2020年12月30日水曜日

ゲンナジー・ゴロフキン(Gennady Golovkin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

パウンド・フォー・パウンド(PFP)1位。万能型の世界ミドル級王者。淵上誠戦、デイビッド・レミュー戦、サウル・アルバレス戦(初戦)を紹介します。

ゲンナジー・ゴロフキン(Gennady Golovkin)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]
              

ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)

身長179cm:オーソドックス(右構え)

ゲンナジー・ゴロフキン 3R TKO 淵上誠

(WBA世界ミドル級タイトル戦、2012年)

ゴロフキン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

淵上:右ジャブと左ストレート

(ダウンシーン)

2R:右フックで淵上がダウン

3R:右ストレートで淵上がダウン

(感想:ゴロフキンがタイトル防衛。「GGG(トリプルG)」「God of war(闘神)」などと呼ばれるゴロフキン。カザフスタン出身。14歳でボクシングを始める。アマチュアで優秀な成績。2003年の世界ボクシング選手権で優勝、2004年アテネ・オリンピックでは銀メダル(いずれもミドル級)。ドイツのプロモーターと契約し、プロ転向。デビュー以来、全勝でWBA世界ミドル級暫定王座を決定戦で獲得。正規王者に昇格。これが四度目の防衛戦で、これまで22戦全勝(22KO)。武器は右ストレート。挑戦者の淵上は日本ミドル級王座、東洋太平洋ミドル級王座を獲得しているサウスポー。評価の高い王者に「アジア代表」としてウクライナで挑戦。ジャブで距離を取ろうとする淵上だが、2R、3Rにダウン。最後は連打でストップ。得意の右を連発してゴロフキンが楽勝。パワー、ディフェンスに差があった。)


ゲンナジー・ゴロフキン 8R TKO デイビッド・レミュー

(世界ミドル級統一戦、2015年)

ゴロフキン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

レミュー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

5R:左ボディフックでレミューがダウン

(感想:ゴロフキンがタイトル統一。WBAに加えWBC暫定王座も獲得したゴロフキン。「マジソン・スクエア・ガーデン」でIBF王者レミューと統一戦。共にジャブ・ストレート。ジャブで圧力をかけるゴロフキン。打ち返すレミュー。5Rのダウン。8R、打たれ続けたレミューが「ガクッ」となったところでレフェリーストップ。パンチの正確さとディフェンスに差があった。ゴロフキンは「倒し屋」というより、ジャブをキッチリ当てて連打で追い込むタイプ。構え方はオスカー・デ・ラ・ホーヤ、左のボディ打ちが巧いところなどはフリオ・セサール・チャベスに似ている。レミューの思い切りのいい右ストレートと左フックも悪くはなかったが、ディフェンスされてしまった。)


ゲンナジー・ゴロフキン 12R 引分 サウル・アルバレス

(世界ミドル級タイトル戦、2017年)

ゴロフキン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

アルバレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ゴロフキンがタイトル防衛。注目の大一番。これまで37戦全勝(33KO)のゴロフキンはWBA・WBC・IBF世界ミドル級統一王者(WBC暫定王座は正規王座に昇格)。アルバレスは49勝(34KO)1敗1分のメキシカンで、WBA・WBC世界スーパーウェルター級王座、WBC世界ミドル級王座を獲得している二階級制覇王者。共にディフェンスが上手く、ジャブ・ストレートを得意とする似たタイプ。前に出るゴロフキン。下がりながらも強いパンチを当てるアルバレス。判定はドロー。攻める姿勢ではゴロフキンだったが、アルバレスも強い右フックをヒットさせるなど(9R)、互いに譲らなかった。ダウンシーンは無し。再戦ではアルバレスが勝利し、WBA・WBC王者に(アルバレスとの初戦後、ゴロフキンは指名試合を行わなかったことによりIBF王座を剥奪された)。この二試合を観た感じでは二人には大きな力の差はない印象。後、ゴロフキンはIBF王座を奪回。IBF王者としてWBA王者の村田諒太と王座統一戦を行いTKO勝ち。しかし、アルバレスとの第三戦に敗れて、結局、アルバレスとは2敗1分。ゴロフキンはほぼ完璧な選手だが、上には上がある。フロイド・メイウェザー・ジュニアはアルバレスに勝利したことがある。「メイウェザーが最強」が結論?)

①「WBA World Middleweight Title

Gennady Golovkin vs. Fuchigami Makoto」

②「World Middleweight Title

Gennady Golovkin vs. David Lemieux」

③「World Middleweight Title

Gennady Golovkin vs. Saul Alvarez」

村田諒太(Murata Ryota)のページ

ハロルド・ブレージャー(Harold Brazier)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

100戦を超えるキャリア。J・ウェルター級のブレージャー。ブライアン・バロネット戦(再戦)、ロジャー・メイウェザー戦、パーネル・ウィテカー戦を紹介します。

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ハロルド・ブレージャー(アメリカ)

身長175cm:オーソドックス(右構え)

ハロルド・ブレージャー 10R KO ブライアン・バロネット

(北米J・ウェルター級王座決定戦、1986年)

ブレージャー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

バロネット:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

10R:右ストレートでバロネットがダウン

(感想:ブレージャーがタイトル獲得。インディアナ州出身のブレージャー。元々は空手をやっていたという。ボクシングを始めたのは24歳の時。アマチュアからプロへ。経験を積むため、積極的に試合に出場(ロイド・ハニガン、メルドリック・テーラーに判定負け)。自動車修理工でもあり、試合と仕事で大忙し。これまで37勝(25KO)7敗1分。速いジャブと右ストレートを武器とするボクサータイプ。バロネットは32勝(18KO)2敗で、南アフリカの白人選手。地元を中心に試合をし、ローカルタイトルを獲得している。これは再戦(初戦はバロネットの判定勝ち)。試合地はアトランチックシティ。共にスピードのあるジャブとストレートを基本として、フックでボディ攻撃。接近戦が続く。10R、連打からの右ストレートでバロネットがダウン、KO。パンチのキレと勢いでブレージャーが上だった印象。両者とも手数が多く、バランスも良く、強いパンチを当てていこうとする姿勢だったため好試合となった。)


ロジャー・メイウェザー 12R 判定 ハロルド・ブレージャー

(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1988年)

ブレージャー:左ジャブ、右ストレート、左フック

メイウェザー:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:メイウェザーがタイトル防衛。バロネット戦後、北米王座を守り続けて連勝中のブレージャーがラスベガスで初の世界挑戦。二階級制覇王者メイウェザーは長いジャブ、ストレートが武器。ジャブが得意な者同士の注目の一戦。パワーを込めたジャブを打つメイウェザー。ブレージャーは速さで勝負。打たれ弱さがあるため慎重にディフェンスしながらジャブを当てるメイウェザー。ブレージャーが終盤にチャンスをつかむ。9Rに連打でメイウェザーを追い込む。ややメイウェザーに劣勢な流れで12R終了。判定は2-1。ダウンシーンは無し。メイウェザーが前半のポイントで逃げ切った印象。ブレージャーは勝てるだけのパンチを持っていながら負けた。メイウェザーはパンチはあるが打たれ強くない。ブレージャーは相手に合わせるのではなく、もっと強引に攻めてもよかったのでは?) 


パーネル・ウィテカー 10R 判定 ハロルド・ブレージャー

(J・ウェルター級戦、1992年)

ブレージャー:左ジャブ、右ストレート、左フック

ウィテカー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:イタリアでファン・マルチン・コッジのWBA世界J・ウェルター級王座に挑戦して判定負けしたブレージャー。リビングストン・ブランブルに敗北し、北米王座陥落。その後はIBFのインター王座を獲得、防衛するなど再び連勝中。そしてこのウィテカー戦。ウィテカーはサウスポーで、統一世界ライト級王者(この後、王座を返上し、ラファエル・ピネダのIBF世界J・ウェルター級王座に挑戦、勝利)。フィラデルフィアで行われたノンタイトル戦。ウィテカーがジャブ、ストレート、左右フックでボディ打ち。WBA4位、IBF8位のブレージャーは世界ランクには入ってはいるが、年齢的な問題と多くの試合をこなしてきたことで、さすがにパンチのキレが落ちている状態。そのため、攻めてもブロックされたり、かわされたり。ウィテカーが時折強いパンチを入れながら、全体的に軽い連打でまとめる。判定は3-0。ダウンシーンは無し。「パンチのキレ」という点ではやはりブレージャーはメイウェザーに負けたのがもったいなかった(もう少しで世界王者になれた。優秀な選手だったが、「世界を獲る」にはリスクを取ることも必要)。ブレージャーはその後も精力的にリングに上がり、全米ウェルター級タイトルを獲得するなど、100戦を超えるキャリアとなった。)

①「vacant NABF Super Lightweight Title

Harold Brazier vs. Brian Baronet」

②「WBC World Super Lightweight Title

Roger Mayweather vs. Harold Brazier」

③「Super Lightweight 

Pernell Whitaker vs. Harold Brazier」

ロジャー・メイウェザー(Roger Mayweather)のページ

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パーネル・ウィテカー(Pernell "Sweet Pea" Whitaker)のページ

2020年12月25日金曜日

アンドリュー・メイナード(Andrew Maynard)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

オリンピック金メダリストのL・ヘビー級、メイナード。マシュー・サアド・ムハマド戦、アナクレット・ワンバ戦、トーマス・ハーンズ戦を紹介します。

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アンドリュー・メイナード(アメリカ)

身長185cm:オーソドックス(右構え)

アンドリュー・メイナード 3R TKO マシュー・サアド・ムハマド

(L・ヘビー級戦、1991年)

メイナード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ムハマド:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:コロラド州出身のメイナード。少年時代はバスケットボールをやっていたが、陸軍に入隊し、そこでボクシングを始める。アマチュアでは手数を多く出すスタイル。1988年、ソウルオリンピックに出場し、L・ヘビー級で金メダル。プロ入り後はシュガー・レイ・レナードのボクシングチームに加入。長いリーチから繰り出す左ジャブからの右ストレートが武器。元IBF王者ボビー・チェズには負けたものの、この試合の時点では北米タイトルを保有。ムハマドは「古豪」という表現が似合う「激闘王」。マービン・ジョンソンに勝ってWBC世界L・ヘビー級王座を獲得したのが1979年であるから「昔の選手」というイメージ。1Rから振りの大きいフックで打ち合い。3R開始早々、メイナードの連打でレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。やっぱり無理があったムハマド。これまで激しすぎる試合ばかりやってきており、ダメージもかなりある。本人は「大丈夫です」みたいなことを言っていたらしいが、次の試合でもKO負けして引退。)  


アナクレット・ワンバ 12R 判定 アンドリュー・メイナード

(WBC世界クルーザー級タイトル戦、1992年)

メイナード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ワンバ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでメイナードがダウン

(感想:ワンバがタイトル防衛。フランク・テートに負けて北米L・ヘビー級タイトルを失ったメイナード。階級を上げてワンバに挑戦。王者ワンバはコンゴ出身であるが、現在はフランス国籍。反則負けで王座を取り損なったこともあったが、王座獲得。背が高く、アップライトな姿勢から繰り出す強打が武器。パリで行われた一戦。1R、右ストレートでメイナードがいきなりダウン。その後、ワンバはガードしながらジャブ、右ストレート、メイナードはジャブ、フック連打。振りの大きいパンチをブロックされてしまうメイナード。9Rにはメイナードの左フックがヒットするシーンもあったが、判定は3-0。ワンバは世界王者としては地味な存在ではあったが、ディフェンスなどの基本がしっかりできている良いボクサー。この試合でも左フックのボディ打ちに巧さがあった。メイナードは攻めるときは振りが大きいため豪快さがあるが、打たれると弱いところを見せた。)


トーマス・ハーンズ 1R KO アンドリュー・メイナード

(クルーザー級戦、1993年)

メイナード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ハーンズ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右フックでメイナードがダウン

(感想:ラスベガス「シーザース・パレス」でメイナードが「ヒットマン」ハーンズと対戦。ハーンズは説明不要の名ボクサー。豪快に相手をKOしたこともあれば、思いっ切り倒されてしまったことも。アイラン・バークレーに負けてWBA世界L・ヘビー級王座を失ったハーンズ。この試合はその再起戦。1R、左ジャブが(L・ヘビー級にしては)速いハーンズ。右ストレートでグラつくメイナード。最後は叩きつけるようなハーンズの右フックでメイナードがダウン。ほとんど何もできずにアッサリ負けたメイナード。ゴング前は笑顔を見せていたが・・・。ハーンズ戦後も負けが多かったメイナード。世界王者になることもなく引退。金メダリストにしては残念なキャリア。プロよりもアマチュアの方が合うタイプの選手もいるため、プロで世界王座を獲れなかったからダメな選手というわけではないが、メイナードは自身のプロでのキャリアをどう思っているのだろう?)

①「Light Heavyweight 

Matthew Saad Muhammad vs. Andrew Maynard」

②「WBC World Cruiserweight Title

Anaclet Wamba vs. Andrew Maynard」

③「Light Heavyweight 

Thomas "Hitman" Hearns vs. Andrew Maynard」

マシュー・サアド・ムハマド(Matthew Saad Muhammad)のページ

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アナクレト・ワンバ(Anaclet Wamba)のページ

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トーマス・ハーンズ(Thomas "The Hit Man" Hearns)のページ 

ロナルド・ライト(Ronald "Winky" Wright)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

サウスポーの世界J・ミドル級王者、ライト。ブロンコ・マッカート戦(初戦)、ロバート・フレージャー戦、シェーン・モズリー戦(初戦)を紹介します。

ロナルド・ライト(Ronald "Winky" Wright)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ロナルド・ライト(アメリカ)

身長179cm:サウスポー

ロナルド・ライト 12R 判定 ブロンコ・マッカート

(WBO世界J・ミドル級タイトル戦、1996年)

ライト:右ジャブ、左ストレート、左右フック

マッカート:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:ライトがタイトル獲得。ワシントンD.C.出身のライト。ニックネームは「Winky」(彼が産まれたばかりの頃に祖母が付けたらしい。どういう意味なのだろう? ウインクが似合う子だったのだろうか?)。フロリダ州でプロデビュー。以来、全勝でフリオ・セサール・バスケスのWBA世界J・ミドル級王座に挑戦。これに判定負けして初黒星。その後、北米J・ミドル級王座を獲得、防衛。そして、バスケスに敗れて以来、二回目の世界挑戦。王者マッカートは決定戦で王座を獲得し、これが初防衛戦。王者の地元ミシガン州で行われたサウスポー同士の対戦。共に速いジャブ連打からの左ストレートを基本とする似たタイプ。より積極的に先手を取るライト。判定は2-1。ダウンシーンは無し。元々サウスポーはディフェンシブなスタイル。ライトは倒しに行くのではなく連打でポイントを取ってディフェンスする典型的なサウスポー。エキサイティングな試合とは言いがたい内容だったような気もするが、手数が多く、観客は沸いていた。)


ロナルド・ライト 12R 判定 ロバート・フレージャー

(IBF世界J・ミドル級王座決定戦、2001年)

ライト:右ジャブ、左ストレート、左右フック

フレージャー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:左フックでフレージャーがダウン

(感想:ライトがIBFタイトル獲得。WBO王座を三度防衛後に失ったライト。フェルナンド・バルガスのIBF世界スーパーウェルター級王座に挑戦したが判定負け。ブロンコ・マッカートと北米王座、全米王座を懸けて再戦し、勝利。そして、空位となったIBF世界スーパーウェルター級王座の決定戦に出場。フレージャーはWBFのウェルター級王座に挑戦して負けたことがある選手。このところ連勝中ではあるが、戦績からすると中堅どころといった印象(あのジョー・フレージャーと関係があるのかは不明)。TV実況席でWBC世界ウェルター級王者シェーン・モズリーが観戦する中、ゴング。速いジャブ・連打を使うフレージャーだが、1Rにタイミングのいいパンチでダウン。ジャブ・ストレート・右フックのボディ打ちでポイントを取っていくライト。フレージャーは回転の速い連打を打つがライトにディフェンスされてしまう。判定は3-0。フレージャーはスピードがあって活きのいい選手ではあったが、経験豊富なライトを脅かすほどのパワーは感じられなかった。)


