IBF世界ライト級王者。ハリー・アローヨ戦、ロビン・ブレイク戦、トッド・フォスター戦ほかを紹介します。
ジミー・ポール(アメリカ)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①ジミー・ポール 6R KO アルビン・ヘイズ
(IBF世界ライト級タイトル戦、1984年)
ポール:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ヘイズ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
6R:ワンツーでヘイズがダウン
(感想:ポールがタイトル初防衛。ミシガン州デトロイト出身の黒人ポールは「クロンクジム」所属。マクローリー兄弟が近所に住んでいたということもあってボクシングには縁があったようだ(ポールの兄もプロボクサー)。アマチュアからプロ入り。連戦連勝で強打者アンディ・ガニガンを決定戦でTKOして全米ライト級王座を獲得。その次の試合で実力者ダリル・タイソンに判定負けで初黒星。これまで23勝(19KO)1敗。全米ランク2位のヘイズもデトロイトの黒人。ライト級ながら身長が185cmもある。1981年のデビュー以来、22連勝(19KO)。ブレット・ラリー(後、世界挑戦)、ベテランのエドウィン・ビルエト(世界挑戦経験者)らに勝利。ミシガン州王座(J・ウェルター級)も獲得している。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(リングアナはチャック・ハル、レフェリーはリチャード・スティール。会場ではラリー・ホームズ、マジック・ジョンソン、リチャード・プライアーらが観戦。メインは「トーマス・ハーンズ vs. ロベルト・デュラン」のWBC世界J・ミドル級王座戦。タフなデュランを完全に粉砕し、ハーンズのベスト・パフォーマンスとなった)。リング入場の両者(共に24歳の若さ)。金色トランクスのポール。ヘイズは何とも陽気な男で、仮面舞踏会のようなアイマスク&ピンクの派手なトランクス。ゴング前に華麗なダンスを披露。しかし、ポールはヘイズのパフォーマンスを完全無視。ゴング。共にスラリとした体型。ややアップライトな姿勢でジャブ、ストレート。まるでウェルター級時代のハーンズのようなヘイズは長いパンチ、左ロングフックを武器とするが、パワーがあるのはポールの方。ただ、ポールは一発一発にパワーを込めるため、流れるような攻めができない欠点。6R、左右フックでヘイズを追うポール。コーナー付近でのワンツーでヘイズがダウン。「ぐしゃり!」といった感じで潰れるようにダウンしたヘイズは失神KO。ポールが衝撃的な勝利。試合運びに難があるが、恐ろしいパワーを発揮。ヘイズは背が高すぎるのだろう。長い右ストレート、左ボディ打ちを打っていたが、パワーはもう一つだった。その後のヘイズ。再起戦にTKO負け。中堅相手に連勝したが、またしてもTKO負け。結局、ポール戦が最後の王座戦に。2003年にカムバックして二勝したが、2004年に45歳で死去。薬物の過剰摂取が原因とか。「明るい男」にふさわしくない最期だった。)
②ジミー・ポール 15R 判定 ハリー・アローヨ
(IBF世界ライト級タイトル戦、1985年)
ポール:左ジャブ、右ストレート、左フック
アローヨ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:右ストレートでアローヨがダウン
10R:連打でアローヨがダウン
13R:右ストレート、連打でアローヨがダウン
(感想:ポールがタイトル獲得。世界挑戦のチャンスを得たポール。王者アローヨはオハイオ州ヤングスタウンの選手で、コチラもまたスラリとした体型(キレイなジャブ、ストレートを打つボクサータイプ)。デビューから全勝で、直前の防衛戦はテレンス・アリにTKO勝ち。これが三度目の防衛戦。アトランチックシティでの一戦(レフェリーはラリー・ハザード)。互いにジャブ。ポールのジャブはよく伸びるうえにパワーもある。アローヨのパンチは良く言えば「速い」、悪く言えば「軽い」といった感じ。3Rのダウンはアローヨのジャブに対してポールの右ストレートがクロス気味にヒットしたもの。アローヨが左フックを決めるシーンもあったが(9Rなど)、時折ヒットするポールの強い右ストレートが印象的。アローヨは10R、13Rにもダウンを追加。判定は3-0。正統派でパワーの乗ったジャブ、ストレート、フックを打つポール。彼の打ち方はボクサーを目指す者には良いお手本になるだろう。その後のアローヨ。多くの試合。しかし、ビニー・パジェンザ、ロレト・ガルサらに敗北。世界王座に返り咲くことはなかった。)
