2024年5月8日水曜日

レオ・ランドルフ(Leo Randolph)&セルヒオ・パルマ(Sergio Palma)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界J・フェザー級王者&オリンピック金メダルのランドルフ。リカルド・カルドナ戦、セルヒオ・パルマ戦、「パルマ vs. ルハン」を紹介します。

レオ・ランドルフ(アメリカ)

身長172cm:オーソドックス(右構え)

レオ・ランドルフ(Leo Randolph)&セルヒオ・パルマ(Sergio Palma)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

セルヒオ・パルマ(アルゼンチン)

身長164cm:オーソドックス(右構え)

レオ・ランドルフ(Leo Randolph)&セルヒオ・パルマ(Sergio Palma)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

レオ・ランドルフ 15R TKO リカルド・カルドナ

(WBA世界J・フェザー級タイトル戦、1980年)

ランドルフ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

カルドナ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

5R:右ストレートでランドルフがダウン

(感想:ランドルフがタイトル獲得。ミシシッピ州コロンバス出身の黒人ランドルフ。1976年のモントリオール・オリンピックにフライ級で出場し、金メダル(レオン・スピンクス、マイケル・スピンクス、シュガー・レイ・レナード、ハワード・デイヴィス・ジュニアも金メダルを獲得した大会)。プロではバンタム級でスタート。一つ黒星を喫したが、「WBA6位」として初の世界挑戦。王者カルドナはコロンビアの選手で「ボクシング兄弟」(兄プルデンシオ・カルドナはWBC世界フライ級王座を獲得)。洪秀煥をジャブでギブアップさせて王座獲得。日本で瀬川幸雄を相手に防衛成功。長いジャブ、ストレートを武器とするエウセビオ・ペドロサのようなタイプ。ワシントン州シアトルでの一戦。共にジャブ。カルドナがシャープなジャブ、右ストレート、そして威力がありそうな左フック。接近戦。ランドルフが左を使いながら斜め上からの右フックを当てる。5R、右ストレートでダウンしたランドルフ。ブロック、クリンチでピンチをしのぐ。8R、ジャブがクリーンヒットしてカルドナが後退。カルドナはキレイなボクシングをするが、倒しに行くような攻めをしない。14R、15R、打たれるカルドナ。ロープ際で連打を浴びてレフェリーストップ。ランドルフがパンチを当てるテクニックで勝利。レナードがベニテスを破って初めて世界王座を獲ったときと同じように15Rに仕留めた。カルドナは優秀な選手ではあったが、闘争本能に欠けていたように見えた。その後、カルドナは王座奪回を目指したが、果たせず。ラストファイトはホルヘ・ルハンにTKO負けだった(1984年)。)


セルヒオ・パルマ 5R KO レオ・ランドルフ

(WBA世界J・フェザー級タイトル戦、1980年)

ランドルフ:左ジャブ、右ストレート、左フック

パルマ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右フック、連打で2度、ランドルフがダウン

5R:連打でランドルフがダウン

(感想:パルマがタイトル獲得。ランドルフの初防衛戦。挑戦者パルマはアルゼンチンの選手。アルゼンチン王座、南米王座(いずれもJ・フェザー級)獲得後、リカルド・カルドナのWBA王座に挑戦して判定負け。再起二連勝でこの二度目の同王座挑戦。ワシントン州スポーカンでの一戦(リングアナはジミー・レノン、レフェリーは南アフリカのスタンリー・クリストドーロー、ラウンドガールはキレイな女性)。1R、共に速いジャブ。パルマが先制攻撃。右フックでランドルフがピンチ。ラッシュするパルマ、応戦するランドルフ。右フック、連打でランドルフが二度ダウン。2Rにはストップ寸前まで打たれる。3R、ジャブで体勢を立て直そうとするランドルフ。5R、連打でランドルフがダウン。立ったがカウントアウト。パルマが左右フックの嵐で新王者に(髪型、攻め方が張正九みたいな感じだった)。初防衛に失敗したランドルフ。キレのある良いパンチを打っていたが、1Rの右フックが効いてしまった。そして、これで引退。まだ22歳だったが「自分はプロ向きではなかった」というのが辞めた理由だそうだ。引退後はバスの運転手になったという。)


セルヒオ・パルマ 15R 判定 ホルヘ・ルハン

(WBA世界J・フェザー級タイトル戦、1982年)

