2025年10月15日水曜日

ニッキー・ウィルシャー(Nicky Wilshire)&ロッド・ダグラス(Rod Douglas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

英国ミドル級。「ウィルシャー vs. ケイブル、ソールズベリー」「ダグラス vs. ミラー」を紹介します。


ニッキー・ウィルシャー(イギリス)

身長173cm:サウスポー


ロッド・ダグラス(イギリス)

身長178cm:オーソドックス(右構え)


ジミー・ケイブル 12R 判定 ニッキー・ウィルシャー

(英国J・ミドル級王座決定戦、1984年2月)

ニッキー・ウィルシャー(Nicky Wilshire)&ロッド・ダグラス(Rod Douglas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ケイブル:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

ウィルシャー:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(感想:ケイブルがタイトル獲得。ウィルシャーは英国ブリストル出身の白人で、いわゆる「ハンサム」。アマチュアではライトミドル級で英国王者になり、メダルは獲れなかったが1980年のモスクワ・オリンピックに出場。プロではデビューから連勝。アメリカでも勝利。ケイブルにPTSで敗北、初黒星。そこから連勝で、このケイブルとの再戦。ケイブルはロンドン出身の白人。コチラもデビューから連勝。二度の敗北後、ウィルシャーに勝利。今度は王座を懸けて再戦。ロンドン「ロイヤル・アルバート・ホール」での一戦。ケイブルはジャブ、ストレートを使う英国の正統派。サウスポーのウィルシャーはジャブ、左ストレートで前進。互いにディフェンス。左右にスイッチしながら連打をまとめるケイブル。攻めようとするウィルシャーだが、手数はケイブルの方が多い印象。12R終了。判定はPTS(ダウンシーンは無し)。ケイブルがより頑張って勝利。その後のケイブル。次の試合でバスター・ドレイトンに1RでKO負け。欧州王座も獲得できたが、プリンス・ロドニー、クリストフ・ティオーゾにKO負けして世界挑戦ならず。)


ニッキー・ウィルシャー 3R TKO ケン・ソールズベリー

(英連邦J・ミドル級タイトル戦、1985年6月)

ニッキー・ウィルシャー(Nicky Wilshire)&ロッド・ダグラス(Rod Douglas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ウィルシャー:右ジャブ、左ストレート、左右フック   

ソールズベリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック   

(感想:ウィルシャーがタイトル獲得。ケイブルとの再戦後、連勝のウィルシャー。王者ソールズベリーは英国リバプール出身の白人で、オーストラリア国籍。シドニーでデビュー以来、連勝でオーストラリア王者に(J・ミドル級)。王座を防衛後、決定戦で英連邦王者に。ウィルシャーとの防衛戦は初めてオーストラリア外での試合となる。ロンドン「ロイヤル・アルバート・ホール」での一戦(レフェリーはラリー・オコーネル)。ジャブ、左ストレートで攻めるウィルシャー。ソールズベリーはディフェンスしながら右でカウンターを狙う。接近戦ではフックで打ち合い、互いにボディ攻撃。左ストレートでウィルシャーが押し気味の展開。バッティングでソールズベリーが負傷。2R終了後、ウィルシャーのTKO勝ち(ダウンシーンは無し)。新王者誕生。この当時はバッティングで続行不能になった場合は「負傷して続行できなくなった方」が負けというルールだった。イマイチすっきりしない負け方をしたソールズベリーはこれが初黒星で、ラストファイトとなった。ウィルシャーは初防衛に失敗して王座陥落。共に世界に挑むことなく、英連邦レベルの選手にとどまった。)     


ロッド・ダグラス 7R TKO レジー・ミラー

(スーパーミドル級戦、1989年2月)

ニッキー・ウィルシャー(Nicky Wilshire)&ロッド・ダグラス(Rod Douglas)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ダグラス:左ジャブ、右ストレート、フック

ミラー:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:ロンドン出身の黒人ダグラス。アマチュアではタイトルを獲得し、あのナイジェル・ベンを破ったこともあるが、ロス・オリンピック(1984年)ではメダル獲得ならず。プロデビュー以来、全勝。ミラーはアメリカの黒人選手。デビュー以来、連戦連勝だったが、マーロン・スターリング、マーク・ブリーランド、ナイジェル・ベン、マイケル・ワトソンらに敗れて「中堅選手」化。実力者と戦った経験を生かせるかどうか、といったところ。英国ロンドン・サザークでの一戦。髪のサイドを刈ってモヒカンっぽい髪型のダグラス。ジャブを連打し、右ストレートからの左フックなどのコンビネーションで精力的に攻める。ミラーは足を使いながらワンツー、左フック。パンチにはキレがある。接近戦では互いにボディ打ち。ダグラスが手数で優勢。しかし、ミラーも速くて伸びのある右ストレートを飛ばす。7R、連打するダグラス。レフェリーストップ(ミラーはこのストップに不満の様子だった。ダウンもしておらず、グラついたわけでもない。正直なところ、レフェリーの判断は微妙。しかしながら、打たれていたのは事実。ストップは致し方ない)。ダグラスが連打で勝利。一発で倒すようなパワーではなかったが打ち方が良く、左フックを打つときのバランスが良かった。その後の二人。ダグラスは連勝を続けたが、実力者ヘロール・グラハムに敗れ、初黒星。その時の負傷により引退。ミラーはスンブ・カランベイ、ロイ・ジョーンズ・ジュニアに敗北。多くの敗北を喫してしまったが、当時の有名選手と数多く試合。充実したキャリアだったのではないだろうか。)


①「vacant British Super Welterweight Title

Jimmy Cable vs. Nicky Wilshire」

②「Commonwealth Super Welterweight Title

Ken Salisbury vs. Nicky Wilshire」

③「Super Middleweight 

Rod Douglas vs. Reggie Miller」


2025年10月10日金曜日

ジョバンニ・ロレンツォ(Giovanni Lorenzo)&アルヘニス・メンデス(Argenis Mendez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ドミニカの実力者。「ロレンツォ vs. ミランダ」「メンデス vs. オノリオ、ウズマニー」を紹介します。


