2020年1月12日日曜日

レイ・マーサー("Merciless" Ray Mercer)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ヘビー級のハードパンチャー、「マーシレス(無慈悲な)」マーサー。バート・クーパー戦、フランチェスコ・ダミアニ戦、トミー・モリソン戦を紹介します。

レイ・マーサー("Merciless" Ray Mercer)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

レイ・マーサー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

レイ・マーサー 12R 判定 バート・クーパー
(北米ヘビー級タイトル戦、1990年)
マーサー:左ジャブ、右ストレート
クーパー:接近して左右フック、右アッパー
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでクーパーがダウン
(感想:フロリダ州出身のマーサー。陸軍に入隊し、ボクシングを始める。1988年ソウルオリンピックに出場し、ヘビー級で金メダル。プロに転向したのは28歳(かなり遅い)。デビュー以来、KOで連戦連勝(「マーシレス(無慈悲な)」というニックネームはデビュー当初に付けられたらしい)。元WBA世界クルーザー級王者のオジー・オカシオを破ったり、IBFのインター王座を奪ったりといった実績。クーパーはタフ男。元々はクルーザー級で北米王座を獲得、防衛していたが、その王座を奪われ、ヘビー級へ。オーリン・ノリス(後、WBA世界クルーザー級王座を獲得)を破って北米ヘビー級タイトル獲得。これが初防衛戦となる。初回から激しい打撃戦。右ストレートでクーパーはダウンを喫したが、互いにパワーがあり、マーサーも唇を切り、頬が腫れるなどダメージが大きい。判定は3-0。結局、マーサーがクーパーのタフネスを押し切って勝利、王座獲得。TV映像でもかなり迫力があった試合。リングサイドのファンは「凄いものを観た」という感想を持ったのではないか? こういうヘビー級の試合を観てしまうと「パウンド・フォー・パウンド」のトップはやっぱりヘビー級から選ばれるべきだという気がしてくる。)

レイ・マーサー 9R KO フランチェスコ・ダミアニ
(WBO世界ヘビー級タイトル戦、1991年)
マーサー:左ジャブと左フック
ダミアニ:左ジャブと連打
(ダウンシーン)
9R:左フックでダミアニがダウン
(感想:マーサーがタイトル獲得。注目の全勝対決。マーサーは1988年ソウルオリンピックのヘビー級で金メダル。イタリアの王者ダミアニは1984年ロサンゼルスオリンピックのスーパーヘビー級で銀メダル。オリンピアン同士の対戦。マーサーが左ジャブ、そして振りの大きい左フック。ダミアニは左ジャブと細かい連打。ダミアニは身長190cmあるが、顔の表情や細かいパンチを使うところから「強い」というイメージがあまり無い。マーサーは強打者だが相手を見てしまって手数が少なくなるシーンが多い。9R、かするような左フックが鼻に当たってダミアニがダウン。激しく出血し、続行できなかった。試合運びにじれったいものがあったが、マーサーが豪快なKO勝ち。ダミアニはこの試合までダウンしたことがなかったそうだが、マーシレスな左フックには耐えられなかった。)
                       
レイ・マーサー 5R TKO トミー・モリソン
(WBO世界ヘビー級タイトル戦、1991年)
マーサー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
モリソン:左右フックと右アッパー
(ダウンシーン)
5R:左右フックでモリソンがダウン
(感想:マーサーがタイトル初防衛。モリソンはいわゆる「ホワイトホープ(白人の希望)」。黒人が優勢なヘビー級では珍しい、世界を狙えるレベルの白人選手。映画『ロッキー5/最後のドラマ』に準主役で出演したため、全米レベルでの知名度がある人気選手。リングサイドではドナルド・トランプが観戦(後に大統領になるとは誰が予想しただろう?)。開始から接近して左右フック、右アッパーで攻めるモリソン(マイク・タイソンばりの「右ボディからの右アッパー」を見せたシーンも)。マーサーは左ジャブ、右ストレートで迎え撃つ形。モリソンの攻撃にドッと沸く客席。しかし、5R。グラッときたモリソンに一気にマーサーがラッシュ。左右フックを乱打してモリソンを粉砕。歴史に残るKO劇。マーサーのあまりにも凄まじい勢いの連打にレフェリーも割って入れず、壮絶なKOシーンとなった。劣勢になるシーンもあったマーサーだが、反撃のチャンスをうかがい、5Rに一気に倒し切った。「勝負をかける勘」は見事なものだった。モリソンは攻撃力は凄かったが、生来の打たれ弱さがあったのが残念(後のキャリアにも影響)。なかなか凄まじい勝ちっぷりだったマーサー。しかし、ここまで。次の試合で老雄ラリー・ホームズにつまらない負け方で初黒星。おまけにWBO王座を試合前に剥奪されてしまい、結局、王座に返り咲くことはなかった。総合格闘技に参加したり、またボクシングに戻ったり、とやや中途半端なキャリアだったような気もするが、プロデビューが遅かったため、様々なことにチャレンジしたかったのだと思われる。WBO戦をやっていた頃が彼のベストであろう。)

①「NABF Heavyweight Title
Ray Mercer vs. Bert Cooper」
②「WBO World Heavyweight Title
Francesco Damiani vs. Ray Mercer」
③「WBO World Heavyweight Title
Ray Mercer vs. Tommy Morrison」

バート・クーパー(Bert Cooper)のページ
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フランチェスコ・ダミアニ(Francesco Damiani)のページ
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トミー・モリソン(Tommy "The Duke" Morrison)のページ

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