ロナルド・ライト 12R 判定 シェーン・モズリー

(WBA・WBC・IBF世界J・ミドル級王座統一戦、2004年)

ライト:右ジャブ、左ストレート、左右フック

モズリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ライトが王座統一。IBF王座を四度したライトがネバダ州で大きな試合に出場。相手はオスカー・デラ・ホーヤを破ってWBA・WBC世界J・ミドル級王者になったモズリー。これまで39勝(35KO)2敗のハードパンチャー。モズリーが右ストレートと左右フックでボディ攻撃。ライトはブロック、ジャブ・ストレート。ライトにブロックされて思うようにパンチを当てられないモズリー。判定は3-0。ダウンシーンは無し。ライトの手数が評価されたか。ライトはパンチが速くディフェンスもできるが、それがパワフルなモズリーに通用するか? が試合の注目ポイントだったが通用した。会場ではシュガー・レイ・レナード、フェリックス・トリニダード、バリー・ボンズ、シルベスター・スタローンが観戦。大物たちの前で強豪に勝ったライトは大満足だったに違いない。再戦(ダイレクト・リマッチ)もライトが勝利。その後、フェリックス・トリニダード、アイク・クォーティに勝利したが、ジャーメイン・テイラーの世界ミドル級王座への挑戦は引き分けに終わり、二階級制覇ならず。それが最後の世界戦に。パワーはそれほどでもなかったが、大きな試合にも勝利して地元では人気だったライト。2017年、「国際ボクシング殿堂」メンバー入り。)

①「WBO World Super Welterweight Title

Bronco McKart vs. Ronald Wright」

②「vacant IBF World Super Welterweight Title

Ronald Wright vs. Robert Frazier」

③「WBA・WBC・IBF World Super Welterweight Title

Ronald Wright vs. Shane Mosley」

シェーン・モズリー(Shane Mosley)のページ

2020年12月23日水曜日

ビト・アンツォフェルモ(Vito Antuofermo)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

イタリア出身。傷だらけの世界ミドル級王者。ウーゴ・コーロ戦、マービン・ハグラー戦(初戦・再戦)を紹介します。

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ビト・アンツォフェルモ(イタリア)

身長171cm:オーソドックス(右構え)

ビト・アンツォフェルモ 15R 判定 ウーゴ・コーロ

(世界ミドル級タイトル戦、1979年)

アンツォフェルモ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

コーロ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:アンツォフェルモがタイトル獲得。イタリア生まれのアンツォフェルモ。17歳の時に家族と共にニューヨークに移住。そこで生きるにはタフネスが必要と考え、ボクシングを始める。アマチュアの大会で優勝したことも。プロデビュー以来、連戦連勝だったがキズによるTKO負けで初黒星(負傷しやすい体質?)。欧州J・ミドル級王座を獲得したが、モーリス・ホープに敗北、王座陥落。(ホープは後、WBC世界J・ミドル級王者に)。その後はベニー・ブリスコらを破るなど連勝中。王者コーロはアルゼンチンの選手。ロドリゴ・バルデス(カルロス・モンソンのライバルだった実力者)から王座を奪い、二度の防衛に成功している。モナコで行われた一戦。会場では世界ランク1位のハグラーが観戦。ジャブと振りの大きい左フックを使うコーロ。アンツォフェルモはジャブで接近してフック連打。先手を取るアンツォフェルモ。コーロが応戦。判定は2-1。ダウンシーンは無し。どちらかと言うとコーロの方が良いパンチ(特にジャブ・左フック)を打っていたと思うが、手数が少なく、受け身の姿勢。もったいない負け方だった。)


ビト・アンツォフェルモ 15R 引分 マービン・ハグラー

(世界ミドル級タイトル戦、1979年)

アンツォフェルモ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ハグラー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:アンツォフェルモがタイトル防衛。ラスベガスで行われた一戦。アンツォフェルモはこれまで45勝(19KO)3敗1分。世界タイトル初挑戦の「無冠の帝王」ハグラーは46勝(38KO)2敗1分。アンツォフェルモがいつものようにジャブ・ストレートで接近してフック連打。基本サウスポーのハグラーはオーソドックスにスイッチしながらジャブ・ストレート。ガチャガチャしたアンツォフェルモの連打攻撃を持て余すハグラー。決定打を打ち込めないまま終了。判定はドロー。ダウンを奪うなど決定的なシーンを作ることができなかったハグラー。パンチのキレはあったが、パワーにやや欠けていた。なお、この試合は「ウィルフレド・ベニテス vs. シュガー・レイ・レナード」の前座として行われ、メインで新星レナードが世界王座奪取、スーパースターの道へ。王座獲りに失敗したハグラーと明暗を分けた。)

              

マービン・ハグラー 5R TKO ビト・アンツォフェルモ

(世界ミドル級タイトル戦、1981年)

アンツォフェルモ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ハグラー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

3R:左ストレートでアンツォフェルモがダウン。

(感想:ハグラーがタイトル防衛。英国のアラン・ミンターに王座を奪われたアンツォフェルモ。ミンターを破って新王者になったハグラーに挑戦。立場を入れ替える形で行われた再戦。試合地はボストン。共に気合いを入れて1Rから攻める。2Rの始めにアンツォフェルモのセコンドが何やら抗議。3R、見事なタイミングの左ストレートでアンツォフェルモがダウン。4R終了でアンツォフェルモが棄権。出血が原因と思われる。ハグラーは強打はもちろんのこと、ディフェンスも上手かったため、アンツォフェルモは当てさせてもらえなかった。ハグラーは欠点らしい欠点が無い完璧な歴史的ボクサー。そういう相手と戦うことになったアンツォフェルモは不運と言えば不運だが、ハグラーとの二試合のおかげでボクシングファンの記憶に残ることになった。王座陥落後、アンツォフェルモはブランク。連勝したがマシュー・ヒルトン(後、IBF世界J・ミドル級王者に)にTKO負け。それがラストファイトに。引退後は俳優に転身。『ゴッドファーザーPARTIII』にも出演。息子はアマチュア選手として活躍した。)

①「World Middleweight Title

Hugo Pastor Corro vs. Vito Antuofermo」

②「World Middleweight Title

Vito Antuofermo vs. Marvin Hagler」

③「World Middleweight Title

Marvin Hagler vs. Vito Antuofermo」

マービン・ハグラー(Marvelous Marvin Hagler)のページ

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アラン・ミンター(Alan Minter)のページ

ウィルフレド・バスケス・ジュニア(Wilfredo Vázquez Jr)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

親子で世界王者、バスケス・ジュニア。WBO世界S・バンタム級王座獲得。マービン・ソンソナ戦、ノニト・ドネア戦、石本康隆戦を紹介します。

ウィルフレド・バスケス・ジュニア(Wilfredo Vázquez Jr)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ウィルフレド・バスケス・ジュニア(プエルトリコ)

身長166cm:オーソドックス(右構え)

ウィルフレド・バスケス・ジュニア 4R KO マービン・ソンソナ

(WBO世界S・バンタム級王座決定戦、2010年)

バスケス:左ジャブ、右ストレート、左フック

ソンソナ:右ジャブと左ストレート

(ダウンシーン)

4R:左ボディフックでソンソナがダウン。

(感想:バスケスがタイトル獲得。プエルトリコ・バヤモン出身のバスケス。三階級王者ウィルフレド・バスケスの息子。元々は法律家を目指したほどの勉強家だったが、一家がお金を必要としていたこともあってボクシングを始める(家族思いの青年)。アマチュアを経験することなくプロデビュー(フロリダ州で1RでKO勝ち)。その後、WBAやWBOの地域王座を獲得するなど、これまで17戦全勝(14KO)。初の世界挑戦。フィリピンのソンソナは14勝(12KO)1分で無敗のサウスポー。WBO世界スーパーフライ級王座を獲得したことがあるが体重を作れず、王座剥奪。階級を上げてバスケスと勝負。バヤモンで行われた試合。ジャブからの右ストレートが得意なバスケス。ソンソナもジャブを使いながら左ストレートを狙う。ディフェンスもできるバスケスがブロックしながら右ストレートを決める。ソンソナは狙いすぎで手数が少なめ。4R、ソンソナをロープ際に追い込んでバスケスが左ボディフック。ダウンしたソンソナは立てなかった。フィリピン人がボディ一発でKO負け。昔よくあったパターン。タイミングのいいパンチだったのは間違いないが。)


ノニト・ドネア 12R 判定 ウィルフレド・バスケス・ジュニア

(WBO世界S・バンタム級王座決定戦、2012年)

バスケス:左ジャブ、右ストレート、左フック

ドネア:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

9R:左フックでバスケスがダウン。

(感想:ドネアがタイトル獲得。三度目の防衛戦でホルヘ・アルセに敗れたバスケス。その後、アルセが王座を返上し、その決定戦に出場することに。フィリピンの英雄ドネアは日本でもおなじみの有名選手。当時、フェルナンド・モンティエル(メキシコ)をKOしてWBC・WBO世界バンタム級王座を獲得して三階級制覇したばかり。直前の試合ではオマール・ナルバエス(アルゼンチン)を破ってバンタム級王座の初防衛に成功している。テキサス州で行われた注目の試合。これまで21勝(18KO)1敗1分のバスケス。27勝(18KO)1敗のドネア。右ストレートからの左フックがパワフルなドネア。バスケスはその圧力に押される。3R、大振りの左フックを食ってバスケスがグラつく。中盤からバスケスは手数を増やしていく。8R、試合中にもかかわらずヒザ屈伸するドネア(かなりの余裕?)。9R、左アッパーからの左フックでバスケスがダウン。最終ラウンド、思い切って前に出るバスケスだが、判定は3-0。パワーに差があった。フィリピンのボクサーはパンチを振り回すタイプが多く、前半は強いが後半にバテてボディを打たれてKOされることがよくある。バスケスが中盤以降に手数を増やしていったのは、後半に勝負するつもりだったのだと思われる。負けたが良いジャブ・ストレートを打っていたバスケス。一発当てていたらどうなっていただろうか?)


石本康隆 10R 判定 ウィルフレド・バスケス・ジュニア

(WBOインターナショナル・S・バンタム級王座決定戦、2013年)

バスケス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

石本:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

8R:右ストレートでバスケスがダウン。

(感想:石本がタイトル獲得。ドネアに負けた再起戦でインター王座を獲得したバスケス。マカオで初防衛戦。挑戦者はこれまで21勝(5KO)6敗の石本。日本スーパーバンタム級王座に挑戦したが判定で敗れたことがある選手。世界的な選手バスケス相手にどんな試合をするか? 石本が細かい連打とボディ攻撃。バスケスは右ストレートと左フックを狙う。接近戦での打ち合い。8R、右ストレートでバスケスがダウン。最終ラウンドは石本が押し気味。判定は2-0。バスケスが敗北。ジャブ・右ストレートが良かったが、ダウンが影響したと思われる。石本はパワーがあるタイプではないが、しっかりブロックして、右フックもいい感じで当たっていた。思わぬ敗北を喫してしまったバスケス。その後は勝ったり負けたりで世界王座返り咲きならず。もっと活躍していてもおかしくないほどバランスが良く、強い右ストレートを持つ男だったが、世界タイトルを獲ったのは一回だけだった。)

①「vacant WBO World Super Bantamweight Title

Wilfredo Vázquez Jr vs. Marvin Sonsona」

②「vacant WBO World Super Bantamweight Title

Wilfredo Vázquez Jr vs. Nonito Donaire」

③「vacant WBO International Super Bantamweight Title

Wilfredo Vázquez Jr vs. Ishimoto Yasutaka」

ノニト・ドネア(Nonito Donaire)のページ

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ウィルフレド・バスケス(Wilfredo Vazquez)のページ 

2020年12月18日金曜日

ジェイミー・マクドネル(Jamie McDonnell)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

井上尚弥との対戦で日本でもおなじみの長身の世界バンタム級王者、マクドネル。フリオ・セハ戦、亀田和毅戦(再戦)、フェルナンド・バルガス戦を紹介します。

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ジェイミー・マクドネル(イギリス)

身長176cm:オーソドックス(右構え)

ジェイミー・マクドネル 12R 判定 フリオ・セハ

(IBF世界バンタム級王座決定戦、2013年)

マクドネル:左ジャブ、右ストレート、左右フック

セハ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:マクドネルがタイトル獲得。サウス・ヨークシャー州ドンカスター出身のマクドネル。スコットランド系。バンタム級としては異例の体格「身長176cm、リーチ182cm」。英国王座、英連邦王座、欧州王座(全てバンタム級)を獲得するなど戦績は良いが、リー・ハスキンス(後、IBF世界バンタム級王者に)に判定負けしている。セハはメキシカン。これまで全勝。WBCやIBFの地域王座(バンタム級ほか)を獲得するなどの実績。英国での一戦。マクドネルがガードを高く上げて足を使いながらジャブ・ストレートを打つ丁寧なボクシング。セハはジャブで接近してフック攻撃。フットワークとジャブのマクドネルをセハが追う展開。判定は2-0。ダウンシーンは無し。マクドネルはパワーを感じるような選手ではないが、ジャブをリズミカルに多く出し、相手の攻撃をブロックしてしまう器用なタイプ(個人的に好みのスタイル。もっとパワーがあれば最高なのだが)。後、セハはWBC世界スーパーバンタム級暫定王座を決定戦で獲得。正規王者に昇格したが、初防衛戦で王座を失っている。)


ジェイミー・マクドネル 12R 判定 亀田和毅

(WBA世界バンタム級タイトル戦、2015年)

マクドネル:左ジャブ、右ストレート、左フック

亀田:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

12R:右ストレートで亀田がダウン。

(感想:マクドネルがタイトル防衛。IBF王座を剥奪されてしまったマクドネル。その後、亀田興毅が返上したWBA世界バンタム級王座を決定戦で獲得。元WBO王者亀田和毅と再戦。初戦はマクドネルがダウンを喫した末、僅差の判定勝ち、亀田が初黒星。亀田としては雪辱を果たして兄貴が持っていた王座を取り戻したいところ。初戦と同様、アメリカで行われた再戦。共に速いジャブが武器。ただ、二人ともパンチは軽い。こういう似たタイプ同士の試合は何かが優れている方が勝つ。亀田が連打。マクドネルはガードを高く上げてブロック。12R、右ストレートで亀田がダウン。判定は3-0。亀田の左フックがヒットするシーンもあったが、懐の深いマクドネルを倒すにはパワー不足だった印象。マクドネルは面白い選手。あれこれやらずにジャブ、ジャブ、ストレート。そしてブロック。徹底した動きでリーチの長さを上手く利用していた。)


ジェイミー・マクドネル 9R KO フェルナンド・バルガス

(WBA世界バンタム級タイトル戦、2016年)

マクドネル:左ジャブ、右ストレート、左フック

バルガス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

9R:連打でバルガスがダウン。

(感想:マクドネルがタイトル防衛。英国での四度目の防衛戦。「フェルナンド・バルガス」といっても世界J・ミドル王者だったバルガスではない別人。29勝(20KO)9敗3分のバルガスはメキシカン。これまで王座は獲得していないが、直前の試合ではウィルフレド・バスケス・ジュニアに勝利している。思い切ったパンチを叩きつけていくタイプのバルガス。マクドネルはいつものようにジャブ・右ストレート。思うようにパンチを当てられないバルガスが後退するようになり、マクドネルが左フックでボディ攻撃。9R、連打でバルガスがダウン。セコンドが入って終了。マクドネルが軽いパンチを数多く当ててKO勝ち。その後も防衛を続けたマクドネルだが、井上尚弥に1RでKO負け。安定感があるマクドネルは本来なら1Rで倒されるような選手ではないが、「世界は広い」ということか。井上戦後は精神的に参ってしまったマクドネル。働きながら心身を鍛え直しているらしい。)

