世界フェザー級王者。「メキシコの赤い鷹」と呼ばれたサウスポー。速い連打で世界を獲得。シュガー・ラモス戦、ラウル・ロハス戦、関光徳戦(初戦)を紹介します。
ビセンテ・サルディバル(メキシコ)
身長168cm:サウスポー
①ビセンテ・サルディバル 12R TKO シュガー・ラモス
(世界フェザー級タイトル戦、1964年)
サルディバル:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ラモス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
10R:右フックでラモスがダウン
(感想:サルディバルがタイトル獲得。メキシコシティ出身のサルディバル。ニックネームは「El Zurdo de Oro」(英語で言うところの「The Golden Southpaw」。「メキシコの赤い鷹」という呼ばれ方は日本のみ?)。貧しい環境に生まれ、子供の頃はケンカ小僧。父の勧めでボクサーに。17歳の時にローマオリンピック(1960年。カシアス・クレイが金メダルを獲った大会)に出場したが、メダルは獲得ならず。メキシコでプロデビュー。17戦目で反則負け、初黒星。メキシコ・フェザー級王座を獲得、防衛。後に世界ライト級王者となるイスマエル・ラグナに判定勝ち。その次の試合がこの世界初挑戦。王者ラモス(キューバ)はデビー・ムーアをKOしてこの王座を獲得した試合であまりにも有名な選手。今からすると「伝説の選手」同士の一戦。試合地はメキシコ。ラモスが伸びるジャブと右ストレートで前に出る。サルディバルは足を使いながら速いジャブ、そして連打。ラモスはジャブは良いが、動きが少し重い感じ。サルディバルが距離を取ってディフェンスしながらキビキビした連打をヒットさせる。10R、連打からの右フックでラモスがダウン。10R終了時、試合が終わったと誤解して大喜びするサルディバル陣営。11Rにも同様の連打を食うラモス。11R終了でラモスが棄権。新王者誕生。ラモスはハードパンチャーであるが、ムーア戦の心理的影響があったのか、倒しに行かない戦い方をした。サルディバルが活きのいいワンツー(右ジャブからの左ストレート)、右フックからの左ストレートで快勝。名選手を相手に王者となるにふさわしい戦いぶり、攻めっぷりだった。)
②ビセンテ・サルディバル 15R TKO ラウル・ロハス
(世界フェザー級タイトル戦、1965年)
サルディバル:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ロハス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:サルディバルがタイトル初防衛。ロサンゼルスで行われた初防衛戦。ロハスはアメリカの選手でロスが主戦場。これまで全勝だが、まだ王座を獲得したことがない。互いに距離を取ってジャブ。コンビネーションで先手を取るサルディバル。ロハスはジャブは悪くないが自分から攻めていかない。サルディバルの左ストレート、右フックがヒット。終盤は右で攻めようとするシーンも見せたロハスだが15R、左ストレートを食ってグラつき、サルディバルが攻撃したところでレフェリーストップ。ダウンシーンは無し。サルディバルが得意パンチで勝利。特にいいところが無かったロハス。カウンターを巧く取るのならともかく、チャレンジャーが受け身で手数が少ないのでは王者になれない。ロハスは後にWBA王座を獲得。西城正三、沼田義明と戦った。)
③ビセンテ・サルディバル 15R 判定 関光徳
(世界フェザー級タイトル戦、1966年)
サルディバル:右ジャブ、左ストレート、左右フック
関:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:左フックでサルディバルがダウン
7R:連打で関がダウン
(感想:サルディバルがタイトル防衛。メキシコで行われた四度目の防衛戦。関は「名刀正宗」と呼ばれるパンチの持ち主で、東洋フェザー級王座を獲得、防衛した実績。ただ、ポーン・キングピッチ(タイ)の世界フライ級王座、シュガー・ラモス(キューバ)の世界フェザー級王座への挑戦は失敗に終わっており、これが三度目の世界挑戦。共にサウスポー。互いに警戒しながらジャブ。関は右フックが強い選手という印象。4R、左フックでサルディバルがダウン。立ったが右フックを食ってピンチ。7R、連打で関がヒザをつくダウン。その後は手数、特にジャブでサルディバルが先手を取る展開。関は力んで手数が少ない。判定は3-0。中盤以降のサルディバルの正確なジャブが評価されたものと思われる。サルディバルがダウンした4Rの左フックはタイミングがいい素晴らしいパンチだった。関がもっとジャブを出していれば違う結果になっていたかも。定評のあるジャブで勝利したサルディバル。次の試合は関との再戦。)
Sugar Ramos vs. Vicente Saldivar」
②「World Featherweight Title
Vicente Saldivar vs. Raul Rojas」
③「World Featherweight Title
Vicente Saldivar vs. Seki Mitsunori」
シュガー・ラモス(Sugar Ramos)のページ
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ビセンテ・サルディバル(Vicente Saldivar)②のページ
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