2025年9月6日土曜日

セバスチャン・シルベスター(Sebastian Sylvester)&フェリックス・シュトルム(Felix Sturm)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ドイツのミドル級。「シルベスター vs. アシカイネン」「シュトルム vs. アルコバ」「シュトルム vs. シルベスター」を紹介します。


セバスチャン・シルベスター(ドイツ)

身長172cm:オーソドックス(右構え)


フェリックス・シュトルム(ドイツ)

身長181cm:オーソドックス(右構え)


アミン・アシカイネン 8R TKO セバスチャン・シルベスター

(欧州ミドル級タイトル戦、2006年)

セバスチャン・シルベスター(Sebastian Sylvester)&フェリックス・シュトルム(Felix Sturm)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

アシカイネン:左ジャブ、右ストレート、フック

シルベスター:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

8R:左フックでシルベスターがダウン

(感想:アシカイネンがタイトル獲得。王者シルベスターはドイツ人(グライフスヴァルト出身)。アマチュアで活躍。プロではこれまで21勝(9KO)1敗。この「1敗」はデビュー戦で1RでKOされたもので、それ以降は勝利してきた。IBFのインターコンティネンタル王座(ミドル級)も獲得している。挑戦者アシカイネンはフィンランド・キルッコヌンミ出身。12歳でボクシングを始め、アマチュアで活躍(世界選手権出場)。プロ入り後は17戦全勝(15KO)。ドイツ・ハノーファーでの一戦。共にガードを上げて力強いジャブ、ワンツー。パンチに伸びがあるシルベスター。ジャブ、ストレートをヒットさせ、左ボディからの左フックをいったコンビネーションを使う。距離を取りながら戦うアシカイネンはワンツーをブロックされてしまう。ところが次第にアシカイネンに勢いが。精力的にワンツーからの左フック。7R、バッティングでシルベスターが左眉の上をカット。8R、連打するアシカイネン。左フックでシルベスターがダウン。立ったが、レフェリーは試合を止めた。アシカイネンがワンツー、左フックで勝利。粘り強さを感じる試合ぶりだった。シルベスターは残念。よく前に出ていたが、バッティングで流れが変わってしまった。その後、アシカイネンは欧州王座を防衛したが、敗北もあって世界挑戦ならず。)


フェリックス・シュトルム 12R 判定 ノエ・トゥリオ・ゴンザレス・アルコバ

(WBA世界ミドル級タイトル戦、2007年6月)

セバスチャン・シルベスター(Sebastian Sylvester)&フェリックス・シュトルム(Felix Sturm)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

シュトルム:左ジャブ、右ストレート、フック   

アルコバ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:シュトルムがタイトル初防衛。ドイツ・レーバークーゼン出身のシュトルム(ボスニア系ドイツ人)。本名「アドナン・チャティッチ」。両親がボスニア・ヘルツェゴビナの戦乱を逃れてドイツに移住した過去。アマチュアの大会で優勝経験。2000年のシドニーオリンピックにはライトミドル級で出場(ジャーメイン・テイラーに敗れてメダル獲得ならず)。プロデビューから全勝でWBO世界ミドル級王座獲得。オスカー・デラ・ホーヤに敗れて王座陥落、初黒星。WBA王座獲得。ハビエル・カスティリェホに王座を奪われたが、奪回。アルコバ戦は奪回した王座の初防衛戦。挑戦者アルコバはウルグアイ・パンド出身の黒人。主戦場はアルゼンチン。これまで全勝。WBAの地域王座(ミドル級)を獲得している。ドイツ・シュトゥットガルトでの一戦。ドレッドヘアーのアルコバ。実に積極的で、手数が多い。ダッキングしながら前進し、右フックからの左ボディ打ち、ワンツー、アッパー。シュトルムは何とも地味な男。ブロックを固めて相手が打ち終わった後、ガードの隙を突く。テンポ良くコンビネーションするアルコバだが、ブロックされて逆に細かいパンチを食う。しかも次第に疲れが出て、攻めるときのディフェンスが甘くなっていく。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定はジャッジの一人がフルマーク(120-108)の3-0。何とも悲しい世界戦。終始前に出て、多く手数を出した方が負けるとは。ブロック&ちょっとした反撃でシュトルム勝利。地元のファンは大喜びしていたが、それ以外のボクシングファンにとっては何にも面白くない試合。アルコバは打ち方が良く、素晴らしいコンビネーション。しかし、パンチがやや軽め。「一発のパワー」に欠けていたか。その後のアルコバ。連勝。WBOの地域王座(ミドル級)、WBCのシルバー王座(ミドル級)を獲得。しかし、シルバー王座戦などのタイトル戦で敗北するようになり、二度目の世界挑戦はなかった。)


フェリックス・シュトルム 12R 判定 セバスチャン・シルベスター

(WBA世界ミドル級タイトル戦、2008年)

セバスチャン・シルベスター(Sebastian Sylvester)&フェリックス・シュトルム(Felix Sturm)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

シュトルム:左ジャブ、右ストレート、フック

シルベスター:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:シュトルムがタイトル防衛。奪回した王座を守り続ける王者シュトルム。挑戦者シルベスターはアシカイネンから欧州王座を奪回し、連続防衛。これが初の世界挑戦。ドイツ・オーバーハウゼンで行われたドイツ人同士の一戦。ジャブを連打するシュトルム。左フック、左ボディ打ちなど左のテクニックを見せる。シルベスターはジャブ、ワンツーをよく使う。互いに相手の攻撃をブロック。ダウンシーンなど大きな見せ場がないまま12R終了。判定は3-0。シュトルムの手数、特にジャブが評価されたか。まるでアマチュアの試合のようだった一戦。クリーンなファイトなのは良かったが、テクニックで淡々と12Rが過ぎていった。もう少しプロらしい畳み掛ける攻めを見たかったところ。その後の二人。シルベスターはIBF世界ミドル級王者に。防衛にも成功。シュトルムはWBA世界スーパーミドル級王座、IBF世界ミドル級王座も獲得。しかし、ドーピング違反、脱税で逮捕といったトラブル。何とも微妙な男だ。)


