2024年10月25日金曜日

ラブモア・ヌドゥ(Lovemore N'dou)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界S・ライト級王者。グスタボ・ファビアン・クエロ戦、ファン・アンヘル・マシアス戦、ポール・マリナッジ戦(初戦)を紹介します。

ラブモア・ヌドゥ(Lovemore N'dou)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ラブモア・ヌドゥ(オーストラリア)

身長173cm:オースドックス(右構え)


ラブモア・ヌドゥ 10R 判定 グスタボ・ファビアン・クエロ

(ライト級戦、1999年)

ヌドゥ:左ジャブ、右ストレート、フック

クエロ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:「The black panther(黒豹)」と呼ばれたヌドゥ。南アフリカ共和国出身。「ラブモア」とは変わった名だが、本名。アマチュアで66勝2敗。ヨハネスブルグでプロデビュー。取りこぼしもあったが、主戦場をオーストラリアに移して以来、連勝中。これまで25勝(16KO)2敗1分。クエロはアルゼンチンの選手で22勝(13KO)9敗2分。南米スーパーフェザー級王座を獲得したことがあるが、フロイド・メイウェザー・ジュニアに判定負けするなどこのところは勝ったり負けたり。オーストラリアのトゥイード・ヘッズでの一戦。パワーと伸びのあるジャブを打つヌドゥ。踏み込みの速いワンツー、左ボディ打ち、右アッパー。クエロはファイタータイプ。ジャブを使いながら接近してフック連打、ボディ打ち。両者共に力強さ。接近戦ではちょっと荒れてレフェリーからクリーンファイトを求められるシーンも。6R、ヌドゥが大きく豪快な右フック。10R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ヌドゥのジャブが評価されたと思われる。ヌドゥは接近戦もできるが、離れた距離の方が良いパンチを打つ印象。一方、判定に納得していない表情を見せたクエロ。よく前に出ていたため、その気持ちはよくわかる。しかし、意外なことにその後は負けが続いてキャリアを終えた。)


ラブモア・ヌドゥ 1R TKO ファン・アンヘル・マシアス

(ライト級戦、2000年)

ヌドゥ:左ジャブ、右ストレート、左フック

マシアス:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:クエロ戦後、判定負けを喫したヌドゥ。これが再起戦。マシアスはメキシカン。デビュー以来、連戦連勝だったがこのところは勝ったり負けたり。NABO王座(ライト級、スーパーフェザー級)挑戦は、いすれもTKO負け。オーストラリア・ウロンゴンでの一戦。共に速いジャブ。右ストレート、左ボディ打ちに力強いものがあるマシアス。ヌドゥはワンツーからの左フック。好試合になりそうな雰囲気の中、バッティング。マシアスが負傷してアッサリ終了。ヌドゥのTKO勝利(どうやらオーストラリアでは「負傷した方が負け」というルールのようだ)。短い試合だったが、両者とも良いパンチを持っているということは確認できた。次の試合でマシアスはWBC米大陸王座(スーパーフェザー級)を獲得。しかし、その次の試合後、連敗。この階級は強い選手が多い。)


ポール・マリナッジ 12R 判定 ラブモア・ヌドゥ

(IBF世界スーパーライト級タイトル戦、2007年)

ヌドゥ:左ジャブ、右ストレート、左フック

マリナッジ:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

9R:ワンツーでヌドゥがダウン

(感想:マリナッジがタイトル獲得。マシアス戦後、IBFパンパシフィック王座(スーパーライト級)を獲得したヌドゥ。しかし、シャンバ・ミッチェルとのIBF暫定タイトル戦、ミゲール・コットとのWBCインタータイトル戦といった大きな試合を落とす。そしてIBFタイトルの指名挑戦権を懸けた試合に勝利。王者が挑戦に応じなかったため、その試合が「王座決定戦」扱いされ、ヌドゥはさかのぼって「王者」に認定された(このあたりの事情にはあまり個人的に詳しくない。要確認)。挑戦者のマリナッジ(アメリカ)は新鋭。全勝だったが、ミゲール・コットのWBO世界スーパーライト級王座に挑戦して判定負け。ヌドゥ戦は二度目の世界挑戦となる。コネチカット州アンカスビルで行われた一戦。共に速い動き。ジャブ、ワンツー、左フック。距離を取るマリナッジ、攻めるヌドゥ。左フックにパワーがあるヌドゥだが、攻めてもかわされてしまう。マリナッジが下がりながらジャブ、中間距離でショート連打。接近戦ではもみ合い。6R、クリンチ時のラビットパンチでヌドゥが減点。7R、ヌドゥはサウスポーにスイッチするが、効果無し。9R、ワンツーでヌドゥがダウン。その後もヌドゥは前に出続けるが、ディフェンスされるうえにジャブを打たれる。12R終了。判定は3-0。攻めてる方がジャブを打たれて負けた。マリナッジの戦い方はエキサイティングではなかったが、攻める相手をさばく良い手本になるようなものだった。ヌドゥはマリナッジとの再戦にも敗北。しかし、その後もリングに上がりIBO王座、WBF王座(いずれもウェルター級)を獲得して存在感を示した。)