パルマ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ルハン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:パルマがタイトル防衛。王者になったパルマ。自信がついたのか、リカルド・カルドナにTKO勝ちして雪辱するなど王座を連続防衛。挑戦者のルハンはパナマの選手。ハードパンチャーのアルフォンソ・サモラを番狂わせでKOしてWBA世界バンタム級王座を獲得し、日本で磯上修一をTKOで下して王座を防衛したこともあるテクニシャン。二階級制覇を目指す。アルゼンチンでの一戦。パルマがブロックしながら左右フックで攻める。ルハンは足で距離を取りながらジャブ、右ストレート、左フック。左のテクニックを中心に使う。攻めるパルマ、応戦するルハン、の展開が続く。パルマは得意の右フックではなく、この試合では左フックを時折ヒットさせる。13R、ルハンが左手を伸ばし、サミングで減点。15R終了。判定は3-0。パルマの攻める姿勢が評価されたか(ダウンシーンは無し)。ルハンは器用だったが、カルドナと同様、倒しに行かないボクシング。世界戦の挑戦者としては物足りない、といったところ(後、WBA世界フェザー級王者エウセビオ・ペドロサに挑戦したが、判定負け。二階級制覇ならず。それが最後の世界戦となった)。後、パルマはかつて判定で下したレオ・クルスに判定で敗れ、王座陥落。世界王者としては地味だったが、ランドルフを圧倒した右フックが印象に残る選手である。)


①「WBA World Super Bantamweight Title 

Ricardo Cardona vs. Leo Randolph」

②「WBA World Super Bantamweight Title 

Leo Randolph vs. Sergio Palma」

③「WBA World Super Bantamweight Title 

Sergio Palma vs. Jorge Lujan」


ホルヘ・ルハン(Jorge Luján)のページ

2024年5月1日水曜日

カリー・ノエツ(Kallie Knoetze)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

南アフリカのヘビー級。剛腕から繰り出すジャブ、右フックが武器。デントン・ラドック戦、ビル・シャーキー戦、ジョン・テート戦を紹介します。

カリー・ノエツ(Kallie Knoetze)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

カリー・ノエツ(南アフリカ)

身長185cm:オーソドックス(右構え)

カリー・ノエツ 3R KO デントン・ラドック

(ヘビー級戦、1978年)

ノエツ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ラドック:左ジャブと右ストレート

(ダウンシーン)

3R:右ストレートでラドックがダウン

(感想:このところ連続KO勝ちのノエツ。ラドックは英国の黒人で、英国・南部ヘビー級王座(BBBofC Southern Area Heavy Title)を獲得したことがある。しかし、直前の試合でKO負け、王座陥落。南アフリカ・プレトリアでの一戦。ゴング前、両選手がニラみ合い。慎重に距離を取るラドック(フットワーク&ジャブ、ストレートのアウトボクサー)、距離を詰めようとするノエツ。右ストレートで相手を後退させるなど、パワーでノエツ優勢。3R、右ストレートでラドックがダウン、KO。ラドックの丁寧なボクシングも悪くはなかったが、カラダ全体のパワーでノエツが勝利。平均クラスの選手はノエツの敵ではない。その後、ラドックは負けが込んで引退。)


カリー・ノエツ 4R KO ビル・シャーキー

(ヘビー級戦、1979年)

ノエツ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

シャーキー:左ジャブと左右フック

(ダウンシーン)

4R:右フックで2度、シャーキーがダウン

(感想:好調のノエツがアメリカで試合。シャーキーはメリーランド州の小柄な白人(身長180cm)。若くして両親を亡くしたり、ギャングに加入したりといった荒れた過去。ボクサーになり連戦連勝。ただ、マイク・ウィーバーに判定負けするなど実力者には敵わない状況。フロリダ州マイアミビーチでの一戦。ジャブを連打して積極的に前に出るシャーキー。ノエツはジャブ、フックで応戦。動きの速さはシャーキーだが、パンチの重さはノエツ。時折、シャーキーの攻めを持て余しながらもノエツがしっかりしたジャブ、右ストレート、右フックを決める。4R、右フックでシャーキーがダウン。さらに右フック連打で二度目のダウン、カウントアウト。最後はノエツが正確なジャブと強打で勝利。シャーキーはよく頑張ったが、やはり体格的に不利だった。その後、シャーキーはマービン・カメルと空位の北米クルーザー級王座を争って判定負け。ラストファイトはフランク・ブルーノにKO負け。引退後に悲劇。1998年、殺害され、遺体で発見。未解決事件のままである。)


ジョン・テート 8R TKO カリー・ノエツ

(ヘビー級戦、1979年)

