リディック・ボウ(アメリカ)
身長196cm:オーソドックス(右構え)
①リディック・ボウ 2R KO バート・クーパー
(ヘビー級10回戦、1990年)
ボウ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
クーパー:左右フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレート、連打からの左フックで2度、クーパーがダウン
(感想:ニューヨーク・ブルックリン出身のボウ。近所に住んでいたためマイク・タイソンのことは子供の頃から知っているという。アマチュアでは優秀な選手で大いに期待されていたが、やらかす。ソウルオリンピック(1988年)・スーパーヘビー級でのレノックス・ルイスとの決勝戦。受け身な試合ぶりでストップ負け。「チキンハート(根性がない)」と言われ、それはプロになってからもつきまとった。プロ入り後は全勝。ジャブ、ストレートを使う正統派ではあるが、フックも強い。クーパーはタフ男。これまで北米クルーザー級、ヘビー級王座を獲得。しかし、直前の試合では「マーシレス」レイ・マーサー(ソウルオリンピック・ヘビー級金メダル)と大激戦の末、判定負け。タフ男ではあるが、その試合のダメージが気になるところ。ラスベガス「ミラージュ」で行われた試合(メインイベントは「バスター・ダグラス vs. イベンダー・ホリフィールド」の世界ヘビー級王座戦)。積極的に左右フックで攻めるクーパーにジャブを飛ばすボウ。右ストレートで「ガクン」となったクーパーにラッシュ。2Rに二度ダウンを奪い、ボウが圧勝。タフ男クーパーをKO。結果的には楽勝だったが、クーパーは楽な相手ではない。多くの世界レベルの選手と激しい試合をやった「世界チャンピオン並み」の人気と実力の選手。そんなクーパーを倒したボウはやはりタダ者ではない。)
(WBA・WBC・IBF世界ヘビー級タイトル戦、1992年)
ボウ:左ジャブと右ストレート
ホリフィールド:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
11R:右フック(ラビットパンチ?)でホリフィールドがダウン
(感想:ボウがタイトル獲得。トニー・タッブス(元WBA王者)、ブルース・セルドン(ボウと同様、世界を狙う男)といった選手を破ってボウが世界初挑戦。ホリフィールドはバスター・ダグラスをあっさりKOして王者になった「リアル・ディール(「ホンモノの男」の意)」。ジョージ・フォアマン、バート・クーパー、ラリー・ホームズを破って、これが四度目の防衛戦。ラスベガス「Thomas & Mack Center」で行われた試合。至近距離で打ち合う、我慢比べのようなぶつかり合い。しかし「体格の差」が。元々はクルーザー級のホリフィールドが押され気味に。判定は3-0でボウ。10Rに右アッパーで大きくグラついたホリフィールドはそのラウンド終盤には左フックで反撃するなど一歩も引かず打ち合った。単に勝ちたいだけならそんなに打ち合わずに足を使ってポイントを稼げばよかったと思われるが、ホリフィールドは最初から最後まで王者らしく攻め続けた。左フックの打ち方はホリフィールドの方が巧く、パワーがあった印象。ヘビー級では体格差のある試合は珍しくない。身体が大きい方の選手としては勝ってもあまり自慢にならないのではないか、という気もする。)
(WBO世界ヘビー級タイトル戦、1995年)
ボウ:左ジャブと右ストレートで前に出る
ハイド:フットワークで周りながら左ジャブと右ストレート
(ダウンシーン)
3R:右フック(?)、右アッパーで2度、ハイドがダウン
4R:左ジャブからの連打、右フックで2度、ハイドがダウン
5R:右フックでハイドがダウン
6R:右ストレート、右フックで2度、ハイドがダウン
(感想:ボウがタイトル獲得。ホリフィールドとの再戦に敗れて王座を失うと共に初黒星を喫したボウ。ターゲットをWBO王者ハイドに定める。ハイドはナイジェリア生まれでイギリス国籍の黒人で、ニックネームは「Dancing Destroyer(踊る破壊者)」。踊るように動いて相手をKOするという意味だが、それは「動きが軽い」ということも意味する。ラスベガス「MGM Grand」で行われた試合。ハイドはこれまで全勝でKOも多いことから期待されたが、「どっちがチャンピオンかわからない」といった感じの内容に(「こんな世界ヘビー級タイトル戦はイヤだ」と言いたくなるような内容)。ハイドはスピードはあるがガチャガチャした打ち方で、ヘッドバットを相手に喰らわすなどのお粗末な試合ぶり。思い切って(破れかぶれ?)打っていくシーンもあったが、ボウの圧力にビビってしまったのか何度もダウンを繰り返し、KO負け。これもまた体格差があった試合(ヘビー級は「何キロ以上」という世界なので体格差が大きくなることも珍しくないが、だからといってプロに「スーパーヘビー級」なんてものは必要ないと思う)。ボウがWBOタイトル獲得(これで世界の主要四団体のヘビー級タイトルを全部手に入れたことになる)。ハイドはだらしなかったが、ボウも空振りして転倒するなど何となく笑ってしまう内容だった。ボクシングは非常に危険なものであるので無責任に「もっと打ち合え」とか「思い切っていけ」などと言うことはできないが、ハイドも世界チャンピオンならもう少し強さを見せて欲しかったところ。ボウのその後のキャリアは残念。ホルヘ・ルイス・ゴンザレスやホリフィールド(三戦目)に勝利したが、アンドリュー・ゴロタに苦戦。何よりも残念なのが、レノックス・ルイスとプロで戦わなかったこと。モハメド・アリは同時代の強豪たちと戦ったが、次第にボクシング界は「強い者同士の対戦」を回避するようになっていく。統一戦などを積極的に行っていかない限り、ボクシングの人気は盛り上がらないままであろう。)
②「World Heavyweight Title
Evander Holyfield vs. Riddick Bowe」
③「WBO World Heavyweight Title
Herbie Hide vs. Riddick Bowe」
バート・クーパー(Bert Cooper)のページ
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イベンダー・ホリフィールド②(Evander Holyfield)のページ
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ハービー・ハイド(Herbie Hide)のページ
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