2024年11月20日水曜日

ファン・カルロス・ブルゴス(Juan Carlos Burgos)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBCスーパーフェザー級シルバー王者。ヘスス・サルバドル・ペレス戦、ビャチェスラフ・グセフ戦、ルイス・クルス戦を紹介します。

ファン・カルロス・ブルゴス(Juan Carlos Burgos)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)

身長175cm:オースドックス(右構え)


ファン・カルロス・ブルゴス 8R 判定 ヘスス・サルバドル・ペレス

(フェザー級戦、2008年)

ブルゴス:左ジャブ、右ストレート、フック

ペレス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ティフアナ出身のブルゴス。「ボクシング一族」で、叔父のホセ・ビクトル・ブルゴスはIBF世界ライトフライ級王座を獲得。父がアマチュアボクサーだった影響を受け、9歳でボクシングを始める。プロ入り後はこれまで19戦全勝(14KO)。WBC米大陸フェザー級暫定王座を獲得している。ペレスはコロンビア人で24勝(14KO)21敗3分。かつて無敗のままティム・オースティンのIBF世界バンタム級王座に挑戦したが、TKO負け。それ以来、負けが増えていき、このところ連敗中。カリフォルニア州オンタリオでの一戦。長身のブルゴスは慎重なタイプ。ジャブ、ワンツー、左フック、ディフェンス。ペレスはジャブを出すが、フックは振りが大きく、的確ではない。ワンツーからの左フックに良いものがあるブルゴスだが、3Rにジャブの連打を浴びてダウン。しかし、レフェリーはこれをスリップ扱い。サウスポーにスイッチするペレス。器用さはあるが、特に効果無し。接近戦。ボディの打ち合い、もみ合い。8R終了。判定は2-0。ブルゴスがディフェンスと攻撃の正確さで競り勝った。全勝を守ったブルゴスだが、正直なところイマイチ。打ち合いながらもどこか慎重。コンビネーションで攻めて欲しかったところ。ペレスはよく鍛えた体つきだったが、フックがヘタ。その後も連敗してキャリアを終えた。)


ファン・カルロス・ブルゴス 10R 判定 ビャチェスラフ・グセフ

(フェザー級戦、2009年)

ブルゴス:左ジャブ、右ストレート、フック

グセフ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:全勝を守るブルゴス。ロシアのグセフとアメリカで対戦。グセフはこれまで16勝(3KO)1敗。WBAインター王座(フェザー級)を獲得している。カリフォルニア州オンタリオでの一戦(ヘスス・サルバドル・ペレス戦と同じ会場)。距離を取って長いジャブ、ストレートのブルゴス。グセフはジャブで接近してショート連打。互いにスピードとパワーはそこそこ。次第に機敏な動きに(共にスロースターターらしい)。映像では長いパンチのブルゴスが優勢に見える展開。グセフは右目をカットしながらも前に出るが、ディフェンスされてしまう。10R終了、判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ブルゴスがワンツー、ボディ打ちで勝利。エキサイティングな勝ち方ではなかったが、これが彼の戦い方なのだろう。グセフは右を当てるシーンもあったが、試合の主導権を握れるような攻めができなかった。後、グセフはIBFインター王座(スーパーフェザー級)などを獲得。世界には手が届かなかったが、実力はあった。)


ファン・カルロス・ブルゴス 10R 判定 ルイス・クルス

(WBCスーパーフェザー級シルバー王座決定戦 & WBOラテンアメリカ・スーパーフェザー級タイトル戦、2011年)

ブルゴス:左ジャブ、右ストレート、フック

クルス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ブルゴスがタイトル獲得。グセフ戦後も勝ち続けたブルゴス。日本で初の世界挑戦。長谷川穂積とWBC世界フェザー級王座決定戦を行ったが、下の階級から来た長谷川に3-0で判定負け、初黒星。クルス戦は再起三戦目となる。クルスはプエルトリカン。これまで19戦全勝(15KO)。クルスのWBOラテンアメリカ王座と空位のWBCスーパーフェザー級シルバー王座を懸けた試合。試合地はラスベガス「MGM Grand」。積極的なブルゴス。ジャブ、ワンツー、左フックで前進。左ボディからの右ストレートといったコンビネーションも入れていく。クルスは慎重。ジャブ、左ボディ打ちなどで応戦。互いに左のテクニックを使うが、ブルゴスの左フックが有効(2Rほか)。クルスはパワーを込めて打つ分、攻めのリズムがとぎれがち。最終ラウンド終了。クルスが両手を上げて勝利をアピール。判定は2-0。ブルゴスが左で勝利し、大喜びの表情。中盤に少し勢いが落ちたが、長いパンチを使い続けるのは疲れるのだろう。その後の両者。クルスは取りこぼしが目立つようになっていく。ラストファイトはIBF世界ライト級王座挑戦(判定負け)。ブルゴスも二度世界挑戦のチャンスを得たが、勝てず。共に世界には届かなかった。)