①「Lightweight 

Lovemore N'dou vs. Gustavo Fabian Cuello」

②「Lightweight 

Lovemore N'dou vs. Juan Angel Macias」

③「IBF World Super Lightweight Title

Lovemore N'dou vs. Paul Malignaggi」

ポール・マリナッジ(Paul Malignaggi)①のページ

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ポール・マリナッジ(Paul Malignaggi)②のページ 

2024年10月23日水曜日

ラウル・ガルシア・イラレス(Raul Garcia Hirales)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF・WBO世界ミニマム級王者。ホセ・ルイス・バレラ戦(初戦)、ヌコシナチ・ジョイ戦、モイセス・フェンテス戦を紹介します。

ラウル・ガルシア・イラレス(Raul Garcia Hirales)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ラウル・ガルシア・イラレス(メキシコ)

身長163cm:サウスポー


ラウル・ガルシア・イラレス 12R 判定 ホセ・ルイス・バレラ

(IBF世界ミニマム級タイトル戦、2008年)

イラレス:右ジャブ、左ストレート、フック

バレラ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:イラレスがタイトル防衛。メキシカンのイラレス。双子の兄弟ラモンも後にWBO世界ライトフライ級王者になる「ボクシング兄弟」。メキシコ王座を獲得、防衛後、フローレンテ・コンデス(フィリピン)に2-1で勝利してIBF世界ミニマム級王座獲得。デビュー以来、無敗でこれまで23勝(15KO)1分。バレラ戦は初防衛戦となる。バレラはベネズエラの選手で14勝(7KO)4敗。WBAの地域王座(ミニマム級)を獲得したが、WBO世界ミニマム級王者イヴァン・カルデロン(プエルトリコ)に判定負けで王座獲得ならず。来日し、WBA世界ミニマム級王者の新井田豊に挑戦したが、KO負け。イラレス戦はその再起戦となる(世界戦に負けた再起戦が世界戦。余程実力があるのか、最軽量級は層が薄いのか)。メキシコ・ラパスでの一戦。距離を取りながら右ジャブ、左ストレートのイラレス。接近して左右フック連打。ロングの左フックに特徴があり、左フックをボディからアゴに打つ器用さ、連打の回転の速さがある。バレラは普通の選手。ジャブ、右ストレート、左フック。右を当てようとする。パンチの正確さ、手数でイラレスがポイントを取っている印象。バレラは左フックからの右ストレートといったコンビネーションも使うが、ディフェンスされてしまう。8R、イラレスがラッシュ。11R、バレラはサウスポーにスイッチするが、効果無し。12R終了、判定は3-0(ダウンシーンは無し)。イラレスが当てる巧さ、手数で勝利。バレラは平均的な選手。なぜ、こんなにもチャンスがもらえるのか? IBF王座を懸けたダイレクト・リマッチが行われ、再び3-0でバレラ敗北。以後は全敗でキャリアを終えた。)


ヌコシナチ・ジョイ 12R 判定 ラウル・ガルシア・イラレス

(IBF世界ミニマム級タイトル戦、2010年)

イラレス:右ジャブ、左ストレート、フック

ジョイ:右ジャブ、左ストレート、フック

(感想:ジョイがタイトル獲得。イラレスの五度目の防衛戦。挑戦者ジョイ(南アフリカ)はこれまで全勝。IBO王者(ミニマム級)だったが、挑戦者決定戦に勝利してメジャー王座に挑戦。南アフリカのイースト・ロンドンで行われた無敗対決。共にサウスポー。ジャブ、ワンツー、右フック、ボディ打ち。互いにディフェンス。使うパンチは共通しているが、「パンチの伸び」に差が。パワーを込めたワンツーを打つイラレス。ジョイは伸びのある右ジャブ、左ストレート。接近戦ではジョイの右フックがヒット。前に出るイラレスだが、打たれる。12R終了、判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ジョイが当てる巧さで勝利。イラレスのパンチは力強かったが、伸びるパンチを食い続けてしまった。一方、素晴らしいテクニック&スピードを見せたジョイ。しかしその後、KO負けで王座陥落。以後は勝ったり負けたり。全勝だった選手が敗北をキッカケに負けが増えていくのはよくあるパターン。)


モイセス・フェンテス 12R 判定 ラウル・ガルシア・イラレス

(WBO世界ミニマム級タイトル戦、2011年)

