2021年1月29日金曜日

ロビン・リード(Robin Reid)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

「Grim Reaper(死神)」と呼ばれた英国のS・ミドル級、リード。ヘンリー・ウォートン戦、アッシン・シェリフィー戦、スラニ・マリンガ戦を紹介します。

ロビン・リード(Robin Reid)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ロビン・リード(イギリス)

身長175cm:オーソドックス(右構え)

ロビン・リード 12R 判定 ヘンリー・ウォートン

(WBC世界S・ミドル級タイトル戦、1997年)

リード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ウォートン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:リードがタイトル防衛。「Grim Reaper(死神)」と呼ばれたリード。黒人とのハーフ。アマチュアでは思うような結果を出せないことが多かったらしいが、バルセロナオリンピック(1992年)にライトミドル級で出場し、銅メダル。プロデビュー以来、無敗を続け、イタリアのミラノでビンチェンツオ・ナルディエロからWBC王座奪取。ウォートン戦は二度目の防衛戦。ウォートンもイギリスの選手でWBC1位。英国王座、英連邦王座、欧州王座(全てS・ミドル級)を獲得し、後は世界王座を獲るのみ、といった状況であるが、ナイジェル・ベンのWBC王座(S・ミドル級)、クリス・ユーバンクのWBO王座(S・ミドル級)への挑戦はいずれも判定負けに終わっている。マンチェスターでの一戦。戦い方が似ている二人。ジャブとストレートを狙う。ガッチリした筋肉質のリードはパワーよりも、ジャブを使って正確にパンチを当てていこうとするタイプ。ウォートンがジャブ・ストレートで攻め、リードがカウンターで応戦、といった展開。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。リードの方が「パンチの正確さ」で勝っていたような感じだったが、受け身の姿勢になることが多かった。テクニシャンタイプのリード。「死神」というニックネームはちょっと違うような気がする(気のせい?)。三度目の世界挑戦も実らなかったウォートンはその後二連勝して引退。)


ロビン・リード 12R 判定 アッシン・シェリフィー

(WBC世界S・ミドル級タイトル戦、1997年)

リード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

シェリフィー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:リードがタイトル防衛。英国での三度目の防衛戦。挑戦者シェリフィーはフランスの選手。デビュー戦で負けてしまったが、フランス王座、欧州王座(いずれもミドル級)を獲得している。英国での試合。共に手数が多めでジャブ・連打。戦い方が似ているため、一進一退の展開。リードの振りの大きいパンチが時折ヒット(8Rなど)。シェリフィーがジャブで攻め、リードはウォートン戦のときのようにカウンターを狙う。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。王者のアドバンテッジでリードが防衛。共に一発で倒すようなパワーのある選手ではないが手数が多く、振りの大きなパンチでよく打ち合ったため好試合に。後にシェリフィーはWBC世界ミドル級タイトルを獲得。)


スラニ・マリンガ 12R 判定 ロビン・リード

(WBC世界S・ミドル級タイトル戦、1997年)

リード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

マリンガ:左ジャブと右ストレート

(感想:マリンガがタイトル奪回。英国で行われたリードの四度目の防衛戦。かつてこのタイトルをナイジェル・ベンを下して獲得したことがあるマリンガ(南アフリカ)はテクニシャンタイプ。王座奪回を目指してリードに挑戦。キラキラ光る、オシャレなトランクスのマリンガはひたすらジャブ、そして右ストレート。リードもジャブを使う。マリンガは打ち合いではなく、ジャブで距離を取る作戦。リードがそれに付き合ったため、どちらのジャブが優れているか、の勝負に。左のガードを下げてジャブを打つマリンガ。顔が腫れていくリード。判定は3-0。ダウンシーンは無し。リードの敗因は相手に合わせてしまったことだと思うが、マリンガのジャブが良かったため、戦い方を変えたとしても結果は同じだったかもしれない。王座を失ったリード。後にWBFやIBOのタイトルを獲得するなど息の長い活躍を見せたが、メジャーなタイトルは獲れなかった。引退後もボクシングと関わり、ジャッジを務めたことも。)

①「WBC World Super Middleweight Title

Robin Reid vs. Henry Wharton」

②「WBC World Super Middleweight Title

Robin Reid vs. Hacine Cherifi」

③「WBC World Super Middleweight Title

Robin Reid vs. Thulani Malinga」

ナイジェル・ベン("The Dark Destroyer" Nigel Benn)のページ 

2021年1月27日水曜日

バーナード・テーラー("The B.T. Express" Bernard Taylor)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

「超特急」と呼ばれたフェザー級のスピードスター、テーラー。エウセビオ・ペドロサ戦、カルビン・グローブ戦、ジョンジョン・モリナ戦を紹介します。

バーナード・テーラー("The B.T. Express" Bernard Taylor)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

バーナード・テーラー(アメリカ)

身長168cm:オーソドックス(右構え)

エウセビオ・ペドロサ 15R 引分 バーナード・テーラー

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1982年)

テーラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ペドロサ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ペドロサがタイトル防衛。そのスピードから「The B.T. Express」と呼ばれたテーラー。アマチュアでは大きな大会で優勝したこともあったが、1980年のモスクワオリンピックには出場ならず(アメリカがボイコット)。プロ入り後は連戦連勝。WBA3位で、これまで18戦全勝(11KO)。ノースカロライナ州シャーロット(プロレスのNWAでも有名)で長身の安定王者、ペドロサに挑戦。ペドロサはパナマの「長い」選手で、これが15度目の防衛戦(長身で手足も長く、長期に渡り防衛)。共にフットワークとジャブを使うタイプだが、テーラーのフットワークは「攻める」ためではなく「打ち合いを避ける」ためのもの。見た目からは「逃げている」といった印象。ペドロサも手数が少ない。頭をぶつけていくテーラー(7Rなど)。ヘンにエキサイトしてクリンチ状態で打ち合う両者(だったらもっとKOを狙うような攻めをすればいいのに)。終盤は共に足を止めて打ち合うシーンも。判定はドロー。ダウンシーンは無し。テーラーはペドロサに勝てるだけのスピードとパンチのキレがあったが、「攻め込まない試合運び」ではどうしようもない。「勝者」がいない試合だった。)


バーナード・テーラー 11R KO カルビン・グローブ

(全米J・ライト級タイトル戦、1990年)

テーラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

グローブ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

11R:右ストレート、右フックで2度、グローブがダウン

(感想:テーラーがタイトル獲得。無敗のままバリー・マクギガンのWBA世界フェザー級王座に挑戦したテーラーだが、TKO負け。二度目の世界挑戦も実らず。その後、北米フェザー級王座獲得、防衛。階級を上げ、全米王座に挑戦。王者グローブは元IBF世界フェザー王者。テーラーと同じく速いジャブを得意とする実力者。両者とも右ストレートを思い切って打っていくスピード&パワーの内容に。テーラーがディフェンスしながらパンチを当てていく。5R、グローブが左フックを空振りして転倒(倒れるほどの勢いで強振)。次第にクリンチが増えていくが、11R、左フックが効いたグローブ。テーラーが右ストレートでダウンを奪う。さらにダウンでレフェリーが試合を止めた。「テクニシャン」のテーラーが元世界王者を豪快にKO。ボクサーは凄いパンチを持っている人たちであることを再認識させられる試合となった。)


ジョンジョン・モリナ 8R TKO バーナード・テーラー

(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1993年)

テーラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

モリナ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:モリナがタイトル防衛。ホープのユージン・スピードを破って全米王座を防衛したテーラー。プエルトリコで三度目の世界挑戦。王者モリナはプエルトリコの選手でアグレッシブなファイター(トニー・ロペスとのライバル戦で有名)。決定戦で獲得した王座の四度目の防衛戦。1982年にペドロサの王座に挑戦したテーラーだが、この試合の時点ではさすがに全盛を過ぎた感じ。モリナがリズミカルかつアグレッシブに連打し、振りの大きいフックを時折ヒットさせる。8R、右アッパーが効いたテーラーがコーナーで連打にさらされてレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。「勢いの差」で決着がついた。テーラーは「倒す」というよりも「テクニックをファンに見せたい」というタイプだったように思える。そういった姿勢のため世界王者にはなれなかったが、「世界レベルのパンチ」は持っていた。)

①「WBA World Featherweight Title

Eusebio Pedroza vs. Bernard Taylor」

②「USBA Super Featherweight Title

Calvin Grove vs. Bernard Taylor」

③「IBF World Super Featherweight Title

John John Molina vs. Bernard Taylor」

エウセビオ・ペドロサ(Eusebio Pedroza)のページ

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バリー・マクギガン(Barry McGuigan)のページ

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カルビン・グローブ(Calvin Grove)のページ

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ジョン・ジョン・モリナ(John John Molina)のページ 

パット・カウデル(Pat Cowdell)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

イギリス正統派のフェザー級ストレートパンチャー、カウデル。サルバドル・サンチェス戦、ロベルト・カスタノン戦、アズマー・ネルソン戦を紹介します。

パット・カウデル(Pat Cowdell)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

パット・カウデル(イギリス)

身長170cm:オーソドックス(右構え)

サルバドル・サンチェス 15R 判定 パット・カウデル

(WBC世界フェザー級タイトル戦、1981年)

カウデル:左ジャブと右ストレート

サンチェス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

15R:右フックでカウデルがダウン

(感想:サンチェスがタイトル防衛。イギリスのカウデル。アマチュアで優秀な成績。1976年のモントリオールオリンピックではバンタム級で銅メダル。プロ入り後は二敗してしまったが、英国フェザー級王座を獲得・防衛し、このところ連勝中。王者サンチェスはメキシカン。人気者で、ウィルフレド・ゴメスをKOしたことで人気はさらにアップ。これが七度目の防衛戦。ヒューストン「アストロドーム」で行われた一戦。この試合の実況はシュガー・レイ・レナード。カウデルは28歳、サンチェスは22歳。サンチェスがいつものように速いジャブとやや振りが大きい右フック。カウデルはジャブ。ただひたすらジャブ。時折、サンチェスの右がヒット。大きな見せ場があまりないまま最終ラウンドへ。15R終了間際に右フックでカウデルがダウン。判定は意外にも2-1。サンチェスの方が手数が多く優勢だったと思うが、やや手打ち気味。頑張るカウデルをKOできなかった。カウデルは15Rに渡ってよくジャブを出した。それ以外のパンチももっと使って欲しかったところ。)


