ブラジルの英雄。イベンダー・ホリフィールド戦、ジョージ・フォアマン戦、ジョニー・ネルソン戦ほかを紹介します。
アディルソン・ロドリゲス(ブラジル)
身長185cm:オーソドックス(右構え)
①イベンダー・ホリフィールド 2R KO アディルソン・ロドリゲス
(WBC米大陸ヘビー級タイトル戦、1989年)
ロドリゲス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ホリフィールド:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:右フックでロドリゲスがダウン
(感想:サンパウロ出身のロドリゲス。ボクサーになる前はナイトクラブの用心棒だったとか(「ボクシングマガジン89年1月号」より)。これまでKO負けが二つあるが、ジェームズ・ボーンクラッシャー・スミス、レジー・グロス、アルフレド・エバンヘリスタ、ジェームス・ティリスを破るなど、戦績は悪くない。ただ、ブラジルでの試合がほとんどであり、このホリフィールド戦はロドリゲスにとってボクシングの本場アメリカで実力を証明する大事な試合。ネバダ州ステートラインでの一戦(レフェリーはミルズ・レーン)。積極的にジャブ、得意の左ボディフックを飛ばすロドリゲス。ホリフィールドは冷静に相手の動きを見る。2R、キレのあるパンチを打っていたロドリゲスだが、ホリフィールドのいきなりの右フックがテンプルに当たってダウン。ロドリゲスが衝撃の失神KO負け。文句ナシの完全なKOだった。この当時の世界ヘビー級王者はマイク・タイソン。ロドリゲスも「タイソンを狙う選手」として期待されていたが、これで大きく後退することになった。その後のホリフィールドは説明不要。世界ヘビー級王座を獲得。タイソンとの因縁の対決にKO勝ちするなどの活躍。)
②ジョージ・フォアマン 2R KO アディルソン・ロドリゲス
(ヘビー級戦、1990年)
ロドリゲス:左ジャブ、右ストレート、左フック
フォアマン:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:左フックでロドリゲスがダウン
(感想:ホリフィールド戦後、再起戦に勝利したロドリゲス。その次の相手は「伝説」。フォアマンは70年代に王者だった男。引退後、牧師になり、その活動資金を得る目的もあってリング復帰。「今更カムバックしてどうすんだ?」という声もあったが、復帰後は重い強打で連戦連勝。ヘビー級上位陣もウカウカしてられない存在に。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。ロドリゲスが積極的にジャブを飛ばす。フォアマンは丸太ん棒のような腕で「ドスンドスン」といった感じのジャブ。フォアマンのジャブに押されて後退するロドリゲス。2R、「ガツン」と左フックが入ってロドリゲスがダウン、KO。フォアマンが快勝。動きはそれほど速くないが、ここぞというときのパンチは速かった。ロドリゲスは負けたが、相手はあのフォアマン。レジェンドと試合できて良い思い出になったのでは? その後のフォアマンも説明不要。世界ヘビー級王座奪回。それで満足したらしく、以後は苦戦が続いた。)
③アディルソン・ロドリゲス 10R 判定 デビッド・ジャコ
(ヘビー級戦、1993年)
ロドリゲス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ジャコ:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
2R:左ボディでジャコがダウン
(感想:フォアマン戦後、南米王座を連続防衛のロドリゲス(地元では強い)。ジャコはオハイオ州トレド出身の白人で、身長が198cmもある。しかし、背の高い選手は「パワー不足」であることがよくあり、ジャコも例外ではない。マイク・タイソンに1Rで倒されるなどポジション的には中堅選手であるが、トニー・タッカー、マイク・ウィーバー、フォアマン、トミー・モリソンといった実力者と戦ってきた。ただ、このところバート・クーパーらを相手に五連敗中。ブラジル・サンパウロでの一戦。動きとパンチにキレが無いジャコ。アップライトスタイルでワンツー主体のボクシングだが、フックは手打ち気味。非常に残念なことにロドリゲスもキレが無い(ホリフィールド戦、フォアマン戦のときとは別人のよう)。ジャブで前に出るが、単発の右ストレート、左フック。2R、ロドリゲスが踏み込んで打った左ボディでジャコがダウン。その後もジャコは相変わらずだが、ロドリゲスは少しペースアップ。7R、ジャコの右カウンターにロドリゲスは左フックで対抗。8R、ロドリゲスが右ストレート、連打。10Rには左フックで優勢。10R終了。判定は3-0。ロドリゲスが攻勢点で勝利。しかし、覇気のない攻め。ブラジルのヘビー級はこの程度の選手でも勝ち続けることができるようだ。ジャコは手数を出していたが、ヘビー級のパワーは無し。この次の試合で「懐かしの選手」デビッド・ベイ(ラリー・ホームズのIBF王座に挑戦してKO負けしたことがある)にTKO負けで引退。)
④アディルソン・ロドリゲス 12R PTS ジョニー・ネルソン
(WBF世界ヘビー級タイトル戦、1995年)
ロドリゲス:左ジャブと右ストレート
ネルソン:左ジャブだけ(!)
(感想:ロドリゲスがタイトル獲得。アメリカのトップ選手ホリフィールド、フォアマンにぶっ倒されたロドリゲス。ジャコ戦後、連勝だったが、マイク・エバンスにKO負け。再起してブラジル・サンパウロで「WBF」(世界チャンピオンを認定する新興団体)の王座に挑戦。王者ネルソンは英国の黒人で、元々はクルーザー級の選手。ニックネームは「The Entertainer」。どんな試合をする男なのか? と思ったら、「これが世界ヘビー級タイトル戦?」といった内容。ネルソンが左腕を下げた構えからジャブ。ロドリゲスもジャブを打つが、右パンチはかわされてしまう。このパターンが最初から最後まで続いた(1Rと12Rだけ観ればよかったかも)。最終ラウンド終了時、両者とも「自分が勝った」とアピール。「勝利」のアナウンスにメチャ喜ぶロドリゲスと観客(「どちらも負け」でいいのではと思うほどアクションに乏しい内容だったが、観客が喜んでいるのであればそれでよいのかも)。後にWBO世界クルーザー級王者になるネルソン。この試合では本当にジャブを打つだけ。それ以外の見せ場としては、ロドリゲスを挑発するような動き(レフェリーに注意された)ぐらいだったのも少し悲しい。ようやく「世界王者」になったロドリゲスだが、「本当のトップ」になったとは言い難い。しかしながら、トータルで85戦もやって、名のある相手にも勝っている。こういう「地元のヒーロー」の存在はファンにとっては嬉しいことだったに違いない。)
①「WBC Continental Americas Heavyweight Title
Evander "The Real Deal" Holyfield vs. Adílson Rodrigues」
②「Heavyweight
George Foreman vs. Adílson Rodrigues」
③「Heavyweight
Adílson Rodrigues vs. David Jaco」
④「WBF World Heavyweight Title
Johnny "The Entertainer" Nelson vs. Adílson Rodrigues」
イベンダー・ホリフィールド②(Evander Holyfield)のページ
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ジョージ・フォアマン(George Foreman)のページ
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ジョニー・ネルソン(Johnny Nelson)のページ
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