イラレス:右ジャブ、左ストレート、フック

フェンテス:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

7R:右ストレートでイラレスがダウン

9R:左フックでフェンテスがダウン

(感想:フェンテスがタイトル獲得。ジョイに初黒星を喫したイラレスだが、再起戦に勝利。その次の試合はWBO世界ミニマム級暫定王座決定戦。2-1で勝利して王座獲得。正規王者ドニー・ニエテスが王座を返上したため、イラレスが正規王者に。初防衛に成功。フェンテスと二度目の防衛戦。これまで30勝(18KO)1敗1分。挑戦者フェンテスもまたメキシカン。13勝(6KO)1敗。北米王座戦(ミニマム級)で敗北しており、まだ王座を獲ったことがない。メキシコ・グアダラハラでの一戦。左右の構えは違うが共にジャブ、ストレート、ディフェンス。フェンテスは長いジャブ、ストレート、ロングフックを使う。2R、フェンテスの右カウンターがヒット。力強い攻めを見せるイラレスだが、微妙にパンチが当たらなかったり、強振してバランスを崩したり。フェンテスも振りの大きい攻めで隙があるように見えるが、逆に相手のガードの隙を突く。7R、右ストレートでイラレスがダウン。9R、左フックでフェンテスがダウン。その後は攻めるイラレス、隙を突くフェンテス。12R終了。判定は2-1。一生懸命攻めた方が逆に打たれて敗北。イラレスはパワーを意識しすぎたか、隙があった。その後、イラレスは世界王座復帰ならず。ラストファイトはドニー・ニエテスのWBO世界ライトフライ級王座への挑戦、TKO負け。ミニマム級というのは悲しいクラス。パワーに欠ける選手が多い。それを意識してかパワーを込めた攻めを見せるが、軽いパンチを素早く打つ選手にしてやられてしまう。しかし、軽いパンチで王者になったとしても迫力不足では国際的な人気は得られない。フェンテスはその後、日本で田中恒成、比嘉大吾と対戦したが、いずれもKO負けだった。)


①「IBF World Minimumweight Title

Raul Garcia Hirales vs. Jose Luis Varela」

②「IBF World Minimumweight Title

Raul Garcia Hirales vs. Nkosinathi Joyi」

③「WBO World Minimumweight Title

Raul Garcia Hirales vs. Moises Fuentes」

ヌコシナチ・ジョイ(Nkosinathi Joyi)のページ 

2024年10月18日金曜日

ミケーレ・ピッチリーロ(Michele Piccirillo)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界ウェルター級王者。二冠王を目指す試合。ステファーヌ・タリアナ戦、リカルド・マヨルガ戦、バーノン・フォレスト戦を紹介します。

ミケーレ・ピッチリーロ(Michele Piccirillo)②「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ミケーレ・ピッチリーロ(イタリア)

身長179cm:オースドックス(右構え)


ミケーレ・ピッチリーロ 3R TKO ステファーヌ・タリアナ

(スーパーウェルター級戦、2004年)

ピッチリーロ:左ジャブ、右ストレート、左フック

タリアナ:右ジャブ、左ストレート

(ダウンシーン)

3R:ワンツーでタリアナがダウン

(感想:コーリー・スピンクスと再戦し、3-0の判定負けでIBF世界ウェルター級王座の初防衛に失敗したピッチリーロ。これまで41勝(25KO)2敗。王座復帰を目指す状況。タリアナはフランスの選手で11勝(1KO)8敗1分。このところ連敗中。イタリア・モドゥーニョでの一戦。サウスポーのタリアナ。ジャブ、左ストレート。ピッチリーロはテンポの良い攻め。ワンツー、右フック、左ボディ打ち。3R、ワンツーでタリアナがダウン。立ったが、連打されたところでセコンドが棄権を申し入れて試合終了。ピッチリーロとしては格下が相手であったため、結果は妥当なところ。パンチのキレがあり、左ボディ打ちも良かった。タリアナは左ストレートは悪くはなかったが、経験やパワーで相手と差があった。後、タリアナはフランス王座(スーパーウェルター級)に挑戦したが、TKO負けだった。)


リカルド・マヨルガ 12R 判定 ミケーレ・ピッチリーロ

(WBC世界スーパーウェルター級王座決定戦、2005年)

ピッチリーロ:左ジャブ、右ストレート、左フック

マヨルガ:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:右フック、左フックで2度、ピッチリーロがダウン

4R:ワンツーでピッチリーロがダウン

(感想:マヨルガが二階級制覇。共に二階級制覇を狙う試合。ピッチリーロはこれまで44勝(27KO)2敗、35歳。元統一世界ウェルター級王者のマヨルガ(32歳)は26勝(22KO)5敗1分で、ニカラグアの選手。「ニカラグア」と言うとアレクシス・アルゲリョを思い出すが、このマヨルガは端正なボクシングのアルゲリョとは全く違うタイプ。シカゴで行われた一戦。左を使いながら思い切った右ストレート、豪快な左フックを振るうマヨルガ。端正なボクシングをするピッチリーロがとても地味に見える。2R、荒っぽい右フックでピッチリーロがダウン。さらに左フックで二度目。4Rにはワンツーでダウン。攻めが粗いマヨルガはそれだけ隙もあるが、ピッチリーロは相手のパワーに押され気味。8R、マヨルガが連打、右ストレートで激しく攻撃。12R、相手を妙な動きで挑発するマヨルガ。最終ラウンド終了。判定は文句無しの3-0(ジャッジの一人は120-105)。パワーでマヨルガ。ピッチリーロは得意のワンツーで対処しようとしたが、動きとパンチのキレが微妙だった。しかも、クリンチ中にラビットパンチを出す悪いクセ。年齢的にピークを過ぎたようだ。一方、勝って大喜びのマヨルガ。しかし、初防衛戦でオスカー・デラ・ホーヤにTKO負け。その後、世界王座に返り咲くことはなかった。) 


バーノン・フォレスト 11R TKO ミケーレ・ピッチリーロ

(WBC世界スーパーウェルター級タイトル戦、2007年)

