2020年10月9日金曜日

ディンガン・トベラ("The Rose of Soweto" Dingaan Thobela)「世界の強豪ボクサー:ボクシング・ブログ」

二階級制覇の「ソウェトの薔薇」。トニー・ロペス戦(初戦)、オルズベック・ナザロフ戦(再戦)、グレン・キャトリー戦ほかを紹介します。

ディンガン・トベラ("The Rose of Soweto" Dingaan Thobela)ボクシング・ブログ「世界の強豪ボクサー」[Google Blogger]

ディンガン・トベラ(南アフリカ共和国)

身長171cm:オーソドックス(右構え)


トニー・ロペス 12R 判定 ディンガン・トベラ

(WBA世界ライト級タイトル戦、1993年)

トベラ:左ジャブ、右ストレート、左フック

ロペス:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ロペスがタイトル防衛。南アフリカ・ソウェト出身の黒人トベラは「ソウェトの薔薇」と呼ばれる(ソウェトは黒人が多く住む町)。「薔薇」というのは少しイメージが違うような気もするが、素早い動きで華麗に相手を攻めたり防御したりする姿を形容したものではないかと思われる。アマチュアで経験を積んだ後、プロ入り。無敗でWBO世界ライト級タイトル獲得、防衛にも成功。WBO王座を返上し、「ザ・タイガー」と呼ばれる人気者ロペスに挑戦。ロペスの地元サクラメント「アルコ・アリーナ」で行われた一戦。スラリとした体形でフットワークを使いながら速く、伸びのあるジャブ、右ストレートを飛ばすトベラ。ロペスは好戦的なファイタースタイルで、ジャブ、連打で前進。共にテンポよく連打するタイプだが、トベラが長いジャブで先手を取り、カウンターを決め、ロペスは攻めるが当てさせてもらえない。最終ラウンド終了時、トベラは両手を上げて「自分が勝った」とアピール。しかし判定は3-0でロペス(ダウンシーンは無し)。映像ではパンチ力がわからないため何とも言えないが、トベラがジャブ・カウンターで勝ったように見えた。「パンチが軽い」として評価されなかったのかもしれない。再戦はトベラが判定勝ちでタイトル獲得。)


オルズベック・ナザロフ 12R 判定 ディンガン・トベラ

(WBA世界ライト級タイトル戦、1994年)

トベラ:左ジャブ、右ストレート、左フック

ナザロフ:右ジャブ、左ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

7R:左フックでトベラがダウン

(感想:ナザロフがタイトル防衛。初防衛戦でナザロフに王座を奪われたトベラ。再戦でタイトル奪回を目指す。ナザロフは「グッシー・ナザロフ」のリングネームで日本を主戦場にしてきた男。アマチュアでは立派な成績だったが、プロではアジアの二線級と試合をしてきた。世界的な実力者トベラに勝てるのか? という声もあったが南アフリカでトベラを判定で下して王座奪取。再び南アフリカで対戦(ダイレクト・リマッチ)。サウスポーのチャンピオン、ナザロフはパワー。トベラはスピード。どちらも手数が多い。ディフェンスしながらジャブからの連打を決めるナザロフ。7R、左フックでトベラがダウン。判定は3-0。スピードのある選手と対戦した場合、上手く逃げられたりすることがあるが、ナザロフはボディを叩き、トベラを逃がさなかった。ナザロフはパワー、手数、当てる巧さ、ディフェンスのテクニックなどを兼ね備えた一流選手(その後も王座を防衛)。トベラはKOされなかった。それでよかったのでは?)