①「IBF World Bantamweight Title

Jamie McDonnell vs. Julio Ceja」

②「WBA World Bantamweight Title

Jamie McDonnell vs. Kameda Tomoki」

③「WBA World Bantamweight Title

Jamie McDonnell vs. Fernando Vargas」

井上尚弥("Monster" Inoue Naoya)のページ

アントニオ・ターバー(Antonio Tarver)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

映画『ロッキー』シリーズに出演したことでも有名なL・ヘビー級、ターバー。ロイ・ジョーンズ・ジュニアとの三連戦を紹介します。

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アントニオ・ターバー(アメリカ)

身長188cm:サウスポー

ロイ・ジョーンズ・ジュニア 12R 判定 アントニオ・ターバー

(WBA・WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、2003年)

ターバー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ジョーンズがタイトル獲得。フロリダ州オーランド出身のターバー。ニックネームは「Magic Man」(元世界ウェルター級王者マーロン・スターリングと同じ。「まるでマジックのようにテクニックがある」という意味か?)。アマチュアで立派な成績。1995 年、ベルリンでの世界ボクシング選手権ではライトヘビー級で優勝。1996年、アトランタオリンピックではライトヘビー級で銅メダル。プロ入り後は連勝だったが、IBF世界ライトヘビー級挑戦者決定戦でエリック・ハーディングに判定負け、初黒星。レジー・ジョンソンに勝利し、北米ライトヘビー級王座、全米ライトヘビー級王座獲得。エリック・ハーディングとの再戦にTKO勝ち。空位のWBC・IBF世界ライトヘビー級王座をモンテル・グリフィンと争って3-0の判定勝ち。しかし、IBF王座は防衛戦を行うことなく返上。そしてこのジョーンズとの大一番。ジョーンズはWBA世界ヘビー級王者。WBC王者ターバーが自身のWBCタイトルと空位のWBA世界L・ヘビー級タイトルを懸けてラスベガスで勝負。ジョーンズはこれまで48勝(38KO)1敗。ターバーは21勝(17KO)1敗。一発で倒すのではなく、連打でポイントを取るタイプのターバー。ジャブと連打で勝負。ジョーンズは右ストレートを狙う。ダウンなどの決定的なシーンがないまま12R終了。両者とも勝利をアピール。判定は2-0。個人的にはターバーの連打の方が良かったと思う。実際ターバーは判定のアナウンスを聞いてかなりガッカリした様子だった。ジョーンズはブロックしたり、速いジャブ・ストレートを打っていたが、パワー不足を感じた。ヘビー級に挑戦したりするなどジョーンズのチャレンジ精神は素晴らしいとは思うが、ボブ・フォスターやマイケル・スピンクスのような「L・ヘビー級王者」と呼ぶにふさわしい強さや魅力が感じられない勝ち方だった。)


アントニオ・ターバー 2R KO ロイ・ジョーンズ・ジュニア

(WBA・WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、2004年)

ターバー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでジョーンズがダウン。

(感想:ターバーがタイトル奪回。ラスベガスで行われたいわゆる「ダイレクト・リマッチ」。基本的な戦い方は共に前回と同じ。しかしかなりの緊迫感。互いにストレートを狙う。2R、ジャブを使うターバー。打ち合いの中、ターバーの左フックがヒット。ワンパンチKO。ジョーンズには前回よりはややパワーを感じたが、やはりこの選手はL・ヘビー級ではない(S・ミドルではウェートがキツい。しかしそれより上の階級ではパワー不足)。これで決着がついたと思うような結果だったが、両者は後、三度目の対戦を行うことに。)


アントニオ・ターバー 12R 判定 ロイ・ジョーンズ・ジュニア

(IBO L・ヘビー級タイトル戦、2005年)

ターバー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ターバーがタイトル防衛。WBAタイトルは返上、WBCタイトルは剥奪されてしまったターバー。ジョーンズとの三戦目はターバーのIBOタイトルのみが懸けられた。「ジョーンズがどんな動きをするのか」に注目の試合。ターバーがジャブ。ジョーンズは足を使って距離を取りながら、時折妙な動きを入れて、連打・左のボディ打ち。11Rが最大の見せ場。ターバーの右フックでジョーンズが大ピンチ。12R終了で判定は3-0。ダウンシーンは無し。打ち合いを避けてスピードで勝とうとしたジョーンズ。やはりパワー負け。ジョーンズにはできればミドル級にとどまってマービン・ハグラーのような存在になって欲しかったところ。ジョーンズとのライバル戦に決着をつけたターバーだが、次の試合でバーナード・ホプキンスに敗北。その後、世界王座を奪回したが初防衛戦で敗北したり、試合間隔が長くなっていったり、と安定感に欠けるキャリアに。相手が強いと緊張感のある試合をやるが、変に余裕があるとモタついた試合になってしまうことがあったターバー。優秀な選手であったが、金銭問題、ドーピング、家庭内暴力などのトラブルも。『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)では「無敵の世界ヘビー級チャンピオン、メイソン・ディクソン」を好演。良いところと悪いところが同居する男のようだ。)

①「WBA・WBC World Light Heavyweight Title

Antonio Tarver vs. Roy Jones Jr」

②「WBA・WBC World Light Heavyweight Title

Roy Jones Jr vs. Antonio Tarver」

③「IBO Light Heavyweight Title

Antonio Tarver vs. Roy Jones Jr」

ロイ・ジョーンズ・ジュニア(Roy Jones, Jr.)のページ

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グレン・ジョンソン(Glen Johnson)のページ

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『ロッキー・ザ・ファイナル』日本版劇場予告編(YouTube)


2020年12月16日水曜日

ジョバンニ・パリージ(Giovanni Parisi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBOで二冠王。フリオ・セサール・チャベス戦、ハロルド・ミラー戦、ホセ・マヌエル・ベルドンセ戦ほかを紹介します。

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ジョバンニ・パリージ(イタリア)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


ジョバンニ・パリージ 4R KO マーク・スミス

(J・ウェルター級戦、1993年)

パリージ:ジャブ、ストレート、左フック

スミス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:左ストレートでスミスがダウン

(感想:「Flash(閃光)」と呼ばれたイタリアのパリージ。なかなかのハンサム。アマチュアでは思ったように結果を出せないこともあったようだが、1988年のソウル・オリンピックではフェザー級で金メダル(本番に強いタイプ?)。プロ入り後は連勝だったが、アントニオ・リベラ(元IBF世界フェザー級王者)にKO負けで初黒星。イタリア・ライト級王座獲得。WBO世界ライト級王座を決定戦で獲得。スミスとノンタイトル戦。スミスはテネシー州チャタヌーガ出身の黒人。ニックネームは「Stinger」(毒針のようなパンチを打つ男、という意味か?)。デビューから中堅相手に連勝後、連敗。このところ負けが込んでおり、直前の試合は英国でアンディ・ホリガン(後、フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級王座に挑戦してTKO負け)に判定負け。イタリア・サンレモでの一戦(TV局のスタジオ、またはホテルの一室のような小さな会場。面白いことに共に青コーナー。対角線上に両陣営が設置されているのではなく、左右に両コーナー)。共に機敏な動きで速いジャブ、ストレート。ややアップライトなパリージはワンツー、左フックに良さがあり、スウェーなどでディフェンス。スミスはやや前傾姿勢で右ストレートに力を込める。思い切りのいい打ち方で互角の勝負。パリージは左ボディ打ちにも巧さ。スミスは連打をまとめるなど回転力がある。しかし、試合は唐突に終了。4R、サウスポーにチェンジしたパリージが左ストレート。一発でダウンしたスミスは10カウント後に立ち上がって「続行可能」をアピール。負けたことに納得いかない表情だった。パリージがスイッチして勝利。長い試合になりそうな互角の雰囲気もあったが、器用さで勝利した。スミスは凡ミスみたいな感じで敗れたが、動きやパンチは悪くなかった。しかし、意外なことにWBC米大陸王座(フェザー級)、IBO王座(ジュニアライト級。相手はジェフ・メイウェザー)に挑戦して敗北するなど負け続けで引退。打たれ弱さがあったようだ。)


フリオ・セサール・チャベス 12R 判定 ジョバンニ・パリージ

(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1995年)

パリージ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

チャベス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左ジャブでパリージがダウン

(感想:チャベスがタイトル防衛。スミス戦後、WBO世界ライト級王座の防衛戦でアントニオ・リベラと再戦し、雪辱したパリージ。王座を返上して二階級制覇を狙うことになったが、王者はかなりの大物。王者チャベスは説明不要の有名選手。「偉大なメキシコの王者」と呼ばれる男。フランキー・ランドールに王座を奪われて初黒星を喫したが、再戦で王座奪回。パリージ戦は奪回した王座の三度目の防衛戦となる。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。パリージが距離を取ってジャブ。チャベスはジャブ・右ストレート・左フックでプレッシャーをかける。2R、タイミングの良い左ジャブでパリージがダウン。サウスポーにスイッチして流れを変えようとするパリージだが右を打たれる。打ち合わないパリージに「打ってこい」というジェスチャーをするチャベス(8R、11R)。12R終了。判定は3-0。パリージにはもっと思い切った攻めを見せて欲しかったところだが、チャベスのパンチは想像以上に強かったのだろう。チャベスはこれで94勝(80KO)1敗1分。しかし、新しいスター、オスカー・デラ・ホーヤに取って代わられた。)


ジョバンニ・パリージ 8R TKO ハロルド・ミラー

(WBO世界J・ウェルター級タイトル戦、1997年)

パリージ:左ジャブ、右ストレート、左フック

ミラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:パリージがタイトル防衛。サミー・フエンテスに勝って二階級制覇を達成したパリージ。三度目の防衛戦の相手はタフな白人ミラー。ザック・パディーリャが王者だった頃にこの王座に挑戦してTKO負け。フィリップ・ホリデイ(後、IBF世界ライト級王者に)には判定負け。このところ連勝中ではあるが、戦績からすると「ローカルな選手」といった印象。イタリア・ミラノでの一戦(会場でマービン・ハグラーが観戦)。左のガードを下げてジャブを打つパリージ。ミラーはパリージの速い連打の勢いに押されて、下がりながら反撃。8R、パリージがミラーを自在に打ちまくってレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。パリージはチャベス戦のときとは違って積極的だった。その後、ミラーはデンマークで空位のIBFインターコンティネンタル王座(J・ライト級)に挑戦したが、3RでKO負けだった。)


ジョバンニ・パリージ 12R 判定 ホセ・マヌエル・ベルドンセ

(WBO世界J・ウェルター級タイトル戦、1997年)

パリージ:左ジャブ、右ストレート、左フック

ベルドンセ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:パリージがタイトル防衛。五度目の防衛戦。挑戦者はスペインのベルドンセ。スペインのJ・ウェルター級王座を獲得するなど戦績は良いが、国外で試合をするのはこれが初めて。イタリア・カタンツァーロでの一戦。髪の後ろを伸ばし、トランクスも個性的なベルドンセ。キレイなジャブ・ストレートを打つヘクター・カマチョっぽいサウスポー。パリージはジャブからの右ストレートを狙う。速いパンチの応酬。互角の勝負。パリージはサウスポーにスイッチして対抗。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ベルドンセは面白いスタイルだったが、及ばず(その後、スペイン王座戦に勝利。しかし、欧州王座(J・ウェルター級)は獲れず)。パリージは右ストレートが良かった印象。しかし、ここまで。次の防衛戦で元王者カルロス・ゴンザレスにTKOで敗北。三階級制覇を狙ってWBO世界ウェルター級王座に挑戦したがKO負け。ラストファイトは欧州ウェルター級王座への挑戦(判定負け)。パリージは倒し屋ではなかったが、パンチにスピード。日本人選手のように地元のファンに人気があった。しかし引退後の2009年3月25日、交通事故で死去。41歳だった。)


①「Super Lightweight 

Giovanni Parisi vs. Mark Smith」

②「WBC World Super Lightweight Title

Julio Cesar Chavez vs. Giovanni Parisi」

③「WBO World Super Lightweight Title

Giovanni Parisi vs. Harold Miller」

④「WBO World Super Lightweight Title

Giovanni Parisi vs. Jose Manuel Berdonce」


フリオ・セサール・チャベス(Julio César Chávez)のページ  

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サミー・フエンテス(Sammy Fuentes)のページ

ホルヘ・カストロ(Jorge Castro)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

竹原との試合で日本でもおなじみのタフな世界ミドル級王者、カストロ。ジョン・デビッド・ジャクソン戦、レジー・ジョンソン戦(再戦)、竹原慎二戦を紹介します。

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ホルヘ・カストロ(アルゼンチン)

身長177cm:オーソドックス(右構え)

ホルヘ・カストロ 9R KO ジョン・デビッド・ジャクソン

(WBA世界ミドル級タイトル戦、1994年)

カストロ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ジャクソン:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

9R:左フック、右フック、右フックで3度、ジャクソンがダウン。

(感想:カストロがタイトル防衛。「Locomotora(機関車)」と呼ばれるファイタータイプのカストロ。「打たれ強さと根性」で勝ってきた選手で、これまで95勝(66KO)4敗2分。プロ入り前、事故で大怪我した過去。リングに上がることはできないとドクターに警告されたがリハビリを経て、プロデビュー。まるで機関車のような戦いぶりで連戦連勝。試合数も多い。南米J・ミドル級王座を獲得、防衛。WBC世界J・ミドル級王者テリー・ノリスに挑戦したが判定負け。ロイ・ジョーンズ・ジュニアにも判定負け。地元アルゼンチンでWBA世界ミドル級王座決定戦に出場。レジー・ジョンソンに2-1の判定勝ちで王座獲得。初防衛戦はかつてのホープ、アレックス・ラモス。2RでのKOで防衛。そしてこの二度目の防衛戦。試合地はメキシコのモンテレイ。挑戦者のジャクソンは二階級制覇王者。WBA2位で無敗のサウスポー。レジー・ジョンソンからWBA世界ミドル級王座を奪取したが王座剥奪。カストロからかつて保持していた王座を奪回できるかどうか。パンチは軽いがスピードがあり、手数も多いジャクソン。カストロはフック攻撃で前に出るが空振りが多い。ジャクソンが速いジャブ・右ストレート、そして左右フックでボディ打ち。7R、左ストレートを打たれて後退するカストロ。9R、ストップ寸前になるほど打たれたカストロだが、左フック一撃でジャクソンを倒す。さらに二度のダウンを奪ってKO、大逆転。確かに衝撃的な逆転劇ではあったが、ジャクソンは1Rから打たれたときにバランスを崩すなど不安定なところもあった。)


ホルヘ・カストロ 12R 判定 レジー・ジョンソン

(WBA世界ミドル級タイトル戦、1995年)

カストロ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ジョンソン:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:カストロがタイトル防衛。四度目の防衛戦は地元アルゼンチンで元王者ジョンソンとの再戦。ジョンソンはWBA1位でサウスポー。ジャブを使いながらポイントを取り、左ストレートと強い右フックを狙うジョンソン。カストロはフックで攻める。ジャブ・連打のジョンソン、馬力のカストロ。判定は2-1。パンチの正確さを見せたジョンソンの方が良かったような気もするが、カストロの二連勝。カストロはジョンソンをロープ際に追い込んで連打するなどしたが(7Rなど)、不正確なパンチが多かった印象。ダウンシーンは無し。)


竹原慎二 12R 判定 ホルヘ・カストロ

(WBA世界ミドル級タイトル戦、1995年)