ピッチリーロ:左ジャブ、右ストレート、左フック

フォレスト:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

6R:右フックでピッチリーロがダウン

9R:右フックでピッチリーロがダウン

11R:右ストレートでピッチリーロがダウン

(感想:フォレストがタイトル防衛。マヨルガに敗れた再起戦で欧州王座を獲得して以来、防衛を続けるピッチリーロが二度目の二階級制覇チャレンジ。これまで48勝(29KO)3敗1NC。39勝(28KO)2敗1NCの王者フォレスト(アメリカ)は元世界ウェルター級王者。決定戦でWBC世界スーパーウェルター級王座を獲得し、二階級制覇。これが初防衛戦となる。コネチカット州マシャンタケットで行われた一戦。共にジャブ、ワンツー。しかしながら、パンチの伸びが違う。長いパンチを器用に当てるフォレスト。右ストレートからの左ジャブ(逆ワンツー)、左フックからの右ストレート、大きな右フック。そして攻めるときは一気に連打。ピッチリーロは得意のワンツーを出すが、ディフェンスされてしまう。6R、9Rに右フックでピッチリーロがダウン。11R、右を食って後退したピッチリーロに追撃の右ストレート。ピッチリーロがダウンすると同時にレフェリーは試合を止めた。フォレストが長いパンチで快勝。ディフェンスも巧かった。ピッチリーロはその後もリングに上がったが、大きな実績は無し。ラストファイトは欧州王座(スーパーウェルター級)決定戦で、KO負け。全盛期はきびきびしたジャブで小気味よいボクシング。スピードが落ちてからはパワー不足で二冠王ならず。動きが速かった頃にマイナー団体の王者にとどまっていたのがもったいなかった。)


①「Super Welterweight 

Michele Piccirillo vs. Stephane Talliana」

②「vacant WBC World Super Welterweight Title

Michele Piccirillo vs. Ricardo Mayorga」

③「WBC World Super Welterweight Title

Vernon Forrest vs. Michele Piccirillo」


バーノン・フォレスト(Vernon "The Viper" Forrest)のページ 

2024年10月16日水曜日

ミケーレ・ピッチリーロ(Michele Piccirillo)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

IBF世界ウェルター級王者。ファン・マルチン・コッジ戦、ウォルター・クルッセ戦、コーリー・スピンクス戦(初戦)を紹介します。

ミケーレ・ピッチリーロ(Michele Piccirillo)①「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ミケーレ・ピッチリーロ(イタリア)

身長179cm:オースドックス(右構え)


ミケーレ・ピッチリーロ 12R 判定 ファン・マルチン・コッジ

(WBUウェルター級タイトル戦、1999年)

ピッチリーロ:左ジャブ、右ストレート、フック

コッジ:右ジャブ、左ストレート、フック

(感想:ピッチリーロがタイトル防衛。イタリア・モドゥーニョ出身のピッチリーロ。ニックネームは「Gentleman」(スポーツマンシップを感じる試合ぶりから)。父やコーチに勧められてボクサーに。バルセロナ・オリンピック(1992年)にライトウェルター級で出場したが、メダルは獲得ならず。プロデビュー以来、連戦連勝。IBFインター王座(J・ウェルター級)獲得。イタリア王座(J・ウェルター級)も獲得したが、欧州王座戦(J・ウェルター級)で判定負け、初黒星。その後は快調。欧州王座、WBU王座(いずれもウェルター級)獲得。元世界王者コッジと防衛戦。挑戦者コッジはアルゼンチンのサウスポーで日本でもおなじみ。「ラティゴ(ムチ)」と呼ばれる強烈な左パンチに一撃必殺のパワーがある。イタリア・バーリでの一戦。ピッチリーロがアップライトな姿勢からジャブ、ワンツー、左フック。なかなか端正なボクシング。コッジはいつものように右を使いながら左パンチ。独特のアッパー気味の左フックを1Rから披露。互いにディフェンス、速いパンチ。コッジのパワーを警戒するピッチリーロ。速い連打をまとめ、そして距離を取る(長く打ち合わない作戦)。攻めるコッジだが攻撃をかわされ、クリンチされる。6R、両者激しくバッティング。ピッチリーロが連打で先手を取る試合運びで12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ピッチリーロがコンビネーションで勝利。危険な相手を巧くさばいた。コッジはパワーはあったが、不発。これがラストファイトとなった。)


ミケーレ・ピッチリーロ 12R 判定 ウォルター・クルッセ

(WBUウェルター級タイトル戦、2000年)