パット・カウデル 5R TKO ロベルト・カスタノン

(欧州J・ライト級タイトル戦、1984年)

カウデル:左ジャブ、右ストレート、左フック

カスタノン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

5R:連打でカスタノンがスタンディングダウン

(感想:カウデルがタイトル防衛。サンチェス戦の再起戦で欧州フェザー級王座を獲得したカウデル。その後、欧州J・ライト級王座も獲得。カスタノンはスペインの選手で、カウデル同様、欧州フェザー級、J・ライト級王座を獲得したことがあるベテラン。ただ、ダニー・ロペス、サルバドル・サンチェスのWBC世界フェザー級王座への挑戦はいずれもKO負けに終わっており、ここ最近は二連敗している(ただし、相手は実力者のマリオ・マルチネス、カメル・ブアリ)。バーミンガムで行われた「サンチェスに負けたことがある者」同士の対戦。いつものようにジャブが多いカウデルは1Rから右ストレートをカスタノンに決める。カスタノンは右ストレートを思い切って打つが、ややぎこちない。5R、連打を食ってカスタノンが戦意喪失気味に。レフェリーが割って入る。「試合ストップ」と思ったカウデルは「勝利」に喜ぶ。セコンドもリング・イン。レフェリーはカウデルをコーナーに行かせ、カスタノンの状態をチェック。レフェリーストップ。最後のストップのシーンに少し問題があった試合(結果は同じだったが、レフェリーが全てを裁くのがボクシング。また試合が終わっていないのに選手が勝手に「勝利宣言」したり、セコンドがリングに入ってはならない)。カウデルはサンチェス戦に比べて、右ストレートが多かったのが良かった。)


アズマー・ネルソン 1R KO パット・カウデル

(WBC世界フェザー級タイトル戦、1985年)

カウデル:左ジャブと右フック

ネルソン:左ジャブと左右フック

(ダウンシーン)

1R:左フックでカウデルがダウン

(感想:ネルソンがタイトル防衛。サンチェス戦後、連勝を続けるカウデルがバーミンガムで二度目の世界挑戦。王者はウィルフレド・ゴメスを打ちのめしてタイトルを獲ったガーナのネルソン。いきなり出したアッパー気味の左フックでワンパンチKO。粘り強いカウデルを完全に仕留めた。カウデルはジャブを良く出していたが、ネルソンはフックでプレッシャーをかけ、最後は豪快な一発。「正統派」のカウデルは意表を突かれたのだと思う。結局カウデルは世界王者にはなれなかったが、サンチェスやネルソンといった「世界的な選手」と試合をしたことでファンの記憶に残ることになった。引退後はトレーナーとして若手を指導しているらしい。)

①「WBC World Featherweight Title

Salvador Sanchez vs. Pat Cowdell」

②「EBU Super Featherweight Title

Pat Cowdell vs. Roberto Castanon」

③「WBC World Featherweight Title

Azumah Nelson vs. Pat Cowdell」

サルバドル・サンチェス(Salvador Sánchez)のページ

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アズマー・ネルソン(Azumah Nelson)のページ

2021年1月22日金曜日

デビッド・カマウ(David Kamau)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

J・ウェルター級。長身のアフリカン。サミー・フェンテス戦、フリオ・セサール・チャベス戦、オスカー・デラ・ホーヤ戦ほかを紹介します。

デビッド・カマウ(David Kamau)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

デビッド・カマウ(ケニア)

身長180cm:オーソドックス(右構え)

デビッド・カマウ 10R 判定 サミー・フェンテス

(J・ウェルター級戦、1991年)

カマウ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

フェンテス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ケニアのカマウ。アマチュア時代から優秀な選手で、ソウル五輪に出場(メダルは獲得ならず)。スカウトされてアメリカでプロデビュー。連戦連勝。手足が長く、ジャブからの右ストレートがパワフル。プエルトリコのフェンテスはフリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級タイトルに挑戦したこともある実力者(後、WBO世界J・ウェルター級王者に)。カリフォルニア「グレート・ウェスタン・フォーラム」での一戦。1Rから両者とも思い切りのいい打ち方で接近戦。しかしながら同じように打ち合っても優勢なのはリーチが長いカマウの方。最後まで打ち合いが続き、最終ラウンド終了時には観客もスタンディング・オベーション。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。カマウの手数とディフェンスが評価されたと思われる。長いリーチを持つカマウはアウトボクシングでポイントを取る戦い方もできたと思うが、最初から最後まで接近戦を挑むなど積極的かつ好戦的だった。)

 

フリオ・セサール・チャベス 12R 判定 デビッド・カマウ

(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1995年)

カマウ:左ジャブ、右ストレート、左フック

チャベス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

8R:左ジャブでカマウがダウン

(感想:チャベスがタイトル防衛。26戦全勝(20KO)でWBC1位のカマウ。ラスベガス「Mirage」で大物チャベス(三階級制覇王者。「偉大なメキシコの王者」と呼ばれる)に挑戦。世界初挑戦のカマウとしては世界を驚かせるような勝ち方をしたいところ。しかしながら残念な試合。フットワークとジャブで距離を取ってチャベスの強打を警戒するカマウ。チャベスはディフェンスしながらプレッシャーをかけるが手数が少ない。カマウの右ストレートがヒットするシーンもあったが(7Rなど)、腰がやや引けた感じで打っているため当たりが浅い。8Rのダウンはカマウが攻めたところにチャベスがタイミングよく合わせたジャブのカウンター。判定は3-0。パンチの正確さが評価されたか。カマウはスゴイ右ストレートを持っているが、この試合では不発。確かにボクシングは危険なものだが、打たれるのが怖いのであればリングに上がるべきではない。良いパンチを持っているのに生かせなかったのが残念。チャベスはフランキー・ランドールから奪回したタイトルの防衛に成功したが、積極さに欠けた。カマウがロジャー・メイウェザーに似たタイプだったため、この相手なら楽に勝てる、と思って油断したのかもしれない(チャベスはメイウェザーと二度戦って、二回ともKO勝ち)。そんなチャベス。次の防衛戦でオスカー・デラ・ホーヤに敗北。)


オスカー・デラ・ホーヤ 2R KO デビッド・カマウ

(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1997年)

カマウ:左ジャブ、右ストレート、左フック

デラ・ホーヤ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フック、連打で2度、カマウがダウン

(感想:デラ・ホーヤがタイトル防衛。チャベス戦後、ブランクがちになったカマウ(WBC7位)。テキサス州サンアントニオで二度目の世界挑戦。王者「ゴールデンボーイ」デラ・ホーヤはこれまで24戦全勝(20KO)。オリンピック金メダルからプロ入りし、数々の王座。チャベスを乗り越えて今やボクシング界を背負うスーパースター。ヒゲを生やしたデラ・ホーヤはゴング前、険しい表情。速いジャブと左フックを使う。カマウはチャベス戦に比べると積極的。得意のジャブ、右ストレートを飛ばす。2R、左フックが効いたカマウがダウン。さらにダウンで立てず、KO。カマウの長いパンチよりも、デラ・ホーヤの回転の速い連打が上回った一戦。「ボクシングはリーチが長いと有利」とよく言われるが、この試合や「レナード vs. ハーンズ(初戦)」からすると「ショートパンチが巧い方が勝つ」というのが正しいのではないだろうか? デラ・ホーヤは被弾しながらもよく耐えた。その後もボクシング界をリードする活躍。)


アントニオ・マルガリート 2R TKO デビッド・カマウ

(NABOウェルター級タイトル戦、2000年)

カマウ:左ジャブ、右ストレート、左フック

マルガリート:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フック、フック連打で2度、カマウがダウン

(感想:マルガリートがタイトル獲得。デラ・ホーヤ戦後、ブランクを作ったカマウ。再起戦は判定負け。ところが次の試合でNABO王者に(なかなかの底力)。マルガリートと二度目の防衛戦。挑戦者マルガリートはカリフォルニア州トーランス出身だが、国籍はメキシコ。敗北を経験しながら実力をつけ、このところ連勝中。カリフォルニア州インディオでの一戦。共にガードを上げてジャブ、ワンツー、左フック。勢いはマルガリート。攻めの姿勢で振りは大きいが鋭い左フック、斜め下からの右フック、左フックからの右ストレート。距離を取りながら応戦するカマウだが、2Rにワンツーからの左フックでダウン。立ったが、フック連打で二度目。それと同時にレフェリーストップ。マルガリートが勢いで勝利。パンチにはキレがあった。その後の二人。マルガリートは世界ウェルター級王者に。しかし、シェーン・モズリー、マニー・パッキャオに敗れて「トップ中のトップ」にはなれず。カマウはこれが最後の試合となり、世界タイトルを獲ることもなくキャリアを終えた。ただ、右ストレートは間違いなく世界王者級だった。)


①「Super Lightweight 

David Kamau vs. Sammy Fuentes」

②「WBC World Super Lightweight Title

Julio Cesar Chavez vs. David Kamau」

③「WBC World Welterweight Title

Oscar De La Hoya vs. David Kamau」

④「NABO Welterweight Title

David Kamau vs. Antonio Margarito」


サミー・フエンテス(Sammy Fuentes)のページ 

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フリオ・セサール・チャベス(Julio César Chávez)のページ 

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オスカー・デラ・ホーヤ(Oscar De La Hoya)のページ

メルチョル・コブ・カストロ(Melchor Cob Castro)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

あまりにも頑丈な世界J・フライ級王者、カストロ。ラスベガスで行われたウンベルト・ゴンザレス戦、金奉準戦、マイケル・カルバハル戦ほかを紹介します。

メルチョル・コブ・カストロ(Melchor Cob Castro)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

メルチョル・コブ・カストロ(メキシコ)

身長153cm:サウスポー


ウンベルト・ゴンザレス 12R 判定 メルチョル・コブ・カストロ

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1991年)