①「Featherweight

Juan Carlos Burgos vs. Jesus Salvador Perez」

②「Featherweight

Juan Carlos Burgos vs. Vyacheslav Gusev」

③「vacant WBC Silver Super Featherweight Title and WBO Latino Super Featherweight Title

Luis Cruz vs. Juan Carlos Burgos」


長谷川穂積(Hasegawa Hozumi)のページ 

2024年11月15日金曜日

バネス・マーティロスヤン(Vanes Martirosyan)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

北米スーパーウェルター級王者。アンドレイ・ツルカン戦、カシム・オウマ戦、ゲンナジー・ゴロフキン戦を紹介します。

バネス・マーティロスヤン(Vanes Martirosyan)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

バネス・マーティロスヤン(アルメニア)

身長182cm:オースドックス(右構え)


バネス・マーティロスヤン 7R TKO アンドレイ・ツルカン

(スーパーウェルター級戦、2009年)

マーティロスヤン:左ジャブ、右ストレート、左フック

ツルカン:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:アルメニア出身のマーティロスヤン。家族でカリフォルニア州に移住。7歳の時にボクシングを始める。アマチュアで優秀な成績。アテネ・オリンピック(2004年)にウェルター級で出場(メダルは獲得ならず)。プロデビュー以来、これまで24戦全勝(15KO)。ニックネームは「Nightmare(悪夢)」(マーティロスヤンと戦う相手は悪夢を見ることになる、というベタな意味なのだろうか?)。ツルカンはウクライナ出身。アメリカを主戦場としてきた選手で、ヘクター・カマチョ・ジュニアを破って北米スーパーウェルター級王者になったことがあるが、直前の試合ではTKO負けしている。アトランチックシティでの一戦。マーティロスヤンは慎重なタイプ。ガードを上げて足で距離を取りながらジャブ、右カウンター。左フックが力強いが、左ボディ打ちはややローブロー。ツルカンはワンツーで前に出るが、パンチが全体的に軽い印象。右ストレートからの左フックがパワフルなマーティロスヤン。右アッパーでカウンターを取るテクニック。4R、右ストレートでマーティロスヤン優勢。6R、右を当てるなどの見せ場を作ったツルカンだが、そこまで。6R終了後に棄権。左目の下が腫れていた(ダウンシーンは無し)。この試合は「TOPRANK BOXING」で行われ、勝ったマーティロスヤンをボブ・アラムが祝福。マーティロスヤンは基本的なパンチがしっかりしており、カウンターを取る器用さも。ただ、やや受け身的な試合ぶりが気になった。もっと積極的に攻めて欲しかったところ。連敗となったツルカンはこれで引退。)


バネス・マーティロスヤン 10R 判定 カシム・オウマ

(北米スーパーウェルター級タイトル戦、2010年)

マーティロスヤン:左ジャブ、右ストレート、フック

オウマ:右ジャブ、左ストレート、フック

(ダウンシーン)

9R:右フックでマーティロスヤンがダウン

(感想:マーティロスヤンがタイトル初防衛。決定戦で二つの北米王座(NABFとNABO)を獲得したマーティロスヤンが初防衛戦。挑戦者オウマは元IBF世界スーパーウェルター級王者。ウガンダの選手でこれまで26勝(16KO)6敗1分。IBF王座を失った後、WBC・WBO世界ミドル級王者ジャーメイン・テイラーに挑戦したが判定負け。以来、負けが増えている状況。かつて所持していた北米王座の奪回を目指す。ラスベガスでの一戦。サウスポーのオウマ。右ジャブ、左ストレート。接近戦ではショート連打でボディ攻撃。マーティロスヤンは距離を取って右を当てようとする。互いにディフェンス。細かくパンチを当てるテクニックを持つオウマ。マーティロスヤンはワンツー&右カウンター作戦。9R、右フックでマーティロスヤンがダウン。しかし、「スクッ」と立ち上がる。10R、マーティロスヤンの左フックがヒット。判定は3-0。マーティロスヤンが微妙な勝利。細かいパンチを食ったうえにダウン。映像では一進一退だったように見えたが、オウマのパンチが軽めだったのが幸いしたか。オウマはこの次の試合でNABAミドル級王座獲得。しかし、ゲンナジー・ゴロフキンのWBA王座への挑戦はTKO負け。二階級制覇は達成できなかった。)


ゲンナジー・ゴロフキン 2R KO バネス・マーティロスヤン

(WBA・WBC世界ミドル級タイトル戦、2018年)