①「EBU Middleweight Title

Sebastian Sylvester vs. Amin Asikainen」

②「WBA World Middleweight Title

Felix Sturm vs. Noe Gonzalez Alcoba」

③「WBA World Middleweight Title 

Felix Sturm vs. Sebastian Sylvester」

 

2025年9月3日水曜日

シャーマン・ウィリアムス(Sherman Williams)&ドミニク・グイン(Dominick Guinn)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ヘビー級中堅選手。「ウィリアムス vs. マーティン、サイクス」「グイン vs. ムーア、ホーキンス」を紹介します。


シャーマン・ウィリアムス(バハマ)

身長180cm:オーソドックス(右構え)


ドミニク・グイン(アメリカ)

身長188cm:オーソドックス(右構え)


トミー・マーティン 10R 判定 シャーマン・ウィリアムス

(ヘビー級戦、1999年)

シャーマン・ウィリアムス(Sherman Williams)&ドミニク・グイン(Dominick Guinn)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

マーティン:左ジャブ、右ストレート、フック   

ウィリアムス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:白人のマーティン(アメリカ)はこれまで14勝(12KO)2敗。身長196cmの大型選手で、アマチュア時代にタイトルを獲ったことがある。しかし、直前の試合はホルヘ・ルイス・ゴンザレス(キューバ)にTKO負け。黒人ウィリアムスはバハマ出身で14勝(11KO)3敗。このところ二連勝中。モントリオールでの一戦。初回から攻めるウィリアムス。ジャブを連打して猛烈な左右フック。マーティンはややアップライトな姿勢でジャブ、フック。ひたすら前進するウィリアムスにマーティンは足とジャブで距離を取ろうとする。さすがに疲れたか、終盤は互いにクリンチが目立つ。10R終了。判定は3-0でマーティン。映像では攻めたウィリアムスが勝ったように見えた。リングサイドのジャッジには応戦するマーティンのパンチの方が正確に入っているように見えたのだろう。その後、マーティンは連勝を続けたが、レイモン・ブリュースターと地域王座を争って3RでTKO負け。それがラストファイトに。王座とは無縁のキャリアだった。)


タウラス・サイクス 10R 判定 シャーマン・ウィリアムス

(ヘビー級戦、2002年)

シャーマン・ウィリアムス(Sherman Williams)&ドミニク・グイン(Dominick Guinn)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

サイクス:左ジャブ、右ストレート、フック

ウィリアムス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ニューヨークの黒人サイクス。ニックネームは「The Bull」。これまで19勝(5KO)1敗。ウィリアムスは20勝(13KO)6敗1分。マーティン戦後、オベド・サリバンと空位のNABF王座を争って2-1で判定負けしている。ワシントン州タコマでの一戦。共に黒人。体型も似ているうえ、同じ黒のトランクス。互いにジャブ。しかし、その後がよろしくない。互いに動きの機敏さに欠け、攻めてはクリンチ。接近戦ではもみ合い、ボディ打ち。フックで攻めるサイクスだが、動きのスピードがウィリアムスと同じくらいなためすぐにもみ合い、クリンチ。それを繰り返して10R終了。判定は3-0。攻めたサイクスの勝ちなのは間違いないところではあるが、心情的には「引き分けでもよい」「10回戦ではなく4回戦で十分」と思ったほど盛り上がりに欠けた内容だった。その後の二人。サイクスはNABA王座を獲得したが、サミュエル・ピーターにKO負けで王座陥落。以後は敗北が多くなっていった。ウィリアムスはWBAの地域王座を獲得するなど息の長いキャリアとなった。)


ドミニク・グイン 4R 判定 アンソニー・ムーア

(ヘビー級戦、2000年)

シャーマン・ウィリアムス(Sherman Williams)&ドミニク・グイン(Dominick Guinn)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

グイン:左ジャブ、右ストレート、フック   

ムーア:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:アーカンソー出身のグイン。9歳でボクシングを始め、優秀な成績。ところがギャングのメンバーでもあり、刑務所へ。出所後もアマチュアで活躍。そしてプロへ。デビュー以来、六連勝。ムーアはシアトル出身。西島洋介に判定負けしたことがあり、このところ連敗中。ラスベガスでの黒人同士の一戦。ジャブを連打するグイン。やや慎重姿勢ではあるが、右ストレートにキレがある。ムーアもジャブ。左フックにパワーがあるが、ディフェンスに甘さ。接近戦では互いにクリンチ多し。4R、左フック、右ストレートを連続ヒットさせるグイン。判定は3-0。戦力的には似たような二人。ディフェンスの差で勝負がついた。その後、ムーアは勝ち星ナシでキャリア終了。)


ロバート・ホーキンス 10R 判定 ドミニク・グイン

(ヘビー級戦、2007年)

シャーマン・ウィリアムス(Sherman Williams)&ドミニク・グイン(Dominick Guinn)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

