IBF世界フェザー級王者。「ヨークシャーの狙撃手」。ナジーム・ハメド戦、ジュニア・ジョーンズ戦、ムブレロ・ボティーレ戦を紹介します。
ポール・イングル(イギリス)
身長165cm:オースドックス(右構え)
①ナジーム・ハメド 11R TKO ポール・イングル
(WBO世界フェザー級タイトル戦、1999年)
イングル:左ジャブ、右ストレート、左フック
ハメド:ジャブ、ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:左フックでイングルがダウン
6R:左ボディフックでイングルがダウン
11R:左ストレートでイングルがダウン
(感想:ハメドがタイトル防衛。「Yorkshire Hunter(ヨークシャーの狙撃手)」と呼ばれたイングル。アマチュアでも活躍し、バルセロナオリンピック(1992年)にはフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではフェザー級でデビュー。英国王座、英連邦王座、欧州王座、IBFインターコンチネンタル王座(全てフェザー級)を獲得し、これまで全勝。残すは世界王座のみ、といった状況。王者ハメドは説明不要。コチラも全勝。ウィルフレド・バスケス、ウェイン・マックローといった実力者を相手に王座防衛中。マンチェスターで行われた英国同士の一戦。王者ハメドは独特のサウスポースタイル。右のガードを下げ、伸びるジャブ、パワーの乗ったストレート。イングルは正統派。しっかりガードを上げて足でリズムを取りながらジャブ、ストレート。しかし、1R、左ボディからの左フックでイングルがダウン。その後、ハメドはオーソドックスにチェンジして右ストレートを決めたりするなど、パンチの正確さで上回る。6R、左フックからの左ボディでイングルがダウン。11R、左ストレートでイングルがゆっくりと後方にダウン。立ったがフラついており、レフェリー(ジョー・コルテス)は試合を止めた。注目の全勝対決はハメドの圧勝。イングルはジャブが少な目で、いきなりの右を当然のようにかわされ続けた。そのため「ヨークシャーの狙撃手」という印象は感じられず「普通の選手」に見えた。ハメドはフニャフニャした動きが有名だが、本物のパンチ力を持つ男だった。)
②ポール・イングル 11R TKO ジュニア・ジョーンズ
(IBF世界フェザー級タイトル戦、2000年)
イングル:左ジャブ、右ストレート、左フック
ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
9R:右ストレートでイングルがダウン
11R:連打でジョーンズがスタンディングダウン
(感想:イングルがタイトル防衛。ハメドに敗れた再起戦で「軟体動物」マヌエル・メディナからIBF王座を奪ったイングル。これまで22勝(15KO)1敗。初防衛戦の相手はアメリカの「ポイズン」ジュニア・ジョーンズ。挑戦者ジョーンズは47勝(27KO)4敗の二階級制覇王者でIBOフェザー級王者。IBFとIBOのベルトが懸けられた一戦。試合地はニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」。長いジャブを連打するジョーンズ。イングルはハメド戦とは違ってかなりアグレッシブ。ガードを上げて上体を忙しく動かしてジャブ、右ストレート、左フック。手数を多く出して距離を詰めていく。共に力強い右ストレート、左フック。ただし、パンチの正確さはイングル。8R、ジョーンズが鋭いコンビネーション。9R、右ストレートでイングルがダウン。10Rはイングル。11R、連打でジョーンズがスタンディングダウン。再開後、フラつくジョーンズを見てレフェリーは試合を止めた。イングルが非常に積極的な戦いぶりを見せ、大きな勝利。これが本来の彼のボクシングか。逆転されてしまったジョーンズ。この選手は強いのかそうでないのかよくわからないところがある。長いパンチを使うため、当たれば凄いが当たらなければガードの隙を突かれてしまったりする。全盛期のバンタム級時代には「軽量級のトーマス・ハーンズ」などと呼ばれたが、全盛を過ぎたこの試合ではジャブで相手を止めることができず相手に接近を許したり、バランスを崩したり。「微妙な試合をやってしまったときのハーンズ」といった試合内容だった。)
③ムブレロ・ボティーレ 12R KO ポール・イングル
(IBF世界フェザー級タイトル戦、2000年)
イングル:左ジャブ、右ストレート、左フック
ボティーレ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
11R:左フックでイングルがダウン
12R:左フックでイングルがダウン
(感想:ボティーレが二階級制覇。英国で行われたイングルの二度目の防衛戦。ボティーレは南アフリカ共和国の黒人選手でこれまで26勝(15KO)1敗。元IBF世界バンタム級王者でもある。共に似たような体格でジャブ、右ストレート、左フック。1Rから左フックをヒットさせるボティーレ。右ストレートには伸びがある。イングルは足を使いながらジャブを打つ。ボティーレがディフェンスしながらパンチを細かく当てる。11R、左フックでイングルがダウン。12R、右ストレートで後退したイングルが左フックでダウン、KO。かなりのダメージを負ったイングルは担架で運ばれ、これが最後の試合に。連打で攻め落とすタイプであるため、ディフェンスが巧い選手は苦手だったようだ。一方、上質のボクシングを見せたボティーレ。しかし意外にも初防衛に失敗し、再び世界王座に就くことはなかった。そういったことからこの試合はイングル、ボティーレにとって思い出深い試合になったのでは? 引退後、イングルはトレーナーに転身した。)
①「WBO World Featherweight Title
Naseem Hamed vs. Paul Ingle」
②「IBF World Featherweight Title
Paul Ingle vs. Junior Jones」
③「IBF World Featherweight Title
Paul Ingle vs. Mbulelo Botile」
ナジーム・ハメド(Naseem Hamed)のページ
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マヌエル・メディナ(Manuel Medina)のページ
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ジュニア・ジョーンズ("Poison" Junior Jones)のページ
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ムブレロ・ボティーレ(Mbulelo Botile)のページ
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