ノエツ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

テート:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:世界ヘビー級3位のノエツ。シャーキー戦の次の試合は重要な試合。モハメド・アリが王座を返上。WBAヘビー級王者を決めるエリミネーションマッチに出場。テートはアーカンソー州出身の黒人。アマチュアで優秀な成績(1976年モントリオール・オリンピックで銅メダル)。プロ入り後、これまで全勝。南アフリカ・ムマバトの屋外リングで行われた一戦。テートがモハメド・アリばりのフットワーク&ジャブを使い、右ストレート、ワンツー。左フックの打ち方も良く、キレイなボクシング。ノエツもジャブを出し、実にパワフルな左フック、右ストレート。コンディションが良さそうなノエツ。時折、得意の右フックをヒットさせるが、テートがディフェンスして当てさせないため試合の主導権を握れない。テートが左フックからの右ストレートといったコンビネーションで攻める。次第に勢いを失っていくノエツ。打たれて後退したり、クリンチしたり。8R、ノエツがコーナー付近やロープ際で連打を浴び、レフェリーストップ。テートが正確なパンチ、特に左フックで快勝。ノエツは良いパンチを打っていたが、うまくディフェンスされてしまった。ただ、ダウンしなかったタフネスは見事なものがあった。ノエツはその後、地域王座戦に敗北するなど勝ったり負けたりでキャリア終了。世界王座を獲ることなく引退したが、パンチ力は世界王者に負けないぐらいあった。引退後は映画に出演したり、警官になったり。ちなみにジョン・テート。同じくエリミネーションマッチに出場してレオン・スピンクスを破ったゲリー・コーツィーに判定勝ち、新WBA王者に。しかし、初防衛戦でマイク・ウィーバーにKO負け。薬物、犯罪といったトラブル後、交通事故で死去(1998年、43歳)。ボクサーとして素晴らしい素質を持っていたが、薬物で全て台無し。アメリカの陰の部分を象徴する選手である。)


①「Heavyweight 

Kallie Knoetze vs. Denton Ruddock」

②「Heavyweight 

Kallie Knoetze vs. Bill Sharkey」

③「Heavyweight 

Kallie Knoetze vs. John Tate」


ジョン・テート(John Tate)のページ

2024年4月26日金曜日

カリー・ノエツ(Kallie Knoetze)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

南アフリカの白人ヘビー級。後に世界王者になる選手とも対戦。ゲリー・コーツィー戦、リチャード・ダン戦、デュアン・ボビック戦を紹介します。

カリー・ノエツ(Kallie Knoetze)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

カリー・ノエツ(南アフリカ)

身長185cm:オーソドックス(右構え)

ゲリー・コーツィー 10R 判定 カリー・ノエツ

(ヘビー級戦、1976年)

ノエツ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

コーツィー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

3R:左フックでノエツがダウン

(感想:「南アフリカのボクシング」と言えばJ・フェザーで世界王者になったウェルカム・ニシタのような黒人の軽量級選手、コーツィーのような白人の重量級選手を思い出すが、ノエツは白人のヘビー級。アマチュアからプロへ。デビューから連勝だったが、反則で初黒星。その再起戦でコーツィーと対戦。コーツィーもまた南アフリカの白人ヘビー級(後にWBA王座を獲得)。ノエツとコーツィーはアマチュアでも対戦(三勝三敗だそうだ)。プロではどんな内容となるか? 南アフリカ・ヨハネスブルグでのライバル対決。この頃の流行りなのか、ヒゲを生やしているノエツ(コーツィーはヒゲ&モミアゲ)。やや前傾姿勢でガードをしながらしっかりしたジャブ、右ストレート、左フックで前進。コーツィーはアップライトな姿勢で足を使いながらジャブ。軽快な動きを見せるコーツィーだが、パワーはノエツか。3R、コーツィーが踏み込んで打った左フックがヒットしてノエツがダウン。その後、コーツィーは右を当てようと狙う。ノエツはプレッシャーを強めるが、かわされてしまう。8R、ノエツの右ストレートがヒット。10R終了。判定はPTS。力強いパンチを打っていたノエツだが、コーツィーがジャブで先手を取って手数で勝利。試合運びの巧みさで決着。)


カリー・ノエツ 5R KO リチャード・ダン

(ヘビー級戦、1977年)

ノエツ:左ジャブ、右ストレート、右フック

ダン:右ジャブ、左ストレート、左フック

(ダウンシーン)

5R:右フックでダンがダウン

(感想:コーツィー戦後、連勝のノエツ。決定戦で南アフリカ王座を獲得し、このダン戦。ダンは英国のヘビー級。身長は191cmと大柄。しかもサウスポー。モハメド・アリの世界ヘビー級王座に挑戦したこともある(KO負け)。直前の試合ではジョー・バグナーにKO負け。それから約1年のブランクがあり、勢いがある状況ではない。ヨハネスブルグで行われた白人ヘビー級同士の一戦。ボクサータイプのダン。右ジャブが中心で、左ストレートはショートな打ち方。ノエツはサウスポーの左パンチを警戒しているのか慎重にディフェンス。右ストレートをボディに伸ばす。互いにディフェンス。接近戦ではノエツの右フックが有効。離れて戦いたいダンはクリンチ。4R終了間際、ノエツがダンをコーナーに詰めて連打。5R、右フックを食って後退したダンが強烈な右フックを打たれてうつぶせにダウン、KO。ノエツが右強打で快勝。サウスポーを上手く仕留めた。一方、これが最後の試合となったダン。「強さ」よりも「やりにくさ」で勝負するタイプ。その分、決め手に欠けるところがあった。)


カリー・ノエツ 3R TKO デュアン・ボビック

(ヘビー級戦、1978年)

ノエツ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ボビック:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