マーティロスヤン:左ジャブ、右ストレート、左フック

ゴロフキン:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

2R:連打でマーティロスヤンがダウン

(感想:ゴロフキンがタイトル防衛。オウマ戦後のマーティロスヤン。初の世界挑戦はデメトリアス・アンドラーデとのWBO世界スーパーウェルター級王座決定戦。判定負けで初黒星。二度目の挑戦はエリスランディ・ララのWBA世界スーパーウェルター級王座。またしても判定負けで王座獲得ならず。そして三度目の世界挑戦。王者ゴロフキン(カザフスタン)はミドル級の絶対王者。37勝(33KO)1分、無敗。当時のトップ中のトップ(ゴロフキンはIBF王者でもあったが、マーティロスヤンの「挑戦資格」に疑問を持つIBFは「世界戦」として認可しなかった)。カリフォルニア州カーソンでの一戦。共にジャブ、ストレート、左フック。やはり受け身のマーティロスヤン。ゴロフキンがジリジリと距離を詰める。右を狙うマーティロスヤンだが、ゴロフキンはディフェンス。2R、右が効いたマーティロスヤン。連打でうつぶせにダウン、10カウント。ゴロフキンが圧勝。正確なパンチには安定感があった。マーティロスヤンは残念な選手。パンチ自体は良いものがあったが、自分から攻めて倒しに行かないタイプ。これが最後の試合となった。)


①「Super Welterweight 

Vanes Martirosyan vs. Andrey Tsurkan」

②「NABF・NABO Super Welterweight Title

Vanes Martirosyan vs. Kassim Ouma」

③「WBA・WBC World Middleweight Title

Gennadiy Golovkin vs. Vanes Martirosyan」


ゲンナジー・ゴロフキン(Gennady Golovkin)のページ 

2024年11月13日水曜日

サム・ソリマン(Sam Soliman)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界ミドル級王者。世界王者になる前の試合。ショーン・サリバン戦、サキオ・ビカ戦(初戦)、エロモース・アルバート戦を紹介します。

サム・ソリマン(Sam Soliman)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

サム・ソリマン(オーストラリア)

身長174cm:オースドックス(右構え)


サム・ソリマン 12R 判定 ショーン・サリバン

(IBFパンパシフィック・ミドル級王座決定戦、2002年)

ソリマン:左ジャブ、右ストレート、フック

サリバン:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ソリマンがタイトル獲得。オーストラリアのソリマンは格闘技好き。テコンドー、空手、キックボクシングの経験あり。アマチュアからプロへ。デビュー二戦目でオーストラリア王座(クルーザー級)獲得。しかし、三戦目では一気に階級を落とし、オーストラリア・英連邦スーパーウェルター級王座に挑戦、判定負け。四戦目ではオーストラリア・クルーザー級王座の防衛戦を行い判定負け、王座陥落。その後も地域王座を獲得したかと思えば、IBO王座戦に敗れたりといった不安定な状況。サリバンはニュージーランドの選手。ニュージーランド王座を複数階級制覇、IBFパンパシフィック・ウェルター級王座獲得といった実績。しかしながら、このソリマン戦。試合前の計量でウェイトオーバーしたらしく、ソリマンに勝ってもベルト無しという条件。オーストラリアのアルバート・パークでの一戦。ソリマンは個性的な打ち方。ガードを下げた構えをしたりしながらジャブ、ワンツー。そして大きなフック、アッパー。豪快なボクシングだが、ディフェンスが甘そうな印象。サリバンはディフェンスしながらひたすら前進。ジャブ、接近してボディ連打。接近戦では手数でポイント上、ソリマンが優勢。しかしながら、大きくパンチを振るうソリマンの戦い方は疲れる。連打で応戦しながらクリンチで休むシーンも。12R終了。判定は3-0。ダウンシーンは無し。迫力のあるフックでソリマンが勝利。ベルトを巻いて回し蹴りのパフォーマンス。サリバンはよく頑張ったがローブローで減点されるなどポイントで及ばなかった。その後、サリバンはニュージーランドのL・ヘビー級王座獲得。)


サム・ソリマン 12R 判定 サキオ・ビカ

(IBFパンパシフィック・ミドル級タイトル戦、2002年)

ソリマン:左ジャブ、右ストレート、フック

ビカ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ソリマンがタイトル防衛。ソリマンの初防衛戦。オーストラリア同士の対戦ではあるが、ビカはカメルーン出身の黒人選手。シドニーオリンピックではカメルーン代表としてライトミドル級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではこれまで全勝。あのジェフ・フェネックがトレーナーとしてサポート。アルバート・パークでの一戦。相手の様子をうかがいながら攻めようとするソリマン。ジャブ、フック。ビカは迎え撃つ形。ジャブ、ストレートは良いビカだが、フックが雑。プロレスのハンマーパンチ(手の横の部分で打つ)のような右パンチを使ってレフェリーから警告。そのため接近戦では互いにガチャガチャした打ち合いとなり、クリンチが多い。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。ソリマンが攻める姿勢で勝利。正直なところ、共に不器用であまり良い試合とは思えなかった(特に接近戦でのクリンチ&ラフな打ち方)。ビカにはちょっとガッカリ。フックを満足に打てない選手。しかしながら後、WBC世界スーパーミドル級王座獲得。それ以外にも多くの地域王座。ソリマン戦後、努力したのだと思われる。)


