WBO世界ライトフライ級王者。タイトル戦のウーゴ・カサレス戦(初戦・再戦)、ダニエル・レイジェス戦を紹介します。
ネルソン・ディーパ(プエルトリコ)
身長163cm:オーソドックス(右構え)
①ウーゴ・カサレス 10R 負傷判定 ネルソン・ディーパ
(WBO世界ライトフライ級タイトル戦、2005年)
ディーパ:左ジャブ、右ストレート、フック
カサレス:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:カサレスがタイトル獲得。ディーパはプエルトリカン。1992年バルセロナ・オリンピックにライトフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロでは無敗のままWBCの地域王座(フライ級)獲得。日本でもおなじみカルロス・ムリージョに判定で初黒星。初の世界挑戦でWBO世界ライトフライ級王座を狙ったがノーコンテスト。その後、決定戦でアンディ・タバナスをKOして同王座獲得(2001年)。ケルミン・グアルディアらを相手に連続防衛中。挑戦者カサレスはメキシカン。ニックネームは「El Increible(驚くほどスゴイ奴)」。デビュー戦は引き分け。二戦目は判定負け。その後も不安定な状態が続いたが、経験を積んでNABO王座(L・フライ級)などを獲得。連勝の勢いで安定王者ディーパに挑戦。プエルトリコ・ハトレイでの一戦。共にガードを上げてジャブ、ストレート。共に力強い打ち方をするが、1Rから両者の違いが明らかに。オーバーライトハンド気味の大きな右フック、しゃくるような大きな左フックのディーパ。パワフルだが、力を込めすぎて単発な攻め。カサレスは勢いに乗った連打。ワンツーからの左フック、右フックからの左フック、そして右ストレートからの左ジャブといったテクニック。2R、相手を挑発するカサレス。左フックからの右ストレートをヒットさせる。その後も両者、思い切りのいい打ち方。しかし、勢い、パワー、手数でポイント上、カサレス優勢。6R、カサレスがサウスポーにスイッチしてワンツー。8R、9R、バッティングでディーパが負傷し、10Rにドクターチェック。負傷判定となり、新王者カサレス(ダウンシーンは無し)。粗いが、迫力のパンチでカサレスが勝利。勢いがあった。ディーパはパンチ自体は良かったが、狙いすぎ。力の加減ができればもっと競った内容になったはず。両者は後、同王座を懸けて再戦。)
②ウーゴ・カサレス 10R TKO ネルソン・ディーパ
(WBO世界ライトフライ級タイトル戦、2005年)
ディーパ:左ジャブ、右ストレート、フック
カサレス:ジャブ、ストレート、フック
(ダウンシーン)
2R:右フックでディーパがダウン
(感想:カサレスがタイトル防衛。立場を入れ替えて再戦。ディーパ(35歳。24勝(13KO)2敗1分1NC)は初戦後、判定で再起二連勝。カサレス(28歳。23勝(17KO)3敗1分)はディーパ戦後、三度の防衛に成功。プエルトリコ・カグアスでの一戦(ボブ・アラム「トップランク・ボクシング」。レフェリーは個性的な顔のロベルト・ラミレス)。ソンブレロをかぶって入場のカサレス。基本的な戦い方は初戦と同じだが、今回は初戦ほど攻めず。しかも、中途半端にサウスポーにチェンジ。ただ、オーソドックススタイルのときは力強いパンチ(「突き上げるかのような左フック、右ストレート、左フック」コンビネーションに迫力)。ディーパはワンツーなどを出すが、ディフェンスされて受け身に。2R、サウスポーにスイッチしたカサレスが右フックでディーパからダウンを奪う。これに手応えを感じたか、カサレスはサウスポーで攻めるシーンが多くなっていく。当てるテクニック&ディフェンスでカサレス優勢。6R、ディーパがジャブ、右ストレート、右フックで攻撃。しかし、正直なボクシングであるため、ディフェンスされる。8Rに右ストレートを食ったカサレス。9Rにオーソドックススタイルで力強い攻め。あっという間に追い込まれていくディーパ。10R開始前、ディーパがドクターチェック。ワンツーを打たれたところでレフェリーストップ。カサレスが当てるテクニックで勝利。ただ、サウスポースタイルよりオーソドックスの時の方が強いパンチ。サウスポーの軽いボクシングを長く続けたのは試合の迫力を削いだような気がする。ディーパは強いパンチを打っていたが、ディフェンスされた。その後のカサレス。イヴァン・カルデロンに敗れ、王座陥落。名城信男からWBA世界S・フライ級王座を奪取し、王座返り咲き。同王座をめぐって数度の来日。日本でもおなじみの選手となった。)
③ダニエル・レイジェス 12R 判定 ネルソン・ディーパ
(WBAフェデラテン・ライトフライ級王座決定戦、2007年)
レイジェス:左ジャブ、右ストレート、フック
ディーパ:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:レイジェスがタイトル獲得。カサレスとの再戦にも敗れたディーパ。再起戦でレイジェスと対戦。レイジェスはコロンビア人。1996年アトランタ・オリンピックにフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではデビューから連戦連勝。しかし、初の世界挑戦でIBF世界ミニマム級王座を狙ったが判定負け、初黒星。その後、同王座獲得。しかし、二度目の防衛に失敗。イバン・カルデロンのWBO王座(ミニマム級)に挑戦したが、判定負け。再起二連勝でディーパと対戦。プエルトリコ・サンファンでの一戦。アウトボクサーのレイジェス。距離を取ってディフェンスしながらジャブ。ディーパは前進し、右ストレート、左フック。のらりくらりとした動きで相手の攻めをかわすレイジェス。そして右ストレートで反撃。意外にパワーがある。接近戦では互いにディフェンス。レイジェスは右ストレート、ディーパは左フックを時折ヒットさせる。試合は全般的にレイジェスがジャブ&ディフェンスでポイントを取っている印象。また、レイジェスにはワンツーからの左フック、左フックダブルなどの器用さ。12R終了。判定は僅差の2-1(ジャッジ三人が「115-113」。ダウンシーンは無し)。レイジェスがテクニックで勝利。エキサイティングな試合ぶりではなかったが、良いパンチを打つシーンもあった。ディーパはジャブが少な目。相手を追い込む工夫が足りなかった印象。その後の二人。レイジェスはWBOの暫定王座(ミニマム級)を獲得したが、初防衛戦でKO負け。安定しない王者だった。ディーパは再起戦でこの王座(WBAフェデラテン・ライトフライ級王座)獲得。しかし、その次の試合でイバン・カルデロンのWBO王座(ライトフライ級)に挑戦して判定負け、引退。レイジェスと似たようなキャリアとなった。)
①「WBO World Light Flyweight Title
Nelson Dieppa vs. Hugo Fidel Cazares」
②「WBO World Light Flyweight Title
Hugo Fidel Cazares vs. Nelson Dieppa」
③「vacant WBA Fedelatin Light Flyweight Title
Daniel Reyes vs. Nelson Dieppa」
ウーゴ・カサレス(Hugo "El Increible" Cázares)のページ
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