カストロ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

竹原:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

3R:左ボディフックでカストロがダウン

(感想:竹原がタイトル獲得。カストロの五度目の防衛戦は日本。挑戦者はこれまで23戦全勝(18KO)の竹原。東洋太平洋王座を獲得、防衛している長身選手であるが、世界レベルで通用するのかどうか、といったところ。ジャブ・右ストレート・左フックのコンビネーションで攻める竹原。カストロはいつものフック攻撃。3R、左ボディフックでカストロがダウン。その後は接近戦で打ち合い。判定は3-0。元々パンチが正確ではないカストロは得意の打ち合いでも負けていた。竹原はジャブを良く出していたため、右ストレートを生かすことができた。日本人初のミドル級世界王者、竹原。初防衛戦の相手はウィリアム・ジョッピー。カストロはその後、階級を上げていき、何とクルーザー級で世界挑戦。二階級制覇はできなかったが、何ともタフな男。最終戦績は144戦130勝11敗だった。)

①「WBA World Middleweight Title

Jorge Castro vs. John David Jackson」

②「WBA World Middleweight Title

Jorge Castro vs. Reggie Johnson」

③「WBA World Middleweight Title

Jorge Castro vs. Takehara Shinji」

ジョン・デビッド・ジャクソン(John David Jackson)のページ

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レジー・ジョンソン(Reggie Johnson)のページ

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竹原慎二(Takehara Shinji)のページ

2020年12月11日金曜日

ピエール・コーツァー(Pierre Coetzer)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

南アフリカのヘビー級、コーツァー。ジョニー・デュプロイ戦、リディック・ボウ戦、ジョージ・フォアマン戦を紹介します。

ピエール・コーツァー(Pierre Coetzer)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ピエール・コーツァー(南アフリカ)

身長193cm:オーソドックス(右構え)

ピエール・コーツァー 2R TKO ジョニー・デュプロイ

(ヘビー級戦、1990年)

コーツァー:左ジャブ、右ストレート、左フック

デュプロイ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:連打でコーツァーがダウン。左フックで2度、デュプロイがダウン。

(感想:同じ南アフリカのゲリー・コーツィーと似た名前のコーツァー(間違えそうになるのは私だけ?)。80年代にWBA王者になったのがコーツィー。90年代にトップクラスと対戦して世界を目指したのが今回紹介するコーツァー。南アフリカ・プレトリア出身。1983年にプロデビュー。戦績は良いが、バーナード・ベントン(後、WBC世界クルーザー級王者に)、オジー・オカシオ(元WBA世界クルーザー級王者)に判定負けしている(二人とは再戦し、共にコーツァーが勝利)。デュプロイも南アフリカの選手で、フランチェスコ・ダミアニと初代WBO世界ヘビー級王座決定戦をやったことがある(KO負け)。共にジャブを使って、思い切った右ストレート・左フックを豪快に打っていくタイプ。先にダウンしたのはコーツァー。逆に二度倒されるデュプロイ。立ったがフラフラでレフェリーストップ。短い試合だったが、激しい打ち合い。ディフェンスの差が出た。)


リディック・ボウ 7R TKO ピエール・コーツァー

(ヘビー級戦、1992年)

コーツァー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ボウ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:デュプロイ戦後、連勝を続けるコーツァー。ラスベガス「Mirage」でボウと「WBA世界ヘビー級挑戦者決定戦」(コーツァーはWBA1位、IBF2位。ボウはWBA2位、WBC・IBF3位)。ボウは当時、デビュー以来、全勝のホープで世界王者イベンダー・ホリフィールドへの挑戦が期待されていた。ホリフィールド戦の興行を盛り上げるためにもこの試合には良い勝ち方をしたいところ。共にジャブ・右ストレート。ボウが速いパンチ、コーツァーは力んだ打ち方。1Rからボウのパンチがヒット。次第に両目の下が腫れていくコーツァー。7R、連打でストップ。ダウンシーンは無し。パンチの正確さとスピードでボウが上だった。標準レベルの相手には強いコーツァー。世界のトップに立つにはスピードが必要。勝ったボウは次の試合でホリフィールドの統一世界ヘビー級王座に挑戦、勝利。)


ジョージ・フォアマン 8R TKO ピエール・コーツァー

(ヘビー級戦、1993年)

コーツァー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

フォアマン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:左フックでコーツァーがダウン

8R:右ストレートでコーツァーがダウン

(感想:ボウ戦の次の試合でフランク・ブルーノに負けたコーツァー。ネバダ州リノで古豪フォアマンと対決。IBF1位のフォアマンはモハメリ・アリ時代の選手。カムバックして世界を目指す状況。コーツァーのパンチを独特のブロッキングでディフェンスし、重いジャブを「ガツンガツン」当てるフォアマン。4R、強烈な左フックでコーツァーがダウン。コーツァーのパンチも時々ヒットするが、タフなフォアマンは倒れない。8R、左ジャブからの右ストレートでコーツァーがダウン。連打でストップ。フォアマンは動きは遅いが、パワーは凄かった。この勝利によりフォアマンはトミー・モリソンとのWBO世界ヘビー級王座決定戦に出場。強豪たちに踏み台にされて三連敗してしまったコーツァーはこれで引退。WBA1位にランクされていたときもあったが、一度も世界挑戦できなかった。)

①「Heavyweight 

Pierre Coetzer vs. Johnny Du Plooy」

②「Heavyweight 

Pierre Coetzer vs. Riddick Bowe」

③「Heavyweight 

Pierre Coetzer vs. George Foreman」

ジョニー・デュプロイ(Johnny Du Plooy)のページ

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リディック・ボウ(Riddick Bowe)のページ

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ジョージ・フォアマン(George Foreman)のページ 

フェルナンド・バルガス(Fernando Vargas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

速い連打が武器の世界J・ミドル級王者、バルガス。ルイス・ラモン・カンパス戦、アイク・クォーティ戦、フェリックス・トリニダード戦を紹介します。

フェルナンド・バルガス(Fernando Vargas)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

フェルナンド・バルガス(アメリカ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)

フェルナンド・バルガス 8R TKO ルイス・ラモン・カンパス

(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、1998年)

バルガス:左ジャブ、右ストレート、左フック

カンパス:左ジャブと左右フック

(感想:バルガスがタイトル獲得。カリフォルニア州出身のバルガス。ニックネームは「Ferocious(凶暴な)」。アマチュアで優秀な成績。ただ、アトランタオリンピック(1996年)ではメダル獲得ならず。プロ転向して、これまで全勝。王者カンパスはメキシカン。フェリックス・トリニダード、ホセ・ルイス・ロペスにTKO負けして世界ウェルター級王座を獲得することはできなかったが、ラウル・マルケスを破ってIBF世界J・ミドル級王座獲得。これまで三度防衛。アトランチックシティで行われた注目の一戦。右ストレートが武器のバルガス。ジャブで距離を取りながら攻撃。ファイタータイプのカンパスは接近して左フックを狙う。右ストレートに押されるカンパス(3R)。カンパスはボディを狙うが、攻めをかわされてしまい、7R終了で棄権。ダウンシーンは無し。バルガスのディフェンスと右ストレートが目立った一戦だった。)


フェルナンド・バルガス 12R 判定 アイク・クォーティ

(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、2000年)

バルガス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

クォーティ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:バルガスがタイトル防衛。ラスベガスでの四度目の防衛戦。挑戦者は元WBA世界ウェルター級王者の「バズーカ」クォーティ(ガーナ)。ジャブを使って左フックを狙うクォーティ。バルガスは連打をまとめてポイントを取る。クォーティのジャブが時折ヒット。判定は3-0。バルガスの手数(回転の速い連打)が評価されたか。ダウンシーンは無し。クォーティはパワーはあったが、残念ながらスピードが落ちていた。ウェルター級時代の弾むような躍動感があれば勝っていたかも。)


フェリックス・トリニダード 12R KO フェルナンド・バルガス

(WBA・IBF世界J・ミドル級王座統一戦、2000年)

バルガス:左ジャブ、右ストレート、左フック

トリニダード:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

1R:連打、左フックで2度、バルガスがダウン

4R:左フックでトリニダードがダウン

12R:左フック、左フック、右ストレートで3度、バルガスがダウン

(感想:トリニダードがタイトル統一。ラスベガスで行われた大一番。IBF王者バルガス、WBA王者トリニダード。全勝同士の強打者対決。共にジャブと連打。先制攻撃のトリニダード。1Rに二度のダウンを奪う。4R、逆にトリニダードがダウン。打ち合い。互いにローブローで減点。12R、三度のダウンで終了。似たタイプ同士の試合であったが、トリニダードがパワー、パンチの伸びで上だった(「上には上がある」のがボクシングの世界)。トリニダードは勝ったが、ダウンを食ったうえに右目が腫れた。バルガスは負けたがよく頑張った。その後、バルガスはトリニダードが返上したWBA世界J・ミドル級王座を獲得。WBC王者オスカー・デラ・ホーヤと統一戦を行ったが敗北。それが最後の世界戦に。活きのいい選手であったが、トリニダード、デラ・ホーヤに敗れたことで「二番手の王者」という印象も。引退後はTV番組、ドラマに出演したりしているという。)

①「IBF World Super Welterweight Title

Luis Ramon Campas vs. Fernando Vargas」

②「IBF World Super Welterweight Title

Fernando Vargas vs. Ike Quartey」

③「WBA・IBF World Super Welterweight Title

Felix Trinidad vs. Fernando Vargas」

ルイス・ラモン・カンパス(Luis Ramón Campas)のページ

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アイク・クォーティ(Ike Quartey)のページ

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フェリックス・トリニダード(Félix Trinidad)のページ 

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オスカー・デラ・ホーヤ(Oscar De La Hoya)のページ

2020年12月9日水曜日

アドルフォ・ワシントン(Adolpho Washington)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

「クルーザー級のマイク・タイソン」。アナクレト・ワンバ戦、デイビッド・アイゼグワイアー戦、トースティン・メイ戦(初戦)ほかを紹介します。「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

アドルフォ・ワシントン(Adolpho Washington)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

アドルフォ・ワシントン(アメリカ)

身長182cm:オーソドックス(右構え)


アナクレト・ワンバ 12R 引分 アドルフォ・ワシントン

(WBC世界クルーザー級タイトル戦、1994年)

ワシントン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ワンバ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ワンバがタイトル防衛。ケンタッキー州レキシントン出身のワシントン。斜め後ろから見た感じがマイク・タイソンによく似たファイター。シカゴでプロデビュー。敗北を一つ喫してしまったが、WBA世界L・ヘビー級王者バージル・ヒルに挑戦、負傷判定負け。その後、アイラン・バークレー(世界三階級制覇王者)に勝利するなど、連勝してこの二度目の世界挑戦(WBC6位)。王者ワンバはコンゴ出身でフランス国籍の黒人選手。背が高く、力強いパンチの持ち主。モナコのモンテカルロでの一戦(この試合はディナーショー形式。リングサイドに並んだ皿。着飾った観客。試合後に料理が提供されるのだと思われるが、血なまぐさい試合だったら食欲が無くなるのでは?)。左のガードを下げた構えからジャブ、フック連打のワシントン。ワンバはガードを高くしてジャブ、ストレート、ワンツーからの左フックを狙う。互いに譲らない打ち合いが続いて12R終了。判定は引き分け(ダウンシーンは無し)。共に手数が多く、パワフル。クリンチも少なく、それぞれが持ち味を発揮した良い試合だった。ワンバはその後も王座を防衛し、王者のままリングを去った。) 


アドルフォ・ワシントン 8R TKO デイビッド・アイゼグワイアー

(IBOクルーザー級タイトル戦、1994年)

ワシントン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

アイゼグワイアー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ワシントンがタイトル獲得。ワンバ戦の次の試合はIBO王座への挑戦。王者アイゼグワイアーはナイジェリア出身でバランスの良い選手。これまで16戦全勝(14KO)。ラスベガスでの一戦。ワシントンは黒いトランクスとシューズ、髪型、体を振って前に出る動きなど「マイク・タイソン化」がさらに進んだ感じ。1Rからパワフル。アイゼグワイアーも左フックが強い。接近しての打ち合い。8R、強打でグラついたアイゼグワイアー。連打を浴びてレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。激しい攻防はワシントンに軍配。ただ、勝ったが左目が腫れ、楽な試合ではなかった。アイゼグワイアーは手数で押されてしまった。その後のアイゼグワイアー。負け無しで引退。しかし、相手は中堅どころばかりで大きな試合は無かった。)


アドルフォ・ワシントン 12R 判定 トースティン・メイ

(IBF世界クルーザー級王座決定戦、1996年)

ワシントン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

メイ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:ワシントンがタイトル獲得。アイゼグワイアー戦の次の試合でWBA世界クルーザー級王者オーリン・ノリスに挑戦したワシントン。3-0の判定負けで王座獲得ならず。どうしてもメジャー団体の王座が獲れないワシントンに王座決定戦出場のチャンスが。サウスポーのメイはドイツの選手でジャブ・ストレートでポイントを狙うボクサータイプ。ドイツのクルーザー級王座を獲得したり、オリンピック金メダリストのアンドリュー・メイナードを破ったりといった実績。スペイン・パルマで行われた試合。ジャブとフック連打のワシントン。接近しての打ち合い。ワシントンはボディ打ちに良さ。メイはジャブで距離を取れず、打ち合いに応じる。どちらが優勢とは言い難い展開が続いたが、終盤はパワーでワシントンが押している印象。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ワシントンがパワーで新王者に。メイとは後、再戦。)


ジェームス・トニー 10R TKO アドルフォ・ワシントン

(クルーザー級戦、1999年)

ワシントン:左ジャブ、右ストレート、フック

トニー:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:IBF王者になったワシントンだが、初防衛戦でユーライア・グラントに敗北、王座陥落。その後、アーサー・ウィリアムス、オーリン・ノリスに連敗。メイとの再戦にも敗北。その再起戦でトニー戦。これまで27勝(16KO)7敗2分、31歳。トニー(30歳)は説明不要。ミシガン州出身の黒人で、56勝(36KO)4敗2分。犯罪少年だったが、ボクシングの才能。「ライツアウト」のニックネームが示す通り、まるで「消灯時間」のように相手を消す男。IBF世界ミドル級、IBF世界S・ミドル級王座獲得。マイナー団体ながらL・ヘビー級、クルーザー級でも王座を獲得している。コネチカット州マシャンタケットでの一戦。体格的に差が感じられない二人。互いにジャブを出すが、トニーが自由奔放なスタイルで優勢。左のガードを下げた構えからワンツー、左ボディ打ち、アッパー気味のフックで相手の隙を突く。ワシントンはトニーと比べると「普通」。ジャブ、接近してショートフック。4R、トニーが左フックからの右アッパー。6R、右ストレートを食ったワシントンがマウスピースをポロリ。7R、体力で強引に押しながらワシントンが右フック。トニーはコンビネーションで反撃。その後も時折サウスポーにスイッチしながらトニーが隙を突くパンチ。10R、右ストレートが効いたワシントンにトニーが連打をまとめてレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。トニーがのらりくらりと動きながら正確なパンチで勝利。ミドルから上がってきたが、クルーザー級のワシントンと体格的に互角であったこと、パワーで勝っていたことに驚き。ワシントンは普通に戦って普通に負けた印象。右フックには良いものがあったが、精力的な攻撃に欠けていた印象。その後の二人。トニーはIBF世界クルーザー級王者になったり、ヘビー級に進出してイベンダー・ホリフィールドに勝利したり。ワシントンはワシリー・ジロフらに敗北し、世界王座戦は無し。本来ならマイク・タイソンばりの活躍をしていたはずだが、残念。)


①「WBC World Cruiserweight Title

Anaclet Wamba vs. Adolpho Washington」

②「IBO Cruiserweight Title

David Izegwire vs. Adolpho Washington」

③「vacant IBF World Cruiserweight Title

Torsten May vs. Adolpho Washington」

④「Cruiserweight 

James Toney vs. Adolpho Washington」


アナクレト・ワンバ(Anaclet Wamba)のページ 

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オーリン・ノリス(Orlin Norris)のページ

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ジェームス・トニー(James "Lights Out" Toney)のページ

レバンダー・ジョンソン(Leavander Johnson)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

