られることもある試合だが、ゴメスの強打がヒットする場面も。打たれ強さの差で勝負がついた印象。)
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1982年)
サンチェス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ネルソン:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
7R:左フックでネルソンがダウン
15R:左フックでネルソンがダウン
(感想:サンチェスがタイトル防衛。ガーナのネルソン。これまで試合数は少ないが全勝。英連邦フェザー級タイトルを獲得している。実力と人気の王者サンチェスを相手にどんな動きを見せるか? ゴング前のコールに笑顔で応えるサンチェス。ネルソンは「エネルギーの塊」のように、振りの大きい豪快な左フックを中心に攻めの姿勢。サンチェスは冷静にジャブで相手を観察し、右ストレート、左フックで迎え撃つ。パンチの正確さでサンチェスが上回る。7R、ネルソンが左フックでグラつき、さらに左フックでダウン。ダウンしても勢いが止まらないネルソン。しかし、9Rの終わりにはコーナーを間違える(効いていたのか、単に間違えただけなのか)。最終15R、連打で足に来たネルソンが左フックでダウン。立ったが、連打でレフェリーストップ。ネルソンには「野生のパワー」があったが、サンチェスが正確な攻撃で勝利。そしてこれが最後の試合(ネルソンは後にウィルフレド・ゴメスをKOしてWBC世界フェザー級タイトル獲得)。サンチェスが事故で亡くなったのは残念だが、強豪をKOするなど、「一流選手であること」を証明したため、「彼が選手としてやり残したことは無い」と思いたい。ゴメス戦は大一番だったが、最後の相手が最強だったことから、今となってはこの試合の方が「伝説」という感じがする。)
Salvador Sánchez vs. Danny Lopez」
②「WBC World Featherweight Title
Salvador Sánchez vs. Wilfredo Gómez」
③「WBC World Featherweight Title
Salvador Sánchez vs. Azumah Nelson」
サンチェスVSペドロサ見てみたった。
返信削除コメントありがとうございます。ボクシングの団体は大昔から分裂する傾向にありました。WBAとWBCの分裂、そしてIBF、WBOの設立。同じ時代、同じ階級にいながら対戦が実現しない、ということも珍しくなくなりました(「ジェフ・チャンドラーvs.ルペ・ピントール」「カオサイ・ギャラクシーvs.ヒルベルト・ローマン」など)。「サルバドル・サンチェスvs.エウセビオ・ペドロサ」もその一つになってしまいました。強い者同士の試合はそう簡単に決着がつくものではない、と個人的には思いますが、もし戦っていたらサンチェスが押し気味の内容で勝利していたのではないかと。長いリーチを持つ選手は接近戦でのショートパンチに弱い傾向があります。ペドロサは腕が長いためローブローになることも多かった。レフェリーが反則に厳しい人だったらますますペドロサは追い込まれていくでしょうね。あれこれ予想するのはやっぱりむなしいもの。実現して欲しかったですね。
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