世界フライ級&スーパーフライ級王者。アルメニアの「レイジング・ブル(怒れる雄牛)」。イレーネ・パチェコ戦、ディミトリー・キリロフ戦、クリスチャン・ミハレス戦を紹介します。
ビック・ダルチニアン(アルメニア)
身長166cm:サウスポー
①ビック・ダルチニアン 11R TKO イレーネ・パチェコ
(IBF世界フライ級タイトル戦、2004年)
ダルチニアン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
パチェコ:右ジャブ、左ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
10R:左ストレートでパチェコがダウン
11R:左フックでパチェコがダウン
(感想:ダルチニアンがタイトル獲得。アルメニア生まれのダルチニアン。オーストラリア国籍。サウスポースタイルで左を荒っぽく振るうファイター(「フライ級のファン・マルチン・コッジ」といった感じ)。これまで21戦全勝(16KO)の28歳。IBFのアジア王座(フライ級)を獲得・防衛。IBF王座挑戦者決定戦に勝利して、この世界初挑戦。コロンビアのパチェコは33歳の黒人。29戦全勝(23KO)。決定戦で王座を獲得し、これが七度目の防衛戦。ハリウッドでの一戦。サウスポー同士の一戦。互いにジャブ。ダルチニアンは左を強く当てようとする。パチェコはジャブからのフック連打。激しく打ち合うが、振りが大きいパンチを互いにディフェンスし合って決定打に欠ける展開。10R終了間際、左ストレートでパチェコがダウン。11R開始早々、ダルチニアンがラッシュ。左フックでパチェコがダウン。立ったが戦意喪失気味で試合終了。ダルチニアンは「レイジング・ブル」というアダナ(世界ミドル級王者だったジェイク・ラモッタと同じ)にふさわしいファイトぶりだった。パチェコは戦績の割にはそれほど強さを感じなかった。一発の威力ではなく、連打でKO勝ちしてきた選手なのではないかと思う(違いますか?)。後、パチェコはジョニー・ゴンザレスのWBO世界バンタム級王座に挑戦してTKO負け、二階級制覇ならず。それが最後の試合となった。)
②ビック・ダルチニアン 5R KO ディミトリー・キリロフ
(IBF世界S・フライ級タイトル戦、2008年)
ダルチニアン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
キリロフ:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
5R:左ストレートで2度、キリロフがダウン
(感想:ダルチニアンが二階級制覇。IBF世界フライ級王座を守り続けたダルチニアンだが、あのノニト・ドネアに豪快にKOされて王座陥落。階級を上げて巻き返しを図る。ロシアの王者キリロフは日本でWBC世界S・フライ級王者徳山昌守に挑戦したことがある選手(判定負け)。これまで29勝(10KO)3敗1分、とKO数は少な目。アメリカで行われた試合。キリロフが左のガードを下げてジャブ、そして右ストレート、左ボディフック。ダルチニアンは得意の左ストレートを突き刺すように連打する。パワーでダルチニアン優勢。5R、キリロフは二度目のダウンから立てなかった。ダルチニアンが荒っぽい左で圧勝。キリロフには正直なところ王者としての強さは感じられなかった。隠れた強さを持っていたのかもしれないが、ずっと隠していたのでは勝てない。キリロフはこの試合の後、数年のブランク。カムバックしたが、世界王座返り咲きならず。)
③ビック・ダルチニアン 9R KO クリスチャン・ミハレス
(WBA・WBC・IBF世界S・フライ級王座統一戦、2008年)
ダルチニアン:右ジャブ、左ストレート、左右フック
ミハレス:右ジャブ、左ストレート、右フック
(ダウンシーン)
1R:左アッパーでミハレスがダウン
9R:左ストレートでミハレスがダウン
(感想:ダルチニアンが王座統一。IBF王者のダルチニアンがWBA・WBC王者のミハレスとアメリカで一騎打ち。ミハレスは素晴らしい実績のメキシカン。川嶋勝重とWBC世界スーパーフライ級暫定王座決定戦を行い判定勝ち、王座獲得。正規王者に認定され、ホルヘ・アルセらを相手に防衛成功。WBA世界スーパーフライ級王者アレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)と王座統一戦を行い2-1で勝利、王座統一。直前の防衛戦ではあのチャッチャイ・サーサクン(タイ。元WBC世界フライ級王者)をKOしている。サウスポー同士の一戦。ダルチニアンがいつものように左ストレート狙い。ミハレスはタイ人ボクサーのように一発一発打っていくが、手数が少ない。1Rのダウン後は攻める姿勢とパンチのキレでダルチニアン優勢。9R、強烈な左ストレートでミハレスがダウンしてKO。何がしたかったのか? と思うほどミハレスは攻めなかった。両方のコブシを試合前から痛めていたのかもしれない。ダルチニアンがパワフルだっただけに好試合にならなかったのが残念。その後、ダルチニアンは三階級制覇を狙ってバンタム級に進出したがアンセルモ・モレノ、山中慎介らに敗れた。パワーのある選手だが、振り回すタイプのため隙も大きい。勝てる相手には勝てるがそうでない相手には勝てない、という極端な面がある選手であった。)
①「IBF World Flyweight Title
Irene Pacheco vs. Vic Darchinyan」
②「IBF World Super Flyweight Title
Dmitry Kirillov vs. Vic Darchinyan」
③「WBA・WBC・IBF World Super Flyweight Title
Cristian Mijares vs. Vic Darchinyan」
ノニト・ドネア(Nonito Donaire)のページ
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山中慎介(Yamanaka Shinsuke)のページ
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