3R:右フックでボビックがダウン

(感想:ダン戦の次の試合。ボビックはミネソタ州出身で、戦績が良いタフな白人。デビュー以来、連戦連勝。マイク・ウィーバーに勝利したり、ミネソタ州ヘビー級王座を獲得したり。しかし、ケン・ノートンのフック連打の嵐に1RでKO負け、初黒星。その後、二連続KO勝利で南アフリカ入り。ヨハネスブルグでの一戦(ハイライト映像で観戦)。体格や戦い方が似ている両者。ジャブ、接近戦でフック攻撃。3R、斜め上から打ち下ろすような右フックでボビックがダウン。立ったが、レフェリーに背を向けてストップされた。ノエツがパワフルに勝利。ボビックはタフだが、耐えられる以上のパンチを食ったらそれっきり。ディフェンスができればもっと上に行けたはず。その後、連勝したが、ジョン・テートらに敗れて引退。一度も世界戦のチャンスは無かった。)


①「Heavyweight 

Kallie Knoetze vs. Gerrie Coetzee」

②「Heavyweight 

Kallie Knoetze vs. Richard Dunn」

③「Heavyweight 

Kallie Knoetze vs. Duane Bobick」


ゲリー・コーツィー(Gerrie Coetzee)のページ 

2024年4月24日水曜日

シーマス・マクドナー(Seamus McDonagh)&セシル・コフィー(Cecil Coffee)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

90年代のヘビー級中堅選手。「マクドナー vs. コフィー、ホリフィールド」「コフィー vs. クーパー、デビッド・トゥア」を紹介します。

シーマス・マクドナー(アイルランド)

身長183cm:オーソドックス(右構え)

シーマス・マクドナー(Seamus McDonagh)&セシル・コフィー(Cecil Coffee)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

セシル・コフィー(アメリカ)

身長183cm:オーソドックス(右構え)

シーマス・マクドナー(Seamus McDonagh)&セシル・コフィー(Cecil Coffee)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

シーマス・マクドナー 6R KO セシル・コフィー

(ヘビー級戦、1989年)

マクドナー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

コフィー:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

6R:左フック、連打で2度、コフィーがダウン

(感想:白人ヘビー級のマクドナーとコフィー。白人の重量級選手には「タフだが不器用」というイメージがあるが、この二人はなかなか良いパンチを打つ。マクドナーは英国出身。主戦場はアメリカ。1985年デビュー。これまで中堅どころを相手に16勝(12KO)1敗1分。コフィーはケンタッキー州出身。1982年デビュー。19勝(17KO)2敗2分で、ホセ・リバルタと引き分けたことがある。ただ、このところTKOで二連敗中。アトランチックシティでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー)。マクドナーが先制攻撃。前進して右ストレート、左右フック連打。コフィーはジャブをしっかりと使いながら、右ストレート、左フック。左のボディ打ちが巧い。マクドナーはパワーを込めた右ストレート、ワンツー、コフィーはジャブ、右ストレートがそれぞれ印象的であるが、器用さではコフィーか。6R、ジャブで先手を取るコフィーだが、マクドナーがワンツーからの左フックでダウンを奪う。残り時間が少ない状況で連打でコフィーが二度目のダウン。ダウンと同時にレフェリーは試合を止めた。コフィーはジャブをよく出し、ディフェンスもできていたが、マクドナーがコンビネーションで良い勝ち方をした。) 


イベンダー・ホリフィールド 4R KO シーマス・マクドナー

(WBC米大陸ヘビー級タイトル戦、1990年)

マクドナー:左ジャブ、右ストレート、左フック

ホリフィールド:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

4R:左フックでマクドナーがダウン

(感想:ホリフィールドがタイトル防衛。コフィー戦後、二連勝のマクドナー。トップ選手と対戦。当時ホリフィールドは世界ヘビー級王座を目指している状況で、マクドナー戦は保持する米大陸王座の防衛戦。アトランチックシティ「コンベンション・ホール」での一戦(レフェリーはジョー・コルテス)。ホリフィールドが肩でリズムを取りながらジャブを連打し、右ストレート、左フック、ディフェンス。マクドナーはジャブは何とか出せるが得意の右ストレートをディフェンスされ、ジャブを打たれて押され気味。4R、打ち合いの中、左フックでマクドナーがダウン。立てず、KO。ホリフィールドの左フックが凄まじかった試合。マクドナーも腕っぷしは強いが、ディフェンスされ、ほぼいいところ無し。決して弱い選手ではないが、トップ中のトップのホリフィールドとはスピード、パワー、身のこなしなど様々な点で違いがあった。ホリフィールドは次の試合でジェームス・ダグラスを3RでKOして統一世界ヘビー級王座獲得。マクドナーは次の試合もKOで敗れ、それがラストファイトに。引退後は俳優に転向した。)


バート・クーパー 2R TKO セシル・コフィー

(ヘビー級戦、1992年)

