2025年3月28日金曜日

ネルソン・ディーパ(Nelson Dieppa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBO世界ライトフライ級王者。タイトル戦のウーゴ・カサレス戦(初戦・再戦)、ダニエル・レイジェス戦を紹介します。

ネルソン・ディーパ(Nelson Dieppa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ネルソン・ディーパ(プエルトリコ)

身長163cm:オーソドックス(右構え)


ウーゴ・カサレス 10R 負傷判定 ネルソン・ディーパ

(WBO世界ライトフライ級タイトル戦、2005年)

ディーパ:左ジャブ、右ストレート、フック

カサレス:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:カサレスがタイトル獲得。ディーパはプエルトリカン。1992年バルセロナ・オリンピックにライトフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロでは無敗のままWBCの地域王座(フライ級)獲得。日本でもおなじみカルロス・ムリージョに判定で初黒星。初の世界挑戦でWBO世界ライトフライ級王座を狙ったがノーコンテスト。その後、決定戦でアンディ・タバナスをKOして同王座獲得(2001年)。ケルミン・グアルディアらを相手に連続防衛中。挑戦者カサレスはメキシカン。ニックネームは「El Increible(驚くほどスゴイ奴)」。デビュー戦は引き分け。二戦目は判定負け。その後も不安定な状態が続いたが、経験を積んでNABO王座(L・フライ級)などを獲得。連勝の勢いで安定王者ディーパに挑戦。プエルトリコ・ハトレイでの一戦。共にガードを上げてジャブ、ストレート。共に力強い打ち方をするが、1Rから両者の違いが明らかに。オーバーライトハンド気味の大きな右フック、しゃくるような大きな左フックのディーパ。パワフルだが、力を込めすぎて単発な攻め。カサレスは勢いに乗った連打。ワンツーからの左フック、右フックからの左フック、そして右ストレートからの左ジャブといったテクニック。2R、相手を挑発するカサレス。左フックからの右ストレートをヒットさせる。その後も両者、思い切りのいい打ち方。しかし、勢い、パワー、手数でポイント上、カサレス優勢。6R、カサレスがサウスポーにスイッチしてワンツー。8R、9R、バッティングでディーパが負傷し、10Rにドクターチェック。負傷判定となり、新王者カサレス(ダウンシーンは無し)。粗いが、迫力のパンチでカサレスが勝利。勢いがあった。ディーパはパンチ自体は良かったが、狙いすぎ。力の加減ができればもっと競った内容になったはず。両者は後、同王座を懸けて再戦。)   


ウーゴ・カサレス 10R TKO ネルソン・ディーパ

(WBO世界ライトフライ級タイトル戦、2005年)

ディーパ:左ジャブ、右ストレート、フック

カサレス:ジャブ、ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:右フックでディーパがダウン

(感想:カサレスがタイトル防衛。立場を入れ替えて再戦。ディーパ(35歳。24勝(13KO)2敗1分1NC)は初戦後、判定で再起二連勝。カサレス(28歳。23勝(17KO)3敗1分)はディーパ戦後、三度の防衛に成功。プエルトリコ・カグアスでの一戦(ボブ・アラム「トップランク・ボクシング」。レフェリーは個性的な顔のロベルト・ラミレス)。ソンブレロをかぶって入場のカサレス。基本的な戦い方は初戦と同じだが、今回は初戦ほど攻めず。しかも、中途半端にサウスポーにチェンジ。ただ、オーソドックススタイルのときは力強いパンチ(「突き上げるかのような左フック、右ストレート、左フック」コンビネーションに迫力)。ディーパはワンツーなどを出すが、ディフェンスされて受け身に。2R、サウスポーにスイッチしたカサレスが右フックでディーパからダウンを奪う。これに手応えを感じたか、カサレスはサウスポーで攻めるシーンが多くなっていく。当てるテクニック&ディフェンスでカサレス優勢。6R、ディーパがジャブ、右ストレート、右フックで攻撃。しかし、正直なボクシングであるため、ディフェンスされる。8Rに右ストレートを食ったカサレス。9Rにオーソドックススタイルで力強い攻め。あっという間に追い込まれていくディーパ。10R開始前、ディーパがドクターチェック。ワンツーを打たれたところでレフェリーストップ。カサレスが当てるテクニックで勝利。ただ、サウスポースタイルよりオーソドックスの時の方が強いパンチ。サウスポーの軽いボクシングを長く続けたのは試合の迫力を削いだような気がする。ディーパは強いパンチを打っていたが、ディフェンスされた。その後のカサレス。イヴァン・カルデロンに敗れ、王座陥落。名城信男からWBA世界S・フライ級王座を奪取し、王座返り咲き。同王座をめぐって数度の来日。日本でもおなじみの選手となった。)


ダニエル・レイジェス 12R 判定 ネルソン・ディーパ

(WBAフェデラテン・ライトフライ級王座決定戦、2007年)