グイン:左ジャブ、右ストレート、フック

ホーキンス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ムーア戦後、グインは勝ち続けたが、ジェームス・トニーとIBA王座を争って敗れたりするなど次第に勝ったり負けたりに。直前の試合では判定負けを喫しており、これが再起戦となる。ホーキンスはフィラデルフィア出身で、ガッチリした体。「IBU」なる団体の王座を獲得したり、NABA王座戦でサミュエル・ピーターに敗れたりといったキャリア。カナダ・リッチモンドでの一戦(会場であのジョー・フレージャーが観戦)。グインが素晴らしい立ち上がり。速いジャブ、パワーのありそうな右ストレート。フックも器用に使う。ホーキンスはひたすら相手に密着してフック、ボディ打ち。次第に相撲のような試合に。もみ合い、クリンチ。時にはラウンドの最初からクリンチ。超接近戦でフックを打つホーキンス。グインはどういたらいいのかわからないといった感じの試合ぶり。盛り上がらないまま10R終了。判定は3-0。典型的なダメな重量級の試合。互いにスタミナ切れで攻撃が続かないパターン。グインは素晴らしい素質の持ち主だが、これはいただけない。セコンドのロニー・シールズ、フレージャーはグインを見てどう思っただろう? その後、グインは中堅どころでキャリア終了。ホーキンスはグイン戦後は全敗だった。)


①「Heavyweight 

Tommy Martin vs. Sherman Williams」

②「Heavyweight 

Taurus Sykes vs. Sherman Williams」

③「Heavyweight 

Dominick Guinn vs. Anthony Moore」

④「Heavyweight 

Dominick Guinn vs. Robert Hawkins」

 

2025年8月29日金曜日

セレスティーノ・カバジェロ(Celestino Caballero)&ファン・カルロス・サンチェス・ジュニア(Juan Carlos Sanchez Jr)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

スーパーバンタム級。「ゲレロ vs. ラシエルバ」「カバジェロ vs. ラシエルバ」「サンチェス vs. サモラ」を紹介します。


セレスティーノ・カバジェロ(パナマ)

身長180cm:オーソドックス(右構え)


ファン・カルロス・サンチェス・ジュニア(メキシコ)

身長174cm:サウスポー


アルマンド・ゲレロ 10R 引分 ホルヘ・ラシエルバ

(フェザー級戦、2004年)

セレスティーノ・カバジェロ(Celestino Caballero)&ファン・カルロス・サンチェス・ジュニア(Juan Carlos Sanchez Jr)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ゲレロ:左ジャブ、右ストレート、右フック

ラシエルバ:ジャブ、ストレート、フック

(感想:メキシカン同士の対戦。これまで20勝(11KO)3敗5分のゲレロ。テキサスのローカル王座(スーパーバンタム級)を獲得した実績。ラシエルバ(サンタ・アニータ出身)は26勝(18KO)5敗4分。WBAの地域王座(フライ級)、IBA王座(バンタム級)などを獲得してきたが、マーク・ジョンソンとIBF王座(フライ級)を争って敗北。サンアントニオでの一戦。ゲレロはリカルド・ロペスのような選手。左右にダッキングしながらジャブ、ワンツー、踏み込んで左フック。ラシエルバもまた良いワンツー、左フック。しかしながら、中途半端にサウスポーにスイッチする。共に左フックを武器とするが、互いにディフェンスして決定打を許さない。10R終了、引き分け。個人的には常に前に出たゲレロの勝ちでいいと思うが、ラシエルバはコンビネーション(ワンツーからの左フック)に良さがあった。その後ゲレロはイスラエル・バスケスとIBF世界スーパーバンタム級王座、タカラニ・ヌドロブとIBOスーパーバンタム級王座を争って敗北。大きなタイトルを獲ることはできなかった。)


セレスティーノ・カバジェロ 12R 判定 ホルヘ・ラシエルバ

(WBA世界スーパーバンタム級タイトル戦、2007年)

セレスティーノ・カバジェロ(Celestino Caballero)&ファン・カルロス・サンチェス・ジュニア(Juan Carlos Sanchez Jr)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

カバジェロ:左ジャブ、右ストレート、フック

ラシエルバ:ジャブ、ストレート、フック

(感想:カバジェロがタイトル防衛。これまで32勝(22KO)6敗6分のラシエルバ。IBF世界バンタム級王座挑戦者決定戦に敗れたが、「GBU」なる団体のフェザー級王座を獲得するなどこのところ連勝中。WBA13位としてアメリカで世界挑戦。王者カバジェロはスラリとしたパナマ人で26勝(18KO)2敗。決定戦で暫定王座を獲得し、正規王者との統一戦に勝利した経緯がある。テキサス州イダルゴでの一戦。長いジャブ、右ストレートを伸ばすカバジェロ。接近戦では振りが大きめのフック。ラシエルバは接近して左フックを中心とする連打。ディフェンスしながらカバジェロが左のガードを下げた構えからジャブ、スウェー、ダッキング。左フックにパワーがあるラシエルバだが、クリンチ、ホールドされて不発。6R、フラストレーションが溜まったのか、ラシエルバがヘディング、減点。共に時折サウスポーにスイッチするが、あまり効果無し。12R終了。判定は3-0。カバジェロが長いパンチで勝利。しかし正直なところ、両者ともパンチの正確さに欠き、ホールドが多く、盛り上がりにくい試合だった印象。その後の二人。ラシエルバはIBF世界フェザー級王座に挑戦したが敗北。マイナー団体の王者にとどまった。カバジェロはIBF王座も獲得し、統一に成功。さらにWBA世界フェザー級王座も獲得。しかし、プライベートで問題。薬物がらみの事件で逮捕されてしまった。)


ファン・カルロス・サンチェス・ジュニア 7R TKO ダーウィン・サモラ

(スーパーバンタム級戦、2013年9月)

セレスティーノ・カバジェロ(Celestino Caballero)&ファン・カルロス・サンチェス・ジュニア(Juan Carlos Sanchez Jr)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