ジョバンニ・ロレンツォ(ドミニカ)

身長183cm:オーソドックス(右構え)


アルヘニス・メンデス(ドミニカ)

身長183cm:オーソドックス(右構え)


ジョバンニ・ロレンツォ 2R KO ディオニシオ・ミランダ

(IBF世界ミドル級王座挑戦者決定戦、2009年2月)

ジョバンニ・ロレンツォ(Giovanni Lorenzo)&アルヘニス・メンデス(Argenis Mendez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ロレンツォ:左ジャブ、右ストレート、フック   

ミランダ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(ダウンシーン)

2R:右クロスでミランダがダウン

(感想:ロレンツォ(28歳)はドミニカのサン・クリストバル出身の黒人。2000年シドニー・オリンピックにはウェルター級で出場。プロではアメリカを主戦場にこれまで26勝(18KO)1敗。ラウル・マルケスとのIBF世界ミドル級王座挑戦者決定戦に判定負け。再起戦で改めて、この挑戦者決定戦。ミランダ(26歳)はコロンビア・バランキージャ出身の黒人で19勝(17KO)2敗2分。直前の試合でNABA王座(ミドル級)を獲得している。ニュージャージー州ニューアークでの一戦。互いにガードを上げて相手を警戒しながらジャブ。動きのスピードは同じくらい(特に速くはない)。ロレンツォは器用なタイプで、左ボディ打ち、右ストレートからの左ジャブといったテクニック。ミランダは右フックを大きく振るうなど豪快なボクシング。2R、打たれたミランダが後退(カメラアングルの関係でよく見えなかったが、右カウンターではないか?)。流れがロレンツォに。そして強烈な右クロスでミランダがダウン。立てず、KO。ロレンツォが素晴らしい勝ち方。テクニック&パワーで快勝。ミランダは思い切りのいい打ち方をしていたが、一発ずつパワーを込めるため打ち終わった後に隙ができる欠点があった。その後の二人。ミランダはWBC米大陸王座戦(ミドル級)で勝利できたが、その後はIBO王座戦(ミドル級)でKO負けするなど連続KO負けが続いた。ロレンツォはこの次の試合でセバスチャン・シルベスターと空位のIBF王座を争ったが、2-1で敗北。その後もフェリックス・シュトルム戦(WBA世界スーパーミドル級王座戦)、アッサン・エンダム戦(WBA世界ミドル級暫定王座戦)といった重要なタイトル戦に敗れて世界王座は獲れなかった。)


アルヘニス・メンデス 12R 判定 マーティン・オノリオ

(全米スーパーフェザー級王座決定戦、2010年5月)

ジョバンニ・ロレンツォ(Giovanni Lorenzo)&アルヘニス・メンデス(Argenis Mendez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

メンデス:左ジャブ、右ストレート、フック   

オノリオ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:メンデスがタイトル獲得。メンデスはドミニカのサン・フアン・デ・ラ・マグアナ出身の黒人。ニックネームは「La Tormenta(嵐)」。2004年アテネ・オリンピックにバンタム級で出場(メダルは獲得ならず)。プロでは地元とアメリカで試合。デビューから連勝だったが、判定で初黒星。WBAの地域王座(スーパーフェザー級)獲得。そして、この全米王座挑戦。オノリオはメキシカン(イスタパラパ出身)。WBAの地域王座、全米王座(いずれもフェザー級)獲得後、ロバート・ゲレロのIBF世界フェザー級王座に挑戦したが、何と1RでTKO負け。再起戦でIBA王座(スーパーフェザー級)獲得。そして北米王座&NABO王座(ライト級)を同時に獲得。世界戦後は好調。カリフォルニア州カーソンの屋外リングでの一戦(外はまだ明るかった)。共にジャブ。攻めるオノリオ。左のテクニックを使いながら前進し、左右フックボディ連打。メンデスは相手の意表を突くかのようなタイミングでパワーを込めた右ストレート、左フック。手数のオノリオ、パワーのメンデス、といったパターンで12R終了。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。勝って大喜びのメンデス。しかし、受け身の試合ぶりで終盤はクリンチ。あまり良い勝ち方ではなかったような気もするが、パンチ自体はパワーがあって良かった。一方、たくさんボディ連打したが、評価されなかったオノリオ。パワーはもう一つ。もう少しジャブでポイントを稼げば勝っていたかも。その後オノリオ。フアン・カルロス・サルガドのIBF世界スーパーフェザー級王座に挑戦したが、2-0の判定負け。世界王座には手が届かなかった。)


アルヘニス・メンデス 12R 引分 アラシュ・ウズマニー

(IBF世界スーパーフェザー級タイトル戦、2013年8月)

ジョバンニ・ロレンツォ(Giovanni Lorenzo)&アルヘニス・メンデス(Argenis Mendez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

メンデス:左ジャブ、右ストレート、フック   

ウズマニー:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:メンデスがタイトル初防衛。オノリオ戦後、フアン・カルロス・サルガドと空位のIBF世界スーパーフェザー級王座を争って3-0で敗北したメンデス。IBF王座挑戦権を懸けたオノリオとの再戦に勝利。サルガドとの再戦にKO勝ちしてIBF王座奪取。ウズマニーと初防衛戦。これまで21勝(11KO)2敗で、27歳。ウズマニー(31歳、20勝(10KO)1敗)はアフガニスタン出身。カナダでプロデビュー。NABA王座(スーパーフェザー級)、WBC米大陸王座(ライト級)を獲得するなど連戦連勝だったが、ランセス・バルテレミーに判定負けで初黒星。その再起戦でこの世界挑戦。ウィスコンシン州ヴェローナでの一戦(メンデスのセコンドにエディ・ムスタファ・ムハマド)。1R開始から先制攻撃のウズマニー。ストレート、フック、ボディ打ち。ブロックしながら打ち返すメンデス。そのパターンが続く。受け身ながらメンデスがボディ打ちなどで当てる巧さを見せる。最後までウズマニーが前に出て12R終了(マイク・タイソンがリングに上がってメンデスを祝福)。判定はドロー(ダウンシーンは無し)。当てる巧さのメンデス、攻勢点のウズマニー。ざっと見たところ、引き分けが妥当だろう。それにしてもメンデス。世界王者にしてはつまらない試合ぶり。パンチ自体が良いだけにアピールに欠けるのが惜しい。その後の二人。ウズマニーは次の試合で空位のNABO王座(ライト級)に挑戦したが、判定負け。再起戦に勝利して引退。メンデスは次の防衛戦をバルテレミーと行ったが、ノーコンテスト。再戦でバルテレミーに判定負け、王座陥落。その後もリングに上がり続けたが、バルテレミーとの再戦が最後の世界戦となった。)


