2024年8月7日水曜日

ジャン・パスカル(Jean Pascal)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

世界L・ヘビー級王者。世界王者になる前の試合。マーティン・デジャルダン戦、ジャーメイン・マッキー戦ほかを紹介します。

ジャン・パスカル(Jean Pascal)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

ジャン・パスカル(カナダ)

身長180cm:オーソドックス(右構え)


ジャン・パスカル 7R TKO マーティン・デジャルダン

(カナダ・スーパーミドル級王座決定戦、2005年)

パスカル:左ジャブ、右ストレート、フック

デジャルダン:左ジャブ、右ストレート、フック

(ダウンシーン)

4R:右カウンター、左ストレートで2度、デジャルダンがダウン

5R:右ボディフックでデジャルダンがダウン

7R:右ストレートで2度、デジャルダンがダウン

(感想:パスカルがタイトル獲得。ハイチのポルトープランス出身のパスカル。子供の頃にカナダ・ケベック州に移住し、国籍はカナダ。「カナダ代表」としてアテネ・オリンピック(2004年)にミドル級で出場したが、1回戦で敗退。プロ入り後はこれまで全てカナダで試合を行い、9連勝(8KO)。デジャルダンはカナダの白人。5勝(4KO)5敗1NCの中堅どころ。モントリオールでの一戦。二人の美女にキスされてパスカルがリング入場(この「試合前の演出」はいかがなものか? モデルのようなラウンドガールにも個人的には疑問。選手が命懸けで戦う場に「チャラい存在」は要らない)。試合では軽快なフットワーク&ジャブ、そして左フック(ロイ・ジョーンズに似た戦いぶり)。デジャルダンは基本的なスタイル。ジャブを使い、右ストレート、左フック。互いにディフェンス。ワンツー、左ボディが強いパスカル。デジャルダンもカウンターを取るなど悪くない。3R、パスカルの右ストレートがヒット。4R、強烈な右カウンターでデジャルダンがダウン。さらに右ストレートからの左ストレートで二度目。5Rには速い右ボディでダウン。7R、右ストレートで二度のダウン。ダウンするたびに立ち上がってタフさを見せるデジャルダンだが、セコンドが棄権を申し入れて試合終了。パスカルがパワー&ハンドスピードで快勝。デジャルダンは右ストレートからの左フックなど良いパンチを持っていたが、相手の自由奔放な動き、スピードに負けた。その後もデジャルダンはカナダ王座戦に出場したが、勝てず。負けが増える一方となり、リングを去った。)


ジャン・パスカル 12R 判定 ジャーメイン・マッキー

(NABOスーパーミドル級王座決定戦、2006年)

パスカル:左ジャブ、右ストレート、フック

マッキー:右ジャブ、左ストレート、右フック

(ダウンシーン)

2R:右フック、左フックで2度、マッキーがダウン

(感想:パスカルがタイトル獲得。これまで14連勝(12KO)のパスカル。地元カナダでNABO王座を狙う。マッキーはバハマ出身で、11連勝(8KO)のサウスポー。バハマのスーパーミドル級王座を獲得した実績。注目の全勝対決。典型的なサウスポーのマッキー。フットワーク&ジャブでポイント狙い。左ストレートに良さがあるが、当てるようなパンチでKOを狙うようなものではない。パスカルは左のガードを下げた構えからジャブ、そして得意の右パンチ。2R、連打からの右フックでマッキーがダウン。その後、左フックでも倒れたが、オープンブロー気味のパンチ。3R、パスカルの強烈な右ストレートがヒット。左フックからの右ストレート、左ボディ打ちもパワフル。5R、マッキーの左ストレートがヒットしたが、パワーの差を感じる試合展開。8R開始時にちょっとしたハプニング。マッキーがグローブを合わせるフリをして攻撃(セコい作戦)。そして、ラストラウンド。最終ラウンド開始時に「グローブを合わせるルール」があるが、パスカルはまた打ってくるのではないかとばかりに少し警戒。パスカル優勢のまま12R終了。判定はフルマークの3-0。最終ラウンド終了時は倒せなかったのが不満そうな感じのパスカルだったが、ベルトを巻いて喜びの表情。パワー、パンチの伸び、連打の回転の速さで相手を上回った。マッキーはその後、WBAの地域王座を獲得する活躍もあったが、敗北があり世界挑戦は無かった。)