レイジェス:左ジャブ、右ストレート、フック   

ディーパ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:レイジェスがタイトル獲得。カサレスとの再戦にも敗れたディーパ。再起戦でレイジェスと対戦。レイジェスはコロンビア人。1996年アトランタ・オリンピックにフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではデビューから連戦連勝。しかし、初の世界挑戦でIBF世界ミニマム級王座を狙ったが判定負け、初黒星。その後、同王座獲得。しかし、二度目の防衛に失敗。イバン・カルデロンのWBO王座(ミニマム級)に挑戦したが、判定負け。再起二連勝でディーパと対戦。プエルトリコ・サンファンでの一戦。アウトボクサーのレイジェス。距離を取ってディフェンスしながらジャブ。ディーパは前進し、右ストレート、左フック。のらりくらりとした動きで相手の攻めをかわすレイジェス。そして右ストレートで反撃。意外にパワーがある。接近戦では互いにディフェンス。レイジェスは右ストレート、ディーパは左フックを時折ヒットさせる。試合は全般的にレイジェスがジャブ&ディフェンスでポイントを取っている印象。また、レイジェスにはワンツーからの左フック、左フックダブルなどの器用さ。12R終了。判定は僅差の2-1(ジャッジ三人が「115-113」。ダウンシーンは無し)。レイジェスがテクニックで勝利。エキサイティングな試合ぶりではなかったが、良いパンチを打つシーンもあった。ディーパはジャブが少な目。相手を追い込む工夫が足りなかった印象。その後の二人。レイジェスはWBOの暫定王座(ミニマム級)を獲得したが、初防衛戦でKO負け。安定しない王者だった。ディーパは再起戦でこの王座(WBAフェデラテン・ライトフライ級王座)獲得。しかし、その次の試合でイバン・カルデロンのWBO王座(ライトフライ級)に挑戦して判定負け、引退。レイジェスと似たようなキャリアとなった。)


①「WBO World Light Flyweight Title

Nelson Dieppa vs. Hugo Fidel Cazares」

②「WBO World Light Flyweight Title

Hugo Fidel Cazares vs. Nelson Dieppa」

③「vacant WBA Fedelatin Light Flyweight Title

Daniel Reyes vs. Nelson Dieppa」


ウーゴ・カサレス(Hugo "El Increible" Cázares)のページ

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イヴァン・カルデロン("Iron Boy" Ivan Calderón)のページ 

2025年3月22日土曜日

エディ・スマルダース(Eddy Smulders)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

欧州L・ヘビー級王者。ヒューバート・ジマーマン戦、ヤウェ・デービス戦、ルー・デル・バーレ戦を紹介します。

エディ・スマルダース(Eddy Smulders)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

エディ・スマルダース(オランダ)

身長186cm:オーソドックス(右構え)


エディ・スマルダース 2R KO ヒューバート・ジマーマン

(L・ヘビー級戦、1992年)

スマルダース:左ジャブ、右ストレート、フック   

ジマーマン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

1R:連打でジマーマンがロープダウン

2R:右カウンターでジマーマンがダウン

(感想:オランダの白人スマルダースは正統派。ニックネームは「Fast Eddy」(何が「速い」のだろう?)。ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)王座(L・ヘビー級)を獲得するなどこれまで全勝。ジマーマンはオランダ領キュラソー(カリブ海)出身の黒人。レスリー・スチュワート(トリニダード・トバゴ。後、WBA世界L・ヘビー級王者に)には敗れたが、IBFのインター王座(L・ヘビー級)を獲得した実績がある。キュラソーで行われた試合。1R、ややアップライトな姿勢から速いジャブ、ワンツーを打つジマーマン。スマルダースはジャブは少な目で右ストレート、左フック。接近戦では互いにクリンチ。右フックでグラついたジマーマン。スマルダースが左フックからの右ストレート、連打でダウンを奪う。その後、攻めるスマルダース、クリンチするジマーマン。2R、左フックで相手の懐に飛び込むジマーマンだが、右カウンターでダウン。立てず、KO。スマルダースが快勝。接近戦では共に粗いところを見せたが、スマルダースはコンビネーション、カウンター、ジマーマンはシャープなパンチに良さ。しかし、ジマーマンはこれが最後の試合となった。)


エディ・スマルダース 9R TKO ヤウェ・デービス

(欧州L・ヘビー級王座決定戦、1993年)

スマルダース:左ジャブ、右ストレート、フック

デービス:右ジャブ、左ストレート、フック

(感想:スマルダースがタイトル獲得。ジマーマン戦後も連勝のスマルダース(30歳)。オランダ王座(クルーザー級)を獲得した次の試合は欧州王座戦。デービス(31歳)はウガンダ・カンパラ出身の黒人サウスポー。1981年デビューのベテラン。キャリアは長いが、まだ王座を獲ったことがない。英連邦王座戦(L・ヘビー級)で判定負け、カール・トンプソン(後のWBO世界クルーザー級王者)にTKO勝ち、フランク・テートとのIBFインターコンティネンタル王座戦(L・ヘビー級)に判定負け。欧州王座決定戦(L・ヘビー級)で引き分け、その次の試合は再び決定戦。イタリア・カッシーノでの一戦。ボクサータイプのデービス。距離を取って右ジャブ、左ストレート、フック、左アッパー(同じウガンダの黒人サウスポー、アユブ・カルレに似たスタイル)。スマルダースは攻めの姿勢で右ストレート、左フック。ワンツーからの左ジャブといったテクニックも使用。互いにディフェンス。右パンチが強いスマルダースだが、空転。デービスがジャブでやや優勢。しかし、デービスはKOを狙って攻めるタイプではない(カルレもそうだった)。ただし、斜め上からの左ストレートに個性。5R、スマルダースの右ストレートがヒット。連打で攻勢。7R、デービスの左アッパー炸裂。8R、再びスマルダースが右強打&連打で優勢。9R、ダメージと疲労のデービス。コーナー付近で打たれたところでレフェリーストップ。スマルダースが右パンチで勝利。積極さで何とか相手のブロックを突破した。デービスは残念。アフリカのボクサーはクリーンなファイトをするが、これはプロボクシング。KOにつながる攻めをしないと逆にやられてしまう。スマルダースに勝てるだけの戦力を持ちながら負けてしまった。その後のデービス。好調。イタリア王座、WBCインター王座、欧州王座(全てL・ヘビー級)獲得。防衛にも成功。ただ、WBC世界L・ヘビー級王座挑戦者決定戦に敗れて世界挑戦はならず。闘争本能がもう少しあれば世界王者になっていたはず。)