伸びるジャブで世界ライト級王座獲得、ジョンソン。ハビエル・ハウレギ戦、ステファノ・ゾフ戦、ヘスス・チャベス戦を紹介します。

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レバンダー・ジョンソン(アメリカ)

身長175cm:オーソドックス(右構え)

ハビエル・ハウレギ 11R TKO レバンダー・ジョンソン

(IBF世界ライト級王座決定戦、2003年)

ジョンソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ハウレギ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

5R:左フックでジョンソンがダウン

10R:右ストレートでジョンソンがダウン

(感想:ハウレギがタイトル獲得。ニュージャージー州アトランチックシティ出身のジョンソン。兄もボクサーだった「ボクシング兄弟」。アマチュアで好成績。プロ入り。よく伸びる素晴らしいパンチを武器に連戦連勝。後の世界王者シャンバ・ミッチェルをKOするなど、無敗で世界挑戦。しかし、世界の壁は厚く、これまで二度世界挑戦してKO負けしている(ミゲル・アンヘル・ゴンザレスのWBC世界ライト級王座(1994年)、オルズベック・ナザロフのWBA世界ライト級王座(1997年))。メキシコのハウレギはこれまでWBAやWBCの地域王座を獲得しており、これが二度目の世界挑戦。ロサンゼルスで行われた試合。スラリとした体型のジョンソン。伸びるジャブ、右ストレートを打ち、左ボディ打ちも巧い。ハウレギは右ストレートを強打し、左フックも強い。接近して打ち合う展開。5R、左フックでジョンソンがダウン。その後、ジョンソンはジャブ、連打で応戦するが、まっすぐ下がったところを打たれる。10R、ハウレギ得意の左フックからの右ストレートでジョンソンがダウン。ダメージ深く、11R開始早々、連打でレフェリーストップ。ジョンソンはゴンザレス戦と比べるとパンチのキレが落ちていた。アウトボクシングではなくハウレギの距離で打ち合ったのはそれが原因だと思われる。) 


レバンダー・ジョンソン 7R TKO ステファノ・ゾフ

(IBF世界ライト級王座決定戦、2005年)

ジョンソン:左ジャブ、右ストレート、左フック

ゾフ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

7R:右フックでゾフがダウン

(感想:ジョンソンがタイトル獲得。ハビエル・ハウレギが初防衛戦でフリオ・ディアスに敗北。ディアスがタイトルを返上したため、王座決定戦が行われることに。ゾフはイタリアの選手。ジュリアン・ロルシー(フランス。畑山隆則との試合で日本でも知られている)を破ってWBA世界ライト級王座獲得。その初防衛に失敗した後は欧州ライト級王座を獲得し、防衛を続けている。イタリア・ミラノで行われた一戦。右ストレートと荒い打ち方の左右フックのゾフ。ジョンソンはジャブ。接近戦を仕掛けるゾフだが、7R、右ストレートでグラつき、右フックでダウン。立ったがダメージ深く、レフェリーが止めた。35歳、四度目の挑戦でようやく世界を獲ったジョンソン。本来ならもっと若いときに王者になっていたはずの才能の持ち主。)


ヘスス・チャベス 11R TKO レバンダー・ジョンソン

(IBF世界ライト級タイトル戦、2005年)

ジョンソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

チャベス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:チャベスがタイトル獲得。ラスベガス「MGM Grand」でのジョンソンの初防衛戦。相手はこれまで41勝(28KO)3敗の元WBC世界スーパーフェザー級王者チャベス。接近して左右フックを連打するねちっこいタイプ。ジョンソンがいつものように速いジャブからの連打。接近しての打ち合い。チャベスの左フックがしばしばクリーンヒット。11R、ロープ際での連打でレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。ジョンソンはポイント上では劣勢だったようだが、一方的に打たれ続けていたというわけではなかった。11Rに一気に勝負がついた印象。ジョンソンを見るとマーク・ブリーランドを思い出す。よく伸びる長いジャブを使い、共に打たれ強くはない。ブリーランドは全盛時代に王者になれたが、ジョンソンはピークを過ぎてから。そんな状態でもリングに上がり続けたのは稼がねばならなかったからなのだろう。ジョンソンの死は残念なことではあるが、プロボクシングは「どっちが強いか、タフか」を決める過酷な世界。試合に出るには相当な覚悟が必要だ。)

①「IBF World Lightweight Title

Javier Jauregui vs. Leavander Johnson」

②「IBF World Lightweight Title

Stefano Zoff vs. Leavander Johnson」

③「IBF World Lightweight Title

Leavander Johnson vs. Jesus Chavez」

ミゲル・アンヘル・ゴンザレス(Miguel Angel Gonzalez)のページ

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オルズベック・ナザロフ(Orzubek Nazarov)のページ 

2020年12月4日金曜日

ファブリス・ティオーゾ(Fabrice Tiozzo)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

重量級で二階級制覇。「ボクシング兄弟」の弟。マイク・マッカラム戦、エリック・ルーカス戦、ネート・ミラー戦ほかを紹介します。

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ファブリス・ティオーゾ(フランス)

身長185cm:オーソドックス(右構え)


ファブリス・ティオーゾ 12R 判定 マイク・マッカラム

(WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、1995年)

ティオーゾ:左ジャブ、右ストレート、左フック

マッカラム:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでマッカラムがダウン

(感想:ティオーゾがタイトル獲得。「ボクシング兄弟」のティオーゾ(ファブリスの兄はWBA世界S・ミドル級タイトルを獲得したクリストフ・ティオーゾ)。ニックネームは「The Bear(熊)」(大きい体格を例えたものと思われる)。ニューヨークでデビュー。以来、フランスを主戦場に連戦連勝。フランスのL・ヘビー級王座を獲得し、全勝のままバージル・ヒルのWBA世界L・ヘビー級王座に挑戦したが2-1で敗北。欧州L・ヘビー級王座を獲得、防衛し、この二度目の世界挑戦。王者マッカラム(ジャマイカ出身)は「ボディ・スナッチャー」と呼ばれ、左ボディ打ちが巧い三階級制覇王者。フランス・リヨンで行われた一戦。ティオーゾは兄クリストフと同様、ジャブ・ストレートを基本とする正統派。マッカラムはキレのあるジャブを飛ばす。ティオーゾが重い感じのパンチを使い、2Rにダウンを奪う。その後、ジャブの打ち合い。最終ラウンド、勝利を確信しているのか、ティオーゾは打ち合いを避け、ラウンド中にもかかわらず手を上げたりして勝利をアピール(負けてたらどうすんだ?)。判定は3-0。元々J・ミドルだったマッカラムはL・ヘビーの選手ではない。パワーの差でティオーゾが勝った(のだと思う)。両者に大きな力の差は無いように感じた。)


ファブリス・ティオーゾ 12R 判定 エリック・ルーカス

(WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、1996年)

ティオーゾ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ルーカス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

3R:右ストレートでルーカスがダウン

(感想:ティオーゾがタイトル初防衛。挑戦者はこれまで18勝(5KO)1敗2分のルーカス(カナダの白人)。KO数は少ないがアグレッシブな選手。カナダ王座、WBC米大陸王座(いずれもS・ミドル級)を獲得しているが、ブライアント・ブラノン(後、ロイ・ジョーンズのIBF世界S・ミドル級王座に挑戦して2RでKO負け)の北米S・ミドル級王座への挑戦は判定負けに終わっている。フランス・サンテティエンヌで行われた一戦。互いにジャブ・ストレート、そして左フック。しかし、パワーに差があり、ティオーゾの重いジャブにルーカスは押され気味。3R、攻めるルーカスだが、右ストレートでダウン。ティオーゾが優勢で12R終了。判定は3-0。負けたが思い切りのいい打ち方で頑張ったルーカス。後にWBC世界S・ミドル級タイトルを獲得。)


ファブリス・ティオーゾ 12R 判定 ネート・ミラー

(WBA世界クルーザー級タイトル戦、1997年)

ティオーゾ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ミラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ティオーゾが二階級制覇。L・ヘビー級王座を返上し、クルーザー級に転向したティオーゾ。連勝し、この世界挑戦。王者はこれまで30勝(26KO)4敗のミラー。オーリン・ノリスをKOして王座を奪取し、四度の防衛戦は全てKO勝ち。ただ、KO数は多いが、もう34歳。ラスベガス「Thomas & Mack Center」で行われた一戦。ジャブの打ち合い。ミラーは右ストレート、ティオーゾは左フックを狙う。もう一つ盛り上がらない展開のまま12Rを消化。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ティオーゾは勝ったが、階級を上げて動きも重くなった。ミラーはパンチもあるし、見た目も名前も強そうな感じ。しかしながら、攻撃のリズムが悪く、ぎこちない感じだった。打たれ弱いわけではないのだからもっと思い切って「ガツン」と打っていって欲しかったところ。その後、ミラーはIBA、IBOといったマイナー王座戦。オーリン・ノリス(再戦)、トーマス・ハーンズらに敗北。「王者」としてリングに上がったのはティオーゾ戦が最後となった。)


ファブリス・ティオーゾ 2R TKO エゼキエル・パイシャオ

(WBA世界クルーザー級タイトル戦、1998年)

ティオーゾ:左ジャブ、右ストレート、フック

パイシャオ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

1R:連打でパイシャオがダウン

2R:右ストレートでパイシャオがダウン

(感想:ティオーゾがタイトル防衛。ミラーから奪ったWBA王座の初防衛戦は1RでのTKO勝ちだったティオーゾ。二度目の防衛戦。挑戦者パイシャオはブラジル人(褐色の肌)。ブラジル王座戦(L・ヘビー級)でKO負けしたが、後に同王座獲得。しかし、南米王座(L・ヘビー級)、IBFラティノ王座(クルーザー級)は獲れず。このところ地元で連勝中。フランスのモン=ド=マルサンでの一戦(レフェリーはジョン・コイル)。パイシャオが白いコスチュームで自信タップリに入場。次いでティオーゾがWBAベルトを腰に巻き、コスチューム無しで入場(王者の風格)。ゴング。互いにジャブ、ストレート。ただ、「パンチの重さ」「重厚感」はティオーゾ。重いフック連打、左フックのダブル。左ボディが効いたパイシャオ。ラウンド終了間際に連打でダウン。2R、重いパンチをまとめるティオーゾ。強烈な右ストレートでパイシャオがうつぶせにダウン。レフェリーが直ちに試合を止めたほど痛烈な倒れ方だった。ティオーゾが圧勝。動きのスピードはそこそこだったが、重くて正確なパンチ。パイシャオは全体的に軽めだった印象。クルーザー級では厳しかったか。これが最後の試合に。その後もティオーゾは王座を連続KO防衛。しかし、バージル・ヒルに何と1RでKOされ、王座陥落。階級を下げ、かつて獲れなかったWBA世界L・ヘビー級王座獲得。初防衛戦でダリウス・ミハエルゾースキーにTKO勝ち。ブランク後、一試合やって引退。ヒルにKOされたのは残念だが、競争が激しい重量級で実績を残すことができた。)


①「WBC World Super Middleweight Title

Mike McCallum vs. Fabrice Tiozzo」

②「WBC World Super Middleweight Title

Fabrice Tiozzo vs. Eric Lucas」

③「WBA World Cruiserweight Title

Nate Miller vs. Fabrice Tiozzo」

④「WBA World Cruiserweight Title

Fabrice Tiozzo vs. Ezequiel Paixao」


マイク・マッカラム(Mike McCallum)のページ

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エリック・ルーカス(Eric Lucas)のページ

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ネート・ミラー(Nate Miller)のページ

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クリストフ・ティオーゾ(Christophe Tiozzo)のページ 

クリストフ・ティオーゾ(Christophe Tiozzo)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

全勝で世界を獲ったS・ミドル級、ティオーゾ。白仁鉄戦、ポール・ウィテカー戦、ダン・モーガン戦を紹介します。

クリストフ・ティオーゾ(Christophe Tiozzo)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

クリストフ・ティオーゾ(フランス)

身長184cm:オーソドックス(右構え)

クリストフ・ティオーゾ 6R TKO 白仁鉄

(WBA世界S・ミドル級タイトル戦、1990年)

ティオーゾ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

白:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:右ストレートで白がダウン

3R:右ストレートで白がダウン(?)

(感想:ティオーゾがタイトル獲得。「ボクシング兄弟」のティオーゾ(弟ファブリスも優秀な選手。後、世界王者に)。ロサンゼルス・オリンピックではライトミドル級で銅メダル。プロ入りしてこれまで25戦全勝(17KO)。欧州ミドル級王座を獲得。アメリカでも試合をしている。47勝(43KO)2敗の王者、白はハードパンチャー。素早い動きでシャープなパンチを打ち込むのではなく、ジリジリ接近して重いパンチを「ドスンドスン」と当てていくタイプの強打者。フランスで行われた一戦(ティオーゾの世界戦は全てフランス)。ティオーゾがジャブを連打して、右ストレート。白は右ストレートと左フックを狙う。2R、左ジャブからの右ストレートで白がダウン。3R、右ストレートで白はダウン寸前になるが踏みとどまる。(相手が倒れていないのに)さっさとニュートラルコーナーへ行くティオーゾ。(ダウン扱いして?)レフェリーがカウントを取る。6R、白が連打され、マウスピースが飛んだところでストップ。白は右ストレートは悪くなかったが、いきなりの左フックは空振り。ジャブで先手を取られて後手に回ってしまった。ティオーゾはジャブを多く出し、右ストレートもタイミングが良く、ラッシュをかけるときのフック連打に迫力があった。)


クリストフ・ティオーゾ 8R TKO ポール・ウィテカー

(WBA世界S・ミドル級タイトル戦、1990年)

ティオーゾ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ウィテカー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

8R:左フックでウィテカーがダウン

(感想:ティオーゾがタイトル初防衛。ウィテカーはアメリカの白人選手。ウィルフレド・ベニテス、マシュー・ヒルトンと対戦して敗れているが、北米S・ミドル級タイトルを獲得、防衛してこの世界挑戦のチャンスを得た。共にジャブとストレートを基本とする戦い方。丁寧に当てていくティオーゾ。ウィテカーはパワーを込めたフック。8R、左フック連打でウィテカーがダウン。さらに連打でレフェリーストップ。ウィテカーはワイルドな攻めを見せたが、パンチの正確さでティオーゾが上回った。初防衛戦にしてはタフな相手だった印象。後、ウィテカーはKO負けで北米王座から陥落。それが最後の試合となった。)


クリストフ・ティオーゾ 2R TKO ダン・モーガン

(WBA世界S・ミドル級タイトル戦、1990年)

ティオーゾ:左ジャブ、右ストレート、左フック

モーガン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでモーガンがダウン

(感想:ティオーゾがタイトル防衛。ティオーゾの二度目の防衛戦は注目の全勝対決。ミネソタ州出身のモーガン。ダリル・ミラー(日本でミッキー・ロークと戦った男)に勝利するなど、これまで全勝。一体どんなスゴイ奴なのか、といったところ。しかしながら実力差が。1Rからティオーゾの右ストレートがヒット。2R、左フック連打でモーガンがダウン(ウィテカー戦と同じような倒し方だった)。コーナーにモーガンを追い詰めて連打、レフェリーストップ。モーガンはジャブは悪くなかったが、それ以外のパンチはもう一つ。出血したもののティオーゾが圧勝。しかし、ここまで。次の防衛戦でパナマのビクトル・コルドバの大きなフックを食らってKO負け、王座陥落。階級を上げてジェフ・ハーディングのWBC世界L・ヘビー級王座に挑戦したがKO負け。世界戦が全てフランスで行われたこと、その相手が国際的にマイナーな選手だったことから地味な存在で終わってしまったのが残念。)

①「WBA World Super Middleweight Title

In Chul Baek vs. Christophe Tiozzo」

②「WBA World Super Middleweight Title

Christophe Tiozzo vs. Paul Whittaker」

③「WBA World Super Middleweight Title

Christophe Tiozzo vs. Dan Morgan」 

白仁鉄(In Chul Baek)のページ

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ジェフ・ハーディング(Jeff Harding)のページ