ピッチリーロ:左ジャブ、右ストレート、左フック

クルッセ:右ジャブ、左ストレート、右フック

(感想:ピッチリーロがタイトル防衛。元世界王者フランキー・ランドール相手に防衛に成功したピッチリーロ。次の挑戦者はアルゼンチンのサウスポー、クルッセ。WBA・WBOの地域王座(J・ウェルター級)を獲得、防衛してきた実績。ただし、これまでの試合は全て地元。これが初の海外試合。イタリア・ピアンカヴァッロでの一戦。背が低め(165cm)のクルッセ。ガッチリした体型でジャブ、そして左ストレートを狙う(浜田剛史に似たスタイル)。ピッチリーロは力強いジャブ、右ストレート。共に接近戦はあまり得意ではない。特にクルッセ。不器用に接近して左パンチ&クリンチ作戦。そしてクリンチの際にラビットパンチを使用(荒っぽい)。6Rにはバッティングで減点。そんなクルッセを上手くさばけないピッチリーロ。相手のラフプレーにイラついて「ジェントルマン」らしくないプッシングなどを行い、レフェリーから警告されてしまう。9Rにはクルッセのシューズの底がはがれるハプニング(テープを巻いて補強)。終盤、ピッチリーロはジャブ&フットワークでクルッセの前進をかわす。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ピッチリーロがジャブで勝利。相手の攻めをかわすことはできたが、パワー不足のためラフ行為をやられっぱなしだったのが残念。) 


ミケーレ・ピッチリーロ 12R 判定 コーリー・スピンクス

(IBF世界ウェルター級王座決定戦、2002年)

ピッチリーロ:左ジャブ、右ストレート、左フック

スピンクス:右ジャブ、左ストレート、フック

(感想:ピッチリーロがタイトル獲得。これまでマイナー王座を守ってきたピッチリーロ。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」で行ったラファエル・ピネダとの挑戦者決定戦に勝利してこの王座戦。アメリカのスピンクスは「親子ボクサー」。父親は元世界ヘビー級王者のレオン・スピンクス、叔父は元世界L・ヘビー、ヘビー級王者のマイケル・スピンクス。IBAのJ・ウェルター級王座戦で敗れたのが唯一の黒星。共に初のメジャー団体の世界王座挑戦。イタリアのカンピョーネ・ディターリアでの一戦。黒いトランクスのスピンクスはサウスポー。右ジャブを連打して接近し、左ストレート、フック連打。ピッチリーロ(オシャレな青トランクス)はサウスポーには慣れているため、いつもと変わらない。ジャブ、ワンツー、左フック。2R、スピンクスの右フックでピッチリーロがダウン寸前に。その後、互いにディフェンスしながらワンツー。ピッチリーロの反則(首をかかえる)を嫌がるスピンクスだが、6Rにバッティングで減点される。7R、スピンクスの右フックでピッチリーロが足に来るダメージ。終盤はクリンチともみ合い。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は僅かながら3-0(ダウンシーンは無し)。映像では手数が多く、ジャブ、左カウンター、右フックを決めたスピンクスが勝ったように見えたが、パンチが軽かったのが敗因か? ピッチリーロの動きはいつもと同じようだったが、スピンクスのディフェンスにかなり手こずった。)


①「WBU Welterweight Title

Michele Piccirillo vs. Juan Martin Coggi」

②「WBU Welterweight Title

Michele Piccirillo vs. Walter Crucce」

③「vacant IBF World Welterweight Title

Michele Piccirillo vs. Cory Spinks」


ファン・マルチン・コッジ(Juan Martin Coggi)のページ

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コーリー・スピンクス(Cory Spinks)のページ 

2024年10月11日金曜日

モンテ・バレット(Monte Barrett)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBC米大陸ヘビー級王者。速い連打が武器。デリク・バンクス戦、ジミー・サンダー戦、ニコライ・ワルーエフ戦ほかを紹介します。

モンテ・バレット(Monte Barrett)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

モンテ・バレット(アメリカ)

身長191cm:オースドックス(右構え)


モンテ・バレット 10R 判定 デリク・バンクス

(ヘビー級戦、2000年)

バレット:左ジャブ、右ストレート、フック

バンクス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ノースカロライナ出身のバレット。ニックネームは「Two Gunz」(二丁拳銃?)。治安の悪い地域で育った。ボクシングを始め、アマチュアで40試合経験(37勝)。ニューヨークでデビュー戦。以来、元世界王者グレグ・ペイジを破ったり、フィル・ジャクソンとの決定戦に勝利してWBC米大陸王座を獲得したりと連戦連勝。ところがランス・ウィテカーに初黒星、米大陸王座を失う。これまで21勝(13KO)1敗。バンクス戦はその再起戦。バンクスは19勝(7KO)4敗1分。NABO王座に挑戦したことがあるが、TKO負けに終わっている。ニューヨークでの一戦。共に白いグローブ。両者とも速いパンチ。ジャブ、ワンツー、左フックを器用に打つ。2R、バンクスの左フックがヒット。4R、バレットが左ボディ。スピーディな打ち合い、一進一退。両者譲らず、といった内容で10R終了。判定は意外に差がついた3-0(ダウンシーンは無し)。共にスピードがあり、両者には大きな実力差があるようには見えなかったが、リングサイドのジャッジにはバレットのパンチの方が効果的に見えたのだろう。負けたが、良いボクシングだったバンクス。しかし、その後は負けが込んで大した実績なし。パンチは速かったが、その分、パワーにやや欠けていた印象。それが大成できなかった原因か?)