サム・ソリマン 12R 判定 エロモース・アルバート

(ミドル級戦、2011年)

ソリマン:左ジャブ、右ストレート、フック

アルバート:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ビカ戦後のソリマン。東洋太平洋ミドル級王座を獲得するなど連勝。しかし、ロナルド・ライトとの世界ミドル級挑戦者決定戦に判定負け。WBA世界スーパーミドル級王座決定戦、サキオ・ビカとの再戦に敗北。決定戦でWBFミドル級王座獲得。そしてこのアルバートとのノンタイトル戦。これまで39勝(17KO)11敗。24勝(12KO)5敗1分のアルバートはナイジェリアの選手。直前の試合ではダニエル・ゲール(オーストラリア)のIBF世界ミドル級王座に挑戦して判定負けしている。オーストラリア・フレミントンでの一戦。基本的な戦い方は変わっていないソリマン。ジャブを使ってフック連打。アルバートはジャブ、ストレート、ショートフック。細かい打ち方で、パワーに欠ける印象。3R、ソリマンが右ストレートを食ってダウン。しかし、レフェリーはこれをダウン扱いせず。その後は互いにジャブ、右ストレート。フックでソリマンが優勢。しかし、中盤以降はソリマンがクリンチ連発(スタミナ切れ)。微妙な内容のまま12R終了。判定は3-0。アルバートは勝利を確信していたようだが、パンチが軽かった。ただ、3Rの右ストレートは良かった。クリンチしながら何とか勝ったソリマン。その後、ドイツでフェリックス・シュトゥルム(ドイツ)を破ってIBF世界ミドル級王座獲得。しかし、アメリカで行った初防衛戦でジャーメイン・テイラー(アメリカ)に敗北、王座陥落。大振りのフックで疲れやすい戦い方だったソリマンは不器用なタイプ。世界王座は一度も防衛できなかったが、多くのタイトル戦に出場した面白い存在だった。)


①「vacant IBF Pan Pacific Middleweight Title

Sam Soliman vs. Sean Sullivan」

②「IBF Pan Pacific Middleweight Title

Sam Soliman vs. Sakio Bika」

③「Middleweight 

Sam Soliman vs. Eromosele Albert」 


ハワード・イーストマン(Howard Eastman)のページ

2024年11月8日金曜日

ブライム・アスロウム(Brahim Asloum)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界ライトフライ級王者。ハビエル・オルティス戦、メルクリオ・シアラミタロ戦、フアン・カルロス・レベコ戦を紹介します。

ブライム・アスロウム(Brahim Asloum)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ブライム・アスロウム(フランス)

身長165cm:オースドックス(右構え)


ブライム・アスロウム 6R 判定 ハビエル・オルティス

(フライ戦、2001年)

アスロウム:左ジャブ、右ストレート、フック

オルティス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:アルジェリア系フランス人のアスロウム。シドニーオリンピック(2000年)でフライ級金メダル。プロではこれまで三連勝(3KO)。オルティスはプエルトリカン。スラリとした体型で11勝(5KO)2敗。クワテモク・ゴメスのWBA地域王座(バンタム級)に挑戦してKO負け。アスロウム戦はその再起戦となる。マルセイユでの一戦。アスロウムが派手に入場。ダンスしながら観客にアピール。共に速いジャブ、ワンツー。アスロウムは連打の回転の速さで勝負。オルティスは長いパンチが武器で、右ストレート、左ボディ打ちが良い。互いにディフェンス、サウスポーにスイッチ。接近戦では共に手数が多い。2R、オルティスが右ストレート、左ボディで優勢。このままでは負ける、と考えたか、アスロウムが精力的に連打。6R終了。判定はPTSでアスロウム。共に手数が多く、良い打ち方。ダウンシーンは無かったが、6回戦ながらなかなかの好試合となった。アスロウムは足の使い方などが辰吉丈一郎に似ている。踊りながら入場するところは薬師寺保栄か? オルティスは長いパンチを持つ好選手。「アスロウム vs. オルティス」は「辰吉 vs. アブラハムトーレス」のような雰囲気があった。しかし、意外なことにその後、オルティスは全敗。何ら王座を獲ることなくキャリアを終えた。)


ブライム・アスロウム 6R 判定 メルクリオ・シアラミタロ

(フライ戦、2001年)

