WBC世界スーパーフライ級王者。ショートパンチで世界を獲得。トマス・ロハス戦、名城信男戦、山中慎介戦ほかを紹介します。
スリヤン・ソー・ルンヴィサイ(タイ)
身長160cm:オーソドックス(右構え)
①スリヤン・ソー・ルンヴィサイ 5R TKO ボイド・シマンジュンタク
(バンタム級戦、2011年)
スリヤン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
シマンジュンタク:右ジャブ、左ストレート、右フック
(ダウンシーン)
4R:右ボディでシマンジュンタクがダウン
(感想:子供の頃からムエタイをやってきたスリヤン(タイ・ナコーンラーチャシーマー出身)。プロボクシングに転向。連戦連勝というわけにはいかず、プロ五戦目のWBOアジア王座戦で敗北(世界を目指すタイの有望選手は負けるとまたムエタイに戻ることが多いが、スリヤンは国際式(プロボクシング)を続行)。その後、WBCのアジア王座(フライ級)を獲得したことからポンサクレックのWBC世界フライ級王座に挑戦できたが、勝てず。再起三連勝中。シマンジュンタクはインドネシアのトゥビン・ティンギ出身のサウスポー。ニックネームは「ブルドーザー」(凄いパワーなのだろう)。勝ったり負けたりで、インドネシア王座(バンタム級)に挑戦した時は判定負け。直前の試合はKO負け。勝つのも負けるのもKO、といった感じのキャリアだが、どんな選手なのか? タイのバン・プンでの一戦。シマンジュンタクはややディフェンシブ。距離を取ってワンツーからの右フック。特に右フックにパワーを込める。スリヤンは相手がサウスポーということで左ジャブ、右ストレート、踏み込んで左フック。ワンツー、右ストレートからの左ジャブといったコンビネーションも使用。3R、パワフルな攻防。スリヤンが連打、シマンジュンタクは右フック。4R、右ボディでシマンジュンタクがダウン。これが効いて勢いを無くしたシマンジュンタク。5Rに右ストレートを食い、左フックを打たれたところでレフェリーストップ。ストップに不満の様子だったが、劣勢になっていたため仕方がない。スリヤンが打撃戦を制して勝利。ディフェンスもしっかりできていた。シマンジュンタクは敗れたが、パワフル。ダウンを食った4Rの右ボディは良いタイミングのパンチだった。その後の二人。シマンジュンタクはインドネシア王座(バンタム級、次いでフェザー級)を獲得。しかし、安定的に勝ち続けることはできず。王座陥落後もタイや地元で多くの試合(日本で負傷判定負けしたことも)。通算戦績24勝(10KO)59敗3分。スリヤンの次の試合は二度目の世界挑戦。)
②スリヤン・ソー・ルンヴィサイ 12R 判定 トマス・ロハス
(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、2011年)
スリヤン:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ロハス:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(感想:スリヤンがタイトル獲得。二度目の世界挑戦のチャンスを得たスリヤン。サウスポーの王者ロハスは決定戦で王者になったメキシカンで、これが三度目の防衛戦。タイ・シーサケートでの一戦。ヒラヒラしたトランクスのロハス。足で距離を取ってジャブ、左ストレート。スリヤンはジャブが少な目で、右ストレートで接近してショートパンチ。共に左フックは振りが大きい。ロハスはジャブをよく出してはいるが、パンチ自体が軽い印象。スリヤンは強いパンチを時折ヒットさせる。終盤はロハスが左ストレートをヒットさせて押し気味。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。スリヤンの接近戦でのショートパンチが評価されたか。ジャッジの一人が1ポイント差だったように、ロハスも手数が多くて悪くはなかったが、振りの大きいパンチはディフェンスされて空を切ることが多かった。後、ロハスはWBC世界バンタム級王者の山中慎介に挑戦したがKO負けを喫し、二階級制覇ならず。)
③スリヤン・ソー・ルンヴィサイ 12R 判定 名城信男
(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦、2011年)
スリヤン:左ジャブ、右ストレート、左フック
名城:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:スリヤンがタイトル防衛。これまで19勝(7KO)4敗1分のスリヤンが元WBA王者の名城と防衛戦。名城は15勝(9KO)3敗1分で、WBC5位。バンコクでの一戦。ロハス戦とは違ってジャブをよく使うスリヤン。下がりながらジャブ、ワンツー、左フック。名城はジャブ、ストレート、左フックといったコンビネーションで攻める。ディフェンスしながら正確にパンチを当てるスリヤン。名城は良い右ストレート、左ボディフックを打つが、スリヤンは当てさせない。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。名城はよく攻め、手数も多かったが、スリヤンがディフェンスと当てるテクニックでちょっとずつポイントを重ねていった。ただ、スリヤンはテクニックがあるところを見せたが、ダウンシーンが無かったことが示すように世界王者の試合としてはやや迫力不足だったような気がする。相手を制圧するようなシーンを見せて欲しかったところ。名城はその後も世界挑戦のチャンスを得たが、王座返り咲きならず。)
④山中慎介 12R 判定 スリヤン・ソー・ルンヴィサイ
(WBC世界バンタム級タイトル戦、2014年)
スリヤン:左ジャブ、右ストレート、左フック
山中:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
7R:左ストレートでスリヤンがダウン
8R:左ストレートでスリヤンがダウン
9R:左ボディフックでスリヤンがダウン
(感想:山中がタイトル防衛。スーパーフライ級タイトルを日本で失ったスリヤン。それ以来、WBCアジア王座(バンタム級)を連続防衛するなど連勝。来日し、バンタム級で二階級制覇を目指す。サウスポーの王者山中はこれまで21(16KO)2分。「六連続KO防衛なるか?」という状況。「代々木競技場」での一戦。いつものように山中は距離を取り、ジャブ、左ストレート。スリヤンはサウスポーが苦手なようで、ロハス戦のようにジャブは少な目。右ストレートと左フックを狙う。攻めるスリヤン、ブロックしながらジャブで応戦する山中。7R、スリヤンがダウン。8R、キレイなコンビネーション(左ストレート、右フック、左ストレート)でスリヤンがダウン。9R、左ボディでスリヤンがダウン。その後、スリヤンは粘り強く前進。山中はカウンターとクリンチ。12R終了。判定は3-0。山中がダウンを奪って判定防衛。山中のディフェンスはブロックが主体。隙を突かれてフックを食うシーンも。スリヤンはジャブが少なく、一発狙いのスタイル。よく前に出たがディフェンスされ、またしても日本で敗れてしまった。その後のスリヤン。WBCアジア王座(バンタム級)を防衛するなど勝ち続けたが、アンセルモ・モレノに敗れて後退。結局、世界王座に返り咲くことはなかった。)
①「Bantamweight
Suriyan Sor Rungvisai vs. Boido Simanjuntak」
②「WBC World Super Flyweight Title
Tomas Rojas vs. Suriyan Sor Rungvisai」
③「WBC World Super Flyweight Title
Suriyan Sor Rungvisai vs. Nashiro Nobuo」
④「WBC World Bantamweight Title
Yamanaka Shinsuke vs. Suriyan Sor Rungvisai」
山中慎介(Yamanaka Shinsuke)のページ
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