サンチェス:右ジャブ、左ストレート、フック   

サモラ:右ジャブ、左ストレート、フック   

(ダウンシーン)

6R:左ストレートでサモラがダウン

(感想:サンチェスはメキシカン(ロス・モチス出身)。これまで16勝(8KO)1敗1分。IBF世界スーパーフライ級王者だったが、ウェイトオーバーで王座剥奪。階級を上げて、この試合。サモラはニカラグア・マタガルパ出身で、21勝(18KO)8敗1分。地元で連勝後、メキシコで二連敗。地元でWBAの地域王座(スーパーフライ級)を獲ったが、海外では勝てない(英国でジェイミー・マクドネルに敗北)。ニカラグア・マナグアでの一戦。共にサウスポー。ジャブ、ストレート、右フック。テクニックで勝負するタイプで、パワーはそこそこ。サンチェスはストレート、サモラはフックに力を入れる。4R、サンチェスがボディ連打。6R、サモラが右眉付近をカットし、ドクターチェック。再開後、軽い連打をまとめるサンチェス。ラウンド終了直前、左ストレートでサモラを倒す。7R、キズでストップ。サンチェスがテクニックで勝利。ダウンを奪った左ストレートが良かった。サモラは器用なタイプだが、パワーの点で「平均的な選手」といったところか。これが最後の試合に。その後のサンチェス。次の試合でゾラニ・テテにKO負け。WBOインター王座戦(スーパーバンタム級)で判定負けするなど勝ったり負けたり。上の階級では通用しなかった。)


①「Featherweight 

Armando Guerrero vs. Jorge Lacierva」

②「WBA World Super Bantamweight Title

Celestino Caballero vs. Jorge Lacierva」

③「Super Bantamweight 

Juan Carlos Sanchez Jr vs. Darwin Zamora」

 

2025年8月27日水曜日

トーマス・ウリク(Thomas Ulrich)&スティーピ・ドレウス(Stipe Drews)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

欧州ライトヘビー級。「ユルゲン・ムロク vs. ジョビック」「ウリク vs. ブランコ」「ドレウス vs. ブランコ」を紹介します。


トーマス・ウリク(ドイツ)

身長185cm:オーソドックス(右構え)


スティーピ・ドレウス(クロアチア)

身長196cm:サウスポー


ユルゲン・ムロク 2R KO ジョシプ・ジョビック

(ライトヘビー級6回戦、1992年9月)

トーマス・ウリク(Thomas Ulrich)&スティーピ・ドレウス(Stipe Drews)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ムロク:右ジャブ、左ストレート、フック   

ジョビック:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

2R:右フックで2度、ジョビックがダウン

3R:左ストレートでジョビックがダウン、連打でスタンディングダウン

(感想:ドイツの新鋭ムロクはゼンデン出身。ジョビックはクロアチアの選手で、まだ勝ったことがない。ハンブルグでの一戦。攻める姿勢のムロク。サウスポースタイルでダッキングしながらジャブ、ストレート、右フック。ジョビックは右ストレートで応戦。2R、右フックが頭の固いところ付近にヒットしてジョビックがダウン。さらに右フックで二度目のダウン。3Rには左ストレートでダウン。立ったが、連打を浴びてスタンディングカウントを聞く。続行をアピールするジョビックだが、レフェリーは試合を止めた。積極的な姿勢でムロクが快勝。ディフェンスもよくできていた。ジョビックは良い右ストレートを持っていたが、攻めるときに隙があった。その後の二人のキャリアはなかなか興味深い。「BOXREC」の記録によるとジョビックは結局、一度も勝つことなくキャリア終了。ムロクは逆に負け無しで引退。共に地域王座戦に出場したが勝てず、無冠に終わった。)


トーマス・ウリク 11R TKO シルビオ・ブランコ

(欧州ライトヘビー級王座決定戦、2004年)

トーマス・ウリク(Thomas Ulrich)&スティーピ・ドレウス(Stipe Drews)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウリク:左ジャブ、右ストレート、フック

ブランコ:左ジャブ、右ストレート、左フック

(ダウンシーン)

11R:右ストレートでブランコがダウン

(感想:ウリクがタイトル獲得。これまで49勝(30KO)7敗2分のブランコ(イタリア・チビタベッキア出身)は前WBA世界ライトヘビー級王者。ファブリス・ティオーゾに王座を奪われ、これが再起戦となる。ウリクはドイツ・ベルリン出身で、26勝(18KO)1敗。アマチュアで活躍。1996年のアトランタ・オリンピックではライトヘビー級で銀メダル。プロではWBOのインターコンティネンタル王座、欧州王座、WBCインター王座(全てライトヘビー級)を獲得している。ドイツ・ツウィッカウでの一戦。共にジャブ。ブランコがアップライトな姿勢から速いワンツー、左フック。腕っぷしが強いウリクはガードを上げてジリジリ前進し、1Rから強烈な右をヒットさせる。キレイなワンツーを打つなど手数が多いブランコだが、ディフェンスに弱点がある印象。11R、右ストレートが効いたブランコ。さらに右を食ってダウン。立ったがフラついてストップされた。ウリクが強打で快勝。ブランコは手数が多かったが、それをブロックして強打を叩き込んだ。一発のパワー、ディフェンスに差があった。その後、ウリクはWBC次いでWBOの世界王座(いずれもライトヘビー級)に挑戦したが勝てず。)


スティーピ・ドレウス 12R 判定 シルビオ・ブランコ

(WBA世界ライトヘビー級タイトル戦、2007年)

トーマス・ウリク(Thomas Ulrich)&スティーピ・ドレウス(Stipe Drews)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ドレウス:右ジャブ、左ストレート、フック