アスロウム:左ジャブ、右ストレート、フック

シアラミタロ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:アスロウムのプロ五戦目。シアラミタロはイタリア人。イタリア王座(フライ、バンタム級)を獲得した実績。しかし、WBUのスーパーフライ級王座への挑戦はTKO負け。パリでの一戦。左のガードを下げた構えからジャブを飛ばすアスロウム。ワンツー、左フックにスピード。シアラミタロはガードしながらワンツー、左ボディ打ち。右フックのボディ打ちも巧い。2R、ラウンド終了後にシアラミタロがパンチ。しかし、丁寧におじぎして謝罪(礼儀正しい)。試合自体はアスロウムがハンドスピード、特にジャブの速さでポイント。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ディフェンスしていたシアラミタロだが、アスロウムの速いジャブがヒット。シアラミタロの堅実なボクシングも悪くはなかった。その後、シアラミタロは欧州王座(フライ級)、IBFインター王座(スーパーフライ級)を獲得する活躍を見せた。)


ブライム・アスロウム 12R 判定 フアン・カルロス・レベコ

(WBA世界ライトフライ級タイトル戦、2007年)

アスロウム:ジャブ、ストレート、フック

レベコ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:アスロウムがタイトル獲得。シアラミタロ戦後、欧州フライ級王座を獲得するなど全勝だったアスロウムだが、初の世界挑戦で判定負け(ロレンソ・パーラ(ベネズエラ)のWBA世界フライ級王座)。二度目の挑戦も判定負け(オマール・ナルバエス(アルゼンチン)のWBO世界フライ級王座)。そしてこの三度目の挑戦。王者レベコはアルゼンチンのファイターでこれまで全勝。決定戦で王座獲得。これが二度目の防衛戦となる。フランスのル・カネでの一戦。すっかり見た目が変わったアスロウム。オルティス戦、シアラミタロ戦では髪を金髪に染めていたが、今回は黒髪。サウスポースタイルでスタートし、右ジャブ、左ストレート、右フック。そして頻繁にオーソドックスにスイッチ。正直なところ、オーソドックスの時の方が力強い打ち方。ガッチリした体型のレベコはジャブ、ワンツー、左右フック連打。特に右フックと左ボディ打ちがパワフル。激しい接近戦。攻めるレベコ、スイッチしながら応戦するアスロウム。激しい攻防のまま12R終了。勝利を確信している様子のアスロウム。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。映像では攻めているレベコが勝ったように見えたが、アスロウムはレベコの攻撃をディフェンスしていたようだ。両者に大きな実力差は感じられなかった試合。できればアスロウムには中途半端にスイッチするのではなく、力強いオーソドックススタイルで通して欲しかったところ。その後の両者。アスロウムは怪我により「休養王者」扱いされ、結局、一度も防衛戦を行うことなく王座返上、引退。レベコはWBA世界フライ級王座も獲得し、日本で井岡一翔と二度対戦した。)


①「Flyweight 

Brahim Asloum vs. Javier Ortiz」

②「Flyweight 

Brahim Asloum vs. Mercurio Ciaramitaro」

③「WBA World Light Flyweight Title

Juan Carlos Reveco vs. Brahim Asloum」

 

2024年11月6日水曜日

フリオ・セサール・グリーン(Julio Cesar Green)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界ミドル級王者。アウレリアーノ・ソーサ戦、WBA王座を懸けたウィリアム・ジョッピーとの三戦を紹介します。

フリオ・セサール・グリーン(Julio Cesar Green)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フリオ・セサール・グリーン(ドミニカ共和国)

身長173cm:オースドックス(右構え)


フリオ・セサール・グリーン 1R KO アウレリアーノ・ソーサ

(ミドル級戦、1992年)

グリーン:左ジャブ、右ストレート、フック

ソーサ:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでソーサがダウン

(感想:ドミニカのグリーン。アメリカが主戦場で、本拠地はニューヨーク。デビューから四連勝。しかし、五戦目で判定負け。ソーサ戦はその再起戦。ソーサは中堅どころ。「BOXREC」の記録によるとブランクがあり、これが再起戦。ニューヨークでの一戦。ジャブで先制攻撃のソーサ。接近して左右フック連打。しかし、逆にグリーンがストレート、フックでラッシュ。左フックが効いたソーサ。ロープ際で右ストレートを食ってダウン。倒れると同時にレフェリーは試合を止めた。右パンチでグリーンが豪快にKO勝ち。攻めは強引だったが、倒せる自信があったのだろう。ソーサはこれが最後の試合となった。)


フリオ・セサール・グリーン 12R 判定 ウィリアム・ジョッピー

(WBA世界ミドル級タイトル戦、1997年)