モンテ・バレット 7R TKO ジミー・サンダー

(ヘビー級戦、2000年)

バレット:左ジャブ、右ストレート、フック

サンダー:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:サンダーはニュージーランドの強打者。WBFやIBOの王座を獲得した実績があるが、このところ敗北が目立つ。ニューヨークでの一戦。いつものようにパワフルな左右フックで前進するサンダー。バレットはジャブ、右ストレート、左フックで応戦し、接近戦では右アッパーを見せる。攻める意識が強すぎるのか、サンダーは空振りが多い。動きが良いバレット。右でカウンターを取ったり、ワンツーからの左フック、左フックからの右ストレートといったコンビネーション。疲れを見せるサンダーは一発打ってはクリンチ、打たれてはクリンチ。7R、バレットが連打。打たれるサンダー。サンダーのセコンド(エディ・ムスタファ・ムハマド)が棄権を申し入れて試合終了(ダウンシーンは無し)。バレットがコンビネーションで快勝。右ストレート、左フックが特に効果的だった。サンダーはピークを過ぎていた模様。この後も敗北が続き、引退。)


ニコライ・ワルーエフ 11R TKO モンテ・バレット

(WBA世界ヘビー級タイトル戦、2006年)

バレット:左ジャブ、フック

ワルーエフ:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

8R:ワンツーでバレットがダウン

11R:右ストレート、右フックで2度、バレットがダウン

(感想:ワルーエフがタイトル防衛。サンダー戦後、ブランクもあったが名のある相手と戦ってきたバレット。ウラジミール・クリチコにTKO負け、ティム・ウィスザスプーンに判定勝ち、ジョー・メシに判定負け。ハシム・ラクマンとWBC暫定王座を争ったが、判定負け。その再起戦でワルーエフのWBA世界ヘビー級王座に挑戦。王者ワルーエフはロシアの大巨人。身長213cmもあり、決して小さくはないバレット(身長191cm)と大きな体格差。イリノイ州ローズモントでの一戦。大巨人ながら器用なワルーエフ。ジャブ、ワンツー、接近戦では左右フック。バレットは相手が大きいため、大きなフックを使用。ワルーエフの懐に飛び込んで一発を狙い、フック&クリンチ。8R、ワンツーでバレットがダウン。10Rにもワンツーでバレットがダウンしたが、これはスリップの裁定。11Rは「公開処刑」のようなラウンド。右ストレート、右フックでバレットが二度ダウン。立ったが、セコンドが棄権を申し入れて試合終了。ワルーエフが圧力(ゴツいパンチ)で勝利。デカい体ながらワンツー、左フックからの右ストレートといったコンビネーションを巧く使い、当てるテクニックもあった。バレットは残念。体格差を意識しすぎたか、一発狙いで攻めるリズムが悪すぎた。元々パワーではなく、スピードで勝負するタイプ。距離を取って隙を突く作戦でいってほしかったところ。)


モンテ・バレット 2R KO クリフ・コーサー

(ヘビー級戦、2007年)

バレット:左ジャブ、右ストレート、フック

コーサー:フック

(ダウンシーン)

2R:連打でコーサーがダウン

(感想:ワルーエフにTKO負けしたバレット。その再起戦でクリフ・コーサーにTKO負けして三連敗。これまで31勝(17KO)6敗、36歳。コーサーはミズーリ州セントルイス出身の黒人。勝ったり負けたりの中堅どころで26勝(14KO)13敗2分。北米王座、IBFインター王座に挑戦したことがあるが、いずれもTKO負け。連敗中だったがバレットに勝利。そして、このブロンクスでの再戦。マイク・タイソン風の顔立ちのコーサー。ヘッドスリップしながら左フック。おそらくタイソンを意識していると思われるが、動きのスピードは速くない。バレットは足を使って距離を取る。コチラもあまり動きが機敏ではない。コーサーが右フック、バレットは右ストレートをそれぞれヒットさせる。攻めるコーサー、応戦するバレット。2R、左フックを決めたのをキッカケにバレットがラッシュ。連打でコーサーがダウン。立てず、KO。バレットが当てる巧さで勝利。ただ、ディフェンスをあまり考慮していないような攻め方で、バタバタした打ち方だった。たぶん、全盛を過ぎていたのだろう。その後の二人。コーサーは何と全敗。バレットは名のある相手と試合をしたが、世界王座には手が届かなかった。スピードがあった頃に世界挑戦できなかったのが残念。)


①「Heavyweight 

Monte Barrett vs. Derrick Banks」

②「Heavyweight 

Monte Barrett vs. Jimmy Thunder」

③「WBA World Heavyweight Title

Nikolai Valuev vs. Monte Barrett」

④「Heavyweight 

Monte Barrett vs. Cliff Couser」

ジミー・サンダー(Jimmy Thunder)のページ

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ニコライ・ワルーエフ(Nicolay "The Russian Giant" Valuev)のページ 

2024年10月10日木曜日

スティーブ・ロビンソン(Steve Robinson)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBO世界フェザー級王者。ポール・ホドキンソン戦、アンドリュー・マタボラ戦、ファン・カルロス・ラミレス戦を紹介します。

スティーブ・ロビンソン(Steve Robinson)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

スティーブ・ロビンソン(イギリス)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


スティーブ・ロビンソン 12R TKO ポール・ホドキンソン

(WBO世界フェザー級タイトル戦、1994年)