カストロ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ゴンザレス:ジャブ、ストレート、左右フック

(感想:ゴンザレスがタイトル奪回。カストロはタフな男(軽量級の選手は背が低いことが多いが、その分、ガッチリした体格で、腕っぷしが強いことが多い)。アマチュアで少し経験を積み、1985年に16歳でプロデビュー。デビュー当初は思うように勝てなかったが、コツを掴んだか、その後は良い戦績。WBC米大陸J・フライ級タイトルを獲得し、王者ローランド・パスクワを精力的な攻めでギブアップさせてWBC世界J・フライ級タイトル獲得。打たれても倒れない頑丈さとディフェンスの巧さを持つ、相手からすれば厄介な選手。これまで29勝(14KO)2敗4分。これが初防衛戦となる。挑戦者ゴンザレスはスイッチヒッターの元王者。カストロと同じメキシカン。身長は155cmで小さいが、ガッチリした身体なのも同じ。現在WBC2位で、これまで30勝(24KO)1敗(「1敗」はローランド・パスクワにまさかのKO負けでこのタイトルを失った試合)。ラスベガス「シーザース・パレス」で行われた小さいタフ男同士の一戦(レフェリーはリチャード・スティール)。足で距離を取ってジャブ、連打するカストロ。ゴンザレスは左右にスイッチしながら慎重にジャブ、ストレートを打つ。接近戦では連打での打ち合い。そのパターンで12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ゴンザレスが丁寧にパンチを当てて勝利。カストロはパスクワ戦で見せたようなリズムに乗った連打があまりなかった。ゴンザレスはパスクワにKOされたためか慎重な試合ぶりで、以前のような豪快さが影を潜めたように見えた。しかし、その後もゴンザレスはJ・フライ級で活躍。マイケル・カルバハルとの「100万ドルマッチ」も話題に。)


メルチョル・コブ・カストロ 10R 判定 金奉準

(フライ級戦、1993年)

カストロ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

金:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ウンベルト・ゴンザレスとの再戦に敗れて王座を奪回できなかったカストロ。ラスベガスで金と試合。金は大橋秀行、井岡弘樹との試合で日本でもおなじみの元WBA世界ストロー級王者。日本のファンとしてはアメリカで金がどんな戦いぶりを見せるか興味深いところ。「シーザース・パレス」での一戦(レフェリーはトビー・ギブソン)。右ストレート、左右フックで積極的に前に出る金。しかし、応戦するカストロのフックの方が正確。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。金はよく攻めたが、ディフェンスされてしまった。また、相手の首を押さえて打つ反則を連発(クセになっているのだと思われる)。地元ならやりたい放題できただろうが、ここはアメリカ。注意されたり、減点されたりして戦いづらそうだった。その後、金は二試合。最後は日本でTKO負けだった。)


マイケル・カルバハル 12R 判定 メルチョル・コブ・カストロ

(IBF世界J・フライ級王座決定戦、1996年)

カストロ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

カルバハル:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:カルバハルがタイトル奪回。金戦後、ドミンゴ・ソーサ、レオン・サラサールといった実力者を破って好調のカストロ。「IBF1位」として2位の元王者カルバハルと決定戦。カルバハルは「小さな石のコブシ」と呼ばれるパンチャーで、ウンベルト・ゴンザレスとは1勝2敗のライバル関係。かつて保持していたIBF王座を奪回できるかどうか、といったところ。ラスベガスの「MGM Grand」での試合(レフェリーはジェイ・ネイディ)。左右フックで攻めるカストロ。一発一発にパワーを込めるタイプのカルバハルは速いジャブからの右ストレートと左フック。互いにディフェンスができるためダウンシーンなどの大きなシーンがないまま12R終了。3-0。カルバハルのジャブが評価されたか。タフな者同士の試合にしては盛り上がらなかった。その後もカルバハルはリングへ。ライバルのスコッティ・オルソンを下すなどの活躍はあったが、最も勢いがあった頃の魅力には及ばなかった。) 


ファン・ドミンゴ・コルドバ 12R 判定 メルチョル・コブ・カストロ

(WBO世界J・フライ級タイトル戦、1998年)

カストロ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

コルドバ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:コルドバがタイトル獲得。カルバハル戦後、ローカル王座、WBC米大陸王座(いずれもJ・フライ級)を獲得して好調のカストロ。ヘスス・チョンを大差の3-0で破ってWBO王者に。敵地で初防衛戦。年齢は30。挑戦者コルドバ(26歳)はアルゼンチンのサンチアゴ・デル・エステロ出身。1992年プロデビュー。地元で連勝。南米王座、WBCインター王座、アルゼンチン王座(全てJ・フライ級)を獲得。初の海外試合(ネバダ州)でウンベルト・ゴンザレスのWBC・IBF世界J・フライ級王座に挑戦したが、TKOで初黒星(1994年)。IBFインターコンティネンタル王座(フライ級)獲得後、チャッチャイ・サーサクンとWBC世界フライ級暫定王座を争ったが、これも敗北、残すターゲットは世界王座のみ、といった状況でカストロに挑戦。アルゼンチンのラ・バンダでの一戦(レフェリーはロベルト・ラミレス。カストロのセコンドにナチョ・ベリスタイン)。共に慎重な試合ぶり。カストロは右ジャブ、接近戦では左右フック乱れ打ち。コルドバは左を使いながら右ストレート、左フック。しかし、攻防分離。攻められるとクリンチし、カウンターを取る芸当は無い。ディフェンシブながら時折右ストレート、左フックを当てるコルドバに地元ファンは大いに盛り上がる。カストロもたまにパンチを当てるが、当たりが浅め。12R終了。勝利を確信しているコルドバ陣営。判定は小差の3-0(ダウンシーンは無し)。コルドバが相手のパンチを警戒しまくって勝利。つまらない勝ち方だったが、どうしても勝ちたかったのだろう。カストロは残念な男。異常なほどタフでディフェンスもできるにもかかわらず、なぜか慎重。もっと積極的に打っていけば勝てた(それが大物ゴンザレス、カルバハルに勝てなかった理由。今更ながら、もったいない)。その後の二人。コルドバは初防衛戦でホルヘ・アルセに3-0の敗北。二階級制覇を狙ってフェルナンド・モンティエルのWBO世界フライ級王座に挑戦したが、1RでKO負け。それが最後の試合に。カストロはIBA王座(フライ級)、北米王座(J・フライ級)などを獲得後に世界王座返り咲きを狙ってホルヘ・アルセのWBC世界J・フライ級王座に二度挑戦したが、王座奪回ならず。その後もブランクがちに試合し、2008年までリングに上がった。)


①「WBC World Light Flyweight Title

Melchor Cob Castro vs. Humberto Gonzalez」

②「Flyweight 

Melchor Cob Castro vs. Bong Jun Kim」

③「vacant IBF World Light Flyweight Title

Melchor Cob Castro vs. Michael Carbajal」

④「WBO World Light Flyweight Title
Melchor Cob Castro vs. Juan Domingo Cordoba」

ローランド・パスクワ(Rolando Pascua)のページ
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ウンベルト・ゴンザレス(Humberto "Chiquita" Gonzalez)のページ
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金奉準(キム・ボンジュン:Bong-Jun Kim)のページ
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マイケル・カルバハル(Michael Carbajal)のページ

2021年1月20日水曜日

ローランド・パスクワ(Rolando Pascua)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

大番狂わせで世界J・フライ級タイトルを獲得したパスクワ。ウンベルト・ゴンザレス戦、メルチョル・コブ・カストロ戦、フリオ・セサール・ボルボア戦を紹介します。

ローランド・パスクワ(Rolando Pascua)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ローランド・パスクワ(フィリピン)

身長165cm:サウスポー

ローランド・パスクワ 6R KO ウンベルト・ゴンザレス

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1990年)

パスクワ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ゴンザレス:ジャブ、ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

6R:左フックでゴンザレスがダウン

(感想:パスクワがタイトル獲得。フィリピン・セブ出身のパスクワ。細い身体つきで、顔は「ブッシュマン」でおなじみのニカウさんに似ている。地元で連戦連勝であったが、韓国で崔漸煥(大橋秀行との試合で有名)に敗れ、初黒星。タイではナパ・キャットワンチャイ(井岡弘樹のライバル)に判定負け(海外で勝てないのは線が細いためか?)。WBC4位で、これまで24勝(8KO)5敗。王者ゴンザレスはメキシカンで29戦全勝(23KO)。小柄ながら「小さな巨人」と呼ばれるハードヒッター。カリフォルニア「グレート・ウェスタン・フォーラム」で六度目の防衛戦。重いパンチでプレッシャーをかけていくゴンザレス。パスクワはジャブ、ストレートで応戦。スイッチヒッターのゴンザレスは左右に切り替えながら振りが大きいパンチで攻撃。パスクワは意外にも打たれてもひるまず打ち返す。6R、連打からの左フックでゴンザレスがダウン、KO。大番狂わせ。ゴンザレスの調子・動きはいつもと変わらない感じだった。パスクワがよく頑張った、と言った方が適切な、実力による決着だった。)


メルチョル・コブ・カストロ 10R TKO ローランド・パスクワ

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1991年)

パスクワ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

カストロ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:カストロがタイトル獲得。パスクワの初防衛戦。試合地は王座を獲ったときと同じ「グレート・ウェスタン・フォーラム」。WBC9位のカストロはメキシカン。小柄だが頑丈そうな身体をしているサウスポーで、WBC米大陸J・フライ級タイトルを獲得している。フットワークを使いながらジャブと左右フック連打のカストロ。パスクワはジャブ、左ストレートでカストロを追う。ゴンザレス戦では攻めてくるゴンザレスを迎え撃つ展開であったが、この試合では逆に相手を追うことになったパスクワ。接近して打ち合い。共に一発で倒すタイプではないため手数が多い。9R、ロープに追い詰められて打たれるパスクワ。10Rにも連打を浴びる。試合放棄し、その後、コーナーでへたり込んだ。カストロがリズミカルな連打で快勝。ダウンシーンは無し。パスクワの動きとパンチのキレはゴンザレス戦と変わらないように見えたが、相手に動かれ、ボディを叩かれて完敗。フィリピン人はボディ攻撃に弱い、という定番のパターンになってしまった。)


フリオ・セサール・ボルボア 5R TKO ローランド・パスクワ

(IBF世界J・バンタム級タイトル戦、1993年)

パスクワ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ボルボア:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:右フックでボルボアがダウン

