ジェームス・キンチェン（James "The Heat" Kinchen）「世界の強豪ボクサー：ボクシング・ブログ」

ハーンズを追い詰めたミドル級の強豪、キンチェン。マレイ・サザーランド戦、アレックス・ラモス戦、トーマス・ハーンズ戦を紹介します。

ジェームス・キンチェン（アメリカ）
身長176cm：オーソドックス（右構え）

①ジェームス・キンチェン 10R 判定 マレイ・サザーランド
（ミドル級戦、1983年）
キンチェン：左ジャブ、右ストレート、左フック
サザーランド：左ジャブ、右ストレート、左フック

（感想：カリフォルニア州サンディエゴ出身のキンチェン。ニックネームは「The Heat」（「熱い戦いをする男」？）。アマチュアで優秀な成績（タイトルを獲ったことも）。プロデビュー以来、無敗。鍛えられた体で、いかにも「強そうな黒人選手」といった見た目。サザーランドは英国の白人選手（後にIBF世界Ｓ・ミドル級タイトルを獲得）。右ストレートと左フックを狙うサザーランド。しかし、キンチェンの方がパンチにキレとパワーがある。ジャブ・右ストレート・左のボディ打ちのキンチェン。判定は３－０。ダウンシーンは無し。パンチのキレと連打でキンチェンが後の世界王者に勝利した。）

②ジェームス・キンチェン 9R KO アレックス・ラモス
（全米ミドル級タイトル戦、1984年）
キンチェン：左ジャブ、右ストレート、左右フック
ラモス：左ジャブ、右ストレート、左右フック
（ダウンシーン）
9R：右ストレートでラモスがダウン

（感想：キンチェンがタイトル獲得。これまで33勝（26KO）2分のキンチェン。王者ラモスもまた世界を狙う選手で21勝（13KO）2敗2分。ただ、マレイ・サザーランドに３－０で敗れている。実力者同士の一戦。しかし、意外にもジャブの打ち合いの展開が続く。キンチェンは足を使ってあまり攻めていかない。9R、右ストレートで足に来たラモス。キンチェンが一気にラッシュしてKO。ラモスはディフェンスができない体勢で危険なパンチをまともに食ってしまった。両者ともパンチにキレがあったが、キンチェンの方がパワーで上だった印象。ただ、9Rに右ストレートが当たらなかったら判定まで行っていたかも。もう少しキンチェンには攻めて欲しかった。）

③トーマス・ハーンズ 12R 判定 ジェームス・キンチェン
（北米Ｓ・ミドル級タイトル戦、1988年）
キンチェン：左ジャブ、右ストレート、左右フック
ハーンズ：左ジャブ、右ストレート、左フック
（ダウンシーン）
4R：左フックでハーンズがダウン

（感想：ハーンズがタイトル獲得。ラモスに勝ったキンチェンだが、次の試合でジェームス・シュラーに敗北。さらにアイラン・バークレー、ファン・ドミンゴ・ロルダンといった当時の実力派にも敗北。しかし、北米Ｓ・ミドル級王座を獲得して浮上。大物ハーンズの挑戦を受けることに。ハーンズは説明不要の有名選手。「ヒットマン」と呼ばれる倒し屋でこれまで四階級を制覇。ただし、マービン・ハグラー戦で右拳を骨折して以来、強打に陰りが。ラスベガスでの注目カード。会場ではマイク・タイソン、女優ボー・デレクが観戦。積極的にフックで攻めるキンチェン。ハーンズは速い左ジャブと左フックで応戦。しかしハーンズは左のパンチが多く、右は相手に合わせるような感じで当てるように打つ程度。そのためキンチェンの攻撃を持て余す。4Rのダウン。その後はフットワークとジャブで距離を取り、打ち合いを避けるハーンズ。テクニックのハーンズ。パワーのキンチェン。判定は２－０。ハーンズのジャブが評価されたと思われる。ダウンを喫し、右目を腫らして苦戦したハーンズ。ハーンズといえばピピノ・クエバス、ロベルト・デュラン、ジェームス・シュラーをKOしたときの右ストレートが印象強いが、この試合では強い右はあまり出なかった。拳の状態が良くなかったのだろう。この後、新興団体WBOからＳ・ミドル級王者に認定されたことで「五階級制覇」達成のハーンズ。レナードもこの後すぐに五階級制覇（二階級の王座を同時に懸ける裏技）。「獲ったタイトルの数」でボクサーが評価される時代の幕開けとなった。後、キンチェンはバージル・ヒルのWBA世界Ｌ・ヘビー級王座に挑戦して1RでTKO負け。チャールズ・ウィリアムスのIBF世界Ｌ・ヘビー級王座に挑戦して2RでTKO負け。Ｌ・ヘビー級の選手ではないため、これらの敗北が彼本来の実力というわけではないが、一番強かったミドル級時代に星を落として良いチャンスを逃したのが悔やまれる。）

①「Middleweight
James Kinchen vs. Murray Sutherland」
②「USBA Middleweight Title
Alex Ramos vs. James Kinchen」
③「NABF Super Middleweight Title
James Kinchen vs. Thomas Hearns」

アレックス・ラモス（"Bronx Bomber" Alex Ramos）のページ

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ジェームス・シュラー（James Shuler）のページ

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トーマス・ハーンズ（Thomas "The Hit Man" Hearns）のページ

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バージル・ヒル（Virgil "Quicksilver" Hill）のページ

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チャールズ・ウィリアムス（Charles Williams）のページ