ロビンソン:左ジャブ、右ストレート、フック

ホドキンソン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

12R:左フックで2度、ホドキンソンがダウン

(感想:ロビンソンがタイトル防衛。ウェールズ・カーディフ出身の黒人選手ロビンソン。デビュー当初は勝ったり負けたり。英国のローカル王座、WBAの地域王座を獲得したが、波に乗れず。ところがWBO世界フェザー級王座決定戦で3-0の判定勝ちを収め、王座獲得に成功。番狂わせ的な勝利だったため「シンデレラマン」と呼ばれるようになった。結果的に世界王座を七度防衛。「根拠のない番狂わせ」ではなかったことを証明。ホドキンソン戦は三度目の防衛戦。ホドキンソンは元WBC世界フェザー級王者。WBC王座をグレゴリオ・バルガスにTKOで奪われ、これが再起戦。カーディフでの英国同士の一戦(ロビンソンはこれまで16勝(8KO)9敗1分。ホドキンソンは22勝(21KO)2敗1分。リングサイドではバリー・マクギガン、デューク・マッケンジーが観戦)。ホドキンソンは精力的な選手。いつものように上体を忙しく動かしてジャブ連打、右ストレート、接近して左フック。ロビンソンはガードを上げてブロックしながらジャブ、右ストレートで迎え撃つ。激しい接近戦。互いにフック、右アッパー、ボディ打ち。5R、ロビンソンの右強打がヒット。8Rには右ストレート。よく攻めるホドキンソンだが、ロビンソンはディフェンスして反撃。12R、左フックが効いたホドキンソン。さらに左フックでダウン。立ったが、 左フックで再び。セコンドからタオルが投入されて試合終了。ロビンソンが相手の攻めに粘り強く耐えながら反撃して勝利。右パンチが効果的だった。ホドキンソンは最後までよくやったが、打たれた。これが最後の試合に。)


スティーブ・ロビンソン 5R KO アンドリュー・マタボラ

(WBOインターコンチネンタル・フェザー級タイトル戦、1997年)

ロビンソン:左ジャブ、右ストレート、フック

マタボラ:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

1R:右フックでマタボラがダウン

5R:ボディ連打でマタボラがダウン

(感想:ロビンソンがタイトル防衛。世界王座をナジーム・ハメドに奪われたロビンソン(95年9月)。その後、WBOインターコンチネンタル王座(フェザー級)を獲得。マタボラと防衛戦。マタボラ(南アフリカ)はこれまで20勝(13KO)4敗2分の黒人選手。南アフリカ王座(フェザー級)を防衛するなどこのところ連勝中。ベルファストでの一戦。1R、ロビンソンがジャブ、ワンツー、接近して左右フック。マタボラはアウトボクサー。距離を取ってジャブ。右フックのカウンターでマタボラがダウン。その後も攻める姿勢のロビンソン。マタボラは右カウンター、フックで応戦するが、接近戦でのフック攻撃でロビンソンが優勢。5R、ボディ連打でマタボラがダウン。立てず、KO。ロビンソンが積極的な攻めで快勝。左フックが特に良かった。マタボラはクリーンな試合ぶりだったが、パワー不足。相手の精力的な前進に屈した。その後、マタボラはWBCのインター王座(J・ライト級)を獲得したが、初防衛に失敗。中堅どころにとどまった。)


ファン・カルロス・ラミレス 11R TKO スティーブ・ロビンソン

(WBOインターコンチネンタル・フェザー級タイトル戦、2000年)

ロビンソン:左ジャブ、右ストレート、フック

ラミレス:左ジャブ、右ストレート、フック、アッパー

(ダウンシーン)

11R:左アッパーでロビンソンがダウン

(感想:ラミレスがタイトル獲得。欧州王座(フェザー級)も獲得したロビンソン。ラミレスとWBOインター王座の防衛戦。挑戦者ラミレスはメキシカン。メキシコのスーパーバンタム級王座、フェザー級王座を獲得した実績があるが、二度の世界挑戦は失敗に終わっている。英国ケンジントンでの一戦。ガードを上げて足のスタンスを広く取るラミレス(オスカー・デラ・ホーヤのような構え、戦い方)。長いパンチが武器。ロビンソンはワンツー、接近して左フック。攻めるロビンソンだが、ラミレスが左フック、右アッパーでしぶとく応戦。一進一退ではあるが、ラミレスの長いパンチがヒットしてロビンソンがクリンチするシーンも。11R、ロープ際で連打するラミレス。強烈な左アッパーでロビンソンがダウン。立ったが、レフェリーストップ。ロビンソンは勇敢だったが、振りの大きいパンチをマトモに食ってしまった。その後の両者。勝ったラミレスは世界挑戦のチャンスを得たが、勝てず。ロビンソンはラミレス戦後は勝てず。引退後、ロビンソンはジムを設立し、若手の指導をしているとか。また、現役時代の功績を讃えられて駅の名前にロビンソンの名が付けられる名誉も。)