5R:左フックでパスクワがダウン

(感想:ボルボアがタイトル防衛。カストロ戦後もリングに上がり続けるパスクワ。J・バンタムで世界挑戦のチャンス到来。王者ボルボアはロバート・キロガを回転の速い連打で破った男(キロガもまた連打で勝つタイプだったが、連打でボルボアが圧倒した)。ただし、一発で倒すようなタイプではない。そのため下の階級から来たパスクワはパワー負けすることなく打ち合う。2R、連打からの右フックでボルボアがダウン。パスクワは攻めて行くが、力んだ打ち方のためディフェンスされてしまう。5R、ボディが効いたパスクワは左フックを追い打ちされてダウン。そして、右フック連打でレフェリーストップ。結局ボディが弱かったパスクワ。この人はゴンザレス戦がピークだったようだ。その後もパスクワはリングに上がり、負けも増えて行くが、WBFやIBOといったマイナー世界団体の王座戦に出場した。)

①「WBC World Light Flyweight Title

Humberto Gonzalez vs. Rolando Pascua」

②「WBC World Light Flyweight Title

Rolando Pascua vs. Melchor Cob Castro」

③「IBF World Super Flyweight Title

Julio Cesar Borboa vs. Rolando Pascua」

ウンベルト・ゴンザレス(Humberto "Chiquita" Gonzalez)のページ

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メルチョル・コブ・カストロ(Melchor Cob Castro)のページ

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フリオ・セサール・ボルボア(Julio Cesar Borboa)のページ

ルイス・ラモン・カンパス(Luis Ramón Campas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界J・ミドル級王者「ヨリボーイ」カンパス。フェリックス・トリニダード戦、ラウル・マルケス戦、オスカー・デ・ラ・ホーヤ戦を紹介します。

ルイス・ラモン・カンパス(Luis Ramón Campas)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ルイス・ラモン・カンパス(メキシコ)

身長171cm:オーソドックス(右構え)

フェリックス・トリニダード 4R TKO ルイス・ラモン・カンパス

(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1994年)

カンパス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

トリニダード:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでトリニダードがダウン

(感想:トリニダードがタイトル防衛。「Yori Boy(ヨリボーイ)」と呼ばれたメキシカン、カンパス。「Yori」とは英語で「white」。何が白いのかは知らないが、ジムで名付けられたらしい。1987年に15歳でプロデビュー。以来、連戦連勝。メキシカンらしい左フックを武器にメキシコ王座、北米王座(いずれもウェルター級)を獲得するが、世界挑戦のチャンスはなかなか回ってこない。これまで56戦全勝(50KO)。IBF1位としてトリニダードに挑戦。プエルトリコの王者トリニダードは23戦全勝(19KO)。これが四度目の防衛戦。直前の防衛戦ではプエルトリコの先輩ヘクター・カマチョに判定勝ちしている。ラスベガス「MGM Grand」での一戦。ジャブ、よく伸びる右ストレート、パワフルな左フックが武器のトリニダード。接近戦での打ち合い。2R、左フックでトリニダードがヨロヨロとダウン。その後は左フック連打で逆にカンパスを痛めつける。4R、ロープ際で滅多打ちにされるカンパス。打たれて顔が大きく上を向いたところでレフェリーストップ。トリニダードは打たれ弱いが凄まじい左フックを打つ。信じられないパワーで勝利。カンパスは負けたがダウンを奪い、倒れなかった。そのタフさは賞賛されるべきだ。)


ルイス・ラモン・カンパス 8R TKO ラウル・マルケス

(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、1997年)

カンパス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

マルケス:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:カンパスがタイトル獲得。トリニダード戦の再起戦でNABOウェルター級王座を獲得したカンパス。その後、王座を防衛しながら連勝し、WBO世界ウェルター級王者ホセ・ルイス・ロペスに挑戦。しかし、TKO負けで二度目の世界挑戦も実らず。連勝後、アトランチックシティで三度目の世界挑戦。サウスポーの王者マルケスはこれまで全勝。決定戦で王座を獲得し、これが三度目の防衛戦。直前の防衛戦ではキース・ムリングス(マルケス戦の次の試合でテリー・ノリスをKOしてWBC王者に)に勝利している。マルケスが左ストレート、カンパスは右ストレートと左フックを狙う。接近戦。次第にカンパスのパンチが当たるようになり、マルケスの顔が腫れていく。8R、マルケスが連打されてレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。打たれ強さの差が出た。マルケスは自分のパワーに自信があったのかもしれないが、カンパスのようなタフ男と我慢比べのような打ち合いをすべきではなかった。後、マルケスは二度世界挑戦したが、王座返り咲きならず。)


オスカー・デラ・ホーヤ 7R TKO ルイス・ラモン・カンパス

(WBA・WBC世界J・ミドル級タイトル戦、2003年)

カンパス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デラ・ホーヤ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:デラ・ホーヤがタイトル防衛。IBF王座を三度防衛したカンパスだが、活きのいいチャレンジャー、フェルナンド・バルガスに敗れ、王座陥落。その後、実力者オバ・カーに敗れ、WBO世界J・ミドル級王座決定戦でダニエル・サントスにも敗北。そしてこのデラ・ホーヤ戦。王者デラ・ホーヤは説明不要の有名選手。当時、ハビエル・カスティリェホを破ってWBC世界J・ミドル級王座、フェルナンド・バルガスを破ってWBA王座を獲得し、統一。これが統一王座の初防衛戦となる。ラスベガスでの一戦。前に出るカンパス。距離を取ってジャブ・連打のデラ・ホーヤ。攻めていくカンパスのパンチは当たらず、逆にデラ・ホーヤの連打がヒット。7R、連打を浴びるカンパス。セコンドが入って試合終了。デラ・ホーヤは勝って嬉しそうだったが、二人ともパンチのキレはイマイチ。デラ・ホーヤのパンチは右ストレートは良かったが、それ以外は手打ち気味。大きなイベントではあったが内容はそれほどでもなかった。ダウンシーンは無し。その後、カンパスは世界王座に返り咲くことはなかったが、WBAやWBCの地域王座を獲得するなど、精力的にリングに上がった。ラストファイトは2019年。100戦を超えるキャリアとなった。)

①「IBF World Welterweight Title

Felix Trinidad vs. Luis Ramón Campas」

②「IBF World Super Welterweight Title

Raul Marquez vs. Luis Ramón Campas」

③「WBA・WBC World Super Welterweight Title

Oscar De La Hoya vs. Luis Ramón Campas」

フェリックス・トリニダード(Félix Trinidad)のページ 

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ラウル・マルケス(Raúl Márquez)のページ

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オスカー・デ・ラ・ホーヤ(Oscar De La Hoya)のページ 

2021年1月15日金曜日

キース・ムリングス(Keith Mullings)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

スキンヘッドの世界J・ミドル級王者。テリー・ノリス戦、ダビデ・チャルランテ戦、ロナルド・ライト戦ほかを紹介します。

キース・ムリングス(Keith Mullings)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

キース・ムリングス(アメリカ)

身長176cm:オーソドックス(右構え)


キース・ムリングス 9R TKO テリー・ノリス

(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1997年)

ムリングス:左ジャブ、右ストレート、左フック

ノリス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

8R:右ストレートでノリスがダウン

(感想:ムリングスがタイトル獲得。ジャマイカ出身のムリングス。ニックネームは「Brooklyn Assassin(ブルックリンの暗殺者)」。アトランチックシティでプロデビュー以来、連戦連勝。しかし、NABUのJ・ミドル級王座戦で判定負けして初黒星。その次の試合にも負けて連敗。さらにドロー、敗北。ようやく勝利して、ラウル・マルケスのIBF世界J・ミドル級王座に挑戦したが判定負け。その再起戦でノリスに挑戦するチャンスをもらったが、「ブルックリンの暗殺者」という割りにはパッとしないキャリア。王者ノリスは既にベテラン。サイモン・ブラウンとルイス・サンタナに王座を奪われたが奪回し、不安定ながら長らくWBC世界J・ミドル級王座を保持し続けている安定(?)王者。アトランチックシティでの一戦。共にスキンヘッドでジャブ・右ストレートを基本とする。ノリスが回転の速い連打。ムリングスはパワーを込めた打ち方。手数が多いノリスにムリングスが応戦する展開。8R、右ストレートでノリスがダウン。9R、連打でレフェリーストップ。元々、打たれ強くないノリス。これまでの試合のダメージもあったはず。パンチは速かったが、パワーに欠けていた。ムリングスは地味な感じの選手ではあるが、しっかりしたパンチを打つ。言い過ぎかも知れないが「小型ハグラー」といった印象。)


キース・ムリングス 6R TKO ダビデ・チャルランテ

(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1998年)

ムリングス:左ジャブ、右ストレート、左フック

チャルランテ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ムリングスがタイトル初防衛。挑戦者チャルランテはイタリアの選手。イタリア王座、欧州王座(いずれもJ・ミドル級)を獲得し、これまで無敗。どんな選手なのか? アトランチックシティでの一戦。共にジャブ・右ストレートを使うタイプ。しかしながら、パンチの伸び、パワー、正確さに差が。ジャブを打ち合うが、強く正確に当てるのはムリングスの方。顔が腫れたチャルランテは5R終了で棄権(ダウンシーンは無し)。チャルランテは世界1位であったが、王者とは大きな実力差が。これが最初で最後の世界戦となった。)


ロナルド・ライト 12R 判定 キース・ムリングス

(北米J・ミドル級、全米J・ミドル級タイトル戦、2000年)

ムリングス:左ジャブ、右ストレート、左フック

ライト:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:ライトがタイトル防衛。二度目の防衛戦でハビエル・カスティリェホに王座を奪われたムリングス。その再起戦でWBA世界J・ミドル級王者デビッド・リードに挑戦したが、判定負け。ライト戦はその再起戦。ライトは元WBO王者でサウスポー。テクニックで勝負するタイプ。ピッツバーグでの一戦。ジャブで攻めるムリングス。ライトはジャブ・左ストレートで迎え撃ち、右フックでボディ攻撃。ディフェンスされてパンチを当てられないムリングス。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ライトはディフェンシブな選手で、倒しに行くこともなくポイントをとるタイプ。相手からすればやりにくい選手。ムリングスは良い打ち方をする選手であるが、相手のガードを吹っ飛ばすほどのパワーは無かった(そのへんがハグラーとは違うところ)。その後のライト。決定戦でIBF世界J・ミドル級王座獲得。WBC王座も獲得して王座統一。ジャーメイン・テーラーとドローで世界ミドル級王座は獲得ならず。J・ミドル級のトップとして活躍したキャリアだった。)


