英国ミドル級。ニコラ・シレリ戦、ドワイト・デイビソン戦、マービン・ハグラー戦、ドン・リー戦を紹介します。
トニー・シブソン(イギリス)
身長173cm:オーソドックス(右構え)
①トニー・シブソン 10R KO ニコラ・シレリ
(欧州ミドル級タイトル戦、1981年)
シブソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
シレリ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
9R:左フックでシレリがダウン
10R:連打でシレリがダウン
(感想:シブソンがタイトル防衛。英国のシブソンはガッチリした体型の白人。これまで英国王座、英連邦王座、欧州王座(全てミドル級)を獲得しており、直前の試合では前世界ミドル級王者アラン・ミンターに勝利している。シレリはイタリアの選手。イタリア・ミドル級王座を獲得しているが、これまでの試合は全て地元。英国「ウェンブリー・アリーナ」で行われた一戦。バランスの良い打ち方でジャブを飛ばし、パワーを込めた左フックを打つシブソン。挑戦者シレリは左を器用に使い、伸びるストレート。パワーのシブソン、テクニックのシレリ、といった展開。9R、10Rにシレリがダウンで終了。最後のダウンはコーナーに追い込んでのパワフルな連打によるものだった。シレリは負けたがメキシカンのような左の使い方がなかなか良かった。しかしその後、イタリア王座戦(ライトヘビー級)に敗北。イタリアの実力者にとどまった。)
②トニー・シブソン 12R 判定 ドワイト・デイビソン
(世界ミドル級王座挑戦者決定戦、1982年)
シブソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
デイビソン:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:シブソンが挑戦権獲得。シレリ戦の次の試合はマービン・ハグラーの世界ミドル級王座への挑戦権を争う重要な一戦。デイビソンも世界を目指すホープ。ミシガン州デトロイト出身の黒人で、ニックネームは「Dynamite」(爆発的な攻撃をするのだろう)。マレイ・サザーランド(後の世界王者)、シュガー・レイ・シールズらを相手にデビューから連勝。判定で初黒星。実力者ウィルフォード・サイピオンに勝利して、このシブソン戦。英国バーミンガムでの一戦。身長差。ゴング前、両者リング中央へ。背が高いデイビソンがシブソンを見下すような表情をして少しトラブル(レフェリーから警告)。ファイターのシブソン。ジャブ、ストレート、フックで攻めの姿勢。アップライトスタイルのデイビソンは残念な試合ぶり。パワーの乗らないジャブ、ワンツー、不正確な左フック。攻めるシブソンも残念。パワフルなパンチを振るうが、クリンチされてしまう。10R、斜め下からの左フックをヒットさせたデイビソン。12Rには激しく連打(なぜそれを1Rからやらない?)。12R終了。判定は大差の3-0(ダウンシーンは無し)。シブソンが攻勢点で勝利。ただ、粗い攻めで、ダウンを奪えず。デイビソンは魅力のないボクシング。最終ラウンドに爆発力を見せたが、それ以外はまるでヤル気がないかのような試合ぶり。基本的な戦い方からしてとてもハグラーに挑戦する資格があるとは思えない選手。その後、デイビソンは後の世界王者リンデル・ホームズに勝利したが、試合間隔が長めに。三連敗後、ミシガン州王座を獲得できたが、北米王座は獲れず(いずれもミドル級)。ラストファイトは一度きりのカムバック戦。IBOスーパーミドル級王座決定戦で、判定負けだった(1996年)。)
③マービン・ハグラー 6R KO トニー・シブソン
(世界ミドル級タイトル戦、1983年)
シブソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ハグラー:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
6R:左フック、右ストレートで2度、シブソンがダウン
(感想:ハグラーがタイトル防衛。世界ランク1位のシブソンがアメリカで初の世界挑戦。ハグラーは「マーベラス(驚くべき)」な王者。これが六度目の防衛戦。マサチューセッツ州ウースターでの一戦(レフェリーはカルロス・パディーリャ)。フットワークを使いながら強いジャブでシブソンを痛めつけるハグラー。シブソンはフックで攻撃するが、ディフェンスされてしまう。5R終了後にハプニング。ゴング後にシブソンに打たれてハグラーは怒りの表情。6R、シブソンが二度のダウン。タフなシブソンは立ったが、キズとダメージの深さによりレフェリーは試合を止めた。シブソンはパワーを込めて攻めたが、ハグラーにディフェンスされ、打ちのめされてしまった。ハグラーは世界タイトル戦が15R制だった時代に王者になった選手。強いジャブで確実に相手を痛めつけてから攻めるパターン。パワー、タフネスだけではなく、試合運びも上手かった。その後も王座を防衛し、トーマス・ハーンズらとビッグマッチを行った。)
④ドン・リー 8R KO トニー・シブソン
(ミドル級戦、1984年)
シブソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
リー:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:左ジャブでリーがダウン
3R:左フック、左フック、左フックで3度、シブソンがダウン
8R:左ジャブでリーがダウン。左ストレートでシブソンがダウン。
(感想:ハグラー戦後、再起二連勝のシブソン。リーはインディアナ州ゲーリー出身の黒人サウスポー。「デンジャラス」と呼ばれ、世界を目指す実力がある。アトランチックシティでの試合。1R、シャープなジャブを打つリー。スイッチヒッターでもあり、左右の構えをよく変える。ジャブがカウンターとなってリーがダウン。その後、得意のジャブで攻めるシブソンだが、3RにKO負け寸前に。8Rのダウン応酬。しかしリーのダウンはタイミングによるもので、ダメージはシブソンの方が大きい。最後、タフなシブソンはダウンから立ったがストップされた。激戦を制したリー。キレのあるジャブを使うボクサータイプで、あまり「デンジャラス」なイメージは感じなかったが、ダウンを奪ったパンチは「デンジャラス」だった。その後の二人。リーはマイケル・オラジデ、マイケル・ワトソン、ジェフ・ハーディングに敗北したが、北米スーパーミドル級王座獲得。シブソンはヨーロッパの実力者として活躍したが、デニス・アンドリュースのWBC世界L・ヘビー級王座、フランク・テートのIBF世界ミドル級王座に挑戦してKO負け。結局、世界王者になれなかったが、世界レベルのジャブ・左フックを持つバランスの良い選手だった。)
①「EBU Middleweight Title
Tony Sibson vs. Nicola Cirelli」
②「Eliminator for World Middleweight Title
Tony Sibson vs. Dwight Davison」
③「World Middleweight Title
Marvin Hagler vs. Tony Sibson」
④「Middleweight
Tony Sibson vs. Don Lee」
マービン・ハグラー(Marvelous Marvin Hagler)のページ
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