①「WBO World Featherweight Title

Steve Robinson vs. Paul Hodkinson」

②「WBO Inter-Continental Featherweight Title

Steve Robinson vs. Andrew Matabola」

③「WBO Inter-Continental Featherweight Title

Steve Robinson vs. Juan Carlos Ramirez」

ポール・ホドキンソン(Paul Hodkinson)のページ

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ナジーム・ハメド(Naseem Hamed)のページ 

2024年10月4日金曜日

カロリー・バルザイ(Károly Balzsay)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

WBO・WBA世界スーパーミドル級王者。デニス・インキン戦、マセリノ・マソー戦、ロベルト・ステイグリッツ戦を紹介します。

カロリー・バルザイ(Károly Balzsay)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

カロリー・バルザイ(ハンガリー)

身長183cm:サウスポー


カロリー・バルザイ 12R 判定 デニス・インキン

(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、2009年)

バルザイ:右ジャブ、左ストレート、右フック

インキン:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:バルザイがタイトル獲得。ハンガリーのバルザイ。WBOとWBAの世界スーパーミドル級王者になったサウスポー。2000年と2004年のオリンピックに出場したが、メダルは獲得ならず。プロデビュー以来、全勝。WBOのインターコンチネンタル王座(スーパーミドル級)を獲得し、防衛にも成功して、この挑戦。王者インキン(ロシア)もまた全勝。決定戦で王座を獲得し、これが初防衛戦。バルザイの主戦場ドイツ(マクデブルク)での一戦。左を細かく使いながら右を打ち込むインキン。バルザイは典型的なサウスポーで右ジャブ、左ストレート。互いにディフェンスしながら相手のガードの隙を突く戦い方。細かい打ち合いが続く。11R、バルザイが左ストレート、右フックを連続ヒット。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。パンチの正確さでバルザイ。互いにストレートをヒットさせ、両者の間には大きな実力差はなかった印象。バルザイが右フックからの左ストレートといったコンビネーションを使う分、ジャッジには見栄えが良かったのだと思われる。「全勝対決」にしては凄みに欠ける「テクニック合戦」となったが、観客席は沸いていた。インキンはこれで引退。)


カロリー・バルザイ 11R KO マセリノ・マソー

(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、2009年)

バルザイ:右ジャブ、左ストレート、右フック

マソー:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

11R:右フックでマソーがダウン

(感想:バルザイがタイトル防衛。バルザイの初防衛戦。挑戦者マソーはアメリカ領サモア出身。ニュージーランドを拠点にアメリカでも試合。WBA世界ミドル級王者になったが、初防衛に失敗。階級を上げて二冠王を目指す状況。ドイツ・クレーフェルトでの一戦。ジャブを打つマソー(動き、パンチの打ち方、後ろ姿がレオ・ガメスに似ている)。バルザイはジリジリ距離を詰めてジャブ、左ストレート、右フックをコンビネーションで打つ。接近戦。コンビネーションのバルザイ、左フックのマソー。ポイント上、手数でバルザイが優勢。ジャブはよく出ているが、それ以外のパンチが少ないマソー。6Rにフックを連打するが、続かず。11R、ワンツーからの右フックでマソーがダウン。立ったが、棄権。バルザイが得意の連打で勝利。一方、大して攻めなかったマソー。動きも緩慢でタイトルを獲る気迫が見られなかった。ピークを過ぎていたのだろうが、それだったら挑戦権を他の選手に譲ればよかったのでは? その後、ブランクを作って引退。) 


ロベルト・ステイグリッツ 11R TKO カロリー・バルザイ

(WBO世界スーパーミドル級タイトル戦、2009年)

バルザイ:右ジャブ、左ストレート、フック

ステイグリッツ:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ステイグリッツがタイトル獲得。バルザイの二度目の防衛戦。挑戦者ステイグリッツはロシア出身でドイツ在住の選手。WBCのインター王座(スーパーミドル級)などを獲得しているがIBF世界スーパーミドル級王座決定戦に敗れたことがあり、これが二度目の世界挑戦。ハンガリー・ブダペストでの一戦。いつものようにきびきびとしたジャブを打つバルザイ。ステイグリッツは左を使いながら右ストレート、右フック。2R、右をヒットさせたステイグリッツが左右フック連打。3Rは逆にバルザイがワンツーから左右フック連打。互角の展開。ステイグリッツの右、バルザイの左ストレートカウンター。9R、バルザイが右を食ってピンチ。10R、動きに疲れが見られるバルザイ。11R開始早々、バルザイのセコンドが棄権を申し入れて試合終了(ダウンシーンは無し)。ステイグリッツがジャブと右パンチで勝利。バルザイは打たれて次第にキレを失っていった。初黒星を喫したバルザイ。再起戦にも敗れたが、カムバック。決定戦でWBA王座を獲得。初防衛にも成功。ところが、暫定王者ブライアン・マギーとの団体内王座統一戦に出場せず、王座剥奪。そのまま引退。パワーよりテクニックで勝負するタイプだったため、長期政権は築けなかった。ステイグリッツはWBO王座を防衛し続けた。)


①「WBO World Super Middleweight Title

Denis Inkin vs. Károly Balzsay」

②「WBO World Super Middleweight Title

Károly Balzsay vs. Maselino Masoe」

③「WBO World Super Middleweight Title

Károly Balzsay vs. Robert Stieglitz」