IBF世界クルーザー級王座を獲得したアーサー・ウィリアムス、イマム・メイフィールド、ワシリー・ジロフを紹介します。
アーサー・ウィリアムス(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)
イマム・メイフィールド(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)
ワシリー・ジロフ(カザフスタン)
身長188cm:サウスポー
①アーサー・ウィリアムス 12R 判定 スティーブ・リトル
(全米クルーザー級タイトル戦、1997年)
ウィリアムス:左ジャブ、右ストレート、左フック
リトル:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ウィリアムスがタイトル防衛。王者ウィリアムスはフロリダ州ペンサコーラ出身の黒人で、これまで26勝(20KO)4敗1分。IBFでは4位、WBOでは12位にランク。オーリン・ノリスのWBA世界クルーザー級タイトルに挑戦してKOされた過去がある。挑戦者リトルはペンシルベニア州フィラデルフィア出身の黒人で、25勝(6KO)15敗2分。有力選手には敵わない状態が続いたが、マイケル・ナンを番狂わせで破ってWBA世界S・ミドル級タイトル獲得。ただし、器用なタイプではないため、初防衛に失敗している。ペンシルベニア州ブッシュキルでの一戦。ボクサータイプのウィリアムスがジャブ、ワンツー。リトルはガードを上げ、ややマイク・タイソンっぽい動きで前進し、右ストレート、左フックを打っていく。接近戦。フックで打ち合うが、互いに振りが大きいためクリーンヒットは少ない。ジャブで先手を取るウィリアムス。ジャブが少ないためパンチが当たらないリトル。4R、6R終了時、互いにゴング後に手を出す。11R、リトルがローブローで減点。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。フックで打ち合うシーンもあったが、結局はウィリアムスがジャブ、ワンツーで勝利。左フックはリトルの方が巧くて強かったが当たらず。ジャブを使っていれば違う結果になっていたかも。後、ウィリアムスはイマム・メイフィールドにTKO勝ちしてIBF世界クルーザー級王座を獲得。リトルは一敗一分で引退。)
②ホルヘ・カストロ 9R TKO イマム・メイフィールド
(クルーザー級戦、2001年)
カストロ:左ジャブと左右フック
メイフィールド:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:「IBF世界クルーザー級挑戦者決定戦」として行われた試合。メイフィールドはニュージャージー州フリーホールド出身の黒人で、これまで21勝(17KO)3敗4分。ユーライア・グラントを判定で下してIBF世界クルーザー級王座を獲得したが、アーサー・ウィリアムスに王座を奪われた。カストロはアルゼンチンの選手で118勝(82KO)7敗3分。元WBA世界ミドル級王者で、WBC世界クルーザー級王座に挑戦したが敗北。日本のファンには「竹原慎二にWBA王座を奪われた男」と言った方がわかりやすいかもしれない。アルゼンチン・ブエノスアイレスでの一戦。ミドル級時代と比べて随分ずんぐりした体型になったカストロ。髪を金髪に染めて後頭部には何やら文字が書かれている。身長差があり、背が高いメイフィールドは距離を取ってジャブ。小さいカストロは接近して左右フックを当てようとする。良い右ストレートを持っているメイフィールドだが、カストロの攻めに押され気味。8R、ボディを攻めるカストロ。8R終了後、メイフィールドが棄権。理由は不明(ダウンも無ければ、大きくダメージを受けるシーンも無かったように見えた)。勝利したカストロ。ディフェンスのテクニックはあったが、クルーザー級としてはそれほどパワーは感じられなかった。一方、体格で勝っているにもかかわらず受け身の姿勢で負けたメイフィールド。クルーザー級に人気が無いのはそういうところなのかもしれない。カストロはIBF世界クルーザー級王座への挑戦権を獲得したが、王者ワシリー・ジロフに3-0の判定で敗れ、二階級制覇ならず。メイフィールドはヘビー級に転向したが通用せず。)
③ワシリー・ジロフ 2R TKO ゲシス・メサナ
(クルーザー級8回戦、1997年)
ジロフ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
メサナ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:左ボディフック、右フックで2度、メサナがダウン
(感想:ジロフはカザフスタン・バルカシュ出身のサウスポー。1996年のアトランタ・オリンピックに出場し、ライトヘビー級金メダル。プロではアメリカを主戦場にこれまで6連勝(6KO)。メサナはエチオピアの選手で5勝(4KO)6敗1分。アトランチックシティ「Trump Taj Mahal」での一戦。左右のスタイルの違いはあるが、共にジャブ。ジロフは手数で勝負する器用なタイプ。左右フックでのボディ打ちも巧い。2R、メサナが二度のダウン。立ったが、連打を浴びて後退したところでレフェリーストップ。ジロフが正確なパンチで勝利。メサナは弱い選手という感じはしなかったが、打たれ弱さがあった。その後も敗北が多く、「かませ犬」的なポジションのキャリアだった。)
④ワシリー・ジロフ 7R TKO アーネスト・マティーン
(クルーザー級戦、2003年)
ジロフ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
マティーン:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
3R:左ボディフックで3度、マティーンがダウン
(感想:これまで31勝(27KO)1敗のジロフ。アーサー・ウィリアムスに勝ってIBF世界クルーザー級王座を獲得したがジェームズ・トニーに敗れ、王座陥落。これが再起戦となる。マティーンは27勝(9KO)10敗3分で、クルーザー級のマイナー王座を獲得したこともある中堅どころ。カリフォルニア州テメクラでの一戦(リングサイドでジェームズ・トニーが観戦)。共にジャブを使うが、パンチを当てる巧さはジロフ。3R、左ボディでマティーンが三度ダウン。このまま終わるかと思われたが、5Rにマティーンがワンツーからの左フックなどで反撃。7R、ジロフの右フックでマティーンのマウスピースが落下。左目を負傷したマティーンの状態を見て、レフェリーは試合を止めた。キズで勝利したジロフ。きびきびした打ち方をしており、集中力でマティーンを上回った。後、ジロフはヘビー級に転向したがマイケル・モーラーらに敗れ、二階級制覇ならず。クルーザー級が彼にとって調度いいクラスだったようだ。マティーンは次の試合(決定戦)でユーライア・グラントをTKOで下して「IBU」なる団体の「世界クルーザー級王座」を獲得し、事実上のキャリア終了。)
①「USBA Cruiserweight Title
Arthur Williams vs. Steve Little」
②「Cruiserweight
Imamu Mayfield vs. Jorge Castro」
③「Cruiserweight
Vassiliy Jirov vs. Gesses Mesgana」
④「Cruiserweight
Vassiliy Jirov vs. Ernest Mateen」