ルー・デル・バーレ 8R TKO エディ・スマルダース

(WBA世界L・ヘビー級王座決定戦、1997年)

デル・バーレ:右ジャブ、左ストレート、フック

スマルダース:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:左ストレート、左フックで2度、スマルダースがダウン

7R:左ストレートでスマルダースがダウン

(感想:デル・バーレがタイトル獲得。ヤウェ・デービスに勝利して欧州王座(L・ヘビー級)を獲得したスマルダース。防衛に成功したが、ファブリス・ティオーゾにKO負け(初黒星)で王座陥落。再び欧州王座を獲得、連続防衛。そして、「WBA3位」としてこの初の世界挑戦。ターゲットは空位のWBA王座(WBO世界L・ヘビー級王者ダリウス・ミハエルゾウスキーがWBA王者バージル・ヒルとの統一戦で判定勝ち。ミハエルゾウスキーがWBA王座を返上したため、決定戦が行われることになった)。WBA1位のデル・バーレはニューヨーク州ロング・アイランド島出身。ニックネームは「Honey Boy」(ハニー?)。デビューから連勝。ニューヨーク州王座(L・ヘビー級)を獲得。バージル・ヒルのWBA世界L・ヘビー級王座に挑戦したが判定負け。その後、連勝で、同王座への二度目のチャレンジ。ドイツ・アーヘンでの一戦(レフェリーはジョン・コイル)。共に坊主頭。動きのスピードも同じくらい。派手な金色トランクスのデル・バーレがサウスポースタイルから右ジャブ、左ストレート。スマルダースは慎重な構えから右ストレートを出すが、1Rから左ストレートを食う。2R、ジャブ、右フックをヒットさせたスマルダースだが、左ストレートでダウン。さらに左フックでダウン。サウスポーに苦戦するスマルダース。接近するが、もみ合い、クリンチ。7Rにも左ストレートでダウン。8R開始早々、スマルダースが左ストレートを打たれたところでレフェリーストップ。デル・バーレが左パンチで勝利。スマルダースはスピード感に欠け、左強打の標的と化した。この試合の時点では全盛を過ぎていた。勢いのあった頃に世界挑戦できなかったのが残念。その後の二人。スマルダースは三連勝で引退。デル・バーレは次の試合でWBC王者ロイ・ジョーンズ・ジュニアと統一戦、判定負け。WBA王座奪回を目指したが、王者ブルーノ・ジラードに勝てず。ブランク後、カムバックしたが、世界戦は無かった。)


①「Light Heavyweight 

Eddy Smulders vs. Hubert Zimmerman」

②「vacant EBU Light Heavyweight Title

Eddy Smulders vs. Yawe Davis」

③「vacant WBA World Light Heavyweight Title

Lou Del Valle vs. Eddy Smulders」 


バージル・ヒル(Virgil "Quicksilver" Hill)のページ 

2025年3月19日水曜日

ミッケル・ケスラー(Mikkel Kessler)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界スーパーミドル級王者。テリー・クラーク戦、ジャン・ポール・ダレサンドロ戦、ディミトリ・サーティソン戦ほかを紹介します。

ミッケル・ケスラー(Mikkel Kessler)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ミッケル・ケスラー(デンマーク)

身長185cm:オーソドックス(右構え)


ミッケル・ケスラー 1R TKO テリー・クラーク

(ミドル級戦、1998年)

ケスラー:左ジャブ、右ストレート、フック   

クラーク:左ジャブ、右ストレート、左フック 

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでクラークがダウン、連打でロープダウン

(感想:ケスラーはデンマーク・コペンハーゲン出身の白人。ニックネームは「Viking Warrior(バイキングの戦士)」。アマチュアで43勝3敗。ヨーロッパの大会で優勝経験。プロ入り後、これまで4連勝(2KO)。アメリカ・アーカンソー州の黒人クラークは3連勝(2KO)。デンマーク・コリングで行われた若手対決。共にジャブ。ワンツーなどで積極的に手数を出すクラークだが、気合いが入りすぎてスリップダウン。ケスラーは左フックにパワーを込めるなど一発一発を強く打とうとする。右ストレートでクラークがダウン。立ったが、さらに連打でロープダウン。ダメージ深いと見て、レフェリーは試合を止めた。あっけなく終わった試合。1Rで終わるような雰囲気はなかったが、動きが大きいクラークにはディフェンスの隙があった。ケスラーはしっかりしたパンチを打っていた。クラークは次の試合にも敗北。以降の記録は無し。おそらく引退したのだろう。)


ミッケル・ケスラー 6R 判定 ジャン・ポール・ダレサンドロ

(ミドル級戦、1999年)

ケスラー:左ジャブ、右ストレート、フック   

ダレサンドロ:左ジャブ、右ストレート、フック 

(ダウンシーン)

(感想:12連勝(8KO)のケスラー(20歳)。ダレサンドロは37歳のフランス人で、19勝(9KO)16敗1分。勝ったり負けたりで安定しないキャリア。フランス王座(ウェルター級)獲得。ママドゥ・チャムらにTKO負けでJ・ミドル級王座は獲得ならず。直前の試合はオランダ・ロッテルダムで判定負け。コペンハーゲンでの一戦。前髪だけを残した妙な坊主頭のダレサンドロ。攻めの姿勢で右パンチ、左ボディ打ち。ただ、腰が入った打ち方ではない。ケスラーはブロックを固めワンツー、左ボディ打ち。互いにディフェンス。ジャブが多いケスラー。ワンツーを連続で出したり、右アッパーなどを入れたりするが、相手の前進に受け身に。そのため手数は多いが、パンチがやや軽め。最後まで前進のダレサンドロはディフェンスされがち。6R終了。判定は3-0。シャープなパンチで手数を出してケスラー勝利。上に行くにはもう少しパワーが欲しいところ。ダレサンドロは右パンチに強さがあったが、相手のディフェンスと手数に屈した。その後、ダレサンドロは全敗でキャリアを終えた。)


