根性で勝負する白人J・ミドル級ファイター。トマス・ペレス戦、ドナルド・カリー戦、テリー・ノリス戦ほかを紹介します。
ブレット・ラリー(アメリカ)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①ブレット・ラリー 10R 判定 ジョン・スカリー
(J・ミドル級戦、1989年)
ラリー:左ジャブと左右フック
スカリー:ジャブ、ストレート、フック
(感想:ミシガン州ウェストランド出身の白人ラリー。これまで20勝(14KO)4敗。中堅どころと試合をしてきた。ゲーリー・ヒントン(後、アーロン・プライアーのIBF世界J・ウェルター級王座に挑戦、判定負け)の全米J・ウェルター級王座に挑戦したときは2-0の判定負けに終わっている。スカリーはコネチカット州ハートフォード出身の白人。ニックネームは「The Iceman」(冷静な試合をする選手に付けられることが多い)。アマチュアで実績。プロでは13連勝(12KO)。まだ真価を試される試合は無い。アトランチックシティ「Showboat Hotel & Casino」での一戦。開始から攻めるラリー。右フック、左右フックボディ連打。カウンターを食うなどディフェンスの甘さがあるが、気合いの入った連打。スカリーはアマチュアで優秀だったことを物語る器用さ。頻繁にスイッチしながらシャープなジャブ、ワンツー。フックを当てる巧さ。しかし、プロとしてはややパワー不足。打たれても攻めるラリー、応戦するが相手の勢いに押されがちなスカリー。10R終了。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。勝ったラリーはバク転で喜びを表した(激しい試合後にバク転。スタミナと運動神経の良さを感じるパフォーマンスだった)。ラリーがフック攻撃で勝利。スカリーは巧さはあったが、パワーに課題。その後、スカリーは徐々に階級を上げ、ローカル王座(ミドル級)、WBFインターコンティネンタル王座(スーパーミドル級)獲得。実力者ティム・リトルズ、トニー・ソーントン、マイケル・ナンに負けたが、KOはされず。ヘンリー・マスケのIBF世界ライトヘビー級王座に挑戦して判定負け。以後は負けが込んで引退。KO負けはキャリア終盤の一つだけ(タフ)。引退後は故郷ハートフォードでボクシングのトレーナーをしているとか。)
②ブレット・ラリー 10R 判定 トマス・ペレス
(J・ミドル級戦、1989年)
ラリー:左ジャブと左右フック
ペレス:左ジャブと左右フック
(感想:スカリー戦の次の試合。ペレスはカリフォルニア州J・ミドル級王座を獲ったこともあるキューバ人で21勝(14KO)3敗。ラスベガスでの一戦。「キューバ人ボクサー」といえばディフェンスの巧さ、バランスの良さ、パンチ力などに定評があるが、ペレスはファイター。接近して左右フックを連打。しかしながら、それほど器用な選手ではない。ラリーもそういう選手。そのため1R開始から接近戦。左右フックでの打ち合い、クリンチ。大きな力の差は感じられないが、馬力はややラリーが上か。判定は3-0(ダウンシーンは無し)。ラリーの左フックが印象的だった試合。TV実況席で観戦していた元IBF世界J・ミドル級王者マシュー・ヒルトンはこの試合を観てどう思っただろうか? 映像では二人の不器用さが目立ったが、大きなフックでの打ち合いはリングサイドの観客にはエキサイティングな試合に見えたかも。ペレスはこの後、二試合やってキャリア終了。ラリーの次の相手はドナルド・カリー。)
③ドナルド・カリー 2R TKO ブレット・ラリー
(J・ミドル級戦、1989年)
ラリー:右ストレート、左右フック
カリー:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでラリーがダウン
(感想:ラリーが名のある相手と対戦。カリーは二階級制覇王者。かつてはマービン・ハグラーの世界ミドル級王座に挑戦する話もあったほど勢いと人気があったが、打たれ弱さのため思ったほど活躍できず。この試合はルネ・ジャコに敗れてWBC世界J・ミドル級王座を失った再起戦。ラスベガスでの一戦。ラリーがジャブを使うこともなく、いきなりの右ストレート、左フックで攻める。スタイリッシュなカリーはディフェンスしながらジャブ、ストレートを伸ばす。ラリーのラフな攻撃を警戒するカリーだが、相手のディフェンスの甘さを突く。2R、左フックでグラついたラリーに右ストレートでダウンを奪う。立ったラリーに連打してレフェリーストップ。ペレス戦でもディフェンスがイマイチだったラリー。いくらカリーに打たれ弱さがあるといってもジャブなしではパンチは当たらない。パワーを上手く生かせないのがラリーの残念なところ。勝ったカリーもその後は残念。マイケル・ナン、テリー・ノリスの世界王座に挑戦してKO負け。世界王座返り咲きならず。)
④テリー・ノリス 1R KO ブレット・ラリー
(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1991年)
ラリー:左ジャブ、右ストレート、左右フック
ノリス:左ジャブ、右ストレート、左フック
(ダウンシーン)
1R:左フック、右アッパー、ワンツーで3度、ラリーがダウン
(感想:ノリスがタイトル防衛。カリー戦後、北米王座を獲得して防衛にも成功したラリーが「WBC2位」として初の世界挑戦。王者ノリスはあのジョン・ムガビを1RでKOしてタイトルを獲得し、ルネ・ジャコ、シュガー・レイ・レナード、ドナルド・カリーを相手に防衛中。カリフォルニア州サンディエゴ「スポーツ・アリーナ」での一戦。ラリーは気合いが入っているのか、いつもとは違ってスキンヘッド。とても強そうに見える。しかしながらディフェンスの甘さは相変わらず。ガチャガチャと前に出たところに左フックを食ってダウン。二度目はアッパー。最後はジャブからのキレイな右ストレート(ワンツー)で終了。やはりボクサーは基本が大事。いくらパンチが強くてもバランスが悪い選手は大成しない(世界王者になれなくても自分がやりたいようにできれば満足、というのであればそれでも構わないが)。その後、ラリーは北米タイトル戦に敗れ、中堅どころにとどまった。ノリスは強さと脆さ。強烈なKO負けを喫するなどダメージを重ねていった。)
①「Super Welterweight
Brett Lally vs. John Scully」
②「Super Welterweight
Brett Lally vs. Tomas Perez」
③「Super Welterweight
Donald Curry vs. Brett Lally」
④「WBC World Super Welterweight Title
Terry Norris vs. Brett Lally」
ドナルド・カリー(Donald Curry)のページ
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テリー・ノリス("Terrible" Terry Norris)のページ
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