スティーブ・ロバーツ 2R TKO キース・ムリングス

(WBFジュニアミドル級タイトル戦、2001年)

ムリングス:左ジャブ、右ストレート、左フック

ロバーツ:右ジャブ、左ストレート、右フック

(ダウンシーン)

1R:右フックでムリングスがダウン

(感想:ロバーツがタイトル防衛。ライトに敗れたムリングスが再起戦でWBF王座に挑戦。年齢は33。28歳のロバーツはロンドン出身の白人サウスポー。デビューから23連勝(10KO)。決定戦で獲得したWBF王座を守り続けている。英国ウェンブリーでの一戦。1R、右ジャブ、ワンツーのロバーツ。ムリングスはガードを上げて前進し、右ストレート、左フック。攻めるムリングスだが、右フックで早くもダウン。その後も右ストレートに強さを見せるムリングス。ロバーツはアウトボクシングで、左ストレートからの右フック。2R、右フックでグラついたムリングス。レフェリーもなぜかグラついてストップに入り、試合終了。ストップに不満のムリングス。しかし、足に来ていたため仕方がない。ロバーツが当てる巧さで勝利。ムリングスは動きが固い。そこを突かれて敗北。その後の二人。ロバーツは王座を連続防衛。2-0の判定で初黒星、王座陥落で事実上の引退。意外なことにメジャー団体の世界王座に挑戦することは無かった(マイナー王座でも満足?)。ムリングスはカスティリェホ戦から四連敗となり、結局、これで引退。テリー・ノリス戦は素晴らしかったが、それ以外は微妙だった印象の選手。引退後はトレーナーに。しかし、2021年に53歳で死去。死因は明らかにされていない。)


①「WBC World Super Welterweight Title

Terry Norris vs. Keith Mullings」

②「WBC World Super Welterweight Title

Keith Mullings vs. Davide Ciarlante」

③「NABF・USBA Super Welterweight Title

Ronald Wright vs. Keith Mullings」

④「WBF Super Welterweight Title

Steve Roberts vs. Keith Mullings」


テリー・ノリス("Terrible" Terry Norris)のページ

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ロナルド・ライト(Ronald "Winky" Wright)のページ

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)③「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

S・ミドル級に参戦する「パズマニアン・デビル」パジェンザ。ロベルト・デュラン戦(初戦・再戦)、ロイ・ジョーンズ・ジュニア戦を紹介します。

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ビニー・パジェンザ(アメリカ)

身長171cm:オーソドックス(右構え)

ビニー・パジェンザ 12R 判定 ロベルト・デュラン

(IBC S・ミドル級王座決定戦、1994年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デュラン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

5R:右ストレートでパジェンザがダウン

(感想:ラスベガス「MGM Grand」でパジェンザが「伝説」と対戦。大ベテランのデュラン(パナマの「石の拳」)は説明不要な有名選手。「IBC」なる団体のベルトを懸けて元世界ライト級王者同士が対戦。ジャブを出すデュランだが、フックは手打ち気味。パジェンザは忙しく動いて連打。4R、ロープをつかむクセをレフェリー(ジョー・コルテス)に注意されるパジェンザ。5R、左ジャブからの右ストレートがカウンターとなってパジェンザがダウン。しかし、全体的にはパジェンザの方が手数が多く、精力的。判定は3-0。デュランは判定に不満そうだったが、個人的にはもっと右ストレートを打って欲しかったところ。大きな会場「MGM Grand」に多くの観客を集めた試合。リングサイドでは美人のおねえさんが熱狂的にパジェンザを応援。ファンが興味を持てば「IBC」のタイトル戦でも会場がいっぱいになる。WBAとかWBCなどという既存の団体に価値を置くことは古いのではないか、と思わせるような興行だった。)


ビニー・パジェンザ 12R 判定 ロベルト・デュラン

(IBC S・ミドル級タイトル戦、1995年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デュラン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:パジェンザがタイトル防衛。アトランチックシティで再戦。基本的には前回と同じパターン。ただ、デュランのパンチは軽めでモタモタした動き。一発のパワーに欠けるパジェンザはフットワークでかわしながらときどき右ストレートを放つ。判定は3-0。ダウンシーンは無し。初戦では右ストレートでパジェンザがダウンするシーンがあったが、再戦では大きな見所はなかった。ライト級時代と比べるとかなりゴツい体になったパジェンザは、見た目はS・ミドル級らしい体になっていた。)


ロイ・ジョーンズ・ジュニア 6R KO ビニー・パジェンザ

(IBF世界S・ミドル級タイトル戦、1995年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

6R:左フック、右ストレート、左フックで3度、パジェンザがダウン

(感想:ジョーンズがタイトル防衛。これまで28戦全勝(24KO)のパワーファイター、ジョーンズ。ミドル級王座も獲得している二階級王者(オリンピックでは金メダルを盗まれてしまったが、プロでは成功)。アトランチックシティでの一戦。共にジャブ・連打で攻める。ジョーンズは振りの大きいフック。パジェンザは回転の速い連打。6R、ジャブ連打を浴び続けてダメージがあるパジェンザにジョーンズが猛攻。三度ダウンでKO。この当時、ジョーンズはスピード&パワーが最も充実していた全盛期。勝てなかったのは仕方がない、といったところ。その後もリングに上がり続けたパジェンザ。実力ナンバーワンではなかったが人気はあった。プロらしい精力的な戦いぶりで彼のファンは満足だったろう。)

①「IBC Super Middleweight Title

Vinny Pazienza vs Roberto Durán」

②「IBC Super Middleweight Title

Vinny Pazienza vs Roberto Durán」

③「IBF Super Middleweight Title

Roy Jones, Jr. vs Vinny Pazienza」

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)①のページ

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ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)②のページ

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ロベルト・デュラン(Roberto Durán)のページ

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ロイ・ジョーンズ・ジュニア(Roy Jones, Jr.)のページ

2021年1月13日水曜日

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

「パズマニアン・デビル」パジェンザ。WBA世界J・ミドル級タイトルを獲得して二階級制覇達成。ロレト・ガルサ戦、ジルベール・デレ戦、ロイド・ハニガン戦を紹介します。

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)②ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ビニー・パジェンザ(アメリカ)

身長171cm:オーソドックス(右構え)

ロレト・ガルサ 11R 反則 ビニー・パジェンザ

(WBA世界J・ウェルター級タイトル戦、1990年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ガルサ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:ガルサがタイトル防衛。ロジャー・メイウェザー、ヘクター・カマチョの世界J・ウェルター級王座に挑戦して敗北したパジェンザ。今度はWBA王座を狙う(元IBF世界ライト級王者とはいえ、これだけチャンスを与えられるのは優遇されている)。王者は日本でもおなじみのファン・マルチン・コッジからベルトを奪ったガルサ。これまで27勝(23KO)1敗1分。猫背な姿勢から左のガードを下げてフリッカージャブを打つ男。サクラメント「アルコ・アリーナ」での一戦。パジェンザがフットワークを使って連打を狙うが、ジャブに遮られて思うように攻められない。ひたすらジャブ・ストレートのガルサ。パジェンザは相手を突き飛ばすかのような強引な攻め。11R、クリンチの際にガルサを持ち上げるパジェンザ。反則負け。ダウンシーンは無し。うまく攻撃できない不満から荒っぽいファイトをして負けにされてしまったパジェンザ。これでWBC、WBO、WBAのJ・ウェルター級挑戦に三連敗。ジャブには相手を心理的に追い込む効果があり、王者にしてやられた感じ。しかし、ガルサはこの次の試合でエドウィン・ロサリオに滅多打ちにされてKO負け。決して難攻不落な王者ではなかった。)


ビニー・パジェンザ 12R TKO ジルベール・デレ

(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1991年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デレ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:パジェンザが二階級制覇。元ライト級世界王者のパジェンザが階級を飛ばしてJ・ミドルで挑戦。王者デレはカーロス・エリオットをKOしてこのタイトルを獲ったことで日本でもおなじみ。パジェンザの地元ロードアイランド州での試合。回転の速い連打でテンポよく攻めるパジェンザ。デレは接近戦ではパンチが当たらない。12R、連打を浴びてフラつくデレ。左フックが目に当たって背を向ける。レフェリーストップ。デレはジャブは良かったが、全体的にパンチが不正確であった。パジェンザはコブシを回すパフォーマンスを入れながら、連打連打で試合を支配。ダウンシーンは無かったがエキサイティングな内容だった。)


ビニー・パジェンザ 10R TKO ロイド・ハニガン

(ミドル級戦、1993年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ハニガン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

3R:左フックでハニガンがダウン

9R:右ストレートでハニガンがダウン

(感想:交通事故で首を骨折したパジェンザ。防衛戦を行うこともなくWBA世界J・ミドル級タイトルを失った。再起してハニガンとアトランチックシティで対戦。ハニガンはドナルド・カリーを大番狂わせで破り、世界ウェルター級王座を獲得したことがある男。パジェンザはミドル級、ハニガンはJ・ミドル級の世界ランカー。軽快な動きで連打するパジェンザ。ハニガンは左のガードを下げてジャブ・ストレート。3Rのダウン。5R、左フックを食ってハニガンのマウスピースが落下。9R、連打でロープ外に出てしまうハニガン。右ストレートでダウン。10R、ハニガンをコーナーに詰めて連打するパジェンザが滑ってしまう。すぐに立ち上がりハニガンにラッシュ。リングインする黒人の男(試合関係者)。混乱するリング。結果はパジェンザのTKO勝ち。何だかよくわからない終わり方。選手が滑ったりしてキャンバスにタッチした場合はレフェリーは一旦止めるべき。ハニガンは得意の右ストレートは強そうな感じだったが、動きにキレが無かった。)

①「WBA World Super Lightweight Title

Loreto Garza vs. Vinny Pazienza」

②「WBA World Super Welterweight Title

Gilbert Delé vs. Vinny Pazienza」

③「Middleweight 

Vinny Pazienza vs. Lloyd Honeyghan」

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)①のページ

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ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)③のページ

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ロイド・ハニガン(Lloyd Honeyghan)のページ

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カーロス・エリオット(Carlos Elliott)のページ 