ミッケル・ケスラー 3R TKO チャールズ・ウィテカー

(ミドル級戦、2000年)

ケスラー:左ジャブ、右ストレート、フック   

ウィテカー:左ジャブ、右ストレート、フック 

(ダウンシーン)

3R:右ストレートでウィテカーがダウン

(感想:これまで14連勝(8KO)のケスラー。17勝(11KO)7敗のウィテカーはケイマン諸島ジョージタウン出身。「NBA Light Middleweight Title」なる王座を獲得したことがあるが、直前の試合はTKO負け。デンマーク・オールボーでの一戦。共にジャブ、ワンツー、振りの大きなフック。攻めるケスラー。ワンツーからの左フックがパワフル。ウィテカーは右フックで応戦するが、振りの大きいパンチは当たらない。3R、左フックからの右ストレートでウィテカーがダウン。立ったが、レフェリーは試合を止めた。ケスラーが攻めの姿勢で勝利。ややフックの振りが大きかったが、パンチにキレがあった。その後のウィテカー。連敗。スランプを抜け出し、WBAの地域王座、IBOインターコンティネンタル王座、NABO王座、全米王座(全てスーパーウェルター級)獲得。ただ、敗北もあって世界挑戦のチャンスは無かった。)


その後のケスラー

何と地元で6回戦試合を継続。その後、8回戦。全勝のままあのディンガン・トベラを決定戦で破ってIBA王座(スーパーミドル級)獲得。WBCインター王座(スーパーミドル級)獲得、連続防衛後、WBA王者に。WBC王座も獲得。しかし、WBO王者ジョー・カルザゲとの統一戦に敗北、初黒星。その再起戦でディミトリ・サーティソンとWBA王座決定戦。


ミッケル・ケスラー 12R TKO ディミトリ・サーティソン

(WBA世界スーパーミドル級王座決定戦、2008年)

ケスラー:左ジャブ、右ストレート、フック

サーティソン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

11R:右ストレートでサーティソンがダウン

12R:フック連打でサーティソンがダウン

(感想:ケスラーがタイトル獲得。これまで39勝(29KO)1敗のケスラーが再起戦。ややこしいWBA王座。ケスラーがカルザゲに奪われたのはWBA世界スーパーミドル級スーパー王座。再起戦でWBA世界スーパーミドル級レギュラー王座決定戦に出場。サーティソンはカザフスタン出身。ドイツに移住してアマチュアのリングへ。プロ入り後は22連勝(14KO)。タイトル戦はこれが初めて。デンマーク・ブレンビーでの一戦(共に29歳)。パワーアップしたケスラー。力強いジャブ、ワンツー。一撃で相手をKOするほどのパワーではないが、試合の主導権を取る力強さがある。サーティソンはジャブ、そして意表を突くようなタイミングで右ストレート、フック。ジャブは良いが、攻撃が全般的に雑で単発。そのためブロックされてしまう。ケスラーがワンツーからの左フックなどテンポの良い攻め。6Rには右アッパーを入れる。その後もケスラーがジャブで試合をリード。11R、速い連打からの右ストレートでサーティソンがダウン。12R、仕留めにかかるケスラー。フック連打でサーティソンがダウン。倒れると同時にレフェリーストップ。その後も倒れたまま担架で運び出されていった。ケスラーが力強いジャブで勝利。手数も多かった。サーティソンは攻めのリズムが悪かった。その後の二人。サーティソンは再起三連勝後、WBA世界スーパーミドル級王座を決定戦で獲得。防衛にも成功。ケスラーは再びWBC王者に返り咲くなどスーパーミドル級の中心選手であり続けた。)


①「Middleweight 

Mikkel Kessler vs. Terry Clark」

②「Middleweight 

Mikkel Kessler vs. Jean Paul D'Alessandro」

③「Middleweight 

Mikkel Kessler vs. Charles Whittaker」

④「vacant WBA World Super Middleweight Title

Mikkel Kessler vs. Dimitri Sartison」


ディンガン・トベラ("The Rose of Soweto" Dingaan Thobela)のページ 

2025年3月14日金曜日

アントニオ・ディアス(Antonio Diaz)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBAスーパーライト級王者。アイバン・ロビンソン戦、シェーン・モズリー戦、ハビエル・カストロ戦を紹介します。

アントニオ・ディアス(Antonio Diaz)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

アントニオ・ディアス(メキシコ)

身長175cm:オーソドックス(右構え)


アントニオ・ディアス 11R TKO アイバン・ロビンソン

(IBAスーパーライト級タイトル戦、2000年)

ディアス:左ジャブ、右ストレート、フック

ロビンソン:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ディアスがタイトル防衛。王者ディアスはメキシカン。「ボクシング兄弟」で、世界王者になったフリオ・ディアスの兄。主戦場はアメリカ。判定負けがデビュー当初にあったが、勝つコツをつかみ連勝。判定でIBA王座獲得。コーリー・スピンクスらを相手に王座を連続防衛中。挑戦者ロビンソンは全米王座、北米王座(いずれもライト級)を獲得している実力者ではあるが、フィリップ・ホリデイのIBF世界ライト級王座への挑戦は判定負けに終わっている。ラスベガスでの一戦。共にジャブ。ロビンソンは距離を取ってジャブ、ワンツーからの左フックといったコンビネーション。ディアスはパワー。距離を詰め、右ストレート、右フック、左ボディ打ち。互いにディフェンス。手数を出すロビンソンだが、ディアスがパワーで優勢か? 6R、ディアスの右ストレートがヒット。その後、左フックで目を痛めるなどロビンソンは押され気味になり、11Rに連打を浴びてレフェリーストップ。ディアスが力強い攻めで勝利。一発で倒すタイプではなく、ひたすら前進して相手にプレッシャーをかけ続けた。ロビンソンは良い選手。しかし、決め手に欠けるところがあった。その後、ロビンソンはフリオ・セサール・チャベスに敗北するなど勝ったり負けたり。チャベスはその次の試合にTKO負けで引退。ロビンソンは「チャベスの最後の勝利」の相手となった。)