コフィー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

クーパー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

1R:右フックでコフィーがダウン

2R:右アッパーでコフィーがダウン

(感想:マクドナー戦後、二連勝のコフィー。危険な相手と勝負。クーパーは強打の黒人ファイター。これまで26勝(23KO)8敗、WBA9位、IBF12位。ホリフィールドの世界ヘビー級王座に挑戦してダウンを奪ったが、TKO負け。コフィー戦はその再起戦となる。ラスベガス「ミラージュ」での一戦。コフィーはヒゲを剃ってスッキリした感じの顔に。TV映像の選手紹介テロップに「INSTANT」の文字(どうやら名前の「コフィー」に掛けて「インスタントコーヒー」というニックネームを付けたか、あるいは付けられたらしい。ボクサーのニックネームには合わないような気がする)。1R、コフィーが足を使いながらジャブ、得意の左ボディ打ち。クーパーはジャブを入れながら前進し、左右フックを振るう。右ストレートをヒットさせたコフィーだが、強烈な右フックでダウン。2R、クーパーがマイク・タイソンばりの右ボディからの右アッパーでコフィーを倒す。立ったコフィーだが、鼻を負傷し、ドクターストップ。このところ自信を付けてすっかり強打に目覚めたクーパーが圧勝。コフィーには気の毒なマッチメークであった。クーパーは次の試合で強打者マイケル・モーラーとWBO世界ヘビー級王座決定戦。モーラーをダウンさせたが、強打でKO負け。タフで鳴らしたが、世界王者にはなれなかった。)


デビッド・トゥア 1R KO セシル・コフィー

(ヘビー級戦、1994年)

コフィー:左ジャブ

トゥア:左ジャブと左右フック

(ダウンシーン)

1R:左フックでコフィーがダウン

(感想:クーパー戦後のコフィー。中堅どころを相手に連勝。南アフリカで判定負け、トニー・タッカーにTKO負けで二連敗。トゥア(サモア出身)は売り出し中のハードパンチャーで、これまで全勝。戦い方、後ろ姿、身長・体格がマイク・タイソンによく似ている。1R開始、ジャブを使うコフィー。トゥアは強打で前進。左フック一撃でコフィーがダウン、KO。29秒で終わってしまった。ヘビー級は想像を超えた「パワーの世界」。1Rで終わってもおかしくはないが、早すぎるような気も。これがコフィーのラストファイト。トゥアは後にレノックス・ルイスの世界ヘビー級王座に挑戦して判定負け。地域王座を獲得したり、マイケル・モーラーを30秒でKOしたりするなどの活躍を見せたが、世界王者にはなれなかった。)


①「Heavyweight 

Cecil Coffee vs. Seamus McDonagh」

②「WBC Americas Heavyweight Title 

Evander Holyfield vs. Seamus McDonagh」

③「Heavyweight 

Cecil Coffee vs. Bert Cooper」

④「Heavyweight 

Cecil Coffee vs. David Tua」


イベンダー・ホリフィールド②(Evander Holyfield)のページ

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バート・クーパー(Bert Cooper)のページ

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デビッド・トゥア(David Tua)のページ 

2024年4月19日金曜日

ロドルフォ・マルチネス(Rodolfo Martinez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC世界バンタム級王者。多彩な左。世界王者になる前の試合。ホセ・ルイス・メサ戦、ビーバー梶本戦。「エレラ vs. ボーコーソー」を紹介します。

ロドルフォ・マルチネス(メキシコ)

身長166cm:オーソドックス(右構え)

ロドルフォ・マルチネス(Rodolfo Martinez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ロドルフォ・マルチネス 2R TKO ホセ・ルイス・メサ

(バンタム戦、1971年)

マルチネス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

メサ:左ジャブと左フック

(ダウンシーン)

2R:連打でメサがダウン

(感想:メキシカンのマルチネス。本名は「ロドルフォ・マルチネス・エストラーダ」(メキシカンは両親の名を受け継ぐため名前が長い。本当はもっと長いのかも)。デビューから連勝。ラウル・クルス(後、柴田国明のWBC世界フェザー級王座に挑戦)、金沢和良ら日本人選手を下すなど好調だったが、ラファエル・エレラとの北米バンタム戦王座決定戦に判定負けして初黒星。メサ戦はその再起戦となる。メサは中堅選手。勝ったり負けたりだったが、このところ連勝中。メキシコシティでの一戦。メキシカンファイター同士の一戦。同じような体格。相手を見ながら慎重にジャブを連打するマルチネス。メサもジャブを出すが、一発狙いなところがあり、いきなり左フックを振ったりする。2R、手数を増やすマルチネス。流れるようなワンツー、左ボディ打ち。時折サウスポーにスイッチ。左フックからの右ストレートを食ってグラつくメサ。マルチネスがコーナーにメサを追い込んで連打でダウンを奪う。メサは立ったが、戦意喪失気味。試合ストップ。一見似たようなタイプの選手に見えたが、ジャブとコンビネーションでマルチネスが圧勝。ボディ打ちも巧く、迫力があった。その後、メサはクレメンテ・サンチェス、バズーカ・リモンらに敗北。トップどころには敵わなかった。)