ブランコ:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

8R:ワンツーでドレウスがダウン

(感想:ドレウスがタイトル獲得。これまで55勝(34KO)8敗2分のブランコ。WBA世界ライトヘビー級暫定王座を獲得したが、正規王者ファブリス・ティオーゾが引退したため、正規王者に認定。これが初防衛戦。ドレウスはクロアチア・マカルスカ出身。本名は「Stipe Drvis(スティーピ・ダービシュ)」で、主戦場のドイツでは「Stipe Drews(スティーピ・ドレウス)」と呼ばれている(なぜ?)。1996年のアトランタ・オリンピックにライトヘビー級で出場(メダルは獲得ならず)。プロでは31勝(13KO)1敗。ブランコとは空位の欧州王座(ライトヘビー級)を懸けて戦ったことがあり、ドレウスの判定勝ち。初めての世界挑戦で再びブランコを下すことができるかどうか、といったところ。ドイツ・オーバーハウゼンでの一戦。いかにもサウスポー、といった感じのドレウス。距離を取ってジャブ、左ストレート。カウンター狙いで自分からは攻めない。ブランコは上体を動かしながらひたすら前進し、右ストレート、左右フック。噛み合わない雰囲気で、時折ドレウスのカウンターがヒット。7Rにハプニング。ドレウスが相手に背を向ける無防備な体勢になり、ブランコが背後から攻撃。8Rに大きな見せ場。右が効いたドレウス。ワンツーでダウン。その後も攻めるブランコ、打ち合わないドレウスといった展開。12R、勝利を確信しているのか、ドレウスは足を使って打ち合わない。12R終了。「自分が勝った」とばかりに喜ぶドレウス。判定は3-0。ジャッジの一人は1ポイント差という僅差の判定だった。ドレウスの試合ぶりは全くエキサイティングではなかったが、これがヨーロッパのボクシング。「打たせずに打つ」のが基本。その後の二人。ドレウスは初防衛に失敗して引退。ブランコはリングに上がり続け、WBC王座への挑戦は失敗に終わったが、WBCのインター王座(クルーザー級)などを獲得する活躍を見せた。)


①「Light Heavyweight 

Juergen Mloch vs. Josip Jovic」

②「vacant EBU Light Heavyweight Title

Thomas Ulrich vs. Silvio Branco」

③「WBA World Light Heavyweight Title

Silvio Branco vs. Stipe Drews」


ファブリス・ティオーゾ(Fabrice Tiozzo)のページ

2025年8月22日金曜日

バーナード・ダン(Bernard Dunne)&ニッキー・クック(Nicky Cook)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

欧州フェザー級。「ダン vs.ラミレス、バルデス」「クック vs. ウィリアムス」「フランプトン vs. ボロニン」を紹介します。


バーナード・ダン(アイルランド)

身長170cm:オーソドックス(右構え)


ニッキー・クック(英国)

身長169cm:オーソドックス(右構え)


バーナード・ダン 1R KO シモン・ラミレス

(フェザー級戦、2003年)

バーナード・ダン(Bernard Dunne)&ニッキー・クック(Nicky Cook)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ダン:左ジャブ、右ストレート、フック

ラミレス:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

1R:左フックでラミレスがダウン

(感想:デビュー間もない者同士の対戦。アイルランド出身のダン。これがプロ三戦目。ラミレスはオクラホマの選手。直前の試合はTKO負け。オクラホマ州ノーマンでの一戦。共にジャブ、左フック。バランスが良いダン。左フックをダブルで打ったりする。右ストレート、左ボディ打ちも巧い。ラミレスも左フックを振るうが、左フックでダウン。10カウント内に立てず、KO。共に左フックを武器とする者同士の勝負はよりバランスが良いダンの圧勝。動きも良かった。その後、ラミレスは「4回戦ボクサー」でキャリア終了。)


バーナード・ダン 10R 判定 アドリアン・バルデス

(フェザー級戦、2004年)

バーナード・ダン(Bernard Dunne)&ニッキー・クック(Nicky Cook)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ダン:左ジャブ、右ストレート、フック

バルデス:右ジャブ、左ストレート、フック

(感想:これまで13連勝(8KO)のダン。バルデス(メキシコ)は14勝(6KO)2敗3分。メキシコ王座(スーパーバンタム級)を獲得したことがある。ミネソタ州メープルウッドでの一戦。サウスポーのバルデス。距離を取りながら右ジャブ、左ストレート、左フック。カウンター狙いの受け身の姿勢で、主導権を取るような戦い方ではない。ダンは左を使いながら前進。右ストレート、左フックで攻めるが、バッティングで1Rに額から出血。それでも攻めるダン。バルデスの左カウンターをディフェンス。10R終了。判定は3-0。時折右ストレート、左フックをヒットさせてダンが勝利。バルデスの左ストレートは悪くはなかったが、積極さに欠けた。その後、バルデスは北米王座(フェザー級)に挑戦してTKO負け。ダンは勝ち続け、WBA世界スーパーバンタム級王者に。)


ニッキー・クック 2R KO ダッツォ・ウィリアムス

(英国・英連邦・欧州フェザー級王座統一戦、2005年6月)

バーナード・ダン(Bernard Dunne)&ニッキー・クック(Nicky Cook)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

クック:左ジャブ、右ストレート、フック   

ウィリアムス:左ジャブ、右ストレート、フック   

(ダウンシーン)

