世界フェザー級、J・ライト級王者。日本人離れした固い拳で二階級制覇。フェザー級時代のビセンテ・サルディバル戦、ラウル・クルス戦、エルネスト・マルセル戦を紹介します。
柴田国明(日本)
身長163cm:オーソドックス(右構え)
①柴田国明 13R TKO ビセンテ・サルディバル
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1970年)
柴田:左ジャブ、右ストレート、左右フック
サルディバル:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:柴田がタイトル獲得。茨城県出身の柴田。身長は「163cm」と小さめ。後に世界王者を何人も生み出す「ヨネクラジム」初の世界王者。デビュー戦は1RでKO勝ち。連勝を続けたが、ドワイト・ホーキンスにKO負けで初黒星。ハーバート康にKO負けで東洋フェザー級王座獲得ならず。決定戦でKO勝ちして日本フェザー級王座獲得。そしてこの世界初挑戦。王者サルディバルは「メキシコの赤い鷹」と呼ばれるベテランサウスポー。王者のまま引退し王座を返上。復帰してWBC世界フェザー級王者ジョニー・ファメションに挑戦し、15R判定勝ちで王座奪回。これが初防衛戦。メキシコのティファナで行われた一戦。先制攻撃を仕掛ける柴田がジャブ、ストレート、左フックのボディ打ち。サルディバルは距離を取ってジャブ、ストレート。互いに警戒。サルディバルはジャブ、柴田は体を左右に動かしたりブロックしたりしながら強打で応戦。右ストレートを食って後退するサルディバル(12Rほか)。12R終了後、サルディバルが棄権。ダウンシーンは無し。柴田は手数が少なくなって連打されるシーンもあったが、パンチのキレとパワーで名王者を追い込んだ。サルディバルにはあまり強さは感じられなかった。全盛を過ぎていたものと思われる。柴田は打たれ弱い、とよく言われるが、この試合ではそんな印象は無かった。敵地でもパンチ力があれば堂々と勝負できる、という見本のような試合。)
②柴田国明 1R KO ラウル・クルス
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1971年)
柴田:左ジャブ、右ストレート、左右フック
クルス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
1R:右フックでクルスがダウン
(感想:柴田がタイトル初防衛。クルスはメキシカン。メキシコ・フェザー級王座を獲得しており、ロドルフォ・マルチネス、ラファエル・エレラ、チューチョ・カスティーヨ、ライオネル・ローズ、クレメンテ・サンチェスといった選手と対戦してきた。ガードを上げてパワーを込めたジャブを打つクルス。柴田は速いジャブ。右ストレートが「ガツン」という感じでヒットしてクルスが後退。コーナー付近で柴田がラッシュ。最後は右フックで完全KO(左フックも凄かった)。早く終わったため、クルスの実力はよくわからなかったが、柴田のパンチが凄まじかった一戦。仮に自分がフェザー級の強豪だったとしても柴田とは戦いたくないと思うようなパンチだった。)
③柴田国明 15R 引分 エルネスト・マルセル
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1971年)
柴田:左ジャブ、右ストレート、左右フック
マルセル:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:柴田がタイトル防衛。これまで35勝(22KO)2敗2分の柴田。二度目の防衛戦。パナマの挑戦者マルセルは31勝(19KO)3敗2分で世界ランク2位。パナマ王座(バンタム、フェザー)を獲得しており、ロベルト・デュランにTKO負けを喫してしまったが、アルフレド・マルカノ(後、小林弘にTKO勝ちでWBA世界J・ライト級王座獲得)に二連勝している。フットワークを使いながら伸びるジャブ、ストレートをテンポよく打ち込むマルセル。柴田は左フックが強い。マルセルはジャブ、ストレートは良いがフックの当て方が微妙。柴田は右のマブタから出血し、左目も腫れていく。リズムに乗って手数が多くなるマルセル。12R、激しい打撃戦。判定は引き分け(ダウンシーンは無し。テレビ映像のテロップに「マルセル タイトル奪取」)。映像ではマルセルの長いパンチの方が見栄えが良かった。ただ、プロボクシングはパワーを競い合うもの。リングサイドのジャッジには柴田のパワーが印象的に見えたのだろう。マルセルは手数は多かったが、パンチはその分軽めだった。後にマルセルはWBAタイトルを獲得。アレクシス・アルゲリョを下して王座防衛。柴田は次の試合でクレメンテ・サンチェスにワンツー(左ジャブからの右ストレート)でKOされ、王座陥落。)
①「WBC World Featherweight Title
Vicente Saldivar vs. Shibata Kuniaki」
②「WBC World Featherweight Title
Shibata Kuniaki vs. Raul Cruz」
③「WBC World Featherweight Title
Shibata Kuniaki vs. Ernesto Marcel」
ビセンテ・サルディバル(Vicente Saldivar)①のページ
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ビセンテ・サルディバル(Vicente Saldivar)②のページ
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柴田国明(Shibata Kuniaki)②のページ
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柴田国明(Shibata Kuniaki)③のページ
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