シェーン・モズリー 6R TKO アントニオ・ディアス

(WBC世界ウェルター級タイトル戦、2000年)

ディアス:左ジャブ、右ストレート、フック

モズリー:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:右フックでディアスがダウン

6R:ワンツー、右フックで2度、ディアスがダウン

(感想:モズリーがタイトル初防衛。ディアスが次のステージへ。王者モズリーはカリフォルニア出身の黒人パンチャー。これまで全勝。IBF世界ライト級王座を連続防衛後、オスカー・デラ・ホーヤからWBC世界ウェルター級王座奪取。これが初防衛戦となる。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦(レフェリーは大ベテランのアーサー・マーカンテ。翌年、引退)。1R開始から左フックをヒットさせるなどモズリーが驚異的なハンドスピードを披露。左のガードを下げた構えからのジャブ、ワンツーも速くてパワフル。時折サウスポーにスイッチしたりする。ディアスはガードを上げ、左を使いながら前進。右ストレート、左フック出すが、動きとパンチのスピードで相手と差が。2R、右ストレートからの右フックでディアスがダウン。その後もディアスはワンツー、ボディ連打、右ストレートからの左ジャブをいったテクニックを使うが、モズリーが瞬発力で優勢(ワンツー、右クロスに速さ)。5R、モズリーが回転の速い連打。6R、ワンツーでディアスがダウン。立ったが連打を浴び、右フックで二度目のダウン。それと同時にレフェリーストップ。モズリーがスピード&パワーで快勝。ディアスは頑張る選手であるが、モズリーとはスペックが違う。速いうえにパワーがあるモズリーの独壇場だった。しかしながら、モスリー。バーノン・フォレストに敗れ、王座陥落。デラ・ホーヤとの再戦でWBC世界スーパーウェルター級王座獲得、三階級制覇。しかし、この試合でドーピング発覚。いつからドーピングに手を出し始めたのかはわからないが、ディアス戦もそうだったとしたら試合の評価を変えなければならない。)


その後のディアス

モズリー戦後、連勝。しかし、アントニオ・マルガリートと空位のWBO世界ウェルター級王座を争ったがTKO負け(2002年。結局、それが最後の世界戦に)。ブランク、カムバック。WBOの地域王座(スーパーウェルター級)を獲得(2008年)。ハビエル・カストロと復帰四戦目。


アントニオ・ディアス 10R 判定 ハビエル・カストロ

(ウェルター級戦、2009年)

ディアス:左ジャブ、右ストレート、フック

カストロ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:メキシコの新旧対決。ディアスはこれまで44勝(27KO)5敗1分。カストロは18勝(17KO)1敗で、WBCの地域王座(スーパーライト級)を獲得したことがある。ティファナでの一戦。共に力強い打ち方。ジャブ、右ストレート、左フック。互いの強打が1Rからヒット。接近戦ではボディ攻撃。しかしながら、パンチを当てる巧さで若干ディアスが上の印象。9R、カストロがローブローで減点。全般的に一進一退の試合内容で、互いに譲らず10R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。パンチの正確さでディアス。カストロはやや振りが大きい打ち方だった。その後の二人。ディアスは次の試合に敗れ、事実上のラストファイトに。カストロはWBOの地域王座(スーパーライト級)に挑戦して敗北するなど中堅どころにとどまった。)


①「IBA Super Lightweight Title

Antonio Diaz vs. Ivan Robinson」

②「WBC World Welterweight Title

Shane Mosley vs. Antonio Diaz」

③「Welterweight 

Antonio Diaz vs. Javier Castro」


シェーン・モズリー(Shane Mosley)のページ 

2025年3月12日水曜日

グリゴリー・ドロスト(Grigory Drozd)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC世界クルーザー級王者。世界王者になる前の試合。パベル・メルコムヤン戦、ファビオ・ガリード戦ほかを紹介します。

グリゴリー・ドロスト(Grigory Drozd)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

グリゴリー・ドロスト(ロシア)

身長186cm:オーソドックス(右構え)


グリゴリー・ドロスト 5R KO パベル・メルコムヤン

(クルーザー級戦、2006年)