ロドルフォ・マルチネス 10R 判定 ビーバー梶本

(バンタム戦、1972年)

マルチネス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

梶本:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:右フックでマルチネスがダウン

(感想:メサ戦後、連勝のマルチネス。決定戦で北米バンタム戦王座獲得。その次の相手は日本選手。梶本は1969年度全日本フライ級新人王。これが初のアメリカでの試合。カリフォルニア「フォーラム」での一戦。梶本はKO勝ちは少ないが思い切った攻撃をする。開始からいきなり左右フックでボディ攻撃を仕掛け、ジャブも巧い。左のテクニックを使うマルチネスはジャブ、アッパー気味の左フック。2R、強烈な右フックでマルチネスがダウン。しかしこれで気合いが入ったか、マルチネスはペースを上げる。慎重にディフェンスしながら左でボディを叩いたり、サウスポーにスイッチして左ストレート、右フックを打ち込むなど、相手のガードの隙を突く。攻める梶本だが細かいジャブを食い、ボディを打たれて勢いが落ちていく。10R、打ってこい、といった感じで相手を挑発する梶本だが、マルチネスは無理をせず。10R終了。判定は3-0。梶本はダウンを奪ったが、それ以降はマルチネスが左で試合を優位に進めた。マルチネスは次の試合でラファエル・エレラと空位のWBC世界バンタム級王座を争ったが敗北。再戦で世界王者に。三度の防衛後、カルロス・サラテにKOされて王座陥落。それが最後の世界戦に。梶本は日本フライ級王座に挑戦したが、勝てず。しかし、後の世界王者マルチネスをダウンさせたことでボクシング史に名を残した。) 

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ラファエル・エレラ(メキシコ)

身長163cm:オーソドックス(右構え)

ロドルフォ・マルチネス(Rodolfo Martinez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ラファエル・エレラ 15R 判定 ベニス・ボーコーソー

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1973年)

エレラ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ボーコーソー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:エレラがタイトル防衛。エレラはあのルーベン・オリバレスをKOして世界バンタム級王者になったことがある。この試合はロドルフォ・マルチネスとの決定戦に勝って奪回した王座の初防衛戦。ボーコーソーはタイの選手で、元WBC世界フライ級王者。二階級制覇を目指す状況。カリフォルニア「フォーラム」での一戦。ボーコーソーは小柄。そのため体格差を感じるが、共にパワーのあるパンチを打つ。エレラは右ストレート、フックで攻めの姿勢。サウスポーのボーコーソーは右ジャブ、左ストレートでカウンターを狙う。エレラは右ストレートをボディに打ち込むなど器用さもあるが、ディフェンシブなボーコーソーを捕らえることができない。14Rに左ストレートを決めたボーコーソー。しかし残念なことに自分から攻めない受け身の戦い方。15R終了。判定は2-1。ダウンシーンは無かったが、エレラの攻める姿勢が評価されたと思われる。ボーコーソーはチャレンジャーらしくもっと攻めるべきだった。後、ボーコーソーは新王者となったマルチネスに挑戦して判定負け。どんな試合だったのかはわからないが、この試合のようなパターンだったのかもしれない。)


①「Bantamweight 

Rodolfo Martinez vs. Jose Luis Meza」

②「Bantamweight 

Rodolfo Martinez vs. Beaver Kajimoto」

③「WBC World Bantamweight Title 

Rafael Herrera vs. Venice Borkhorsor」


カルロス・サラテ(Carlos Zarate)のページ 

2024年4月17日水曜日

ギレルモ・リゴンドウ(Guillermo Rigondeaux)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界バンタム級、スーパーバンタム級王者。キューバ出身。パワー&ディフェンス。リカルド・コルドバ戦、ノニト・ドネア戦、天笠尚戦を紹介します。

ギレルモ・リゴンドウ(Guillermo Rigondeaux)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ギレルモ・リゴンドウ(キューバ)

身長161cm:サウスポー

ギレルモ・リゴンドウ 12R 判定 リカルド・コルドバ

(WBA世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦、2010年)

