IBF世界バンタム級王者。ストレートパンチャーのシーブルックス。ティエリー・ヤコブ戦、アーニー・カタルーニャ戦、オーランド・カニザレス戦(再戦)ほかを紹介します。
ケルビン・シーブルックス(アメリカ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)
①ケルビン・シーブルックス 10R TKO ティエリー・ヤコブ
(IBF世界バンタム級タイトル戦、1987年)
シーブルックス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ヤコブ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでヤコブがダウン。左フック、左ストレートで2度、シーブルックスがダウン。
6R:連打でシーブルックスがダウン
(感想:シーブルックスがタイトル防衛。ノースカロライナ州シャーロット出身のシーブルックス。スリムなボクサーファイター型。家庭は豊かではなかったという。アマチュアで優秀な選手だったが、モスクワ・オリンピックには出場ならず。プロになったが、当時のアメリカでは軽量級に対する関心は低く、対戦相手もシーブルックスより大きい選手が多かったため、敗北を喫することが多かった。引退を考えたほどだったというが、世界ランカーのフレディ・ジャクソンをKOして注目を集める。全米バンタム級タイトルを獲得し、その次の試合で空位のIBF世界バンタム級タイトル獲得。ヤコブ戦は初防衛戦となる。ヤコブはフランスのサウスポー。デビュー以来、全勝。フランス・バンタム級タイトルを獲得している。フランス・カレーで行われた試合。壮絶な打撃戦。1R開始早々、右ストレートでダウンを奪うシーブルックス。ジャブからの右ストレートで攻める。ヤコブは小刻みにジャブを使って、思い切った左ストレートを打ち、シーブルックスが逆に左フックで倒される。さらにダウン(先にダウンしたヤコブよりもシーブルックスの方がダメージがありそう)。勢いに乗るヤコブに合わせて打ち合うシーブルックス。テンポの速い打ち合い。ボディを攻撃するなど、打ち合いではヤコブが優勢。6R、左フックからの連打でシーブルックスがダウン。それでも打ち合うシーブルックス。激しい打撃戦。ところが9R終了でヤコブが棄権。キズが原因と思われる。シーブルックスが危険な勝利。本来ならジャブで距離を取って右ストレートを打つシーブルックスがダウンを最初に奪ったことで攻撃的になった。そのため逆に倒され、かなり打たれた。ダウンを奪ったからといって自分が優勢になったとは限らない。この試合でのシーブルックスの戦い方。よく打ち合ったと称賛すべきか、もっとクレバーに戦えばよかったと批判的に見るか。激しい試合はエキサイティングではあるが、選手のダメージを考えると喜んでいいものなのかどうか。ファンとしては悩ましいところ。善戦のヤコブは後、ダニエル・サラゴサを破ってWBC世界J・フェザー級王座を獲得。)
②ケルビン・シーブルックス 4R KO アーニー・カタルーニャ
(IBF世界バンタム級タイトル戦、1987年)
シーブルックス:左ジャブ、右ストレート、左フック
カタルーニャ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:左フックでシーブルックスがダウン
4R:左フック、右ストレートで2度、カタルーニャがダウン
(感想:シーブルックスがタイトル防衛。二度目の防衛戦。カタルーニャは後に日本のリングに上がることになるフィリピンの選手。フィリピン王座、東洋太平洋王座(いずれもバンタム級)を獲得した実績。イタリアのサン・カタルドでの一戦。開始から左右フックでカタルーニャが猛ラッシュ。シーブルックスを押し倒す(反則)。なんとかディフェンスしながら打ち返すシーブルックスだが、左フックでふっ飛ばされるようにダウン。2Rからは距離を取って打ち合うシーブルックス。ジャブを使って、右ストレート、左フックで立て直す。カタルーニャは左ストレートを狙うが、4R、右が効いて後退。連打からの左フックでダウン。さらに右ストレートでダウンして立てず、KO。シーブルックスが逆転勝利。冷静にディフェンスして、離れても接近してもパワフルなパンチを打っていた。カタルーニャは1Rは凄まじかったが、2Rからは普通の感じに(1Rでスタミナ切れ?)。その後、カタルーニャは連敗。主戦場を日本に。アブラハム・トーレスには敗れたが、元IBF王者ファン・ポロ・ペレス、ローランド・ボホールに勝利。最後の相手は飯田覚士で、判定負けだった。)