グリーン:左ジャブ、右ストレート、フック

ジョッピー:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでジョッピーがダウン

3R:右フック、右アッパーで2度、グリーンがダウン

(感想:グリーンがタイトル獲得。ソーサ戦後のグリーン。ニューヨーク王座(ミドル級)、北米王座(J・ミドル級)を獲得し、WBA世界J・ミドル級王座決定戦でカール・ダニエルズ(アメリカ)と対戦したが、判定負け(3-0)。これまで21勝(15KO)2敗でWBA4位。階級を上げ、ミドルで二度目の世界挑戦。24勝(19KO)1分の王者ジョッピーは日本でもおなじみ。バネのある動きをする選手で、竹原慎二をTKOで下してWBA世界ミドル級王座獲得。グリーン戦は三度目の防衛戦となる。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。グリーンと陣営が緑色のコスチュームで入場(鮮やかな印象)。ジョッピーは黒のガウン(カッコいい)。共にジャブ。ジョッピーはリズミカルな動きで右を当てようとし、ジャブは独特のバックハンド気味の打ち方。グリーンはパワーを込めてフック、ボディ打ち。左のガードを下げた構えで相手を誘う。2R、左フックがカウンターで入ってジョッピーがダウン。3R、右フックでグリーンがダウン。足に来たグリーンはさらに連打からの右アッパーで二度目のダウン。KO負け寸前になったが、打ち返す。その後、ジョッピーは左ジャブが中心(右を痛めた?)。グリーンはジャブ、フック。11R、ジョッピーが背後からのパンチで減点。最終ラウンド終了時、共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は僅差の3-0。前半で右拳を痛めたのか、中盤以降ジョッピーはジャブしか出さなかった。それでは勝てない。グリーンは特別ジョッピーを圧倒したわけではなかったが、相手の控えめな攻めに助けられて微妙な勝利を収めた。)   


ウィリアム・ジョッピー 12R 判定 フリオ・セサール・グリーン

(WBA世界ミドル級タイトル戦、1997年)

グリーン:左ジャブ、右ストレート、フック

ジョッピー:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ジョッピーがタイトル奪回。フロリダで行われたダイレクト・リマッチ。ジョッピーがWBA2位として挑戦。1R、共にジャブ連打、右ストレート。接近戦ではフック。パワーを込めるグリーン。ジョッピーはハンドスピードで勝負し、左フックからの連打。2Rは逆にグリーンが右フックでチャンス。しかし、その後は前回の試合の続きのような内容。右を痛めているのか、ジョッピーはジャブが中心。右カウンターを出すシーンもあるが、右パンチが極端に少ない。一方、グリーンは攻めるが、ディフェンスされて有効打は少な目。しかも、10Rにはバッティングで減点。判定は3-0。ダウンシーンは無し。グリーンはパワーはあるが工夫が少ない。ジョッピーは序盤は連打の回転に迫力があったが、トーンダウン。あまり良い試合ではなかった。)


ウィリアム・ジョッピー 7R TKO フリオ・セサール・グリーン

(WBA世界ミドル級タイトル戦、1999年)

グリーン:左ジャブ、右ストレート、フック

ジョッピー:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ジョッピーがタイトル防衛。ジョッピー戦後、決定戦でWBA世界ミドル級暫定王座を獲得したグリーン。正規王者ジョッピーと「王座統一戦」。ワシントンでの一戦(会場ではWBA世界スーパーライト級王者シャンバ・ミッチェル、WBC世界ミドル級王者キース・ホームズが観戦)。共にジャブ。ジョッピーが伸びのあるワンツー。そして、ジャブでカウンターを取ったり、ワンツーからの左フックといったコンビネーションを使ったり。グリーンは再戦のときと同じ。接近するがディフェンスされ、クリンチ時の反則打をレフェリーから警告されてしまう。手数でジョッピー優勢。7R、グリーンの左マブタのキズにより試合終了(ダウンシーンは無し)。ジョッピーは今回は右拳が万全だった様子。ワンツーが良かった。グリーンは腕力はあったが、正直なところ器用さに欠ける。その後、グリーンはスーパーミドルの世界王座に挑んだが、勝てず。ジョッピーはフェリックス・トリニダードとの大一番に敗れて王座陥落。しかし、決定戦で三度目の王座獲得。日本でも防衛戦を行った。)


①「Middleweight 

Julio Cesar Green vs. Aureliano Sosa」

②「WBA World Middleweight Title

William Joppy vs. Julio Cesar Green」

③「WBA World Middleweight Title

Julio Cesar Green vs. William Joppy」

④「WBA World Middleweight Title

William Joppy vs. Julio Cesar Green」


ウィリアム・ジョッピー(William Joppy)のページ 

2024年11月1日金曜日

デビッド・イゾンリティ(David Izonritei)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

オリンピック・ヘビー級銀メダリスト。アリ・アレン戦、デビッド・トゥア戦、デリク・ジェファーソン戦を紹介します。

デビッド・イゾンリティ(David Izonritei)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

デビッド・イゾンリティ(ナイジェリア)