2R:左ボディフックでウィリアムスがダウン

(感想:クックがタイトル統一。ロンドン出身の白人同士の対戦。英連邦・欧州王者クック(25歳)はこれまで24連勝(14KO)。WBFインターコンティネンタル王座(スーパーフェザー級)獲得、防衛。英連邦王座、次いで欧州王座(フェザー級)獲得。英国王者ウィリアムス(31歳)は12勝(3KO)2敗。デビューから連勝後、二連敗。そこからさらに連勝。英国王座(フェザー級)獲得、防衛。ロンドン東部ダゲナムでの注目の一戦。共に坊主頭で見た目が似ている。攻める姿勢のクック。ジャブで先手を取り、右ストレート、ボディ打ち。ウィリアムスはフックで応戦。2R、左ボディでウィリアムスがダウン。立てず、10カウント。クックがボディ攻めで勝利。積極さで早く勝負がついた。ウィリアムスはこれが最後の試合に。その後のクック。決定戦でスティーブン・ルエバノにKOされてWBO世界フェザー級王座獲得ならず、初黒星。アレックス・アーサーから判定でWBO世界スーパーフェザー級王座奪取。しかし、初防衛に失敗。意外に活躍できなかった。)


カール・フランプトン 3R TKO ユーリー・ボロニン

(スーパーバンタム級戦、2010年9月)

バーナード・ダン(Bernard Dunne)&ニッキー・クック(Nicky Cook)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フランプトン:左ジャブ、右ストレート、フック

ボロニン:右ジャブ、左ストレート

(ダウンシーン)

2R:右フックでボロニンがダウン

(感想:ベルファスト出身のフランプトン。アマチュアからプロへ。これまで6連勝(3KO)。ニックネームは「The Jackal」「Brick Fists(煉瓦の拳)」。ウクライナのボロニンは27勝(18KO)11敗2分。WBCの地域王座(フェザー級)を獲得したことがあるが、このところ二連敗中。ベルファストでの一戦。サウスポーのボロニン。忙しく動きながら右ジャブ、左ストレート。フランプトンはブロックしてワンツー、左ボディ。テクニックで勝負するボロニン。フランプトンはパワー。特に左フックが強い。2R、右フックでボロニンがダウン。3R、ボロニンがロープ際で連打されたところでストップ。フランプトンが積極的な姿勢で勝利。ボロニンはストップに不満のようだったが、勝てそうもないほどパワーに欠けていた印象。その後、ボロニンは全敗。フランプトンは英連邦王座(スーパーバンタム級)などを獲得後、IBF世界スーパーバンタム級王座獲得。WBA王座も獲得して王座統一。WBA世界フェザー級王座、WBO世界フェザー級暫定王座も獲得し、二階級制覇達成。)


①「Featherweight 

Bernard Dunne vs. Simon Ramirez」

②「Featherweight 

Bernard Dunne vs. Adrian Valdez」

③「BBBofC, Commonwealth Boxing Council and EBU Featherweight Title

Nicky Cook vs. Dazzo Williams」

④「Super Bantamweight 

Carl Frampton vs. Yuriy Voronin」

 

2025年8月20日水曜日

アフィフ・ジェルティ(Affif Djelti)&ジャメル・リファ(Djamel Lifa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フランス・ライト級。「ジェルティ vs. ドゥミトレスク」「リファ vs. ワルテル」「ヨセフ・ジババ vs. ラクリブ」ほかを紹介します。


アフィフ・ジェルティ(アルジェリア)

身長170cm:オーソドックス(右構え)


ジャメル・リファ(フランス)

身長170cm:オーソドックス(右構え)


アフィフ・ジェルティ 6R KO ダニエル・ドゥミトレスク

(ライト級8回戦、1997年4月)

アフィフ・ジェルティ(Affif Djelti)&ジャメル・リファ(Djamel Lifa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジェルティ:左ジャブ、右ストレート、フック   

ドゥミトレスク:左ジャブ、右ストレート、フック   

(ダウンシーン)

3R:左ボディでドゥミトレスクがスタンディングダウン

6R:左フックでドゥミトレスクがダウン

(感想:アルジェリア出身のジェルティ。ジュリアン・ロルシー(後、WBA世界ライト級王座獲得)には敗れたが、フランス王座(スーパーフェザー級)を獲得。これまで19勝6敗ではあるが、年齢は38歳。ドゥミトレスクはルーマニアの新鋭で、デビューから8連勝。ルーマニア・ライト級王座を獲得している。フランス・ルーアンでの一戦。足でリズムを取りながらジャブ、ワンツー、左ボディ打ちのドゥミトレスク。アップライトな姿勢で、攻めるときのディフェンスが甘い印象。ジェルティはディフェンスしながらジャブ。器用さはあるが、動きのスピードが欠けているように見える。左フックからの右ストレートといった連打で攻めるドゥミトレスク。ジェルティは受け身ながら左フックを時折当てる。次第にパンチの勢いが増していくジェルティ。3Rに左ボディでドゥミトレスクにスタンディングカウントを聞かせる。その後もよく前に出るドゥミトレスクだが、6R、左右フックからの左フックをマトモに食ってダウン、KO。痛烈なKOでジェルティが快勝。当てる巧さ、ディフェンスのテクニックがあった。ドゥミトレスクはやはりディフェンスに問題。真っ直ぐ攻める危険な動きをしていた。その後の二人。ドゥミトレスクは次の試合にも敗れて、それが最後の試合に。ジェルティはフランス王座に加え、IBO王座、欧州王座(スーパーフェザー級)を獲得・防衛。)


ジャメル・リファ 10R 判定 ブルーノ・ワルテル

(フランス・ライト級タイトル戦、1999年)

アフィフ・ジェルティ(Affif Djelti)&ジャメル・リファ(Djamel Lifa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