ドロスト:左ジャブ、右ストレート、フック

メルコムヤン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:右ストレートでドロストがダウン

4R:左フックでメルコムヤンがダウン

5R:左フックでメルコムヤンがダウン

(感想:ロシアのドロスト。空手、ムエタイをやっていたが、ボクシングにも関心。アマチュアを少し経験し、プロへ。モスクワでデビュー。これまで全勝。ローカル王座、ロシア王座(いずれもクルーザー級)を獲得。アメリカでIBOインターコンティネンタル王座(クルーザー級)獲得。スイスでTKO勝ち。その次は初のドイツでの試合。メルコムヤンもまたロシア人。コチラはドイツが主戦場。デビューから全勝でWBAインターコンティネンタル王座(クルーザー級)獲得。防衛にも成功している。ドイツ・ミュンヘンでのロシア対決。足で距離を取るドロスト。接近してくる相手に細かいジャブ、ショートフック、左ボディ打ち。スケールが小さいボクシングであるが、攻撃が正確で手数が多い。また、時折見せる右アッパーからの左フックにパワー。メルコムヤンは動きが重い。右ストレートにパワーを込めるが、ジャブが少ない。2R、ノーモーションの右ストレートでドロストがダウン。立ったドロストは手数&クリンチで対応。メルコムヤンはゴツい右ストレート、左フックで攻める。3R、バッティングでメルコムヤンがキズのドクターチェック。その後、特に粗い攻撃をしたわけではないが、ドロストがバッティングとローブロー(?)で二度減点(ヨーロッパは反則に厳しい)。4R、連打されてメルコムヤンのマウスピースが落下。ドロストが右フックからの左ボディ打ち。左フックでメルコムヤンのマウスピースが再び落下。そして左ボディからの左フックでメルコムヤンがダウン。5R、左フックでメルコムヤンがダウン、10カウント。ドロストが快勝。いいパンチを食ってダウンしたが、コンビネーションがよく出ていた。メルコムヤンは残念。ジャブが少ない。そのため隙があった。その後、メルコムヤンはWBCインター王座決定戦でTKO負け。世界挑戦することなくキャリア終了。)


グリゴリー・ドロスト 3R TKO マウロ・アドリアン・オルディアレス

(WBCインターナショナル・クルーザー級王座決定戦、2006年)

ドロスト:左ジャブ、右ストレート、フック

オルディアレス:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

1R:左フックでオルディアレスがダウン

(感想:ドロストがタイトル獲得。メルコムヤン戦の次の試合もドイツ。オルディアレスはアルゼンチンの選手で17勝(16KO)1敗。WBOの地域王座(クルーザー級)を獲得したことがある。ドイツ・オーバーハウゼンでの一戦。1R、ダッキングしながら前進し、ジャブ、ワンツー、左フックのドロスト。オルディアレスは足とジャブで距離を取って右ストレート、左フック。左フックがカウンターとなってオルディアレスがダウン。KOになるようなダウンではなかったが、1Rから右眉付近をカット。その後、共にワンツー、左フック。ドロストがボディ打ちに巧さを見せる。3R、ドロストが強烈な左フック。一気に連打してレフェリーストップ。ドロストが獰猛さと爆発力を見せて圧勝。身体全体のパワーで上回った。その後、オルディアレスはIBFのインター王座戦など数度の王座戦のチャンスがあったが勝てず。)


その後のドロスト

オルディアレス戦の次の試合はWBA世界クルーザー級挑戦者決定戦。これにTKO負け、初黒星。決定戦でWBOアジア王座(クルーザー級)獲得。メルコムヤン戦からドイツを主戦場にしてきたが、またロシアへ。連勝、ブランク。


グリゴリー・ドロスト 1R TKO ファビオ・ガリード

(クルーザー級戦、2012年)

ドロスト:左ジャブ、右ストレート、フック

ガリード:左ジャブ、右フック

(感想:ブランクがあったドロスト。再起二連勝でこの試合。ガリードはブラジル・サンパウロ出身の黒人。ブラジル王座(ライトヘビー級)を獲得したことがある。モスクワでの一戦。ジャブ、ワンツーのドロスト。正直なところ、パンチにキレがない。しかし、右をヒットさせ、後退するガリードに連打。セコンドからタオル投入。あっけなく試合終了。ドロストが右で勝利。キレがあまり無いように見えたが、たぶん、重いタイプのパンチだっただろう。左ボディ打ちは相変わらずの巧さだった。ガリードはまだ続行できたように映像では見えたが、セコンドは「棄権」の判断。コンディションが良くなかったのかも。その後の二人。ガリードは次の試合でWBAの地域王座に挑戦したがKO負け。中堅どころにとどまった。ドロストは欧州王座(クルーザー級)を獲得するなど勝ち続け、WBC世界クルーザー級王者に。防衛にも成功。結局、敗北は2006年のWBA世界クルーザー級挑戦者決定戦のみ。細かいが、巧さとパワーがある「理に適ったボクシング」をする男だった。)


①「Cruiserweight 

Grigory Drozd vs. Pavel Melkomyan」

②「vacant WBC International Cruiserweight Title

Grigory Drozd vs. Mauro Adrian Ordiales」

③「Cruiserweight 

Grigory Drozd vs. Fabio Garrido」

 

2025年3月8日土曜日

エイドリアン・ドッドソン(Adrian Dodson)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBOスーパーミドル級王者。ロナルド・ライト戦、イスラエル・ポンセ戦、ラモン・ブリテス戦を紹介します。

エイドリアン・ドッドソン(Adrian Dodson)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

エイドリアン・ドッドソン(ガイアナ)

身長178cm:サウスポー


ロナルド・ライト 7R TKO エイドリアン・ドッドソン

(WBO世界J・ミドル級タイトル戦、1997年)

ドッドソン:右ジャブ、左ストレート、フック   

ライト:右ジャブ、左ストレート、フック   

(感想:ライトがタイトル防衛。ガイアナの首都ジョージ・タウン出身の黒人サウスポー、ドッドソン。ソウル・オリンピック(1988年)にはガイアナ代表としてライトウェルター級で出場し、1992年のバルセロナ・オリンピックには英国代表としてウェルター級で出場。しかし、いずれもメダルは獲得ならず。プロデビュー以来、英国を主戦場にロイド・ハニガンを破ったり、WBOのインターコンティネンタル王座(J・ミドル級)を獲得、連続防衛したりと好調。これまで18連勝(14KO)。「WBO1位」として全勝の勢いでライトに挑戦。ライト(ワシントンD.C.出身)もまた黒人サウスポー。これが三度目の防衛戦。ロンドン・ミルウォールでの一戦。共にサウスポーで似たタイプ。長い右ジャブ、左ストレート、フック。ディフェンスしながら1R開始から手数が多い打ち合い。一進一退の好勝負。しかし、ジャブを食ってドッドソンの左目が腫れていく。それでも前進してフック攻撃をするドッドソンだが7R終了後、ドクターストップ。ライトがジャブで勝利。丹念な攻撃で勝利をモノにした。ドッドソンはよく頑張ったが、王者のしたたかさにやられた。その後のライト。次の防衛戦でWBO王座陥落。決定戦でIBF王者に。IBF王座連続防衛後、シェーン・モズリーとのWBA・WBC・IBF世界J・ミドル級王座統一戦に勝利(2004年)。獲得した王座はJ・ミドル級のみだったが、名のある選手と多くの試合をした。)