身長191cm:オースドックス(右構え)


デビッド・イゾンリティ 2R KO アリ・アレン

(ヘビー級4回戦、1995年)

イゾンリティ:左ジャブ、右ストレート、左フック

アレン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:左フックでアレンがダウン

(感想:イゾンリティはアマチュアで実績。バルセロナ・オリンピック(1992年)ではヘビー級で銀メダル。その大会で後にプロで活躍するデビッド・トゥア、カーク・ジョンソンを破っている(キューバのフェリックス・サボンに敗退)。フランスでプロデビュー。以来、全勝。アレン戦は初のアメリカでの試合。場所はアトランチックシティ。アレンはまだ経験が浅い選手だが、年齢は36(イゾンリティは27歳)。ジャブを連打するイゾンリティ。右ストレート、左フック。右ストレートをクロス気味に打つなど右パンチは悪くはないが、パンチのキレはそこそこ。スキンヘッドでガッチリした体のアレンは見た目は強そうだが、コチラも動き・パンチのキレがあまり感じられない。2R、右ストレートからの左フックでアレンがダウン。立てず、KO。イゾンリティが右パンチで勝利。最後のフィニッシュはそんなに強いパンチには見えなかったが、「重さ」があったか。ディフェンスができない相手だったため、結果は妥当なところ。アレンは次の試合もKO負けで引退。)


デビッド・トゥア 12R TKO デビッド・イゾンリティ

(WBCインターナショナル・ヘビー級タイトル戦、1996年)

イゾンリティ:左ジャブ、右ストレート、フック

トゥア:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

12R:左フックでイゾンリティがロープダウン

(感想:トゥアがタイトル防衛。アレン戦後も快調のイゾンリティだったが、モーリス・ハリスに判定で初黒星。トゥア戦は再起戦。WBC21位。王者のトゥアはサモア出身の強打者。後に世界王者になるジョン・ルイスを1RでKOしてインター王座獲得。これまで25戦全勝(21KO)。アメリカで行われた一戦。共にジャブ連打。イゾンリティは左を使いながら右を狙う。トゥアは前傾姿勢でダッキングしながらフック攻め(マイク・タイソン方式)。ハンドスピードはトゥアの方が速い。ただ、イゾンリティは動きのスピードには欠けるが、パンチの正確さがある。接近戦。互いにディフェンス。10R、トゥアの強烈な左フックがヒット。12R、イゾンリティをロープ際に追い込んで連打するトゥア。左フックでイゾンリティがロープダウン。ファイティングポーズを取るイゾンリティだが、ダメージ深くレフェリーストップ。トゥアが回転の速さ&強打で防衛。オリンピックでは負けたが、プロで雪辱。ただ、動きのスピードは同じぐらいだった印象。)


デビッド・イゾンリティ 8R TKO デリク・ジェファーソン

(ヘビー級戦、2000年)

イゾンリティ:左ジャブ、右ストレート、フック

ジェファーソン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

8R:右フックでジェファーソンがダウン

(感想:トゥア戦後、ルー・サバリースらを破ったイゾンリティだが、マイケル・グラントに敗北。その後、連勝。しかし、大きな試合は無し。これまで24勝(20KO)3敗。ジェファーソンは22勝(18KO)1分。バート・クーパーをTKOで破ったり、NABA王座を獲得したりといった実績。イゾンリティを破ったモーリス・ハリスをKOしたこともある。ニューヨークでの一戦。共に31歳。手数が多いジェファーソン。アップライトな姿勢でジャブ連打、右ストレート、フック連打、右アッパー、ボディ打ち。なかなか積極的ではあるが、手打ち気味。イゾンリティはどっしり構えてジャブ、右フック。パンチの打ち方は良いが、相手の手数に押され気味。接近戦では互いにフック攻撃。8R、もみ合いの中、イゾンリティが右フック。ダウンしたジェファーソンは立ったがダメージ深く、追撃されてフラフラになったところでレフェリーに止められた。イゾンリティが正確な強打で勝利。しかし、スタミナに欠けているような試合ぶりだった。ジェファーソンはよく頑張ってはいたが、パワーが乗らないうえに疲れる手打ちな打ち方だった。その後、ジェファーソンはウラジミール・クリチコのWBO世界ヘビー級王座に挑んだが、勝てず。イゾンリティは結局、世界戦をすることなくキャリアを終えた。銀メダリストにしては寂しい結果。) 


①「Heavyweight 

David Izonritei vs. Ali Allen」

②「WBC International Heavyweight Title

David Tua vs. David Izonritei」

③「Heavyweight 

David Izonritei vs. Derrick Jefferson」


デビッド・トゥア(David Tua)のページ 

ルスラン・チャガエフ(Ruslan Chagaev)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBA世界ヘビー級王者。ブライアン・ジョーンズ戦、ダニエル・フランク戦、ニコライ・ワルーエフ戦を紹介します。

