ドイツでのミドル級戦。「シェンク vs. フリーマン・バー」「ムラート vs. スティーニ」「インキン vs. スニガ」ほかを紹介します。
バート・シェンク(ドイツ)
身長176cm:サウスポー
デニス・インキン(ロシア)
身長182cm:オーソドックス(右構え)
①バート・シェンク 4R KO フリーマン・バー
(WBO世界ミドル級王座決定戦、1999年)
シェンク:右ジャブ、左ストレート、右フック
バー:ジャブ、ストレート、フック
(ダウンシーン)
4R:左ストレートでバーがダウン
(感想:シェンクがタイトル獲得。ベルリン出身のシェンク。これまで全勝。全て地元ドイツで試合を行ってきた。これが初の世界戦。バーはバハマ出身。IBO王座、NABO王座(いずれもミドル級)を獲得した実績。ドイツ・コットブスでの一戦。共にサウスポー。右ジャブ、左ストレート。バーは頻繁にオーソドックスにスイッチし、ダッキングしながらボディ打ち。互いにディフェンスするが、シェンクの左ストレート、左アッパーが有効。4R、左ストレートでバーがしゃがみ込むようにダウン。10カウント、KO。最後はバーが右目を痛めて終了。ディフェンスと左パンチでシェンクの方が総合的に優れていた印象。バーはスイッチが多く、「スイッチが多い選手は攻撃が中途半端になりがち」のパターンだった。その後のシェンク。初防衛に成功したが、ケガのため王座剥奪。王座奪回を目指したが敗北、初黒星。その後もリングに上がり続けたが、意外なことに世界戦のチャンスはなかった。)
②フリーマン・バー 6R TKO マイク・コッカー
(スーパーミドル級戦、2002年)
バー:ジャブ、ストレート、フック
コッカー:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:シェンクに敗れた次の試合でNABO王座(スーパーミドル級)を獲得し、防衛にも成功したバーだが、その後、世界戦のチャンスはナシ。そんな状況で行われた10回戦。これまで23勝(11KO)2敗のバー。9勝(7KO)6敗1分のコッカーはフロリダ・タンパ出身の白人。タイトル戦の経験はまだない(結果的に一度もなかった)。ミシガン州ポンティアックでの一戦。ワンツー、接近してフックを連打するコッカーだが、ディフェンスに甘さ。しかも、打った後にバランスを崩したりする。バーも似たようなところがあるが、器用さで少し上。接近戦ではクリンチ、もみ合いが目立つが、バーがアッパー気味のパンチを入れる。5Rに右ストレートを決めたコッカー。しかし、6Rにピンチ。左フック、右ストレートを食う。ドクターチェック。コッカーのキズにより試合終了(ダウンシーンは無し)。隙が大きい二線級の相手にバーが勝利。ただ、大きな試合のチャンスが来ないのも仕方がない、といった感じの内容だった。)
③カロ・ムラート 2R TKO ムスタファ・スティーニ
(スーパーミドル級戦、2007年5月)
ムラート:左ジャブ、右ストレート、左右フック
スティーニ:左ジャブと左フック
(感想:ムラートはアルメニアの選手でこれまで9連勝(5KO)の新鋭。スティーニはベルギーの選手で6勝(4KO)23敗1分。ドイツ・バンベルクでの一戦。共にガードを上げて開始から接近戦。ジャブと左右フックボディ打ちがパワフルなムラート。スティーニは打った後にバランスを崩すほど大振りな左フック。そして、マウスピースを落下してガードを解いたところを打たれたり、頭を低くして攻めるのをレフェリーから注意されたり。2R、左フックを打たれてスティーニが戦意喪失したところで試合終了(ダウンシーンは無し)。ムラートがしっかりした力強い打ち方で勝利。相手をじっくり観察する冷静さもあった。一方、これで24敗目となったスティーニ。ディフェンスができていなかった。後、ムラートは欧州王座やIBO王座を獲得したが、バーナード・ホプキンスの持つIBF世界ライトヘビー級王座への挑戦は失敗(判定負け)。メジャーな世界王座は獲得できなかった。)
④デニス・インキン 12R 判定 フルヘンシオ・スニガ
(WBO世界スーパーミドル級王座決定戦、2008年9月)
インキン:左ジャブ、右ストレート、フック
スニガ:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:インキンがタイトル獲得。元ロシア軍人のインキン。ニックネームは「General(将軍)」。アマチュアで活躍後、プロデビュー。IBFインターコンティネンタル王座(スーパーミドル級)を獲得、防衛するなどロシアで連勝後、主戦場をドイツに。WBCインター王座(スーパーミドル級)を獲得、防衛。全勝のまま、この決定戦。スニガはコロンビアの黒人。デビューから連勝でダニエル・サントスのWBO世界スーパーウェルター級王座に挑戦したが、判定負け。IBA王座(ミドル級)、IBO王座(スーパーミドル級)獲得。連勝の勢いでWBO王座を狙う。ドイツ・ハンブルク=アルトナでの一戦。スニガは動きが素早く、手数を出す好選手。ジャブ、右クロス、左フック。左右フックからの右アッパーには迫力がある。インキンは実に地味な男。ブロックを固めて相手のガードの隙を狙う。ディフェンス、当てる巧さでインキンがポイント上、優勢。スニガは攻めるがブロックされ、逆に右パンチを「ちょこん」と食う。12R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。インキンが軽いパンチを時折当てて勝利。正直なところ全く面白くないボクシング。プロは勝たねばならないが、つまらない勝ち方をされてもファンとしては盛り上がれない。ロシア、東欧の選手にこういうタイプは多いが、ヨーロッパのファンはこういう試合を好む。彼らが満足しているのであればそれもよかろう。スニガは頑張ったが報われず、気の毒だった。その後の二人。スニガはIBF王座(ミドル級、スーパーミドル級)、地域王座に挑戦したが勝てず。マイナー王者にとどまった。インキンは次の試合でカロリー・バルザイに判定負け、初防衛に失敗(初黒星)。それが最後の試合となった。)
①「vacant WBO World Middleweight Title
Bert Schenk vs. Freeman Barr」
②「Super Middleweight
Freeman Barr vs. Mike Coker」
③「Super Middleweight
Karo Murat vs. Mustapha Stini」
④「vacant WBO World Super Middleweight Title
Denis Inkin vs. Fulgencio Zuniga」
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