世界J・バンタム級、バンタム級王者。デンマークの「ボクシング兄弟」の弟。ウェイン・マッカラー戦、エイディ・モヤ戦、仲宣明戦ほかを紹介します。
ジョニー・ブレダル(デンマーク)
身長173cm:オーソドックス(右構え)
①ウェイン・マッカラー 8R TKO ジョニー・ブレダル
(WBC世界バンタム級タイトル戦、1995年)
ブレダル:左ジャブ、右ストレート、左フック
マッカラー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:マッカラーがタイトル防衛。「兄弟ボクサー」のブレダルはデンマーク・コペンハーゲン出身(兄ジミー・ブレダルはWBO世界J・ライト級王座を獲得。オスカー・デラ・ホーヤに敗れて王座陥落。後に六階級制覇するデラ・ホーヤ。これが初めて獲った世界タイトルだった)。1988年のソウルオリンピックではフライ級で出場したが、メダル獲得ならず。プロ転向。連戦連勝で欧州バンタム級王座、WBO世界J・バンタム級王座獲得。WBO王座を返上し、「WBC6位」として二階級制覇を目指す状況。マッカラーは日本でもおなじみ。薬師寺保栄を日本で破って世界王座獲得。これが初防衛戦となる。英国・ベルファストで行われた試合(マッカラーはベルファスト生まれ。「凱旋帰国」となる)。フットワークを使ってジャブを飛ばすブレダル、追うマッカラー。ブレダルはスピードとキレがあるジャブで勝負。強く当てていこうとするマッカラーは精力的に接近して連打。5R、マッカラーの右ストレートがヒット。8R、ブレダルが連打を浴びたところでレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。大したダメージもなく強制終了させられたブレダルはストップに不満そう。足を使いまくるアウトボクシングでポイントを取ろうとしたが、見方によっては逃げまくっているようにも見えた。戦意に欠ける、とレフェリーは判断したと思われる。)
その後のブレダル
マッカラーに敗れた再起戦でIBOバンタム級王座獲得。欧州バンタム級王座も獲得し、二つの王座を掛け持ちで防衛。マッカラー戦後はほぼ地元での試合で全勝だったが、アメリカでWBA世界バンタム級王者ポーリー・アヤラに挑戦して判定負け(2000年)。
②ジョニー・ブレダル 12R 判定 ジョエル・ジュニオ
(WBAインターコンティネンタル・バンタム級タイトル戦、2001年)
ブレダル:左ジャブ、右ストレート、左フック
ジュニオ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ブレダルがタイトル防衛。ポーリー・アヤラ戦の再起戦でWBAインター王者になったブレダル。インター王座の二度目の防衛戦。挑戦者ジュニオはフィリピン・イロイロ出身。1993年デビューで、勝ったり負けたり。後の世界王者ウィーラポンにTKO負けでWBCインター王座(J・バンタム級)獲得ならず。西岡利晃に2RでKO負け。ところがフィリピン王座、次いでPABA王座(いずれもバンタム級)獲得。このところ連勝中。コペンハーゲンでの一戦(レフェリーはジョン・コイル)。互いに速いジャブ、右ストレート。ブレダルがテンポ良くワンツーからの左フック、ワンツーからの左ジャブ、左フックからの右ストレート、右カウンター。ジュニオは前進。右フックなどを打ち込むが単発で、かわされてしまう。ブレダルがアウトボクシングでポイント。フットワーク&ブロックで打ち合いを回避。ただ、インサイドからの右アッパーなど接近戦でも良いパンチを打つ。12R終了。判定はほぼフルマークの3-0(ダウンシーンは無し)。勝って喜ぶブレダル陣営と観客。エキサイティングな試合ではなかったが、ヨーロッパではこういう「打ち合わないアウトボクシング」がウケるのだろう(フェンシングや闘牛の文化が背景か?)。ジュニオは最後まで攻めの姿勢だったが、単調。パンチ自体は悪くはなかったが。その後、ジュニオは地域王座戦に敗れるなどサッパリで、最後はヨックタイ・シスオー(元WBA世界J・バンタム級王者)にKO負けだった。)
③ジョニー・ブレダル 9R KO エイディ・モヤ
(WBA世界バンタム級タイトル戦、2002年)
ブレダル:左ジャブ、右ストレート、左フック
モヤ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
9R:右ストレートでモヤがダウン
(感想:ブレダルが二階級制覇。これまで51勝(25KO)2敗のブレダルが再びWBA王座に挑戦。地元デンマークで二階級制覇を狙う。王者モヤ(ベネズエラ)は15勝(8KO)1敗。これが初防衛戦。デンマーク・フレゼレクスベアでの一戦。マッカラー戦とは違って足をあまり使わないブレダル。距離を取ってしっかりしたジャブ、右ストレート。モヤは伸びるジャブを使い、右ストレートを思い切って打っていく。腕っぷしに自信があるのか、モヤは右を当てようといかにも狙っている感じでブレダルを待ち構えるが、振りの大きいパンチはかわされてしまう。9R、実に見事な右ストレートでモヤがダウン。立てず、KO。モヤはパワーがありそうなパンチを打っていたが、振りが大きいため攻撃がとぎれがちだった。ブレダルは冷静に相手の大きなパンチに対応してジャブ。最後はクリーンにKO。素晴らしい二階級制覇だった。モヤはその後、試合間隔が長くなり、フェードアウト。)
④ジョニー・ブレダル 12R 判定 仲宣明
(WBA世界バンタム級タイトル戦、2004年)
ブレダル:左ジャブ、右ストレート、左フック
仲:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
4R:左フックで仲がダウン
(感想:ブレダルがタイトル防衛。三度目の防衛戦。挑戦者の仲はこれまで17勝(11KO)2分で無敗。日本バンタム級王座を防衛し続けており、日本のバンタム級を代表する選手。デンマーク・コペンハーゲンでの一戦。ジャブで前進し、右ストレート、左フックを打つ仲。ブレダルは足を使いまくり、前に出てくる仲にジャブ、右ストレートでカウンター。4R、キレのある左フックで仲がダウン。その後もブレダルはフットワークとジャブ。仲は左フックでボディを攻撃するが、打ち合わないブレダルにかわされてしまう。判定は3-0。エキサイティングではなかったが、ブレダルのジャブの伸びとキレが見事だった試合。仲は悪い選手ではなかったが、世界を獲るためには何か飛び抜けたものが必要。よく攻めてはいたが、もっとリズミカルに連打して欲しかったところ。この試合の後、ブレダルは王者のまま引退を発表、王座返上。最後にもう一試合やって引退。「いかにもヨーロッパの選手」といった感じのクリーンな戦いぶりはなかなか美しいものがあった。)
①「WBC World Bantamweight Title
Wayne McCullough vs. Johnny Bredahl」
②「WBA Inter Continental Bantamweight Title
Johnny Bredahl vs. Joel Junio」
③「WBA World Bantamweight Title
Eidy Moya vs. Johnny Bredahl」
④「WBA World Bantamweight Title
Johnny Bredahl vs. Naka Nobuaki」
オスカー・デ・ラ・ホーヤ(Oscar De La Hoya)のページ
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ウェイン・マッカラー(Wayne McCullough)のページ
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ポーリー・アヤラ(Paulie Ayala)のページ
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