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

豊富なキャリアを誇る「パズマニアン・デビル」パジェンザ。WBO世界J・ウェルター級タイトルにも挑戦。メルビン・ポール戦、ハリー・アローヨ戦、ヘクター・カマチョ戦を紹介します。

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)①ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ビニー・パジェンザ(アメリカ)

身長171cm:オーソドックス(右構え)

ビニー・パジェンザ 2R KO メルビン・ポール

(ライト級戦、1985年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ポール:左ジャブと右ストレート

(ダウンシーン)

2R:右フックでポールがダウン

(感想:ロードアイランド州出身のパジェンザ。好戦的な白人選手。子供の頃からスポーツ好きで7歳の時にボクシングを始める。本格的にボクシングに打ち込むキッカケとなったのは映画『ロッキー』(パジェンザはイタリアの血も入っているとか)。アマチュアで優秀な成績(タイトルを獲得したことも)。プロ入り。ジャブからの右ストレート、左右フック連打を武器にこれまで16勝(13KO)1敗。トレーナーはルウ・デュバ。相手のポールは経験豊富。チャーリー・ブラウンと空位のIBF世界ライト級王座を争って2-1で敗れたり、テレンス・アリ(敗北)、プリモ・ラモス(勝利)、コーネリアス・ボサ・エドワーズ(敗北)といった名のある相手と戦ったり。ヘクター・カマチョに敗れるまで、デビュー以来全勝だったことも。アトランチックシティでの一戦。リズミカルに連打するパジェンザ。ポールは押され気味。2R、パジェンザの(右手を小さく回してからの)右フックがマトモにヒットしてポールが前のめりにダウン、KO。アメリカ人ボクサーらしいパフォーマンスを入れながらパジェンザが勝利。パジェンザは手数が多く好戦的な選手だが、こんなキレイなKO勝ちは珍しい。ポールは次の試合でもKOされて引退。)


ビニー・パジェンザ 10R 判定 ハリー・アローヨ

(ライト級戦、1986年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

アローヨ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:パジェンザが実力者と勝負。白人選手アローヨは元IBF世界ライト級王者。スラリとした体型から繰り出すシャープなジャブからの右ストレート、左フックが武器。パジェンザが積極的にジャブ連打、接近してフック。ロープを掴む悪いクセを出すパジェンザ(2Rほか)。判定は最後まで精力的に攻めたパジェンザの3-0。ダウンシーンは無し。アグレッシブなフック攻撃(特に左フック)でアローヨのキレイなボクシングを封じた。アローヨはパンチがシャープで個人的には好みの選手ではあるがパワーに欠けていた。これではタフなパジェンザを止められない。)


ヘクター・カマチョ 12R 判定 ビニー・パジェンザ

(WBO世界J・ウェルター級タイトル戦、1990年)

パジェンザ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

カマチョ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:カマチョがタイトル防衛。パジェンザはIBF世界ライト級タイトルを取ったものの前王者グレグ・ホーゲンに奪い返され、WBC世界J・ウェルター級タイトル挑戦ではロジャー・メイウェザーに敗北。そして新興団体(当時)WBOの世界J・ウェルター級タイトルにアトランチックシティで挑戦。三階級王者カマチョがネイティブアメリカンの羽を頭にかぶってリングイン。おなじみのダンスを披露。サウスポースタイルからのジャブとフットワークで距離を取り、左ストレート。いつものようにポイント狙いの打ち方。パジェンザは連打で強引にラッシュをかけていく。打ち合いを避けて速いパンチを出すカマチョ。判定は3-0。ダウンシーンは無し。パジェンザはよく攻めていったがディフェンスされてしまった。無敗時代のカマチョはこの試合のようなパターンが多く、「こういうやり方でどこまで勝ち続けることができるか?」という目でファンに見られていたが、パジェンザも「カマチョに勝てなかった選手」の仲間入りをしてしまった。)

①「Lightweight 

Vinny Pazienza vs. Melvin Paul」

②「Lightweight 

Vinny Pazienza vs. Harry Arroyo」

③「WBO World Super Lightweight Title

Hector Camacho vs. Vinny Pazienza」

ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)②のページ

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ビニー・パジェンザ(Vinny Pazienza)③のページ

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ハリー・アローヨ(Harry Arroyo)のページ

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ヘクター・カマチョ(Héctor "Macho" Camacho)のページ

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グレグ・ホーゲン(Greg Haugen)①のページ

2021年1月8日金曜日

ガブリエル・ルエラス(Gabriel Ruelas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC世界J・ライト級王者。世界を獲ったルエラス兄弟の兄、ガブリエル。アズマー・ネルソン戦(初戦)、ジェシー・ジェームズ・レイハ戦、アズマー・ネルソン戦(再戦)を紹介します。

ガブリエル・ルエラス(Gabriel Ruelas)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ガブリエル・ルエラス(アメリカ)

身長170cm:オーソドックス(右構え)

アズマー・ネルソン 12R 判定 ガブリエル・ルエラス

(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1993年)

ルエラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ネルソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ネルソンがタイトル防衛。メキシコ生まれのルエラス(その後、アメリカに移住)。弟ラファエルも有名な「ボクシング兄弟」。WBC1位で、これまで33戦(16KO)1敗。北米J・ライト級王座を獲得、防衛しており、構え方は似ているが、弟ラファエルとは違い、パワーを込めて強振するタイプ。34歳の王者ネルソンはガーナの黒人選手で、36勝(26KO)2敗1分(二つの負けはサルバドル・サンチェスとパーネル・ウィテカーに喫したもの)。ニックネームは「野生児」「魔神」(別に人種差別的な意味は無い。「驚異的なパンチングパワー」に敬意を表したもの)。メキシコシティでの一戦。ジャブの打ち合い。左でボディを叩くルエラス。左右フックがパワフルなネルソンだが、あまり攻めていかない。12R終了時、ルエラスは両手を上げて勝利を確信している様子。判定は2-0。ダウンシーンは無し。タフなハードパンチャー、ネルソンと打ち合ったルエラス。力んで狙いすぎだった印象。もう少し力を抜いて手数を多くすれば勝てたのではないか?)


ガブリエル・ルエラス 12R 判定 ジェシー・ジェームズ・レイハ

(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1994年)

ルエラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

レイハ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:右アッパーでレイハがダウン

5R:右フックでルエラスがダウン

12R:右ストレートでレイハがダウン

(感想:ルエラスがタイトル獲得。ネルソン戦後、連勝を続けるルエラス。ネルソンを破って新王者になったレイハにラスベガス「MGM Grand」で挑戦。無敗のレイハはこれが初防衛戦。ジャブ連打からの右ストレートが強い好戦的なレイハ。ルエラスはパワーを込めた連打で前進。手数が多い打ち合い。2R、見事なタイミングの右アッパーでレイハがダウン。5R、12Rのダウン。判定は3-0。ルエラスが振りの大きいパンチを使ってパワーで押し切った。レイハもよくジャブを出し、かなりの熱戦となった。)


アズマー・ネルソン 5R TKO ガブリエル・ルエラス

(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1995年)

ルエラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ネルソン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでルエラスがダウン

4R:左フックでルエラスがダウン

(感想:ネルソンがタイトル奪回。ルエラスの三度目の防衛戦はネルソンとの再戦。開始からジャブと大きな振りのフックを使う両者。ジャブからの右ストレートが「ガツン」という感じで当たり、ルエラスがダウン。これが完全に効いたか、ルエラスはパンチ・動きにキレが無くなる。4Rにもダウン。5R、連打でストップ(ストップに抗議するルエラスのセコンド。惨敗がよほど悔しかったのだろう)。再戦に強いネルソン。ジェフ・フェネックとの二試合でも再戦ではフェネックを滅多打ち。「いつでも倒せるパンチ力」の持ち主は強い。ルエラスは1Rのダウンまではいつもと変わらない感じだったが、直前の試合で対戦相手が死亡したことが少なからず影響していたのかもしれない。その後もリングに上がり続けたが、世界王座返り咲きならず。ネルソンにパワーを吸い取られてしまったのかも。)

①「WBC World Super Featherweight Title

Azumah Nelson vs. Gabriel Ruelas」

②「WBC World Super Featherweight Title

Jesse James Leija vs. Gabriel Ruelas」

③「WBC World Super Featherweight Title

Gabriel Ruelas vs. Azumah Nelson」

ラファエル・ルエラス(Rafael Ruelas)のページ

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ジェシー・ジェームズ・レイハ(Jesse James Leija)のページ

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アズマー・ネルソン(Azumah Nelson) のページ

ラファエル・ルエラス(Rafael Ruelas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界ライト級王者。世界を獲ったルエラス兄弟の弟、ラファエル。スチーブ・クルス戦、フレディ・ペンデルトン戦、オスカー・デラ・ホーヤ戦を紹介します。

ラファエル・ルエラス(Rafael Ruelas)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ラファエル・ルエラス(アメリカ)

身長180cm:オーソドックス(右構え)

ラファエル・ルエラス 3R KO スチーブ・クルス

(北米フェザー級王座決定戦、1991年)

ルエラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

クルス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:連打でクルスがダウン。右ストレートでルエラスがダウン。左アッパー、右ストレートでクルスがダウン。

3R:左アッパーでクルスがダウン

(感想:ルエラスがタイトル獲得。メキシコ生まれのルエラス。兄ガブリエルも実力派の「ボクシング兄弟」。アメリカに出稼ぎに行っていた兄弟を追ってアメリカへ。アマチュアで好成績。プロ入り後は連戦連勝。少しぎこちないが、スラリとした体型から繰り出すジャブ、打ち下ろすような右ストレート、左アッパーが大きな武器。これまで24戦全勝(20KO)。クルスは元WBA世界フェザー級王者で細かい連打で相手を追い込むタイプ。長いパンチを使うルエラス。ショートパンチのクルス。対照的な二人。ラスベガスでの一戦。1Rからルエラスの強打がヒット。2Rのダウン応酬(ルエラスのダウンをレフェリーはダウン扱いしなかった。角度的によく見えなかったのかもしれない)。3R、アッパーでダウンしたクルスは立てなかった。勢いでルエラスが快勝。彼の大きなパンチは当たったときはかなりのダメージを相手に与えることができる。ツボにハマったときのパンチングパワーには凄まじいものがあった。クルスはそんなパンチをマトモに食らって大きなダメージを被り、次の試合でポール・ホドキンソンのWBC世界フェザー級王座に挑戦してKO負け。その次の試合では日本で渡辺雄二にKO負け。しばらくして引退した。)