エイドリアン・ドッドソン 2R KO イスラエル・ポンセ

(スーパーミドル級6回戦、1998年)

ドッドソン:右ジャブ、左ストレート、フック   

ポンセ:左ジャブ、右ストレート、左フック 

(ダウンシーン)

1R:左ストレートでポンセがダウン

2R:右フックでポンセがダウン

(感想:ライトに敗れたドッドソンの再起二戦目。ポンセはプエルトリコ出身で、7勝(3KO)8敗。デビュー二戦目でフェリックス・トリニダードと対戦し、KOされている。アトランチックシティでの一戦。1R、サウスポーのドッドソン。個性的なトランクス(横に「ヒラヒラ」が付いている)で、ナジーム・ハメドのようなトリッキーな動きから右ジャブ、左ストレート。ポンセはシャープなワンツー、左フックを打つバランスの良い選手だが、左ストレートでダウン。2Rには右フックで二度目のダウン。立てず、KO。階級を上げたドッドソンがハメドっぽく勝利。ポンセは悪い選手ではなかったが、パンチが軽めだった。その後、ポンセはミッケル・ケスラーにKOされるなど中堅どころでキャリア終了。)


その後のドッドソン

ムプシュ・マカンビと空位のIBOミドル級王座を争ったが、KO負け。同王座を懸けたマカンビとの再戦にTKOで敗北。連勝後、英連邦王座決定戦(ミドル級)にも敗北。一定の実力はあるが、それ以上にはなれない状況。決定戦でIBOのスーパーミドル級王座獲得。ラモン・ブリテスと初防衛戦。


ラモン・ブリテス 5R KO エイドリアン・ドッドソン

(IBOスーパーミドル級タイトル戦、2001年)

ドッドソン:右ジャブ、左ストレート、フック   

ブリテス:右ジャブ、左ストレート、フック   

(ダウンシーン)

5R:連打でドッドソンがダウン

(感想:ブリテスがタイトル獲得。これまで25勝(17KO)4敗のドッドソン(30歳)が初防衛戦。挑戦者ブリテス(35歳)はアルゼンチンの選手。30勝(21KO)12敗1分。デビューから二連敗。アルゼンチン王座戦、南米王座戦(いずれもスーパーミドル級)に敗北。勝ったり負けたりの後、アルゼンチン王座、WBOの地域王座(いずれもミドル級)獲得。このところ二連勝でドッドソンに挑戦。英国ウェンブリーでの一戦。共にサウスポー。互いに右ジャブ、左ストレート、右フック。似たタイプだが、違いが。手数のドッドソン。ブリテスはしっかり当てていこうとするスタイルで左ストレートに伸びとパワー。巧さはあるが、パワーに欠けるドッドソン。4Rに左フックを食ってピンチ。5R、大きな右フックを振るうドッドソンだが、ワンツーが効いた。連打でダウンし、10カウント。ブリテスが堅実なボクシングで勝利。ストレートに強さ。ドッドソンは残念。アウトボクシングに徹するべきだった。その後の二人。ブリテスは初防衛戦で1RでKO負け。その後も地域王座戦に出場したが、負けが込むようになっていった。ドッドソンはこれが事実上のラストファイト。後、4回戦でカムバックしたが判定負け。プロはパワーで勝負する世界。パワーがないと相手を止めることができないうえに相手を強気にさせてしまう。巧さはあったが、パワー不足だったのが惜しい。)


①「WBO World Super Welterweight Title

Ronald Wright vs. Adrian Dodson」

②「Super Middleweight 

Adrian Dodson vs. Israel Ponce」

③「IBO Super Middleweight Title

Adrian Dodson vs. Ramon Arturo Britez」


ロナルド・ライト(Ronald "Winky" Wright)のページ 

2025年3月6日木曜日

フロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界五階級制覇王者。デビュー戦&初の世界挑戦。ロベルト・アポダカ戦、ミゲル・メロ戦、ヘナロ・エルナンデス戦を紹介します。

フロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フロイド・メイウェザー・ジュニア(アメリカ)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


フロイド・メイウェザー・ジュニア 2R TKO ロベルト・アポダカ

(ライト級戦、1996年)