リゴンドウ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

コルドバ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

4R:左ストレートでコルドバがダウン

6R:右ジャブでリゴンドウがダウン

(感想:リゴンドウがタイトル獲得。キューバのリゴンドウ(1980年生まれ)。小柄ながらパワーがあり、サウスポーのテクニックでキッチリ勝つタイプ。アマチュアで活躍(2000年シドニー、2004年アテネ・オリンピックではバンタム級で金メダル。世界選手権での優勝も)。キューバから亡命しようとして失敗した苦い経験。その後、アメリカに亡命。プロ入り後、これまで6連勝(5KO)。暫定王座決定戦に出場のスピード出世(年齢的には若くないため急ぐ必要があった)。コルドバはパナマの選手で37勝(23KO)2敗2分。元WBA世界スーパーバンタム級王者でもある。テキサス州での一戦(「マニー・パッキャオ vs. アントニオ・マルガリート」の前座試合)。共にサウスポー。使う武器も似ているが、コルドバは足を使ってリゴンドウのパワーを警戒。リゴンドウは攻めの姿勢で左ストレートに伸びがあり、右フックもパワフル。踏み込みも速い。4R、左ストレートがボディに入ってコルドバが一瞬間を置いてダウン。立ったコルドバにリゴンドウは力強くラッシュし、ロープ際に追い込む。そして問題の6R。タイミングのいい右ジャブでリゴンドウがダウン。それですっかり慎重になったリゴンドウ。足を使ってジャブ。それまで受け身だったコルドバがジャブで先手を取るシーンも。12R終了。判定は2-1。「ギレルモ・リゴンドウ」という選手の特徴がよく出ていた試合。「強いボクサーの条件」にはいろいろあるが、「タフネス」はその一つ。リゴンドウの打たれ弱さはプロとしては致命的。ダウン後は大観衆の前で「逃げるボクシング」。コルドバが序盤から攻めていれば勝敗は逆だったかも。コルドバはリゴンドウ戦が事実上のラストファイトとなった。)


ギレルモ・リゴンドウ 12R 判定 ノニト・ドネア

(WBA・WBO世界スーパーバンタム級王座統一戦、2013年)

リゴンドウ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

ドネア:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

10R:左ストレートでリゴンドウがダウン

(感想:リゴンドウがタイトル統一。コルドバを破って暫定王座を獲得したリゴンドウ。その後、正規王者を下して正規王者に昇格。そして、興味深い相手と対戦。WBO王者ドネア(フィリピン)は説明不要のハードパンチャー。多くの王座を獲得し、西岡利晃をKOしたこともある。ニューヨークでの注目の一戦。パンチがある者同士の対戦ではあるが、戦い方には大きな違いが。リゴンドウはガードを上げてフットワーク&ジャブ。そして踏み込みの速い左ストレート、ワンツー。ドネアは一発一発にパワーを込めるタイプで、リゴンドウと比べると手数は少な目。ジャブが多いリゴンドウ。ドネアの左フックをダッキングなどでかわし、左でカウンターを取る。10R、サウスポーの構えにチェンジしたドネアが左ストレートでリゴンドウを倒す。しかし、その後もそれまでと同じようにリゴンドウがフットワーク&ジャブ。12R終了。判定は3-0。リゴンドウが手数とディフェンスで勝利。ドネアは狙いすぎ。独特の角度で打つ左フックはほぼ不発に終わり、右目の下が腫れていた。しかし、その後もドネアは世界戦を中心にリング活動。ビック・ダルチニアンを強打で沈めるなど猛威を振るった。) 


ギレルモ・リゴンドウ 12R TKO 天笠尚

(WBA・WBO世界スーパーバンタム級タイトル戦、2014年)

リゴンドウ:右ジャブ、左ストレート、右フック

天笠:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

7R:右ストレート、フックで2度、リゴンドウがダウン

10R:ワンツーで天笠がダウン

(感想:リゴンドウがタイトル防衛。これまで14戦全勝(9KO)の統一王者リゴンドウが来日(軽量級としては破格のファイトマネーが支払われたとか)。WBA10位、WBO6位の天笠は28勝(19KO)4敗2分。何と身長が179cm(161cmのリゴンドウと大きな差。違う階級によるハンディキャップ戦のよう)。大阪での一戦。開始から天笠がショート連打。リゴンドウはパワーとキレがある右ジャブ、左ストレート。そして、右フックからの左ストレートといったコンビネーション。5R、リゴンドウの強打が連続ヒット。天笠は攻めるが、かわされてしまう。7R、右ストレートがちょこっと当たってリゴンドウがダウン。さらにフックで二度目のダウン。しかし、試合展開は変わらず。10R、非常に速いワンツーで天笠がダウン。右目と左ホホが腫れていく天笠。11R終了後、棄権。ハプニングはあったが、定評のある強打とディフェンスでリゴンドウが防衛。天笠はダウンを奪ったが、パンチ力はそれほどではなかった印象。後、リゴンドウは階級を上げてワシル・ロマチェンコのWBO世界スーパーフェザー級王座に挑戦したり(初黒星)、階級を下げてWBA世界バンタム級王座を獲得したり。そのしぶといディフェンスのテクニックでリングに上がり続けたが、2022年に目を負傷したというニュース。復帰後に二連勝しているが、40歳を過ぎている。今後の活躍があるのかどうか。)


①「vacant WBA Interim World Super Bantamweight Title 

Guillermo Rigondeaux vs. Ricardo Cordoba」

②「WBA & WBO World Super Bantamweight Title Unification Match

Guillermo Rigondeaux vs. Nonito Donaire」

③「WBA & WBO World Super Bantamweight Title

Guillermo Rigondeaux vs. Amagasa Hisashi」


ノニト・ドネア(Nonito Donaire)のページ

2024年4月12日金曜日

エルネスト・マルセル(Ernesto Marcel)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界フェザー級王者。シャープなパンチが武器。ロベルト・デュラン戦、アントニオ・ゴメス戦(初戦)、アレクシス・アルゲリョ戦を紹介します。