リファ:左ジャブ、右ストレート、フック 

ワルテル:左ジャブ、右ストレート、フック 

(感想:リファがタイトル防衛。フランス王者のリファ。アマチュアで活躍。1992年のバルセロナ・オリンピックではフェザー級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではフランス王座(J・ライト級、ライト級)、欧州王座(J・ライト級)を獲得してきた。ワルテルはアルジェリア出身。IBFのインター王座戦(ライト級)には敗れたが、WBCのインター王座(ライト級)を獲得。パリでの一戦。ジャブを連打するリファ。右アッパーからの左フック、左フックのダブルからの右ストレートといったコンビネーションを使いこなす。ワルテルはワンツーがパワフルで、時折大きな右フックを振るう。当てる巧さを見せるリファ。相手のガードの隙を突くパンチ。6R、ワルテルの右がヒット。互いに持ち味を発揮して10R終了。判定はPTS、王者防衛。実力的には大きな差はなかったように映像では見えたが、コンビネーションで攻める分、手数でリファが有利だった。その後、ワルテルはWBCのインター王座を防衛し続けたが、王座陥落。世界戦を経験することはなかった。)


オスカー・ガルシア・カノ 12R 判定 ジャメル・リファ

(欧州ライト級王座決定戦、1999年)

アフィフ・ジェルティ(Affif Djelti)&ジャメル・リファ(Djamel Lifa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

リファ:左ジャブ、右ストレート、フック 

カノ:左ジャブ、右ストレート、フック 

(感想:カノがタイトル獲得。リファが欧州王座(ライト級)に挑戦。カノはスペインの選手で、かつてこの王座を持っていたことがある。WBOの地域王座(ライト級)を獲得・防衛後、アルツール・グレゴリアンのWBO世界ライト級王座に挑戦したときは判定負けに終わっている。パリでの一戦。攻めるカノ。ジャブ、ワンツー、接近してフック。リファは連打、カウンターで応戦する。共に連打で勝負するタイプであるが、リファは手数を出し、カノは一発一発のパンチにパワーを込める。互いにディフェンス、一進一退。攻める姿勢でややカノの方が優勢か? 12R終了。判定はPTSによりカノ。大きな力の差はなかったように見えたが、パワーで精力的に攻めるカノの方がプロらしい戦いぶりだった。その後、リファは再び欧州ライト級王座戦で敗北。世界戦を経験することはなかった。カノは次の試合でジュリアン・ロルシーに判定負けで王座陥落。それが最後の試合に。ロルシーはその後、畑山隆則を下してWBA世界ライト級王者になった。)


ヨセフ・ジババ 10R TKO ナッサー・ラクリブ

(フランス・スーパーフェザー級王座決定戦、2001年8月)

アフィフ・ジェルティ(Affif Djelti)&ジャメル・リファ(Djamel Lifa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジババ:左ジャブ、右ストレート、フック   

ラクリブ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:ジババがタイトル獲得。ジババはマルセイユ在住の黒人。これまで6勝(1KO)3敗2分。その内の2敗はフランス・スーパーフェザー級王座に挑戦したときのもので、その内の一つはラクリブに判定負け。ノンタイトル戦でもラクリブに判定負けしている。ラクリブはフランスのコンフラン=サント・オノリーヌ出身で、11勝(5KO)1敗1分。ジババとの再戦でフランス・スーパーフェザー級王座獲得。そして、この三戦目。フランス・マルセイユでの一戦。開始から積極的に攻めるジババ。ジャブ、ストレート、振りが大きめのフック、ボディ打ち(アズマー・ネルソンのような雰囲気)。ラクリブは足で距離を取ってアウトボクシングしようとするが、攻められて応戦。ひたすら攻めるジババ。次第にキツくなってきたラクリブ。9Rに連打され、このラウンド終了後に棄権。ジババが攻めの勢いで勝利。過去にラクリブに二敗しているとは思えないほど一方的な内容だった。ラクリブは終始、受け身。ボディ打ちは悪くなかっただけに逃げの姿勢だったのは残念。その後の二人。ラクリブは欧州王座(ライト級)に挑戦したが、勝てず。フランスの実力者にとどまった。ジババはフランス・スーパーフェザー級王座戦に何度も出場。欧州連合王座(スーパーフェザー級)も獲得できたが、敗北もあって世界戦は無かった。)


①「Lightweight 

Affif Djelti vs. Daniel Dimitrescu」

②「French Lightweight Title

Djamel Lifa vs. Bruno Wartelle」

③「vacant EBU Lightweight Title

Djamel Lifa vs. Oscar Garcia Cano」

④「vacant French Super Featherweight Title

Youssouf Djibaba vs. Nasser Lakrib」

 

2025年8月16日土曜日

バート・シェンク(Bert Schenk)&デニス・インキン(Denis Inkin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ドイツでのミドル級戦。「シェンク vs. フリーマン・バー」「ムラート vs. スティーニ」「インキン vs. スニガ」ほかを紹介します。


バート・シェンク(ドイツ)

身長176cm:サウスポー


デニス・インキン(ロシア)

身長182cm:オーソドックス(右構え)


バート・シェンク 4R KO フリーマン・バー

(WBO世界ミドル級王座決定戦、1999年)

バート・シェンク(Bert Schenk)&デニス・インキン(Denis Inkin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

シェンク:右ジャブ、左ストレート、右フック   

バー:ジャブ、ストレート、フック 

(ダウンシーン)