③オーランド・カニザレス 11R TKO ケルビン・シーブルックス
(IBF世界バンタム級タイトル戦、1989年)
シーブルックス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
カニザレス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:カニザレスがタイトル防衛。実力者カニザレスに王座を奪われたシーブルックス。立場を入れ替えて再びアトランチックシティで対戦。前回は15R制で行われ、15RでカニザレスがTKO勝ち。今回は12R制での試合となる。ジャブ、ストレートのシーブルックス。カニザレスはテンポ良くジャブ、連打、左でボディ打ち。手数が多いカニザレスは例の「首を振ってパンチをかわすテクニック」を使うため、打たれても連続して打たれたりはしない。シーブルックスも手数を増やしてパワフルな左フックを振るうが、パンチを当てるのはカニザレスの方が巧い印象。8R、右目が腫れたシーブルックスが左フックを食って後退。11R、左フックが効いたシーブルックス。連打を浴び、ギブアップするかのような感じでレフェリーストップ(ダウンシーンは無し)。この試合まで25勝(19KO)13敗のシーブルックス。負けが多いが、この試合ではパワーもスピードもあって実に強かった。強い選手でも負けるのがプロボクシング。この試合に敗者はいなかったと言ってもいいのではないか? 勝ったカニザレスがより強かった、といったところ。カニザレスはその後も防衛を続け、世界バンタム級王座連続防衛記録を樹立。)
④ジンミ・ブレダル 2R TKO ケルビン・シーブルックス
(J・ライト級戦、1995年)
シーブルックス:左ジャブ、右ストレート、左フック
ブレダル:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
2R:連打でシーブルックスがダウン
(感想:カニザレスとの再戦に敗れた後、試合間隔が長くなっていったシーブルックス。再起戦では後の世界王者ジェシー・ベナビデスに1RでTKO負け(全米J・フェザー級王座戦)。トム・ジョンソンにもTKO負けして、これまで27勝(22KO)21敗、32歳。ブレダル(28歳)はデンマーク・コペンハーゲン出身の白人サウスポー。「ボクシング兄弟」で弟ジョニーはJ・バンタム級、バンタム級で世界二階級制覇。ジンミはデビューから連勝で欧州王座、WBO王座(いずれもJ・ライト級)を獲得したが、オスカー・デラ・ホーヤにWBO王座を奪われて初黒星。再起戦は欧州王座戦で、これに判定負けして16勝(5KO)2敗。その再起戦でシーブルックスと「元・世界王者対決」。コペンハーゲンでの一戦。ブレダルは素直なサウスポー。相手との距離を保ちながら右ジャブ、左ストレートからの右フック。シーブルックスはダッキングしながらジャブ、右ストレート、振りが大きめの左フックを振るうが、ディフェンスされる。2R、左ストレートを決めたブレダルがラッシュ。左アッパーを交えた連打でシーブルックスがダウン。立ったシーブルックスがレフェリーに何やら訴え、試合終了。ブレダルが楽勝。左アッパーに良さがあった。シーブルックスは限界を悟って自ら棄権。それでよかったのでは? その後の二人。ブレダルはデンマークで試合。連勝後、IBO王座(J・ライト級)を獲得。トロイ・ドーシーに王座を奪われて引退。シーブルックスはこれで引退。引退後はガードマンや若手ボクサーの指導を務めているとか。)
①「IBF World Bantamweight Title
Kelvin Seabrooks vs. Thierry Jacob」
②「IBF World Bantamweight Title
Kelvin Seabrooks vs. Ernie Cataluna」
③「IBF World Bantamweight Title
Orlando Canizales vs. Kelvin Seabrooks」
④「Junior Lightweight
Kelvin Seabrooks vs. Jimmi Bredahl」
オーランド・カニザレス(Orlando Canizales)のページ
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