メイウェザー:左ジャブ、右ストレート、フック

アポダカ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

1R:左ボディでアポダカがダウン

2R:左ボディでアポダカがダウン

(感想:ミシガン州出身のメイウェザー・ジュニア。「ボクシング一族」で父はフロイド・メイウェザー・シニア、叔父はロジャー(世界二階級制覇)とジェフ。本名は「フロイド・ジョイ・シンクレア」。幼い頃はかなり悲惨。貧しいうえに治安が悪く、薬物が蔓延しているような環境。父シニアはボクサーとしての活動とは別に「麻薬の売人」という裏の顔。シニアからの暴力。母も薬物中毒。ジュニアは高校を中退し、ボクサーの道へ。1996年のアトランタ・オリンピックにはフェザー級で出場。銅メダルを獲得したが、内容で勝っていたにもかかわらず負けにされた不本意な結果だったという。ボブ・アラム「トップランク」と契約してプロ転向。ファイトマネーは2500ドル。アポダカはメキシカン。こちらもこれがデビュー戦。ラスベガスでの一戦(レフェリーはケニー・ベイレス)。1R、共にスリムな身体からジャブ。黒のトランクスのメイウェザーは構え方、足のスタンスが叔父ロジャーによく似ているが、パンチの打ち方はそうでもない。ワンツー、左フックで攻めるメイウェザー。アポダカは右ストレートを出すが、メイウェザーはダッキングや腕を使ってディフェンス。そして左ボディでアポダカがあっけなくダウン。その後もメイウェザーが隙を突くパンチ、連打。2R、左ボディでアポダカがダウンし、悶絶。レフェリーは試合を止めた。メイウェザーが当てる巧さで勝利。やや強引な攻めもあったが、相手の動きが見えていたのだろう。アポダカは早々にボディが効いてしまった。その後、アポダカは数試合やって引退。プロでの勝利は一つだけだった。)


フロイド・メイウェザー・ジュニア 3R TKO ミゲル・メロ

(ライト級戦、1998年)

メイウェザー:左ジャブ、右ストレート、フック

メロ:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:右ボディ連打でメロがダウン

3R:左ボディでメロがダウン

(感想:連勝を続けるメイウェザー。WBCのJ・ライト級12位にランク。メロはドミニカの選手。アマチュアでは200戦以上(らしい)。プロではデビューから連勝でアメリカのローカル王座を獲得したが、判定で初黒星。再起戦でメイウェザーと勝負。コネチカット州マシャンタケットでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはスティーブ・スモーガー)。1R、ブルーのトランクスのメイウェザー(メロは赤)。左のガードを下げた構えでディフェンスしながらジャブ、ストレート、フック。メロもガードを下げ、ジャブ、ストレート、振りが大きいフック。しゃがむような体勢でメイウェザーのパンチをかわしてレフェリーから注意(反則?)。接近戦でのフックでの打ち合い。メイウェザーはジャブ、ストレートに伸びと正確さがあり、左ボディ打ちに強さ。メロは距離を取る。2R、メイウェザーが左ボディからの右ストレート。右ボディ連打でメロがダウン。立ったメロはボディ連打で反撃するが、メイウェザーは独特のブロッキング(右手を顔の横に付け、左手でボディをガード)。3Rも接近戦。強烈な左フック、そして左ボディでメロがダウン。立ったが、戦意喪失でレフェリーストップ。メイウェザーが良い勝ち方。ストレート、フックにキレとパワー、そしてブロッキング。メロは中途半端。攻めたり、距離を取ったり。また、振りの大きいパンチは隙も大きかった。当てる巧さがあるメイウェザーにとってこの結果は当然だったか。メロはこれが最後の試合に。)


フロイド・メイウェザー・ジュニア 9R TKO ヘナロ・エルナンデス

(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1998年)

メイウェザー:左ジャブ、右ストレート、フック

エルナンデス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:メイウェザーが初の世界タイトル獲得。全勝のままメイウェザーが初の世界挑戦。王者は経験のある実力者。エルナンデスはメキシコ系アメリカ人。帝拳ジムとプロモート契約をし、日本のリングにも登場。ダニエル・ロンダを決定戦でTKOに下してWBA世界J・ライト級王座獲得。連続防衛後、オスカー・デラ・ホーヤのWBO世界ライト級王座に挑戦したが、鼻を負傷して初黒星。アズマー・ネルソンに判定勝ちしてWBC世界J・ライト級王座獲得。これが四度目の防衛戦。単に世界戦に勝ってきただけではなく、背が高く(身長180cm。シュガー・レイ・レナード、マイク・タイソンは178cm)、懐が深いボクシングをする強味がある。まだ経験が浅いメイウェザーがその「やりにくさ」を克服できるかどうか? ラスベガス「ヒルトン」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはジェイ・ネイディ。メイウェザーのセコンドに父シニア、叔父ジェフ、ミゲス・ディアス)。1R、左フック、右ストレートでエルナンデスが先制攻撃。そしてブロックしながら定評のあるジャブ&左のテクニック。メイウェザー(この頃はまだ少年のような顔立ち)はジャブ、ストレート、左フック。右ストレートに速さ、左フックに強さがあるが、ブロックされる。2R、メイウェザーが勢い余ってエルナンデスを押し倒す。次第に勢いでメイウェザー。エルナンデスは特に酷く打たれたわけではないが受け身に(元々慢性的に右拳の不調があり、デラ・ホーヤ戦で鼻を負傷。強い選手だが、故障がちで本来の力を発揮できない試合をしてしまうことがよくあった)。7R、激しい打ち合い。エルナンデスが左ボディ打ち、メイウェザーはワンツー、フック連打。8R終了後、エルナンデスが棄権して試合終了(ダウンシーンは無し)。メイウェザーが攻めの姿勢で勝利。関係者に祝福され、感動の王座奪取となった。エルナンデスは余力を残して敗北(デラ・ホーヤ戦と似た棄権。おそらく鼻が原因)。打ちのめされる前にリタイアするのがエルナンデスの美学か。これが最後の試合に。メイウェザーのその後の活躍は説明不要。世界五階級制覇を達成したが、「全勝のまま五階級制覇」は史上初。結局、全勝で引退。その後も特別試合などで大金を稼ぎ続けている。ただ、プライベートではトラブル。幼少期のトラウマなどが原因なのだろうが、格闘家は引退後の人生の方が長い。これからも何かと話題になりそうである。)


①「Lightweight 

Floyd Mayweather Jr vs. Roberto Apodaca」 

②「Lightweight 

Floyd Mayweather Jr vs. Miguel Melo」 

③「WBC World Super Featherweight Title

Genaro Hernandez vs. Floyd Mayweather Jr」


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