ディンガン・トベラ 12R KO グレン・キャトリー

(WBC世界S・ミドル級タイトル戦、2000年)

トベラ:左ジャブ、右ストレート、左フック

キャトリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(ダウンシーン)

12R:左フック、右ストレートで2度、キャトリーがダウン

(感想:トベラが二階級制覇。ナザロフに敗れた後も戦い続けるトベラ。IBOのウェルター級王座を獲得したり、WBFのミドル級王座に挑戦したり。そして、メジャー団体の王者キャトリーに挑戦するチャンス。キャトリーは英国の選手。これが初防衛戦。南アフリカ・ブラックパンでの一戦。「これがトベラ?」というぐらい大きくなったトベラ(引退した選手が太って別人のようになるのはよくあることだが、そんな感じの体つき)。王者キャトリーは(S・ミドル級にしては)身長が高くないため、ライト級だったトベラとは体格差はあまりない。ジャブ、右ストレートのトベラ。キャトリーはショートパンチを連打するがトベラは倒れない。どちらも一発で倒すタイプではないため、一進一退の展開。12R、右ストレートが効いたキャトリー。左フックでダウン。さらにダウンでKO。元々はライト級だったトベラが間を飛ばしてスーパーミドル級で二階級制覇。かなりの番狂わせだが、トベラの右ストレートは序盤から有効で、実力的にキャトリーに勝てるだけのものはあった。その後のキャトリー。王座奪回を目指したが、エリック・ルーカスにKO負け。欧州王座戦に二連敗。それで事実上、キャリアを終えた。)


デイブ・ヒルトン 12R 判定 ディンガン・トベラ

(WBC世界S・ミドル級タイトル戦、2000年)

トベラ:左ジャブ、右ストレート、左右フック

ヒルトン:左ジャブ、右ストレート、左右フック

(感想:ヒルトンがタイトル獲得。トベラ(34歳)の初防衛戦。挑戦者ヒルトン(37歳)はカナダの「ボクシング兄弟」(弟マシューはIBF世界J・ミドル級王者になった過去)。カナダ・オンタリオ州出身の白人。これまで38勝(26KO)2敗3分。デビューから地元で連勝。カナダ王座、WBC米大陸王座(いずれもウェルター級)獲得、防衛。途中、ブランク(事件を起こした、という情報も)。カムバック後、初黒星。そこから連勝で、またブランク。カナダ王座(ミドル級)獲得、防衛。直前の試合は3-0の判定負け。これまでローカルな試合が目立つが、初の世界戦でどんな動きを見せるか? カナダ・モントリオールでの一戦。左フックに特にパワーを込めるヒルトン。ジャブで接近して左右フックボディ打ち。トベラは相手の隙を突くボクシングで、ジャブ、ワンツーからの左ボディ打ち。接近戦が続く。パワーのヒルトン、攻撃のバリエーションのトベラ。5R,6R、連打をまとめて「当てる巧さ」を見せるトベラだが、相手をKOするようなパワフルなものではない。その後も体力で押すヒルトン、隙を狙うトベラ。12R終了。判定は僅差の2-1(ダウンシーンは無し)。ヒルトンがパワーを込めたボディ打ちで勝利。ただ、テクニックはトベラの方があった。その後の二人。感動の世界王座奪取だったヒルトンだが、娘への性的虐待の罪で懲役7年。一度も防衛戦を行うことなく世界王座剥奪。出所後の2007年に一試合だけカムバックして判定勝ち。トベラは再起戦で新王者エリック・ルーカスに挑戦してTKO負け、王座奪回ならず。ミッケル・ケスラー戦、オーティス・グラント戦、ルシアン・ブーテ戦に敗れるなどヒルトン戦後は全敗。負けても負けてもリングに上がったトベラ。かなりボクシング向きの性格だったのだろう。)


①「WBA World Lightweight Title

Tony Lopez vs. Dingaan Thobela」

②「WBA World Lightweight Title

Orzubek Nazarov vs. Dingaan Thobela」

③「WBC World Super Middleweight Title

Glenn Catley vs. Dingaan Thobela」

④「WBC World Super Middleweight Title

Dingaan Thobela vs. Dave Hilton」


トニー・ロペス(Tony "The Tiger" Lopez)のページ

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オルズベック・ナザロフ(Orzubek Nazarov)のページ 

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