ルスラン・チャガエフ(Ruslan Chagaev)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン)

身長180cm:サウスポー


ルスラン・チャガエフ 2R KO ブライアン・ジョーンズ

(ヘビー級戦、1997年)

チャガエフ:右ジャブ、左ストレート、左フック

ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート

(ダウンシーン)

2R:左フックでジョーンズがダウン

(感想:「White Tyson」と呼ばれたチャガエフ。「体格や顔つきがマイク・タイソンに似ている」ということから付けられたニックネーム(しかしながら、ズングリした感じで、あまりタイソンっぽくない。どちらかと言うとフランチェスコ・ダミアニに似た体型)。アマチュアで見事な成績、しかし、オリンピック(アトランタ、シドニー)ではメダル獲得ならず。アメリカでプロデビュー。ジョーンズ戦はプロ二戦目。ジョーンズはどんな選手なのだろう? ウィスコンシン州ミルウォーキー出身の黒人。負けが多い四回戦選手。見た目の体型がチャガエフと似ている。イリノイ州ローズモントでの一戦。アップライトな姿勢で左ジャブ、右ストレートのジョーンズ。太っているため動きの機敏さに欠け、ディフェンスもできていない。チャガエフはダッキングしながら前進。サウスポーながら、右フックではなく左フックを器用に当てる。2R、左フックでジョーンズがダウン。立てず、KO。結果は妥当なところ。チャガエフはしっかりジャブを使うタイプ。左フックを当てるのが巧い。この後、チャガエフはアマチュアのリングに。2001年に再びプロへ。ジョーンズはチャガエフ戦後、全敗だった。)


ルスラン・チャガエフ 2R KO ダニエル・フランク

(ヘビー級戦、2003年)

チャガエフ:右ジャブ、左ストレート、右フック

フランク:左ジャブ、右フック

(ダウンシーン)

2R:左ストレートでフランクがダウン

(感想:これまで6勝(5KO)1分のチャガエフ。フランクはブラジルの黒人で12勝(12KO)5敗1分。勝利は全てKOだが、直前の試合でサミュエル・ピーターに2RでKO負け。どんな選手なのか? ドイツ・ヴァンズベクで行われた試合。アップライトな姿勢で左ジャブを打つフランク。右フックは手打ち気味でディフェンスも甘い。チャガエフがブロックしながら1Rから左ストレートを当てる。1R終了後、両者エキサイトして小突き合う。2R、チャガエフが踏み込みの速い左ストレート。ダウンしたフランクは立てず、KO。チャガエフが完勝。見た目の体型の割りには速い動きだった。フランクは期待外れ。ジャブ以外はサッパリ。ブライアン・ジョーンズと同様の欠点があった。その後、フランクは勝ったり負けたり(当然?)。王座戦も経験したが、無冠に終わった。)


ルスラン・チャガエフ 12R 判定 ニコライ・ワルーエフ

(WBA世界ヘビー級タイトル戦、2007年)

チャガエフ:右ジャブ、左ストレート

ワルーエフ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:チャガエフがタイトル獲得。フランク戦後もドイツを主戦場に勝ち続けたチャガエフ。WBA・WBOインターコンチネンタル王座(ヘビー級)を獲得。ジョン・ルイスとWBA世界ヘビー級王座挑戦者決定戦を行い、2-1で勝利。この初の世界挑戦。王者ワルーエフはロシアの大巨人。身長213cm。180cmのチャガエフとは大きな体格差。ドイツ・シュトゥットガルトでの一戦。巨人ではあるが丁寧なボクシングをするワルーエフ。ジャブ、右ストレート。右フックでカウンターを取る器用さもある。チャガエフは距離を取りながらブロック&左ストレート作戦。残念ながら動きが鈍いワルーエフ。パンチはそれなりに速いが、隙がある。ワルーエフの右がヒットするシーンもあるが、チャガエフの左が時折ヒット。最終ラウンド終了時、チャガエフは勝利を確信した表情。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。 チャガエフが左で勝利。しかしながら、実に地味な勝ち方。ワルーエフは個性的ではあるが、「スピードのない世界王者」はやはり魅力に欠ける。その後のチャガエフ。王座防衛に成功したが、ウラジミール・クリチコにTKO負けを喫して初黒星。その後、決定戦でWBA王座返り咲き。「世界ヘビー級王者」にしては地味だったが、正確なパンチは評価に値する。)


①「Heavyweight 

Ruslan Chagaev vs. Brian Jones」

②「Heavyweight 

Ruslan Chagaev vs. Daniel Frank」

③「WBA World Heavyweight Title

Nikolai Valuev vs. Ruslan Chagaev」


ニコライ・ワルーエフ(Nicolay "The Russian Giant" Valuev) のページ