①「IBF Middleweight Title Eliminator

Giovanni Lorenzo vs. Dionisio Miranda」

②「vacant USBA Super Featherweight Title

Argenis Mendez vs. Martin Honorio」

③「IBF World Super Featherweight Title

Argenis Mendez vs. Arash Usmanee」

 

2025年10月8日水曜日

リカルド・ドミンゲス(Ricardo Dominguez)&アーロン・エレラ(Aaron Herrera)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

メキシコ・ライト級。「ドミンゲス vs. ミゲル・バスケス、ヒルベルト・ゴンザレス」「エレラvs. ガルシア」を紹介します。


リカルド・ドミンゲス(メキシコ)

身長175cm:オーソドックス(右構え)


アーロン・エレラ(メキシコ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)


ミゲル・バスケス 12R 判定 リカルド・ドミンゲス

(IBF世界ライト級タイトル戦、2010年)

リカルド・ドミンゲス(Ricardo Dominguez)&アーロン・エレラ(Aaron Herrera)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

バスケス:左ジャブ、右ストレート、フック   

ドミンゲス:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:バスケスがタイトル初防衛。王者バスケス(23歳)はメキシコ・グアダラハラ出身。これまで26勝(12KO)3敗。デビュー戦の相手は何とあのサウル・アルバレスで、バスケスが2-1で敗北。ティモシー・ブラッドリー戦、アルバレスとの再戦に敗れたが、それ以外は好調。金智勲との決定戦でIBF王座獲得。これが初防衛戦。挑戦者ドミンゲス(26歳)はメキシコ・クリアカン出身で32勝(20KO)6敗2分。ローカル王座を獲った後、ウンベルト・ソトのWBC世界ライト級王座に挑戦したが、判定負け。これが二度目の世界挑戦となる。メキシコ・ティフアナでのメキシカン対決。似たタイプの二人。中間距離でジャブ、ストレート、フック、ボディ打ち。バスケスは両手をやや前に出す構えで、右ストレートを当てる巧さ、ディフェンスのテクニックを見せる。ドミンゲスも負けじと手数。5R、バスケスの右ストレートがヒット。その後も微妙にバスケスがジャブ、ストレートを当ててポイント。ドミンゲスは両目の腫れ。12R終了。判定は大差の3-0(ダウンシーンは無し)。共に「倒し屋」ではない。テクニックで決着。ドミンゲスはオスカー・デラ・ホーヤのような打ち方だったが、デラ・ホーヤほどの連打の回転力は無かった。その後のバスケス。IBF王座を守り続けたが、判定で王座陥落。以後はIBO王座戦(ウェルター級)に敗れるなど勝ったり負けたりだった。)


リカルド・ドミンゲス 8R 判定 ヒルベルト・ゴンザレス

(スーパーライト級戦、2012年)

リカルド・ドミンゲス(Ricardo Dominguez)&アーロン・エレラ(Aaron Herrera)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ドミンゲス:左ジャブ、右ストレート、フック   

ゴンザレス:右ジャブ、左ストレート、フック   

(感想:バスケス戦後、判定負けを一つ喫したドミンゲス。これまで35勝(22KO)8敗。ゴンザレスもメキシカン(メキシコシティ出身)で18勝(14KO)2敗。タイトル戦の経験はまだ無い。クリアカンでの一戦。互いに長いジャブ、ストレート。ゴンザレスは1Rにサウスポーにスイッチ(以後もサウスポースタイルで勝負)。2Rから攻めるドミンゲス。ストレート、左フックにパワーと正確さ。しかし、ゴンザレスの右フックがヒットしてドミンゲスがピンチ。3R、振りの大きいフックで猛然と攻めるゴンザレス。しかし、ドミンゲスは慌てず、力強い反撃。その後も打ち合い。ディフェンスと正確さでドミンゲスがポイント。8R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ドミンゲスがパンチの正確さで勝利。危ないシーンもあったが、タフネス&経験で乗り切った。ゴンザレスはパンチが大きい。当たれば凄いが、そういう攻撃はブロックされやすい。その後の二人。ゴンザレスは連勝で好調だったが、二連敗。結局、一度も王座戦をすることなくキャリア終了。ドミンゲスは勝ったり負けたりでタイトル戦は無く、最後は二連敗でキャリア終了(2014年)。残念なことに2017年2月21日、結腸がんで死去(31)。)


アーロン・エレラ 6R 判定 マヌエル・ガルシア

(ライト級戦、2010年2月)

リカルド・ドミンゲス(Ricardo Dominguez)&アーロン・エレラ(Aaron Herrera)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

エレラ:左ジャブ、右ストレート、フック   

ガルシア:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:エレラはメキシコ・バジャドリド出身。デビュー以来14連勝中。ガルシアはメキシコ・ベラクルス出身の中堅どころで、7勝(3KO)10敗。直前の試合はメキシコ王座(ウェルター級)挑戦で、判定負け。メキシコ・メリダでの一戦。ガードをやけに高く上げているエレラ。距離を取ってジャブ、ワンツーでカウンター。ガルシアは攻めの姿勢でジャブ、右ストレート、フック。共に動きのスピード、パンチのキレはそこそこ。エレラがディフェンス&カウンター。5R、ガルシアはサウスポーにスイッチするが、あまり意味無し。6R終了。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。エレラがカウンターで勝利。一生懸命攻めたガルシアは空転。精力的に攻めている方が負ける、というガルシアにとって気の毒な結果。その後の二人。ガルシアは連敗後、勝ったり負けたり。メキシコ王座(スーパーウェルター級)挑戦で、判定負け。カナダに主戦場を移したが、敗北を重ねていった。エレラは連勝後、判定で初黒星。WBOインター王座(スーパーライト級)、WBC王座(ウェルター級)に挑戦して判定負け。タイトルとは無縁だった。)


