2023年11月8日水曜日

ジェリー・マーチン(Jerry Martin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

三度世界挑戦したL・ヘビー級。アイビー・ブラウン戦、マシュー・サァド・ムハマド戦、ドワイト・ブラクストン戦ほかを紹介します。

ジェリー・マーチン(Jerry Martin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジェリー・マーチン(アンティグア・バーブーダ)

身長185cm:オーソドックス(右構え)


ジェリー・マーチン 5R TKO アイビー・ブラウン

(L・ヘビー級戦、1978年)

マーチン:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

ブラウン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:マーチンはカリブ海の島国アンティグア・バーブーダのボランズ出身。観光で食っている島が生んだボクサー。ニックネームは「The Bull」。主戦場はアメリカ。これまで9勝(5KO)1敗。まだキャリアは浅いが、伸びるストレート、パワフルなフックを打つ、なかなか優秀な選手。ブラウンはミズーリ州カンザスシティの選手。14勝(5KO)4敗の中堅どころ。ジェリー・セレスティンに判定負け後、連勝中。フィラデルフィアでの一戦。同じような赤のトランクスで、見た目も似た感じの二人。ただ、「攻める姿勢」が全然違う。共にジャブ、ストレートを使うが、マーチンは攻める姿勢。ブラウンは足を使う。距離を取って戦う、というより、逃げているような試合ぶり。積極的なマーチンは接近戦ではマシュー・サァド・ムハマドばりの連打。腰が引けた感じのブラウン。5Rに打たれっぱなしになったところでレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。相手のレベルはともかく、マーチンはパンチの打ち方が良く、パワーもあった。上位陣との対決に期待、といった勝ちっぷりだった。ブラウンはその後も多くの試合。ヤキ・ロペス、ジョン・コンテ、ST ゴードン、レオン・スピンクスらに敗北。) 


ジェリー・マーチン 8R 判定 ジェリー・セレスティン

(L・ヘビー級戦、1978年)

マーチン:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

セレスティン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:これまで10勝(6KO)1敗のマーチン。ブラウン戦の次の試合の相手は強敵。17勝(13KO)2敗のセレスティンはルイジアナ州ニューオーリンズの黒人で、「ワケあり」。プロになったが、武装強盗で服役(15年の懲役)。刑務所でトレーニングを継続。1976年に早期釈放でカムバック。ボンゼル・ジョンソンらを相手に連戦連勝だったが、実力者マービン・ジョンソンに判定負け。再起戦に勝利してマーチン戦。フィラデルフィアでの一戦。共に上体でリズムを取ってジャブ、ストレート、接近して左右フック、ボディ攻撃。似た戦い方をする二人が一歩も引かない接近戦。ディフェンスしながら強打の応酬。最後まで打ち合って8R終了。判定は3-0。互角の勝負だった試合。この試合に敗者はいない。「隠れた名勝負」だった。その後、セレスティンはムスタファ・ワサジャ、ジェームズ・スコット、リッチー・ケイツに敗北。連勝し、マイケル・スピンクスのWBA王座に挑戦してTKO負け。それが唯一の世界戦に。以後は、負けたがエディ・ムスタファ・ムハマド、フリー・オベルと対戦。)


マシュー・サァド・ムハマド 11R TKO ジェリー・マーチン

(WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、1981年)

マーチン:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

ムハマド:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ムハマドがタイトル防衛。セレスティン戦後、北米王座、全米王座を獲得したマーチン。残すターゲットは世界王座のみ、といった状況になったが、エディ・ムスタファ・ムハマドのWBA世界L・ヘビー級王座に挑戦してKO負け。その後、三連勝して「WBC3位」として今度はWBC王座を狙う。これまで22勝(15KO)2敗。30勝(23KO)3敗2分の王者ムハマドは「激闘王」と呼ばれるほど激しい試合をしてきたタフ男。これが八度目の防衛戦。アトランチックシティでの一戦。使うパンチと体型が似ている両者。ジャブ、右ストレートで積極的に攻めるマーチン。接近して左右フック連打。ムハマドはフットワークとジャブで受けに回る。3Rから得意の右フックを使うムハマド。左フックも強い。攻め続けるマーチンだが、大きなパンチをディフェンスされてしまい、決定打を打ち込めない。やや疲れた様子を見せ始めたマーチン。ムハマドはフックで攻める。11R、マーチンが右フックを食ってフラついたのを見て、レフェリーは試合を止めた(ダウンシーンは無し)。ムハマドは「激闘王」ではあるが、ディフェンスもできる選手。相手に攻めさせて疲れさせてから得意のフックで倒すパターンで生きのいいマーチンを仕留めた。マーチンはよく頑張ったが、パンチの振りが大きく、攻めが一本調子なところがあった。ダウンシーンは無し。)


ドワイト・ブラクストン 6R TKO ジェリー・マーチン

(WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、1982年)

マーチン:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

ブラクストン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

2R:連打で2度、マーチンがダウン

(感想:ブラクストンがタイトル防衛。マーチンをKOして八度目の防衛に成功したムハマドだが、次の防衛戦でブラクストンにKO負け、王座陥落。WBC7位マーチンがムハマド戦の再起戦で新王者に挑戦。王者ブラクストン(ドワイト・ムハマド・カウィ)は「岩石男」と呼ばれる超タフ男。これまで16勝(9KO)1敗1分。刑務所出身で背は低いが、その分、根性とタフネスがある。ラスベガスでの一戦。共にスピードとパワーがあるジャブ。思い切りのいい右ストレート、左フック。しかしながら、パワーではブラクストン。2R、左フックが効いたマーチンが連打でダウン。さらに連打で二度目のダウン。接近戦を仕掛けるマーチンだが、タフなブラクストンには効かず、逆に強打を浴びて後退。6R、マーチンが打たれ、レフェリーストップ。マーチンは三度目の世界挑戦も実らず。その後の二人。ブラクストンは防衛を重ねたが、マイケル・スピンクスとのライトヘビー級頂上決戦に敗北。WBA世界クルーザー級王座を獲得して二階級制覇したり、ヘビー級でジョージ・フォアマンにドカドカ打たれてギブアップしたり。マーチンはジョニー・デービス、プリンス・ママ・モハマッドに敗れるなど勝ったり負けたり。世界王者になってもおかしくないパンチを持っていたが、王者たちの経験、タフさに屈してしまった。レベルが高かった時代はマーチンのように実力がありながら世界王座に手が届かないということは珍しいことではなかった。)


①「Light Heavyweight 

Jerry Martin vs. Ivy Brown」

②「Light Heavyweight 

Jerry Martin vs. Jerry Celestine」

③「WBC World Light Heavyweight Title 

Matthew Saad Muhammad vs. Jerry Martin」

④「WBC World Light Heavyweight Title 

Dwight Braxton vs. Jerry Martin」


エディ・ムスタファ・ムハマド(Eddie Mustafa Muhammad)のページ

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マシュー・サアド・ムハマド(Matthew Saad Muhammad)のページ

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マイケル・スピンクス(Michael Spinks)のページ

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ドワイト・ムハマド・カウィ(Dwight Muhammad Qawi)のページ 

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