ジャン・パスカル 12R 判定 ラファレル・バンティング

(NABOスーパーミドル級タイトル戦、2007年)

パスカル:左ジャブ、右ストレート、フック

バンティング:左ジャブ、右ストレート、左フック

(感想:パスカルがタイトル防衛。モントリオールでNABO王座の初防衛戦。挑戦者のバンティングは背が高いアメリカ黒人(185cm)。IBAのアメリカス王座(L・ヘビー級)を獲得しているが、直前の試合ではTKO負けしている。ガードを上げてしっかりブロックするバンティング。動きのスピードは速くはないが、長いジャブ、ワンツー、左フック。パスカルは例によって左のガードを下げた構えからジャブ、ワンツー、左右フック連打、ボディ打ち。パワーがあり、回転も速い。しかしながら、バンティングの固いガードを崩せず。6Rに右カウンターでバンティングをグラつかせ、最終12Rには猛烈なラッシュを見せたが、倒せず。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。KOできなかったが、パスカルのパンチにはキレがあった。バンティングは受け身のまま敗北。ブロックやクリンチで何とか耐えた。この試合の後バンティングはブランクを作り、大きな活躍は無かった。)


ジャン・パスカル 10R TKO クリスチャン・クルス

(NABA・NABF・NABOスーパーミドル級王座戦、2007年)

パスカル:左ジャブ、右ストレート、フック

クルス:左ジャブ、右ストレート、フック

(感想:パスカルがタイトル獲得。NABO王者のパスカルが空位のNABA・NABF王座の決定戦に出場。クルスはカリフォルニア出身のアメリカ人。これまで12勝(10KO)7敗1分。NABA王座、全米王座(いずれもスーパーミドル級)に挑戦して敗北したことがある。モントリオールでの一戦。共に左のガードを下げた構えからジャブ。クルスはややぎこちない。ジャブ、ストレートはそこそこだが、フックが大振りで隙がある。パスカルのジャブ、ワンツー、左フックがヒット。しかしながら、クルスはなかなかタフ。パスカルが連打をまとめるが、打たれても反撃。10R、クルスのセコンドが棄権を申し入れて試合終了。いくらタフでもマトモに打たれるようでは試合を続けさせるべきではない。ダウンシーンは無かったが、パスカルはいつも通りのキレとパワーだった。その後、クルスはブランクがちにリングに上がり続けたが、何と全敗。)


その後のパスカル

カール・フローチとWBC世界スーパーミドル級王座決定戦を行い、判定で初黒星。階級を上げ、WBC世界ライトヘビー級王者のアドリアン・ディアコヌに挑戦。判定で王座獲得。しかし、五度目の防衛戦でバーナード・ホプキンスとの再戦に敗れ、王座陥落(2010年)。その後は世界戦での敗北などの苦難。2019年、WBA世界ライトヘビー級暫定王者マーカス・ブラウンと対戦し、負傷判定勝ちで王座獲得。暫定からレギュラー王座に昇格、防衛にも成功。ところがその後、ドーピング検査に引っかかり王座剥奪。2022年には飲酒運転の疑いで逮捕。キャリア終盤は残念なことになってしまったが、ボクサーとしての実力は確かなものがあった。現在はプロモーターとして活躍しているとか。


①「vacant Canada Super Middleweight Title 

Jean Pascal vs. Martin Desjardins」

②「vacant NABO Super Middleweight Title 

Jean Pascal vs. Jermain Mackey」

③「NABO Super Middleweight Title 

Jean Pascal vs. Lafarrell Bunting」

④「NABA, NABF and NABO Super Middleweight Title 

Jean Pascal vs. Christian Cruz」

 

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