①「IBF World Lightweight Title 

Miguel Vazquez vs. Ricardo Dominguez」

②「Super Lightweight 

Ricardo Dominguez vs. Gilberto Gonzalez」

③「Lightweight 

Aaron Herrera vs. Manuel Garcia」


金智勲(Ji Hoon Kim)&オマール・フィゲロア(Omar Figueroa)のページ

2025年10月3日金曜日

金智勲(Ji Hoon Kim)&オマール・フィゲロア(Omar Figueroa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ライト級の実力者。「金 vs. ゴゴラゼ、ラヒモフ」「フィゲロア vs. キンテロ」「ラモス vs. エルナンデス」を紹介します。


金智勲(韓国)

身長176cm:オーソドックス(右構え)


オマール・フィゲロア(アメリカ)

身長171cm:オーソドックス(右構え)


金智勲 1R TKO コバ・ゴゴラゼ

(スーパーフェザー級戦、2008年)

金智勲(Ji Hoon Kim)&オマール・フィゲロア(Omar Figueroa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

金:左ジャブ、右ストレート、フック   

ゴゴラゼ:右ジャブ、左ストレート、フック   

(ダウンシーン)

1R:左ショートでゴゴラゼがダウン

(感想:ゴゴラゼ(35歳)はジョージア(かつてのグルジア)出身。ニックネームは「The Cobra」。1996年アトランタ・オリンピックにライト級で出場(メダルは獲得ならず)。プロデビューは英国。その後、アメリカへ。NABO王座(スーパーフェザー級)を獲得するなど連戦連勝。TKOで初黒星。WBO世界スーパーフェザー級暫定王座に挑戦したが、TKO負け。これまで20勝(8KO)2敗。キム戦はその再起戦。金智勲(キム・ジフン。21歳)は韓国人。アマチュアの経験は無し。プロデビュー戦に判定負け。その後、韓国王座、PABA王座(いずれもフェザー級)を獲得、防衛。ゴゴラゼ戦は初のアメリカでの試合。ラスベガス「Thomas & Mack Center」での一戦(会場ではWBC世界ライトヘビー級王者チャド・ドーソンが観戦)。右ストレート、連打で仕掛ける金。サウスポーのゴゴラゼはディフェンスしながら左パンチ(左ストレート、左フック)で応戦。攻めたゴゴラゼだが、左ショートでダウン。立ったが、足に来ている。金が右ストレート、左フック、右ストレートで攻めたところでレフェリーストップ。金が攻めの姿勢で勝利。ダウンを奪ったショートパンチは地味な感じに見えたが、「効くパンチ」だったのだろう。ゴゴラゼはダウンするまでは良かった。年齢的に耐久力が落ちていたのだろう。前回の試合から間が空いたのも敗因かもしれない。これが最後の試合に。)


金智勲 10R 判定 アリシェル・ラヒモフ

(ライト級戦、2012年)

金智勲(Ji Hoon Kim)&オマール・フィゲロア(Omar Figueroa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

金:左ジャブ、右ストレート、フック   

ラヒモフ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:ゴゴラゼ戦後、連勝でIBOスーパーフェザー級王座を獲得した金。しかし、空位のIBF世界ライト級王座を懸けたミゲル・バスケス戦は判定負け。その再起戦でIBF王座挑戦者決定戦をオーストラリアで行ったが、何と1RでTKO負け。韓国ライト級王座を獲得するなど再起二連勝中。ラヒモフはウズベキスタン・ウルゲンチ出身。アマチュアで実績。アジア大会でバンタム級で優勝。2000年シドニー・オリンピックではメダル獲得ならず。プロではロシアが主戦場。デビューから連勝。決定戦でWBCインター王座(ライト級)獲得。WBOアジア王座(ライト級)も獲得。全勝で、この金戦。ミズーリ州セント・チャールズでの一戦。ジャブ連打、右ストレートの金。ストレートに威力。ラヒモフはブロックしながら前進。接近戦。攻める勢い、手数で金。しかし、1Rからバッティングの被害。接近戦での打ち合いが続く。連打の金、単発だがパワフルなラヒモフ。8R、ラヒモフがローブロー。金は左目を腫らしながらも手数。10R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。金が根性で勝利。しかし、接近戦が多く、中盤以降は得意の右ストレートが効果的でなくなっていったのが惜しい。ラヒモフはよく攻めたが、畳み掛けるようなコンビネーションが少なかった。その後の二人。ラヒモフは再起二連勝後、二連敗で引退。金は次の試合でレイムンド・ベルトランに判定負けで北米ライト級王座獲得ならず。結局、メジャー団体の世界王者にはなれなかった。)


オマール・フィゲロア 8R 引分 アルツロ・キンテロ

(ライト級戦、2010年11月)

金智勲(Ji Hoon Kim)&オマール・フィゲロア(Omar Figueroa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