ラファエル・ルエラス 12R 判定 フレディ・ペンドルトン

(IBF世界ライト級タイトル戦、1994年)

ルエラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ペンドルトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右ストレート、左フックで2度、ルエラスがダウン

9R:右ストレートでルエラスがダウン

12R:右ストレートでルエラスがダウン

(感想:ルエラスがタイトル獲得。クルス戦後、マウロ・グチェレス(アズマー・ネルソンのWBC世界フェザー級王座に挑戦してKO負けしたことがあるメキシカン)に2RでKOされてしまったルエラス。その後は連勝。グチェレスとの再戦に勝利したり、北米ライト級王座を獲得したり。IBF1位としてライト級で世界初挑戦。王者はベテランのペンドルトン。昔から実力はあったが、強い選手に阻まれて苦労してきた男。パーネル・ウィテカーが王者だった時に世界挑戦したが、王座獲得ならず。王座決定戦でようやく王者に。これが二度目の防衛戦となる。共に長いパンチとロングフックを使うタイプ。カリフォルニアでの一戦。1Rにルエラスが二度のダウン。その後は打ち合い。ボディを攻撃するルエラス。舌を出してルエラスを挑発するペンドルトン。9Rのダウン。11R終了間際に強打を食うペンドルトン。12Rのダウン。判定は3-0でルエラス。大喜びするルエラスと観客。パワーでは上だったペンドルトンが敗北。9Rと12Rのルエラスのダウンをレフェリーはダウン扱いしなかった(クルス戦でもダウン扱いされなかったシーンがあった)。若いルエラスがエネルギッシュに手数を多く出してよく頑張っていたのは間違いないが・・・。)


オスカー・デラ・ホーヤ 2R KO ラファエル・ルエラス

(IBF・WBO世界ライト級王座統一戦、1995年)

ルエラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デラ・ホーヤ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左フック、右ストレートで2度、ルエラスがダウン

(感想:デラ・ホーヤがタイトル統一。IBF王者ルエラス。そこそこの相手に二度の防衛成功。これまで43勝(34KO)1敗、と見事な数字。ラスベガス「シーザース・パレス」で大きな試合。相手は17戦全勝(15KO)のデラ・ホーヤ。オリンピック金メダリストでWBO王者。速いジャブ連打からの左フックが強いデラ・ホーヤ。ルエラスの長いパンチをかわす。2R、二度のダウンでピンチのルエラス。さらに連打を浴びてストップ。1Rから左フックを決めていたデラ・ホーヤ。回転の速い連打で圧勝。ルエラスの長いパンチは当たるとすごいが、振りが大きいため隙も大きい。ショートパンチが得意なデラ・ホーヤにとっては難しい相手ではなかったようだ。その後もリングに上がり続けたルエラスだが、世界王座に返り咲くこともなくキャリアを終えた。デラ・ホーヤはボクシング界を背負うビッグな存在になっていった。)

①「NABF Featherweight Title

Steve Cruz vs. Rafael Ruelas」

②「IBF World Lightweight Title

Freddie Pendleton vs. Rafael Ruelas」

③「IBF・WBO World Lightweight Title

Oscar De La Hoya vs. Rafael Ruelas」

ガブリエル・ルエラス(Gabriel Ruelas)のページ

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フレディ・ペンドルトン(Freddie Pendleton)のページ

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オスカー・デ・ラ・ホーヤ(Oscar De La Hoya) のページ

2021年1月6日水曜日

ジョニー・デュプロイ(Johnny Du Plooy)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBOタイトルに挑戦したこともある南アフリカのヘビー級、デュプロイ。デビッド・ベイ戦、マイク・ウィーバー戦(初戦・再戦)を紹介します。

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ジョニー・デュプロイ(南アフリカ)

身長191cm:オーソドックス(右構え)

ジョニー・デュプロイ 9R KO デビッド・ベイ

(ヘビー級戦、1987年)

デュプロイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ベイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:右ストレート、左フックで2度、ベイがダウン

9R:右フックでベイがダウン

(感想:南アフリカのデュプロイ。アマチュアでは何と196勝4敗だという(ホントかな?)。ヨハネスブルグでプロデビュー(1RでTKO勝ち)。右のパンチが強く、これまで全勝。ベイはラリー・ホームズのIBFタイトルに挑戦したこともあるタフガイ(世界ヘビー級王者になった「デビッド・ヘイ」ではない)。ヨハネスブルグで行われた試合。デュプロイがジャブからの右ストレート、接近戦では右フックのボディ打ち。ベイは左のガードを下げた構えからジャブ。2R、ベイが二度のダウン。4R、右ストレートを空振りしてベイがコケる。その後はジャブの打ち合いで、ベイがやや押し気味。9R、右フックでベイがダウンして終了。ベイはジャブはそれなりによかったが、体が重そうで打たれ弱くなっていた。)


マイク・ウィーバー 7R TKO ジョニー・デュプロイ

(ヘビー級戦、1987年)

デュプロイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ウィーバー:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

5R:右ストレートでデュプロイがダウン

(感想:ジェームス・ティリス、リッキー・パーキーらを破って全勝を守るデュプロイ。ヨハネスブルグで元WBA王者「ヘラクレス」ウィーバーと対戦。伸びのあるジャブと振りが大きめの左フックが武器のウィーバー。右を中心とした連打で攻めるデュプロイだが、左フックを空振りしてヒザをついたのをダウン扱いされてしまうシーンも。5R、ウィーバーの実に見事な右ストレートでデュプロイがダウン。6R終了でデュプロイが棄権。デュプロイは右ボディフックなどいいパンチを入れていたが、元王者のパンチにはキレがあった。)


ジョニー・デュプロイ 2R KO マイク・ウィーバー

(ヘビー級戦、1988年)

デュプロイ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ウィーバー:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:右ストレート、右フックで2度、ウィーバーがダウン

(感想:南アフリカ・サンシティでの再戦。初戦と同様、速いジャブを飛ばすウィーバー。連打で前に出るデュプロイ。2R、右ストレートでウィーバーがダウン。さらにダウンで完全KO。デュプロイが得意のパンチで豪快なKO勝ち、雪辱。「これで決める」というパンチを持ってる選手は強い。その後、デュプロイは1989年にフランチェスコ・ダミアニとWBO世界ヘビー級王座決定戦を行ったが、3RでKO負け。タイソン、ホリフィールド、フォアマンらと比較されるようなレベルではなかったが、強いパンチを持っているヘビー級らしい選手であった。残念なことに引退後は太ってしまったらしく、心臓発作に苦しみ48歳で亡くなった(2013年)。ボクサーは減量するため引退後は太ることが多い(要注意)。)

①「Heavyweight 

Johnny Du Plooy vs. David Bey」

②「Heavyweight 

Johnny Du Plooy vs. Mike Weaver」

③「Heavyweight 

Johnny Du Plooy vs. Mike Weaver」

マイク・ウィーバー(Mike "Hercules" Weaver)のページ

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フランチェスコ・ダミアニ(Francesco Damiani)のページ 

ジャンフランコ・ロッシ(Gianfranco Rosi)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

イタリアの世界J・ミドル級王者、ロッシ。ルペ・アキノ戦、ドナルド・カリー戦、ダーリン・バン・ホーン戦(初戦)を紹介します。

ジャンフランコ・ロッシ(Gianfranco Rosi)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ジャンフランコ・ロッシ(イタリア)

身長178cm:オーソドックス(右構え)

ジャンフランコ・ロッシ 12R 判定 ルペ・アキノ

(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1987年)

ロッシ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

アキノ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ロッシがタイトル獲得。イタリアのロッシ。これまでイタリア・ウェルター級、欧州王座(ウェルター級、J・ミドル級)を獲得。戦績も良い。ただ、欧州ウェルター級王座戦でロイド・ハニガンに3RでKOされるなど、「打たれ弱い」という評判も。フットワークで距離を取りながら、アップライトスタイルでジャブ・連打を変則的にガチャガチャ打つ。強さはあまり感じられないが、いいパンチも(たまに)打つため、相手からするとやりにくい選手。王者アキノはメキシカン。パランスのいいファイターで左フックに威力がある。イタリアで行われた試合。アキノがパワフルなジャブ、フックで前に出る。ロッシは連打、クリンチ。判定は3-0。ダウンシーンは無し。勝利のアナウンスに(イタリアっぽい感じで)大喜びのロッシ。映像で観た感じではエキサイティングな選手ではないが、打つときはまとめて打つスタミナがあり、当てさせないテクニックを持っていた(妙に面白い選手)。アキノはパワーはあったが、相手を捕まえることができなかった。)


ドナルド・カリー 10R TKO ジャンフランコ・ロッシ

(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1988年)

ロッシ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

カリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:左ジャブでロッシがダウン

4R:右フックでロッシがダウン

7R:右フック、左フック、左フックで3度、ロッシがダウン

8R:左フックでロッシがダウン

(感想:カリーが二階級制覇。元王者デュアン・トーマスを破って初防衛に成功したロッシ。二度目の相手はカリー。カリーは「ボクシング界を背負う男」というポジションだったが、世界ウェルター級タイトルを大番狂わせでロイド・ハニガンに奪われ、さらにWBA世界J・ミドル級王者マイク・マッカラムに思いっ切り倒されてしまった。以前と比べると勢いもパワーも落ちた印象。ジャブを出すが、手数が少ない。ロッシはガチャガチャ打って、クリンチする作戦。2R、攻めたところをジャブでカウンターされてロッシがダウン。その後も攻めてはカウンターを食ってダウンを繰り返すロッシ。9R終了で棄権。ロッシは連打とクリンチでごまかすような感じでポイントを取る男。カリーはショートパンチも打てる技巧派。カウンターで隙を突くカリーの作戦が成功。しかし、カリーは初防衛戦でフランスのルネ・ジャコに敗北。スターの座に返り咲くことはなかった。)


ジャンフランコ・ロッシ 12R 判定 ダーリン・バン・ホーン

(IBF世界J・ミドル級タイトル戦、1989年)