エルネスト・マルセル(Ernesto Marcel)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

エルネスト・マルセル(パナマ)

身長168cm:オーソドックス(右構え)

ロベルト・デュラン 10R TKO エルネスト・マルセル

(J・ライト級戦、1970年)

マルセル:左ジャブ、右ストレート、左右フック

デュラン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:パナマの黒人マルセル。デビューから連勝だったが、判定で初黒星。さらに判定負けで二敗目。その後、パナマ王座(バンタム級)獲得。ベルナルド・カラバリョ(コロンビア。ファイティング原田の世界バンタム級王座に挑戦して判定負け)を2RでKO。連勝中の勢いで実力者と対戦。デュランは説明不要。後に「石の拳」で世界ライト級王座を統一し、最終的に四階級制覇。当時は世界王座を目指す若手。パナマシティで行われた(後に世界王者になる)パナマ人同士の一戦。マルセルがフットワーク&ジャブで距離を取りながら時折右ストレート、左フックをヒットさせるなど、パンチを当てるテクニックを見せる。「石の拳」デュランはタフ。エネルギッシュに前進し、速いジャブ、右ストレート、左フックで攻める。接近戦ではフックでの打ち合い。互いに譲らず、といった展開。10R、突然レフェリーが試合を止めてデュランの手を上げた(マルセルはダウンもしておらず、劣勢にもなっていなかったがTKO負けを宣告された。ただその時、デュランの手をマルセルはホールドしていた。それを「戦意喪失」と見なされたのかもしれない)。デュランが体格差で勝利。勢いで押し切った。マルセルは負けたが巧さを見せるなど、あのデュランといい勝負をした。)


エルネスト・マルセル 15R 判定 アントニオ・ゴメス

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1972年)

マルセル:左ジャブ、右ストレート、左フック

ゴメス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:マルセルがタイトル獲得。デュラン戦後、パナマ王座(フェザー級)を獲得するなど連勝のマルセル。柴田国明の持つWBC世界フェザー級王座に挑戦したが、引き分け。今度はゴメスのWBA王座を狙う。ゴメス(ベネズエラ)は西城正三をKOして王座を獲得したことで日本でもおなじみ。これが二度目の防衛戦。ベネズエラ・マラカイでの一戦。共に相手を警戒しながらジャブ。両者とも良いジャブを打つが、ゴメスは受け身の姿勢で応戦。マルセルがシャープな右ストレートを主に使いながら、キレのある左フックでボディを叩き、テンポの良い連打でゴメスをロープ際に追い込むなど優勢。右ストレートからの左ジャブといった小技も使う。11R、頭から突っ込んで減点されるマルセル。15R終了。判定は2-0。ダウンシーンは無かったが、3-0が妥当と思われるほどマルセルがスピードのある連打で試合をリードした。残念だったゴメス。良いジャブ、力強い右フックのボディ打ちを見せていたが全体的に守勢だった。再戦もマルセルが勝利し、王座防衛。)


エルネスト・マルセル 15R 判定 アレクシス・アルゲリョ

(WBA世界フェザー級タイトル戦、1974年)

マルセル:左ジャブ、右ストレート、左フック

アルゲリョ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:マルセルがタイトル防衛。三度目の防衛戦をパナマシティで行い、スパイダー根本をKOしたマルセル。四度目の相手は最強の挑戦者。アルゲリョ(ニカラグア)は後の三階級制覇王者。これが初の世界戦。パナマシティでの一戦。アルゲリョがジャブを連打して長い右ストレート、左フック、ボディ打ち。マルセルは足を使いながら得意の右ストレート、左フックを意表を突くタイミングで打ち込む。アルゲリョの端正なボクシングをディフェンスするマルセル。逆にアルゲリョをロープ際、コーナーに追い込む。中盤はアルゲリョ。コンビネーションで勢い良く攻撃し、KO寸前というところまでマルセルを攻撃。しかし、終盤はマルセル。アルゲリョは距離が空くと強い、と考えたか、マルセルが接近戦を仕掛けて序盤のように右ストレートをヒットさせる。15R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。マルセルがパンチを当てる巧さとディフェンスで勝利。アルゲリョはマルセルを強打するシーンもあったが受け身の姿勢になるシーンが多く見られ、この試合の時点ではやや経験不足だったか。試合後、マルセルはアルゲリョに「君は世界王者になれる」と声を掛けたとか。四度目の防衛に成功したマルセルだが、王座返上、引退。「それは母の希望だった」とのこと。ハードパンチャーではなかったため人気選手というわけではなかったが、パンチを当てるテクニックを持つ好選手であった。)


①「Junior Lightweight 

Roberto Duran vs. Ernesto Marcel」

②「WBA World Featherweight Title 

Antonio Gomez vs. Ernesto Marcel」

③「WBA World Featherweight Title 

Ernesto Marcel vs. Alexis Arguello」


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