フィゲロア:左ジャブ、右ストレート、フック   

キンテロ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:フィゲロア(20歳)はテキサス州ウェスラコ出身。これまで10連勝(7KO)。王座戦の経験はまだ無い。キンテロ(26歳)はメキシカン。ラスベガスを主戦場に15勝(9KO)4敗。デビューから連勝だったが、KOで初黒星。その後も敗北を喫し、2006年に引退。これがカムバック戦となる。テキサス州イダルゴでの一戦。似たところがある二人。共にシャープで速いジャブを細かく連打。接近戦ではストレート、フック、ボディ打ち。動きが速く、手数も多い。しかしながら、次第に違いが。手数で勝負のフィゲロア。キンテロはパワーを込めた右ストレート、左ボディ打ち(迫力)。4R、フィゲロアの右アッパー炸裂。手数でややフィゲロアか、といった展開で最終8R。フィゲロアがサウスポーにスイッチして軽いボクシング。8R終了。判定はドロー(ダウンシーンは無し)。映像ではフィゲロアが手数で勝ったように見えたが、手数が多い分、一発一発のパンチは軽かった。個人的にはキンテロのパワフルなボディ打ちが良かったように思えた。その後の二人は大きな差。キンテロはこの後、またブランク。カムバックして三連勝。記録はここまで(またカムバックするかもしれない)。フィゲロアは連勝で、2013年にWBC世界ライト級暫定王座獲得。正規王者に昇格して二度の防衛に成功したが、ここまで。王座を剥奪され、さらに飲酒運転で逮捕される不祥事。大きなチャンスで体重超過の失態など残念なキャリアとなった。)


ルイス・ラモス・ジュニア 8R 判定 ホセ・エルナンデス

(ライト級戦、2011年3月)

金智勲(Ji Hoon Kim)&オマール・フィゲロア(Omar Figueroa)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ラモス:右ジャブ、左ストレート、フック   

エルナンデス:左ジャブ、右ストレート、フック、右アッパー   

(感想:ラモス(22歳)はカリフォルニア州オレンジ出身のサウスポー。これまで17連勝(8KO)。タイトル戦の経験はまだ無い。エルナンデス(24歳)はテキサス州フォートワースの選手で10勝(4KO)4敗1分。WBCのユース王座(スーパーフェザー級)に挑戦したことがあるが、判定負け。再度、同王座を狙い、TKO勝利。しかしその後、三連敗。直前の試合は引き分け。勢いのある状況ではない。カリフォルニア州コスタメサでの一戦。足でリズムを取るエルナンデス。ジャブ、右ストレート。接近してフック、右アッパー。ラモスは典型的なサウスポーで右ジャブ、左ストレート。接近戦。互いに譲らず。4R、右フックでエルナンデスのマウスピースが落下。6R、エルナンデスの右ストレートがヒット。全体的にエルナンデスが右ボディからの右アッパーなどで攻めの姿勢。ラモスはディフェンス、当てる巧さで応戦。8R終了。判定は2-0(ダウンシーンは無し)。ラモスがテクニックで勝利。納得いかない表情のエルナンデス。手数、アッパーで勝ったように映像では見えた。リングサイドのジャッジには少しラモスが上に見えたのだろう。その後の二人。エルナンデスは意外にも勝ったり負けたり。決定力に不足していたためと思われる。ラモスはレイムンド・ベルトランに勝利してNABA王座(ライト級)獲得するなど順調だったが、二連敗で事実上、キャリアを終えた。)


①「Super Featherweight 

Ji Hoon Kim vs. Koba Gogoladze」

②「Lightweight 

Ji Hoon Kim vs. Alisher Rakhimov」

③「Lightweight 

Omar Figueroa vs. Arturo Quintero」

④「Lightweight 

Luis Ramos Jr vs. Jose Hernandez」

 

2025年10月1日水曜日

マルコ・アントニオ・ルビオ(Marco Antonio Rubio)&オマール・チャベス(Omar Chavez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

メキシコ・ミドル級。「ルビオ vs.オルネラス、アルバレス」「チャベス vs. ジョアシャン・アルシーヌ」を紹介します。


マルコ・アントニオ・ルビオ(メキシコ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)


オマール・チャベス(メキシコ)

身長180cm:オーソドックス(右構え)


マルコ・アントニオ・ルビオ 12R 判定 エンリケ・オルネラス

(WBC世界ミドル級王座挑戦者決定戦、2008年)

マルコ・アントニオ・ルビオ(Marco Antonio Rubio)&オマール・チャベス(Omar Chavez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ルビオ:左ジャブ、右ストレート、フック   

オルネラス:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:メキシカン同士の対戦。ルビオはメキシコ王座、WBCインター王座(スーパーウェルター級)獲得。王座を連続防衛していたが、WBO王座挑戦者決定戦でKO負け。そこから連勝だったが、今度はWBC王座挑戦者決定戦で判定負け。WBAの地域王座(ミドル級)獲得、防衛。そして、このオルネラス戦。オルネラスはこのクラスにしては長身で185cm。デビューから連勝でWBCのユース王座(スーパーミドル級)獲得。TKOで初黒星。ブロンコ・マッカートとの再戦で北米ミドル級王座獲得。防衛に成功してルビオと重要な試合。アトランチックシティでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。互いにブロックしながらジャブ。パンチに伸びとキレがあるルビオ。ジャブ、ワンツーからの左フックに良さがある。オルネラスはルビオとは違うタイプの好選手。フックを当てる巧さがあり、ボディ打ちにはパワー。全般的に映像では当てるテクニックでオルネラスがポイント上、勝っているように見える。10R、連打でオルネラス優勢。しかし、目が腫れている。11Rは逆にルビオが連打。12Rもルビオが優勢。判定は2-1(ダウンシーンは無し)。どうやらルビオのパワーが評価されたらしい。パンチには鋭さもあった。オルネラスも悪くはなかった。互いにディフェンスができるため、「パンチの威力」が物を言った印象。その後のオルネラス。バーナード・ホプキンスに判定負け。WBO世界スーパーミドル級、WBA世界ライトヘビー級王座への挑戦は判定負け。世界王座には手が届かなかった。)


マルコ・アントニオ・ルビオ 9R TKO リゴベルト・アルバレス

(WBCラティノ・ミドル級タイトル戦、2010年)

マルコ・アントニオ・ルビオ(Marco Antonio Rubio)&オマール・チャベス(Omar Chavez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ルビオ:左ジャブ、右ストレート、フック   

