世界二冠王(J・ライト級、J・ウェルター級)。トレーシー・ハリス・パターソン戦、ガブリエル・ルエラス戦ほかを紹介します。「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」
アルツロ・ガッティ(カナダ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)
①アルツロ・ガッティ 6R TKO バーリントン・フランシス
(J・ライト級戦、1995年)
ガッティ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
フランシス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:イタリア出身のガッティ。その激しい試合ぶりからニックネームは「The Thunder(稲妻)」(他にもある)。カナダに移住し、アマチュアのリングへ。プロ転向に際し、アメリカ・ニュージャージーに移住。19歳でプロデビュー。デビュー七戦目で判定負けしてしまったが、それから連勝。全米J・ライト級王座を獲得。防衛にも成功。年齢は23。フランシス(29歳)はジャマイカ出身の黒人で、国籍はカナダ。1985年、デビューのベテラン。カナダ王座、英連邦王座、WBF王座(全てフェザー級)獲得の実績。直前の試合はエクトール・アセロ・サンチェス(WBC世界J・フェザー級王者)にノンタイトル戦で3-0の敗北。アトランチックシティでの一戦(リングアナはエド・デリアン、レフェリーはアーサー・マーカンテ)。パンチの打ち方が素晴らしいガッティ。ディフェンスしながらジャブ連打、ワンツー、左フック。バランスが良く、左フックに特に強さ&正確さ。右ストレートからの左ジャブといったテクニックも持っている。フランシスはやや長いパンチを使う男で、踏み込んで右ストレート。パワーで上回るガッティ。2Rに右ストレートをヒットさせたのをキッカケに連打。勢いでガッティ優勢。6R、連打でついにストップ(ダウンシーンは無し)。ガッティが素質を見せて勝利。ジャブが多く、攻めるときはコンビネーション。フランシスはどうやら「ガッティの売り出し」に利用されたらしい。その後もリングに上がったが、王座戦は無し。ローカルなキャリアだった。)
②アルツロ・ガッティ 12R 判定 トレーシー・ハリス・パターソン
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1995年)
ガッティ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
パターソン:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:右アッパーでパターソンがダウン
(感想:ガッティがタイトル獲得。これまで23勝(20KO)1敗で、IBF1位のガッティ。王者パターソンはエディ・ホプソンを衝撃的な2RでのKOでこのタイトルを手に入れた二階級制覇王者。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」で初防衛戦(リングサイドでパターソンの養父フロイド・パターソンが観戦)。互いにガードを上げて、ジャブ、ストレート。2R、意表を突くようなタイミングの右アッパーでパターソンがダウン。その後はジャブで先手を取るガッティ。終盤は、ガッティの左目の下が腫れ、パターソンの強打がヒットするシーンも。最終ラウンド終了時、両者とも両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は3-0。パターソンは得意の右ストレートを力強くヒットさせるシーンもあったが(6R、11Rなど)、全体的に受け身の姿勢。「挑戦者」のときは積極的に攻めるが、「王者」になると守りに入ってしまうクセ。今更こんなことを書いても仕方がないが、ガッティが良い選手だっただけに、パターソンには「挑戦者の精神」で戦って欲しかったところ。その後、パターソンはグレゴリオ・バルガス、ジュニア・ジョーンズに敗北。ガッティ戦が最後の世界戦となった。)
③アルツロ・ガッティ 6R KO ウィルソン・ロドリゲス
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1996年)
ガッティ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ロドリゲス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:フック連打でガッティがダウン
5R:左ボディフックでロドリゲスがダウン
6R:左フックでロドリゲスがダウン
(感想:ガッティがタイトル初防衛。IBF2位のロドリゲスはドミニカの選手で、これまで43勝(24KO)7敗3分。鋭いジャブ、ストレートが武器。ドミニカからスペインに主戦場を移し、IBFインターコンティネンタル王座(J・ライト級)獲得。ジョンジョン・モリナが王者だった頃にもこの王座に挑戦したことがある(KO負け)。ニューヨークでの一戦。速いジャブの打ち合い。攻めるガッティにロドリゲスは距離を取りながらストレートを狙う。2R、ガッティがダウン。その後、右目を腫らしながらも前進するガッティ。激しい打撃戦。5R、左ボディでロドリゲスがダウン。6R、強烈な左フックでダウンしたロドリゲスは立てなかった。ガッティも会場のファンも大興奮した逆転KO劇。パターソン戦ではガードしながらジャブから入っていく正統派な戦いぶりだったガッティだが、この試合では打たれるのを覚悟で激しく打ち合った。エキサイティングな試合だったが、ダメージが大きい戦い方だった。その後、ロドリゲスはエンジェル・マンフレディに判定負け(WBUジュニアライト級王座戦)。トップには立てなかった。)
④アルツロ・ガッティ 5R TKO ガブリエル・ルエラス
(IBF世界J・ライト級タイトル戦、1997年)
ガッティ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ルエラス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
5R:左フックでルエラスがダウン
(感想:ガッティがタイトル防衛。三度目の防衛戦。IBF14位のルエラスはアズマー・ネルソンとの試合で有名な元WBC王者。これまで44勝(23KO)3敗。振りの大きいフックが武器。アトランチックシティでの一戦。1Rから接近して打ち合う。パンチの正確さではガッティが上だが、ルエラスの強打がヒットするシーンも。5R、攻めるルエラスだが逆に左フックを食って痛烈なダウン。立ったが、レフェリーは試合ストップ。ガッティが打たれながらも得意パンチでKO勝利。ルエラスはパンチの振りが大きい分、ディフェンスに弱点がある選手だった。その後、ガッティはミッキー・ウォードと激しい三連戦をやったり、WBC世界J・ウェルター級王座を獲得して二階級制覇を達成したり。エキサイティングなファイターのイメージがあるが、本来はガードしながらジャブから入っていく正統派。パンチの打ち方も良く、実にプロらしい選手だった。激しすぎる試合をやりすぎたのが原因なのか、若くして亡くなったのは残念(2009年、37歳)。)
①「Super Featherweight
Arturo Gatti vs. Barrington Francis」
②「IBF World Super Featherweight Title
Tracy Harris Patterson vs. Arturo Gatti」
③「IBF World Super Featherweight Title
Arturo Gatti vs. Wilson Rodriguez」
④「IBF World Super Featherweight Title
Arturo Gatti vs. Gabriel Ruelas」
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ガブリエル・ルエラス(Gabriel Ruelas)のページ
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ミッキー・ウォード(Micky Ward)②のページ
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