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ファブリス・ティオーゾ(Fabrice Tiozzo)のページ

ジャン=マルク・モルメク(Jean-Marc Mormeck)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

クルーザー級のパワーファイター、モルメク。バージル・ヒル戦(初戦)、アレクサンダー・グロフ戦、ウラジミール・クリチコ戦を紹介します。

ジャン=マルク・モルメク(Jean-Marc Mormeck)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジャン=マルク・モルメク(フランス)

身長181cm:オーソドックス(右構え)

ジャン=マルク・モルメク 9R TKO バージル・ヒル

(WBA世界クルーザー級タイトル戦、2002年)

モルメク:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ヒル:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:モルメクがタイトル獲得。フランス領グアドループ出身のモルメク。ニックネームは「The Marksman(狙撃手)」。6歳の時にパリへ移住。ボクシングは11歳で始めたらしく、アマチュアのリングへ(フットボールやムエタイの経験もあるそうだ)。プロデビュー初期に二連敗してしまったが、それ以降は連勝。フランス王座、WBAのインター王座(いずれもL・ヘビー級)を獲得し、この世界初挑戦。ヒルは二階級制覇王者(L・ヘビー級、クルーザー級)。「パワーはそれほどでもない」という評価のある選手だが、フランスでファブリス・ティソーゾ(フランス)から1RでのTKOで王座を奪取するサプライズ。フランスのボクシング界としては王座を奪回したいところ。フランスで行われた試合。ヒルの背中には「GOLDEN PALACE COM」の文字(広告? かっこよくない感じ)。ガードを固めて左右フック攻撃のモルメク。ヒルはポイント狙いの軽いジャブ・連打。なかなかパンチが当たらないモルメク。ヒルが判定で勝つパターンの流れ。ところが次第にモルメクのパワーが優勢に。8R終了でヒルが棄権。ダウンシーンは無し。モルメクの方が重量級らしい打ち方。勝って良かったと思う。ヒルは守りに回るとつまらない試合をする(L・ヘビー級王者時代はそんな試合が多かった。挑戦者の時はいい試合をするが)。後、この王座を再び獲得。)


ジャン=マルク・モルメク 9R TKO アレクサンダー・グロフ

(WBA世界クルーザー級タイトル戦、2002年)

モルメク:左ジャブ、右ストレート、左右フック

グロフ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

7R:連打でグロフがロープダウン

(感想:モルメクがタイトル防衛。ラスベガス「Thomas & Mack Center」での二度目の防衛戦。挑戦者グロフはウクライナのサウスポー。欧州王座、WBAやIBFのインター王座(全てクルーザー級)を獲得しているが、ネート・ミラーのWBA世界クルーザー級王座に挑戦した時は2RでTKO負け。強いのかそうでないのかよくわからない選手。サウスポースタイルからグロフがジャブ連打、ボディ打ち。モルメクはガードを固めてフック攻撃。打ち合い。7R、連打でグロフがロープダウン。9R、さらに連打でレフェリーストップ。グロフは器用なタイプで左のボディ打ちが良かったが、モルメクがパワーで勝利。重量級らしい勝ち方だった。)


ウラジミール・クリチコ 4R KO ジャン=マルク・モルメク

(WBA・IBF・WBO世界ヘビー級タイトル戦、2012年)

モルメク:左ジャブと右フック

クリチコ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:右ストレートでモルメクがダウン

4R:左フックでモルメクがダウン

(感想:クリチコがタイトル防衛。デビッド・ヘイにTKO負けを喫してクルーザー級王座から陥落したモルメク。ヘビー級に転向。WBAのインター王座(ヘビー級)を獲得し、この世界挑戦。王者クリチコ(ウクライナ)は説明不要の巨人。兄ビタリと共に当時のヘビー級を支配していた男。ドイツでの一戦。かなりの身長差。ガードを固めて前に出るモルメク。クリチコは小手先のジャブ。2R、ジャブからの右ストレートでモルメクがダウン。4R、ワンツーからの左フックでモルメクがダウン、KO。体格差にビビってしまったのか、ほとんど何もできなかったモルメク。これが最後の世界戦に。その後、二試合やって引退。この人はクルーザー級時代の方がパワフルで良かった。ファイトマネーはヘビーの方がよかっただろうけども。)

①「WBA World Cruiserweight Title

Virgil Hill vs. Jean-Marc Mormeck」

②「WBA World Cruiserweight Title

Jean-Marc Mormeck vs. Alexander Gurov」

③「WBA・IBF・WBO World Heavyweight Title

Wladimir Klitschko vs. Jean-Marc Mormeck」

バージル・ヒル(Virgil "Quicksilver" Hill)のページ

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デビッド・ヘイ(David Haye)のページ

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ウラジミール・クリチコ(Wladimir Klitschko)のページ 

アルフレッド・コール(Alfred "Ice" Cole)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

長身の世界クルーザー級王者、コール。ネート・ミラー戦(初戦)、ビンセント・ボールウェア戦、ユーライア・グラント戦(再戦)を紹介します。

アルフレッド・コール(Alfred "Ice" Cole)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

アルフレッド・コール(アメリカ)

身長193cm:オーソドックス(右構え)

アルフレッド・コール 12R 判定 ネート・ミラー

(全米クルーザー級タイトル戦、1991年)

コール:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ミラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:コールがタイトル防衛。ニュージャージー州アトランチックシティ出身のコール。「アイスマン」と呼ばれる男(「アイスクリーム屋」というわけではない。IQが147もあり、「クールな頭脳派」という意味らしい)。ソウル五輪の国内予選でアンドリュー・メイナード(金メダル獲得)に敗れ、プロ入り。レイ・マーサー、チャールズ・マレーとトリオで売り出されてきた。身長は193cm。しかし、細身であり、「パワーはそれほどでもない」という評価も。レオン・テイラーという選手に2-1の判定で敗れ、初黒星。テイラーとのリターンマッチは空位の全米クルーザー級タイトルを懸けて行われ、コールが3-0で勝利。これが初防衛戦。ミラーもまた世界を狙う選手。タフ男バートクーパーに勝利したが、直前の試合ではジェームズ・ワーリングと北米クルーザー級タイトルを争い、3-0で敗北している。後の世界王者同士の対戦。長いジャブ、ストレートが武器のコール。ミラーはパワーを込めた打ち方。しかしながら、もみ合いとクリンチが多い内容。少し攻めては休むミラー。判定は3-0。コールの手数・攻める姿勢が評価されたか。ダウンシーンは無し。コールは勝ったが、距離を取らないとパンチを上手く生かせないようだ。)


アルフレッド・コール 5R TKO ビンセント・ボールウェア

(IBF世界クルーザー級タイトル戦、1993年)

コール:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ボールウェア:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

5R:右アッパーでボールウェアがダウン

(感想:コールがタイトル防衛。ジェームズ・ワーリングに勝ってIBF世界クルーザー級王者になったコール。アトランチックシティで三度目の防衛戦。相手のボールウェアは有名な「クロンク・ジム」の選手。グラシアノ・ロッシジャーニ(S・ミドル級)、チャールズ・ウィリアムス(L・ヘビー級)と世界王座を争ったが、いずれも敗北。これが三度目の世界挑戦となる。トーマス・ハーンズがTV解説する中、ゴング。ボールウェアがパワーを込めた打ち方で前に出る。コールはパンチにキレがあり、伸びるストレートと振りの大きい左フックを使う。2R、右アッパーでボールウェアのマウスピースが飛ぶ。5R、右アッパーがカウンターでヒットしてボールウェアがダウン。最後はコーナー付近での連打でレフェリーストップ。コールが快勝。「パンチのキレと回転の速さ」「思い切りのいい打ち方」が良かった。)


アルフレッド・コール 12R 判定 ユーライア・グラント

(IBF世界クルーザー級タイトル戦、1995年)

コール:左ジャブ、右ストレート、左右フック

グラント:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:コールがタイトル防衛。初防衛戦で戦ったジャマイカのグラントとアトランチックシティで再戦。IBF1位のグラントはこれまで23勝(22KO)10敗。戦績が示すように、パワーはあるが、無器用さもあるタイプ。IBFのインター王座(L・ヘビー級)を獲得しているが、ボビー・チェズやフランク・テートに敗北している。重いジャブを飛ばすグラント。コールは速いジャブと連打。接近戦。判定は3-0。手数が評価されたか。ダウンシーンは無し。パワーのある相手によく踏ん張ったコール。この後タイトルを返上してヘビー級に転向(グラントはその後、このタイトルを獲得)。ハンドスピードで勝ってきたコール。ヘビー級では通用せず、負けが多くなっていった。IQが147もある頭脳派ではあったが、ヘビー級への進出は「賢い判断」だったのだろうか?  引退後はトレーナーとして若い選手を指導しているそうだが、現役時のダメージは大丈夫なのだろうか?)

①「USBA Cruiserweight Title

Alfred Cole vs. Nate Miller」

②「IBF World Cruiserweight Title

Alfred Cole vs. Vincent Boulware」

③「IBF World Cruiserweight Title

Alfred Cole vs. Uriah Grant」 

ジェームズ・ワーリング(James Warring)のページ

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ネート・ミラー(Nate Miller)のページ

2020年12月2日水曜日

用皆政弘(Yogai Masahiro)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界に挑戦した日本ライト級王者、用皆。根岸多美男戦(初戦)、高橋仁戦、金相賢戦を紹介します。

用皆政弘(Yogai Masahiro)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

用皆政弘(日本)

身長 cm:オーソドックス(右構え)

用皆政弘 10R TKO 根岸多美男

(日本ライト級タイトル戦、1977年)

用皆:左ジャブ、右ストレート、左右フック

根岸:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フックで根岸がダウン

3R:右ストレートで用皆がダウン

5R:左フックで根岸がダウン

10R:右フックで根岸がダウン

(感想:用皆がタイトル獲得。鹿児島出身の用皆。アマチュアでの経験があり、オリンピック(モントリオール大会)の代表候補にもなったとか。プロ入り後はこれまで9勝(6KO)3敗。バトルホーク風間(後に世界挑戦)をKO。ランキング1位で左フックが武器。王者の根岸は18勝(8KO)8敗4分。右ストレートを得意とする選手で、二度日本王座を獲得しており、用皆との防衛戦は奪回した王座の初防衛戦となる(この試合の実況は杉浦滋男、解説は西城正三)。ジャブ連打からの右ストレートで攻める根岸。用皆は左フックで応戦。2R、3Rのダウン応酬。5Rのダウン。10R、残り時間わずかのところで根岸がダウン。立ったがストップ。共に「これで倒す」という武器を持っていたが、用皆の大きな振りのパンチに軍配が上がった。根岸も手数が多く、良いストレートを打っていた。再戦(ダイレクト・リマッチ)も用皆のKO勝ち。根岸はその次の試合もKOで敗れ、それが最後の試合となった。)


用皆政弘 2R KO 高橋仁

(日本ライト級タイトル戦、1978年)

用皆:左ジャブ、右ストレート、左右フック

高橋:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フックで3度、高橋がダウン

(感想:用皆がタイトル防衛。二度目の防衛戦。ランキング1位の高橋(セコンドにファイティング原田)。用皆を判定で下したことがある。経験豊富であるが日本王座への挑戦はこれが初めて。このところ連勝中。注目の再戦。用皆が得意の右ストレート・左フック。高橋はジャブ。2R、三度のダウンで終了。打ち合いに持ち込んで、得意のパンチを爆発させた用皆。身体全体のパワーで勝負が付いた。高橋は次の試合にKO勝ちして引退。)


金相賢 11R KO 用皆政弘

(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1979年)

用皆:左ジャブ、右ストレート、左右フック

金:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

11R:左ストレートで用皆がダウン

(感想:金がタイトル防衛。日本ライト級王座の三度目の防衛に成功した用皆。王座返上。連勝し、この世界初挑戦。金はセンサク・ムアンスリンをKOして王者になった選手。丁寧にジャブを使う堅実なタイプ。距離を取りながらジャブ・ストレートの金。WBC9位の用皆は右ストレート・左フックで接近戦を仕掛けようとする。しかしながら金は打ち合いには付き合わず、かわして左ストレートを決める。7R、左ストレートでダウン寸前になる用皆。11Rのダウンで勝負が付いた。用皆は得意のパンチで攻めたがディフェンスされ、逆に相手の一番得意なパンチで倒された。日本レベルでは強くても、世界で勝負するには「ディフェンスとパンチの正確さ」がさらに必要。用皆は再起戦で判定負けし、それがラストファイトとなった。金もまた次の防衛戦でソウル・マンビーにKOされ、王座陥落。WBA王者アーロン・プライアーにKO負け。王座に返り咲くことはなかった。)

①「Japanese Lightweight Title

Negishi Tamio vs. Yogai Masahiro」

②「Japanese Lightweight Title

Yogai Masahiro vs. Takahashi Hitoshi」

③「WBC World Super Lightweight Title

Sang-Hyun Kim vs. Yogai Masahiro」 

センサク・ムアンスリン(Saensak Muangsurin)のページ

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金相賢(Sang-Hyun Kim)のページ

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ソウル・マンビー(Saoul Mamby)のページ

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アーロン・プライアー(Aaron Pryor)のページ

金相賢(Sang-Hyun Kim)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

サウスポーの世界J・ウェルター級王者、金相賢。フィッツロイ・グイセッピ戦、金光文戦(再戦)、アーロン・プライアー戦を紹介します。

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金相賢(韓国)

身長175cm:サウスポー

金相賢 15R 判定 フィッツロイ・グイセッピ

(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1979年)

金:右ジャブ、左ストレート、左右フック

グイセッピ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左ストレートでグイセッピがダウン

15R:右フックでグイセッピがダウン

(感想:金がタイトル初防衛。釜山出身の金。プロデビュー以来、連戦連勝。無敗のまま東洋太平洋J・ウェルター級王座に挑戦したが、判定負けで王座獲得ならず。さらに連勝し、同王座獲得。タイの伝説的な王者センサク・ムアンスリンをKOして世界王者に。これが初防衛戦。挑戦者グイセッピはトリニダード・トバゴの黒人選手。国内王座(ライト級)を獲得したことがあるが、クロード・ノエルに王座を奪われるなど敗北が多い。ソウルでの一戦。ジャブを使って慎重に攻める金(丁寧なボクシングをする男)。共にジャブからのストレートを狙う。2R、左ストレートでグイセッピがダウン。12R、左ストレートでグイセッピがグラつく。15R、二度目のダウン。判定は3-0。どちらのストレートが良かったか、といった内容だった試合。ダウンを奪った分、ポイントで金が上回った。グイセッピの思い切って打っていく右ストレートには迫力があった。金はもっと左フックを使えばよかったかも。)


金相賢 10R 判定 金光文

(J・ウェルター級戦、1981年)

金相賢:右ジャブ、左ストレート、左右フック

金光文:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:日本で二度目の防衛に成功したがソウル・マンビーにKOされて王座を失った金相賢。その再起戦で戦った金光文と釜山で再戦(初戦は3-0で金相賢)。金光文は右ストレートが強そうなファイタータイプ。攻める金光文。ジャブとディフェンスの金相賢。どちらが勝っているとは言い難い打ち合い。判定は2-0で金相賢。ダウンシーンは無し。ボクサーとファイターの試合にありがちな「採点が難しそうな試合」だった。個人的には攻めた方にポイントをつけたいが・・・。)


アーロン・プライアー 3R TKO 金相賢

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1983年)

金:右ジャブ、左ストレート、左右フック

プライアー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:プライアーがタイトル防衛。マンビー戦以来、無敗を続ける金。東洋太平洋J・ウェルター級王座を再び獲得して防衛を続け、この世界挑戦。「シンシナティの荒鷲」プライアーはこれまで32戦全勝(30KO)の強打者で、27歳(金は28歳。意外にも(?)一つしか違わない)。アトランチックシティでの一戦。いきなりラッシュするプライアー。ロープを背負って応戦する金。3R、連打でストップ。ダウンシーンは無し。プライアーの強烈な右ストレート・左右フック。金はほとんど何もできなかった。ただ、ダウンしなかったタフさは立派なもの。金はこれで引退。プライアーの次の試合はアレクシス・アルゲリョとの再戦。これに勝利したプライアーは素晴らしいキャリアを築くはずだったが・・・。)