アルバレス:右ジャブ、左ストレート、フック   

(感想:ルビオがタイトル初防衛。オルネラス戦の次の試合でケリー・パブリックのWBC・WBO世界ミドル級王座に挑戦したルビオだが、TKO負け。再起戦でラティノ王座を獲得して、この初防衛戦。挑戦者アルバレスもメキシカンで、あのサウル・アルバレスの兄。デビューから連勝でWBCの地域王座(スーパーミドル級)などを獲得したが、WBF戦(スーパーミドル級)で判定負け、初黒星。再起戦に勝利して、このルビオへの挑戦。メキシコのゴメス・パラシオでの一戦(会場ではルーベン・オリバレス、サウル・アルバレスが観戦)。ルビオがシャープなジャブで先手。右ストレートからの左ジャブといったコンビネーションも見せる。サウスポーのアルバレスは強い右フックなどゴツいパンチの持ち主だが慎重な性格らしく、受け身の姿勢。ただ、自分から試合の流れを作るような動きではないが、パンチをかわす身のこなしの速さがある。4R、アルバレスが左フックを当て、連打で攻勢。その後、ルビオは慎重にブロックしながらジャブ。パワーで上のアルバレスに攻められて防戦一方になるシーンも。しかしながら、やはりどこか積極さ、畳み掛ける攻撃に欠けるアルバレス。9Rに左アッパーを食い、連打を浴びたところでレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。ルビオが攻めの姿勢で勝利。アルバレスの重そうなパンチに追い込まれたが、冷静に対応できた。アルバレスは残念。スタミナに問題があったか、一気に攻める鋭さ、気迫に欠けていた。その後の二人。アルバレスは石田順裕からWBA世界スーパーウェルター級暫定王座奪取。しかし、正規王座は獲得できなかった。ルビオはWBFスーパーミドル級王座、WBC世界ミドル級暫定王座は獲得できたが、フリオ・セサール・チャベス・ジュニア、ゲンナジー・ゴロフキンに敗れて正規の世界王座を獲得することはできなかった。)


オマール・チャベス 10R 判定 ジョアシャン・アルシーヌ

(スーパーウェルター級戦、2013年10月)

マルコ・アントニオ・ルビオ(Marco Antonio Rubio)&オマール・チャベス(Omar Chavez)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

チャベス:左ジャブ、右ストレート、フック   

アルシーヌ:左ジャブ、右ストレート、フック   

(ダウンシーン)

10R:左ボディでアルシーヌがダウン

(感想:チャベス(23歳)はあのフリオ・セサール・チャベスの息子(長男はジュニア。オマールは次男)。メキシコ・クリアカン出身。WBCユース王座(ウェルター級)を獲得しているが、ホルヘ・パエス・ジュニアに二敗している。アルシーヌ(37歳)はハイチ出身の黒人。カナダでプロデビュー。連戦連勝でWBAの地域王座、NABA王座(スーパーウェルター級)を獲得。全勝のままWBA世界スーパーウェルター級王者になったが、二度目の防衛戦でKO負け、王座陥落。以後、WBCインター王座(ミドル級)を獲得する活躍もあったが、このところ三連敗中。メキシコのカボ・サン・ルカスでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア。会場ではチャベスの父フリオが観戦)。ガードを固めるアルシーヌ。チャベスが手数で攻めの姿勢。ジャブ、ワンツーからの左フック、右フック。悪くはないが、パワーはそこそこ。アルシーヌは右ストレート、左フックに良さがあるがスタミナが続かないらしく、クリンチ。接近戦。互いに良いパンチ(息子を心配しているのか、フリオは落ち着かない様子)。10R、左ボディでアルシーヌがダウン。立ったアルシーヌは右ストレートで反撃。10R終了。判定は大差の3-0。チャベスが攻めの姿勢で勝利。KOを狙うような畳み掛ける攻めは少なかったが、親譲りの左ボディ打ちでダウンを奪ったのは良かったのではないかと。アルシーヌはさすが元世界王者といったパンチ。しかし、ピークを過ぎているのだろうか、精力的な攻めは少なかった。その後の二人。アルシーヌはタイトル戦は無し。ラストファイトはTKO負け。チャベスはNABO王座(スーパーウェルター級)を獲得したが、防衛に失敗。親のように世界王者になることはできなかった。)


①「WBC Middleweight Title Eliminator 

Marco Antonio Rubio vs. Enrique Ornelas」

②「WBC Latino Middleweight Title 

Marco Antonio Rubio vs. Rigoberto Alvarez」

③「Super Welterweight 

Omar Chavez vs. Joachim Alcine」


ケリー・パブリック(Kelly Pavlik)のページ

2025年9月26日金曜日

ジョン・ダディ(John Duddy)&アッサン・エンダム(Hassan N'Dam N'Jikam)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ヨーロッパ・ミドル級。「ダディ vs. ローダット、スミチェット」「エンダム vs. ベレチャム、サンダース」を紹介します。


ジョン・ダディ(北アイルランド)

身長180cm:オーソドックス(右構え)


アッサン・エンダム(カメルーン)

身長182cm:オーソドックス(右構え)


ジョン・ダディ 1R KO レオ・ローダット

(ミドル級4回戦、2003年)

ジョン・ダディ(John Duddy)&アッサン・エンダム(Hassan N'Dam N'Jikam)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ダディ:左ジャブ、右ストレート、フック   

ローダット:左ジャブ、右ストレート、フック   

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでローダットがダウン、右フックでダディがダウン、右カウンター、右フックで2度、ローダットがダウン

(感想:ダディは北アイルランド出身の白人。主戦場はニューヨーク。これまで2勝(2KO)。ローダットはドミニカ出身の黒人で3勝(3KO)5敗。ニューヨークでの一戦。互いにジャブ、ワンツー。攻めるダディ、距離を取るローダット。右ストレートでローダットがダウン。接近戦。左ボディ打ち連発などテンポ良く連打をまとめるダディだが、右フックでダウン。しかし、勢いはダディ。右カウンター、右フックでローダットが更に二度ダウンを喫して試合終了。ダディが攻めの姿勢、コンビネーションで勝利。やや強引だったが、パンチの打ち方が良かった。ローダットは受け身。相手の勢いに飲まれた。その後、ローダットは勝ったり負けたり連敗したり。) 


