WBO世界ミドル級王者。連打&ディフェンス。ロニー・ブラッドリー戦、ライアン・ローズ戦、ロイ・ジョーンズ・ジュニア戦ほかを紹介します。「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」
オーティス・グラント(カナダ)
身長177cm:サウスポー
①オーティス・グラント 12R 判定 ウィリー・モンロー
(北米ミドル級タイトル戦、1993年)
グラント:右ジャブ、左ストレート、左右フック
モンロー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:グラントがタイトル防衛。ジャマイカ生まれでカナダ国籍のグラント。ニックネームは「Magic」(相手に合わせる変幻自在の戦いぶりを形容したものだとか)。子供の頃からスポーツ好きで、11歳の時にボクシングを始める(兄もボクサーで共にトレーニング)。アマチュアでは大きな大会で活躍。カナダ・モントリオールでのプロデビュー後、連戦連勝。決定戦で北米ミドル級王座獲得。モンロー戦は三度目の防衛戦。モンローはニューヨーク州ロチェスター出身の黒人。デビュー二戦目で後の世界ランカー、デニス・ミルトンに判定負け。その後は中堅どころを相手に負け無し。ラスベガスでの一戦(リングアナはチャック・ハル、レフェリーはリチャード・スティール)。坊主頭のサウスポー、グラント。手数が多いタイプ。右ジャブで先手を取り、ワンツー、左右フック。モンローも良い打ち方。ジャブ連打で前進し、右ストレートからの左フック。接近戦。互いにブロックしながらの打ち合い。共に力強いフックを打つが、左カウンター、連打の回転力でグラントがポイントを取っている印象。しかし、グラントは左目の腫れ(腫れやすいタイプ)。12R、攻めるモンロー。しかし、グラントが手数&ディフェンス。12R終了。判定は大差の3-0。グラントが回転力で勝利。ただ、「一発のパワー」に欠けていた。今回の相手はパワーのある選手だったため手数で押し負けないようにしたのは正解だったが、この階級で人気選手になるためにはもっと力強さが必要。その後、モンローは連勝で全米王座(スーパーミドル級)を狙ったがTKO負け。タイトルとは縁が無かったが息子や甥もボクサーになり、息子ジュニアは地域王座を獲得した。)
②ロニー・ブラッドリー 12R 引分 オーティス・グラント
(WBO世界ミドル級タイトル戦、1997年)
グラント:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ブラッドリー:左ジャブ、右ストレート、左フック
(感想:ブラッドリーがタイトル防衛。モンロー戦の次の試合でクインシー・テーラーにKO負けで王座陥落のグラント。再び決定戦で北米王座を奪回し、連続防衛。初の世界挑戦。ブラッドリーはボクシング関係者の評価が高い王者。これまで25戦全勝(19KO)。ラスベガスでの一戦。ジャブを連打するブラッドリー。グラントは左ストレートを狙う。互いに警戒してディフェンス。4R、左ストレートを食ってブラッドリーが後退。その後、時折互いに連打するがクリーンヒットは少ない。12R終了で引き分け。ダウンシーンは無し。互いに警戒し合って終わってしまった試合(スパーリングっぽい雰囲気も)。確かにボクシングは危険なものであり、ディフェンスは極めて重要なものではあるが、あまりディフェンスを重視するとエキサイティングな攻めができなくなる。ファンはそういう試合を見てどう思うだろう? グラントは器用だが、やはりパワーが足りないようだ。)
③オーティス・グラント 12R 判定 ライアン・ローズ
(WBO世界ミドル級王座決定戦、1997年)
グラント:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ローズ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:グラントがタイトル獲得。ブラッドリーが王座返上。イギリスの白人ローズとグラントが王座決定戦。ローズは英国期待の選手。IBFのインター王座(J・ミドル級) を獲得するなど、これまで全勝。イングランド・シェフィールドでのサウスポー同士の一戦。共にジャブを使って左ストレートを狙う似たタイプ。右のガードを下げて戦うローズ。攻めの姿勢で右フックにパワーを込める。接近戦。互いにディフェンス。どちらかが一方的になることもなく終了。判定は3-0。ダウンシーンは無し。打ち合いの時にパンチを当てるちょっとしたテクニックでグラントがわずかに上回ったように見えた。3-0であるが、意外にも1、2ポイント差。グラントはもう少しで負けるところだった。その後、ローズは多くの試合。地域王座、WBCインター王座を獲得できたが、世界戦には敗北。)