4R:左ストレートでバーがダウン

(感想:シェンクがタイトル獲得。ベルリン出身のシェンク。これまで全勝。全て地元ドイツで試合を行ってきた。これが初の世界戦。バーはバハマ出身。IBO王座、NABO王座(いずれもミドル級)を獲得した実績。ドイツ・コットブスでの一戦。共にサウスポー。右ジャブ、左ストレート。バーは頻繁にオーソドックスにスイッチし、ダッキングしながらボディ打ち。互いにディフェンスするが、シェンクの左ストレート、左アッパーが有効。4R、左ストレートでバーがしゃがみ込むようにダウン。10カウント、KO。最後はバーが右目を痛めて終了。ディフェンスと左パンチでシェンクの方が総合的に優れていた印象。バーはスイッチが多く、「スイッチが多い選手は攻撃が中途半端になりがち」のパターンだった。その後のシェンク。初防衛に成功したが、ケガのため王座剥奪。王座奪回を目指したが敗北、初黒星。その後もリングに上がり続けたが、意外なことに世界戦のチャンスはなかった。)


フリーマン・バー 6R TKO マイク・コッカー

(スーパーミドル級戦、2002年)

バート・シェンク(Bert Schenk)&デニス・インキン(Denis Inkin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

バー:ジャブ、ストレート、フック

コッカー:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:シェンクに敗れた次の試合でNABO王座(スーパーミドル級)を獲得し、防衛にも成功したバーだが、その後、世界戦のチャンスはナシ。そんな状況で行われた10回戦。これまで23勝(11KO)2敗のバー。9勝(7KO)6敗1分のコッカーはフロリダ・タンパ出身の白人。タイトル戦の経験はまだない(結果的に一度もなかった)。ミシガン州ポンティアックでの一戦。ワンツー、接近してフックを連打するコッカーだが、ディフェンスに甘さ。しかも、打った後にバランスを崩したりする。バーも似たようなところがあるが、器用さで少し上。接近戦ではクリンチ、もみ合いが目立つが、バーがアッパー気味のパンチを入れる。5Rに右ストレートを決めたコッカー。しかし、6Rにピンチ。左フック、右ストレートを食う。ドクターチェック。コッカーのキズにより試合終了(ダウンシーンは無し)。隙が大きい二線級の相手にバーが勝利。ただ、大きな試合のチャンスが来ないのも仕方がない、といった感じの内容だった。)


カロ・ムラート 2R TKO ムスタファ・スティーニ

(スーパーミドル級戦、2007年5月)

バート・シェンク(Bert Schenk)&デニス・インキン(Denis Inkin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ムラート:左ジャブ、右ストレート、左右フック

スティーニ:左ジャブと左フック

(感想:ムラートはアルメニアの選手でこれまで9連勝(5KO)の新鋭。スティーニはベルギーの選手で6勝(4KO)23敗1分。ドイツ・バンベルクでの一戦。共にガードを上げて開始から接近戦。ジャブと左右フックボディ打ちがパワフルなムラート。スティーニは打った後にバランスを崩すほど大振りな左フック。そして、マウスピースを落下してガードを解いたところを打たれたり、頭を低くして攻めるのをレフェリーから注意されたり。2R、左フックを打たれてスティーニが戦意喪失したところで試合終了(ダウンシーンは無し)。ムラートがしっかりした力強い打ち方で勝利。相手をじっくり観察する冷静さもあった。一方、これで24敗目となったスティーニ。ディフェンスができていなかった。後、ムラートは欧州王座やIBO王座を獲得したが、バーナード・ホプキンスの持つIBF世界ライトヘビー級王座への挑戦は失敗(判定負け)。メジャーな世界王座は獲得できなかった。) 


デニス・インキン 12R 判定 フルヘンシオ・スニガ

(WBO世界スーパーミドル級王座決定戦、2008年9月)

バート・シェンク(Bert Schenk)&デニス・インキン(Denis Inkin)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

インキン:左ジャブ、右ストレート、フック   

スニガ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:インキンがタイトル獲得。元ロシア軍人のインキン。ニックネームは「General(将軍)」。アマチュアで活躍後、プロデビュー。IBFインターコンティネンタル王座(スーパーミドル級)を獲得、防衛するなどロシアで連勝後、主戦場をドイツに。WBCインター王座(スーパーミドル級)を獲得、防衛。全勝のまま、この決定戦。スニガはコロンビアの黒人。デビューから連勝でダニエル・サントスのWBO世界スーパーウェルター級王座に挑戦したが、判定負け。IBA王座(ミドル級)、IBO王座(スーパーミドル級)獲得。連勝の勢いでWBO王座を狙う。ドイツ・ハンブルク=アルトナでの一戦。スニガは動きが素早く、手数を出す好選手。ジャブ、右クロス、左フック。左右フックからの右アッパーには迫力がある。インキンは実に地味な男。ブロックを固めて相手のガードの隙を狙う。ディフェンス、当てる巧さでインキンがポイント上、優勢。スニガは攻めるがブロックされ、逆に右パンチを「ちょこん」と食う。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。インキンが軽いパンチを時折当てて勝利。正直なところ全く面白くないボクシング。プロは勝たねばならないが、つまらない勝ち方をされてもファンとしては盛り上がれない。ロシア、東欧の選手にこういうタイプは多いが、ヨーロッパのファンはこういう試合を好む。彼らが満足しているのであればそれもよかろう。スニガは頑張ったが報われず、気の毒だった。その後の二人。スニガはIBF王座(ミドル級、スーパーミドル級)、地域王座に挑戦したが勝てず。マイナー王者にとどまった。インキンは次の試合でカロリー・バルザイに判定負け、初防衛に失敗(初黒星)。それが最後の試合となった。)


①「vacant WBO World Middleweight Title

Bert Schenk vs. Freeman Barr」

②「Super Middleweight 

Freeman Barr vs. Mike Coker」

③「Super Middleweight 

Karo Murat vs. Mustapha Stini」

④「vacant WBO World Super Middleweight Title

Denis Inkin vs. Fulgencio Zuniga」