ジョン・ダディ 10R 判定 ワリド・スミチェット

(ミドル級戦、2008年)

ジョン・ダディ(John Duddy)&アッサン・エンダム(Hassan N'Dam N'Jikam)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ダディ:左ジャブ、右ストレート、フック   

スミチェット:左ジャブ、右ストレート、フック   

(感想:ローダット戦後のダディ。WBC米大陸王座、IBA王座(いずれもミドル級)を獲得するなど23連勝(17KO)。スミチェットはチュニジア出身。アマチュアを経験後、カナダでプロデビュー。17勝(13KO)3敗3分。ローカル王座を獲得したが、IBFインター王座戦(ミドル級)で判定負け。ダディ戦はその再起戦となる。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦(28歳同士の対戦。スミチェットのセコンドにオーティス・グラント)。積極的なダディ。ジャブ連打で前進して左右フックでボディ連打。スミチェットはゴツいパンチの持ち主。ブロックしながらストレート、フックで応戦。打ち下ろすような右ストレートに迫力。ダディはガードの隙を突かれ、1Rから打たれる。接近戦が続く。ジャブ、ワンツーを当てるダディ。スミチェットは重いパンチ。3R、ダディが左マブタを大きくカット。打ち合い過ぎては危険と考えたか、終盤、ダディは中間距離でジャブ、ワンツー。10R終了。判定は2-0。ダディが手数で辛勝。攻めるときのディフェンスに問題があり、かなり打たれた。打たれる選手は上には行けないが、今後が気になる試合ぶりだった。スミチェットは反撃するタイプ。主体的に攻めていれば勝てたはず。その後の二人。スミチェットは勝ったり負けたり。カナダ王座戦(スーパーミドル級、ミドル級)でKO負け。中堅どころでキャリアを終えた。ダディは更に連勝後、2-1の判定で初黒星(2009年)。WBCシルバー王座決定戦でフリオ・セサール・チャベス・ジュニアに3-0の判定負け、引退。意外なことに世界戦は一度も無し。引退後は俳優に。2016年のロベルト・デュランの伝記映画『ハンズ・オブ・ストーン』でケン・ブキャナン役を演じた。)


アッサン・エンダム 10R 判定 アフィフ・ベレチャム

(スーパーミドル級戦、2008年)

ジョン・ダディ(John Duddy)&アッサン・エンダム(Hassan N'Dam N'Jikam)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

エンダム:左ジャブ、右ストレート、フック   

ベレチャム:右ジャブ、左ストレート、フック   

(感想:エンダムはカメルーン出身の黒人。「ハッサン・ヌダム・ヌジカム」と読むのが正しいようだが、日本では「アッサン・エンダム」と呼ばれる。ニックネームは「Phenomeno」で「驚異的」を意味するそうだ。アテネ(2004年)とリオ(2016年)でオリンピック出場(プロの選手もアマ大会に出られることになった。メダルは獲得ならず)。2004年にプロデビュー。フランスを主戦場にこれまで全勝。ベレチャムはフランス・リヨン出身の白人サウスポー。デビュー当初に判定負けを二つ喫したが、その後は連勝でこのエンダム戦。パリでの一戦(ローカルな大会の決勝戦として行われた)。速いジャブを連打するエンダム。右ストレート、左フックダブル、ボディ打ち。スピードと器用さがある。ベレチャムはガードを固めて受け身。ガチャガチャした攻撃をディフェンスされ、攻めが一貫しない。中間距離でアウトボクシングするエンダム。8Rにフットワークで相手をおちょくり、イラつかせる。10R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。優勝のエンダムが紙テープが舞う中、トロフィーを受け取った。エンダムがテクニックで勝利。巧いが、パワーが感じられない戦い方。フランス人好みの戦い方なのだろうが、余裕を見せながらダウン一つ奪えないのは物足りない。ベレチャムは不器用だった。もう少しラフにボディ攻めなどをしてもよかったのでは? その後、ベレチャムはフランス王座、欧州王座(いずれもミドル級)を獲得できたが、その後はタイトル戦で連敗するなど地域の実力者にとどまった。)


アッサン・エンダム 6R TKO セルジオ・ホセ・サンダース

(ミドル級戦、2009年)

ジョン・ダディ(John Duddy)&アッサン・エンダム(Hassan N'Dam N'Jikam)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

エンダム:左ジャブ、右ストレート、フック   

サンダース:左ジャブ、右ストレート、フック   

(ダウンシーン)

6R:右フックでサンダースがダウン

(感想:ベレチャム戦後も連勝のエンダム。サンダースはアルゼンチンの選手。デビューから無敗だったが、アルゼンチン王座戦(スーパーウェルター級)でTKO負け。再起戦で判定負け。その再起戦で判定勝ちして、このエンダム戦。パリでの一戦。ブロックしながら左ジャブ、左フック、左ボディ打ちのサンダースは左のテクニックがある。エンダムはテンポの良いボクシングで攻めの姿勢。踏み込んでジャブ、ストレート、左フックダブル、ボディ打ち。左フックからの右ストレートといったコンビネーションも使い、手数が多い。共に良いパンチを持っているが、勢いでエンダム。サンダースは左目の腫れ。ところが4Rからエンダムがアウトボクシング。しかし、カウンターを当て、エンダム優勢は変わらない。6R、互いに右パンチを出したが、強烈な右フックでサンダースがダウン。立ったがダメージ深く、攻められてレフェリーストップ。エンダムが快勝。しかし、4Rから足を使ってガラッと試合のパターンが変わったが、その戦法は正しかったのだろうか? サンダースは頑張ったが、相手の機敏な動きを捉えることができなかった。その後の二人。サンダースは再起戦で再びアルゼンチン王座戦(スーパーウェルター級)に挑戦したがKO負け。その後も負けが続いた。エンダムはWBO世界ミドル級王者になったり、村田諒太とWBA世界ミドル級王座を懸けて二度戦ったり。タイトル戦を中心とするキャリアとなった。)