③ジミー・ポール 14R TKO ロビン・ブレイク
(IBF世界ライト級タイトル戦、1985年)
ポール:左ジャブ、右ストレート、左フック
ブレイク:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
9R:右フックでブレイクがダウン
12R:左フックでブレイクがダウン
(感想:ポールがタイトル初防衛。挑戦者ブレイクはテキサス州ラボック出身の白人サウスポー。強打者プリモ・ラモス、トニー・バルタザーに勝利したが、テクニシャンタイプのタイロン・クローリー、ハリー・アローヨに二連敗。そこから連勝で、初の世界王座戦。ラスベガスでの一戦。ブレイクは「サウスポーのやりにくさ」を利用してポイントを取ろうとするタイプ。「一発のパワー」はそれほどない印象。ポールのよく伸びるジャブがヒット。5Rに右フックを決めたりするなどそれなりにパワーがあることを見せたブレイクだが、9R、12Rにダウン。14R、強い連打を食ってブレイクが横を向いたのを見てレフェリーは試合を止めた。ポールの安定した強さが目立った内容。ブレイクの連打は力強かったが、持続しなかった。もっとスタミナがあれば勝てたかも。その後のブレイク。メルドリック・テーラー、ハロルド・ブレージャーらに敗れ、二度目の世界挑戦は無かった。)
④ジミー・ポール 7R TKO トッド・フォスター
(J・ウェルター級戦、1992年)
ポール:左ジャブ、右ストレート、左フック
フォスター:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
4R:ワンツーでフォスターがダウン
6R:左フックでフォスターがダウン
(感想:ブレイク戦後のポール。後のIBF世界ライト級王者フレディ・ペンドルトンにノンタイトル戦で判定勝ち後、ダリル・タイソンに判定で雪辱してIBF王座防衛。しかし、グレグ・ホーゲンに15R判定負けでIBF世界ライト級王座陥落。さらに二連敗(すっかり自信を無くしてしまったか?)。ブランク後、カムバック。売り出し中の若手有望株フォスターと試合。フォスターはモンタナ州の白人。これまで全勝だが、ローカルな試合が多い。直前の試合はマウリシオ・アセベス(元WBO世界ライト級王者)にTKO勝ち。アトランチックシティでの一戦(トーマス・ハーンズがリングサイドで観戦)。ジャブの打ち合い。しかしながら、ポールのジャブの方がパワーがある。フォスターはジャブを連射するなど手数が多く、悪い選手ではないが、4Rに絵に描いたようなワンツーでダウン。ポールは強烈な左のボディ打ちも披露。6R、タイミングのいい左フックでフォスターがダウン。結局、フォスターはジャブを打たれて右のまぶたから出血するなど散々な目に遭い、7Rに連打されたところで自らギブアップ。若手を粉砕したポール。全盛を過ぎても強く、日本にはいないタイプの優秀な選手。「これが世界のトップレベル」といった感じのハードパンチャー。その後の二人。フォスターは多くの試合を行ったが、ローカルファイトが中心だった。ポールは強打者カルロス・ゴンザレスとのWBO世界J・ウェルター級王座戦であっけなくKO負け。もう少し柔軟な動きができる選手であれば、といったところ。)
①「USBA Lightweight Title
Jimmy Paul vs. Alvin Hayes」
②「IBF World Lightweight Title
Harry Arroyo vs. Jimmy Paul」
③「IBF World Lightweight Title
Jimmy Paul vs. Robin Blake」
④「Super Lightweight
Jimmy Paul vs. Todd Foster」
ハリー・アローヨ(Harry Arroyo)のページ
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グレグ・ホーゲン(Greg Haugen)②のページ
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カルロス・ゴンザレス(Carlos "Bolillo" Gonzalez)のページ
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