①「WBC World Super Lightweight Title

Sang-Hyun Kim vs. Fitzroy Guisseppi」

②「Super Lightweight 

Sang-Hyun Kim vs. Kwang Min Kim」

③「WBA World Super Lightweight Title

Aaron Pryor vs. Sang-Hyun Kim」

センサク・ムアンスリン(Saensak Muangsurin)のページ 

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ソウル・マンビー(Saoul Mamby)のページ

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アーロン・プライアー(Aaron Pryor)のページ

キース・ホームズ(Keith Holmes)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC世界ミドル級王者。クインシー・テイラー戦、ポール・ベイデン戦、アッシン・シェリフィー戦(初戦・再戦)を紹介します。「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

キース・ホームズ(Keith Holmes)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

キース・ホームズ(アメリカ)

身長188cm:サウスポー


キース・ホームズ 9R TKO クインシー・テイラー

(WBC世界ミドル級タイトル戦、1996年)

ホームズ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

テイラー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

9R:右フックでテイラーがダウン

(感想:ホームズがタイトル獲得。ワシントンD.C.出身のホームズ。リーチが198cmもあり、しかもサウスポー。長いジャブ・ストレートが武器で、相手からすればやりにくいタイプ。アトランチックシティでプロデビュー。ケルシー・バンクス(アマチュアで実績があった選手。プロでは大成せず)をTKOで下したり、全米J・ミドル級王座を決定戦で獲得したりといった実績。王者テイラーは強打者ジュリアン・ジャクソンを破って王者になったサウスポー。これが初防衛戦。ラスベガス「MGM Grand」で行われたサウスポー対決(会場でIBF王者バーナード・ホプキンスが観戦)。伸びるパンチを使うホームズ。テイラーは連打しようとする。9R、左ストレートからの右フックでテイラーがダウン。立ったが、連打でストップ。ホームズが体格のアドバンテッジを生かして得意パンチで試合を有利に進め、勝利。テイラーは右ボディーからの左ストレートなどの良い攻撃があったが、ホームズの懐の深さに吸収されてしまった。そしてこの試合が事実上のラストファイトに。ブランク後、カムバックして二勝。)

                

キース・ホームズ 11R TKO ポール・ベイデン

(WBC世界ミドル級タイトル戦、1997年)

ホームズ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ベイデン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:左ストレート、右フックで2度、ベイデンがダウン

11R:右フックでベイデンがダウン

(感想:ホームズがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者ベイデンは元IBF世界J・ミドル級王者。テリー・ノリスに王座を奪われた後、再起三連勝でWBC4位。フロリダ州ポンパノビーチでの一戦。相手がサウスポーだからなのか、動きがぎこちないベイデン。右ストレートを狙うが当たらない。ホームズはジャブ・ストレートでカウンターを取り、ボディ打ち。4Rの二度のダウン。二度目のダウンはベイデンが座り込むような感じのもので、このまま試合終了か、と思われたほど。11R、ラッシュをかけるホームズ。右フックでベイデンがダウン。立ったがダメージ深く、ストップ。ベイデンは攻めてもディフェンスされてパンチが当たらず、逆に打たれるばかり。観ていて気の毒に思えた。この後、ベイデンはブランク。カムバックして全米J・ミドル級王座を獲得したが、次の試合に敗れて引退。)


アッシン・シェリフィー 12R 判定 キース・ホームズ

(WBC世界ミドル級タイトル戦、1998年)

ホームズ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

シェリフィー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

9R:右フックでシェリフィーがダウン

(感想:シェリフィーがタイトル獲得。ホームズの三度目の防衛戦。挑戦者シェリフィーはフランス・リヨン出身。前髪が寂しいが、それは体質によるもの。デビュー戦は判定負け。二度目のチャレンジでフランス・ミドル級王座獲得。欧州ミドル級王座も獲得、防衛。ロビン・リードのWBC世界スーパーミドル級王座に挑戦して2-1の敗北。何とその再起戦で、この二度目の世界挑戦。フランス・ビルールバンヌでの一戦(リングアナは二人。ジミー・レノン・ジュニアとおそらくフランス人。レフェリーはラリー・オコーネル)。相手から距離を取って右ジャブを連打するホームズ。シェリフィーは攻めの姿勢。ダッキング、ブロッキングしながら右ストレート、左フック。接近戦。互いにディフェンス、フック、ボディ打ち。当てる巧さを見せるホームズ。シェリフィーは大きなフックを空振りしてバランスを崩したりするシーンも。8Rに攻めたシェリフィーだが、9Rに右フックでダウン。その後も攻めるシェリフィー、隙を突くホームズ。12R終了。共に手を上げて自身の勝利をアピール。シェリフィー陣営はまだ判定のアナウンスがされていないにもかかわらずまるで勝ちが確実であるかのような興奮状態。判定は僅差の3-0。映像ではホームズが当てるテクニックで勝っていたように見えたが、ジャッジはシェリフィーの攻める姿勢を評価したようだ。後、二人は王座を懸けて再戦。)


キース・ホームズ 7R TKO アッシン・シェリフィー

(WBC世界ミドル級タイトル戦、1999年)

ホームズ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

シェリフィー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ホームズがタイトル奪回。シェリフィーに判定負けしてタイトルを失ったホームズ。再起二連勝でシェリフィーと再戦。王者シェリフィーはホームズ戦後、ノンタイトル戦に勝利。再戦が初防衛戦に。初戦は地元で勝利したが、相手の地元での再戦はどうか? ワシントンD.C.での一戦。ホームズが距離を取ってジャブ。シェリフィーは右ストレートと振りの大きい左フックで接近戦を仕掛ける。7R、左フックでグラついたシェリフィーにホームズがラッシュ。左右フックの連打でストップ(ダウンシーンは無し)。タフなシェリフィーは「早いストップ」に不満な様子だった。王座奪回のホームズ。基本はアウトボクサーだが、打ち合いでも強かった。その後の二人。シェリフィーはウィリアム・ジョッピーのWBA王座に挑戦するチャンスを得たが、勝てず。勝ったり負けたりに。ホームズは防衛を続けたが、IBF王者ホプキンスに判定で敗れ、王座陥落。それが最後の世界戦に。ホームズはどちらかと言うとマイナーな選手だったような印象があるが、その長いリーチから繰り出す右フックは歴代の王者たちと比べても遜色のない威力があった。)


①「WBC World Middleweight Title

Quincy Taylor vs. Keith Holmes」

②「WBC World Middleweight Title

Keith Holmes vs. Paul Vaden」

③「WBC World Middleweight Title

Keith Holmes vs. Hacine Cherifi」

④「WBC World Middleweight Title

Hacine Cherifi vs. Keith Holmes」



ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(Veeraphol Nakhornluang Promotion)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

辰吉、西岡、長谷川らとの試合で日本でも有名な世界バンタム級王者、ウィラポン。ダオルン・MPペトロリアム戦、辰吉丈一郎戦(初戦・再戦)を紹介します。

ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(Veeraphol Nakhornluang Promotion)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)

身長160cm:オーソドックス(右構え)

ウィラポン 12R 判定 ダオルン・MPペトロリアム

(WBA世界バンタム級タイトル戦、1995年)

ウィラポン:左ジャブと右ストレート

ダオルン:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:ウィラポンがタイトル獲得。日本でもおなじみのウィラポン。ニックネームは「デスマスク(死者の顔)」(表情を全く変えずに強打で攻撃する姿を形容しているらしい)。「ナコンルアンプロモーション」とはスポンサーになっている映画会社の名前。ムエタイで三階級制覇。国際式(プロボクシング)に転向。デビュー戦でWBCインター王座(スーパーフライ級)を獲得し、初防衛にも成功。WBA12位としてデビュー四戦目でこの世界初挑戦。王者ダオルンはサウスポーのファイターでこれが三度目の防衛戦。後にフライ級で活躍するポンサクレックにファイトスタイルも顔も似ている。ジャブでジリジリ前に出るダオルン。ウィラポンは距離を取ってジャブ。互いにストレート狙い。ダオルンの攻撃をかわして細かいパンチを当てるウィラポン。判定は2-1。ウィラポンの手数と正確さが評価されたか。ダウンシーンは無し。はっきり言ってエキサイティングではない勝ち方。確実に勝ちたかったのだろう。それにしてもタイの選手には似たような選手が多い。強いが、まるでコピーのようだ。ソット・チタラダみたいなボクサータイプ、カオサイ・ギャラクシーのようなパワー重視のサウスポー、サマン・ソーチャトロンのようなガッチリした体のファイター。アナタはどれが好みですか?)


ウィラポン 6R TKO 辰吉丈一郎

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1998年)

ウィラポン:左ジャブ、右ストレート、左フック

辰吉:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

6R:左フックで辰吉がダウン

(感想:ウィラポンがWBCタイトル獲得。強打者ナナ・コナドゥ(ガーナ)に豪快にKOされてWBAタイトルを初防衛戦で失ったウィラポン。パワーアップして連勝。今度はWBCタイトルを狙う。辰吉は日本で人気の王者。目の負傷でブランクを作ってしまったり、ダニエル・サラゴサに二度敗れたりするなど苦難の連続だったが、WBC王座を奪回。ウィラポン戦は三度目の防衛戦となる。大阪で行われた一戦。辰吉がフットワークと速いジャブ。ウィラポンはパワーを込めたジャブ。6R、左を使いながら前に出る辰吉だが、左フックでダウン。再開後、連打を浴びてレフェリーストップ。辰吉はストップ後にゆっくりと倒れた。辰吉はテクニシャンタイプ。足を使う戦法は正しかったと思うがやられてしまった。ウィラポンのパンチはスピードがあって「ガツン」といった感じのもの。プロボクサーとして理想的なパンチだ。)


ウィラポン 7R TKO 辰吉丈一郎

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1999年)

ウィラポン:左ジャブ、右ストレート、左フック

辰吉:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ウィラポンがタイトル防衛。初防衛に成功したウィラポンが二度目の防衛戦で辰吉と再戦。試合地は再び大阪。共にジャブ・右ストレートを使うが、パワーと攻撃の正確さはウィラポン。打たれる辰吉(3Rほか)。7R、右ストレートで「ガクン」となった辰吉。レフェリーストップ。ダウンシーンは無し。ウィラポンは気力・体力が充実した状態。辰吉にはパワーが感じられなかった。ウィラポンはこの後も防衛を続け、西岡利晃のバンタム級タイトル獲得を何度も阻止。14度防衛したがサウスポーの長谷川穂積に敗れ、ついに王座陥落。再戦でも敗れ、それが最後の世界戦に。しかし、その後もリングに上がり続け、勝利を重ねた。現役時代は練習熱心で真面目だったというウィラポン。引退後はトレーナーとして活躍。レストランも経営しているとのこと。)

①「WBA World Bantamweight Title

Daorung MP-Petroleum vs. Veeraphol Nakhornluang Promotion」

②「WBC World Bantamweight Title

Tatsuyoshi Joichiro vs. Veeraphol Nakhornluang Promotion」

③「WBC World Bantamweight Title

Veeraphol Nakhornluang Promotion vs. Tatsuyoshi Joichiro」

辰吉丈一郎(Tatsuyoshi Joichiro)のページ

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長谷川穂積(Hasegawa Hozumi)のページ

2020年11月27日金曜日

ロニー・ブラッドリー(Lonnie Bradley)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

長い右ストレートを打つWBO世界ミドル級王者。ビクトル・ガリンデス戦、ランディー・スミス戦、サイモン・ブラウン戦ほかを紹介します。

ロニー・ブラッドリー(Lonnie Bradley)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ロニー・ブラッドリー(アメリカ)

身長180cm:オーソドックス(右構え)


ロニー・ブラッドリー 1R KO マーセル・ハファカー

(ミドル級戦、1993年)

ブラッドリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ハファカー:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

1R:左ボディでハファカーがダウン

(感想:サウスカロライナ州チャールストン出身の黒人ブラッドリー。長いジャブ・ストレートを打つトーマス・ハーンズ型の選手(ややパワーに重きを置いた打ち方)。アマチュアで優秀な成績。プロ入り後、これまで7連勝(6KO)。ハファカーはオハイオ州の黒人で、5勝(4KO)4敗2分。直前の試合は四回戦で、2-0の勝利。ニューヨークでの一戦(リングアナはエド・デリアン)。共にスリムな体型で、鍛えた身体。互いに速いジャブ。ハファカーはシャープで振りが大きい左フックを振るう。ブラッドリーはワンツーからの左フック、回転の速い連打。フックはショートで小気味よい。左フックをボディにダブルで打ち込んだブラッドリー。間を置いて倒れたハファカーはそのままレフェリーストップ。ブラッドリーが隙を突く左フックで勝利。実にキレのいいパンチだった。ハファカーもパンチにスピードがあって良かったが、大きな振りのパンチは隙も大きい。これが事実上のラストファイトに。後、カムバックしたが二連続KO負けだった。)


ロニー・ブラッドリー 1R KO ビクトル・ガリンデス

(WBO世界ミドル級タイトル戦、1996年)

ブラッドリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ガリンデス:左ジャブと左右フック

(ダウンシーン)

1R:右ストレート、左フックで2度、ガリンデスがダウン

(感想:ブラッドリーがタイトル初防衛。ハファカー戦後も連勝のブラッドリー。ニューヨーク州ミドル級王座を獲得後、WBO世界ミドル級王座決定戦に出場。最終ラウンドでのTKO勝ちで世界王者に。挑戦者ガリンデス(元WBA世界ライトヘビー級王者とは別人)はアルゼンチンの選手でWBO1位、無敗。しかし、これまでの試合はほとんど地元。どんな選手なのか? カリフォルニア「グレート・ウェスタン・フォーラム」での一戦。大きな実力差。1R、ブラッドリーの右ストレートでグラつくガリンデス。二度のダウンで終了。パンチが効いてしまえばランキングも過去の実績も関係なし。ガリンデスは強さを見せる前に終了。短い試合だったが、ブラッドリーはジャブが効果的だった。ガリンデスはその後も地元で多くの試合。しかし、WBOラティノ王座戦(ミドル級)で判定負け。以後は負けが増えていくようになった。)


ロニー・ブラッドリー 2R KO ランディー・スミス

(WBO世界ミドル級タイトル戦、1996年)

ブラッドリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

スミス:左ジャブと右ストレート

(ダウンシーン)

2R:右フック、連打で2度、スミスがダウン

(感想:ブラッドリーがタイトル防衛。ニューヨークでの二度目の防衛戦。WBO10位のスミス。デビュー四戦目で敗北したが、それ以降は負け無し。直前の試合ではNABOミドル級王座を獲得している。しかしながら、ぎこちない打ち方。ブラッドリーが長いジャブ・ストレートに加え、左ジャブ・左フックといった左のパンチを器用に使う。1Rに右ストレートでグラついたスミス。「ダウン」だと思ったブラッドリーはコーナーへ。2R、二度のダウンで終了。ミスマッチな世界戦。ブラッドリーはこれで23戦全勝(19KO)に。その後、スミスは再起戦でKO負け、引退。)


ロニー・ブラッドリー 12R 判定 サイモン・ブラウン

(WBO世界ミドル級タイトル戦、1996年)

ブラッドリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ブラウン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ブラッドリーがタイトル防衛。四度目の防衛戦の相手は強敵。挑戦者ブラウンは二階級制覇王者(ウェルター級、J・ミドル級)。これまで45勝(32KO)5敗のハードパンチャー。ブラッドリーにとっては試練。真価が問われる試合。ペンシルベニア州レディングでの一戦。パワフルな右ストレート・左フックで前進するブラウン。ブラッドリーはフットワークを使いながらジャブ・右ストレート。距離を取ってポイントを狙う。打ち合いではブラウンが優勢(8Rなど)。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ブラッドリーが「打ち合わない作戦」で防衛。できればブラウンをKOして「ミドル級最強」と言われるような試合をして欲しかったところ。しかしながら、下の階級からやってきたブラウンの方がむしろパワーがあった。ブラッドリーの戦法が正しかったのかも。ブラウンは試合には負けたが、ミドル級でも危険な存在であることを証明(しかし、バーナード・ホプキンスのIBF王座に挑戦してTKO負け。以後、全敗。ミドル級の世界王者にはなれず)。その後、ブラッドリーは六度の防衛に成功し、王座返上。ブランク後にカムバック。最後の試合はTKO負け、初黒星。王者のまま引退していれば「全勝王者」として記録に残れた。なぜ中途半端に戦線離脱し、カムバックしたのだろう?)


