ドイツのミドル級。「シルベスター vs. アシカイネン」「シュトルム vs. アルコバ」「シュトルム vs. シルベスター」を紹介します。
セバスチャン・シルベスター(ドイツ)
身長172cm:オーソドックス(右構え)
フェリックス・シュトルム(ドイツ)
身長181cm:オーソドックス(右構え)
①アミン・アシカイネン 8R TKO セバスチャン・シルベスター
(欧州ミドル級タイトル戦、2006年)
アシカイネン:左ジャブ、右ストレート、フック
シルベスター:左ジャブ、右ストレート、フック
(ダウンシーン)
8R:左フックでシルベスターがダウン
(感想:アシカイネンがタイトル獲得。王者シルベスターはドイツ人(グライフスヴァルト出身)。アマチュアで活躍。プロではこれまで21勝(9KO)1敗。この「1敗」はデビュー戦で1RでKOされたもので、それ以降は勝利してきた。IBFのインターコンティネンタル王座(ミドル級)も獲得している。挑戦者アシカイネンはフィンランド・キルッコヌンミ出身。12歳でボクシングを始め、アマチュアで活躍(世界選手権出場)。プロ入り後は17戦全勝(15KO)。ドイツ・ハノーファーでの一戦。共にガードを上げて力強いジャブ、ワンツー。パンチに伸びがあるシルベスター。ジャブ、ストレートをヒットさせ、左ボディからの左フックをいったコンビネーションを使う。距離を取りながら戦うアシカイネンはワンツーをブロックされてしまう。ところが次第にアシカイネンに勢いが。精力的にワンツーからの左フック。7R、バッティングでシルベスターが左眉の上をカット。8R、連打するアシカイネン。左フックでシルベスターがダウン。立ったが、レフェリーは試合を止めた。アシカイネンがワンツー、左フックで勝利。粘り強さを感じる試合ぶりだった。シルベスターは残念。よく前に出ていたが、バッティングで流れが変わってしまった。その後、アシカイネンは欧州王座を防衛したが、敗北もあって世界挑戦ならず。)
②フェリックス・シュトルム 12R 判定 ノエ・トゥリオ・ゴンザレス・アルコバ
(WBA世界ミドル級タイトル戦、2007年6月)
シュトルム:左ジャブ、右ストレート、フック
アルコバ:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:シュトルムがタイトル初防衛。ドイツ・レーバークーゼン出身のシュトルム(ボスニア系ドイツ人)。本名「アドナン・チャティッチ」。両親がボスニア・ヘルツェゴビナの戦乱を逃れてドイツに移住した過去。アマチュアの大会で優勝経験。2000年のシドニーオリンピックにはライトミドル級で出場(ジャーメイン・テイラーに敗れてメダル獲得ならず)。プロデビューから全勝でWBO世界ミドル級王座獲得。オスカー・デラ・ホーヤに敗れて王座陥落、初黒星。WBA王座獲得。ハビエル・カスティリェホに王座を奪われたが、奪回。アルコバ戦は奪回した王座の初防衛戦。挑戦者アルコバはウルグアイ・パンド出身の黒人。主戦場はアルゼンチン。これまで全勝。WBAの地域王座(ミドル級)を獲得している。ドイツ・シュトゥットガルトでの一戦。ドレッドヘアーのアルコバ。実に積極的で、手数が多い。ダッキングしながら前進し、右フックからの左ボディ打ち、ワンツー、アッパー。シュトルムは何とも地味な男。ブロックを固めて相手が打ち終わった後、ガードの隙を突く。テンポ良くコンビネーションするアルコバだが、ブロックされて逆に細かいパンチを食う。しかも次第に疲れが出て、攻めるときのディフェンスが甘くなっていく。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定はジャッジの一人がフルマーク(120-108)の3-0。何とも悲しい世界戦。終始前に出て、多く手数を出した方が負けるとは。ブロック&ちょっとした反撃でシュトルム勝利。地元のファンは大喜びしていたが、それ以外のボクシングファンにとっては何にも面白くない試合。アルコバは打ち方が良く、素晴らしいコンビネーション。しかし、パンチがやや軽め。「一発のパワー」に欠けていたか。その後のアルコバ。連勝。WBOの地域王座(ミドル級)、WBCのシルバー王座(ミドル級)を獲得。しかし、シルバー王座戦などのタイトル戦で敗北するようになり、二度目の世界挑戦はなかった。)
③フェリックス・シュトルム 12R 判定 セバスチャン・シルベスター
(WBA世界ミドル級タイトル戦、2008年)
シュトルム:左ジャブ、右ストレート、フック
シルベスター:左ジャブ、右ストレート、フック
(感想:シュトルムがタイトル防衛。奪回した王座を守り続ける王者シュトルム。挑戦者シルベスターはアシカイネンから欧州王座を奪回し、連続防衛。これが初の世界挑戦。ドイツ・オーバーハウゼンで行われたドイツ人同士の一戦。ジャブを連打するシュトルム。左フック、左ボディ打ちなど左のテクニックを見せる。シルベスターはジャブ、ワンツーをよく使う。互いに相手の攻撃をブロック。ダウンシーンなど大きな見せ場がないまま12R終了。判定は3-0。シュトルムの手数、特にジャブが評価されたか。まるでアマチュアの試合のようだった一戦。クリーンなファイトなのは良かったが、テクニックで淡々と12Rが過ぎていった。もう少しプロらしい畳み掛ける攻めを見たかったところ。その後の二人。シルベスターはIBF世界ミドル級王者に。防衛にも成功。シュトルムはWBA世界スーパーミドル級王座、IBF世界ミドル級王座も獲得。しかし、ドーピング違反、脱税で逮捕といったトラブル。何とも微妙な男だ。)
①「EBU Middleweight Title
Sebastian Sylvester vs. Amin Asikainen」
②「WBA World Middleweight Title
Felix Sturm vs. Noe Gonzalez Alcoba」
③「WBA World Middleweight Title
Felix Sturm vs. Sebastian Sylvester」
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