クロンクジム初の世界王者、ケンティ。エルネスト・エスパーニャ戦(初戦・再戦)、ビロマー・フェルナンデス戦を紹介します。
ヒルマー・ケンティ(アメリカ)
身長179cm:オーソドックス(右構え)
①ヒルマー・ケンティ 9R TKO エルネスト・エスパーニャ
(WBA世界ライト級タイトル戦、1980年)
ケンティ:左ジャブ、右ストレート、左フック
エスパーニャ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(ダウンシーン)
1R:ケンティがダウン
(感想:ケンティがタイトル獲得。テキサス出身のケンティ。デトロイトの「クロンクジム」所属。アマチュアで優秀な選手だったが、オリンピックには出場ならず。プロ入り後はこれまで16戦全勝(12KO)。連戦連勝ではあるが、国際的には無名の存在。デトロイトで初の世界挑戦。王者エスパーニャはベネズエラ出身で(弟クリサントは後にWBA世界ウェルター級タイトルを獲得)、クロード・ノエルとの王座決定戦で勝利してこの王座を獲得。これが二度目の防衛戦。王者と比べると「若手」といった感じのケンティ。しかし実力は明らかに王者を上回る。ケンティがパワーのあるジャブを飛ばし、思い切ったストレート、左フック。エスパーニャは右ストレートには伸びがあるが、振りの大きいフックにはキレがなく、体も重そうな感じ。1Rのダウンは映像では何が当たったのかよくわからなかった(バッティングで倒れたようにも見えた)。その後はケンティがハーンズのようなフリッカージャブ、右ストレートを決め、9R、ロープ際でエスパーニャを滅多打ちしてレフェリーストップ。大喜びのケンティ。「クロンクジム」初の世界王者。リング上で後に世界王者になるトーマス・ハーンズがケンティを祝福。)
②ヒルマー・ケンティ 4R TKO エルネスト・エスパーニャ
(WBA世界ライト級タイトル戦、1980年)
ケンティ:左ジャブ、右ストレート、左フック
エスパーニャ:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ケンティがタイトル防衛。二度目の防衛戦はプエルトリコ、サンファンの屋外リングでのエスパーニャとの再戦。1Rから打ち合い。大きなフックで攻めるエスパーニャは前回よりはパンチに勢いがある。しかしパンチの正確さはケンティ。前回のストップシーンの再現であるかのように打たれるエスパーニャ。最後は右ストレートでレフェリーストップ。ケンティは自信タップリで、離れても接近しても強いパンチをヒットさせた。ダウンシーンは無し。エスパーニャはその後もこの王座にこだわりアルツロ・フライアス、レイ・マンシーニに挑戦したが、敗北。世界王座に返り咲くことはなかった。)
③ヒルマー・ケンティ 15R 判定 ビロマー・フェルナンデス
(WBA世界ライト級タイトル戦、1980年)
ケンティ:左ジャブ、右ストレート、左フック
フェルナンデス:左ジャブ、右ストレート、左右フック
(感想:ケンティがタイトル防衛。デトロイトで行った防衛戦。フェルナンデスはドミニカ出身のベテラン。ロベルト・デュランのWBA世界ライト級タイトルに挑戦したり、アレクシス・アルゲリョに判定勝ちしたりしたこともある、しぶといファイタータイプ。構え方やジャブの打ち方がトーマス・ハーンズそっくりなケンティが速いジャブを飛ばす。フェルナンデスは下がりながらしぶとく耐える。13Rに足を痛めたケンティ。14R、フック攻撃でフェルナンデスがケンティを追い回す(「レナード vs. ハーンズ(初戦)」のようなシーンも見られた)。ジャブでしのぐケンティ。判定は3-0。ダウンシーンは無し。フェルナンデスはいいパンチを持っているにもかかわらず攻め出したのは終盤から。仕掛けるのが遅すぎた。ケンティはハプニングがあったものの安定したボクシング。左のボディ打ちも迫力があった。三度目の防衛に成功したケンティ。しかし、次の防衛戦でショーン・オグラディに意外な敗北、初黒星。その後はなぜか世界戦に出場することは無かった。「クロンクジム」の選手はキレイなボクシングをするが、打たれ弱かったり、王者になっても短命で終わったり。「何か」が欠けているのだと思われる。)
①「WBA World Lightweight Title
Ernesto Espana vs. Hilmer Kenty」
②「WBA World Lightweight Title
Hilmer Kenty vs. Ernesto Espana」
③「WBA World Lightweight Title
Hilmer Kenty vs. Vilomar Fernandez」
ショーン・オグラディ(Sean O'Grady)のページ
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