J・ウェルター級。長身のアフリカン。サミー・フェンテス戦、フリオ・セサール・チャベス戦、オスカー・デラ・ホーヤ戦ほかを紹介します。
デビッド・カマウ(ケニア)
身長180cm:オーソドックス(右構え)
①デビッド・カマウ 10R 判定 サミー・フェンテス
(J・ウェルター級戦、1991年)
カマウ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
フェンテス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ケニアのカマウ。アマチュア時代から優秀な選手で、ソウル五輪に出場(メダルは獲得ならず)。スカウトされてアメリカでプロデビュー。連戦連勝。手足が長く、ジャブからの右ストレートがパワフル。プエルトリコのフェンテスはフリオ・セサール・チャベスのWBC世界J・ウェルター級タイトルに挑戦したこともある実力者(後、WBO世界J・ウェルター級王者に)。カリフォルニア「グレート・ウェスタン・フォーラム」での一戦。1Rから両者とも思い切りのいい打ち方で接近戦。しかしながら同じように打ち合っても優勢なのはリーチが長いカマウの方。最後まで打ち合いが続き、最終ラウンド終了時には観客もスタンディング・オベーション。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。カマウの手数とディフェンスが評価されたと思われる。長いリーチを持つカマウはアウトボクシングでポイントを取る戦い方もできたと思うが、最初から最後まで接近戦を挑むなど積極的かつ好戦的だった。)
②フリオ・セサール・チャベス 12R 判定 デビッド・カマウ
(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1995年)
カマウ:左ジャブ、右ストレート、左フック
チャベス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
8R:左ジャブでカマウがダウン
(感想:チャベスがタイトル防衛。26戦全勝(20KO)でWBC1位のカマウ。ラスベガス「Mirage」で大物チャベス(三階級制覇王者。「偉大なメキシコの王者」と呼ばれる)に挑戦。世界初挑戦のカマウとしては世界を驚かせるような勝ち方をしたいところ。しかしながら残念な試合。フットワークとジャブで距離を取ってチャベスの強打を警戒するカマウ。チャベスはディフェンスしながらプレッシャーをかけるが手数が少ない。カマウの右ストレートがヒットするシーンもあったが(7Rなど)、腰がやや引けた感じで打っているため当たりが浅い。8Rのダウンはカマウが攻めたところにチャベスがタイミングよく合わせたジャブのカウンター。判定は3-0。パンチの正確さが評価されたか。カマウはスゴイ右ストレートを持っているが、この試合では不発。確かにボクシングは危険なものだが、打たれるのが怖いのであればリングに上がるべきではない。良いパンチを持っているのに生かせなかったのが残念。チャベスはフランキー・ランドールから奪回したタイトルの防衛に成功したが、積極さに欠けた。カマウがロジャー・メイウェザーに似たタイプだったため、この相手なら楽に勝てる、と思って油断したのかもしれない(チャベスはメイウェザーと二度戦って、二回ともKO勝ち)。そんなチャベス。次の防衛戦でオスカー・デラ・ホーヤに敗北。)
③オスカー・デラ・ホーヤ 2R KO デビッド・カマウ
(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1997年)
カマウ:左ジャブ、右ストレート、左フック
デラ・ホーヤ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:左フック、連打で2度、カマウがダウン
(感想:デラ・ホーヤがタイトル防衛。チャベス戦後、ブランクがちになったカマウ(WBC7位)。テキサス州サンアントニオで二度目の世界挑戦。王者「ゴールデンボーイ」デラ・ホーヤはこれまで24戦全勝(20KO)。オリンピック金メダルからプロ入りし、数々の王座。チャベスを乗り越えて今やボクシング界を背負うスーパースター。ヒゲを生やしたデラ・ホーヤはゴング前、険しい表情。速いジャブと左フックを使う。カマウはチャベス戦に比べると積極的。得意のジャブ、右ストレートを飛ばす。2R、左フックが効いたカマウがダウン。さらにダウンで立てず、KO。カマウの長いパンチよりも、デラ・ホーヤの回転の速い連打が上回った一戦。「ボクシングはリーチが長いと有利」とよく言われるが、この試合や「レナード vs. ハーンズ(初戦)」からすると「ショートパンチが巧い方が勝つ」というのが正しいのではないだろうか? デラ・ホーヤは被弾しながらもよく耐えた。その後もボクシング界をリードする活躍。)
④アントニオ・マルガリート 2R TKO デビッド・カマウ
(NABOウェルター級タイトル戦、2000年)
カマウ:左ジャブ、右ストレート、左フック
マルガリート:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:左フック、フック連打で2度、カマウがダウン
(感想:マルガリートがタイトル獲得。デラ・ホーヤ戦後、ブランクを作ったカマウ。再起戦は判定負け。ところが次の試合でNABO王者に(なかなかの底力)。マルガリートと二度目の防衛戦。挑戦者マルガリートはカリフォルニア州トーランス出身だが、国籍はメキシコ。敗北を経験しながら実力をつけ、このところ連勝中。カリフォルニア州インディオでの一戦。共にガードを上げてジャブ、ワンツー、左フック。勢いはマルガリート。攻めの姿勢で振りは大きいが鋭い左フック、斜め下からの右フック、左フックからの右ストレート。距離を取りながら応戦するカマウだが、2Rにワンツーからの左フックでダウン。立ったが、フック連打で二度目。それと同時にレフェリーストップ。マルガリートが勢いで勝利。パンチにはキレがあった。その後の二人。マルガリートは世界ウェルター級王者に。しかし、シェーン・モズリー、マニー・パッキャオに敗れて「トップ中のトップ」にはなれず。カマウはこれが最後の試合となり、世界タイトルを獲ることもなくキャリアを終えた。ただ、右ストレートは間違いなく世界王者級だった。)
①「Super Lightweight
David Kamau vs. Sammy Fuentes」
②「WBC World Super Lightweight Title
Julio Cesar Chavez vs. David Kamau」
③「WBC World Welterweight Title
Oscar De La Hoya vs. David Kamau」
④「NABO Welterweight Title
David Kamau vs. Antonio Margarito」
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フリオ・セサール・チャベス(Julio César Chávez)のページ
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オスカー・デラ・ホーヤ(Oscar De La Hoya)のページ
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