WBOで二冠王。フリオ・セサール・チャベス戦、ハロルド・ミラー戦、ホセ・マヌエル・ベルドンセ戦ほかを紹介します。
ジョバンニ・パリージ(イタリア)
身長173cm:オーソドックス(右構え)
①ジョバンニ・パリージ 4R KO マーク・スミス
(J・ウェルター級戦、1993年)
パリージ:ジャブ、ストレート、左フック
スミス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:左ストレートでスミスがダウン
(感想:「Flash(閃光)」と呼ばれたイタリアのパリージ。なかなかのハンサム。アマチュアでは思ったように結果を出せないこともあったようだが、1988年のソウル・オリンピックではフェザー級で金メダル(本番に強いタイプ?)。プロ入り後は連勝だったが、アントニオ・リベラ(元IBF世界フェザー級王者)にKO負けで初黒星。イタリア・ライト級王座獲得。WBO世界ライト級王座を決定戦で獲得。スミスとノンタイトル戦。スミスはテネシー州チャタヌーガ出身の黒人。ニックネームは「Stinger」(毒針のようなパンチを打つ男、という意味か?)。デビューから中堅相手に連勝後、連敗。このところ負けが込んでおり、直前の試合は英国でアンディ・ホリガン(後、フリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級王座に挑戦してTKO負け)に判定負け。イタリア・サンレモでの一戦(TV局のスタジオ、またはホテルの一室のような小さな会場。面白いことに共に青コーナー。対角線上に両陣営が設置されているのではなく、左右に両コーナー)。共に機敏な動きで速いジャブ、ストレート。ややアップライトなパリージはワンツー、左フックに良さがあり、スウェーなどでディフェンス。スミスはやや前傾姿勢で右ストレートに力を込める。思い切りのいい打ち方で互角の勝負。パリージは左ボディ打ちにも巧さ。スミスは連打をまとめるなど回転力がある。しかし、試合は唐突に終了。4R、サウスポーにチェンジしたパリージが左ストレート。一発でダウンしたスミスは10カウント後に立ち上がって「続行可能」をアピール。負けたことに納得いかない表情だった。パリージがスイッチして勝利。長い試合になりそうな互角の雰囲気もあったが、器用さで勝利した。スミスは凡ミスみたいな感じで敗れたが、動きやパンチは悪くなかった。しかし、意外なことにWBC米大陸王座(フェザー級)、IBO王座(ジュニアライト級。相手はジェフ・メイウェザー)に挑戦して敗北するなど負け続けで引退。打たれ弱さがあったようだ。)
②フリオ・セサール・チャベス 12R 判定 ジョバンニ・パリージ
(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1995年)
パリージ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
チャベス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:左ジャブでパリージがダウン
(感想:チャベスがタイトル防衛。スミス戦後、WBO世界ライト級王座の防衛戦でアントニオ・リベラと再戦し、雪辱したパリージ。王座を返上して二階級制覇を狙うことになったが、王者はかなりの大物。王者チャベスは説明不要の有名選手。「偉大なメキシコの王者」と呼ばれる男。フランキー・ランドールに王座を奪われて初黒星を喫したが、再戦で王座奪回。パリージ戦は奪回した王座の三度目の防衛戦となる。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。パリージが距離を取ってジャブ。チャベスはジャブ・右ストレート・左フックでプレッシャーをかける。2R、タイミングの良い左ジャブでパリージがダウン。サウスポーにスイッチして流れを変えようとするパリージだが右を打たれる。打ち合わないパリージに「打ってこい」というジェスチャーをするチャベス(8R、11R)。12R終了。判定は3-0。パリージにはもっと思い切った攻めを見せて欲しかったところだが、チャベスのパンチは想像以上に強かったのだろう。チャベスはこれで94勝(80KO)1敗1分。しかし、新しいスター、オスカー・デラ・ホーヤに取って代わられた。)
③ジョバンニ・パリージ 8R TKO ハロルド・ミラー
(WBO世界J・ウェルター級タイトル戦、1997年)
パリージ:左ジャブ、右ストレート、左フック
ミラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:パリージがタイトル防衛。サミー・フエンテスに勝って二階級制覇を達成したパリージ。三度目の防衛戦の相手はタフな白人ミラー。ザック・パディーリャが王者だった頃にこの王座に挑戦してTKO負け。フィリップ・ホリデイ(後、IBF世界ライト級王者に)には判定負け。このところ連勝中ではあるが、戦績からすると「ローカルな選手」といった印象。イタリア・ミラノでの一戦(会場でマービン・ハグラーが観戦)。左のガードを下げてジャブを打つパリージ。ミラーはパリージの速い連打の勢いに押されて、下がりながら反撃。8R、パリージがミラーを自在に打ちまくってレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。パリージはチャベス戦のときとは違って積極的だった。その後、ミラーはデンマークで空位のIBFインターコンティネンタル王座(J・ライト級)に挑戦したが、3RでKO負けだった。)
④ジョバンニ・パリージ 12R 判定 ホセ・マヌエル・ベルドンセ
(WBO世界J・ウェルター級タイトル戦、1997年)
パリージ:左ジャブ、右ストレート、左フック
ベルドンセ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:パリージがタイトル防衛。五度目の防衛戦。挑戦者はスペインのベルドンセ。スペインのJ・ウェルター級王座を獲得するなど戦績は良いが、国外で試合をするのはこれが初めて。イタリア・カタンツァーロでの一戦。髪の後ろを伸ばし、トランクスも個性的なベルドンセ。キレイなジャブ・ストレートを打つヘクター・カマチョっぽいサウスポー。パリージはジャブからの右ストレートを狙う。速いパンチの応酬。互角の勝負。パリージはサウスポーにスイッチして対抗。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ベルドンセは面白いスタイルだったが、及ばず(その後、スペイン王座戦に勝利。しかし、欧州王座(J・ウェルター級)は獲れず)。パリージは右ストレートが良かった印象。しかし、ここまで。次の防衛戦で元王者カルロス・ゴンザレスにTKOで敗北。三階級制覇を狙ってWBO世界ウェルター級王座に挑戦したがKO負け。ラストファイトは欧州ウェルター級王座への挑戦(判定負け)。パリージは倒し屋ではなかったが、パンチにスピード。日本人選手のように地元のファンに人気があった。しかし引退後の2009年3月25日、交通事故で死去。41歳だった。)
①「Super Lightweight
Giovanni Parisi vs. Mark Smith」
②「WBC World Super Lightweight Title
Julio Cesar Chavez vs. Giovanni Parisi」
③「WBO World Super Lightweight Title
Giovanni Parisi vs. Harold Miller」
④「WBO World Super Lightweight Title
Giovanni Parisi vs. Jose Manuel Berdonce」
フリオ・セサール・チャベス(Julio César Chávez)のページ
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サミー・フエンテス(Sammy Fuentes)のページ
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