①「Middleweight 

John Duddy vs. Leo Laudat」

②「Middleweight 

John Duddy vs. Walid Smichet」

③「Super Middleweight 

Hassan N'Dam N'Jikam vs. Affif Belghecham」

④「Super Middleweight 

Hassan N'Dam N'Jikam vs. Sergio Jose Sanders」


村田諒太(Murata Ryota)のページ 

2025年9月24日水曜日

アレックス・ババ(Alex Baba)&オジー・デュラン(Ossie Duran)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ガーナの実力者。「ババ vs. ハビエル・バルゲス」「デュラン vs. マクニール」「デュラン vs. ゴンザレス」を紹介します。


アレックス・ババ(ガーナ)

身長165cm:オーソドックス(右構え)


オジー・デュラン(ガーナ)

身長178cm:オーソドックス(右構え)


アレックス・ババ 4R TKO ハビエル・バルゲス

(スーパーフライ級戦、2001年8月)

アレックス・ババ(Alex Baba)&オジー・デュラン(Ossie Duran)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ババ:左ジャブ、右ストレート、フック

バルゲス:右ジャブ、左ストレート、フック

(感想:ババはガーナ・アクラ出身の黒人(ガーナの英雄アズマー・ネルソン、WBA世界ウェルター級王者アイク・クォーティと同じ)。1992年バルセロナ・オリンピックにフライ級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではデビューから連勝でアフリカ王座、WBCインター王座(フライ級)獲得。主戦場をアメリカへ。判定で初黒星。バルゲス戦は再起二戦目で、これまで17勝(13KO)1敗。バルゲスはメキシコ・ユカタン出身のサウスポー。多くの名のある選手(ウンベルト・ゴンザレス、マイケル・カルバハル、リカルド・ロペス)と対戦してきたベテランで、41勝(31KO)23敗1分。世界王座は獲れなかったが、WBC米大陸王者(J・フライ級)になったことがあるタフネス自慢。フロリダ州マイアミでの一戦。中間距離からジャブを飛ばすババ。バルゲスは予想通り接近戦を仕掛け、左右フック連打。ババはなかなか気が強い。バルゲスの接近にフックで応戦し、当てる巧さを見せる。得意のラッシュ戦法が通じないバルゲス。3R終了後に棄権(ダウンシーンは無し)。ババがスリムな身体から繰り出すシャープなパンチで勝利。アフリカはスピード&パワーがそろった良い選手が多い。バルゲスは戦い過ぎた。全盛を過ぎたのだろう。これが最後の試合に。その後のババ。次の試合でポンサクレック・ウォンジョンカムのWBC世界フライ級王座に挑戦したが、バッティングが原因で勝てず。再起戦で実力者エリック・モレルに判定負け。残念なことに、その後は北米バンタム級王座戦に敗れるなど敗北が多くなっていった。)


オジー・デュラン 12R 判定 コリン・マクニール

(英連邦スーパーウェルター級タイトル戦、2005年)

アレックス・ババ(Alex Baba)&オジー・デュラン(Ossie Duran)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

デュラン:左ジャブ、右ストレート、フック   

マクニール:右ジャブ、左ストレート、フック   

(感想:デュランがタイトル初防衛。王者デュラン(27歳)はガーナ・アクラ出身。アフリカのリングに上がっていたが、主戦場を英国に。連勝でIBFインターコンティネンタル王座(ウェルター級)に挑んだが、判定負け。再起戦で英連邦ウェルター級王座獲得。さらにスーパーウェルター級王座も獲得。マクニールと初防衛戦。挑戦者マクニールはスコットランド出身の白人。これまで全勝。直前の試合で英国のローカル王座(スーパーウェルター級)を決定戦で獲得している。英国メイフェアでの一戦。サウスポーのマクニール。足でリズムを取ってテンポ良く右ジャブ、左ストレート。デュランはジャブ、ワンツーが基本。互いにディフェンスし、クリーンヒットが少ない。ボディを攻めるマクニール。デュランは時折右ストレートを当て(10Rほか)、パワーでやや上に見える。ただ、両者ともKOを狙うようなボクシングではない。12R終了。判定は大差の3-0(ダウンシーンは無し)。共にディフェンスが巧かった試合。デュランが右ストレートで勝利。思った以上のポイント差。マクニールは手数を出していたが、ブロックされたようだ。その後の二人。マクニールはローカル王座戦で勝利したが、最後は二連敗で引退。デュランは次の試合で王座陥落。)


ブランドン・ゴンザレス 8R 判定 オジー・デュラン

(スーパーミドル級戦、2011年)

アレックス・ババ(Alex Baba)&オジー・デュラン(Ossie Duran)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ゴンザレス:左ジャブ、右ストレート、フック

デュラン:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:オレゴン州出身のゴンザレスはこれまで14勝(10KO)1分。デュラン(34歳)は26勝(10KO)8敗2分で、すっかりベテランに。直前の試合でIBFのアメリカ王座を獲得。アトランチックシティでの一戦。レゲェな髪型のデュラン。ロイ・ジョーンズっぽいゴンザレス。共にガードを上げてジャブ、右ストレート。右でボディを叩く器用さ。ワンツーからの左フックといった連打。ジリジリ前へ出るデュラン、距離を取りながらジャブで迎え撃つゴンザレス。足の動き、パンチのキレという点では若いゴンザレスの方が上。距離を取る試合運びでポイントを取っている印象。最終ラウンド終了時、共に手を上げて自身の勝利をアピール。判定は2-1。ゴンザレスの手数が評価されたか。デュランはよく攻めたが、「追い掛ける足」に欠けた。その後の二人。デュランは次の試合でWBCのシルバー王座(ミドル級)に挑戦したが2-0で敗北。それが最後の王座戦に(結局、世界戦をすることは無かった。)。ゴンザレスは勝ち続けたが英国でTKO負け、初黒星。王座戦を経験することなく、それが最後の試合となった。)


①「Super Flyweight 

Alex Baba vs. Javier Varguez」

②「Commonwealth Boxing Council Super Welterweight Title

Ossie Duran vs. Colin McNeil」

③「Super Middleweight 

Brandon Gonzales vs. Ossie Duran」