①「Middleweight 

Lonnie Bradley vs. Marcel Huffaker」

②「WBO World Middleweight Title

Lonnie Bradley vs. Victor Galindez」

③「WBO World Middleweight Title

Lonnie Bradley vs. Randy Smith」

④「WBO World Middleweight Title

Lonnie Bradley vs. Simon Brown」


サイモン・ブラウン(Simon Brown)のページ 

デビッド・ヘイ(David Haye)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

クルーザーとヘビーで二階級制覇、ヘイ。ジャン=マルク・モルメク戦、ニコライ・ワルーエフ戦、ジョン・ルイス戦を紹介します。

デビッド・ヘイ(David Haye)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

デビッド・ヘイ(イギリス)

身長191cm:オーソドックス(右構え)

デビッド・ヘイ 7R KO ジャン=マルク・モルメク

(WBA・WBC世界クルーザー級タイトル戦、2007年)

ヘイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

モルメク:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:右ストレートでヘイがダウン

7R:右フックでモルメクがダウン

(感想:ヘイがタイトル獲得。ロンドン出身のヘイ。母はイギリスの白人、父はジャマイカの黒人。個性的な選手でモデルとしても活躍。自身をプロモートするプロダクション会社を設立したり、格闘家のインストラクターとして活躍したり、健康食品に取り組んだり。アマチュアではヨーロッパの大会で優勝したこともあるヘイ。22歳でプロに。英国王座(クルーザー級)を獲得したが、カール・トンプソン(元WBO世界クルーザー級王者)に敗れて初黒星。その後は欧州王座(クルーザー級)を獲得、防衛し、連勝中。王者モルメクはフランスの黒人選手でバージル・ヒルから王座を奪った男。一度は王座を奪われたが奪回。これが初防衛戦となる。フランスで行われた一戦。ドレッドヘアーにユニオンジャックのトランクスのヘイ。なかなか派手で個性的。左のガードを下げた構えからジャブを飛ばし、右ストレート・左右フックを自在に打ち込む。王者モルメクはブロックしながら接近してフック攻撃。ヘイが回転の速い連打、モルメクはパワーを込めた左ジャブ・右ストレート。4R、モルメクの左フックで足に来たヘイ。さらに右ストレートでダウン。しかし、ヘイは立ち直るのが早い。7R、連打からの右フックでモルメクがダウン。立ったがストップ。比較的地味な選手が多いクルーザー級に華やかな王者が誕生。ヘイはアグレッシブでパワフルだった。モルメクはなかなかの実力者。負けたからといって評価が下がることはないはず。その後、ヘビー級に転向し、負けたがウラジミール・クリチコの世界王座に挑戦した。)


デビッド・ヘイ 12R 判定 ニコライ・ワルーエフ

(WBA世界ヘビー級タイトル戦、2009年)

ヘイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ワルーエフ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ヘイが二階級制覇。モルメク戦の次の試合でWBO王座を獲得し、統一に成功したヘイ。クルーザー王座を返上し、ヘビー級へ。王者ワルーエフはロシアの巨人で、身長213cm。元クルーザー級のヘイとはかなりの体格差がある。ドイツで行われた興味深い一戦。ジャブを使うワルーエフ(身体はデカいがパンチは細かい)。ヘイは下手に近づかないようにしながらジャブ、時々右フック(当たらない)。最大の見せ場は最終12R。左フックでグラつくワルーエフ。完全に足に来た。判定は2-0。ダウンシーンは無し。全体的にはワルーエフがジャブで勝っていたような気もする(気のせい?)。勝って大喜びのヘイ。ワルーエフはこれで引退。)


デビッド・ヘイ 9R TKO ジョン・ルイス

(WBA世界ヘビー級タイトル戦、2010年)

ヘイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ルイス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでルイスがダウン

5R:右フックでルイスがダウン

6R:右フックでルイスがダウン

(感想:ヘイがタイトル初防衛。英国で行われた初防衛戦。挑戦者で元WBA王者のルイスは「静かなる男」などと呼ばれる比較的地味な選手。1R、ルイスがジャブからの右ストレートを狙う。ヘイのキレイなワンツーでルイスがダウン。その後、ヘイが後ろからルイスを殴り、それもレフェリーはダウン扱い。それでもジャブで前に出るルイスだが、得意の右ストレートは当たらない。5R、6Rのダウンは後頭部を殴りつけるようなパンチによるもの。9R、連打を浴びるルイス。セコンドが棄権を申し入れて終了。個人的には納得のいかない内容。ラビットパンチは危険な反則。イギリスのボクサーにはフランク・ブルーノのように後頭部を殴る「悪いクセ」を持つ選手がいる(要注意)。ルイスはこれで引退。その後、ヘイはドイツでIBF・WBO世界ヘビー級王者のウラジミール・クリチコと王座統一戦。判定負けし、これが最後の世界戦に。「ヘビー級王者」としては微妙な選手だったヘイ。クルーザー級が不人気クラスなためヘビー級に転向したのだろうが、この選手はクルーザーがベスト。)

①「WBA・WBC World Cruiserweight Title

Jean Marc Mormeck vs. David Haye」

②「WBA World Heavyweight Title

Nikolay Valuev vs. David Haye」

③「WBA World Heavyweight Title

David Haye vs. John Ruiz」

ジャン=マルク・モルメク(Jean-Marc Mormeck)のページ

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ニコライ・ワルーエフ(Nicolay "The Russian Giant" Valuev)のページ

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ジョン・ルイス(John Ruiz)のページ 

ハシーム・ラクマン(Hasim "The Rock" Rahman)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ルイスに番狂わせのKO勝ちで世界ヘビー級王者になったラクマン。レノックス・ルイス戦(初戦・再戦)、ウラジミール・クリチコ戦を紹介します。

ハシーム・ラクマン(Hasim "The Rock" Rahman)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ハシーム・ラクマン(アメリカ)

身長189cm:オーソドックス(右構え)

ハシーム・ラクマン 5R KO レノックス・ルイス

(WBC・IBF世界ヘビー級タイトル戦、2001年)

ラクマン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ルイス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

5R:右ストレートでルイスがダウン

(感想:ラクマンがタイトル獲得。メリーランド州ボルチモア出身のラクマン。ニックネームは「The Rock(岩石)」(「タフ男」の意?)。前科がたくさんある男。改心して(?)ボクサーに。アマチュアを経験後、プロへ。ラスベガス「シーザース・パレス」でデビュー。以来、連戦連勝。全米王座、IBFインター王座を獲得。デビッド・トゥアにTKO負けで初黒星。オレグ・マスカエフにKO負け。コーリー・サンダースにTKO勝ちでWBU王座獲得。ベテランのフランキー・スウィンデルに勝利して、このルイス戦。世界初挑戦。ルイスは説明不要の有名選手。右ストレートが武器。南アフリカでの一戦。筋肉マンなラクマンが思い切った打ち方で攻撃。洗練されたスタイルではないが、いかにもパワーがありそうな雰囲気を出す。ジャブの打ち合い。得意の右ストレートを狙うルイス。ゴツいパンチを振るうラクマン。ルイスがジャブでポイントを取る。5R、強烈な右ストレートでルイスがダウン、KO。ワンパンチで終了。ルイスは以前にもオリバー・マッコールに「ドカン」とやられたことがある。強い選手であることは間違いないが、こういう負け方をするため高く評価しづらい。ラクマンはジャブを打ち、ストレートには伸びがあった。「番狂わせ」ではあるが、ルイスをKOするだけの力はあった。)


レノックス・ルイス 4R KO ハシーム・ラクマン

(WBC・IBF世界ヘビー級タイトル戦、2001年)

ラクマン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ルイス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

4R:右フックでラクマンがダウン

(感想:ルイスがタイトル奪回。いわゆる「ダイレクト・リマッチ」。試合地はラスベガス。前回のKOで自信をつけたか、ラクマンがジャブで攻める。ルイスは慎重な構えから得意の右ストレートを狙う。4R、強烈な右フックでラクマンがダウン。立てず、KO。ルイスとラクマンは結局、一勝一敗。実力的にはルイスの方が上だと思うが、この二人は共に一発で倒すパワーを持つ「ヘビー級らしい選手」であった。この次の試合でルイスはマイク・タイソンをKOして王座防衛。さらにビタリ・クリチコをTKOで下し、王者のまま引退した。)


ウラジミール・クリチコ 7R TKO ハシーム・ラクマン

(WBO・IBF世界ヘビー級タイトル戦、2008年)

ラクマン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

クリチコ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

6R:右フックでラクマンがダウン

(感想:クリチコがタイトル防衛。ルイス戦後、WBC王座に返り咲いたラクマン。しかし短命に終わり、無冠に。そしてドイツでウクライナの大型王者クリチコに挑戦。左のガードを下げてジャブを連打するクリチコ。ラクマンはジャブ・フック。しかしながら試合はクリチコのジャブ・右ストレートで進む。6R、左フック連打からの右フックでラクマンがダウン。7R、連打でレフェリーストップ。ラクマンの攻めがもう一つだった試合。ルイス戦からずいぶん時間が経っているので仕方がないのかもしれないが、これは「世界ヘビー級タイトル戦」。ラクマンには勝とうとする意欲が足りなかったように感じた。その後も世界挑戦したが王座返り咲きならず、引退。彼のキャリアはルイスに勝った時が「ゴール」だったのかも。息子もボクサーになり、ヘビー級でトップを目指している。)

①「WBC・IBF World Heavyweight Title

Lennox Lewis vs. Hasim Rahman」

②「WBC・IBF World Heavyweight Title

Hasim Rahman vs. Lennox Lewis」

③「WBO・IBF World Heavyweight Title

Wladimir Klitschko vs. Hasim Rahman」 

レノックス・ルイス(Lennox Lewis)のページ

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オリバー・マッコール(Oliver McCall)のページ

ジョン・ルイス(John Ruiz)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ホリフィールドを破って世界ヘビー級王者になったルイス。イベンダー・ホリフィールド戦(再戦)、ロイ・ジョーンズ・ジュニア戦、ハシーム・ラクマン戦を紹介します。

ジョン・ルイス(John Ruiz)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジョン・ルイス(アメリカ)

身長188cm:オーソドックス(右構え)

ジョン・ルイス 12R 判定 イベンダー・ホリフィールド

(WBA世界ヘビー級タイトル戦、2001年)

ルイス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ホリフィールド:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

11R:右ストレートでホリフィールドがダウン

(感想:ルイスがタイトル獲得。メリーランド州チェルシー出身のルイス。ニックネームは「The Quietman(静かなる男)」(物静かでエキサイティングな選手ではない、というネガティブなイメージから付けられたらしい)。プエルトリコ系。アマチュアではオリンピックを目指したが出場ならず。アトランチックシティでプロデビュー。連戦連勝というわけにはいかず、WBCのインター王座を獲得したが、デビッド・トゥアに1RでKO負け。北米王座を獲得、防衛し、イベンダー・ホリフィールドとWBA世界ヘビー級王座決定戦。しかし、3-0の判定負けで王座獲得ならず。WBA3位としてラスベガスで再戦(ダイレクトリマッチ)。ホリフィールドは説明不要の有名選手(元統一世界クルーザー、ヘビー級王者)。どんな動きを見せてくれるか、といったところ。ルイスがファイタースタイルでジャブからの右ストレート、接近してボディにフック攻撃。38歳のホリフィールドは筋肉がついてパワーアップ。しかしながら体がその分重く、全盛期の流れるような連打があまり見られない。11R、ルイスの右ストレートでホリフィールドがダウン。ホリフィールドはピンチをなんとかしのいで12R終了。判定は3-0。ホリフィールドの方がパワーとパンチの正確さがあったにもかかわらず、この結果。ルイスは一番得意なパンチで世界王座を手にできて満足だったろう。結局、この二人は三連戦して1勝1敗1分だった(世界王座を懸けて同じ相手と三連続で戦うのは非常に珍しい)。)


ロイ・ジョーンズ・ジュニア 12R 判定 ジョン・ルイス

(WBA世界ヘビー級タイトル戦、2003年)

ルイス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ジョーンズがタイトル獲得。二度の防衛に成功したルイス。ラスベガス「Thomas & Mack Center」で「軽い相手」と防衛戦。挑戦者ジョーンズはこれまで47勝(38KO)1敗の三階級王者。階級を上げてヘビー級に挑戦。速いジャブ・右ストレートを使い、パワフルな左ボディフックを打つジョーンズ。ルイスは得意の右ストレートと接近してフック連打。4R、ジョーンズの右ストレートがヒット。スピードとクリンチでポイントを重ねるジョーンズが優勢のまま12R終了。判定は3-0。ダウンシーンは無し。勝ったジョーンズが凄いのか、負けたルイスが情けないのか、はわからないが、ジョーンズに勝つだけのスピードがあったことは事実。まるでモハメド・アリ(当時カシアス・クレイ)がソニー・リストンを破ったようなスピード感。ただし、ジョーンズは「打たせずに打つ」ことによりタイトルを獲ることができたというだけで、ヘビー級と打ち合うタフさがあったわけではなかった。)


ジョン・ルイス 12R 判定 ハシーム・ラクマン

(WBA世界ヘビー級暫定王座決定戦、2003年)

ルイス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ラクマン:左ジャブと左右フック

(感想:ルイスがタイトル獲得。ジョーンズに負けたルイスが再起戦でこの王座決定戦。ラクマンはレノックス・ルイスに番狂わせのKOで勝ったこともある選手。これまで35勝(29KO)4敗1分のハードパンチャー。アトランチックシティで行われたファイター同士の試合。しかしながらイマイチな試合。ジャブの打ち合いからのクリンチ。これを繰り返して試合終了。判定は3-0。ダウンシーンは無し。選手よりもレフェリーの方が忙しかった「クリンチ試合」。しかもクリンチ中に互いにラビットパンチ。重量級にありがちな「ダメな試合」。いくら「暫定王座戦」だからといってこれはひどい。イラクに派遣された米兵がこの試合を中継で観戦していたが、彼らはどう思っただろうか? その後、ロイ・ジョーンズが王座を返上したことによりルイスは正規王者に昇格。防衛に成功したが、ロシアの巨人ニコライ・ワルーエフに判定負けを喫し、王座陥落。再戦でも敗北。ロイ・ジョーンズに負けたことでルイスは(失礼ながら)「二級の王者」というイメージ。「世界ヘビー級王者」は「L・ヘビー」に負けてはならない。)

①「WBA World Heavyweight Title

Evander Holyfield vs. John Ruiz」

②「WBA World Heavyweight Title

John Ruiz vs. Roy Jones Jr」

③「interim WBA World Heavyweight Title

John Ruiz vs. Hasim Rahman」

イベンダー・ホリフィールド②(Evander Holyfield)のページ

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ロイ・ジョーンズ・ジュニア(Roy Jones, Jr.)のページ
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ハシーム・ラクマン(Hasim "The Rock" Rahman)のページ
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ニコライ・ワルーエフ(Nicolay "The Russian Giant" Valuev)のページ