ロッシ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

バン・ホーン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでバン・ホーンがダウン

12R:左フックでバン・ホーンがダウン

(感想:ロッシがIBFタイトル獲得。カリー戦後、二連勝したロッシ。アトランチックシティでIBF王座を狙う。これまで全勝の王者バン・ホーンは見た目が「大学生」みたいな感じの若い白人選手。ジャブ・ストレートを基本とする正統派。ロッシはいつものように連打、当てさせないディフェンス&クリンチ。変則的なロッシの連打を持て余すバン・ホーン。ロッシが二度のダウンを奪って、判定は3-0。バン・ホーンは距離を詰められたりして得意の右ストレートを生かせなかった。自分のパンチを当てたらクリンチ、のパターンで勝利したロッシ。そんなパターンでどこまで勝ち続けることができるのか? と思ったら11連続防衛。バン・ホーンとの再戦も制し、ジルベール・デレ(カーロス・エリオットをKO)のような実力者に勝った星も含まれる。ガチャガチャ打って、クリンチ。隙もあり、キレイなボクシングではないが、妙に勝ち続けたことで逆に印象に残る選手。ただ、「やっぱり」というか、最後の防衛戦となったビンセント・ペットウェイ戦では派手なKO負け。しかし、その後もブランクを作りながらリングに上がり続けた。)

①「WBC World Super Welterweight Title

Lupe Aquino vs. Gianfranco Rosi」

②「WBC World Super Welterweight Title

Gianfranco Rosi vs. Donald Curry」

③「IBF World Super Welterweight Title

Darrin Van Horn vs. Gianfranco Rosi」

ルペ・アキノ(Lupe Aquino)のページ 

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ドナルド・カリー(Donald Curry)のページ 

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ダーリン・バン・ホーン(Darrin Van Horn)のページ 

2021年1月1日金曜日

デュアン・トーマス(Duane Thomas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

名門「クロンクジム」の世界J・ミドル級王者、トーマス。マーク・マクファーソン戦、ジョン・ムガビ戦、ジャンフランコ・ロッシ戦を紹介します。

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デュアン・トーマス(アメリカ)

身長177cm:オーソドックス(右構え)

デュアン・トーマス 10R TKO マーク・マクファーソン

(全米J・ミドル級タイトル戦、1985年)

トーマス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

マクファーソン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

10R:連打でマクファーソンがダウン。マクファーソンがスタンディングダウン。

(感想:トーマスがタイトル防衛。有名な「クロンクジム」のトーマス。トーマス・ハーンズではなくミルトン・マクローリーのようなタイプ。デトロイト出身。少年時代は家庭環境と地域の環境に問題があったらしく、ストリートギャングに。ボクシングの才能に恵まれ、アマチュアで優秀な成績。プロ入り。パワーファイターのバスター・ドレイトン(後、IBF世界J・ミドル級王座獲得)には敗北を喫してしまったが、スンブ・カランベイ(後、WBA世界ミドル級王座獲得)に勝利するなど、これまで24勝(16KO)1敗。マクファーソンも世界を狙うホープで17勝(6KO)1敗。アトランチックシティで行われたホープ対決。右ストレートが強そうなマクファーソン。トーマスはガードを上げてジャブ、ストレート、ショートフック連打。フックで打ち合う接近戦。マクファーソンは下がりながら打つシーンが多い。9R終了間際、左フックが効いたマクファーソン。10R開始早々ラッシュをかけるトーマス。マクファーソンが二度のダウン。そして、連打でストップ。「まだできる」といった感じでマクファーソンはストップに不満の様子だった。完全に倒し切ることができなかったトーマスはパワーに課題があるような印象。) 


デュアン・トーマス 3R TKO ジョン・ムガビ

(WBC世界J・ミドル級王座決定戦、1986年)

トーマス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ムガビ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:トーマスがタイトル獲得。ラスベガス「シーザース・パレス」でトーマスが世界初挑戦。相手はマービン・ハグラーを痛めつけた男ムガビ。ミドル級の選手だが、階級を下げてトーマスと決定戦。これまで26勝(26KO)1敗。強打でムガビが勝つ、というのが戦前の予想。パワーを込めたジャブと振りの大きいフックで攻めるムガビ。やや強引な攻め。トーマスは速いジャブと連打。3R、左フックからの連打を浴びて背を向けるムガビ。レフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。試合後、「サミング(親指で目を攻撃する反則)をされた」とムガビは主張していたようだが、映像では確認できなかった。意外な敗北を喫したムガビ。この程度の選手なのか、それともハグラー戦で壊れてしまったのか?)


ジャンフランコ・ロッシ 7R KO デュアン・トーマス

(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1988年)

トーマス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ロッシ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

7R:連打でトーマスがダウン

(感想:ロッシがタイトル防衛。ルペ・アキノにタイトルを取られてしまったトーマス。王座はアキノからイタリアのロッシへ。イタリア・ジェノヴァでロッシに挑戦。王者ロッシはテクニックで勝負するタイプ(後、IBF王座を獲得し、長期防衛)。アップライトスタイルからジャブ、連打のロッシ。トーマスはジャブと振りの大きいパンチで攻めるがディフェンスされてしまう。7R、右を打たれて効いたトーマス。それをきっかけにロッシがラッシュ。連打でトーマスがダウンしてKO。テクニシャンタイプのロッシが力強いKO勝ち。ショートパンチが巧いはずのトーマスは大振りのパンチ。ディフェンスされてKO負け。ハーンズほどのパワーは無く、マクローリーのようなスピードも無いトーマス。もう少し強みがあればよかった。トーマスは次の試合に判定勝ちした後、リングから遠ざかる。11年後にカムバックして勝利。しかし、銃で撃たれて死去。何らかのトラブル(犯罪?)が背景にあったという。)

①「USBA Super Welterweight Title

Duane Thomas vs. Mark McPherson」

②「vacant WBC World Super Welterweight Title

Duane Thomas vs. John Mugabi」

③「WBC World Super Welterweight Title

Gianfranco Rosi vs. Duane Thomas」

ジョン・ムガビ(John "The Beast" Mugabi)のページ 

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ジャンフランコ・ロッシ(Gianfranco Rosi)のページ

ジョバンニ・セグラ(Giovani Segura)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

アグレッシブな連打の世界L・フライ級王者、セグラ。セサール・カンチラ戦(再戦)、ソニー・ボーイ・ハロ戦、イヴァン・カルデロン戦(初戦)を紹介します。

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ジョバンニ・セグラ(メキシコ)

身長163cm:サウスポー

ジョバンニ・セグラ 4R TKO セサール・カンチラ

(WBA世界L・フライ級暫定王座戦、2009年)

セグラ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

カンチラ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右フックでカンチラがダウン

2R:左フックでカンチラがダウン

(感想:セグラがタイトル獲得。メキシコ・ゲレーロ州出身のセグラ。ニックネームは「El Guerrero Azteca」。15歳でボクシングを始める。アマチュアを経験し、アメリカでプロデビュー。連勝し、IBA王座、北米王座(いずれもL・フライ級)を獲得。カンチラとWBA世界L・フライ級暫定王座戦。これに判定負けして初黒星。そしてメキシコでダイレクト・リマッチ。これまで19勝(15KO)1敗1分。カンチラはコロンビアの選手で27勝(21KO)1敗。地元で戦ってきた選手でWBAやWBOの地域王座を獲得したこともある。初の海外試合(ラスベガス「MGM Grand」)でセグラに勝利して暫定王座獲得。これが初防衛戦となる。1R、セグラがサウスポースタイルから風車のように振りの大きい左右フックを連打し、好戦的なところを見せる。カンチラはスラリとした体型から伸びるジャブ・ストレート。攻めるセグラ。右フックでカンチラがダウン。2Rにもダウン。4R、連打でレフェリーストップ。やや攻め方が強引だったような感じもあったが、セグラが押し切った。カンチラは左フックを決めるなどしたが(2R)、基本的に距離を取って強さを発揮するタイプ。接近戦を仕掛けたセグラの作戦勝ち、といったところ。後、カンチラが世界王座に返り咲くことはなかった。)


ジョバンニ・セグラ 1R KO ソニー・ボーイ・ハロ

(WBA世界L・フライ級タイトル戦、2009年)

セグラ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ハロ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

1R:左ボディフックでハロがダウン

(感想:セグラがタイトル防衛。メキシコで行われた二度目の防衛戦。ハロはフィリピンの強打者で、後にポンサクレック・ウォンジョンカムをKOしてWBC世界フライ級王者になる男。最初から打ち合い。左ボディでハロがダウン、試合終了。あっけないKO。短い試合ではあったが、セグラにはパンチの正確さがあり、フィニッシュの前にもボディブローをキッチリ決めていた。)


ジョバンニ・セグラ 8R KO イヴァン・カルデロン

(WBA・WBO世界L・フライ級王座統一戦、2010年)

セグラ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

カルデロン:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

8R:連打でカルデロンがダウン

(感想:セグラがタイトル統一。WBA王座を防衛し続けるセグラが統一戦。WBO王者カルデロンはプエルトリコの選手で、身長152cm。小さい体ながらミニマムとL・フライで二階級制覇している(ともにWBO)。これまで34勝(6KO)1分で無敗。ただ、「6KO」が示すようにパワーに欠ける。プエルトリコで行われたサウスポー同士の一戦。セグラはいつものようにフック攻撃で前進。カルデロンは左ストレート・右フックで応戦。8R、コーナーに詰められたカルデロンが連打でダウン。ヒザをついたままカウントアウト。カルデロンのいいパンチも入っていたが、やはりパワー不足。体格差があった。再戦もセグラが勝利。後、セグラはフライ級で世界挑戦したがブライアン・ビロリア、ファン・フランシスコ・エストラーダにTKO負けして王座獲得ならず。パワー不足によりフライ級では通用しなかった。)

①「interim WBA World Light Flyweight Title

Cesar Canchila vs. Giovani Segura」

②「WBA World Light Flyweight Title

Giovani Segura vs. Sonny Boy Jaro」

③「WBA・WBO World Light Flyweight Title

Giovani Segura vs. Ivan Calderon」

ソニー・ボーイ・ハロ(Sonny Boy Jaro)のページ

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イヴァン・カルデロン("Iron Boy" Ivan Calderón)のページ

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ブライアン・ビロリア(Brian Viloria)②のページ