WBA・WBO世界バンタム級王者。速いジャブ、連打。エディ・クック戦、フランシスコ・アルバレス戦、ダニエル・ヒメネス戦ほかを紹介します。
ホルヘ・エリセール・フリオ(コロンビア)
身長166cm:オーソドックス(右構え)
①ホルヘ・エリセール・フリオ 12R 判定 エディ・クック
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1992年)
フリオ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
クック:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
7R:右フックでクックがダウン
9R:左ストレートでフリオがダウン
(感想:フリオがタイトル獲得。WBAとWBOで世界バンタム級王者だったフリオ。13歳でボクサーに。アマチュアでは国内王者になり、ソウルオリンピック、バンタム級銅メダル。プロでは、アブラハム・トーレス(辰吉丈一郎や葛西裕一と日本で戦った男)に勝利するなど、これまで全勝(ただし、これまでの試合は全てコロンビア)。世界初挑戦。王者クック(アメリカ)はやや小柄なサウスポー。強打者イスラエル・コントレラスをKOしてこのタイトルを獲得。これが初防衛戦。コロンビア・カルタヘナで行われた試合。互いに警戒してディフェンスしながらジャブ、ストレート。7R、クックが攻めたところに右フックがヒットしてダウン。ポイントを挽回しようとクックは左ストレートで攻める。フリオは足とジャブを使う。9R、左ストレートでフリオがダウン。一進一退の展開。12R、クックの左ストレートでフリオがピンチ。判定は3-0。フリオのジャブが評価されたか。フリオはパンチの打ち方が良く、パワーもありそうだった。しかしながら、無理に攻め込まず、ジャブでポイントを取る慎重なボクシング。「所変われば品変わる」というが、コロンビアのボクサーやファンはこういう「攻めないボクシング」でも満足なのだろうか? 一方、これが事実上のラストファイトとなったクック。プロとしてはやや小粒な選手だった印象。フリオ戦後、ブランク。カムバックしたが、マルコ・アントニオ・バレラにTKO負けだった。)
②ホルヘ・エリセール・フリオ 9R TKO フランシスコ・アルバレス
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1993年)
フリオ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
アルバレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:フリオがタイトル初防衛。挑戦者アルバレスはWBA12位。コロンビア・バンタム級タイトルを獲得したことがあるが、オルランド・カニザレスのIBF世界バンタム級王座への挑戦は判定負けに終わっている。カルタヘナでのコロンビア同士の一戦。粘り強く前に出るアルバレス。しかし、パンチのキレに欠けるため、攻めてもかわされてしまう。フリオはいつものようにスピーディなジャブ、右ストレートを使い、時折サウスポーにスイッチしてジャブをヒットさせる。8R終了後、アルバレスが棄権。顔の負傷が原因と思われる。ダウンシーンは無し。実力差があった試合。できればフリオには力強くダウンの一つでもとって欲しかったところ。アルバレスは再起戦(WBC米大陸バンタム級王座戦)でジュニア・ジョーンズに敗れて引退。)
③ホルヘ・エリセール・フリオ 12R 判定 リカルド・バルガス
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1993年)
フリオ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
バルガス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
12R:ワンツーでバルガスがダウン
(感想:フリオがタイトル防衛。二度目の防衛戦。WBA10位の挑戦者バルガスはメキシカン。これまで二度のKO負けがあるが、その後、メキシコ王座(バンタム級)獲得、防衛。勢いのある状況。メキシコ・ティファナでの一戦。似たタイプの二人。足でリズムを取るテンポの良いボクシング。ジャブ連打、右ストレート、左フック。フリオはワンツー、左フックからの右ストレートといったコンビネーション。打ち方も良い。バルガスは踏み込んで右ストレート、左ボディ打ち。互いにディフェンスしながら手数を出すクリーンなファイトで一進一退。中盤以降、勢いを増すフリオ。バルガスは距離を取るなど次第に受け身に。12R、ワンツーでバルガスがダウン。フリオが優勢の状態で12R終了。判定は2-0。3-0かと思われたが、序盤のバルガス手数、バルガスの地元であったことがこの採点の理由か? 共に良い選手。フリオは伸びのある右ストレート、打ち方が巧い左フック。しかし、KOにつながらないのが惜しい。バルガスはテンポは良いが、KOするような攻め方ではないのが残念。その後、バルガスはジョニー・タピアのWBO世界J・バンタム級王座に挑戦したが負傷引分。NABO王座(スーパーフライ級)を獲得、ジョニー・ゴンザレスを破って北米王座(バンタム級)を獲得して連続防衛に成功。しかし、ラファエル・マルケスとのIBF王座戦(バンタム級)に敗北。実力はあったが、相手も実力者だったことから世界王座には手が届かなかった。)
④ホルヘ・エリセール・フリオ 9R TKO ダニエル・ヒメネス
(WBO世界バンタム級タイトル戦、1998年)
フリオ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ヒメネス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
9R:右フックでヒメネスがダウン
(感想:フリオがタイトル防衛。WBA王座をジュニア・ジョーンズに奪われて初黒星を喫したフリオ。その後、WBO世界バンタム級暫定王座を獲得し、正規王者に昇格。これまで37勝(28KO)1敗。プエルトリコの挑戦者ヒメネスは「コブラ」のニックネームを持つ男で、26勝(13KO)5敗1分。WBO世界J・フェザー級王座、WBO世界バンタム級王座を獲得しており、かつて保持していた王座の奪回を目指す状況。プエルトリコ・バヤモンでの一戦。伸びるジャブ、振りが大きめのフックを使うヒメネス。フリオはジャブ。共に左を器用に使うタイプだが、スピードはフリオ。ヒメネスもいいパンチを打つが、徐々に受け身の姿勢に。8R、右フックで劣勢になったヒメネス。右ストレートでダウン(しかし、レフェリーはこれをダウン扱いせず。微妙なパンチではあったが)。フリオも右を食うがひるまない。9R、パワフルな右フックでヒメネスがダウン。立ったがレフェリーは試合を止めた。ヒメネスはストップに不満のようだったが、押され気味の状態になることが多かった。元々しっかりした打ち方ができるフリオが積極的に攻める姿勢で快勝。しかしその後、ジョニー・タピアに王座を奪われ、二階級制覇を狙ってマニー・パッキャオに挑戦したが惨敗。意外な打たれ弱さはあったが、センスの良いパンチをリズミカルに使う強豪だった。)
①「WBA World Bantamweight Title
Eddie Cook vs. Jorge Eliécer Julio」
②「WBA World Bantamweight Title
Jorge Eliécer Julio vs. Francisco Alvarez」
③「WBA World Bantamweight Title
Jorge Eliécer Julio vs. Ricardo Vargas」
④「WBO World Bantamweight Title
Jorge Eliécer Julio vs. Daniel Jimenez」
イスラエル・コントレラス(Israel Contreras)のページ
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ジュニア・ジョーンズ("Poison" Junior Jones)のページ
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マニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)②のページ
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