④ロイ・ジョーンズ・ジュニア 10R TKO オーティス・グラント
(WBA・WBC世界L・ヘビー級タイトル戦、1998年)
グラント:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ジョーンズ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
6R:右フックでグラントがダウン
10R:右ストレートでグラントがダウン
(感想:ジョーンズがタイトル防衛。WBO世界ミドル級王者グラントが二階級制覇に挑戦。王者ジョーンズは元々はミドル級。その戦いぶりにL・ヘビー級の重厚感は感じられないが、速いパンチで勝負してきた。コネチカット州マシャンタケットでの一戦。互いにジャブ。ジョーンズが速いストレートを打ち込むなど、パンチのキレとパワーでグラントを上回る。グラントは力強い左ストレートを打つが元々ディフェンシブなスタイルであるため継続的な攻撃ができない。6R、グラントは低い姿勢になったところに右フックを食ってダウンを喫し、7Rには手数を出せとレフェリー(アーサー・マーカンテ)から警告。10R、右ストレートでグラントがダウン。立ったが、セコンドからタオル投入で試合終了。グラントは守りから入る男。しかし挑戦者は攻めなければならない。普段の試合ぶりが結果となって表れた。)
⑤リブラド・アンドラーデ 8R TKO オーティス・グラント
(WBC世界S・ミドル級王座挑戦者決定戦、2006年)
グラント:右ジャブ、左ストレート、左右フック
アンドラーデ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:連打で2度、グラントがダウン
(感想:ロイ・ジョーンズ戦後、カナダを主戦場に移したグラント。カナダ王座、WBCインター王座(いずれもS・ミドル級) を獲得、防衛。これまで38勝(17KO)2敗1分、WBC1位。そして、この重要な試合。3位のアンドラーデはメキシカン。主戦場はアメリカ。22戦全勝(16KO)。パット・ローラーに勝利、NABA王座、NABO王座、WBCの地域王座(全てS・ミドル級)獲得。残すターゲットは世界王座のみ、といった状況。モントリオールでの一戦。アンドラーデは器用なタイプ。ジャブ、伸びのある右ストレート、接近して左右フックボディ打ち。グラントは右ジャブ、左ストレートを出すが、かつてのような精力的な連打はできず。攻めるアンドラーデが優勢。時折サウスポーにチェンジするが、特に効果無し。5R、グラントの右フックがヒット。さらにパワフルな左右フック、左ストレートからの右フック攻撃。しかし、これでパワーを使い果たしたか、連打で二度ダウン。その後もアンドラーデが攻勢。グラントは打ち返すが、攻撃が続かず打たれる。7R終了後、グラントが棄権。アンドラーデが正確な攻めで勝利。ボディ打ちに良さがあった。グラントは全般的に受け身の姿勢で、スタミナが続かなかった。その後の二人。アンドラーデはミッケル・ケスラーのWBA・WBC王座に挑戦して判定負け。全米王座(S・ミドル級)獲得後、ルシアン・ブーテのIBF王座に挑戦したが、これも判定負け。ブーテとの再戦はKO負け。世界王座には就けず。グラントはこれで引退。モントリオールでデビューし、ラストも同地。結果的にWBO王座の初防衛戦(1998年5月)が世界戦での最後の勝利。ミドル級にとどまっていればもっと活躍できたかもしれない。)
①「NABF Middleweight Title
Otis Grant vs. Willie Monroe」
②「WBO World Middleweight Title
Lonnie Bradley vs. Otis Grant」
③「vacant WBO World Middleweight Title
Otis Grant vs. Ryan Rhodes」
④「WBA and WBC World Light Heavyweight Title
Roy Jones Jr vs. Otis Grant」
⑤「Super Middleweight
Otis Grant vs. Librado Andrade」
ロニー・ブラッドリー(Lonnie Bradley)のページ
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ロイ・ジョーンズ・ジュニア(Roy Jones, Jr.)のページ
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